山旅図鑑 no.200
八ヶ岳
2018.6.19-20

山旅図鑑目次


糸の会(no.1089)
2018.6.19-20
八ヶ岳
74パワー

1日目……登り28p
2日目……下り46p(計画変更により)

*当初の目的は横岳のツクモグサとお花畑。赤岳からの下りは県界尾根で、大天狗までのクサリ場で糸の会のセルフビレイ(自己確保)を実験したいと考えました。
*糸の会の最初の頃には、岩場での安全を確保するためと称して皆さんにロープ(スリング)とカラビナを持ってもらうようにしていましたが、いつしかその習慣が消えていました。クサリ場などでちょっと難易度が高いと思われたときにはリーダーがプルージック輪やクライミングロープを出すことで処理するようになっていました。
*ところが創設期のメンバーだと20年以上のお付き合いになるという高齢化が私にも訪れて、クサリ場での安全確保をもうすこしきちんとしなければと思うようになりました。
*そこで、できれば使わないで終わる場合でも仰々しくなく、一定の安全を確保できる方法はないかという使用実験として赤岳のクサリ場を考えたのです。
*じつは8月の小屋泊まり(針ノ木岳)で本格的に使用することで、参加条件を絞らずにすむようにしたいとの考えもありました。若いときにはあまり心配しなかった「ひょっとして?」という不安が岩場ではだんだん大きくなってきたからです。
*ところが結局、2日目には悪天候で、硫黄岳山荘から来た道を夏沢峠まで引き返して、本沢温泉、しらびそ小屋経由で稲子湯まで下ったのです。

第1日(6月19日)
・1050……桜平駐車場(中)を出発(標高約1,800m)
・1140-55……夏沢鉱泉で休憩(標高約2,050m)
・1250-1315……オーレン小屋で昼食休憩(標高約2,300m)
・1345……夏沢峠(標高約2,400m)
・1420-25……休憩(標高約2,600m)
・1500-05……硫黄岳山頂(標高2,760m)
・1525……硫黄岳山荘到着(標高約2,650m)
第2日(6月20日)
・0635……硫黄岳山荘を出発(標高約2,650m)
・0700……硫黄岳山頂(標高2,760m)
・0900-20……本沢温泉で休憩(標高約2,100m)
・1050-1120……しらびそ小屋で休憩(標高約2,050m)
・1300……稲子湯到着(標高約1,500m)

今回の写真出展メンバー(提出順)は以下の4人です。

矢野 博子、三浦 陽子、小林 美子、伊藤 幸司



山旅図鑑 no.200
八ヶ岳
2018.6.19-20

八ヶ岳=登山
【撮影】09時07分=矢野 博子
行きのあずさの車窓からの Mt Fuji。雪がすっかり溶けて既に黒い山肌。まずは 富士山が 拝めて幸先のよいスタートと期待がかかりましたが・・・

八ヶ岳=登山
【撮影】10時08分=矢野 博子
去年登った蓼科山。大きな岩がゴロゴロしていて 結構 下りが大変だったのを 思い出しました。他の山並みから少し離れているので 結構 目に付く山です。

八ヶ岳=登山、シャクナゲ
【撮影】10時46分=矢野 博子
タクシーを下車した駐車場には こんな 立派な黄色の石楠花が。脇には 沢山の花芽のついた枝もありました。

八ヶ岳=登山
【撮影】10時47分=伊藤 幸司
タクシーは「桜平の中・駐車場でいいですか?」と何回も念を押したので、とりあえず「いいですよ」と答えたらここ。新しく整備された場所らしく、トイレも新品という感じ。桜平まで600m手前ということでした。それよりもなによりも嬉しいのはこの天気。スバラシイ!

八ヶ岳=登山
【撮影】10時49分=矢野 博子
予報に反して 抜けるような青空の桜平。良いほうに天気予報が外れても 文句言う人はいないけど 何か最近の予報は 結構外れる気がするけど 私だけだろうか そう感じているのは。

八ヶ岳=登山、アズマシャクナゲ
【撮影】10時52分=伊藤 幸司
まだ車道なのに、シャクナゲがありました。
「熟年夫婦の山日記」の「花随想」の「ハクサンシャクナゲ」にアズマシャクナゲとの見分け方が書かれていました。
【長い間,アズマシャクナゲとハクサンシャクナゲをどのようにして見分けたらいいのか悩んでいた。高山植物の本に,「葉の裏に茶色の毛が密生しているのがアズマシャクナゲ」と書かれていたのを頼りに,葉の裏を見ていたが,どうもはっきりしない。決定的な違いが見いだせない。
最近になって,植物図鑑を詳しく読み,決定的といえる違いを見つけた。それは,葉の付け根の構造だった。アズマシャクナゲでは,葉の縁が流れるように葉柄に繋がっている。それに対して,ハクサンシャクナゲでは,葉の縁と葉柄が90度以上の角度で接していることだ。さっそく,実際に山に登って実際の葉で確認すると,その違いは明確だった。長い間の疑問が解決した。】
アズマシャクナゲです。

八ヶ岳=登山、アズマシャクナゲ
【撮影】10時52分=伊藤 幸司
アズマシャクナゲの花。
ウィキペディアの「アズマシャクナゲ」には花についてこう書かれています。
【花期は5–6月で、枝先に総状花序を伸ばし、5–12個の、5裂した漏斗状鐘形の花をつける。花の色は紅紫色で、蕾のうちは色が濃いが、開花するにつれ薄くなる。雄蕊は10本ある。】
ちなみに同じウィキペディアでハクサンシャクナゲの花についてはこう書かれています。
【花は白から淡い紅色で、内側に薄い緑色の斑点がある。】

八ヶ岳=登山、サラサドウダン
【撮影】10時53分=伊藤 幸司
サラサドウダンも出てきました。小さな木ですけれど、なんか、元気さを感じました。

八ヶ岳=登山、サラサドウダン
【撮影】10時53分=伊藤 幸司
サラサドウダンの花のアップ……には十分でなかったと思いますが、オリジナル写真を拡大してみるとものすごくきれい、そして、パワフルです。

八ヶ岳=登山、ヤマツツジ
【撮影】10時54分=伊藤 幸司
ヤマツツジもとても元気。気持ちいい花飾りです。

八ヶ岳=登山、シロバナノヘビイチゴ
【撮影】11時03分=伊藤 幸司
これはシロバナノヘビイチゴですが、最近はノウゴウイチゴとの違いに関心がでてきました。
「山野草を育てるNori & Wako」に「シロバナノヘビイチゴ(白花の蛇苺)とノウゴウイチゴ(能郷苺)の比較」がありました。
【よく似ていますが、シロバナノヘビイチゴが、花弁、萼弁、副萼弁は5個なのに対して、ノウゴウイチゴは花弁、萼弁、副萼弁は7〜8個と多く、小葉が灰緑色、裏面は白色であることから違いが分かります。】
その2種類を手元で育ててみようとした人がいました。「ちゃたろうな日々」に「国産野苺 ノウゴウイチゴとシロバナノヘビイチゴ」(2009年06月30日)がありました。
【一月ほど前のこと、衝動買いだとは分かっているのに、通販でイチゴ苗を色々と買った。
イチゴと言っても、園芸種でなく、自生種、原種系。
いろいろイチゴについて調べているうちに、ふと
「そういえば昔、登山道の脇で、自生種のオランダイチゴ系のイチゴを見たことがあった。」
と思い出した。
その当時は、それが何という種類か知っており、
「おお〜〜!これがあの×◎×△イチゴ!」とえらく感激したのだが、
今思い返すと名前が・・・・どちらだったか・・・汗。
どこで見たかの記憶もオボロなので、分布域で決定できない。
こうなったら自分で実物を観察するしかない。
で、本州に自生する二種類の容疑者^^をピックアップすることになった。
あのときは食べなかった赤い実を食べてみたいし。

で、やって来たのがこの二種類。
ノウゴウイチゴ(左・能郷苺)とシロバナノヘビイチゴ(白花の蛇苺)。
どちらも「ヘビイチゴ」の仲間ではなく、果物のイチゴと同じ「オランダイチゴ」属
学名は
岐阜県能郷村で発見されたことにちなむ和名のノウゴウイチゴが Fragaria iinumae(イイヌマさんが見つけたのかな?)
シロバナノヘビイチゴが Fragaria nipponica(ニッポニカ・・・)と、どちらも生粋の国産風。
記憶にある登山道脇のイチゴの姿と良く似た、栽培イチゴのミニチュア版のようなとてもかわいらしい画像がネットで見られる。
かわいいだけじゃなく、洋モノ苺、ワイルドストロベリーよりもおいしいらしい。(ここが重要)
来年、花の時期と実の時期、実物二種を実際に比較してみれば、どちらだったか解明できるに違いない。

シロバナノヘビイチゴは山野草を専門に扱っているショップから購入。
大事に包装されて無事に届く。
ポットで根が落ち着くまでしばらく待ってから出荷との連絡で、少し待っただけあって
小ぶりながら葉の多く出た、元気な良い苗が来た。
嬉しい事に花もついている。

そしてノウゴウイチゴ・・・・
山菜を扱っているショップから。
「ノウゴウイチゴ10株、定形外郵便でお届けします」とのメールが来た。
??10株だよ?・・?・・?・・・・?定形外???
本当にポストに届いた・・・。
チャックつき食品パックに入ってる。
畑から掘りたてをお届けします。冷蔵庫に保管してお早めにお召し上がりください・・・・って感じ。
爆笑してしまった。

翌日ばらして(笑)みると、畑から抜いて束ねただけのような、ますます山菜風。
小さいのや大きいの、長い根のものやほとんど「根無し草」のも。
ちょっとしなび加減の苗もあったが、あとから数えると11株あったので文句はない。
結局しなびた苗も復活し生き延びたし、ことごとく予想外の展開がとても楽しい荷物だった。

この二種類、一株あたりにすると価格は5:1
それぞれの価格に納得の面白い買い物だった。
それにしても、繁殖力の強い植物らしい・・・。どんどんランナーが出て来る。
シロバナノヘビイチゴなんて、そもそも八ヶ岳に特に多いらしいし、
大丈夫だろうか、常時監視できない小屋の庭に植えても・・・。
ま、いいか、苺畑なら。

7/2追記
国産野苺の学名は正確には
Fragaria iinumae Makino
Fragaria nipponica Makino・・・らしい。
Makinoは有名な植物学者、牧野富太郎博士にちなむ。
ノウゴウイチゴは牧野さんの発見。・・・イイヌマって人名じゃないのかな?
書き忘れましたがシロバナノヘビイチゴの別名は モリイチゴ(森苺)。・・・メルヘン♪】

八ヶ岳=登山
【撮影】11時04分=伊藤 幸司
「中・駐車場」からだとこの道を600m歩くわけです。

八ヶ岳=登山、オサバグサ
【撮影】11時32分=伊藤 幸司
オサバグサが出てきました。北八ヶ岳では楽しみな花が、もうここで出てきました。
「図鑑.jp」というサイトに『先週、北八ヶ岳で「オサバグサ」を見てきました』(2018年06月27日、ねこねこさん)という投稿がありました。
【オサバグサ (ケシ科オサバグサ属)【筬葉草】
( Pteridophyllum racemosum )
一属一種の日本固有種で、中部から東北にかけての亜高山の針葉樹林内に隔離分布する変わった植物です。
葉がどう見ても羊歯類としか思えないような櫛の歯状で、この形が機織り機の横糸を押し込む器具の「筬(おさ)」に似ているというのが名の由来だそうです。
一本だけ立ち上がって、まばらに白い花を吊るす花序は、薄暗い針葉樹林の林床に点々と浮き上がって見え、幽玄な雰囲気です。
純白の花は一見釣鐘状の合弁花に見えますが、実は2弁+2弁が重なり合った4弁の離弁花です。
ケシ科とされていますが、何にも似ていない特殊な植物に見え、「オサバグサ科」という独立の科とする説もあるようです。】

八ヶ岳=登山、キバナノコマノツメ
【撮影】11時34分=伊藤 幸司
キバナノコマノツメもありました。
ウィキペディアの「キバナノコマノツメ」には次のような解説がありました。
【和名にスミレが付かない、数少ないスミレの種である。和名の由来は、黄色の花で葉の形状が馬の蹄(駒の爪)に似ていることから。】
【花期は6-8月。直径1.5-2 cmの花弁は黄色の花を一つ付ける。唇弁は大きく褐紫色の筋が入り、上弁と側弁がそり返る。】

八ヶ岳=登山、夏沢鉱泉
【撮影】11時37分=伊藤 幸司
夏沢鉱泉がありました。ハハ〜ン、だからここまで車の通れる道ができていたんだ、と桜平以降もゲートの閉まった林道が続いていた謎が解けました。

八ヶ岳=登山、夏沢鉱泉
【撮影】12時03分=矢野 博子
シロバナノヘビイチゴの群落が左手に現れてきた。結構 豪華な感じ。山歩きを始めた10数年前は 花に出会うと先輩の山友が歓声をその度あげていて “何で?”と その理由が分からなかったが 10数年経ってみると その気持ちが良く分かるようになった。山で出会う花にどれだけ癒されてきているか その存在は大きい。

八ヶ岳=登山
【撮影】12時04分=伊藤 幸司
標高約2,050mの夏沢鉱泉を出たすぐ上で、下ってくる軽トラックとすれ違いました。荷台にザックがあったので、助手席の男性は登山客に思えましたが、山仕事の職人さんが登山者を桜平方面まで乗せていってあげようというヒッチハイクが成立したよう見えました。でも道は登山道になったので「どうして?」と思っていると、はっきりと轍のついているところが出てきました。それからは登山道に轍を探しながら登ることになりました。

八ヶ岳=登山、シロバナベニイチゴ
【撮影】12時08分=三浦 陽子
登山道の両側にシロバナベニイチゴが溢れるように咲いていた。

八ヶ岳=登山、シロバナノヘビイチゴ
【撮影】12時09分=伊藤 幸司
白い花が群生しています。シロバナノヘビイチゴです。

八ヶ岳=登山、スギゴケ
【撮影】12時15分=伊藤 幸司
スギゴケの仲間と、カタバミらしい葉っぱです。スギゴケはスギゴケとしておくのがいいように思います。
ウィキペディアの「スギゴケ」にはこう書かれています。
【スギゴケやその近縁種は日本では比較的海抜の高い場所に見られる。身近に見られるスギゴケとされる種の多くは、コスギゴケ(Pogonatum inflexum、カギバニワスギゴケとも)であることが多い。また、大型で10cmを越えるウマスギゴケ(Polytrichum commune Hedw.)やオオスギゴケ(Polytrichum formosum Hedw.)が日本庭園によく使われている。】
「苔園芸の情報サイト〜苔日和」の「【苔の図鑑】スギゴケとは」(2015/04/26)というのに「基本データ」というのがありました。
【種類:スギゴケ(ウマスギゴケ/オオスギゴケ)
分類:スギゴケ属 < スギゴケ科 < スギゴケ目 < スギゴケ網 < マゴケ植物門
分布:九州〜北海道、世界
場所:低地〜高山の明るい地上
仲間:コスギゴケ、タチゴケ、ハミズゴケ
特徴:色は黄緑〜緑。直立性で茎に厚く細い葉が並び、杉のように見える。年に3〜5cm伸びることもあり、発達したコロニーでは高さ20cmに達する場合もある大型の苔。】
カタバミの葉っぱに関しては「阿波の野草散歩」というサイトに「ミヤマカタバミ」がありました。
【山地で見られるこの仲間には、他にコミヤマカタバミとオオヤマカタバミがあります。葉の形は、上の写真のようにオオヤマカタバミの葉先はスパッと切れたような切形で、コミヤマカタバミの葉は丸く、ミヤマカタバミの葉は両者の中間といった感じです。ミヤマカタバミの葉裏には毛が密についています。】
するとこれはどうもコミヤマカタバミのようです。あとで紹介する予定ですが、八ヶ岳オーレン小屋の「開花状況早見表」にはコミヤマカタバミがリストアップされています。

八ヶ岳=登山
【撮影】12時30分=伊藤 幸司
なかなか手入れの行き届いた登山道……なのですが、車の轍がついています。でもそれより、私が注目したのは道を横断して軽く掘られた溝です。これだけ理屈をきちんとわかって用意された排水溝は、これまで歩いてきた1,500山でほどんど見ていません。道路補修を考えながらこの道を歩いている人がいるという最高の証拠です。
どういうところがすごいかというと、上から流れ下ってくる水に早く自由にしてあげたいというささやかな「出口」を用意しているということ。雨水の気持ちになって作っています。だから水がチョロチョロと流れ始めたときから「どうぞこちらへ」と落としていけるのです。
高尾山や箱根では立派な排水溝を作って、それが登山者の邪魔にならないように枠取りしたりしています。丹沢の表尾根(バカ尾根)では路面を削って新しい道を強引に作っては壊され、いたちごっこになっています。
この道を見るもうひとつの注目点は路肩側に盛り上がりがないということです。それは北アルプスの扇沢から種池山荘に登る柏原新道と同じです。長年にわたって細かく細かく補修してこなければ道がこういう状態で残されているはずがありません。
水が集まって破壊力を持つ前に、ちょっとずつ、自然に道から逃げられるようにしてやるのが登山道整備の基本だと考える場合の良いお手本がここにありました。

八ヶ岳=登山
【撮影】12時41分=伊藤 幸司
ここにはみごとな轍。さきほどすれ違った四駆の軽トラックとはどうみても違います。あとでオーレン小屋で聞いたところによるとジープも使っているらしく、この道はたとえばジープが堂々と往来して、三ッ峠山の四季楽園と三ツ峠山荘の荷揚げ道となっている登山道、あるいはジープ型軽自動車で荷揚げしている大菩薩峠の介山荘への道と同様の荷揚げ道路だったようです。

八ヶ岳=登山、オーレン小屋
【撮影】12時44分=伊藤 幸司
オーレン小屋に着きました。いまや山小屋従業員の多くはネパール人になっているようですが、ここでも男女4人ぐらいのネパール人が働いているようでした。
感心したのはホームページにあった「開花情報」です。これぐらいのものをどの山小屋も作ってくれたら、その行き道がとても楽しくなります。計画を立てる手がかりにもなります。
オーレン小屋の名の由来が、ミツバオウレンではなくてウスギオウレンだということも、このリストで知りました。見たことない花でした。
【◎硫黄岳・横岳方面稜線帯
ツクモグサ…黄色黄色系…6月上旬〜下旬…横岳にしか生えません
ウラシマツツジ…黄色黄色系…6月上旬〜下旬…秋は真っ赤に紅葉します
ハクサンイチゲ…黄色白色系…6月下旬〜7月中旬…稜線の白色花の主役
オヤマノエンドウ…紫色紫色系…6月中旬〜7月中旬…稜線の主役
ミヤマキンバイ…黄色黄色系…6月上旬〜7月中旬…八ヶ岳でも広く分布している
コメバツガザクラ…白色白色系…6月初旬〜7月初旬…開山祭時期に咲く
キバナシャクナゲ…黄色黄色系…6月上旬〜7月上旬…天然記念物
チョウノスケソウ…白色白色系…6月中旬〜7月中旬…珍しい種だが八ヶ岳にはわりと多く分布している
イワウメ…白色白色系…6月中旬〜7月上旬…稜線上の登山道で目立つ
コケモモ…赤色赤色系…7月下旬〜8月上旬…ハイマツの林縁に多く生える
クモマナズナ…白色白色系…6月初旬〜7月初旬…花期は比較的長い
ヤツガタケキスミレ…黄色黄色系…6月下旬〜7月上旬…八ヶ岳特産種
ミヤマシオガマ…赤色赤色系…6月下旬〜7月下旬…多年草の半寄生植物
シナノキンバイ…黄色黄色系…6月下旬〜7月中旬…横岳、阿弥陀岳など
ミヤマクロユリ…黄色暗紫色系…6月下旬〜7月下旬…有名な花です
ツガザクラ…黄色淡紅色…6月中旬〜7月上旬…岩場の岩陰で見られる
イワヒゲ…白色白色系…6月中旬〜7月上旬…赤岳〜横岳稜線上の岩場に多い
ミネズオウ…白色白色系…6月中旬〜7月中旬…高山の岩場
ウルップソウ…紫色紫色系…6月下旬〜7月中旬…硫黄岳〜横岳に開花
コマクサ…赤色赤色系…7月中旬〜8月中旬…高山植物の女王
ミヤマダイコンソウ…黄色黄色系…7月中旬〜8月中旬…横岳、阿弥陀岳など
イワベンケイ…黄色黄色系…6月下旬〜7月中旬…高山帯の風衝地に見られる
ミネウスユキソウ…白色白色系…8月初旬〜9月初旬…八ヶ岳で発見された花
ハクサンシャクナゲ…白色白色系…7月上旬〜下旬…亜高山の樹林帯〜高山帯
イワツメクサ…白色白色系…7月中旬〜8月中旬…硫黄岳の大ダルミ
イブキジャコウソウ…赤色赤色系…7月下旬〜8月下旬…白に近いものも見られる
バイケソウ…黄色黄色系…6月〜7月…一度開花すると数年は咲かない
チシマギキョウ…紫色紫色系…7月中旬〜8月中旬…花冠がすぼまり気味の特徴あり
タカネツメクサ…白色白色系…7月中旬〜8月中旬…高山の岩場、岩礫地
オンタデ…黄色黄色系…7月〜8月…木曽御獄で発見された
トウヤクリンドウ…白色白色系…8月初旬〜8月下旬…日が当たらないと開花しない
ウメバチソウ…白色白色系…7月下旬〜8月下旬…稜線の草地・湿った岩場

◎オーレン小屋周辺
ウスギオウレン…白黄色系…4月〜6月…オーレン小屋の由来の花
コヨウラクツツジ…赤色赤色系…5月〜6月…亜高山帯の低木。つぼ型の花
コミヤマカタバミ…白色白色系…6月上旬〜7月上旬…心円形の葉が3枚ある
キバナノコマノツメ…黄色黄色系…6月中旬〜7月下旬…スミレの仲間
ヒメイチゲ…白色白色系…5月〜7月…名の姫のように小形でかわいい
ミツバオウレン…白色白色系…6月〜7月…亜高山〜高山帯
シロバナヘビイチゴ…白色白色系…6月上旬〜8月上旬…たくさんあります
ツバメオモト…白色白色系…6月上旬〜7月上旬…亜高山の樹林帯
クルマバツクバネソウ… …5月〜6月…葉は6〜8枚輪生する
ツマトリソウ…白色白色系…6月〜7月…花は深く7つに裂ける
タケシマラン…黄緑色系…6月〜7月…花は目立たず赤い実が見られる
サラサドウダン…赤色赤色系…6月上旬〜7月上旬…低山から亜高山帯の樹林帯
シロバナエンレイソウ…白色白色系…5月〜6月…稜線直下の樹林帯に生える
ベニバナイチヤクソウ…赤色赤色系…6月上旬〜7月上旬…美濃戸口付近のカラマツ林に多い
イチヤクソウ…白色白色系…6月〜7月…低山の林中に生育する
マイヅルソウ…白色白色系…5月〜6月…亜高山帯に咲いています
コイワカガミ…赤色赤色系…6月中旬〜7月中旬…亜高山帯を中心に咲く
オサバグサ…白色白色系…6月中旬〜7月中旬…人気の可愛らしい花
ズダヤクシュ…白色白色系…6月〜7月…山地〜亜高山帯の林内や林縁
イチヨラン…白色白色系…7月〜8月…あまり群生しない
コフタバラン…白色白色系…6月〜7月…苔が生える環境に多い
キソチドリ…白色白色系…6月〜7月…苔むした林床に多い
ギンリョウソウ…白色白色系…7月〜8月…腐生植物和名は銀竜草で白く竜の形似
シャクジョウソウ…淡黄褐色…8月〜9月…腐生植物
アオジクスノキ…黄緑色系…5月〜6月…葉は花の後から出てくる
イタドリ…黄色黄色系…7月〜8月…薬草として痛み取りにりようしたことからでた名
タカネグンナイフウロ…濃紅紫色…7月〜8月…亜高山から高山の草地に生える
キオン…黄色黄色系…7月〜8月…稜線に咲くキオンは小さい
ウスユキソウ…白色白色系…7月〜8月…うすく積もった雪のように見えることからでた名
ダイモンジソウ…白色白色系…8月…花びらの下の2枚が大の字を思わせるからでた名
リンネソウ…赤色赤色系…7月下旬〜8月中旬…日本名は夫婦花(メオトバナ)
ミヤマクロユリ…暗紫色系…6月下旬〜7月下旬…草丈10cmで草群の中に咲く
キバナノヤマオダマキ…黄色黄色系…7月中旬〜8月中旬…樹林帯に咲く
クルマユリ…橙色系…7月中旬〜8月中旬…八ヶ岳ではあまり群生しない
シナノオトギリ…黄色黄色系…7月〜8月…信州に多いのでシナノオトギリという
ゴゼンタチバナ…白色白色系…6月下旬〜8月上旬…6枚葉でないと花が咲かない
ヒメシャジン…紫色紫色系…7月下旬〜8月下旬…大きな株を作って群生する事もある
ミソガワソウ…紫色紫色系…7月下旬〜8月下旬…沢沿いの湿った所に生える
ヤマホタルブクロ…赤色赤色系…7月中旬〜8月下旬…釣鐘型の合弁花
トリカブト…紫色紫色系…8月上旬〜9月上旬…稜線付近の草地で花が咲く
ヤマハハコ…白色白色系…8月上旬〜9月上旬…茎と葉の裏に線毛が密生する
ミヤマアキノキリンソウ…黄色黄色系…8月上旬〜8月下旬…コガネギクとも呼ばれている
トウヤクリンドウ…白色白色系…8月初旬〜8月下旬…小屋周辺に咲いてます
ヤツタカネアザミ…紫色紫色系…8月上旬〜9月上旬…八ヶ岳では一般的なアザミ
オオビランジ…赤色赤色系…8月上旬〜9月上旬…八ヶ岳南部で見られる絶滅危惧種
エゾスズラン… …8月上旬〜9月上旬…山地から亜高山帯までと分布は広い

◎桜平
ズミ(コナシ)…白色白色系…5月〜6月…明るい疎林に多い
レンゲツツジ…赤色赤色系…6月上旬〜7月上旬…林道の縁に見られる
シロバナヘビイチゴ…白色白色系…6月上旬〜8月上旬…たくさんあります
ハクサンシャクナゲ…赤色赤色系…7月上旬〜下旬…八ヶ岳では随所に見られる
サラサドウダン…赤色赤色系…6月上旬〜7月上旬…低山から亜高山の樹林帯
ミヤママタタビ… …6月…花期に葉の一部が白くなる特性がある
ミネザクラ…白色白色系…5月〜7月…亜高山帯〜高山帯の小高木
クガイソウ…紫色紫色系…7月〜8月…草地に生える多年草
ウツボグサ…紫色紫色系…6月〜8月…薬草 シソ科
マイヅルソウ…白色白色系…5月〜6月…亜高山帯に咲く】

八ヶ岳=登山、オーレン小屋
【撮影】13時03分=伊藤 幸司
私たちはここで昼食にしました。ラーメンなどが当たりだという気配があったからです。
車での荷揚げができるので、経営センスのある山小屋ならかなりレベルの高い食事を出してくれる可能性があります。特異なロケーションと食事を合わせたら、相乗的なサービスとなる可能性があるからです。
「やまと温泉の記録・山好き女子の、温泉と食と山旅の記録です」というサイトに「夕食は馬肉のすき焼き! 八ヶ岳のオーレン小屋に泊まり、天狗岳・硫黄岳に登る山旅」(2016-12-21)というのがありました。
じつは微に入り細を穿ったレポートなので、食べ物のところだけをここでは読ませてもらいます。もちろん写真付き体験レポートです。
【オーレン小屋では、10時から14時まで昼食営業をしています。
前回泊まったときは小屋に着いたとき既に14時を過ぎていて食べられなかったので、今回は絶対、オーレン小屋で昼食を食べようと思っていました♪
昼食のメニューはこちら。
品数は多くはないですが、どれも魅力的なメニューですよね。
中でも気になるのはやはり、ボルシチでしょうか。
受付でボルシチを注文しつつ、今日、宿泊の予約をしていることを伝えてチェックイン。料金は2食付きで9000円です。
そういえば、前回宿泊したときは「10月以降お昼のお弁当は用意していない(理由:朝寒くておにぎりが凍っておいしくないから)」と言われたんですけど、今回は11月なのに「お弁当も用意できますがいかがですか?」と聞かれましたね。方針変わったんでしょうか。でも、注文できないよりできたほうがいいですねw
ボルシチができるまでお部屋や食事時間の説明を聞きつつ、薪ストーブのある広間で待ちます。ただ、時間帯が早すぎて、薪ストーブはまだ燃えていませんでしたが……。
広間はこんな感じのお部屋です。
奥に見える、ペナント?がかかっているあたりが受付です。
手前にこたつと、まだ燃えていない薪ストーブも見えますね。
ボルシチ、こたつに運んでいただきました!
サラダとライス、お茶付きです。
山小屋のこたつでいただくボルシチ。
本格的なボルシチはサワークリームを入れると聞きますが、なんか、それらしい白いクリームも載ってますよ!すごい本格的。
見た目だけじゃなく、味もおいしかったです。
ご飯にも合うけど、パンで食べてもおいしそうだなー。
ちなみに、昼食と同時にではなく、少し後になってからですが、コーヒーも注文しました。
飲み物のメニューはこちら。
昼食メニューは14時までですが、飲み物は夕食時間までずっと、注文できます。
ラストオーダーが何時、とかは書いていないのですが、缶ビールとかチューハイなどの缶や瓶を売っているだけのものは、消灯時間ギリギリまで買えると思います。
ココアやコーヒーなど手がかかるものは、炊事場の火を落とす前まででしょうから、夕食時間ぐらいが限度でしょうかね。
こたつで漫画を読みながら、コーヒーをいただきました。付け合わせのビスケットは「しるこサンド」です!
酸味の少ない、苦み強めのコーヒーで、とてもおいしかったです。】
さらに延々と部屋や風呂の説明などあって、ようやく夕食です。
【さて、お楽しみのお食事です。
夕食・朝食共に5時30分から。食堂でいただきます。
この日は宿泊者が全部で10名強だったので、こちらの、座卓の食堂での食事でしたが、人数が多いときは、テーブルのある食堂のこともあります。
まずは日本酒を1杯。
ワンカップのお酒は500円だったのですが、そのほかに、地酒がもっきりで800円でいただけるとのこと。
地酒は小屋番さんにお酒が好きな人がいて、こだわって仕入れており、すべて純米酒だとのことで、ここは迷わず地酒でしょう!どうせ私は量は飲めないですしね。。。
銘柄忘れてしまったのですが、たしか秋田のお酒でした。
「いつもは諏訪などの地元のお酒も置いてるんですが、小屋締め前なので売り切れてしまって」とのこと。
こだわって仕入れているだけあって、とてもおいしいお酒でしたよ。
器も素敵ですしね。ぜんぜん山小屋って感じがしないw
そしてお食事ですが、時間になって食堂に入ると、既におかずのプレートと鍋がセットされているので、自分の名前が書いてある席を探して座ります。
おかずとデザート。デザート2種類もあるよ!!
天ぷらもからっとあがっており、衣に味が付いていて、塩や醤油をかけなくてもおいしいんですよ!しかも日本酒に合う!
そして、桜鍋です。まだ火が入っていない状態で置かれており、席に着いたら火をつけてくれます。
すごい肉の量です。。。野菜ときのこもたっぷり。
席が指定されているのは鍋のためで、1人のお客さんの場合は、旅館のように1人用の鍋と固形燃料がセットされており、グループのお客さんはグループ毎に、カセットコンロともっと大きい鍋が置かれているのでした。なんてすばらしい気配り。。。
煮えてきました。
火が入って嵩が減ったら、実は高野豆腐やがんもなどの豆製品も入っており、思っていた以上にちゃんとした鍋です。当然のようにおいしい!
「馬肉のすき焼き」というだけあって、すき焼き風の甘めの味付けになっており、卵につけて食べたくなりますが、さすがに卵は出てきません。
卵をつけたい方は自分でもっていきましょう。こういうケースに入れればよほどのことがない限り割れません。
5時30分から夕食をいただくので、大満足で夕食を終えてもまだ6時台。】

八ヶ岳=登山
【撮影】13時16分=伊藤 幸司
じつは私たちに昼食を出してくれたネパール人従業員のみなさん(たぶん男女2人ずつ)が雨の支度をして出かけた後をたどることになりました。
するとこの水抜きの溝掘りだったのです。
私の目にはもう少しさりげなくてもいいというふうに見えましたが、ここではカーブのところで外側に落とすというような原則ではなく、直線的な部分でもある程度の距離ごとに水抜きするという原則で作業しているように思えました。丹沢・鍋割山荘の草野さんに昔聞いたときには「50mおき」に水を抜けば登山道は傷まないということでした。

八ヶ岳=登山
【撮影】13時22分=伊藤 幸司
こういう仕事ぶりもありました。私はこれが好ましいと考えています。外側に傾いた路面にちょっとした傾斜をつけてやれば水はそこにみずから落ちる道を作ります。しばらくすれば、そのひとつひとつがどのような効果を発揮しているかで、微調整していけばさり気なく排水される登山道になるのではないかと思うのです。
とくに山小屋である程度手入れできる環境なら、スコップ1本もって巡回するだけで登山道の保全には大きな効果を発揮すると想像できます。
2002年に四国の剣山に行ったとき、剣山頂上ヒュッテのご主人は毎日ホウキをもって登山道をひと回りして、道際の溝の詰まりを掃除していると聞きました。
このような大胆な登山道の破壊に眉をひそめる登山者は多いと思います。直情的なダブルストック反対派の人だったら、たぶん登山道の破壊にきちんと目を向けていないからです。この一見乱暴な登山道破壊は、見た目小奇麗な排水路の建設などより、はるかに道路にやさしい工法だと、私には見えます。
その工事を仕切っていたネパール人の若者に「いつからこういうふうに?」と聞いてみたら、「ずいぶん昔から」と答えていましたが、そうではないでしょう、いまこの道にこのようなやり方をしているというのは。
八ヶ岳の山小屋は系列も多いので、みんなで協力する体制ができれば八ヶ岳全体に及ぶような動きにもなるでしょう。「猛烈な雨」が日本列島を覆うような時代に、健全な登山道を守るには、人工的な力技で抑え込もうとするような工法では危ういのです。
たとえばこの水抜きの斜面が今後どのように役目を果たしていくのか、登山者も興味を持って見るというふうになれば、登山者が登山道を守るという役割をいくぶんか果たせるように思われるのです。
オーレン小屋のホームページにはそのことに関する記述がありました。
【登山道補修
◎水切り
水切りとは登山道の砂利が流されないように水の流れを登山道に作る作業です。歩荷時はほぼ毎回行っています。
◎土留め
土留めとは登山道の土が崩れないように丸太を使ってステップを作ります。周辺では、オーレン小屋から箕冠山、オーレン小屋から赤岩の頭を整備しています。
◎橋の架け替え
数十年毎、木橋の腐り具合をみて丸太を差し換えています。
◎危険箇所補修
落石防止ネット、落石移動等
◎道標、案内看板荒廃のチェック
定期的に交換を行っています。
◎高山植物保護
グリーンロープを張っています。】

八ヶ岳=登山
【撮影】13時39分=矢野 博子
いよいよ目指す硫黄岳だが まだまだ 先は遠かった。

八ヶ岳=登山
【撮影】13時39分=矢野 博子
歩く度に感じるのは 先を見上げると 気が遠くなるけど 振り返れば 良くここまで来たなという達成感。そして それを感じるのはこんな景色を見たとき。

八ヶ岳=登山、夏沢峠
【撮影】13時43分=伊藤 幸司
夏沢峠です。標高約2,400m。八ヶ岳連峰の縦走路で、南と北を分ける象徴的な場所です。ここには2軒の山小屋があって、硫黄岳に向かって右側がヒュッテ夏沢、左奥が山びこ荘です。なぜかこの日は両方とも閉まっていましたが、八ヶ岳の山小屋の系列ということを知るにはいい例だと思います。
右側のヒュッテ夏沢をネットで調べるとすぐに分かることですが、ヒュッテ夏沢は4軒の山小屋グループの一員です。
茅野駅からのバスの終点・美濃戸口にあるのが八ヶ岳山荘、下山時にはバスの待ち時間で一風呂浴びることができます。そこから赤岳方面へと林道を進むと、その終点、北沢と南沢の登山道分岐にあるのが美濃戸山荘、そこから一気に赤岳の稜線にある赤岳展望荘まで登ることが可能です。そして北八ヶ岳方面から赤岳へ向かうときには、夏沢峠にこのヒュッテ夏沢があるという配置になっています。
一方、左側の山びこ荘は夏沢峠から東側に下ったところにある本沢温泉の系列です。山びこ荘にはヤマネとニホンモモンガが棲み着いていて、しかも人に慣れているので「出会うことができる」かもしれないし、写真も撮れるかもしれないということで有名です。
本沢温泉グループは赤岳頂上山荘をもち、さらに南、権現岳方面へと下った深い鞍部にキレット小屋をもっています。
八ヶ岳の山小屋は北八ヶ岳では通年営業が多いのですが、南八ヶ岳の稜線の小屋は夏の登山シーズンのみで閉じてしまいます。

八ヶ岳=登山、スギゴケ
【撮影】13時46分=伊藤 幸司
スギゴケに、ここではマイヅルソウが出てきました。いずれ白い花を咲かせるはずです。そのほかの葉っぱの感じからするとコミヤマカタバミやシロバナノヘビイチゴも白い花を咲かせそうです。

八ヶ岳=登山、スギゴケ
【撮影】13時50分=伊藤 幸司
こちらはスギゴケにコイワカガミ。

八ヶ岳=登山
【撮影】13時52分=伊藤 幸司
足元がかなり激しく崩落していました。丹沢などと比べるとすごく安定した地盤だと感じますが、さて、どうなんだろうという疑問。
八ヶ岳の地質について書かれたものを探していたらありました。「八ヶ岳火山─火山活動史と湖盆の変遷」というタイトルの第一章「八ヶ岳火山の概要」……というのですが、産業機械メーカーのクボタの広報誌でしょうか「URBAN KUBOTA」の「NO.33/7」と出ています。
7人の専門家を招いての座談会らしいのですが、さすがにこなれた文章でまとめられているとはいえ、内容は私たち門外漢にはかなりハードルの高いものになっているようです。
【同じ火山の裾野でも,富士山のように非常に新しい活火山では,その表面が溶岩流で被われているものもあり,これは「溶岩流原面」とよばれます.将来,富士山の火山体頂部が崩壊して,その岩屑が溶岩流原面の上に堆積して裾野をつくれば,火山麓扇状地になるわけです.ただ,南八ヶ岳の平坦な山麓緩斜面を実際に見ますと,谷の発達がまだ悪く,この斜面の形成がそう古い時期のものではないことが窺えます.】
【また,山体部分は「開析された火山山体急斜面」となっていますが,硫黄岳周辺など一部に火山体の原形を残すものの,大部分は開析の進んだ急峻な山岳地帯です.山麓緩斜面との間には傾斜変換点がはっきりと認められ,接峰面図でも等高線の間隔が急に密になっています.】
この内容はひょっとすると『八ヶ岳火山─その生いたちを探る』(八ヶ岳団体研究グループ編・2000年・ほおずき書籍)をベースにしたもののように思われます。2015年には11刷となり現在は在庫なし。
【火山は湖から噴火活動を始めるのではないだろうか? 八ヶ岳の地層や岩石を丹念に調べることで、その誕生の謎を解き明かす。フィールド学習のバイブル。ベストセラー!】
とりあえず古本を購入してみることにしました。

八ヶ岳=登山、イワウメ
【撮影】13時52分=伊藤 幸司
八ヶ岳の森林限界は標高2,400mあたりだと思います。夏沢峠が標高約2,400mでしたから登るに従って樹林は薄くなり、イワウメが登場しました。白梅に似た個性的な花はまだですが、米粒のように見える濃緑の小さな葉が岩場をびっしりと埋め尽くしていることから「岩埋め」と教えられたこともあります。
咲いている白い花はミツバオウレン。八ヶ岳ではポピュラーな花です。でも、オウレン小屋のオウレンはウスギオウレンというのだそうで、当然小屋のあたりにあるらしいとリストにありました。ネット上でどんな花かと調べてみるとありました。
「HiroKen花散歩─野山に自然に咲く花のページ」に「ウスギオウレン(薄黄黄蓮)」の探訪記。
【今年(2013年)に見たい花の一つに、ウスギオウレンがありました。 自宅からはやや遠い場所ですが、Hiroの事前リサーチのお陰で、まったく迷わずに自生地にたどり着くことができました!】
【和名のウスギは花色の薄黄色が由来のようですが、多くの花は淡黄緑色に見えました。 ざっと見渡した感じでは、9割方が淡黄緑色のように見えました。 残り1割はいろいろな色があり、ほぼ白色のもの、やや赤味がかったもの、そして「薄黄」と言うに相応しい色がありました。(個人の感想です)】
【この「淡黄緑色」がなんとも魅了される色なのです。
他のオウレン属とはちょっと違うゾ、と思いました。
左下には開花して間もない、若い花たちがいます。】

八ヶ岳=登山、イワカガミ、ミツバオーレン
【撮影】13時53分=三浦 陽子
イワカガミとミツバオーレン、紅色と白が山の中で調和している。

八ヶ岳=登山
【撮影】13時58分=伊藤 幸司
「高山帯」というのは気象条件によって樹林が成立しなくなる森林限界を越えた領域のことをいいます。
「weblio辞書」で「三省堂大辞林」の「森林限界」を見てみました。
【高緯度地方や高山において、森林が成育しうる限界線。本州中部の高山では2500メートル 付近、水平分布では北緯60〜70度付近である。 → 高木限界】
続いて「山と高原地図」の「山岳用語辞典」の「森林限界がありました。
【高木が育成できなくなる限界の地点。これより上部が高山帯となる。】
これまで辞典や事典のデジタル情報をかならずしもうまく使えていなかったので「高山帯」で試してみました。
「コトバンク」の「高山帯」では「デジタル大辞典」「大辞林」「ニホン大百科全書(ニッポニカ)」に続いて「世界大百科事典内の高山帯の言及」という編集項目がありました。
平凡社では百科年鑑や大百科事典の写真編集に関わっていたので、編集レベルがわかっています。その項目抽出がうまくできていれば便利だと直感しました。
【世界大百科事典内の高山帯の言及
[高山植物]より
…日本列島においては,森林限界は海抜高度2500m前後にあり,それから上部を高山帯とよぶ。これは水平的な気候帯と比較するとほぼ寒帯に相当する(しかし,最近日本列島には気候的にみて寒帯に相当する高山帯がないという説もあり,日本の高山帯が高緯度地方の寒帯や低緯度地方の高山における高山帯と対応して,どのような位置を占めるのかは今後の研究課題でもある)。…
[森林]より
… 森林植生は,標高に応じた温度変化に伴い垂直的に変化する。暖温帯域では亜山地帯(照葉樹林帯),山地帯(落葉広葉樹林帯),亜高山帯(常緑針葉樹林帯),高山帯(ハイマツ帯,森林限界以上)に区別されている。北アルプスではおよそ500m,1700m,2500mがそれぞれ亜山地帯,山地帯,亜高山帯の上限にあたり,2500m以上が高山帯となる。…
[垂直分布]より
…植物の垂直分布は,植生の変化とそれによってつくり出される相観の変化によって,いくつかに区分されたもので,垂直分布帯と呼ばれる。日本ではふつう低地から順に,標高500m以下の照葉樹林域を地形によって低地帯,丘陵帯,標高500〜1500mの夏緑広葉樹林域を山地帯,標高1500〜2500mの針葉樹林域を亜高山帯,標高2500m以上の高木群落のないところを高山帯などと区別する。動物の分布は植生の垂直分布の変化に従って変わる。…
※「高山帯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について】

八ヶ岳=登山、夏沢峠
【撮影】14時00分=伊藤 幸司
振り返ると夏沢峠がかなり下にありました。

八ヶ岳=登山
【撮影】14時02分=伊藤 幸司
森林限界を越えたので諏訪湖も見えてきました。

八ヶ岳=登山
【撮影】14時04分=矢野 博子
急登を登り切った所に現れたこの花は 豪華でおもわず 足を止めた。

八ヶ岳=登山
【撮影】14時05分=伊藤 幸司
糸の会では真冬の寒さと雪を楽しむために北八ヶ岳は重要なフィールドです。私はその技術的な基本として「ズック靴+レジ袋のオーバーシューズ+4本歯の軽アイゼン+防寒衣類」を想定しています。
ところがそれでは行動できないルートが北八ッにもあるのです。蓼科山と天狗岳です。
この写真は硫黄岳の登りですから、もちろん北八ッではありませんが、写真で見るとおり30度の傾斜面です。そして樹林がありません。こういう場所は冬には高山帯特有の雪氷の世界になります。ピッケルと本格的なアイゼン(前方に爪が出た10本歯以上のアイゼン)、それを装着できる本格的な登山靴が必要です。
この斜面でも樹林の中なら雪氷登山の領域でなくてスノーピクニックを楽しめます。
ちなみに私はマイナス10度の北八ヶ岳にズック靴とレジ袋で行けると書きましたが、誤解を避けるために補足しておきます。
1991年から翌年にかけてテレビ朝日の深夜番組「プレステージ」の中のミニ情報番組でアウトドアシリーズを企画+出演で10回(10カ月)つづけました。女性タレントと女子大学生を雪の武甲山でゴミ袋+風呂マット+農業用ポリシート製のティピー+使い捨てカイロ各種で一夜を過ごしてもらう「ゴミ袋キャンプ冬版」(これによって貼るカイロが重要な登山装備となりました)もやりました。ポンコツ軽自動車のダートコースでの8時間耐久レースにエントリーなども。その最終回が山小屋を楽しむ入門編「冬の北八ヶ岳縦走」だったのですが、そのときに画期的な技術開発があったのです。
……というのは、私たちのチームは出演者が私と女性タレントさん、ディレクターがいて、カメラクルーが3人。その3人はカメラマンと音声さんとドライバー兼用のアシスタントがカメラと車とのセット価格でやってきます。
そのカメラクルーは若者たちで、たいていジーパンにズック靴でやってきます。
その若者たちに仕事をしてもらうために厚手のソックスと貼るカイロを支給、靴の上にレジ袋をはいてもらってその上から軽アイゼンをつけました。
当然、私も同様にするということで、ズック靴にレジ袋をはいただけで歩きました。黒百合ヒュッテからの下山は米川正利さんがゴム長靴、私がズック靴+レジ袋でしたが、私のレジ袋は靴底の突起にピッタリと張り付いて、歩き方のうまさをみごとに証明してくれました。
要するに0度Cぐらいのグチャグチャの雪道より、マイナス10度Cの雪のほうが技術的には楽なのです。
アウトドアの根強い考え方に「ヘビーデューティ」があります。登山でもそういう傾向の人がいますが、自分の肉体をできるだけオープンにしてみる体験がじつは重要だと思います。この写真で雪がついた状態を想像するときに、手のひらサイズの軽アイゼンで登ってみるという体験があるかどうかは冬の安全管理に大きく関わってくるところです。

八ヶ岳=登山、夏沢峠
【撮影】14時07分=伊藤 幸司
夏沢峠の向こうに根石岳と天狗岳が見えてきました。

八ヶ岳=登山、オーレン小屋
【撮影】14時07分=伊藤 幸司
はるか下にオーレン小屋が見えました。

八ヶ岳=登山、イワウメ
【撮影】14時11分=伊藤 幸司
イワウメの花が咲いていました。これで木(木本)だそうですから、一度世界を構築してしまったらそれを死守する構えに見えます。

八ヶ岳=登山、イワウメ
【撮影】14時11分=伊藤 幸司
ウィキペディアの「イワウメ」にはこう書かれています。
【花は乳黄白色でまれに淡紅色を帯び、7〜8月に枝先から伸びた長さ2cmほどの花柄上に1個つく。合弁花であるが、平開する花冠が直径1.5cmと小さい上に5中裂するため、花弁が5枚あるように見える。雄蘂は5個で萼は5裂する。】

八ヶ岳=登山
【撮影】14時18分=伊藤 幸司
硫黄岳の西には峰の松目というピークがあります。その向こうにスキーゲレンデが見えていますが南アルプスの最北端に位置する入笠山の富士見パノラマリゾートです。入笠山からは日本の高山のほとんどが一望できます。

八ヶ岳=登山、夏沢峠
【撮影】14時19分=伊藤 幸司
そろそろ見えなくなると思って、夏沢峠を振り返りました。

八ヶ岳=登山、諏訪湖
【撮影】14時24分=伊藤 幸司
登るに従って諏訪湖がすこしずつ良く見えてくるようですが、黒い雲がだんだん広がってきました。

八ヶ岳=登山
【撮影】14時30分=伊藤 幸司
硫黄岳の山頂部分かと思われますが、そのテッペンに大きなケルンのようなものが見えてきました。

八ヶ岳=登山
【撮影】14時53分=伊藤 幸司
遠目にケルンと見えたのはこの石積み型標識。のっぺりとした硫黄岳の山頂部分の安全を守るには下山ルートの目印がこれくらいはっきりしていないといけないということでしょう。そのテッペンにイワヒバリらしき小鳥が止まっていました。

八ヶ岳=登山
【撮影】14時54分=矢野 博子
かなり広い山頂だった。“あと 少しですよ” というコーチの言葉は 経験上あまり信じないのだが(ゴメンナサイ) この時は 本当にすぐで 嬉しかった。

八ヶ岳=登山、硫黄岳山頂
【撮影】14時54分=矢野 博子
硫黄岳山頂。怪しげな黒い雲出現。嫌な予感。

八ヶ岳=登山、硫黄岳山頂
【撮影】14時55分=伊藤 幸司
山頂が見えてきました。霧に巻かれたら、この道筋をたどるのはなかなか難しいと思います。

八ヶ岳=登山、硫黄岳山頂
【撮影】14時56分=矢野 博子
硫黄岳の山頂には覗くのも怖いような噴火のあと。そそくさとその場を離れた。

八ヶ岳=登山、硫黄岳山頂
【撮影】14時56分=伊藤 幸司
硫黄岳山頂での記念写真。

八ヶ岳=登山、硫黄岳山頂
【撮影】15時00分=伊藤 幸司
硫黄岳の爆裂火口。向こう側に見ているほぼ垂直の壁がこちら側まで回り込んでいます。足元がいつ崩れてもおかしくないようなスリリングな風景です。

八ヶ岳=登山、硫黄岳山頂
【撮影】15時00分=伊藤 幸司
実際には頼りにならない緑色のロープが目印として張り巡らされています。ギリギリすぎて怪しい感じがしますけれど。

八ヶ岳=登山、硫黄岳山頂
【撮影】15時01分=小林 美子
硫黄岳の山頂
大きな火口壁を見ていると
恐い。そうそうに立ち去る
恐いけど、こんな火口壁を見られるなんて山の魅力です。

八ヶ岳=登山、硫黄岳山頂
【撮影】15時01分=三浦 陽子
硫黄岳の爆裂火口。荒々しく迫力充分。

八ヶ岳=登山、硫黄岳山頂
【撮影】15時01分=伊藤 幸司
雲がかなり低くなってきました。横岳から赤岳にかけて山頂がもう見えません。右端の阿弥陀岳にまでかかり始めています。

八ヶ岳=登山
【撮影】15時06分=伊藤 幸司
山頂からいったん下って鞍部の硫黄岳山荘へと向かいます。ケルンをたどって右方向へと下るのです。

八ヶ岳=登山
【撮影】15時08分=伊藤 幸司
下に見えるのは高原野菜のハウス群。
「八ヶ岳・野辺山・南牧村観光協会」の「南牧村のご案内」にこうありました。
【長野県の東端に位置し、標高1000メートルから1500メートルの高低差の激しい地域からなります。
1200〜1300メートル地帯には団地化された比較的平坦部にレタスやハクサイなどの高原野菜畑が広がり、 年間平均気温6.9℃。冷涼な気候を生かして高原野菜が生産され、県下第2位の売上高を誇っています。また、野辺山の牛乳工場で作る新鮮でおいしい「ポッポ牛乳」や「ヨーグルト」等の乳製品は有名ブランドとなっています。その他にも、夏には避暑地として多くの観光客やスポーツ合宿が盛んになり、冬にはスキー客が訪れ村は大変にぎやかになります。 夏のスポーツ合宿では、フィギュアスケートをはじめ野球・バレーボール・バスケット・陸上など高所トレーニングに最適な場所として利用されています。】

八ヶ岳=登山
【撮影】15時11分=伊藤 幸司
前方(写真左端)に硫黄岳山荘の青い屋根が見えてきました。

八ヶ岳=登山
【撮影】15時13分=小林 美子
山頂から硫黄岳山荘に向けて進む
今日の最後の30分の行程だ
明日は雨の予報だけど、今の天気をみていると、
予報が外れそうな感じだった。

八ヶ岳=登山、キバナシャクナゲ
【撮影】15時21分=伊藤 幸司
キバナシャクナゲがありました。
なぜこれが「黄花」なのかということに関して「ヤマケイオンライン」の「高橋 修の『山に生きる花・植物たち』」が触れていました。
【キバナシャクナゲ(黄花石楠花)という名前だが、その名前ほど花は黄色ではない。前から疑問に思っていたのだが、キバナシャケクナゲといっても白色に近いクリーム色で、雌しべの根元はピンク色をしている。なぜ、この花がキバナシャクナゲ(黄花石楠花)なのだろうか。
最近になってやっと疑問は解決した。数年前、初夏の北海道で見たキバナシャクナゲの蕾や咲きたての花は、黄みが強いことに気がついたからだ。よく観察してみると、蕾や咲きたての花は黄みが強いクリーム色だが、時間がたつと花色の黄みがなくなりどんどん白っぽくなっていく。そして同時に雌しべや花の中心部分は赤っぽくなっていく。
花色が時間とともに変化をしているのだ。】

八ヶ岳=登山
【撮影】15時45分=矢野 博子
山小屋の周りのお花畑に咲いていました。名前は分かりません。

八ヶ岳=登山
【撮影】15時48分=矢野 博子
可愛いピンクのシオガマの仲間。この時は光が十分だったが。

八ヶ岳=登山、コマクサ
【撮影】15時49分=小林 美子
山荘のまわりの
御花畑を一周。
たくさんの花が咲いていたけど、このコマクサが、
高山植物の女王が、どの様に
咲いてくれるか?
今頑張ってるのが可愛かった。

八ヶ岳=登山、コマクサ
【撮影】15時49分=伊藤 幸司
硫黄岳山荘に荷物をおいて、すぐに小屋前の植物鑑賞コースをひと回り。まずはコマクサです。
北アルプス燕岳の「燕山荘」の「スタッフブログ」(2017/08/18)にコマクサとイワヒバリの写真がありました。
【今日もイワヒバリがコマクサの花を啄んでいました。どうやらこれは種を食べているようです。イワヒバリがこの種を食べ、フンとして出てきた種がまた新しいコマクサと成長していきます。イワヒバリもコマクサが増えることに役立っているようです。コマクサがたくさん咲いている中を探すとイワヒバリが花を啄む姿を見つけられるかもしれません。】

八ヶ岳=登山
【撮影】15時50分=矢野 博子
山小屋の周りには 小さなお花畑があり ぐるりと一回り。この花の名前は分かりませんが 爽やかな色彩だった。

八ヶ岳=登山、ハクサンイチゲ
【撮影】15時50分=三浦 陽子
元気のよいハクサンイチゲがいっぱいだった。

八ヶ岳=登山
【撮影】15時52分=三浦 陽子
黄色の花は何でしょうか?

八ヶ岳=登山、ミヤマシオガマ
【撮影】15時52分=三浦 陽子
硫黄岳山荘のお花畑。ミヤマシオガマ。

八ヶ岳=登山、オヤマノエンドウ
【撮影】15時53分=三浦 陽子
紫が美しい。小屋の植物図鑑で調べて花名がわかった。オヤマノエンドウ。

八ヶ岳=登山、オヤマノエンドウ
【撮影】15時53分=伊藤 幸司
オヤマノエンドウです。
「日本生態学会」のサイトに「第52回生態学会大会 大阪大会」の「八ヶ岳高山帯におけるオヤマノエンドウの生育特性と土壌環境」(梅津 裕里, 増沢 武弘)という講演の抄録がありました。
【調査は八ヶ岳硫黄岳から横岳にかけての西側斜面(標高2760m)で行った。オヤマノエンドウは砂礫地から草地にかけて幅広く分布しており、生育地に対応して形態を変化させていた。土壌窒素含有率はガスクロマトグラフィーを用いて測定を行なった。その結果、オヤマノエンドウのパッチが大きくなるほど、その下部の土壌窒素含有率が高くなることが明らかになった。また、砂礫地に生育するウルップソウやコマクサの周囲の土壌窒素含有率は植物体からの距離と関係なくほぼ一定であった。一方、オヤマノエンドウの個体から0-5cmの距離の土壌は20-25cmの距離の土壌と比較して約33%高かった。オヤマノエンドウが生育する土壌は生育していない土壌よりも窒素含有率が高くなる傾向が認められた。
オヤマノエンドウは砂礫地と草地の境界に多く分布している。砂礫地にリターを落とし土壌を富栄養化すると同時に、表層の砂礫の移動を阻止することによって土壌の発達を促し、草地の植物が砂礫地に侵出するのを促進していることが推測された。 】

八ヶ岳=登山、ハクサンイチゲ
【撮影】15時55分=伊藤 幸司
ハクサンイチゲは日本の高山植物を代表する花で「たくさんイチゲ」といいたいほどポピュラーなのですが、ネットで探してみても特異な角度からの考察やレポートは見つかりませんでした。
田淵義雄さんの「きみがいなければ生きていけない」というエッセイでしょうか、その2017/6/27に「ハクサンイチゲ」に触れています。
【フタマタイチゲはハクサンイチゲの原種?
ニリンソウに似て、茎の先端が二俣に分かれて花をつける。
で、この名が付けられたんだが、つまらない命名だと思いませんか?
この花は、蝦夷地に自生するキンポウゲ科の美しいワイルドフラワー。
アネモネの仲間だ。】
昔、1983年の『アウトドア事典』(編著・主婦と生活社)にエッセイを1本お願いするのに川端下(かわはげ)というところに人気アウトドア作家で名だたる釣り師だった田淵さんを訪ねたと思うのですが、今も同じ場所で同じような生活をされているようです。この文章じつはよくわからないのですが、それも私の古いイメージではやはり田淵さんらしい感じ……かな。

八ヶ岳=登山、ミヤマダイコンソウ
【撮影】15時57分=伊藤 幸司
ミヤマダイコンソウです。
ウィキペディアの「ミヤマダイコンソウ」には「近縁種」が写真入りで列記されていました。ウィキペディアのそういう書き方は初めて見たように思います。
「以下の似た種がある」として列記されていたのはダイコンソウ、オオダイコンソウ、ミヤマキンバイ、キジムシロ、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイ。

八ヶ岳=登山、イワウメ
【撮影】15時59分=三浦 陽子
小さくても目を惹くイワウメ。

八ヶ岳=登山、イワウメ
【撮影】15時59分=伊藤 幸司
もちろんイワウメもありました。

八ヶ岳=登山
【撮影】16時02分=三浦 陽子
記憶では花の色がきれいなキバナシャクナゲを送付したはずなのに、これはハクサンシャクナゲのような。

八ヶ岳=登山
【撮影】16時04分=矢野 博子
硫黄岳山荘の前に置かれたテーブルからの眺め。計画書には “硫黄岳石室”と書かれていて名前からしてかなり素朴な所ではないかと 覚悟していたが普通の山小屋で 更に客人は 私たちの他に二人いるだけで独占状態。その理由は翌日に明らかに。

八ヶ岳=登山
【撮影】17時24分=矢野 博子
山小屋の天井には チベットだろうか 旗が幾つも飾られてあった。登ってきた途中のオーレン小屋では チベットあたりが出身ではないかと思われる男性が何人か働いていた。

八ヶ岳=登山
【撮影】17時32分=伊藤 幸司
夕食のメインディッシュです。肉や野菜がていねいに盛られていて、この写真の印象よりずっと良かったのです。

八ヶ岳=登山
【撮影】17時36分=伊藤 幸司
夕食にはさらに魚がついていました。

八ヶ岳=登山
【撮影】05時35分=伊藤 幸司
朝食です。

八ヶ岳=登山
【撮影】06時52分=伊藤 幸司
じつは夜半に屋根を叩く雨が降り、ときおり風が唸っていました。天気予報は雨、風は10m/秒と出ていました。
今回の計画の目的は2つあって、ひとつは横岳稜線のツクモグサ、もうひとつは赤岳から県界尾根を下るところでクサリ場での糸の会にふさわしいセルフビレイ(自己確保)の実験でした。
でも雨は続き、風は稜線でかなり強いという判断で、方針を転換、昨日登ってきた道を夏沢峠まで戻り、本沢温泉からしらびそ小屋を経て稲子湯へと北八ヶ岳の樹林を歩くことにしたのです。

八ヶ岳=登山、硫黄岳山頂
【撮影】07時01分=伊藤 幸司
霧の中で硫黄岳山頂に立つとケルンがきわめて有用な目印になるということがわかりました。

八ヶ岳=登山
【撮影】07時35分=伊藤 幸司
昨日登ってきた道を下ります。樹林帯まで下れば、風の危険はほとんどゼロになります。
2005年9月7日に台風が接近する中、県界尾根を森林限界まで登りつつ台風の接近を待っていました。登山者にとって、予報の台風が自分にどのように接近してくるかを体験するのは得難い体験になると信じて予報台風で計画を中止することはしません。もちろん直撃を受ける稜線には出ません。樹林の中にいる限りビル風の新宿を歩くより穏やかで傘もさせます。でもそのとき、涸れ沢があっというまに奔流となってヒヤッとしたことを思い出します。
ちなみに今年の7月28日には2005年に台風一過で登った編笠山を計画していました。しかし台風12号が小笠原から伊豆諸島を経て関東に直撃するというので行き先を高尾山に変更しましたが結局中止になりました。
……というのはJR中央本線は雨量計の数値で止まりますから高尾以遠には行けないと判断したのです。2011年には高川山まで行けないで土砂降りの高尾山に変更したことがありました。今年の台風12号は南に急カーブして三重県に上陸しましたが、中央本線はやっぱり止まりました。
無理はしませんが、悪天候をぎりぎり体験するというのもお金をいただいて山旅を体験していただく立場としては重要な仕事だと考えます。

八ヶ岳=登山、夏沢峠
【撮影】07時49分=伊藤 幸司
夏沢峠まで下りました。山小屋が開いていれば温かい飲み物でも欲しかったところですが、なんででしょうね、どちらも小屋を閉じていました。

八ヶ岳=登山
【撮影】08時07分=伊藤 幸司
夏沢峠から東側、本沢温泉への道を下りました。

八ヶ岳=登山、シャクナゲ
【撮影】08時35分=伊藤 幸司
このあたり、うっとしい林に見えますがシャクナゲです。

八ヶ岳=登山
【撮影】08時39分=伊藤 幸司
かすかに硫黄の臭いがするような場所に出ました。

八ヶ岳=登山、イオウゴケ
【撮影】08時41分=伊藤 幸司
どこにでもあるような、そしてここにしかないような苔がありました。山では当たり前に見ている苔ですが、じつは何も知らないのです。ネット上で探そうにも、ちょっと手が出ません。
八ヶ岳の苔と検索してみたら「Vixen」のサイトに「緑の絨毯が広がる、苔の森でコケ観察!」というページがでてきました。
【八ヶ岳には国内に見られるコケの約4分の1の種類が自生しており、 2008年に日本蘚苔類学会より「日本の貴重な苔の森」として選定され、保護をされています。】
そんなにあるんじゃ、ダメだ! という感じですが、Vixen は望遠鏡メーカーだと思ったらこれはルーペのための広報サイトのようです。
【コケの魅力はその原始的なすがたを、今でも生きているすがたで観察できるところです。
化石で発見された4億年以上前の最古の植物もコケと同じ構造をしていました。今でも生き続けている原始的なコケ植物は、繊細なからだをもちつつ、生命力に満ち溢れています。
そして、自然の作り出した美しいデザインと色。それぞれに個性があり、可愛らしいもの、へんてこなもの、環境によって変わるすがたかたち。知れば知るほど、きっと愛おしくなるはずです。】
【通常のペースではなく、努めてゆっくり歩いてみる。するとそれまで見えていなかった、コケをはじめとするたくさんの「小さなものたち」の存在に気づきます。 立ち止まり、しゃがみこんで目を近づけてみる。「上から目線」だけでは決してわからなかった、意外なデザイン性や愛らしさに驚かされます。思いがけない小さな発見。これがモスウォッチングの楽しみです。視点を意識的に変え、できるだけスローに歩く。それだけで風景が少し違ったものに見えてきます。触れてみるのもオススメです。乾いているときのコケは、ふわふわ・さらさら・つるつる。天然の高級カーペットといった感じです。では…濡れている時は?どうぞお楽しみあれ。】
まあ、よくできた作文だと思いますが、想像で書いていますね。でもコケの名前など知ろうとせずに、まずはルーペで(じつはそれよりデジタルカメラの接写モードで)もっと素直に見てみなさいというご指導。たしかにそうです。

八ヶ岳=登山、本沢温泉
【撮影】08時44分=伊藤 幸司
いちおう、有名な本沢温泉の野天風呂を見学。湯船が新しくなっていました。あいかわらず登山道からは丸見えですが。

八ヶ岳=登山、本沢温泉
【撮影】08時44分=小林 美子
20日は、やはり予報通り朝から、雨と風
コースを大きく変えた。
夏沢峠にもどり、本沢温泉から、
しらびそ小屋方面へと行く。
本沢温泉、日本の最高所(2150m)露天風呂を上から・・
この露天風呂から本沢温泉迄、かなり下った。
風呂に入る為 に登ってくるのが大変だ!

八ヶ岳=登山、イオウゴケ
【撮影】08時47分=伊藤 幸司
野天風呂の帰りに、先ほどのコケを撮っておきました。するとこの写真ならわかりました。たぶんイオウゴケです。硫黄分の多い流れの縁にあったので間違いないでしょう。赤い実のようなものがあります。胞子なんだそうですが、それが赤い花とか実に見えるのです。
「草津スカイランドホテル栖風亭」の「花ごよみ」に「イオウゴケ」がありました。
【さて、良く見てみると、面白い形をしています。
真っ赤な唇みたいですね。
これ、マリリンモンローの唇みたいだと言う事で、
モンローリップと言う名前もあるそうです。
実にセクシーな名前が付いているんですね。】
……残念、やっぱりVixen が薦めるルーペ画像、がもう一段の接写が必要でした。

八ヶ岳=登山、本沢温泉
【撮影】09時06分=伊藤 幸司
じつは1999年の11月27日に本沢温泉に泊まりました。もちろん客は私たちだけで、雰囲気はその当時の上高地・徳沢小屋の冬期小屋(営業小屋)に似ていると思いました。留守番役の若者がいて、料理を作ってくれました。
野天風呂は積雪期は危険だということで立入禁止、玄関の向かいにあった湯はぬるくて、暗くて、湯上がりに玄関まで戻るのが辛かったと思います。「石楠花の湯」という看板をかかげたその湯小屋も、今ではピッカピカという感じになっていました。

八ヶ岳=登山、クリンソウ
【撮影】09時06分=伊藤 幸司
石楠花の湯の前に見えるピンク色はクリンソウです。

八ヶ岳=登山、クリンソウ
【撮影】09時07分=伊藤 幸司
いまちょうど花の時期なんでしょう。今年は6月7日に奥日光の高山から千手ヶ浜に下ってクリンソウを見ましたが、そこはもう盛りをすぎていました。こちらはちょうど今が盛りのようです。

八ヶ岳=登山、ミズバショウ
【撮影】09時28分=伊藤 幸司
本沢温泉からほんのちょっとですが、松原湖方面へと下る林道(ゲートで車両通行禁止)を歩きます。その道筋にミズバショウがありました。
どうしてここに、突然ミズバショウが? と思うような道路脇の水路です。
「サークルバンドの裏窓」という不思議なサイトに「水芭蕉の苗、お分けします」というタイトルがあり「水芭蕉の育て方」がありました。どうも岐阜県郡上市で活動している「スーパー・コンビニエンス・スペシャル・バラエティーバンド……サークルバンド」のメンバーが書いていいるらしいのですが。
【水芭蕉の育て方
水芭蕉は湿原に咲く花です。
ここ、ひるがの高原は標高900mにあり各地に湿原が点在する高原です。
春になると湿原には水芭蕉の白い花が咲き誇り、その花を見ようと観光客で賑わいます。
その気品ある花を自分でも咲かせてみようと、種から育てる事を始めました。
①発芽
種ができるのは6月から7月にかけてです。
熟した種を涼しい場所で水に浮かべておけば発芽してきます。
水が汚れてきたら、水を取り替えます。
②植え替え
2〜3週間して葉が伸びてきたら、ポットに植え替えます。
土はピートモスと腐葉土を半々に混ぜたものを使います。
ポットに1本ずつ苗を植えていきます。
③水やり
そのポットを常時水に付けておきます。
水は絶対欠かしてはいけません。
土の上に水苔を置くと保水性が良くなります。
④暑さ対策
水芭蕉は冬の寒さは問題ありませんが、夏の暑さは大敵です。
気温が30度を越える場合は暑さ対策が必要です。
水温を上げないためには流水を使うのが良いのですが、
無理な場合は日除けをしたり、時々水を替えて水温を上げない工夫をします。
⑤冬の水芭蕉
冬になると葉は枯れてなくなります。
でも、根はしっかりと生きていて、春になるとまた芽を出します。
冬場も絶対水を枯らしてはいけません。
ひるがの高原では深い雪の下でじっと耐えて雪が融けるのを待っています。
そして、雪がなくなると共に小さな芽を出します。
⑥花が咲くまで
花が咲くまでには数年かかります。
水だけ欠かさなければ溜まり水でも花が咲きます。
気長にチャレンジしてみて下さい。
枯らさなければいつか花が咲きます。
(2005.5.15記)】

八ヶ岳=登山、クリンソウ
【撮影】09時32分=伊藤 幸司
ミズバショウの先にはクリンソウがありました。これはあきらかに人の手で育てています。
クリンソウの育て方についてはネット上にいろいろありますが、ここでは「インターネット園芸大事典」の「クリンソウの育て方」が想像しやすく思えました。
【 クリンソウは野生では山の中で湧き水がわいているようなところに生育していますので、水切れは厳禁です。鉢土の表面が乾いたら、すかさず、きれいな水をたっぷりあげるのがクリンソウ栽培のコツですね。
クリンソウは湿潤を好みますが、よどんだ水は大嫌いですので、普通の庭に地植えすることはできません。清潔な山野草用の用土で鉢植えにして管理してください。
クリンソウの鉢は、真夏を除いて半日程度、日が当たる場所に置いてください。真夏は、できるだけ涼しい明るい日陰で管理します。
花後に山野草用の肥料を少し置き肥すると生育が良くなります。
クリンソウはサクサソウと同じ程度の耐寒性、耐暑性がありますので、 その他の管理はサクラソウと同じで良いでしょう。サクラソウと同様に、毎年2月に植え替えてください。
クリンソウは植替え時に芽分けをして殖やします。 根伏せで殖やすこともできます。
ヒマラヤ原産のプリムラ ビーシアナが赤花クリンソウとして売られていることがあります。
プリムラ ビーシアナは暑さが大嫌いですので、東京付近では夏越しには冷温室が必要でしょう。 】

八ヶ岳=登山
【撮影】09時46分=伊藤 幸司
「ミドリ池方面」という標識のところから左手(北)へ入ります。

八ヶ岳=登山
【撮影】10時02分=伊藤 幸司
ちょっと荒れた感じの道です。道を見失う不安はまったくありませんが、目印のたぐいはほとんど期待できません。雪が降ったらどうなるでしょうか。

八ヶ岳=登山
【撮影】10時03分=伊藤 幸司
ほとんど手入れをしていないのでこうなるのでしょうが、足を汚さないように歩こうとすると登山者が登山道をどんどん広げてしまいます。(それが登山道荒廃の大きな問題です)
この流路は登山道が広がってできたものですが、いまや登山道から外れて流れ下る流路となっているかもしれません。先頭の人は「道筋」を意識しながら歩かないといけない場面です。

八ヶ岳=登山
【撮影】10時09分=伊藤 幸司
なんだか不健全な雰囲気の森です。遠目には道筋ははっきりしませんが、足元では踏まれた道がしっかりとついています。緊張感を持ちながら「道筋」をたどります。

八ヶ岳=登山
【撮影】10時17分=伊藤 幸司
登山道を守るために倒木を処理してあります。ヒョロヒョロと細い木が目につきます。丹沢などと比べると後継樹が順次育っているというふうに見えますが、東北のブナ林などと比べると若い木がすくすくと育てられているという感じに物足りないものがあります。しかし北八ヶ岳には中心樹種のオオシラビソに縞枯れ現象という「全取っ替え」の更新がありますから、安易なことはいえません。

八ヶ岳=登山
【撮影】10時29分=伊藤 幸司
山麓の緩やかな斜面をたどってきましたが、湿原に木道が延びていました。

八ヶ岳=登山、クリンソウ
【撮影】10時30分=伊藤 幸司
このクリンソウはここに自生しているもののはず。調べてみると本沢温泉からミドリ池までのこのルートは北八ッのクリンソウを代表するもののようです。そして例年なら7月初旬がその見頃。今年は季節が早いといっても、まだ咲き始めということのようです。

八ヶ岳=登山、クリンソウ
【撮影】10時31分=伊藤 幸司
湿原に1輪のクリンソウ。1輪で九輪草とはこれいかに、ですけれど、クリンソウの名の由来は仏塔の屋根に立つ「九輪」がその由来とか。輪生する花が数段あってのクリンソウですが、今はまだ1輪か2輪といったところです。

八ヶ岳=登山、森林軌道
【撮影】10時41分=伊藤 幸司
古いトロッコ道に出ました。山の中のトロッコというと私などは鉱山があったと思ってしまうのですが、森林鉄道の跡だというのです。
「鉄道ホビダス」という鉄道サイトに「編集長敬白アーカイブ "みどり池" の季節」という記事がありました。
【“みどり池”とは、北八ヶ岳山麓の標高2090mにある小さな池のことです。登山にはまったく興味がありませんが、この十年間で3回も、この“みどり池”目指して登山の真似事をしてしまいました。なぜなら、ここ“みどり池”への登山道には、かつての長野営林局渋森林軌道の廃線が、奇跡的にしっかりと遺されているからです。】
【この渋森林軌道は戦後に建設され、昭和37年に廃止されたそうで、動力は最後まで馬力でした。実際に歩いてみると、人間でさえ登るのに苦労する急坂を、空台車を牽引した馬がよく登れたものだと関心してしまいます。そして、それにも増して考えられないのは、盈車(えいしゃ=積車)を乗り下げる作業員の度胸です。台車の木材の上に跨り、ワイヤーロープひとつでブレーキを扱ってこのカーブ続きの急坂を下るのですから、言葉を失います。伝え聞くところでは、他所から来た乗り下げ経験者でさえ、この渋軌道の坂を見て怖じ気づいて帰ってしまったということです。】
ここはもう天狗岳の山裾ですから、森林鉄道ならこのあたりの巨木がことごとく伐採されたということなのでしょうか。

八ヶ岳=登山
【撮影】10時46分=伊藤 幸司
トロッコ道に出てからほんの5分でみどり池、しらびそ小屋に到着です。私たちはそこでコーヒーなどをいただき、ゆっくりと休みました。夜になると一升瓶が差し出されるというアットホームな山小屋です。窓の外には餌場があって、小鳥やリスがガラス戸の向こう側にやってきました。冷え切ったカメラのレンズが曇ってしまって、私は撮り損なってしまいましたが。

八ヶ岳=登山
【撮影】11時24分=伊藤 幸司
しらびそ小屋から稲子湯への道は、堂々たる登山道。でもこれには先ほどのトロッコ道の雰囲気がありますよね。

八ヶ岳=登山、コケ
【撮影】11時41分=伊藤 幸司
北八ヶ岳の魅力のひとつは苔だといわれます。緑滴る空間をつくっている土台が、たしかに苔だと思います。
なんと「北八ヶ岳苔の会」というのがあって、「北八ヶ岳コケ図鑑」を作ったというのです。
【北八ケ岳の白駒池周辺の原生林に生えるコケの魅力を発信しようと取り組む「北八ケ岳苔の会」(山浦清会長)は、一帯のコケについてまとめた「北八ケ岳コケ図鑑」を作った。これまで国内のコケ全体の図鑑はあったが、特定の地域のコケを取り上げた図鑑類は初めてという。貴重な「コケの森」の観察に活用してもらう考えだ。
 同会によると、八ケ岳では485種類のコケが見られ、国内で確認されたコケの4分の1に上る。うち白駒池周辺では約300種類が生え、「コメツガやシラビソなど亜高山性針葉樹林に覆われ、コケ植物の旺盛な生育が見られる。その景観は規模、美しさの点で優れる」として、2008年に日本蘚苔類学会の「日本の貴重なコケの森」に選定された。
 同会はこれを機に、新たな観光資源として着目し、その保護と利用に取り組んでいこうと一帯の茅野市、南佐久郡佐久穂町、小海町の山小屋4軒などで10年に発足した。パンフレットや散策マップを作ったり、「苔の森開き」や「森フェスティバル」、6〜10月の毎月1回観察会を開いたりしている。
 図鑑はB6判で71ページ。国立科学博物館植物研究部グループ長で日本蘚苔類学会前会長の樋口正信さんが執筆、写真も撮った。セイタカスギゴケやミヤマクサゴケなど代表的な66種類を収録し、コケが生える「樹幹」「岩」「倒木」「地面」など観察ポイント別に名前や特徴を解説。それぞれ群落や個体など三つの写真を載せている。
 山浦会長(59)は「北八ケ岳は変化に富んだ地形でいろいろなコケが見られる」と説明。「以前は風景としてコケを見に来る人が多かったが、最近はコケそのものに着目する人が増えてきた。どれも登山道から見られるもの。この図鑑を手に訪れてほしい」と話していた。
 県の地域発元気づくり支援金を受けて2000部作成。茅野市など3市町に計450部寄贈したほか、観察会の参加者にテキストとして無料配布する。28日には山浦会長らメンバー3人が茅野市役所を訪れ、市と市教育委員会に150部贈った。----------20130129 信濃毎日新聞】

八ヶ岳=登山、イオウゴケ
【撮影】11時41分=伊藤 幸司
本沢温泉の野天風呂近くの硫黄の流れで見たイオウゴケと同じように見えますが、ネットで画像を探してみると、こちらのほうが枝先が繊細で、赤い胞子が控えめ。似て非なるものかもしれません。

八ヶ岳=登山、ズダヤクシュ
【撮影】11時42分=伊藤 幸司
スギゴケをバックに、ズダヤクシュ、ですが脇役としてミヤマカタバミでしょうか、独特な葉っぱがいくつもあります。

八ヶ岳=登山、森林軌道
【撮影】11時50分=伊藤 幸司
みごとな森林鉄道跡。これがどういうものであったか知りたいと思ったら、ありました。
「国有林の森林鉄道の全路線(PDF : 1769KB) - 林野庁」というものです。
そこにはなんと1179の路線番号が振られていて、その706番に「渋林道」がありました。
【旧長野営林局88路線のうちの16番目にあって、旧署名は臼田、管理署名は東信、路線名は渋(しぶ)林道、「2級」、延長4,249で、1949年(昭和24)開設、1958年(昭和33)廃止、所管は林野庁】
延長の4,249の単位はmだと思います。そして「2級」というのはこの表では不明ですが「軌道」のことで、「1級」が「鉄道」。さらにこの表には3つ目の分類として「軌」というのがありますが、2級の「軌道」とどう違うのかは不明です。
ウィキペディアの「森林鉄道」には「国有林林道総延長」という表がありました。
渋林道開設年(路線の一部において軌条が敷設された年度)の1949年と廃止年(林道台帳から当該路線が資産除却された年度)の1958年との数値を見てみました。さらにその表の最終年の1969年も添えておきます。
【鉄道(1級)は2,421km─→1,605km─→170km
軌道(2級)は3,751km─→3,736km─→321km
索道は15km─→33km─→9km
自動車道は5,048km─→11,410km─→24,347km
車道は4,779km─→3,518km─→2,142km
木馬道は1,176km─→569km─→54km
牛馬道は3,950km─→3,174km─→653km
合計は21,140km─→24,045km─→27,696km】

八ヶ岳=登山、森林軌道
【撮影】11時54分=伊藤 幸司
カーブの外側にレールが残っています。ここを登りは馬に台車を牽かせて、下りは積荷の材木の上に乗ってブレーキを制御しながら……だそうですから、快適なのかスリリングなのか知りませんが、人それぞれに気分を想像できる風景だと思いました。

八ヶ岳=登山、ワラビ
【撮影】12時07分=伊藤 幸司
圧倒的な緑の海です。シダ類だとはわかりますが、それ以上はお手上げです。
ニホンジカの食害に関する林野庁の資料のようなのですが、よくわかりません。そこに「オシダ」が出てきます。
【みどり池入口から中山峠に至る登山道の周辺は、写真 4-45 に示すようにコメツガやシラビソを主体とした針葉樹林が主に分布している。林内はやや暗く、林床にはシラビソやコメツガの実生以外の植物は主にシダ類が生育している。オシダをはじめとして、シダ類は他の箇所ではシカの食害を受けているのが確認されたが、当該箇所においてはシダ類がシカの食害を受けている痕跡はほとんど見られず、被害ランクを D とした。なお、みどり池入口近辺の小規模な池においてシカを目視したが、写真 4-46 に示すように食害はほとんど確認されなかった。
ただし、みどり池入口近辺の渓流沿いの登山道やみどり池周辺の平坦地においては、写真 4-47、写真 4-48 に示すようにヤツタカネアザミ、オシダ、イワノガリヤス、ヒメスゲ等がシカの食害を受けているのが確認されたため、被害ランクを C とした。 】
オシダという名前が上がってきたのですが、調べてみると体つきが頑丈すぎます。
いろいろな画像を見ているうちに出てきたのがワラビという候補。あのみんなが知っているワラビが終わったあと、どうもこんなふうに繊細な葉っぱを立てたような、広げたような、ざわざわとした感じのまま広がっていっておかしくないようなのです。
そこで北八ヶ岳にワラビがあるかどうか調べてみると「ワラビ狩り」の話がどんどん出てきます。しかもワラビが年々増えているというような話。これはワラビの海ではないかと思いました。

八ヶ岳=登山、ワラビ
【撮影】12時08分=伊藤 幸司
こんな光景がここで見られるなんて、想像もしていませんでした。というのは、この道は何度も通っているのですが、真冬。気持ちのいい雪道をしらびそ小屋を目指して登っていました。「北八ヶ岳の6月はすばらしいから」などと言いながら今日の下山スケジュールを変更したのですが、これほどのものが飛び出してくるとは思ってもいませんでした。

八ヶ岳=登山、ワラビ
【撮影】12時08分=伊藤 幸司
どう見たってすごい緑です。私はワラビを実際によく知っているわけではありませんが、イヌワラビ、ジュウモンジシダ、コハシゴシダ、コシダなどの画像を見ても、やっぱりちょっと違います。……ということは、よく知っている名前のワラビがこんなジャングルを作っていていいのだろうか? というあまり意味のない疑問が湧いているというだけのことかと思います。
間違っていてもいいですから「ワラビの海」と言い切っておきましょう。間違っていたらそのときはここに訂正のコメントを加えます。

八ヶ岳=登山、ワラビ
【撮影】12時14分=伊藤 幸司
念のためにその「ワラビ」の葉のクローズアップ。

八ヶ岳=登山、ワラビ
【撮影】12時14分=伊藤 幸司
さらにその「ワラビ」の葉の裏側を写しました。ピントが後ろにずれてしまいましたが、出しておきます。

八ヶ岳=登山、ワラビ
【撮影】12時15分=伊藤 幸司
目で見たときの一番素直な印象がこういう雰囲気の葉っぱです。

八ヶ岳=登山、クサソテツ
【撮影】12時36分=伊藤 幸司
12時27分に屏風橋で林道に出ました。そこからはショートカットの歩道を拾って下るという歩き方になりました。
シダ類の種類も完全に変わって、これはクサソテツだと思われます。ビッシリとではありませんが広範囲に群生しています。若いときには「コゴミ」です。

八ヶ岳=登山、マタタビ
【撮影】12時47分=伊藤 幸司
マタタビも出てきました。葉っぱのくせに花より派手な登場です。

八ヶ岳=登山、マタタビ
【撮影】12時48分=伊藤 幸司
マタタビがなんでこんなふうに魅力的な色を振りまこうとするのか、もちろん理由があるようです。
ウィキペディアの「マタタビ」にはこう書かれています。
【6月から7月に径2cmほどの白い花を咲かせる。雄株には雄蕊だけを持つ雄花を、両性株には雄蕊と雌蕊を持った両性花をつける。花弁のない雌蕊だけの雌花をつける雌株もある。花をつけるつるの先端部の葉は、花期に白化し、送粉昆虫を誘引するサインとなっていると考えられる。】
「樹木の写真」の「マタタビ」には次のように書かれています。
【花期に、葉の表が白くなる。これはドクダミ科のハンゲショウと同じ原理で、葉の表皮が、葉体から剥離するからだと言う。花が葉陰で咲き、目立たないので、代わりに虫を呼ぶためとも。実の成る頃には、もとの緑色に戻る。】

八ヶ岳=登山
【撮影】16時38分=伊藤 幸司
これは小淵沢駅で買った弁当「元気甲斐」ですが、その話をする前に糸の会ではきわめて重要な発見がありました。
時計を戻すと、私たちは13時に稲子湯に到着、風呂に浸かり、13時56分始発の小海駅行きのバスに乗りました。そして小海駅で大発見があったのです。そのことに関して翌日に糸の会ホームページのメール欄に次のようなことが伝えられました。
「参加メンバー矢野さんからのメールです。
【昨日 今日とお世話になりました。
悪天候のお蔭で 命拾いしました。
“大人の休日俱楽部”の 途中下車について 降車駅で駅員さんに伺いました。
とても 親切な若い駅員さんで 私の疑問に納得のいく説明をしてくれました。
“東京近郊区間”というものがあって その中では 途中下車できないルールだそうです。スタートとゴールが完結しているからだそうです。中央線でいうと 松本までが含まれます。今回の小海線も小淵沢までがその区間内です。
それで 千葉〜松本と千葉〜北松本までは運賃一緒なので 北松本まで “大人の休日俱楽部”で切符を買っておけば 途中下車可能という裏技 教えて頂きました。胸のつかえがおりました。】
山旅を計画する際、手頃な場所に入浴施設がなかったり、帰路の都合を考えて入浴しようとしたときに「大人の休日俱楽部」の3割引チケットで参加された人は降りられません。以前は駅員さんの顔色をうかがいながらお願いしてみるという方法で首都圏外縁の駅で懲りずに途中下車を試みてきたのですが、最近はそれがまったく通用しなくなりました。「東京近郊区間」というネーミングがそういう誤解を生んでいたわけですが、それがはっきり説明されたのです。
それに対して私の補足的な返信。なんでそうなったか調べました。
【コーチ】から
旅行総合研究所タビリスというサイトに詳しい解説がありました。
【JR東日本の東京近郊区間が、2014年4月に中央本線松本駅まで拡大されることになりました。「東京近郊区間」とは、JRが定める大都市近郊区間の一つ。大都市近郊区間内では、実際に利用する経路にかかわらず、最も安くなる経路で計算した運賃で乗車することができます。そのかわり、途中下車はできません。「最短経路で計算」というのは利用者にはメリットですが、「途中下車不可」はデメリットです。】
*私たちは「東京近郊区間」というネーミングに騙されていたようです。
【この東京近郊区間、国鉄時代はいわゆる「国電区間」を中心に、高頻度運行路線だけがエリアに指定されていました。ところが、JRになって範囲は拡大。1999年に宇都宮、高崎、熱海、高崎、勝田まで広がったのを皮切りに、最近では、北は黒磯、水上、東はいわき、南は房総半島全体や伊東までが範囲に含まれるに至りました。そして2014年に、ついに松本まで拡大されるのです。】
*「近郊区間」拡大の背景には「最短経路」を選ぶSuicaのシステム拡大と関係があるとのこと。
*さらに「途中下車前途無効を避ける裏ワザは?」という解説があります。それが今回矢野さんが親切に教えられたところで、松本方面に出かけるときにはとても便利かなと思います。
【旅行者としては、大都市近郊区間指定によるデメリットは歓迎できません。途中下車前途無効を避けるには、乗車券に新幹線区間を挟むという裏技があります。たとえば、「いわき〜松本」のきっぷの場合、「上野〜東京」を新幹線区間に挟むことで、東京近郊区間特例から除外され、途中下車可能な4日間有効なきっぷにすることができます。
新幹線と在来線は選択乗車が可能ですので、上野〜東京間で新幹線に乗らなくても構いません。同様な手法は、各地で使うことができます。ただし、発券は窓口のみで、時間も手間がかかりますのでご承知おきください。
もっと単純に「エリア外まで一駅余計に買う」という方法もあります。たとえば、東京〜松本なら途中下車前途無効ですが、東京〜北松本の乗車券にすると、同運賃で途中下車可能になります。ただ、この手法はエリアの端駅まで訪れる場合には有効ですが、「水戸から大月」というような場合には使えません。】
*これまで私が「3割引きっぷだと途中下車できない」と思ってきたのは「東京近郊区間」が想像以上に広かったから、と初めてわかりました。矢野さんが清里〜小淵沢間の3割引を返してもらうか、小海〜小淵沢間を3割引きに組み込めるか粘ったことからの以外な展開でした。ありがとうございます。

……で、小淵沢駅に着いたのですが駅舎がみごとにリニューアルされた代わり? に駅前のレストランが軒並みあてにならなくなりました。そこで駅弁を購入、一番早い特急に乗って食べることにしました。
発売元の丸政のホームページに「"元気甲斐" 弁当 誕生25周年」という記事がありました。
【ふもとの駅弁「元気甲斐」
1985年、小淵沢名物駅弁「元気甲斐」、テレビ朝日「探検レストラン」の企画で誕生いたしました。経木折詰の二段重ねで、京都と東京の人気料亭が知恵を絞った東西の味比べが楽しめる「元気甲斐」。高級料亭の味を持ち込んだ駅弁の決定版として爆発的な人気を博し、多くの人に愛されてきた全国の名物お弁当のロングセラー商品。ネーミング岩永嘉弘、包みのイラスト安西水丸、ディレクション山本益博など豪華な顔ぶれが担当するなど味以外の楽しみも盛り沢山。
お品書き:
一の重(胡桃御飯、蓮根の金平、山女の甲州煮、蕗と椎茸と人参の旨煮、蒟蒻の味噌煮、 カリフラワーのレモン酢漬、ぜんまいと揚げのごまあえ、セロリの粕漬)
二の重( 栗としめじのおこわ(銀杏・蓮根入り)、鶏の柚子味噌あえ、わかさぎの南蛮漬け、山牛蒡の味噌漬け、アスパラの豚肉巻、沢庵)】
これが1,600円という「ちょっと豪華版」の元気甲斐。



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