再度、保険について
………1997.3.28(糸の会お知らせ)


●保険について、年度会員になるのに通常の障害保険でいいかという問い合わせを何件かいただいています。例外はあると思いますが、この機会に三井海上火災のハイキング保険(軽登山、沢登り、夏の縦走、スキー登山用)の5,000円コース(一般勤労者向け。平日については夏休み、冬休み、夜行日帰り、泊まりがけまでカバー)か7,000円コース(平日の日帰りまですべてカバー)のどちらかに入っていただきたいと思います。電話で資料請求して、申込書を郵送し、2日以上の間をおいて指定の銀行口座に振り込むと契約が完了します。あとは事故が起きたときに連絡すればいいのです。
●このハイキング保険の7,000円コースは、平日の日帰り登山までカバーするので掛け金が高いわけですが、じつは保障内容がうんと低いのです。ですから別保険と理解して説明を読んで下さい。しかし遭難捜索費用はどちらも500万円ですから山岳保険機能としては同じと考えても差し支えないともいえます。
●問い合わせのための電話は番号が変わったりしていてスムーズにつながらないようですが、担当者は東京第三営業部のスポーツ保険担当・大川淳という人。03-3344-3614が最新の電話番号かと思います。去年設定されていたフリーダイヤルに変わる資料請求電話は03-3755-9718(山の保険受け付けセンターという名の留守番電話)になっています。東京営業第三部の代表電話は03-3344-3614ですから、これも有効のようです。いずれにしても「ハイキング保険について」といえば、最終的に大川淳という人のところにいくようです。申込用紙と資料を請求して下さい。あとは簡単だと思います。
●保険は糸の会でまとめて申し込むことももちろんできるのですが、あえて個人個人でかけるという方法をとっておきたいのです。本格的な登山(岩登りや冬山登山。ザイル、ハンマー、ピッケル・アイゼンなどを標準装備とする登山)まで活動範囲を広げたい人は同じ三井海上火災に山岳保険がありますし、以前から個人でかけられる山岳保険を扱ってきた千代田火災海上の山岳保険があります。こちらは千代田保険センターの天野博文さんが担当で電話は03-5453-4480ですから資料を請求してみてはいかがでしょうか。ともかく、自分にとってベストだと思える保険にかかっておくというのがだいじだと思います。山岳/ハイキング保険もこれからまだ変わるような予感がしますから、あまり固定的に考えたくもないのです。
●お読みになった方も多いかと思いますが、先日の朝日新聞(3/24朝刊)に「遭難救助に山岳110番」という記事がありました。東京都山岳連盟が近く「山岳110番」(仮称)を設置する方針を決めたというのです。5年前に「レスキュー協議会」を発足させ、講習会や訓練で救助リーダーの育成を図ってきた上に、山岳共済など財政面を整えてきたもので、最終的に「レスキューセンター」を設立、JAF(日本自動車連盟)に近い、総合的な山岳救助の態勢を整えようとするもの――だそうです。これは中高年登山者が冬山登山の領域にまで広がってきていることから「中高年登山全盛期のいま、全国的な救助態勢は時代の要請でもある。110番は一般の人にも開放せざるを得ないだろう」という決断のようです。
●ちなみに問い合わせは都岳連事務局03-5275-3799ですからいざというときには相談するとして、レスキュー隊が出動すると、日当、交通費、食事、機材と、かなりまとまった費用がかかります。ヘリを飛ばすという華やか(?)な救助の場合でも、その前に、何人かの人が動くわけです。
●三井海上火災の資料にある支払い例では、高校山岳部の引率教員として雪の磐梯山に登って滑落、行方不明となって翌日に発見・救出されたケースの支払い例がのっています。4月2日の夜9時に警察に対して捜索依頼があって、翌朝8時に救助されていますから、すぐに発見されたわけですが、骨盤骨折の重傷ですから救助隊が迅速な行動を展開しなければ死亡していた可能性も大きかったのです。
●かかった費用は捜索救助隊員20人に日当各23,000円、1食1,000円の食費を2食×20人、1,000円の無線機レンタルを12台、10,000円の携帯電話レンタルを1台、隊員の車借り上げ1台5,000円×12台、高速道路料金16,000円、宿泊15,000円×2人――以上で628,000円になります。軽い事故がおきて、警察に通知して、地元山岳会で捜索隊が編成されると、たちまちこういうお金がかかるのです。
●新聞記事にあった山岳遭難の110番は、こういう捜索隊を迅速に編成できるという時代の到来を宣言するものなのです。一刻も早く!というお願いのあとには、こういう金額(磐梯山の例はたった12時間の活動)が請求されてくるのです。いままでは捜索に手間取った低山までにもそういうレスキュー態勢が整ってくるわけですが、ドライバーがJAFに加入するように、登山者はしかるべき準備を整えておくべきです。日本山岳連盟の傘下に入るというのがたぶんいちばん簡単な解決策なのでしょうが、時代はやはり「個人」を中心に動いています。ですから私たちはいざというときのために、まずは最低限の「保険」という武装をしておきたいのです。いざというときに、一刻も早い捜索活動を(当人の承諾を得ることなしに)依頼できるのがベストですから。
●上記の支払いに加えて本人の入院・通院費用(入院23日、通院19日で合計約11万円)が支払われて保険処理は終わったようです。この部分が安いのは残念ですから通常の障害保険で処理したくなるのですが、むしろここで注目しておきたいのはこのケースが雪山ながら5,000円のハイキング保険で処理されているということです。ハイキング保険は夏の小屋泊り縦走(当然日本アルプスも含む)から森林帯での雪山登山、一般的な沢登りまでカバーされるので糸の会の行動はすべてハイキング保険の範囲内と考えることができます。今年の「b」にはこれまでの旅行保険の適応範囲外のものも多くなっていることと、やはりいざというときのための遭難保険が欲しいということで、年度会員にはハイキング保険(あるいは山岳保険)への加入を義務づけることにしたのです。これはたぶん、みなさんの周囲の、組織に加入していない山歩き大好き人間にもすすめられるカタチではないかと考えるのです。<

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