国木田 之彦さんから「ストックの使い方」
………2006.7.31


■2006.7.31――国木田 之彦さんから「ストックの使い方」(ポイント進呈します)
◆ストックの使い方――06.7.31――国木田之彦
●丹沢山みやま山荘の石井さんが主宰する登山講習に参加したとき、ストックの使い方がうまいとほめられたのでこの一文をまとめてみました。
●もちろん伊藤コーチに教わったからこそストックの使い方をマスターできたのは申すまでもありません。
●「ストックは杖ではない」
●「ストックは2本つかう」
●ストックを使うとき、まず頭にいれておくべきことです。
●ストックは杖を改良したものととらえている人が大部分です。歩くための補助具だから一本でいいと考えがちだし、使いやすそうなT字型ステッキタイプを選んでしまいます。
●スキーのストック同様、山歩きに必要な道具であると思わないといけません。中高年から山歩きを始めた人にとっては必須の道具です。
●60歳代の人のバランス能力は20歳代の人の30%、脚力は50%といわれています。人並みに山歩きをしようと思ったら道具を使った方がいいのは明らかです。
●道具であるからには使い方をしらないといけません。教えてもらったり、自分で工夫したり。
◆1 手が長くなる
●杖のようにストックで体をささえるのはごく自然な使い方です。もっと積極的に体をささえる使い方をしなくてはいけません。大きな段差があると木や根っ子につかまります。手のとどく範囲しかつかめません。足元にストックを力強くつきたてる。はなれた岩に突き立てる。手長猿のように手が長くなります。体をささえる範囲がひろがるのです。
●LEKIのストックの先端は円筒状の金属で、すりへっても鋭さを保っています。岩のちょっとしたへこみにもくいこみます。やんわりあてていてはすべってしまいます。力強くあてる。もちろんゴムキャップははずさないと用をなしません。慣れると岩稜地帯でも不安なくストックを使えます。
●登りは短く下りには長く、ストックの長さをかえたほうがいいという人もいます。これは間違いです。いつも一定の長さでないと体の一部として使いこなせません。やんわり登山道に置くのではなく、力強く突き立てる。
●普通、この使い方に異議をとなえる人が多いようです。岩稜地帯でストックを持っていると、いざという時危険である。といいます。危険を回避、防止するためにつかいこなすのです。ストラップに手を通すなという説明もあります。これもイザという時素手のほうが危機に対処しやすいという考えでしょう。いざという時もストックを使わないといけません。
●ただクサリ場では一本にしたほうがいいようです。両手にストックをもっていると引っかかって扱いにくくなります。
◆2 推進力
●登る時からだを押し上げるのに使う。ストックを足の中ほどに置く。足より前に置いてはいけません。左足が前に出るとき右ストックで体を押し上げる。右足が出るとき左ストックに力をいれる。右手と左足、左手と右足、に力をいれリズミカルに登る。手で脚力を補うのです。両手で30%の推進力が得られるといわれています。
●スキーのようにストラップの下から手を通し、手首を預け軽く握る。そのまま引き上げ着地点を探るときだけ力を入れる。ストックを押すときストラップを引くようにする。平地でもつかえます。
◆3 四本足
●下りの使い方はコーチに教えてもらわなければマスターできなかったでしょう。自ら工夫することも難しいことです。
●下りでは両手のストックを同時に前に出し2歩下につく。(コーチの指導では3歩下。こんなに前傾するのは困難です。)最大傾斜線に向かい前傾し、ストックを2歩下について体を安定させる。1歩、2歩と下りさらに2歩下にストックをつく。登る時まっすぐ上の高いところに足を移す。けれども下る時まっすぐ下の低いところにはこわくて足をおろせない。横向き下りになってしまう。ストックで体を安定させているとスムーズに足がでる。
●下りではつま先から足をおろす。膝に負担をかけないためにも大事なことです。一歩一歩踏みしめるようにおりると膝がまっすぐになり、これも膝に負担をかけることになります。長時間続けていると痛みが出てきます。
◆4 ピッケル
●この使い方はいまだよくわかりません。
●あまり細い華奢なストックは向かないかと思います。

●ストックの使い方はレキのカタログにも詳しい説明はありません。何かあいまいで自信がなさそうです。フィトネスウォーキングにいいと強調しています。山登りの本をかいている先生方にもそういうことが反映しているのでしょう。
●大岳山の山頂で「ストックは山にやさしくありません。」と言われたことがある。
●たしかに登山道に関しては何がしかの影響はあるでしょう。安全のためにはいたしかたありません。
●登山靴だってそうです。人が利用するかぎり負荷はかかるものです。
●山自体、自然全体に関しては人間の営み、影響など微々たるものです。山は日々崩壊して形をかえています。自然のながれ移ろいを人間がどうすることもできません。治山砂防工事といえども一時的なきやすめにすぎません。気候変動に抗して砂漠を緑化してもその場しのぎの自己満足です。


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