山旅図鑑 no.165
大室山
2017.9.26

山旅図鑑目次



糸の会(no.1052)
2017.9.26
大室山


64パワー
登り28p→稜線13p→下り23p



*西丹沢の大物です。この時期に大物を日帰りで計画する場合は、最後に夕闇に捕まる危険があります。私の計画書では日の出と日の入りの時刻を必ず入れていますが、この日は0532と1733でした。国立天文台の各地のこよみにある神奈川県(横浜)の時刻です。
まだ夏の気分が抜けないでいると、この時期の太陽は「つるべ落とし」です。日没から1時間は空の明るさを頼りに歩けるはずなのですが、登山道の場合は下山の最後が深い森の中ということも多く、無灯火で歩ける時間として保証されているわけではありません。でもその時間帯に、安全の範囲ギリギリまで無灯火で、肉眼の能力をフルに使って歩いてみるという体験はものすごく重要です。じつは人間の目は自分が考えているよりはるかに高い能力を持っているということを知ることができるからです。
もし予定が遅れるような場合には、それを逆手にとって夕闇に追いつかれる体験ができる山として、大室山を何回か計画してきました。ところが今回は道志の湯がお休みだったのです。暗くなってもそこに飛び込めれば、藤野からタクシーを呼ぶ間にゆっくりと湯に浸かれる……という「安全弁」がなくなったのです。
結局、西丹沢自然教室バス停発1715という帰路の最終バスを捕まえられるかどうかというお尻を押さえられた計画になりました。安全弁として中川温泉の中川タクシーとのコンタクトも進めましたが。
そういうトレーニング系の山、どちらかというと単調な山として、私はとらえていたのですが、じつは今回、想像以上に楽しい発見が多かったのです。


・0940……用木沢出合を出発(標高約600m)
・1030-35……休憩(標高約850m)
・1110-20……犬越路避難小屋で休憩(標高約1,050m)
・1215-25……休憩(標高約1,350m)
・1300……頂上稜線(ベンチ)に出る(標高約1,550m)
・1305……大室山山頂(標高1,588m)
・1310-20……頂上稜線(ベンチ)で休憩(標高約1,550m)
・1425-45……加入道山山頂で休憩(標高1,418m)
・1500……白石峠(白石沢への分岐)(標高約1,300m)
・1550-55……休憩(標高約950m)
・1630……用木沢出合(標高約600m)


今回の写真出展メンバー(提出順)は以下の2人です。

矢野 博子(7点)
伊藤 幸司(78点)



山旅図鑑 no.165
大室山
2017.9.26

大室山
【01】撮影:09時44分=伊藤 幸司
西丹沢方面へのバスは小田急線の新松田駅始発(JR御殿場線・松田駅が隣接)で便利なのですが、私たちは最近、タクシーを使うことが多くなっています。
千葉方面からの参加が多いので千葉駅発を06時30分ごろとしているため、この日も小田急線・新松田到着が08時36分、JR御殿場線・松田駅到着が08時46分となって平日08時11分のバスには間に合わず、次便は09時35分。通常ならバスに合わせて頑張るところでしょうが、最寄り駅から登山口までタクシー料金が中型で10,000円以下であれば、第2案として考えることにしています。
じつは西丹沢の場合、中川温泉の中川タクシーのご厄介になることが多いのです。ジャンボ1台で営業していて、定時の仕事の枠外でないとお願いできないのですが、大室山だと下山が17時15分(土休日も)の最終便に間に合わないと大ごとになります。下山を急いで事故を起こす危険を避けるためにも、安全弁として、中川タクシーとの間で利用の可能性を把握しておきたいのです。
ジャンボタクシーだと西丹沢自然教室バス停から1.5kmほど先の用木沢出合まで直行して11,600円ほど。今回は8人で1人あたり1,450円になりました。バスは県立西丹沢自然教室まで1,150円です。
……で、09時40分に用木沢出合を出発したのです。

大室山
【02】撮影:09時46分=伊藤 幸司
犬越路の避難小屋のところまでは東海自然歩道になっています。1973年(昭和48)に全線開通したあと、20年後ぐらいに各地で修復工事が行われたと思います。土地勘のない人が歩いても心配ないような配慮を感じられる道になっています。

大室山
【03】撮影:09時48分=伊藤 幸司
登山道が沢を渡るところで最もよく見るタイプの橋です。増水したときに失われないように流れ止めがついています。

大室山
【04】撮影:09時50分=伊藤 幸司
このあたりだったと思いますが、橋もない枝沢を渡るとき、ひざあたりまでの増水でひとりが転倒して出鼻をくじかれ、撤退したことがありました。

大室山
【05】撮影:09時56分=伊藤 幸司
ここなどはかなりしっかり造ったはずの橋がかつて破壊されたとわかります。山の鉄砲水の恐ろしさを直接体験することはあまりありませんが、雨の中を登るようなときには、万が一ここに戻ってきた場合を想像しておきたい光景です。

大室山
【06】撮影:10時02分=伊藤 幸司
シラヒゲソウがありました。ものすごく繊細な花で、最近ほとんど見た記憶がありません。

大室山
【07】撮影:10時03分=伊藤 幸司
シラヒゲソウの全体像を撮っておきたいと思ったら、丸い葉っぱの部分がボケてしましました。でも白い花がきちんと「白い色」に写ったのが収穫。一度で覚えられる花のひとつとか。

大室山
【08】撮影:10時06分=伊藤 幸司
沢が広がったのではありません。砂防ダムのために堰止められた土石が干上がったダム湖のように広い平地を造っていました。

大室山
【09】撮影:10時12分=伊藤 幸司
キノコは候補を絞る程度のことでもできれば十分な成果というところですが、ひょっとするとこれはエノキタケかも、あるいはセンボンイチメガサ。ネット上で写真を見ると、千本一目傘というのはビッシリと、驚くほど広範囲に広がるようです。そんな光景見たことないですけれど。

大室山
【10】撮影:10時14分=伊藤 幸司
これは盛りを過ぎているので、ネット上の写真群から探そうとしても無理。でも名前がわからなくたって、キノコとしてのこの風貌、シワに刻まれた歴史、ナイスミドルという印象の皺、そして肌の色。すっかり魅せられてしまいました。一瞬のことですけれど。

大室山
【11】撮影:10時15分=伊藤 幸司
なんと言うか、自然歩道ですから仕方ないのですが、完全に下界の発想、ですね。レールや建築資材を利用した橋はけっこうありますが、手前の階段が、なんとなく下界ふうの顔つきです。カッチリしたかった、だけかもしれませんが。

大室山
【12】撮影:10時17分=伊藤 幸司
スギの植林地ですが、新しい枝先が落ちていました。昨日か、一昨日、強い風が吹いたのだろうと想像しました。

大室山
【13】撮影:10時20分=伊藤 幸司
この脚立はだれが何のためにか? ということですが、丹沢にはこういう植生回復実験が各所で行われています。画面右端のプレートに「植生保護柵工」とありました。小さな文字はちょっとブレていてオリジナル写真でも読めません。この脚立は、調査する人がしばしば、か、時々か、あるいはいずれ、柵を越えるからでしょう。

大室山
【14】撮影:11時00分=伊藤 幸司
枝沢に入って、急登が始まりました。地形図によれば標高800mから標高1,050mの犬越路まで、標高差約250mの登りです。
登山道が1/25,000地形図の50mごとの太い等高線(計曲線)と接するごとに半径50m(地図上では半径2mm)の赤○を描くとこのあたりでは赤○が接しています。
つまり水平方向に100m進むと50m登る勾配の斜面だとわかります。計算上では約27度ですが、日本の山では谷から尾根に登る斜面は大方30度という傾斜です。ここではそれをほぼ直登していますが、富士山なら30度の斜面をジグザグに登っていきます。
その赤○1個を1パワー、それと(ここでは触れませんが)水平距離500mごとの青□も1パワーと数えると09時40分に出発した用木沢出合から14パワーで犬越路です。標準のスピードを8パワーを1時間で歩くとしているので1時間45分となり犬越路到着予定は11時25分となります。

大室山
【15】撮影:11時10分=伊藤 幸司
11時10分に標高約1,050mの犬越路に到着。10分休憩しました。
じつは用木沢出合から地図上で14パワーのこの区間を「平地を時速4km」(8パワー)で歩くという基本的な歩き方で歩いたとすると、出発が09時40分でしたから14パワー(1時間45分)で11時25分。犬越路での休憩の10分を加えてほぼ予定通りという見当。休憩時間を含めて時速8パワーならこの登山道で無理のない歩き方ができたということで、今後の進展に、当面不安は感じなくていい、という判断ができました。

大室山
【16】撮影:11時36分=伊藤 幸司
犬越路からは標高差約500mの尾根道です。標高50mごとの赤○の並びぐあいを見てみると勾配20度を基準にして時おり緩急のある道だとわかります。気持ちのいい風を浴びたり、周囲の山の展望があったりすればラッキーです。

大室山
【17】撮影:11時36分=伊藤 幸司
アザミがありました。西丹沢ビジターセンター(旧県立西丹沢自然教室)のブログでは2013年8月25日に「西丹沢自然教室の周りを歩いてみるとタイアザミが咲き始めているのを見つけました。今年初めてです。自分が初めて見つけたかなと思ったらハナアブやイチモンジセセリが蜜を吸いに来ていました」とありました。
2016.8.13の大山(発見写真旅116・写真No.29)で丹沢のアザミについて書きました。
丹沢山地で候補に上がってくるのは4種類という人がネット上にいたのです。トネアザミ(タイアザミ)、ホソエノアザミ、アズマヤマアザミ、フジアザミだというのです。
このアザミはたぶん、その3種類のうちのどれかだと思います。

大室山
【18】撮影:11時37分=伊藤 幸司
この白い野菊がなにかはわかりません。ゴマナ、ノコンギク、シロヨメナ、シラヤマギクあたりが候補だと思いますが。

大室山
【19】撮影:11時38分=伊藤 幸司
丹沢では驚くほどの老木が孤立して頑張っています。ここでもその1本が、まだ活力を失っていないのに(たぶん)風によってへし折られてしまいました。

大室山
【20】撮影:11時38分=伊藤 幸司
前の写真と同じ時間にもう1本、同じような年格好の老木がへし折られていました。

大室山
【21】撮影:11時49分=伊藤 幸司
これも、たぶん、トネアザミ(タイアザミ)かホソエノアザミかアズマヤマアザミのどれかだと思います。

大室山
【22】撮影:11時49分=伊藤 幸司
これがもし、大きく膨らんで白いバレーボールのようになるのであればオニフクベというのだと思うのですが、そうなるか、そうならないか、わかりません。でもずいぶんヘンなキノコ。

大室山
【23】撮影:11時50分=伊藤 幸司
立派な木苺ですが、じつは私はモミジイチゴ以外には、ほとんど関心がないのです。ネットで軽く見てみましたが、何イチゴなのかわかりません。

大室山
【24】撮影:11時54分=伊藤 幸司
地形図ではほとんど登り一辺倒の尾根道ですが、よく見ると標高1,200mと1,250mの間に小さな鞍部がありました。標高1,221mの水準点からほんのちょっと下るのです。

大室山
【25】撮影:11時55分=伊藤 幸司
何という名前のキノコだっていいのですが、丹沢の最後を支えている古木にみずみずしい色合いを添えています。が、キノコにとりつかれた木のほうの気分はいかが?

大室山
【26】撮影:12時00分=伊藤 幸司
この時期、黄葉が見られました。

大室山
【27】撮影:12時06分=伊藤 幸司
これはたぶんセンチコガネ。漢字で書くと雪隠黄金虫とか。コガネムシそのものではなくて、その近縁ということです。雪隠は便所のこと、成虫も幼虫も動物のフンや死骸に取り付くことから糞虫と称されているのがこの虫のようです。

大室山
【28】撮影:12時07分=伊藤 幸司
ここでは実と葉をかなりはっきり捉えました。どうもバライチゴのようです。

大室山
【29】撮影:12時08分=伊藤 幸司
気持ちのいい尾根道が続きます。この日は14時35分に加入道山の山頂で22度Cでしたから、まずは20度Cで薄日が差してそよ風あり、という気持ちいい環境でした。
ちなみにヤマビルについてはあまり考えないようにしています。が、西丹沢に関しては2007年の神奈川県衛生局の「ヤマビル生息マップ」では完全に白で、その後ニホンジカの生息域拡大とともにいくらかは進出してきたと想像するのみです。

大室山
【30】撮影:12時18分=矢野 博子
これは 最初の休憩場所。これと言って凄い場所ではないのに やはり 習性でしょうか シャッターを押していた。

大室山
【31】撮影:12時21分=伊藤 幸司
なぜか突然、ナナカマドが登場しました。しかも赤い実をつけていました。そしてこんなふうにヒョロヒョロと見上げる高さに。

大室山
【32】撮影:12時23分=伊藤 幸司
マムシグサです……といい切るには、ちょっと声が小さくなりますが、松江の花図鑑 では「同じ仲間にコウライテンナンショウ、ホソバテンナンショウ、アオテンナンショウなどがあるが、地方的な変異も多く、ここでは分けずにマムシグサとしている」としているので、臆せずに「マムシグサ」と言いたいと思います。ミミガタテンナンショウ、ウラシマソウは区別できますから。

大室山
【33】撮影:12時23分=伊藤 幸司
マムシグサは青春期には「火炎苞の中に肉穂状の花序」という特徴がありますが、老齢期にはこの真っ赤な実です。ひとつひとつ剥ぎ取られていくのか、こぼれ落ちていくのか、赤と黒という鮮烈な顔つきになります。

大室山
【34】撮影:12時30分=伊藤 幸司
大室山の登りはただ単調だと思っていましたが、今回は穏やかな陽射しのためか、なんとなく幸福感に包まれた登りでした。
でも実は計画としては大失敗。加入道山から北へと下って道志の湯に入っている間に藤野からタクシーを呼ぶという、時間に余裕のある計画のはずだったのですが、火曜が休館日でした。以前もそうだったかしら。
そこでやむなく加入道山から西丹沢自然教室方面へと戻らなくてはならなくなったのです。糸の会流の「毎時8パワー」(登りのペースですが)で計算すると、用木沢出合の上の白石沢キャンプ場が18時30分。下りで挽回できたとしても17時15分の最終バスにはたぶん間に合いません。私はそういう厄介な近未来のことは考えずに、この幸せ気分の登りをけっこう楽しみました。

大室山
【35】撮影:12時33分=伊藤 幸司
トリカブトが出てきました。でも植物図鑑の索引ではトリカブト属と出てなければ花名のトリカブトはないはずです。まあ、私たちが日帰りの山で見るのはヤマトリカブトと考えていいのでしょう。
それについては樹げむのTreeWorldに「ヤマトリカブト」があって「神奈川県では3亜種あるが基本種である本種が一番多い」とのこと。

大室山
【36】撮影:12時35分=伊藤 幸司
なんとなく、前方に山頂稜線らしい盛り上がりが見えてきました。犬越路から山頂までは15パワーですから約2時間、11時20分に犬越路を出ましたから、13時20分登頂予定となりつつあります。計画書では12時に犬越路を出て14時山頂となっています。

大室山
【37】撮影:12時35分=伊藤 幸司
まるで手入れの行き届いた庭園のような風景です。ササがきれいに刈り込まれているのは、ここがニホンジカの食事の場だからです。……ということはシカさんが振り撒いているヤマビルの生息域になりつつあるとも考えなければなりません。下山して、誰かがギャッ! ということになるかもしれません。

大室山
【38】撮影:12時40分=伊藤 幸司
リンドウが出てきました。中部地方以北の亜高山帯で見るリンドウは、たぶん多くがオヤマリンドウのようです。花弁は5裂です。

大室山
【39】撮影:12時40分=伊藤 幸司
振り返ると犬越路から向こう側にそびえる桧洞丸(ひのきぼらまる)が見えてきました。見える場所はこれまでもあったのですが、雲がかなり下まで下がっていました。

大室山
【40】撮影:12時40分=矢野 博子
この風景は 丹沢らしいのではないかと思って 撮影。遠くの山々が見えると やはり気持ちいい。

大室山
【41】撮影:12時42分=伊藤 幸司
なんというキノコかわかりませんが、これから徐々に勢いを増していくように見えました。

大室山
【42】撮影:12時42分=伊藤 幸司
ヤマトリカブトの葉がこんなふうにハッキリと見えました。かなりごつい印象の葉です。

大室山
【43】撮影:12時44分=伊藤 幸司
関東地方ではごく一般的なトネアザミ、だと思います。花(頭花)は横向きから斜め下向きと書かれていることも多いけれど、上向きに咲くこともあると説明するものもあって、結局判定基準とはならないようです。花の色も、本来はもっと赤紫色が強いのですが、これは花期の終わりだからか、色が抜けています。でも関東〜東海地方でポピュラーなアザミだそうです。

大室山
【44】撮影:12時44分=伊藤 幸司
さてこれはこの白い野菊がなにかはわかりません。ゴマナだか、シラヤマギクだか、という感じ。

大室山
【45】撮影:12時44分=伊藤 幸司
サラシナショウマも立派な花をつけた状態で登場しました。

大室山
【46】撮影:12時46分=伊藤 幸司
さてこれはアザミの密林。やっぱりトネアザミなんでしょうか。

大室山
【47】撮影:12時48分=矢野 博子
この日 山を抑えていたのは このトリカブトと 半分枯れかかったお化けみたいなアザミだった。トリカブトの群生は いたるところに見られたが この花が 可憐な感じからは程遠いのは 宿命かもしれないと ちょっと同情。

大室山
【48】撮影:12時49分=伊藤 幸司
なんの木かわかりませんが、秋の色です。標高1,500mラインでのこの時期の紅葉は、本格的な紅葉の先駆けとしていろいろ想像してしまいます。いざというときに枯れ葉が登山道を埋めているというような秋景色が近年多いように思います。「急な冷え込み」がくるかどうか。

大室山
【49】撮影:12時55分=伊藤 幸司
頂上稜線までもう一歩という気配。結果から言えばあと5分の登りです。

大室山
【50】撮影:12時59分=伊藤 幸司
荷物を置いて山頂往復です。こういう崩れ落ちる古木がいまや丹沢のシンボルとなりつつあります。

大室山
【51】撮影:13時01分=伊藤 幸司
トリカブト、たぶんヤマトリカブトですが、いわずとしれた毒草ゆえ鹿さんも食べられず存在感を示していました。

大室山
【52】撮影:13時04分=伊藤 幸司
ここで標高差約1,000mという大きな登りが終わりました。登りで無理をするとそのツケが下りのどこかで出てきます。私たちは「10分交代」で自分の気持ちいいペースを体験すると同時に、無理をしないペースで遅れても10分後には全員集結できる……という(たぶん)独自の方式で、一律のペースメイクから開放されました。

大室山
【53】撮影:13時08分=伊藤 幸司
立派なトリカブトたち。トリカブトはいつもいろんな植物の中で、競合しながら自己主張しているという印象が強いのですが、ここではトリカブトの純林という感じがします。

大室山
【54】撮影:13時10分=伊藤 幸司
13時00分に登りきった頂上稜線。ベンチがあります。頂上を往復して、13時10分から10分間休憩しました。

大室山
【55】撮影:13時14分=伊藤 幸司
さあて、これがトネアザミかどうかわかりませんが、トネアザミ(タイアザミ)、ホソエノアザミ、アズマヤマアザミのどれかだといいのですけれどね。

大室山
【56】撮影:13時17分=伊藤 幸司
テンニンソウですよね。普通のイメージでは一面にびっしりと広がった葉の海から、トゲトゲ飾りの白っぽい穂を立てています。なんだかこれは落ちこぼれふうのテンニンソウ。なんでテンニンソウなのか、名前のイメージとまったく合致しない姿が独特です。

大室山
【57】撮影:13時27分=伊藤 幸司
枯木に進出してきたこのキノコ群。まだパラパラと生えているだけですが、いずれここに王国を築こうとしているような気配を感じました。

大室山
【58】撮影:13時27分=伊藤 幸司
念のためにちょっと立ち止まって裏側をアップで撮っておきました。縁の白い線も特徴のひとつかもしれません。でもほんとうは、根元の柄の付け根部分をもっとしっかり見ておけばよかった……ようです。

大室山
【59】撮影:13時27分=伊藤 幸司
このキノコ、こんなふうに枯木にまとわりつく光景をネット画像で見ているうちに、ヒラタケの仲間ではないかと思いました。
ウィキペディアによるとヒラタケはかつて「おがくず菌床栽培」でシメジとして流通していたけれど、ブナシメジに追われ、現在では「袋栽培などによって、ビン栽培よりも傘が大きい野生の形状に近い姿に仕立てることによって、再び市場に出回るようになった」といいます。
……で、その野生のヒラタケと似ている毒キノコの例がありました。東京都福祉保健局の食品衛生の窓にツキヨタケの食中毒事例があり「採取者は10年以上のキノコ採取歴を持ち、ツキヨタケの毒性や形態について知識がありました。しかし、今回は柄の付け根部分を切断したため、ツキヨタケの典型的な特徴の黒いシミが確認できず、色も薄かったため食用のヒラタケと間違えてしまいました」とあります。
キノコ図鑑によると「ツキヨタケは主にブナやカエデ科の木の倒木やそれらの木の枯れたものに発生します」「ツキヨタケのカサは大きさが直径10〜25cmほどで表面の色は暗褐色から紫褐色、表面にはロウ状の艶が見られ、形は幼菌時は扇形ですが成長するにつれて半円形または腎臓型に変形していきます」とのこと。さらに「ツキヨタケはシイタケ、ムキタケ、ヒラタケなどと似ている為、山地の森などで見つけたキノコがそれらの種類のキノコだと特定した場合でもツキヨタケの疑いが少しでもある場合は口にしない方がよいでしょう」とあります。
ツキヨタケは夜にはほのかに光るとのことですが、ヒラタケ、シイタケ、ムキタケの野生種との区別がつきにくい、ということは、そのいずれもがこんなふうな顔つきだということのようです。

大室山
【60】撮影:13時27分=矢野 博子
センボンヤリという花に似てますが 分かりません。花が少なかった今回の山行 貴重な白い花です。

大室山
【61】撮影:13時27分=矢野 博子
大室山を過ぎると この様な木道が何ヵ所か現れてきた。ここに映っているのは 状態のよい木道で 歩きやすかったが 大半は 荒れていて 訪れる登山客が少ない為か 整備されておらず 下山路はかなり悪路で 難儀しました。雨が降っていたらさぞかし 大変だろうなと段差の大きな箇所に出会う度に思った。

大室山
【62】撮影:13時28分=伊藤 幸司
これは、山頂から下る稜線の木道を覆うように茂っていたクズの葉を見上げて撮ったのだと思うのですが、そんなところに果たしてクズがあり、しかも山を覆い尽くすような元気があるのかと心配になりました。
調べてみると西丹沢自然教室のブログに用木沢やこれから下る白石沢でクズの花が咲いたという報告がありました。標高1,500m前後のこの高さまで登ってくるのかどうか、自信がありませんが。

大室山
【63】撮影:13時29分=伊藤 幸司
この大室山と、お隣の桧洞丸の山頂付近にはこういう木道が伸びています。一時期踏み荒らしがあったのだろうと想像されます。その木道周囲ではマルバダケブキが存在感をなくして、トリカブト(ヤマトリカブトでしょう)が繁栄の盛りという感じでした。

大室山
【64】撮影:13時31分=伊藤 幸司
なんとも立派なトリカブトです。いちおう無難なところでヤマトリカブトとしておきたい、のです。
トリカブトは高山帯のお花畑でも常連ではありますが、これほど立派な全身を見せてくれる場面にはなかなか出会わないと思います。あまりにも立派なので、別の名前があるかもしれないと思ったりしています。
加入道山・大室山 〜雲の中の花畑〜には──このトリカブト、葉が深く避ける様子からするとハコネトリカブトだと思います。ここから上、大室山の山頂までずっと咲いていました──とありました。yamanekoさんはかなり花に詳しいようなのですが、念のために山川草木図譜を見てみるとハコネトリカブトをこう説明してありました。──箱根の山岳に生える、「ヤマトリカブト」の変種で、小型で茎が直立し葉の切れ込みが深い種類です。実際、葉の形が「ヤマトリカブト」より細長く切れ込んでおり「ホソバトリカブト」よりも厚みのある感じです。しかし、最近ではヤマトリカブトと種類的には同じものの、生育場所の環境によって生じる変異と見なされてきているようです──とありました。

大室山
【65】撮影:13時33分=伊藤 幸司
登山道が狭まっているという感じですが、理由は左側に続く金網。植生実験の鹿柵です。右側もけっこうな繁茂という感じですが、それは毒草のトリカブトだけで、その先は樹林の林床はかなり見通しのいい状態です。鹿さんの草刈り場になっているわけです。

大室山
【66】撮影:13時35分=伊藤 幸司
マルバダケブキがありました。かろうじて、という感じで。

大室山
【67】撮影:13時37分=伊藤 幸司
ここはトリカブト(ヤマトリカブト)とアザミ(トネアザミ)のジャングルというべきでしょうか。

大室山
【68】撮影:13時39分=伊藤 幸司
標高約1,350mのところに大室山と加入道山の鞍部があって、そこに向かって下っていきます。じつにしっかりした階段です。

大室山
【69】撮影:13時42分=伊藤 幸司
この傾斜はかなりのものです。地形図上の3本の等高線、1,500m,1,450m,1,400mとの交点を中心にして半径50mの円を描くと3つの円がきれいに接して並んでいます。水平距離100mで50mの登り・下りですから約30度(26.56度)の斜面だとわかります。そこをあまり大きなジグザグをつけずに下っていきます。
以前、雨でも降れば滑りやすく、登山者は道の脇に新しい道を探したにちがいありません。それが続くと道路はどんどん広がってしまいます。豪雨になると道が川になりますから、一瞬にして道が溝になってしまいます。
そこでの道路修理はなかなかの難工事で、木道や階段をかぶせても、その全体があっというまに流されるという例がいくらもあります。構造物の下が川になる状況を放置したら、山の天気はその程度のものは一気に崩壊させてしまいます。
この階段もそういう危険を感じながら作られたのでしょうが、支柱などが頑丈に打ち込まれ、恐らく雨の日に流れる水流をこまかく外に流し出すようにきちんと配慮されているのでしょう。水抜きなしに登山道の整備はありえない、という常識で登山道を見るのが常識となってほしいのです。登山者はそれをどんな目で見ながら登り・下りしているかといつも思います。

大室山
【70】撮影:13時43分=伊藤 幸司
まだ下りきっていないところで、ふたつのピークが見えました。手前が前大室というピークのようで、その奥が加入道山(標高1,418m)です。

大室山
【71】撮影:13時52分=伊藤 幸司
ここでも巨木が生命力を失って、風にへし折られたかのような現場がありました。大雪で圧殺された場合は広げた枝の重みで上から押しつぶされるので幹が完全に踏み潰された状態になります。ここでは張り出した枝が根元でポキン、ポキンと折れたようなので、強風に激しく揺すられた、というようなことでしょうか。弱っていた枝だったかもしれません。

大室山
【72】撮影:13時54分=伊藤 幸司
またありました。ツキヨタケか、ヒラタケ、シイタケ、ムキタケかというキノコです。

大室山
【73】撮影:14時05分=伊藤 幸司
ここで初めて見たように思います。フジアザミです。

大室山
【74】撮影:14時05分=矢野 博子
アザミの仲間で 一番大きいというフジアザミ。多分 初めての出会い。確かに 大きな花。山で 出会う花は 大きい物より 小さい方に目が行ってしまうが 流石にこの花には 圧倒され 素通りできなかった。

大室山
【75】撮影:14時06分=伊藤 幸司
標高約1,350mの鞍部まで下って、いよいよ登りにかかります。マムシグサがありました。

大室山
【76】撮影:14時13分=伊藤 幸司
これは確か、前大室からの小さな下りだったと思います。

大室山
【77】撮影:14時24分=伊藤 幸司
加入道山の長い頂上部分に出ました。前方に山頂らしい雰囲気が出てきました。

大室山
【78】撮影:14時37分=伊藤 幸司
山頂の一郭にまたへし折られた古木がありました。

大室山
【79】撮影:14時49分=矢野 博子
気持ちの良い空間だった。湿気と暑さに閉口して歩いたここ数回の山歩きに比べると 今日の空気は 澄んで 軽かった。荷物の軽きことは かくも良きことかと 改めて痛感。今まで8kg前後の荷物だったが 今回は 6.5kgに減量、二割減だ。出発が 予定より早かったせいもあってか 日没につかまらず 下山。 深夜帰宅を覚悟して出かけたが 新松田駅では イタ飯まで 味わう時間があった。

大室山
【80】撮影:14時50分=伊藤 幸司
いよいよ下りが始まりました。本来ならこの先で右手に下り、道志の湯で帰路のタクシーの時間待ちをしたかったのですが、休日に当たって断念、白石沢を下って出発地点の用木沢出合へと出ます。加入道山を出たのが14時45分で用木沢出合の手前、白石沢キャンプ場までが23パワーありますから1時間8パワー(登りの標準係数)で約3時間、下りの標準係数を登りの7割として1時間11パワーとすると約2時間と出ます。白石沢キャンプ場から用木沢出合を経て西丹沢自然教室バス停までは車道ですがさらに約2,5km歩きます。
強気の計算なら車道歩きの2.5kmを30分として17時15分(土休日も)の最終便に間に合うかどうかというところです。
でも、普段より大きな山に登っての下りですから、ペースを落としはしても、上げるのは厳禁です。余裕なしに下るには、やはり大きな下りだから。リーダーはむしろ下山に関する次の手を用意しておく段階だと思います。
そこでこの山頂稜線から外れる前に、携帯電話の電波をさぐり、中川タクシーにおおまかな連絡と、下ったところの電波状況など、簡単ながらできる範囲でこちらの状況を説明しておきました。そして先方の空いている時間ならこちらの下山を迎えてくれることを確認しました。その事に対してタクシー料金を払っても、保険と考えれば安いものになります。

大室山
【81】撮影:14時54分=伊藤 幸司
前方に道標が見えます。右手に下れば道志の湯、まっすぐ下ればもう少し先に白石沢への下りがあります。このブナらしい倒木に人生を賭ける白いキノコは、ひいき目かもしれませんがヒラタケのようにも思われます。

大室山
【82】撮影:15時58分=伊藤 幸司
尾根から急斜面をジグザグに下って、白石沢に出ました。ここからの道が歩きやすければ平地歩きに近いスピードが出ますが、悪い足場が続くととんでもない時間がかかったりします。

大室山
【83】撮影:16時13分=伊藤 幸司
沢を右から左へと渡りながら河岸に道を探っていくという感じです。

大室山
【84】撮影:16時18分=伊藤 幸司
頂上からおよそ1時間半でここまで来ました。登山道はもうほとんど終わりです。意外にも最終バスには間に合いそうな時間で下ってきましたが、このとき私の手には2つの可能性がありました。
中川タクシーが夕方の定時の仕事前、16時30分から中川温泉への送りだけなら可能、そして入浴後なら新松田駅への送りも可能ということで、16時30分までに用木沢出合まで行ければジャンボタクシーが待っているのです。もしそのままさらに30分ほど歩けばバスにも間に合うというめどが立ってきたのです。バスなら山北駅にさくらの湯があります。私たちはさらにこまかな打ち合わせを携帯電話でできたので、中川タクシーを選びました。

大室山
【85】撮影:19時22分=伊藤 幸司
中川温泉のぶなの湯にゆっくりと浸かり、タクシーで新松田駅近くのイタリアン・チェルトホノボーノへ直行。店がガード近くにあったころは店が小さくてなかなか入れず、現在地へ移ってからは人気店になって帰りがけでは席がとれない状況になり、最近はむしろ小田原へ出てしまうことが多くなりました。今回はメインテーブルが空いていました。
しかも最近は商売が上手になって、私たちにはセットメニューを強く勧めてきました。



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