2008.3.15_稲葉 和平――ワンポイントレポート「3e新穂高スノーハイク」


■2008.3.15――稲葉 和平さんからワンポイントレポート「3e新穂高スノーハイク」
●糸の会 伊藤幸司 様
●稲葉です。
1)3月18日 556.3dの高松山に参加します(△⇒○)。
2)「山の道、山の花」を購入したいのでよろしくお願いします。

3) 「新穂高スノーハイク」のお礼
 新穂高スノーハイクの初日、少しばかり斜面が急勾配になっただけで足を前に進めることが出来なくなってしまい、皆さんにご迷惑をおかけしました。
 自分でも登りの歩き方がおかしいという自覚があり、なおかつ、1週間ほど前から脚に疲労というか違和感を憶えていたので、内心これはマズイ、自力で登れないのではないか、という不安が頭をかすめたほどでした。
 あの時点ではコーチからのアドバイスを受けても脳が脚・腰への命令に変換することができず、最後は腕力でがむしゃらにストックを使って体を引き上げ、何とか窮地を脱したのが実情です。
 安達太良山でも足和田山でも、懸命に歩いているにもかかわらずパーティーの歩行速度についていけないので、歩き方に欠陥があることは充分に意識していました。そのため、日頃から通勤の歩行時に、山歩きのような重心の移動を試みながら歩くようにしていました。
 しかし、結果的には、誤った考え方で無理に筋肉を動かすことで、それまで使わなかった部分に緊張感、つまり無用な筋肉の張りを生じさせていたようです。踵で着地に神経が行き過ぎて前傾姿勢が崩れ、後ろに残された上半身を強引に足で押し上げなければならない、無理な歩き方をしていたようです。足和田山で大腿筋(?)がつりそうになったのも、そのためだろうと思います。
 そしてスノーハイクの2日目、上高地への下りで途中の標識を見失い、今回随一ともいえる急斜面を登って前の標識まで戻らなければならなくなったとき、「昨日の登り方では戻れない」、と一瞬途方にくれました。
「ここは落ち着いて、考え方を変えてみよう」・・・。踵着地にこだわらず、足首を深く折り前傾を維持して踵に重心を乗せる、という意識でやってみよう。バランスを崩さないように・・・。
 神に祈りたくなるような気持ちでの一歩が軽く前に進み、身体がすうっと持ち上がったときは、思わず「やった」と声が出ていました。
 その後の下りは気分爽快、足取り軽く、快適にゲートにたどりつきました。あとは平らなところを歩くだけ。
 ところが、皆さんは気がつかなかったかもしれませんが、私にとってはそこからしばらくの間、どうにもこうにもわけが分からず、パニックに近い状態が続いたのです。
 一生懸命歩いているのにもかかわらず、追いつけない・・・。スノーシューを脱いで通常歩行に移っても事態は変わらず、10分ほどでギブアップ寸前まで足がバテてしまったのです。
 そこでふと気がついたのは、平地になって再び、頭が昨日までと同じ命令を出しているのではないか、ということでした。登りだけではなく、平地を歩く場合の足の運び方も、感覚を切り替えてみよう。踵の接地のことはひとまず意識からはずし、前傾を維持して重心を踵に乗せて移動するように。
 そこからは疲れも吹っ飛び、温泉まで快調に足を運ぶことができました。山の歩き方をマスターするまでには先が長いかもしれませんが、何歩か前進したことは確かだと思います。収穫「大」のスノーハイクでした。

 今回のスノーハイクは、山歩きには常に研ぎ澄まされた神経が要求されることを改めて思い起こさせてくれました。また、なかった方がよかったことかもしれませんが、標識を見失ったときの戻りの急斜面の登りでは、思いっきり全力を振り絞るような、日常では経験しない充実した感覚も味わうことができました。

好天に恵まれ、グレードは「e」、感激は「S」のスノーハイクでした。感謝です。


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