2007.10.17_齊藤 紀久子――ワンポイントレポート「大快晴の至仏山」


■2007.10.17_齊藤 紀久子――ワンポイントレポート「大快晴の至仏山」

 久しぶりの尾瀬でした。平日の故か参加者は意外と少なく6名。
 1日目は、草紅葉の拡がる尾瀬ヶ原を竜宮小屋まで散策。地塘に映る青空の下では山椒魚が平泳ぎの競泳を愉しんでいるようでした。
 2日目、早朝5時に至仏山荘を出発。満点の星明かりが足元を照らしてくれてライトの必要もなく、やがて燧ケ岳の彼方からこの日の新しい太陽が顔を覗かせ、あっという間に尾瀬ヶ原を隅々まで照らし始めました。
 当然私たちは、歓声を上げながら「夜明けのコーヒー」ならぬ「夜明けの真新しい空気」を胸いっぱいに吸い込んだのでした。
 山頂からは、文句の付けようの無い360度の大展望! 上州武尊山の彼方にくっきりと富士山が浮かび、振り返れば越後駒ヶ岳のはるか西方に北アルプスらしい山並みも・・。
 たっぷり山座同定を愉しんだ後、小至仏を経て笠ヶ岳から湯野小屋までの延々と続く山旅が再び始まりました。
山肌の彩りは、これからがいざ本番か?の感はありましたが、真紅のドウダンツツジやミネカエデの黄色、透明感のあるコシアブラなど充分楽しめる色合いでした。
 12時間もの長道中も、やっとの事でそろそろ終盤に近づいたかなと思われる頃、先頭を歩いていた「コーチだけ」が 見た! のです。「コロコロとした丸くて黒いお尻」を。
 私たちも、登山道にハッキリとその足跡を確認しました。私は思わず「へぇ〜?! どうして登山道を歩くのかしら?」と叫んでいました。 「だって、楽だもん!」とは、コーチ・・・・・。
 葉留日野山荘の熱〜いお湯に浸り、長い長い山旅の終着をほっとしながら思い返してみました。このワタクシがもう少し早く歩ければ、12時間が11時間位には短縮出来たかもしれないと。
 コーチ、ご一緒して下さった皆さん、お許しください。そして有難うございました。
 1年でも長く山歩きを愉しみたい! もはやスピードアップは無理としても少しでも体を柔らかく、バランスを保つのに役立つかもしれないと思い「ヨガ」を始めました(続くかしら?)。

★コーチから
●お疲れさまでした。帰りのバスで「これ[e]ですよね」と齊藤さんがつぶやいていましたが、こちらは無視。限りなく「b」の「e」だったかもしれません。(でもかつて、朝日カルチャーセンター千葉の公開講座で同じルートをやったとき、徳山 由美子さんが参加して、雨の中、苦しくて長い下りを体験しているのを見ていますから、齊藤さんの場合はそこはそれ、ベテランですから、頭とからだのギャップがちょっとあった、ぐらいにしかコーチとしては認識していません)
●ともかく、あの天気では、「やるっきゃない」という気分でした。それで1週間ほど遅いという紅葉がもう少し進んでいれば、まさに千載一遇の「冥土のみやげ」ではなかったかと思うのですが残念です。
●齊藤さんは高度に弱いことから、白根三山〜塩見岳など大物の山でいつもつらい思いをしてきました。木曽駒ヶ岳〜空木岳でもそうでしたね。
●たぶん今回、そういう不運と重ねてつらかったのではないかと思うのですが、コーチとしての見方はちょっと違います。
●もともとからだを動かすこととは無縁だったという文化系の齊藤さんが、なんの弾みか渋谷の東急セミナーBEに参加されて、糸の会の名付け親になるのです。
●最初の大きな山は夏の北八ヶ岳だったと思いますが、その日のために新調した「LOWA」をはいたら、道はほとんど川になっていて、しかもそれまでの運動靴の歩き方(岩の頭を踏んでいれば安全快適)では不安定で進めない。パニックに襲われていました。
●そういうドジなシーンしか思い出されないのですが、ともかく山にはまって、健康になって、人生をやり直す部分も出てきたのです。
●そのひとつがスキーだったはずです。テレマークスキーにはまって、冬はあちこちの山に自分たちで出かけるようになっていきます。その結果でしょうか、ひとりで楽しめる山として、東北の山にもはまります。
●じつは、山歩きから始まった世界を大きく広げたことによって、糸の会での位置がぐらついてきた……と私は見ています。
●スキーも東北の山歩きも、気持ちの上では大きな手応えを感じるものだと思うのですが、肉体的にはどうだろうか、という問題です。海外の秘境ツアーなども同様なのですが、感情の高ぶりほどには肉体的に負担がかかっていないことが多いのです。
●山歩きも自分が自分をコントロールできる立場になると、不得手な領域では無理をせずに、大きな意味での安全を優先的に確保する傾向があります。
●糸の会の常連からはずれる時期があって、それが現在も元に戻っていないというふうにコーチとしては見ているわけです。
●今期はそれなりに日帰りに復帰という感じがしないでもないのですが、やはり「月イチ」の山歩きは維持した方がいいと思います。何かをするために、「月イチ」の山歩きを維持するという程度でいいのです。それも最初は「何でもいいですれど」などといいますが、何でも自分でやれるようになった齊藤さんの場合には、「糸の会」が必要かと思います。ときに楽々、ときにバテバテという計算不能な行き当たりバッタリに価値があります。
●最後のところで信用しきれないコーチの計画に身をゆだねる……という山歩きを毎月欠かさないで、自分のレベルを維持するという「賢さ」がいま求められているのではないかと(強く)思うのです。
●ともかく、ある程度のトシになったら、山歩きの間隔をあけるのはいちばんもったいない損失かと思います。


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