毎日カメラ読本(2000-2001カメラこだわり読本)
カタログ探検紀行【4】
2000.8.10……カラーポジの整理システム(初稿原稿)



 最近の写真ブームは、本物らしい。それも35ミリや645の高級一眼レフカメラで、カラーリバーサルフィルムで撮影するという方向に大きく展開しているという。プロラボの窓口がハイアマチュアに占拠されている(プロの多くはデリバリーサービスを利用しているし、窓口に来てもあまり時間をかけないので、占拠状態にはなりにくい)のも、そういう潮流の現れのようである。
 一方でデジタルカメラの急激な普及があるのに、いまあえて銀塩フィルムというのには……、もちろん理由がある。それは銀塩フィルムの性能が素晴らしく進化して、おどろくほど豊かな情景をとらえてくれるからである。発展途上のデジタルカメラと比べたら、撮影現場でのパフォーマンスはまだ圧倒的である。
 そこにはコンピューター設計によるレンズの革命的品質向上というバックグラウンドも大きく貢献しているけれど、なによりもまず、銀塩フィルムがその絶頂期を迎えているというふうに考えられる。
 最近まで、アマチュアにとっての写真はカラーネガからのカラープリントで、プロにとってのカラーリバーサルは印刷用トランスペアレンシー(透過原稿)というふたつの流れに分かれていたのが、ここにきてハイアマチュアのお勉強、あるいは楽しみ方としてのカラースライドが急激に浮上してきた。
 ここではカラーリバーサルフィルムによる写真を「カラーポジ」と略称して、現像以降のハンドリングについて用品と技術を考えてみたいと思った。
 というのは後からのこじつけで、じつは……今年の「写真用品ショー」を見逃してしまったのだ。当然のことながら「カメラショー」も見ていない。
 したがってこの、「全国のカメラ店で購入できる『写真・映像用品ショーカタログ』をベースにして」という基本方針にいくぶんかの変更を加えざるを得なくなったのだった。
 ちなみに、これまでの3回のテーマは以下のとおり。
(1)カメラバッグ――「カメラ買い物情報・98年夏・秋」
(2)雲台――「1999〜2000・カメラこだわり読本」
(3)写真用額縁――「2000カメラ買い物情報」
 あわてて、IPPF(国際プロフェッショナル・フォト・フェア)に出かけたら、カラーポジの整理と保存というテーマが見えてきた。今回は成りゆきで、芋蔓式に取材を展開していったところ、当初、整理・保存用品だけのつもりだったのに、ライトボックスとルーペが加わってきた。行き当たりバッタリの取材の結果報告という感じになりそうだ。

■省スペースと長期保存――コスモス インターナショナル
03・3494・8621

●スライドファイリングの考え方

 フォトライブラリーの営業マンから起業したという社長の新山洋一さんによると、コスモスのスライドファイリング用品は、およそ20年前にその骨格を整えている。
「仕事がら、ポジを簡単にファイルできて、データが書けて、コンパクトに収納できるマウントを作れないかと考えたのです」
 最初に1〜2年の試行錯誤があったというが、プロマウントというロングセラー商品が生まれた。
 これは外寸を整えた厚紙製のカードに各種フィルムサイズの窓を開けたもの。外見はフォトライブラリー各社が工夫している記入欄つきマウントと大同小異なのだが、表裏2枚の厚紙ではさみ込むところを表面の紙だけにして、裏側に挿入口を備えた透明ポケットを設けている。切ったフィルムをそこに入れるだけですまそうというのだ。受注生産品として表面を黒にしたものもあるが、それも裏面にはデータ記入欄を確保している。
 35ミリから6×9までのカード外寸を85×178ミリに統一してあるので、(長辺の寸法から)B6のカードファイリングシステムと統合できることがわかる。そのあたりが、大学の研修室など資料整理のプロに受け入れられやすい設計になっている。
 ポリプロピレン製のフィルム挿入ポケットは出し入れ自由を保証すると同時に、完全密封することも可能にしている。だから対外貸出しを前提にした場合にも、内部使用を前提にした場合にも対応できるというわけだ。最近ではコンテストの応募用としてとくにこれを指定されることもあるという。「特定多数」の関係で使用されるプレゼンテーション用カードという使われ方である。
 しかし、もっとコンパクトにならないかという要望に応えたのがQパック。これはデータカード付きポジ袋と解説されているが、ひとこま切りのポジを入れる透明な袋(トレファンとかPP袋と呼ばれる)にデータカードポケットをもうけ、ワンタッチで封印できるノリつきのふたがつけられている。
 外見上はとりたてて変わったものではないが、挿入されている乳白厚板がポジを守るとともに、カード的なハンドリングを可能にしている。さらにQパック専用ファイルというのもあって、35ミリなら18カット収納のシートをバインダーで綴じたり、ハンガーでキャビネットに収納したりできる。
 ここでもやはり、データファイリングという観点が強く感じられるのである。「デジタル化の元データとして整理したいという要望にお応えできます」と新山さんはいうが、まさにそういう、しまい込み型ファイリングに向いている。オリジナル画像と、必要最低条件のデータがセットになって保存される。
 そして第3弾のボードマウント。これはひとこま切りのポジを透明のPP袋に入れただけで、それを透明ボードのポケットに収納する。
 ポリプロピレン製の透明ボードには35ミリ用で24カット(あるいは20カット)収納のポケットがもうけられているので、視覚的にはポジが裸の状態で並んでいく。一般的なスライド整理の方法を極限までスリムにしたといえる。
「マウントしない整理法としてはコスモスが最初だと思います。30センチの奥行きがあれば35ミリで1万6000カット、4段キャビネット1本で8万カット整理できます」
 このボードマウントももうすぐ20年になるというからずいぶん息の長い製品ということになるが、それにしてはあまり知られていないのではないか。企業の広報部や資料室、あるいは博物館などを主要な顧客とする写真整理のコンサルタント業務を中心にビジネス展開してきたから、知る人ぞ知るという存在であったようなのだ。

●キーワードはアーカイバル

 そのコスモスが一般の目に触れるようになったのは、米国のプリントファイル社のアーカイバル・プリザーバー(長期保存)シリーズの製品を輸入販売するようになってからのようだ。
 保存ということを考えていくうちに、新山さんの前に素材の問題が浮上してきた。一般的な軟質塩ビ(塩化ビニール)からは長年にわたって塩素系のガスが出てくるので写真の退色に大きな影響を与えるということがわかってきたのだ。
 塩ビに代えてポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを使いたいのだが、切り替えはかならずしも簡単ではなかった。
 そこで、外国の製品を見渡すと、米国最大のネガ・ポジ・プリント整理用品メーカーのプリントファイル社が、ISO10214規格を満たした長期保存性の高いものを普及価格で作っていた。
 カタログに明示してあるが、含有塩素、含有硫黄、過酸化物がいずれも「無検出」となっている。
「プリントファイル社の考え方では、フィルムに直接触れるものはやわらかな素材で切断面が触れても傷をつける危険のないものにしたい。そこでポリエチレンを使用しています。
 それに対してプリント(紙焼き)には、むしろ丈夫なポリプロピレンを選んでいます。
 ポリエチレンは、一見するとポリプロピレンより濁って見えるのですが、密着すると透明度がじつにいい。袋に入れたままコンタクトプリントがとれるんです」
 3つめの素材、ポリエステルはいわゆるPETボトルの素材で、透明度が高くて薬品にも熱にも強いが、加工が難しいうえにかなり硬いという。日本ではまだ一部で使われているだけなので、欧米の製品を見つけては輸入しているとのこと。
 ところで一般的なPP袋などを使っていると白い濁りが出てくることがあるが、あれはいったい何なのだろうか?
「真犯人かどうか分からないのですが、帯電防止や接着性を高めるための添加物が原因ではないかと思っています。プリント・ファイル社ではニュートラル・マテリアルといっているのですが、混ざりもののない素材を追求しています。コスモスの自社製品もそうしたいところではあるんですが、使用ロットが小さいので、そのあたり、理想のかたちで製造するというまではいきません」
 長期保存に対する新山さんの姿勢は、欧米の優れた製品を輸入することにつながってきた。英・米・独の博物館用の保存箱など倉庫に並んでいるものに思わず目をひかれるが、マイクロチャンバーと呼ばれる画期的な汚染ガス吸収用紙も扱っている。
 額装用の美術品保護ボードに関しては米国の代表的額装メーカーであるニールセン・ベンブリッジ社が独占使用権を持っているのでそれを販売しているが、長期保存箱の内部に貼り付けたりする用途では開発元の米国ベンブリッジ社と直接取引して、二酸化硫黄、二酸化窒素、オゾン、アンモニアなどさまざまな汚染ガスや、作品自体から発生する酢酸や蟻酸などを吸収固定する性能を実現しているという。
 新山さんの仕事はこのところ「保存」という方向に大きくシフトしつつあるようだ。

■最初から本気のシステムだった――フジカラー販売
03・3477・2111
http://www.fujicolor.co.jp

●あの「スライドファイル」

 乳白色……といってはいけないのだろう。「マットタイプ」の硬質塩ビの型抜きシートに、マウントに入ったカラースライドをはめていくあのシステムは、カメラマンを自称する人なら、かならず一度は使っている……はず。
 発売からすでに30年以上経っているという。ちょうどそのころ、私は大学の写真部に所属していたから、もちろん何箱かのスライドファイルを購入した。
 裸のスライドが、不安な状態ながら、けっこう安全にファイルされる。なかなかよくできているのだが、いざ本格的に収納しようとすると、予想以上にかさばって、本箱がどんどん占拠されてくる。つねにいくぶん緊張を強いられるシステムというのが正直な感想だった。
 一体どういうコンセプトで作られたのか?
 商品部開発グループ課長の村井保さんによると、このシステムは最初から写真を見るためのプロジェクターと収納するための大きな床置きキャビネットを含めて開発されたという。
「当時はカラーリバーサルの需要そのものが少なかったですから、マーケットがほとんどなかったようです」
 フィルムをマウントに入れてスライドと呼ぶとすれば、カラースライドは本来、スライドプロジェクターにかけて拡大投影することを第一義に考えた状態である。フジカラーの「スライドファイル」システムは、そういうスライド使用に忠実であろうとしたと考えられる。
 このスライドファイルシステム専用のプロジェクターとしては35ミリ専用のスライドファイルプロジェクターE-2(11万8000円)と6×6判(35ミリも可能)用のスライドファイルプロジェクター6×6(24万7000円)がある。
 簡単にいうと、スライドを並べたファイリングシートをそのまま置く台があって、その上にXY座標で動くレンズがある。レンズを投影したいコマのところに移動すると、その絵柄が前方壁面に投影される。
 当然、ファイリングシートがマットタイプだと透過性が悪いので、このプロジェクターにはPET素材の透明タイプを使用する。
 一コマごとのスライドを取り出して投影する一般的なスライドプロジェクターももちろん用意されていて、グッドデザイン賞を受賞しているサイレント2500(6万8500円)とサイレント2500セレクト(13万2800円)はドイツ・キンダーマン社の製品。セレクトを2台使うとひとつの投影画面で絵柄をフェードイン、フェードアウトで切り替えることのできるディゾルブ映写が簡単に実現できるという。
 個人ユーザーが買うにはかなり高価に思えるが、それはスライドファイル専用キャビネットについてもいえる。
 一番大きなサイズの専用キャビネットは幅90センチのスライドファイルキャビネットA-7200(33万円)だが、名称の数字は、35ミリシートなら7200コマ収納できるということをあらわしている。
 7200コマは36枚撮りフィルムでいえば200本分だから、プロの仕事でいえばほんのひと仕事という分量にすぎない。
 引き出し式の一般的なファイリングキャビネットで一番小さいのはP-3600(15万3000円)だが、電気式除湿機能のついたP-3600DRY(23万6000円)もある。
 個人で買う場合を考えれば、おなじみのグリーンのボックスタイプがある。スライドファイル35ミリ200景(2400円)がファイリングシート10枚入り。密閉構造のスライドファイル防湿箱INDEX(3000円)という高級バージョンもある。コンパクトということでは、半透明のスリムなケースに200コマ入れるスライドファイルケース35ミリ(2900円)というのもある。
 あるいは白い箱の「プロ用」として、シート15枚入りのプロ用35ミリ300N(3800円)も登場した。このプロ用シリーズにはバインダータイプもあって、スライドファイル35ミリフレックスバインダー200景(3200円)やスライドファイルバインダー100景(1500円)もある。システムはいよいよ広大なものになっている。
 振り返ってみると、このシステムが生まれたころには、保存性で信頼できるカラーポジはコダクロームだけだった。フジのリバーサルフィルムをアフリカに持っていったら、現像するまでにそうとうひどい状態になっていた記憶がある。
 それと当時は、家庭はもちろん、事務所の空調環境が悪かった。だからひと夏経過した後でポジがどうなってしまうか心配というのが正直なところだった。
 そういう時代から、いわば裸にちかい状態でカラーポジをファイルしようというシステムが生き残ってきたというのは、あるいは奇跡的なことかもしれない。
 それがいまでは、「沖縄ぐらいではないでしょうか。カビが生える心配をしなくてはいけないのは」と村井さんがいうように、抜群の安定性を感じさせるようになっている。グリーンのボックスに5グラムのカビ防止剤を入れておくだけでいいようだし、最大サイズのキャビネットA-7200にはカビ防止剤が18袋同封されている。キャビネットそのものが防塵・防湿設計になっている。
 つまり、収容空間を一定の環境に保てれば、内部のカラーポジは空気に触れる状態になっているほうがむしろ安全というふうにもいえる。フジカラーのスライドファイルシステムは、そういう大きな保存環境づくりまで考えていたということになる。
 でもやっぱり、カメラマンが本気で撮る分量のファイリングには空間の余裕がありすぎるのではなかろうか?
「じつは、大学病院など、医療機関に大量に導入されているのです」
 さもありなん。1点1点が情報として重要で、緊急に検索をしたいというときに、このような大きなシステムが生きてくるのだろう。カメラマンはどちらかというと系統的な整理保存をしたいので、ファイリングシステムをそれほど大きく展開しないでもやりようがある。小分けにファイルできるボックスタイプを必要に応じて増やしていくという程度で十分なことが多い。

●「コンパクト」への新展開

 それでもやはり、かさばるという不満に対して、なんとかしようという努力の結果がつけ加えられている。スライドマウントを1列に120枚立てて入れられるプラスチック製のミニキャビネット――というより棒状の引き出しがそれで、箱自体が上下左右にいくつでもつながっていくというもの。
 このスライドボックス35(1800円)を4本横に並べた(480枚収容)ときにボックス型の200コマ収納のものとほぼ同じスペースだから、収容力は2倍以上になる。
 しかしもっと根元的な解決策として、カラーポジをマウントに入れずにスリーブ状のまま保存するリバーサルファイリングシステムというのが登場している。スリーブ仕上げにした現像上がりのポジフィルムを入れ替えるだけでいい。
 2年前の発売だそうだが、一般に目にするポジ収納シートとはちょっと違って黒枠がついている。たとえば35ミリの6コマ切りなら、黒枠というよりむしろ、黒地に透明の細長い窓が7本開いている。
 あるいはマウントに入れたポジを保存できるものも各サイズそろっていて、これは格子状の黒枠になっている。
 しばらく使ってみないとこういうものの本当のよさはわからないのだが、たとえばコスモスのプロマウントはあえて窓を大きく切って35ミリならパーフォレーション部までが見えるようにしている。フィルムが持っている情報を全部見えるようにすると、窓には余裕がなければいけないという(異端的な)考え方による。
 それに対して画面部だけを残してその他を隠そうというのは、もちろん正統的な考え方に入る。が、やりすぎると不自由になってしまう。
 グッドデザイン受賞商品ということだが、「ちょっとアマチュアっぽいですかね」といったら、村井さんは毅然としてこういった。
「入れて見てみれば一目瞭然。ほんとうに見やすいです。黒枠がグレーっぽくならないようにするのが難しかったですけれど、ひと手間加えていいものになりました」
 フジカラーのシステム商品はプロっぽくないところを、ゆっくりとていねいに作り込んでいくのが特徴になっているから、これもまたゆっくりと広がって、いつか当たり前に思えてくるかもしれない。このファイリングシートは従来、他社にあってフジカラーになかったものということになる。
 さて、ついでにマウントだが、フジカラーの35ミリ用マウントにはプラスチック(25枚入り250円)と紙(25枚入り150円)がある。その違いをどう考えているのだろうか?
「紙の方がいいということはあまりありません」
 あるのはひとつ、紙の方が値段が安いということだが、スライドプロジェクターにかけるマウントのサイズはISOで決められているのでその他の利点はあまりない。
 しかしフジカラー側にはあるようだ。プラスチックマウントは自動化に対応している。表裏一体形成されたマウントを中央のヒンジ部で二つ折りにして強く重ねると、パチン、パチンと気持ちよく固定される。その精度が、自動化に必要らしい。
「プラスチックマウントのあの技術は相当難しいものでした」
 村井さんによると、マウントは1枚ずつ型のなかに原料を射出することで作られる。そのときに、原料は表裏どちらかの1カ所から入れられて、中央の薄いヒンジ部となる空間をくぐり抜けて反対側まで広がっていくのだそうだ。
 高い精度を求めながら薄さも必要ということで、最初はかなりの不良品を出したという。薄く、軽くつくろうというその方針では、6×6判がまだどうしても作れないという。
 前回、写真用額縁の取材のとき、村井さんは写真用額縁サイズの業界標準を作り上げた当事者であったということを知ったが、そういう志の高さをていねいなモノづくりが支えているという印象は今回も変わらなかった。
 その村井さんが、今回のテーマにはライトボックスとルーペを加えるべきだと強く主張した。追加取材分は後でレポートしたい。

■プロが使える周辺機器――堀内カラー
06・944・0180
http://www.horiuchi-color.co.jp

●最初がライトボックスだった

 1976年にコダック社はカラーリバーサルフィルムの現像処方としてE-6システムを発表したが、このE-6現像はいわば世界標準でありフジやコニカのカラーリバーサルフィルムもこれに対応することになる。
 大阪にあった堀内カラー現像所は、このE-6処理を機に全国の自動現像システムのバラツキをコンピューターで厳密に管理する試みを進めていった。
「およそ20年前、必要に迫られて作ったのがイルミックスというビュアーなんです」
 東京神田にある本部事務所で営業開発部次長の藤田明久さんはそういった。
「カメラマンの皆さんはCCフィルター濃度でいうと0・25とか0・5という違いでクレームを出してこられるのですが、当時全国の営業所、現像所におよそ400台あったビュアーの色管理そのものがまったくなされていなかったのです」
 当時、もっとも信頼できるライトボックスは米国製のマクベスで、8万円ぐらいする高価なものであったという。そこで「マクベスをまねて作ろう」ということになったのだそうだ。
 できあがった製品はHCLイルミックスI(3万6000円)として現在もそのまま販売されているが、外観はマクベスのソックリさん。
 ところが中身がまったく違った。東芝が演色性を整えた蛍光ランプを開発しようとしていた時期でもあって共同開発が成立したのだ。千葉大工学部の協力も得て、色彩色度計などで厳密に演色性を計ったところ、マクベスの色は日本印刷学会の規格から相当青にずれていたのだった。
 ターゲットを、世界でもっとも厳密な規格となっている日本印刷学会規格に完全対応するものというところに定めたのだった。
「東芝さんはタマづくりにあたって30回以上テストしたんじゃないでしょうか」
 結局、3年かかって、本物以上のソックリさんが完成。日本の写真、印刷、デザイン関係の現場のどこにでもある「色評価専用イルミネーター」として超ロングセラー商品となったのだった。
 これがいわゆるライトボックスと異なる雰囲気を持っているのは、反射原稿の色味もできる照明用光源という側面も多く備えているからだろう。その後作られたイルミックスシリーズは水平に置いてカラーポジをのせて見るというライトボックス機能に特化している。これらは「色評価用」ではなく、それに準じた「プロ用」とされている。
 なかでも「携帯タイプ」として作られたA4薄型のイルミックスIII型(3万9000円が秀逸だ。いま流行の薄型ライトボックスそのままだから最初は気づかなかったが、すでに10年の、これもロングセラー商品であるという。
「三菱電機オスラムという会社の蛍光管で、これも日本印刷学会の規格をほぼ満たしています。三菱レーヨンさんが最初に作ったものなんです」
 これは100V電源でそのまま使用できる。類似の薄型ライトボックスで外部トランスを使わずに使えるのはこれと、フジカラーの1機種だけだそうだが、コストをかけた本格派ということができる。
 藤田さんはこのタイプの各社商品を市場で15機種ほど数えているそうだが、競合商品はフジカラーのカラーイルミネータープロB4(3万9800円)、価格ではハクバのライトビュアー7000PRO(A4サイズ・2万5000円)になるという。

●プロ仕様のスライドファイル

 1987年に堀内カラー現像所は堀内カラーになってVI(ビジュアル・アイデンティティ)を実施したという。企業カラーを黄色に決めて、その黄色を商品のすべての素材で統一した。
「紙が変わると色が微妙に変化しますから、パッケージの印刷は印刷所を決めて、大量に刷って保管するという方法をとっています」
 プロラボならではのこだわりといえそうだが、この黄色がいちばん効果的に主張しているのがプロカメラマンの事務所に並ぶその黄色い箱やバインダーということになる。
「まずはプロユースのバインダーとファイルを作ろうということになったのです」
 マウントに入った35ミリやブロニーの645&6×6、6×7&6×9、加えて4×5、5×7、8×10までそろえた。
 現在では乳白色タイプのほかに透明タイプもそろっているが、こちらの35ミリ用はポケットが左右向かい合わせになっている。重いガラス入りマウントを入れても落ちない安全設計になっているという。
 落ちないというのが、じつは堀内カラーのカラースライド用ファイルの基本姿勢であるという。
「35ミリのマウント入りポジを振っても落ちないように、15種類ぐらい試作しました」
 と藤田さん。サイズのバリエーションから表裏収納のタイプまで、考えられるものを全部検討した結果が現在のバリエーションであるという。
 バインダーもマウント用ファイルを14枚(スリーブ用ファイルなら40枚)収納できる厚型(1800円)や、それとほぼ同等の収容力をもつ箱型(1750円)が用意されている。
 ちなみに厚型バインダーの厚みが65ミリなのに箱型は53ミリしかない。不揃いなのである。
「じつは、箱の厚さも同じにしたかったのですが、事情があってNHKさんの仕様でこうなってしまったのです」
 そのNHK仕様についてはNHK出版に取材したので後述する。
 現在の課題は環境問題であるという。扱いやすいカタさというところで理想を追求した結果が塩ビ製品だった。焼却するとダイオキシンが発生するので早急に材質を替えたいのだが、使い勝手でかなり後退する。なかなかむずかしいところだという。
 スライドマウントに関しても、堀内カラーの考え方はフジカラーとは、またちがう。
 まず第一に、主力が紙製の「ペパマウント」であるという点。35ミリ用は40枚入りが240円で、真空パックになっている。
「紙というより、プラスチックに見えるでしょう」
 たしかに硬質感があってただ者でない感じがする。
「真空パックにしたので2年以上経ってもノリの効きが落ちません」
 紙は無酸性紙で、アルバム用紙として最上級の紙を特注しているという。こだわりの自社開発製品で、社名入りと無印とを用意している。
 プラスチックマウントはドイツのリファ社からの輸入だが、品質的にはかなり高いという。透明陽画として見るときにはマウントがグレーで、スライドプロジェクターにかけるときには熱源でもあるランプ側が白になるという表裏2色。ヒンジ式は小さなピンで止まっているあたり、精度が高い。
 ニュートンリングの出にくいガラス入りが35ミリ、6×6、6×7とあって、ガラスなしが35ミリ用にはある。さらに2枚が固定されていないツーピース型があって、これは100枚入りが1000円と格安だが、精度が高いので繰り返し使用が可能になっている。

●そしてルーペ

 ルーペに関して、カタログ上で見て、どうしても確かめたかったことがあった。
 9800円の4倍ルーペが、私のものとあまりにもソックリさんだったからである。むかし銀一にローデンシュトックのルーペを買いに行ったら、となりに某カメラメーカーの名前の入ったルーペがあった。見比べてみると大きな差がない。値段が4分の1ほどだったので、買ったのだった。
「そうです。○○さんが販促用に作ったものを引き継いで売らせてもらっています」
 35ミリの画面を「100%カバーする」という8倍ルーペも同じ流れの商品だそうだ。
 しかしルーペは、ライトボックスやスライドファイル関係用品とはすこしスタンスが違う商品という感じがする。
 堀内カラーの商品開発はプロに対するフィルム現像のデリバリーに付加価値を持たせるというコンセプトから生まれている。
「プロの皆さんにお使いいただける品質のものを最初は輸入品で探したのですが、当初は為替レートの関係もあって非常に高かった。うちで作ってみようというところからはじめたら、量販店の実売価格を割って売れるものができたんです」
 あくまでも補助的商品群という位置づけを「プロ用」に特化したことで、超ロングセラー商品を生み出すことになったのだった。
 ルーペは、品質はいいのに商品化しにくい経緯があったのを引き受けたのだが、やはり品質がそれを支えた。
「3年ほど前からカメラのキタムラさんの350店舗に黄色のHCL(堀内カラー)コーナーを置かせてもらっていますが、当初売れる値段ではないと思われた4倍ルーペが売れるようになりました」
 ニコン、キヤノン、フジと相次いで1万4000円クラスの4倍ルーペが登場して、このHCLルーペに割安感が生じてきた――というよりも、ハイアマチュアがカラーリバーサルを使い初めて、きちんと見えるルーペを求めはじめたからである。現今の写真ブームによって質のいいライトボックスとルーペが必需品となってきたとき、プロ用のHCL商品が新しい販路を持ちはじめたということのようだ。ブランドのイメージアップ商品としてのなかなかみごとな成功といえそうだ。

■他社にないものでいいものを――ケンコー
03・5982・1060
http://www.kenko-tokina.co.jp

●ドイツから、アメリカから

 ドイツには写真整理用品の大手メーカーが3〜4社あるそうだが、フォトキナで大きなスペースを展開するアーキブテクニック・クンゼ社のジャーナル・カセットのシリーズをケンコーは輸入販売している。
 これは透明アクリルのふた付きのカセットで、35ミリ用なら24コマのスライドを並べられる。スライドは透明ボックスのなかにあるので外的な危険から護られている上に、そのままライトボックスに置くことができる。ふたを取ればスライドは並べて置いてあるだけなので、入れ替えも簡単。
 手近にあるCD-ROMのプラスチックケースと比べてみたら、厚さ約10ミリは同じで、面積が3倍ほど。
 そういうジャーナル・カセットに35ミリ、6×6&645、6×7のカラースライドを整理・保存していこうというのだが、カタログを見てみるとスライドキャビネットというのが、またすごい。
 ジャーナル・カセット専用の棚を備えた木調のキャビネットに、ライトボックスまで内蔵されている。厳選された写真を1万枚前後のボリュームでハンドリングするときには理想的な写真専用キャビネットになっている。
 ともかく、大事な作品を安全に護ってくれる透明カセットという視点から見ると、カセットそのものがキャリングケースであり、絵柄を直接検索可能なファイリングシートになっている。
「カラースライド関係の需要が伸びていて、まだ伸びます。関連商品をそろえなきゃいけないので、他社でやっていないものでいいものを探して、値段が合えば導入しています」
 営業企画宣伝課長の堀江勉さんによると、米国ではケンコーの現地法人に探させて、フォテック社のブラック・マットとセンチュリー・アーカイバル・プロダクツ社の無酸化ケースを導入した。
 ブラックマットは黒色のポジ用マウントだが、厳密な意味でのスライド用ではない。むしろライトボックス上でカラーポジをプレゼンテーションするための黒枠という考え方で、フィルムの各サイズに対応するだけでなく、複数枚のポジを並べる格子状の枠もある。
 4×5インチのブラックボード上に35ミリ、645、6×6、6×7、6×9などの窓を開けたスタンダードなフォールドマットシリーズが5枚入りで1500円だから単価は高い。しかしリ・タックという特殊な粘着剤で何度でも接着できるので、保存用というよりは繰り返し使用のプレゼンテーション用として秀逸なもののようだ。
 また簡便なところでは、35ミリのカラーマウントに貼り付けてブラックマットに変身させてしまうブラックマスク(50枚入り1500円)というのもある。
 無酸化ケースのセンチュリーシリーズは厚さを1インチ(25ミリ)と2インチ(50ミリ)の系列にまとめているサイズバリエーションの豊富な箱で、4×5、5×7、8×10インチから、大きいものでは20×24インチ(500×600ミリ)までをチョイスできる。
 絵画などを長期保存するための機能一辺倒の紙箱なのだが、外が黒、内が白というコントラストが、意外に洗練されている。
 内側にバインダーを内蔵しているものもあって、身の回りにこういう「アーカイバルな雰囲気」を漂わせていくのもいい――という気にさせる。

●ルーペは他社より早すぎた?

 ケンコーには非球面レンズを使った4倍ルーペ・プロフェッショナル(1万9800円)がある。じつはこれ、ルーペの王者といわれるシュナイダーの4倍ルーペ(2万6000円)をターゲットにしたという。
 ケンコーに光学ガラスを供給しているHOYAの製品で、日本と米国での販売をケンコー・ブランドでおこなっているという。
 非球面モールドレンズは精密な型に適温の光学ガラスを流し込んで成型する新しい技術である。このルーペはおよを10年前に、そういう新技術によって登場した。
 それを軸にして、プレシジョンルーペが3倍(2万4000円)と6倍(1万6800円)、エクセルーペが5倍(1万6800円)と8倍(1万9800円)と、写真用高級ルーペをそろえてきた。
「この2年、カメラメーカーさんのいいルーペが登場してきたので割高感が出てきました。いま新しいルーペを開発しています」
 じつはカタログ上で気になる表記があった。
 プレシジョンルーペでは「6倍は35ミリ判フルサイズが全視野に入る設計」、エクセルーペの方は8倍が「35ミリ判フィルムのフルサイズが全視野に入り、8倍という高倍率ながらこの広い視野は他に類のない性能です」と書かれている。
 突然ながら双眼鏡を例にひくと、バードウォッチャーは最終的に高倍率を求める。鳥の、小さな識別ポイントを見たいからだ。だからバードウォッチャーにとって鮮明であってほしいのは中心部で、周辺部はいわば検索視野に過ぎない。
 ところが天体観測用の双眼鏡では、視野全面の均一な解像度が重要になる。見ているものは倍率を大きくしても「点」でしかない恒星だから、倍率を大きくするのは見える星の数を多くするため。その機能を支えるのは対物レンズの大きさによる集光力になる。倍率より集光力、中心部のシャープさより、周辺部までの均一性が求められる。
 同じ双眼鏡の商品列のなかでも、バードウォッチング用と天体観測用では選択ポイントが違うのだが、私はさらに、風景観賞用としての双眼鏡として優れた低倍率で接近能力の高いものを積極的に紹介したりしている。
 ルーペもそれに似ていて、高倍率のものほど中心部の鮮明度が求められる。そして低倍率のものは、視野全体の情報量の多さが重要になってくる。一般に、写真を見るには2個のルーペが必要というのは、そういう機能分担を求めてのことなのだ。ケンコーのカタログ表記が、写真用ルーペの機能を倍率と視野という二面から明記しようとしているのはきわめて「写真的」といっていい。
 ちなみに堀内カラーの4倍ルーペは、カタログ上で「有効直径44ミリ」となっている。35ミリフォーマットは対角線が43ミリだから、それが35ミリフルサイズ用ルーペの視野の最低値ということになる。
 先ほど挙げたケンコーのものは4倍は最大径50ミリとなっている。その他は「大きさ」(たぶん外寸直径)が6倍で55ミリ、8倍で56ミリ。いずれも35ミリがフルサイズで見られるということがわかる。
 そういう視野範囲表記を「写真・映像用品ショーカタログ」で探していくと以下のようになっている。
●ハンザ……4倍=φ55ミリ、6倍=φ55ミリ
●キャビン……4倍=φ51ミリ、8倍=φ55ミリ
●コニカ……4倍=サイズ51・5ミリ
●杉藤……5・9倍=外径65ミリ
●ニコン……4倍&8倍=「35ミリフィルムフルカバー」
●フジ……4倍=φ51ミリ、5・5倍=φ66ミリ
●マイネッテ……4倍=径51・5ミリ、5倍=径55ミリ、8倍=径54・5ミリ
 以上が(見落としがなければ)4倍以上で35ミリフルサイズの視野がカタログ上で確約されているルーペということになる。ユーザーはその視野全体が、ゆがみなく、シャープに、そして逆光中でもポジの持つ階調情報をできるだけそこなわないコントラストのいいルーペを探すことになる。
 堀江さんによれば、ケンコーはいあま新しいルーペを開発中ということだから、これは期待して待つだけの価値はありそうだ。

■再びフジカラー

●ルーペとライトボックス

 商品部開発グループの村井さんを再訪した。村井さんが言い出したことだから、資料を用意して、レクチャーの構えで迎えてくれた。ここではその簡単な報告をしておきたい。
 まずはルーペ。安いものは凸レンズ1枚だから、中心部はよく見えてもそれ以外のところに収差が出る。像面湾曲、ディストーション、色収差など、基本的な収差を押さえるために高級ルーペは2〜3枚のレンズを貼り合わせるのだが、目で見たときによく見えればいいので、(平面に画像を固定する)写真用のレンズと比べると設計はラフでいいのだそうだ。そのあたりはカメラ用レンズと双眼鏡レンズとの違いとも似ているという。
 さてフジカラーのルーペだが、4倍は35ミリフルサイズ用、5・5倍がブロニー用、そして10倍がピント見用で、印刷の網点チェックまでできるものとしたという。
「ルーペは、シュナイダーと比べられるレベルのものを早くから作っていたのですが、商品化は見合わせていたのです。ニコンさん、キヤノンさんが出してきたので、ようやく出せたというのが真相です」
 いまや世界を代表するレンズメーカーのこの3社は、テレビ用レンズでも双眼鏡でも、かなり激しいバトルを展開している。ルーペでもその三つ巴戦が勃発したのである。
「ただし、うちでは非球面とハイアイポイントはやりませんでした」
 と村井さんはいう。非球面レンズは収差をとるのに有効なのだが、光軸上に目がないと像がゆがむ……という欠点を考慮したのだという。そして接眼レンズから目を少し離しても見えるハイアイポイント機能は、「ルーペはもともと目を近づけて見る人が多いので採用していません」ということだ。
 それから10倍のルーペはレンズの直径を大きくしている。レンズを大きくすればするほど設計難度が上がるのだが、使い勝手はよくなる。10倍は印刷業界のプロの使用を前提にしているという。
 一流メーカーが本気で作って、あの値段というふうに理解していいらしい。世界のトップレベルの妥当価格の写真用ルーペといっていい。
 さて、そのルーペの性能を存分に発揮させるライトボックスについてだが、フジカラーには「日本印刷学会推薦規格に準拠」というのが4機種ある。
(1)カラーイルミネータープロB4=3万9800円
(2)同A4=3万9000円
(3)カラーイルミネーターLite=2万7800円
(4)ライトボックスNEW5000インバーター=1万6000円
(5)ライトボックスNEW5000=1万1000円
 価格差は専用蛍光管にもあって、2本組で(1)(2)は8000円、(3)は6000円、(4)(5)は1800円となっている。
 それが全部、同レベルの光源品質を実現しているというのである。
「並べてみるとライトボックスごとにバラツキがあるように見えることがありますが、室内照明の影響の方が大きいので、実用上はまったく問題ありません」
 その、室内照明をチェックするために「光源の演色性検査カード」(1000円)というのを用意してある。これは2枚の色見本パッチが並んでいる名刺サイズのカードで、左右同じ色に見えれば晴天時の北窓光に代表される基準光源(CIE合成昼光)であると確認できるもの。白熱灯下では右が赤みを帯びて見え、蛍光灯下では左が赤みを帯びて見える。
 プロカメラマンに信頼されているミノルタのカラーメーターで計ると、フジカラーのライトボックスの色温度は4300度Kしかないのだそうだが、その件は「ミノルタのメーターの方がフィルムの分光感度に合わせた特殊な計り方をしているのが原因。カラーの複写光源としては問題ありません」ということだ。
 問題は色温度ではなくて、演色性なのだそうだ。蛍光灯は元来赤の成分が少ないので、青を減らすと見かけ上5000度Kにすることは可能なのだが、400ナノメートルから700ナノメートルの可視光の波長を5ナノメートルずつの幅で計って積分するというような、光学的な演色性チェックをするとずいぶん狂ってくる。そこのところを調整してあるものでないと、ただのライトボックスに過ぎないということになる。
 ただのライトボックスでも、明るければいいというわけではない。明るさが一定であることによって、透過原稿としてのカラーポジの濃度判定ができるようになっていなければならないからである。照明面全域での光量の均一性が問題になる。
 そういう使用条件を一定域にそろえたものが、ライトボックスとしての高品位ということになるのだが、先に述べた堀内カラー(HLC)のイルミックスIのデータを付記しつつ、フジカラーの4機種の色評価基準を列記しておきたい。
(1)色温度=5000K(+270K/-250K)
……HCLは相関色温度5000K、基準光CIE昼光D50
(2)演色性=平均演色評価数Ra90以上、特種演色評価数Ri(i=9〜15)85以上
……HCLは平均演色評価数Ra≧96
(3)平均輝度=1400±300カンデラ/平方メートル
……HCLは平均輝度1400±150カンデラ/平方メートル
(4)輝度の均一性=9分割面中央の輝度最高最低比75%以上(観察面一辺360mm以下の場合)
……HCLは輝度の均斉度83%以上、光の拡散度93%以上
(5)周辺ならびに観察条件(背景)=マンセルN/8ニュートラルグレー、反射率約60%
 比べてみると、「色評価用」として定評のある堀内カラーのイルミネーターIの規格の減密さが明らかになるが、フジカラーのレベルが低いというわけではない。1万1000円のライトボックスまで含めて色評価用環境を整備しているという点を高く評価すべきだろう。
 軸足がアマチュアに置かれていて、しかも良心的な商品作りをしているという流れをここでも感じるのは、村井さんがライトボックスの形状(価格帯)に品質的上下関係をまったく感じさせずに解説してくれたことだ。
 ライトボックスNEW5000はインバーターになると5000円アップの1万6000円になるだけで、あとは同じ。5000というのは色温度の「5000K」か「平均寿命5000時間」にちなんでいるようだが、従来型のボックスで厚さが60ミリある。これを直下型というのだそうだ。
 これは箱の底に反射板を置いて、その上に蛍光管を並べ、上面に拡散板を置くというシンプルな構造になっている。
 ランプから直接出た光と、反射板を経た光が拡散板のところでできるだけ均一になるために、従来は8センチの厚みが必要だったという。いまはランプ上面に黒テープを貼ることで、厚みを6センチにまで減らしている。
 カラーイルミネーターLiteは厚さが28ミリだが、これも蛍光管を2本並べた直下型だそうだ。ただ、ライティングカーテンというものを拡散板の下に入れている。中央部と周辺の光の透過量を調節するライティングカーテンによってランプと拡散板を大胆に近づけることができたという。
 カラーイルミネーターのプロB4は厚さ28ミリ、プロA4は厚さ16ミリだが、構造は同じエッジライト型となっている。これはパソコンの液晶ディスプレイなどと同じ方式で、アクリルの厚板を導光板として、その両脇に蛍光管を置いている。
 導光板全体が発光するのだが、ランプに近い両端が明るくて、中央部が暗くなる。そこで底に置く反射板の反射率を中央部で高くして、均一な明るさを上面の拡散板に送るようにしている。
 いずれも、結果として光量が均一になるように設計されているので、どれを選んでもいいということなのだ。ではなぜ、同じエッジライト型のプロB4が厚いのか?
 村井さんによると、プロB4の輝度の均一性は「75%以上」という基準を軽々とクリアして、「90%近い均一性があります」という。下支えをしっかりした上で、より高精度の商品も作っているということになる。それも、薄さを我慢して照明の均一性をとるというような、利害・得失の公平な選択。取材者を感激させる商品コンセプトになっていた。

■ピントルーペから見ると――駒村商会
03・3639・3351
http://www.komamura.co.jp

●ローデンシュトックの4倍と6倍

 駒村商会は自社ブランドのホースマンカメラの他に、ローライフレックス、ゴッセン露出計、ローデンシュトックレンズなどを扱っている。
 大判カメラ用レンズではシュナイダーと並ぶドイツの名門メーカーであるローデンシュトックは、もちろん大判カメラのピントを見るためのピントルーペも作っている。私はその、ピントルーペと、ライトボックス上でカラーポジを見る写真用「置き型ルーペ」との基本的な違いがあるのではないかという素朴な疑問を抱いて訪ねてみた。
 応えてくれたのは大中判写真撮影に関して「なんでも110番」の「写真博士・ナベさん」こと渡辺敬三さんだった。名刺には社長室教育事業担当とあった。
 まずはいいルーペの基本。
「真ん中がよく見えるのは当たり前、斜めに見ても流れないかどうか。それから視度調節がきちんとできるかどうか」
 つまり、いいルーペというのは、視野の全域がきちんと見えて、ピント位置をきちんと指定できるもの、ということになる。
「視度調節は、フィルムを見るときは簡単なんですが――」
 と渡辺博士はいう。
 フィルムには、パーフォレーション部に文字のたぐいが焼き込まれているので、ルーペのピント調節で自分の目に合わせればいい。
 ところがカメラのピントグラスではピントはガラスの向こう側、一部のカメラのようにフレネルレンズが入っていると、3ミリも向こうにピントが合うように視度調節しなければいけないのだ。
 ピントグラス中央の十字線のところで視度調節をしたときにピントルーペ、フィルムの上にルーペを置いて視度調節をしたときに写真用ルーペという切り替えになる。
 ローデンシュトックには従来φ54ミリの4倍(2万8000円)と6×6サイズを完全にカバーする角形の3倍ルーペ(4万6000円)があったが、今回新しくφ67ミリの6倍(2万9800円)が登場した。4倍も6倍も裾カバーを遮光性にしたり透明にしたりできる切り替え式だから、ピントルーペと写真ルーペの兼用ということを最初から意識している。
 常識的に考えると同じシリーズでは倍率が高くなると視野は狭くなるのが通例だろう。従来の3倍が6×6用視野で、4倍が35ミリ用視野を確保していたというのは常識的なところだが、新しい6倍が、4倍よりも広い視野で登場したところに意味があるにちがいない。645の対角線は約70ミリになるのでちょっと足りないとはいえ、φ67ミリはほとんどそれをカバーしている。ブロニーフィルムの幅は十分にカバーしているので、絵巻物のようにスキャンしながら見るのであれば、612といったパノラマサイズでも同じこと。
 フジカラーのルーペも4倍がφ51ミリで、5・5倍がφ66ミリ。コンセプトに共通性が感じられる。
「6倍が出て、これまでの4倍よりはるかにピントがよく見えるというお客さんが多いですね」
 しかし、と渡辺博士はいう。倍率が高ければ高いほどいいというわけではない。
「10倍とか15倍になるとスリガラスの粒子が見えてしまって、かえってダメなんです。4倍〜6倍あたりだと、ピントの合っているところと合っていないところの境界、エッジが立つところが見やすいんです」
 それから、倍率が高くなるとレンズの引きが小さくなるので、顔をうんと近づけなくてはならなくなる。そういう高倍率の欠点を解消しようとしたのがホースマンブランドのロングルーペ6倍(1万5000円)だという。大型カメラの撮影でかぶり(布)を使わずに、ピントフードを開いた状態で使える鏡胴の長いルーペである。
 構造は違うが、ケンコーのロングアイレリーフルーペ8倍(1万9800円)はレンズからおよそ30センチ目を離して見るタイプだが、それは医療用として医者が患者の肌を細かく見るときに、あまり顔を近づけずにすむという。
 しかしそういうことに惑わされずに、「レンズに目をできるだけ近づけて、視度調節をきちんとやって見るのが基本」と渡辺博士はいう。まさにそれが基本中の基本なのだ。
 シュナイダーにしろローデンシュトックにしろ、基本はピントルーペだった。それを汎用にしたときに、写真を撮るためのピントルーペと、撮った写真をチェックするためのルーペの一台二役になったのだろう。
 高級ルーペはもともと周辺部までゆがみのないレンズを備えていたから、視野の全体を見るという使い方にも優れていたのだ。
 いま、写真を見る……とくにカラーポジを見るためのルーペが続々と登場してきているが、35ミリなら肉眼で見えにくい情報を取り出してくれる4倍から、35ミリフルサイズをカバーしうる最大倍率としての8倍があり、その中間の6倍あたりのレンズ径の大きなものが充実し始めているというふうに考えられる。
 今回たまたまこちらの都合でシュナイダールーペの取材ができなかったが、「写真・映像用品ショーカタログ」の本庄のページに大小2シリーズのルーペが載っている。小さい方の6倍(2万8000円)、8倍(3万円)、10倍(4万3000円)は軽くてコンパクトで、一日中首から下げていても負担にならないピントルーペに徹しているように見える。
 それに対して大型のルーペは4倍(2万6000円)、6倍(4万5000円)、3倍(6×6用、4万8000円)として、いずれも鏡胴部を遮光性、透光性どちらにも交換できる。すなわち4倍と6倍が35ミリフルサイズ、3倍が6×6フルサイズ用写真ルーペとしての使用を前提としていることがわかる。

■ルーペの文化基盤――エッシェンバッハ光学ジャパン
03・3293・8567

●2倍から4倍の間で

 いわゆるルーペの基本的なかたちとは一体どういうものなのだろうか。IPPF(国際プロフェッショナル・フォト・フェア)に出展していたドイツのエッシェンバッハという会社のルーペの厚いカタログを手がかりに、取材に出かけた。
 応対してくれたのは社長の古屋義雄さんと海外事業担当取締役の川嶋常多さん。「エッシェンバッハには写真用というルーペはありません」というところから話は始まった。
 エッシェンバッハのルーペの基本は1枚レンズのものだから、日本でいう天眼鏡に類するものなのだが、それが驚くべきバリエーションを展開している。
「まず、日本ではルーペは老眼鏡の代わりというふうに理解されているところがありますが、ドイツでは違います。老眼鏡をかける必要があればかけた上で、大きく見るためにルーペを使うのです」
 近視の場合も同様で、たとえば矯正視力が0・2の人の場合、新聞を読むには0・4程度の視力が必要になるので、2倍前後のルーペを推奨する……という倍率・用途別カタログも整備されている。
 電話帳を読むには3倍ルーペが必要で、さらに小さな文字を読むには4倍というふうに、見る対象を大きくすることで、見える領域に引き出してくるのだという。結論的にいうとエッシェンバッハは2・5倍から4倍あたりにじつにたくさんのルーペを作っている。
 レンズサイズが5×10センチの長方形のハンドルーペ(8200円)を見せてもらった。倍率はたったの2倍である。
 ハンドルが対角線方向についているので、同じ持ち手のまま横長にも、縦長にもなる。欧文と和文のどちらにも対応するというだけではない。目と印刷物の間にルーペを差し出して文字を追うのが一般的な使い方であるわけだが、ルーペに思いきり顔を近づけるとA4のカタログの全体が一目で見渡せる。
 ルーペの縦長・横長、視野の狭い・広いを組み合わせるだけで、「や、これは便利」という発見があった。
 2倍でも、「便利」と感じるだけのハッキリした拡大効果が得られるというのは意外だった。
「昔だったら、これは3倍と表記されていました」
 ルーペの倍率はレンズの屈折率を表すディオプターを4で割って算出するそうだから8ディオプターのルーペが2倍とISOで定められた。しかし以前に、低倍率のものはコマーシャル・マグニフィケーションといって、おまけの倍率が1だけプラスされたのだという。それによって4ディオプターのルーペが1倍ではなく2倍と表示された。
 それから、従来型のルーペは両凸のバイコンベックスと呼ばれるレンズが一般的で、ピント合わせがしやすかった。しやすかったというのは、新しく非球面のルーペが出て、薄くて高倍率、あるいは大口径で高倍率、さらには拡大像がきれいというふうに圧倒的に高性能になったのだが、ただ一点、目とレンズの距離をきちんととらなくてはならなくなった。
 どうするのか。ルーペの倍率表示の数字に続けて、2・5倍なら250ミリというふうに書かれている。ルーペは目を離してみる、という見方の基本がここにある。
 それでは目に近づけて使うルーペはどうなっているのかというと、メガネ型やら、メガネフレームに取り付け型、あるいはレンズ付きひさしといったものなど各種あるが、2・5倍だとレンズとモノの距離を18センチ程度離したところでピントが合う。それを作業距離というのだが、ピント調節機能のついたメガネ型ルーペだと、同じ2・5倍でも作業距離を35センチまで伸ばすことができるという。
 単純な1枚レンズのルーペにしても、なかなか奥行きが深いようだ。エッセンバッハの製品は銀座なら松屋のデザインコレクションと、向かいの松島眼鏡店、それから丸善、伊東屋、東急ハンズでも扱っているという。それに内神田のショールームに出かければさまざまな相談に乗ってくれる。ちょっと異文化という感じなので、現物を覗きながらじっくり選んでみることをおすすめする。
 ところで、1枚レンズの天眼鏡ながら、年内に日本で発売になるというバリオ・マキシ・スタンドライトルーペというのはすごい。直径22センチの1・75倍非球面レンズの裏に11ワット蛍光灯が仕込んであって、2500ルクスの照明が標準装備されている。
 レンズと対象物の距離を20センチ、レンズと目の距離を20〜30センチという条件で使用できる自在スタンド型の作業用ルーペである。価格が7万3500円と聞くとかなり腰が引けるが、その存在感はすばらしい。
 2倍前後のところからルーペは確実にその機能を発揮してくれるが、エッシェンバッハ社では、倍率によるルーペの役割をどう考えているのだろうか。
「ワークルーペで長時間使用するものなら2倍ぐらい、短時間なら2・5倍ぐらいです」
 川嶋さんはいう。
 一番需要の多い読書用なら3倍から4倍がいいという。
 高倍率はどうだろうか。時計修理に使われていた、あの、片目にひょいと取り付けるルーペももちろんエッシェンバッハ社は作っていて、3倍から10倍まであるという。そして時計修理で最高倍率の10倍ルーペが、宝石業界ではスタンダードになっているという。
「10倍ルーペで見えるキズが、宝石のキズなんです」
 更に高倍率のものでは顕微鏡型の20倍、40倍というのもあるが、それは金属の表面検査などに用いられる産業用ルーペという位置づけになっている。
 結局、エッシェンバッハ社は膨大な種類のルーペを作っていながら、35ミリフルサイズ用などという写真用ルーペは出していない。写真用ルーペはきわめて特殊なものといっていいように思われた。

■理想の写真整理システム――NHK出版
資料室03・3496・7629

●「シルクロード」から「北極圏」

 堀内カラーの黄色い箱、HCLファイルボックスの厚みは53ミリなのだが、本来ならバインダー・厚型の65ミリとそろえたかったのに、できなかった――という話があった。
 じつはNHK出版の写真資料室をを私はかなりよく知っているので、ここで報告しておきたかった。もちろん、堀内カラーの箱の話ではない。理想を追求して構築した取材写真整理法の発端とその結果についてである。
 一時代を風靡したNHKスペシャルによって、渋谷のNというビルに専用の写真資料室が生まれたのは20年ほど前のこと。それはNHK出版に属する施設だが、全権を与えられてそれをつくったのはNHKの写真資料室にいた荻さんという人だった。
 編集側でかかわった長岡信孝さんは現在第一図書出版部長である。
「東京オリンピックのころですが、まだ海外渡航の不自由な時代に、NHKではアフリカ、南極、ソ連といった地域探訪番組を作り始めたのです。その取材記が30冊ほど出ましたが、当社のドル箱シリーズといわれるほど売れたんです」
 長岡さんは当時若手編集者だったが、その海外取材本の編集を最初のところから担当させられた。
「せっかく本にするというのに、写真が問題だったのです。テレビ取材班ですから、スタッフの記念写真や、ビデオから落とした映像でなんとかごまかすものの、写真がよくなかった」
 NHKの海外取材番組は地域シリーズからテーマシリーズへと展開して、「未来の遺産」になった。出版の際のビジュアル的な要素について、NHK側と相談し始めてもいたのだった。
 そうこうするうちに、日中国交回復が実現し、ペンディングになっていた「シルクロード」が実現する運びとなった。
「戦後、ずっと、だれも入れなかったところです。本を作る側としても、ビジュアルが重要だということはわかっていましたから、スチルカメラマンを全行程同行させる、ということにしたのです」
 NHKのテレビ取材班は1行程が40日から60日、同時期に3チームが動く時期もあって、同行カメラマンは7〜8人選ぶことになった。
「フィルムもどれくらい用意したらいいのか、わかりませんでした」
 メーンを35ミリカメラとして、1日あたり20本平均のフィルムを持っていたのだが、しょせんは取材班に同行の取材ゆえ、かなり頑張って撮っても1日10本平均だった。
 さて、次々に取材班が帰国すると、長岡さんのところには、現像から上がったスリーブ状のカラーポジがどんどんたまった。
「西安とか町スナップといったキャプションをつけて袋に入れて、とりあえず保管しておいたのです」
 編集者としては正しい行動だった。バラさず、動かさず、確実に保管するのがベストである。写真の内容は、編集作業が始まってから撮影者に見てもらえばいい。
 ところが、写真を切って、動かさなくてはならなくなった。番組の前宣伝に必要ということでNHKの広報が写真を求めてきたのだった。
 当然、広報活動となると外部への貸し出しも生じてくる。
「とりあえず切って、出したんです。貸出ノートはつけていましたが、キズがついたりして――こりゃいかんということでデュープをとって出すことになりました」
 あわてて、ベタ焼きもとることにしたのだった。ベタ焼きといってもリバーサルからのダイレクトカラープリントなので1本分が1500円もした。
 と同時に、写真整理のベテラン、荻さんを招いて理想の写真整理システムを構築してもらったのだ。
 Nビルの2階フロアを借り切って、写真保存用の空調機を備え付けた。それから床を補強して、大型の移動書棚をのせるレールを取り付けた。
 決められたのは次のような手順だった。
(1)現像が上がったら、カラーのベタ焼きをとる
(2)マウント入れ
(3)キャプション用紙をもってカメラマンから内容聞き取り
(4)原則として撮影順に番号を振る
(5)データ整備
 かくして理想的な整理と保存の態勢がととのった。マウントされたポジは堀内のHCLファイル(20コマ入り)に入れて、ファイルボックス(約10シート入り)に収められた。
「最初は写真の重要性に気づかなかったのですが、考えてみればスタイン、ヘディンといった中央アジアの大探検家以来の重要資料だったんです。本が出ると、とたんに写真が売れ初めて、1年間で対外的な写真使用料収入が1000万円にもなったのです」
 シルクロードの写真は当初5万点だったが、続編のシルクロードIIの11万点が加わって、写真総数16万点というボリュームになった。
 その後、人気のシリーズは「地球大紀行」「海のシルクロード」「興安嶺をゆく」と続き、1989年に「北極圏」になる。
 月1回放映で全12集の「北極圏」に対して、NHK出版側では、2回放映分を1冊にまとめ、後ろ側の放映と出版を「同時」にするという企画を立てたのだった。
 デザインは鈴木一誌さん、私はかれに呼ばれて写真編成という仕事をやった。
 このシリーズはゴルバチョフの情報公開によって、西側取材班がほとんど入れなかったシベリア全域に、どんどん入れることになった。当初はマンモス発掘の科学系番組がコアだったのに、北極圏全体のジャーなりスティックな報道特集となって、NHK側では早くからこれをBBS風の本格的な海外ドキュメント番組として、外国のテレビ局にセールスし始めていた。
 とにかくネタがホットなうえに、行ってみないとわからないという不確実性を大いに内在していたから、企画は順次書き替えられた。
 取材班は1回放送分に2チームが組まれたので、NHK出版側ではすべてのカメラにひとりずつスチルカメラマンを張り付けた。
 撮られた写真は最終的に16万枚になったというから、番組1回分あたりの平均撮影量は約1万3000枚(約370本)となった。
 取材が終わると現像→カラー・ベタ焼き→マウント入れ→ファイルという作業の大半が堀内カラーで行われていた。
 写真は基本的に撮影順なので、2人のカメラマンの、合計4台のカメラで撮った写真が時系列でファイルされている。これが私の作業を決定的に楽にしてくれた。
 時系列だから、ところどころに日付と場所、あるいはときに人名などの固有名詞が書かれているだけで、私はカメラマンの現場体験を追うことが可能になった。
 写真編成の手がかりは、じつはその写真しかなかったのだ。ディレクターは放映1カ月前あたりから番組の編集に入る。それまでに、取材内容の整理を兼ねて本文原稿を書いてもらうのだが、出版側にもスケジュールはある。1冊に2回分を収録する、その後のほうは、ディレクターの原稿が書き上がる前に写真を組んでしまわないと「同時出版」がうたえない。
 シベリアにはどんどん入れてしまった。ジャーナリストとしては千載一遇のそういう機会を逃すはずはないので、取材はいい方に大きく踏み外していった。
 原稿はない、番組の骨格も見えないというところで、じつは写真は組まれたのだ。
 私はどうしたのか。何の情報も得ないまま、順々に写真を見ていった。私は原則として「すべての写真を10秒見る」ので、放送1回分の4台のカメラの流れをたどっていくのに13万秒、すなわち36時間かかる。そこまで律儀ではなかったけれど、8時間×4日ぐらいはかけたつもりだ。
 みなさんプロの写真だから、目的はハッキリしている。チームの取材が本気のときには、早い段階から捨てカットが続いてくる。後悔しないために、無駄を承知で押さえにかかる。撮っている写真と構えに大きなギャップが見えてくる。
 しだいに対象が私にも見えてくる。やらせギリギリの再現シーンなどはスチルカメラマンにも余裕があるから十分に接近したりして、いい写真が撮れている。
 しかしそれは要警戒信号でもある。ぶっつけ本番でいいストーリーを追い始めると、スチルカメラは現場から阻害される。テレビカメラは音に敏感だからである。
 するとスチルカメラはプツンと仕事を打ち切られて、その鬱憤晴らしが続く絵柄に現れる。周囲をうろつきまわるのである。
 私はカメラマンのそういう現場心理を想像しながら、写真を1枚ずつ、平等に見ていく。ブレていようが、露出が狂っていようが、きちんと見る。なぜなら、失敗要因にはカメラマン側の行動情報が多く隠されているからである。「撮りたかったのに撮れなかった」というサインをできるだけ読み取っていくことによって、現場のカメラマンのねらったものをできるだけていねいに拾い上げることができると信じているからである。
 その作業を2回放映分やりながら、ポジをどんどん抜いていく。抜いたものをファイルシートにいれて、小さな見出しを付けて、映像カードのようにする。
 そしてポンとデザイナーに渡してしまう。
 デザイナーといっても、一流のエディトリアル・デザイナーは頭もいいし、勘もいい。鈴木一誌さんは私から受け取った写真から同様の推理をして一気に組んでしまう。
 ずいぶんいいかげんな作り方だと私も思いながらの作業ではあったが、やりっぱなしではない。最後に担当編集者のSさんとふたりで2晩、3晩、全部の写真にキャプションをつけていった。そのときにはすでに本文を読んでいるので、写真の文脈がかなりわかっているのだが、予想はかなり当たっていた。ただ、どうしても見当はずれの写真が、何点か出てしまう。写真は替えられないので説明でさりげなくゴメンナサイ。
 2回放映分の約2万6000点の写真を写真だけを手がかりに選ぶという得がたい体験をしたのだが、写真が撮影順に並んでいることによって、私はかなりかなり深く現場感覚を共有することができたのだった。
 そのとき、Nビルのそのフロアはほとんど満杯になっていた。そしてその後、ほとんどの写真はいつでも検索できる状態で河口湖方面にあるNHK出版資料センター倉庫に移動され、Nビルにはセレクトされた写真だけが整理・保存された。ひとつの時代が終わったのだ。
 長岡さんが担当するシリーズはその後「人体」となってCGやハイビジョン映像がビジュアルの中心になり始めた。「ハイビジョンの画像はスチル写真の80%ぐらいの情報量という感じで扱っています」
 テレビ映像と印刷画像の関係は時代とともに動いていく。

■写真を動かす仕事――PPS通信社
03・3544・1471
http:www.oosimages.co.jp

●オリジナルでもデュープでも

 いま、この本の編集長・平嶋彰彦さんを編集責任者にして、世界遺産の大型写真集を編集している。2002年冬に刊行という熟成本で全12巻。各巻200点前後の写真を集めて組み上げているのだが、そこでも私は写真編成を担当している。
 その仕事ではいくつかのフォトライブラリーと深くおつき合いしているのだが、フォトエージェンシーとして写真家と編集者の間に立って臨機応変の対応をしてくれているのがPPS通信社(パシフィック・プレスサービス)である。
 担当の編集営業部次長の岩原靖之さんがいまや世界遺産の専門家で、こちらがほしい写真をこの時とばかり集めまくってくれる。
 それも、一流写真家のファイルから引き抜いてきたばかりのオリジナルポジやスリーブから、こちらが指定したコマをその場で切り出して渡してくれたりという自由自在なハンドリングなのである。
 大丈夫なのかな? という疑問もいくらかあって、写真を回転させる仕事の考え方を聞いてみた。
 PPSでのファイルの基本はごく一般的なスライドファイルシート(NHK出版で採用した堀内カラーのものと同類の特注品各サイズ)に入れて、事務用のファイリングキャビネットに入れている。
 35ミリ(20コマ)、6×6(12コマ)、6×7・6×9(6コマ)、4×5(4コマ)、5×7(あるいはマウント入り4×5。2コマ)などがそろっていて、写真サイズのバラツキはシートによって統合されている。
 4×5はトレファンに入れただけでラベルを貼ってすませているものが多いのだが、収容力からみて、マウントに入れることはしないという。マウント入りで入手したものは5×7用か、その上の8×10用(1コマ)に入れるので、収納効率がぐんと落ちる。
 しかし、フォトライブラリーの多くは、むしろ4×5用のマウントを基本カードにしてファイリングしている。35ミリのポジを中心にしているPPS通信社がむしろ少数派といっていい。
「著作権使用はマウントを開いたときに発生するということから、マウントの封印を重視する例が多いのですが、うちは信用取引ということであまりガードを固めていません」
 岩原さんによると、35ミリはオリジナルが裸のままマウントされたものも多く、そういうものにはマウントカバーをかけている。大方はトレファンに入れて紙マウントに入れたものになっているが、カメラマンがガラス付きのプラスチックマウントに入れてきたものはそのまま出している、という。
 要するに、なんでもいいらしいのだが、余分なコストをかけないということと、マウントにデータの書き込みや印字のしやすさで紙マウントが基本になっているという。
 フォトライブラリーでは検索と整理が重要な課題である。ユーザーの立場からいっても、ライトボックス上でいくぶん乱暴な扱いをしてもいたまないようなファイリングシステムであることがありがたい。5〜6時間連続的に写真を見ていくと、腕力勝負ということが多いからだ。ライトボックスを前にして、かなり高速の人間プロジェクターをやっているからだ。
 1枚ずつ見ていって選ぶのと、20コマのシートを一覧するのとどちらが合理的かといえば、変わらない。1点ずつきちんと見るときには、あくまでも見る点数が問題になるだけのこと。
 しかし、35ミリの場合、ピントがきているか、ブレていないか、キズはないかといったところが不安になると、たちまち手間がかかる。裸のポジをマウントして、その上に取り外し自由のマウントカバーがついているだけだと、そういうときに安心なのだが、それは同時に、ユーザーがハンドリングするうちに傷をつける危険が大きいということにもなる。
 私は今、B4見開きといった大伸ばしの写真を探しているので、35ミリから伸びるか伸びないかは大きなチェックポイントになっている。
 ……が、トレファンがかかっていると、キズが見えにくい。見えにくいからどうするかというと、じつはどうにもせずに、そのままデザイナーにまわして、デザイナーもそのまま印刷所に渡してしまうことが多い。
 ルーペで見て見えなかったキズがあったとしたら、製版段階で消せばいい。パソコンならフォトショップでちょっといじるというようなことを覚悟しておけば、小さなトラブルはあまり心配せずに作業を進めることができる。もし、編集・デザインの段階でこまごまとチェックしようとしてマウントをはずしたら、その後のポジ扱いのなかで生じるアクシデントのほうがずっとこわい。
 問題は、35ミリの場合のオリジナルとデュープの品質格差である。PPS通信社は最初、マグナムやブラックスターなどからアメリカの花形カメラマンの写真を入れていたが、送られてくる35ミリデュープの品質がイマイチに思えていた。
 ところが最近、日本のデュープ技術がかなりいいようで、4×5などになると補正を加えたデュープの方が商品価値が高いというような例も多い。35ミリでも、よほどの大伸ばしでなければ、絵柄重視で選んでほとんど問題が生じない。
「コダック系がデュープ難しいとという人もいます」
 たしかに、フジのデュープがいいのかもしれない。それはそれとして、オリジナルとデュープの違いを、どう考えているのですか?
「写真の保存には10年もつか、100年もつかというモノサシもあるでしょう。でもうちは写真を動かすのが商売ですから、何回まわせるのかという耐久性も問題になります。動かせばいたむ危険があるわけですから、写真家の先生方には、大事なものは預けないで(笑い)とお願いしています。オリジナルは動かさないで、デュープを動かします」
 どうしてもオリジナルが必要か、デュープでなんとかできるかはユーザーのそれぞれの事情によるというわけだ。売れる写真ほどいたみやすいという大原則があるのだからしょうがない。
 デジタル化についてはどうだろう。
「写真家がデジタルで撮ればデジタルで対応します。銀塩フィルムで撮るのであれば、従来どおりの方法で。デジタル対応がとくにむずかしいということはありません」
 写真エージェンシーはいま、デジタル化とネットワーク化に奔走しているが、PPS通信社にそういうあせりはないようだ。
 というのも、マイクロソフト社のビル・ゲイツの潤沢な資金によって世界最大のデジタル写真コンテンツを構築しつつあるコービス社の日本側の窓口になっている。160万点というその画像データベースをアフリカの世界遺産に関してかなり厳密に検索してみた。
 たとえばモーリタニアには「ウワダニ、シンゲッティー、ティシットとウアラタの古代集落」というのがあるが、そんなもの、よほどの専門家かもの好きでなければ行きもしないし、写真を撮ってきたからといって使われるチャンスはほとんどない。
 しかし160万点のコービス・コレクションからは、それぞれの集落名で数点ずつの写真が出てきた。
 有名な固有名刺で検索すれば数十点という規模で写真が並んでくる。言葉で選べる写真が160万点というところで、この画像データベースはすでに「一人勝ち」の道を歩み始めているようだ。コービス社は民間最大の歴史資料のコレクションであるベットマン・アーカイブをデジタル化しているという。いったん定番化した歴史的映像などは画像データベースに取り込まれると、いよいよ頻繁に使われることになるにちがいない。
 私がPPS通信社のパソコンで検索したのはシアトルのデータベース。画像インデックスのほかに、文字データも出力でき、セレクトしたものについては別途印刷データを要求することになる。
 正直な話、言葉の検索検索によってこれほど巨大な画像データベースが使えるというのは、やはりインターネットの恩恵だろう。
 デジタルデータになると、もうルーペは必要ない。――けれども、大まかな見出しでくくられたカラーポジのかたまりを眺めながら、求める写真をさがしつつ、同時に写真に触発されるというアナログ的な写真選びをしていると、人間の脳の画像検索能力はまだパソコンには追いつかれていないとも思う。
 たぶん、左脳型検索はパソコンでやり、右脳型検索は手作業でやるというのが当分の領域分担になりそうだ。
 そこで最後に、写真を動かすのが仕事なら、動かした写真を戻すのも仕事ですよね、岩原さん。
「撮影者に関する整理番号と、撮影テーマに関する分類番号によって、その写真の使用経歴と、だれにいくらの著作権料支払いが発生するかがコンピューターで管理できるようになっています」
 だれの写真が売れたのかについての管理はともかく、勝手に引き出された写真をいったいどうやって元に戻すのだろうか。
 それにはリファイルボックスというのがあるのだそうだ。写真のテーマコードは頭にアルファベットがつけられて、Gなら遺跡、Zなら国別というキャビネットの見出しに対応している。
 たとえば今手元にあるイタリア・ラベンナのサンタポナーレ・ヌオーボ教会内部のモザイクにはZ071-000-001といういくぶんおざなりな感じのコードがついている。Zの71がたぶんイタリアということで、「イタリア」というファイルに入れればいいのだろう。最後の1にも意味があるのだろうが、ここで重要なのは、Zの71というファイルに戻すということ。
 とりあえず大きなくくりで仕訳するリファイルボックスに写真を入れて、それを次ぎに、それぞれのファイルの束の中に入れてやる。
「預かった写真を最初にどのファイルに入れるかをまちがえるとせっかくの写真が死んでしまいます。なにはともあれ、探しにきた編集者やデザイナーの目に触れやすい場所に置くことを考えます」
 でも、そういう管理からはずれて、ダイレクトにこちらの手に渡されるものもありますよね。
「担当者が個人的に管理する写真もあります。保存より、まずは動かすことですから」
 借用の時点で、ファイルシートのモノクロコピーを2セットとって借用書に添付する。複写機の上ぶたを上げてライトを当てるので、おおよその絵柄とマウントの文字情報が同時に映り込む。
「このコピーをとらなかったら、不安でしょうがないですね」
 ずいぶん無造作に扱っているように見えるけれど、写真を外に出すときにコピーをとる、という原則をたてるだけで、管理レベルは大幅にアップする。コンピューター管理のための入力にも時間的余裕が生まれる。
 絵柄と文字情報の同時コピーはキヤノンファミリーコピアのような速度の遅いスリットカメラタイプの複写機に、上方30センチていどのところから300ワットの写真用フラッドランプを当ててやればかんたんにできる。あるいはパソコンに接続したフラッドベッド・スキャナーで、やはり上方から光を与えてカラーでスキャニングする。NHK出版の資料室が高価なダイレクトプリントでカラーのベタ焼きをとった代わりを、パソコンで簡単にやれるようになってしまった。
 写真は動いているときが「旬」といえる。
 最後に、本誌編集長の、花形カメラマン時代の口癖を一席。
「撮った写真はスリーブの状態でデータ管理すること。必要最小限しか切り出さないこと」
 それは、印刷原稿としてのカラーポジはライトボックスとルーペで品質管理をすませてしまうということと、時系列での管理を崩さないことが情報を失いにくいということを意味している。


■「カメラこだわり読本」カタログ探検紀行――写真キャプション

■コスモスインターナショナル
■写真1
右半分は米国プリントファイル社のプリザーバー・システム。左半分は自社製品のカード式プロマウント、ボードマウント、Qパック。
■写真2
プリントファイル社のフィルムプリザーバー2×2-20HBF。2,500円(25シート入り)。
■写真3
英国製の各種長期保存ボックス。それぞれサイズバリエーションを備えている。

■フジカラー販売
■写真4
スライドファイルプロジェクターE-2(11万8000円)。35mmスライド20コマ収納のファイルから任意の1枚を投影できる。
■写真5
両開きタイプのA-7200(33万円)と引き出しタイプのP-6000(16万円)を組み合わせたスライドファイルキャビネット。照明は自動点灯。
■写真6
プラスチックマウント入り35mmスライドを120枚収納するスライドボックス35(1800円・2個組み)。サイズはおよそ7×7cmで奥行き25cm。上下左右どちらにも接続できる。
■写真7
薄型設計のリバーサルファイリングシート。これは35mmスライド用20コマ用(1200円・10シート入り)

■堀内カラー
■写真8
色評価光源として高く評価されているイルミックスI型(3万6000円)。内部の水拭きで初期性能を維持できる。
■写真9
薄型プロ用ライトボックスのイルミックスIII型(3万9000円)。エッジライト方式の先駆。
■写真10
U字金具で収容力の大きなHCLファイルIバインダー(厚型)。バインダーのみで1800円。マウントしないこの状態ならファイル40枚を収納できる。
■写真11
40枚ずつ真空パックされた紙製のペパマウント。サイズは35mm、645、6×6、6×7、6×9、4×5。無印のホワイトマウントも同価格。

■ケンコー
写真12
ジャーナルカッセットはスライドを置いて、ふたを閉める透明ケース。35mm用24Sカセットは10枚入りで6500円。
■写真13
何度でも繰り返し使えるブラックマットシリーズのフォールドマット。サイズは35mm、6×6、6×7、6×9のマウントば4×5インチ(各サイズとも5枚入り・1500円)。
■写真14
非球面レンズとマルチコーティングを採用した写真用高級ルーペの先駆、4×ルーペprofessional(1万9800円)。透明・不透明フード交換式。
■写真15
エクセルーペの5倍(左・1万6000円)と8倍(1万9800円)。対角線長で5倍は64mm、8倍は56mmをカバーするので、8倍でも35mmフルサイズをカバーする。

■フジカラー
■写真16
プロフェッショナルルーペ4×(1万4800円)は1群2枚のマルチコーティング。フード部を透明と半透明に交換可能。
■写真17
プロフェッショナルルーペ5.5×(1万9000円)は2群3枚のマルチコーティング。外径は66mmあるので、ブロニーフィルムのフィルム幅をカバーする。
■写真18
薄型ライトボックスとしては最大サイズのB4ながら、照明の均一性をきわめて高いところにおいている。カラーイルミネータープロB4(3万9800円)

■ローデンシュトック
■写真19
ローデンシュトックルーペ3×(6×6用・4万6000円)
■写真20
ローデンシュトックルーペ4×(2万8000円)。フード部内側に透明フードが内蔵されていて、外側の遮光筒を上下する。
■写真21
ローデンシュトックルーペ6×(2万9800円)。最下部の遮光両用のフードを引き抜いて逆にさすと透明フードになる。

■エッシェンバッハ
写真22
スーパーライト付きデスクリーダー3.8倍(2万2000円)。5Wの蛍光灯が十分な明るさを与え、10×7.5cmの大型非球面レンズを焦点位置で固定する。
写真23(後送)
ハロゲンランプ内蔵のラインライトルーペ1.5倍(1万6000円)。文字位置に2倍の補助レンズを装着すると3.5倍になる。
■写真24(後送)
モールド非球面レンズによって、同じサイズで、ポケットルーペが作られるようになった。4倍2700円、7倍2900円、10倍3300円。これは7倍。

■PPS通信社
■写真25/26/27/28/29
PPS通信社は積極的に写真家シリーズを展開している。


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