おかだ きょうこさんから「ダブルストックと運動靴」
………2006.7.25


■2006.7.25――おかだ きょうこさんから「ダブルストックと運動靴」(ポイント進呈します)
●伊藤コーチさま
●月山、鳥海山ではお世話になりました。帰りの新幹線では疲れ果てました。皆さん、健脚ですね。鳥海山の頂上があんなに岩だらけとは知りませんでした。コーチが猿のように(と、ある人が称していました)飛んでましたが、あれが私は苦手です。落ちても良い地面の上の岩の尖った所を踏んでいく時では、実にバランスがいいのに、そのアンバランスが理解できないといわれます。克服方法は、ないでしょうか?
●ところで、6月に、前穂北尾根〜奥穂〜北穂〜キレット〜小槍を縦走しました。糸の会山行ではないので、メールをするつもりはなかったのですが、その折、特に、槍ヶ岳から槍沢までの雪渓で伊藤流のダブルストックの使い方があらためて実に、魔法のように有効と感じ入ったので、メールします。ただ、ワンポイントエピソードとして纏める文章力と時間がないので、友人に送ったメールに付け加えます。糸の会の趣旨に沿わなければボツまたは、書き直して下さい。
■「ダブルストックと運動靴」
●6月末に前穂北尾根〜奥穂〜北穂〜キレット〜小槍を縦走しました。
●例年より非常に雪が深く、ピッケルと12本爪アイゼンがないと駄目と、山小屋では、問い合わせに答えていました。このコースに、伊藤流ダブルストックと運動靴(10本爪アイゼンをつけました)が実に、魔法のように有効だったので、改めて、皆さんにお伝えしたいと思いました。
●ただ、先日鳥海山の頂上岩山で、他グループに、ここでストックは危ないよ、と注意を受けたように、本当にダブルストックを杖としてしか使っていない例が多いと思います。
【1】杖としてではなく、4本足として使う。
【2】急な下りでは、3歩前にV字に突く。これが雪渓で3倍のスピードの威力となった。
【3】登りは身体の下に突く。
【4】そして、突く位置が、絶対、登山道から外れない。
伊藤流で使っていれば登山道をそれほど傷めないと思いますが、この辺が、一般に 理解されていないので、時々白い目で見られます。ツアーによっては、先端にキャッ プをはめたままにするよう指導されます。岩では、有効でなくなります。
【5】後ろに振り上げない。これをする人がいるので、危ない、と誤解される。マナーの問 題。
●伊藤流が、常識となるよう祈っています。
●改めてボンビバンの、ストックと下りの講座を見てください。
●一日目は、梓一号で松本まで行き、上高地から、横尾までは傘をさしたり、閉じたりの小雨の中をまあ、快適に歩きました。
●にりんそう、エゾムラサキ、ツバメオモトなど結構咲いていました。
●対岸の屏風岩が見えるあたりにかかると、残雪が、ちらほら、出始めました。
●今年は、雪が多いそうです。本谷橋を渡ると本格的に雪渓です。最初は、アイゼンをつけずに。靴は、いつものゴアのタウンシューズです。そのうち、最後の大雪渓では、10本爪アイゼンをつけて、歩けども歩けども着かない、遠くに見える黒い岩のような目指す涸沢小屋は、ちっとも大きくならない。ここんとこ、デスクワークで脚力が落ちている、と思いながら。と、突然小屋が目の前に、現れました。小屋だと思っていたのは、本当の岩でした。
●小屋は、写真家2人とスタッフのみ。乾燥室が好きに使えるのは、ありがたい。
●二日目。午前3時には、雨。4時は、濃い霧。5時に、写真家に起こされて外を見ると、前穂北尾根がどーんと、目の前に、見えました。曇り。
●6:45 出発。5,6のコルまで、雪渓。テント泊の先発グループがいる。結構初心者向きの岩ですが、登り始めはスイスイといかない。5峰から上り始めて、核心部は、4峰。そこで先発グループを抜く。3峰、2峰、で前穂頂上。
●夏道と違った雪渓道を歩いてつり尾根に出る。やっぱり、脚力が落ちてる。やっと、奥穂を超え、2:00 穂高岳山荘に、着く。ここで、泊まるか北穂まで、行くか。でも、まだ、南岳小屋が開いていないので翌日のキレット越えがきついので、北穂高小屋まで、頑張る事にする。2:45出。
●5:45に着く。小屋には、1週間滞在して、お天気待ちをしていたNHK取材班がいました。その模様を、7月1日の山開きと称して「おはよう日本」で放送していました。私は、よれよれ状態です。
●三日目。霧。でも、午前中晴れるかもしれない、ということで少し待って7:45出発。いよいよ、大キレットです。飛騨泣き、長谷川ピークも霧であまり迫力がない。7月にまた行く滝谷ドームも見えない。誰も歩いていないので、快適。南岳小屋に着いて小屋開けの準備をしているスタッフがコーヒーをサービスしてくれる。サッと晴れてきた。横のシシバナから大キレットの全貌が見えました! 前穂の北尾根もみえる。昨年歩いたジャンダルムも。これから行く槍ヶ岳も。中岳の雪渓は、夏までも残りそう。クレパスに注意しながら歩く。
●3:45槍岳山荘に着く。数分後、雨が降り出す。初めて一人宿泊客がいた。
●四日目。快晴でも寒いので、8時まで待って小槍に行く。途中までは、槍への道。すごいザレ場。一気に谷底まで、切れ落ちている。少し巻いて、小槍のとりかかりに着く。
●1センチほどのスタンスに足を乗せる(この靴でよかった)。足が震えるとは、こういうことかと分かった。5センチほどの幅で膝が震えている。クラック、トラバース、クロシングなどクライミングで習ったことを実際に使う。
●歌の「アルプス一万尺 小槍のうえでアルペン踊りをさあ踊りましょ^」のように頂上では、ちょっと踊った! 槍ヶ岳に人がいれば、見せびらかせるのに、誰もいなくて、残念。県警のヘリコプターが旋回して、観に来た、と私は思って手を振った。
●10:45 山荘を出発して、雪渓を一気に下山。最初は、一歩一歩踏みしめてジグザグに。そのうちふと、4歩前にV字に突くいつものストックの使い方に変える。すごい!3倍のスピード、1/3のエネルギー消費量。槍沢からは、夏道になる。それからが、長い。最終のバスで松本に出、最終の梓で帰る。あ〜、ハードでした。
●終わりに、涸沢小屋の奈美子シェフは料理がうまい、手作りケーキは特においしいので、燕山荘の向こうを張って、ケーキセットを出したら? と私は提案してきたので、皆さん、涸沢に行ったらぜひ、注文して下さい。



1.前穂北尾根4峰




2.前穂頂上より見た北尾根




3.南岳シシバナよりのキレット




4.小槍




5.槍沢から見た槍ヶ岳



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