山旅図鑑 no.156
愛鷹山(越前岳)
2017.7.8

山旅図鑑目次



糸の会(no.1042)
2017.7.8
愛鷹山(越前岳)


43パワー
登り26p→下り17p



*富士山を眺めながらの山歩きとしてはいろいろな候補を挙げることができますが、南側からの眺めとして秀逸なのは愛鷹山の最高峰、越前岳からの下りです。
*富士山に向かって下っていく気分は、この山ならではのもの、ともいえます。


7月8日
・1120……愛鷹神社登山口を出発(標高約750m)
・1205-10……休憩(標高約950m)
・1240-55……黒岳山頂(標高1,087m)
・1320……黒岳分岐に戻る(標高約950m) ・1345-50……休憩(標高約1,150m)気温26度C
・1435-55……休憩(標高約1,400m)
・1520-30……越前岳山頂(標高1,504m)
・1625-30……馬の背展望台で休憩(標高約1,100m)
・1700……十里木駐車場(標高約900m)


今回の写真出展メンバー(提出順)は以下の1人です。
伊藤 幸司(43点)



山旅図鑑 no.156
愛鷹山(越前岳)
2017.7.8

愛鷹山、
【01】撮影:10時54分=伊藤 幸司
御殿場駅までは高速バス。それからタクシーで須山の愛鷹登山口バス停から林道を山神社へ、というアプローチ。これは東富士演習場の原野風景の中を抜ける道から見た愛鷹山。私たちはまず右手の黒岳(標高1,087m)に登り、そこから左手の越前岳(標高1,504m)へと向かいます。富士山はその向こうに。

愛鷹山、愛鷹山荘
【02】撮影:12時08分=伊藤 幸司
これは愛鷹山荘。もとは有志が建てた山小屋だったようです。私たちも糸の会の初期に泊まらせてもらったことがあります。現在は須山地区青少年育成会が管理して、基本的に避難小屋として開放されているそうです。

愛鷹山、黒岳
【03】撮影:12時17分=伊藤 幸司
標高約950mの稜線分岐から黒岳に向かって登ります。

愛鷹山、黒岳
【04】撮影:12時21分=伊藤 幸司
これだけ木の根が浮き上がった登山道は珍しいと思います。

愛鷹山、黒岳
【05】撮影:12時28分=伊藤 幸司
黒岳山頂への手前に富士山の展望ベンチがありました。「黒岳展望広場」という立派な看板が立っていました。富士山を見通せる日だったら、けっこうドラマチックな出会いの場となるのでしょう。

愛鷹山、黒岳山頂
【06】撮影:12時37分=伊藤 幸司
こちらは黒岳山頂。やはり展望広場という雰囲気です。

愛鷹山、黒岳
【07】撮影:13時04分=伊藤 幸司
黒岳の山頂付近には巨木が立ち並んでいました。分岐点まで戻って、そこから越前岳への登りにかかります。

愛鷹山、登山道
【08】撮影:13時22分=伊藤 幸司
稜線の分岐点から越前岳への登りにかかります。人工林の道がこんなふうになっているのは、やはりちょっと驚きです。でも道迷いの不安は全くありません。
考えてみるに、人工林の中の登山道は、たいてい道の部分の木を抜いています。ここではそれをしていないので、ちょっと違和感があったのだと思います。

愛鷹山、登山道
【09】撮影:13時51分=伊藤 幸司
こういう登山道は雨の日には水路となります。足が濡れるし、泥々になるので、歩きたくない道です。ですから普通、こういうところには新しい道ができていて、これを見捨てて新道となっています。
人の背丈ほども掘り下げられてしまったこういう道の代表例は箱根にはいくらでもあるのですが、そういう場所の左右の壁にはストックで突いた穴が見苦しくブツブツとたくさんあるはずです。ストックをもっぱらバランスを保つためのと理解して左右に広げて使っている人がこういう場所にさしかかると左右のやわらかな土壁にブツブツ穴を開けるのです。心ある人が見ればストックが山を破壊している! と苦々しく感じる場面です。でもそのことがいかに表面的なシロウト判断かについてはここでは書く余裕がないのでいずれどこかで、ということにしておきます。
ここで書いておきたいのは、これだけ(水流によって)掘り下げられた登山道なのに、第二、第三といった逃げ道が作られていないところに、越前岳への主要ルートと思われるこの道を利用する人が思いの外少ないと想像したのです。
雨の日にこういう場所に来た登山者はこの溝にはめ込まれるのは避けたいと思うはずです。そういうときに、靴を汚したくないベテラン登山者や、グループを率いたリーダー格の登山者が迂回路を探すことが多いのだと思います。この状態だったら、まちがいなく右側か左側に登山者が造った新道か、あるいは踏み跡道があるのが普通だと思うのに、ところどころにその気配があるだけで、ここにはなかった。
……そういうことから、この登山道は先でなにか、もっと難しい場所があるかもしれないと、いちおう警戒心をもつことにして、そのことを撮っておいたのです。

愛鷹山、鋸岳遠望
【10】撮影:13時53分=伊藤 幸司
進行左側に展望がありました。鋸岳から位牌岳への稜線で、21世紀になってず〜っと「通行禁止」になっている縦走路。ロープやクサリがあるのでチャレンジしている人はいるようですが。

愛鷹山、ハルゼミの抜け殻
【11】撮影:14時15分=伊藤 幸司
登山道の脇、目の位置にセミの抜け殻が次々に現れました。松本市のホームページに「セミの抜け殻を見分けよう!」というページがありました。並べたらそれぞれ違いがあるとしても、ひとつだけ見て「違いがわかる」とは思えませんが。この写真に関してはハルゼミの抜け殻であることを否定しない、ということでしょうか。

愛鷹山、ハルゼミの抜け殻
【12】撮影:14時15分=伊藤 幸司
セミの抜け殻ツー。やっぱり撮っちゃいます、こんなふうに見えると。

愛鷹山、エゴノキ
【13】撮影:14時31分=伊藤 幸司
エゴノキの花、だと思います。見上げてもなかなかわからない大木だったから。

愛鷹山、コアジサイ
【14】撮影:14時32分=伊藤 幸司
コアジサイ。たぶんいちばん美しい瞬間だと思います。花糸(雄しべの細い茎)が不思議なブルーを創り出します。

愛鷹山、登山道
【15】撮影:15時02分=伊藤 幸司
山頂に近づいて自然林になると、木の根の張った道にも荒れた感じは薄れ、個別の樹木に対してかわいそうという印象になりました。私は。

愛鷹山、登山道
【16】撮影:15時08分=伊藤 幸司
恐らくこんな光景が、愛鷹山全体の登山道の雰囲気ではないのでしょうか。20年前、愛鷹山縦走を簡単に考えていたのですが、結局愛鷹山荘で避難小屋体験をして最高峰・越前岳に登りました。以来、越前岳以外のルートに足を伸ばすことはできていません。私たちにも縦走が可能な山なら、うれしいと思います。

愛鷹山、駿河湾遠望
【17】撮影:15時21分=伊藤 幸司
越前岳山頂から海が見えました。画面の水平が狂っているので海岸線に見えませんが、じつは駿河湾の千本松原のあたりです。
私の場合、ファインダーで撮っているとどんなに意識しても水平が狂うことがあります。こういう場合はモニターで客観的な絵として見ながら撮るべきでした。

愛鷹山、コアジサイ
【18】撮影:15時26分=伊藤 幸司
山頂にコアジサイが幾株もありました。

愛鷹山、コアジサイ
【19】撮影:15時27分=伊藤 幸司
コアジサイの、このブルーと白の微小な渾然一体、離れていても一瞬にして目を引きつける力があります。

愛鷹山、越前岳山頂、記念写真
【20】撮影:15時33分=伊藤 幸司
越前岳山頂の記念写真。

愛鷹山、登山道
【21】撮影:15時38分=伊藤 幸司
ブナの巨木の脇から下っていきます。ここからが越前岳の大いなる楽しみ……ではあるのですが、天気がなんとも、あははです。

愛鷹山、ヤマタイミンガサ
【22】撮影:15時45分=伊藤 幸司
カニコウモリ、コウモリソウ、ヤブレガサなどは姿も名前もユニークなので山歩きを始めるとすぐに目に入るようになったのですが、タイミンガサ(大明傘)という意識がなくて今回始めてヤマタイミンガサという名がこの葉っぱと合致するようになりました。(ちなみにタイミンガサは本州中部の日本海側のみとか)
この葉の説明はウィキペディアでは「葉身は掌状円形で9-10裂」とあり『山の花1200(青山潤三・平凡社』では「葉は盾状につかず。掌状に9〜10深裂」といずれも「9〜10深裂」(ちなみに「盾状」というのはふつうの葉が葉の縁に葉柄が着くのに対して葉を下から持ち上げるように着くという意味で、ここではタイミンガサの盾着(じゅんちゃく)と盾着でないヤマタイミンガサの区別点として説明されています)と断定的なのでヤブレガサを見てみると上記の両資料で「7〜9深裂」と共通。でも問題はヤマタイミンガサでもヤブレガサでも私には葉の「深裂」をきちんと数えられないということ。変則的な葉の裂け方に翻弄されていしまいます。
そこで手書きの図版で調べられる『原色日本植物図鑑』(保育社)を見てみるとタイミンガサに「葉はたて状円形」で「掌状中裂、裂片は9−14個」とあり、ヤマタイミンガサには「葉はタイミンガサに似るがたて状でなく」とのみ書いてあります。「9〜10」なのか「9〜14」なのか、どちらでしょう。

愛鷹山、コアジサイ
【23】撮影:15時46分=伊藤 幸司
山頂からしばらく下ると驚くほどたくさんのコアジサイがありました。たっぷり堪能できるコアジサイ庭園という感じでした。

愛鷹山、コアジサイ
【24】撮影:15時47分=伊藤 幸司
私にとってはこれがベストのコアジサイ。

愛鷹山、コアジサイ
【25】撮影:15時47分=伊藤 幸司
コアジサイの花に目を近づけていくと世界がどんどん変わっていきます。純白に近い白を見せているのは雌しべです。拡大して見るとおおよそ3個(一般に3〜4個だそうです)が花(個々の小さなひとかたまり)の中央に三角の組み合わせのように立っています。
ちょっと黄色味を帯びた米粒のようなものが雄しべの葯(やく)です。もっと白いものもあるようですが淡黄色が基本のようです。離れて見たときに全体の印象にその黄みが効いてきます。

愛鷹山、コアジサイ
【26】撮影:15時47分=伊藤 幸司
アジサイの花のイメージにはがく片が変化した装飾花が重要ですが、コアジサイにはそれがなく「コアジサイ─松江の花図鑑」によると「花弁は白色〜淡青色で5個、長さ約1.5mmの長楕円形で、はじめ湾曲し、のちにややそり返る」とのこと。その小さな花弁が花の背景を埋めていることがわかります。

愛鷹山、十里木高原遠望
【27】撮影:16時01分=伊藤 幸司
山裾が見えてきました。下ったところは十里木高原です。ゴルフ場や別荘地があり、忠ちゃん牧場、それから富士サファリパークなども。ここからではどれがどれだかわかりませんが。

愛鷹山、登山道
【28】撮影:16時12分=伊藤 幸司
北斜面をほぼ真っすぐ下っていきます。山頂から約40分下ったあたり。自然林がず〜っと続いています。緑の天井の下、私には無限に楽しいひとときです。

愛鷹山、フタリシズカ
【29】撮影:16時13分=伊藤 幸司
フタリシズカがありました。これは花が終わって果実をつけた状態です。2本の穂状花序が立ち上がった状態で、ポツポツとついた丸い塊のそれぞれが果実とのこと。そのひとつひとつが白い塊だったときには3つの雄しべが丸まって雌しべを内側に包んでいました。「発見写真旅No.155・三つ峠山」の写真No.142-143を御覧ください。その結果がここにあります。長い間フタリシズカの魅力に気づかずに通り過ぎてきました。

愛鷹山、富士山遠望
【30】撮影:16時22分=伊藤 幸司
緑の天井から抜け出ると、ほとんど期待していなかった富士山がありました。

愛鷹山、馬の瀬展望台
【31】撮影:16時31分=伊藤 幸司
ここが標高1,099mの三角点のある馬の瀬展望台。山頂でもないのに三角点があるというのは、展望台としては超一流ということでしょう。

愛鷹山、富士山遠望
【32】撮影:16時31分=伊藤 幸司
富士山はこんなぐあいに見えています。

愛鷹山、登山道、富士山遠望
【33】撮影:16時36分=伊藤 幸司
富士山と向かい合いながら下る楽しさがこれからはじまります。

愛鷹山、ヤマボウシ
【34】撮影:16時37分=伊藤 幸司
ヤマボウシのかなり大きな木が1本、ありました。

愛鷹山、ヤマボウシ
【35】撮影:16時38分=伊藤 幸司
これはきれいな状態のヤマボウシの花。白い花びらに見えるのは総苞片(花茎の根元で花の生育を助ける葉)で、花そのものはそれに抱かれた淡黄色の球状のもの。小さな4弁花がたくさん集まって花束ボールを作っているということです。

愛鷹山、富士山遠望
【36】撮影:16時41分=伊藤 幸司
刻一刻と富士山麓に下っていきます。

愛鷹山、登山道
【37】撮影:16時42分=伊藤 幸司
おそらくこのあたりから、裾野に続く森林帯になってきたということでしょうか。

愛鷹山、登山道、富士山遠望
【38】撮影:16時43分=伊藤 幸司
ともかく、刻一刻と写真をとっておきたい気分です。この日参加した人たちにとって、どの写真が記憶と重なるものになるか、わかりません。

愛鷹山、ウツギ
【39】撮影:16時48分=伊藤 幸司
ウツギの花が咲いていました。白い花弁が5枚。オリジナル写真を拡大して見ると花糸(雄しべの軸)に平べったい翼状のものがついているのがよく見えます。

愛鷹山、ノイバラ
【40】撮影:16時48分=伊藤 幸司
ノイバラの花はこんな状態でした。

愛鷹山、ノイバラ
【41】撮影:16時48分=伊藤 幸司
ノイバラの花は老いの色を隠しませんが、画面中央にはまだ白い花弁を残しているものがあります。花の命は短くて……といいますが、山歩きでは花の人生を感じることがしばしばです。

愛鷹山、登山道
【42】撮影:16時51分=伊藤 幸司
山麓風景に入り込んだら、富士山が姿を消してしまいました。今回始めて参加した人がいたので、階段状のこの部分で、ダブルストックを使うと安全かつスピーディ、かつヒザへの負担をかけさせない下り方をデモンストレーション。これはみなさんを一気に追い抜こうという、そのスタート直前の写真です。

愛鷹山、御殿場、食事
【43】撮影:19時34分=伊藤 幸司
御殿場へ出て、最後の富士山を期待して市営温泉会館へ。その後駅前の妙見で鱒の姿寿司。



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