山旅図鑑 no.201
大岳山・馬頭刈尾根
2018.6.26

山旅図鑑目次


糸の会(no.1091)
2018.6.26
大岳山・馬頭刈尾根
39パワー

登り17p→下り19p

*計画書はまず、おわびがらみで始まりました。
「タイトルが紛らわしかったかもしれませんが、大岳山には登りません。大岳山から長く延びる馬頭刈尾根の途中、岩登りのミニゲレンドとなっているつづら岩へと直登します。その直登ルートに天狗滝があります。
せっかくですからまずは払沢の滝に行き、旧・郵便局舎のところから天狗滝を眺めてスタートしましょう。千足バス停まで(すこし)移動して登り始めます。
下山は瀬音の湯目指してまっしぐらです。」
*払沢の滝は春の浅間尾根を楽しむために何度となく訪れ、その入口で「天狗滝」を見てきました。また馬頭刈尾根は大岳山から下ったことがありました。その2つを一度つなげてみたいと軽く考えてみただけです。

6月26日
・0905……払沢の滝入口バス停を出発(標高約300m)
・0925-35……払沢の滝で休憩(標高約350m)
・0950……払沢の滝入口バス停(標高約300m)
・1005……千石バス停(標高約300m)
・1025-30……林道終点で休憩(標高約400m)
・1045-55……天狗滝で休憩(標高約500m)26度C
・1115-20……綾滝で休憩(標高標高約650m)
・1140-45……休憩(標高約750m)
・1210-25……つづら岩で休憩(標高約950m)23度C
・1330-45……馬頭刈山山頂(標高884m)
・1520……瀬音の湯(標高約250m)

今回の写真出展メンバー(提出順)は以下の2人です。

土屋 千鶴子、伊藤 幸司



山旅図鑑 no.201
大岳山・馬頭刈尾根
2018.6.26

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】09時08分=土屋 千鶴子
移築されてきた郵便局。局の前に立って双眼鏡を覗くと遥か山の中に天狗滝の一筋が確認できた。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】09時11分=伊藤 幸司
払沢の滝バス停からすぐに緑の世界に入っていきます。東京都で唯一「日本の滝百選」に選ばれているという名滝への入り口です。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】09時12分=伊藤 幸司
そこに郵便局? がありました。
「ようこそ森のささやきへ」というサイトがありますが「森のささやき」という名の木工製品主体のショップがその郵便局? なのです。自らの「建物ガイド」がありました。
【当建物は昭和4年10月に檜原村上元郷の「吉野家」が檜原郵便局舎として建てた物で昭和44年まで実際に使われていたものです。
村の文化の懸け橋として村民に親しまれていたものを村民の皆様のご厚意により、平成6年4月に移築完了することができました。】
リクルートが創設したというインターネット情報サービスの「オールアバウト」という会社のサイトに「趣味>ホビー・コレクション>切手収集>切手収集入門」というジャンルがあるらしく、そこに「奥多摩でレトロな郵便局巡りをしませんか?」(執筆者:板橋祐己)というレポートがあり「森のささやき」が登場します。
【昭和初期の貴重な局舎を保存した功績もさることながら、「森の中に家を建てる」といった絵本のような話を本当に実現したという話に、ちょっと胸が熱くなってしまいました。ちなみに、払沢の滝は「日本の滝100選」にも選ばれた美しい滝で、夏の初めにはホタルが舞うそうです。ホタルが滝のまわりで飛び交う写真を見せてもらいましたが、とても幻想的でした。
店内では沢からのさわやかな風に吹かれながら、大切な友人への残暑見舞いのお手紙を書かせていただきました。長居させていただき、ありがとうございます・・・。】

大岳山馬頭刈尾根=登山、ドクダミ
【撮影】09時16分=伊藤 幸司
どこにでもあると感じるドクダミですが、最近では「どくだみ茶」だけではないようです。
巣鴨の茶舗・山年園のホームページに力の入ったドクダミ解説がありました。
【どくだみ茶といえば、今や一般的な健康茶として知られています。
近年では、他の野菜やお茶とミックスされたジュースやドリンク、どくだみが練り込まれたクッキーなども販売されるほど一般的認知されているものの、なかなかどくだみ茶の成分や副作用、飲む際の注意点について知っている人はさほど多くないように思われます。
そこで、この記事ではどくだみ茶とは?というところから、成分・副作用についてご紹介します。
どくだみは、ドクダミ科ドクダミ属の多年草で日本では全国各地に点在します。
主に、日陰などに多く自生しており、特有の強い臭いを放ちます。
生命力が強く地下深くまで根が伸びるのが特徴です。
どくだみの名称の由来は、毒を抑えるという意味の「毒矯み(どくだみ)」からきています。
どくだみは、古くから生薬としても活用され、江戸時代の古書「大和本草」や『和漢三才図絵』にも記載があります。
現在は、十薬(じゅうやく)という名前で各薬局で販売しています。
また、ベトナムでは魚料理の付け合せの香草として生のまま食べることがあります。

独特のニオイを放つどくだみ茶には、多岐にわたる成分が含まれています。
一つずつ見ていきましょう。
◎ケルセチン(クエルセチン)
ケルセチン(クエルセチンとも)は、フラボノイドの一種です。黄色い色素成分であり、染料としても利用されてきました。
ケルセチンが含まれている野菜で代表的なのが玉ねぎです。
きぬさや、アスパラガス、りんご、レタスにも含まれています。
◎ルチン
ルチンはフラボノイドの一種で、蕎麦やアスパラガス、オレンジ、グレープフルーツ、レモンなどに含まれます。元々は、ビタミンPと呼ばれていました。
天然のルチンは水に溶けないですが、水溶性のルチンは食品添加物などに利用されています。
◎クエルシトリン
クエルシトリンはどくだみの葉と茎に含まれている成分です。
フラボノイドの一種でピーマンにも含まれる渋味成分です。
◎パントテン酸
肉や魚、野菜に幅広く含まれている水溶性ビタミンの一種です。
パントテン酸が含まれる食品で代表的なものは、レバー、うなぎ、なめこ、アボカドです。
◎ナイアシン
ナイアシンは、水溶性ビタミンの一種で別名「ビタミンB3」とも呼ばれます。
私たちが食事から得た栄養素から、細胞でエネルギーを生み出す際に補助となる酵素を作るはたらきをしています。
レバー、魚類、肉などに多く含まれています。
◎その他には以下のような成分も含まれています。
カリウム、マグネシウム、リン、マンガンなど。】

大岳山馬頭刈尾根=登山、ドクダミ
【撮影】09時16分=伊藤 幸司
「毒を抑える」という名前なんですね、ドクダミは。

大岳山馬頭刈尾根=登山、払沢の滝
【撮影】09時17分=土屋 千鶴子
払沢の滝。日本100選の滝に数えられるそうな。

大岳山馬頭刈尾根=登山、払沢の滝
【撮影】09時21分=伊藤 幸司
払沢(ほっさわ)の滝。ここには4段の滝の下2段が写っています。
ウィキペディアの「払沢の滝」には次のように書かれています。
【北秋川の支流のセト沢にある4段の滝で、1段目の落差が26m、全段で合計60mとなっている。滝が僧侶の払子を垂らした様に似ている事から、かつては払子の滝とも呼ばれていた。
滝壺には大蛇が棲んでいたと伝えられている。冬季になると結氷し、檜原村では最大結氷する日を当てる「氷瀑クイズ」を行っている。近年は全面結氷する年は少なくなったが、2006年1月8日に10年ぶりに全面結氷した。】

大岳山馬頭刈尾根=登山、払沢の滝
【撮影】09時27分=伊藤 幸司
滝そのものというより冷気漂う緑の森という感じがよかったですね。

大岳山馬頭刈尾根=登山、天狗岳
【撮影】09時43分=伊藤 幸司
これは今日の本命「天狗滝」遠望。この写真のために4つ手前のバス停で降りて、ついでに払沢の滝まで行ったというのが正直なところです。
……というのは古い郵便局を移築した「森のささやき」の玄関口に望遠鏡がセットされていて、それを覗くとこの滝が、ちょうどこんなふうに見えたのです。ところがその望遠鏡がなくなっていました。次の写真でも感じられるかと思いますが、休日というより休業、あるいは閉店、戸締めという感じなのです。
そこで皆さんには私の6倍双眼鏡で見てもらいましたが、固定された望遠鏡で覗くのと比べると、けっこう大騒ぎになる人が出てきました。
私の50倍望遠のカメラは、おおよそ6倍の双眼鏡と同じ画像をファンダーでも見られ、手持ちで撮ることができました。超望遠にすると全体に白っぽくなるのはこのレンズ特有の性能にかかわることのようで、別のメーカーのレンズなら格段にいい写真が撮れるかもしれません。
でもこれが、これから歩いていく滝の遠望です。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】09時44分=伊藤 幸司
「森のささやき」は玄関前のテラスに鎖が張られ、進入禁止になっていました。でもそのテラスの向こうの端にセットされていた望遠鏡のところからでないと天狗滝は見えなにのです。ゴメンナサイ、という感じで侵入させていただきました。

大岳山馬頭刈尾根=登山、天狗滝
【撮影】09時45分=伊藤 幸司
念のため、もう1枚。天狗滝。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】09時50分=伊藤 幸司
バス通りを千石バス停へと歩きます。これは北秋川を右岸から左岸へと渡る歩道橋です。

大岳山馬頭刈尾根=登山、茅倉の滝
【撮影】09時59分=伊藤 幸司
バスが走っている都道脇にこの滝がありました。林道沿いなどによく出てくる滝だと思ったら、名札がありました。
茅倉(かやぐら)の滝だそうで「茅倉尾根(通称)周辺を源として茅倉沢を形成し北秋川に流れ落ちている。滝は都道から見ることができ、落差は18mでダイナミックさは無いが、左右の岩盤が拍出し、その奥に流れている様は奥ゆかしさがあり、足を止めてみたい滝の一つである。」と書かれていました。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】10時19分=伊藤 幸司
千石バス停のところから、舗装された林道を登ります。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】10時28分=伊藤 幸司
林道が終わって登山道になるとすぐに沢を渡ります。この上流に天狗滝があるようです。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】10時30分=伊藤 幸司
奥多摩山地はその全域で古くから林業が行われてきました。江戸という大市場があったからです。しかし現在見られるこのような林業風景は第2次世界大戦後のことでした。
「LIFULL HOME'S PRESS」のなぜか「買う」という分野に「東京の木・多摩産材・1」「日本各地にある地域木材、首都東京の場合は??」というレポート(フリーランスライター小林裕子)がありました。
【そうした数ある地域材のなかで、今回、焦点をあてるのは、筆者が住む、東京の木材である。大都会東京には森の自然とは縁がなさそうなイメージがあるかもしれないが、東京都の総面積の約4割は森林で約8万ヘクタールもの森林面積になるという。そのおよそ7割が集中しているのが東京都の多摩地域西部 (※3)。あきる野市、青梅市、八王子市、奥多摩町、日の出町、檜原村の6市町村があり、スギ、ヒノキの産地となっている。
つまり多摩は東京の林業地なのだ。】
【地域材ではなく、都道府県別のデータとなるのだが、農林水産省の農林水産統計をみてみよう。2014年7月の木材価格はスギ正角(厚さ10.5㎝×幅10.5㎝、長さ3.0m/2級)の全国平均価格は5万8400円、東京の平均価格は6万4500円。ヒノキ正角(厚さ10.5㎝×幅10.5㎝、長さ3.0m/2級)の場合、全国平均価格が8万500円に対し、東京の平均価格は9万1800円となっている。
一方、木材の生産量をみてみると、東京都のスギの生産量は年間約2万立方メートルで、スギを生産する46都道府県の中で43位。ヒノキの場合も、東京都の生産量は年間約1万3000立方メートル(※4)で、ヒノキを生産する43都府県の中で30位となっている。 (※5)
高井さんはこう話す。
「多摩の認証材は多摩の木のことを熟知している地元の製材所で製材されていますから、品質には自信があります。ただ、多摩の森は、傾斜度が急なところが多く、林道が整備されていない場所が多いこともあって、木を切り出すためのコストがかかってしまうんです。また、これは全国的な問題でもあるのですが、東京でも林業の就業者が減っていて、手入れの行き届かなくなった森が増え、よい木をたくさん産出することがきびしい状況にあります。こうした問題を抱えた東京の林業が活性化することが、多摩産材の一層の普及にもつながると思います」】
私たちはそういう問題を抱えた多摩の森を進んでいます。

大岳山馬頭刈尾根=登山、小天狗滝
【撮影】10時36分=伊藤 幸司
小天狗滝のところに出ました。
檜原村観光協会の「秩父多摩甲斐国立公園・ひのはら・滝と水辺 1」の「天狗滝」のところに解説がありました。
【これは天狗滝のテラスから流れ出る滝で、天狗滝はこの滝の左を高巻いてからテラスへ下ります。下段にある滝と勘違いする方が多いので要注意!】
その「下段にある滝」が【天狗滝の直下にある通称「小天狗滝」】

大岳山馬頭刈尾根=登山、天狗滝
【撮影】10時38分=土屋 千鶴子
天狗滝。千足から登山道に入るまで、梅雨の晴れ間の強い照り返しのなか、結構な勾配のアスファルト道を歩いた。

大岳山馬頭刈尾根=登山、天狗滝
【撮影】10時41分=伊藤 幸司
こちらが天狗滝。落差38m。
檜原村観光協会の「秩父多摩甲斐国立公園・ひのはら・滝と水辺 1」の「天狗滝」はこう解説されています。
【馬頭刈尾根の中腹にあり、天気の良い日には落下する水流が陽光を浴びて美しく輝きます。多くの滝が鬱そうとした谷間に存在するのに対して、この滝は広い天空の下にあり、滝の前で思わず弁当を広げたくなるような快適さがあります。テラスの先端に立てば眼下に払沢の滝を擁する瀬戸沢を見下ろすことができます。】

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】10時54分=伊藤 幸司
小天狗滝から天狗滝へは、まずはその落口まで、裏側から登る感じがありました。天狗滝からはその背後にそびえる大岸壁の上に回り込むような、急な登りが待っていました。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】10時55分=伊藤 幸司
この急登を登りきって大岸壁の上に出ると、天狗滝を迂回して千足バス停へ下る道と綾滝を経て馬頭刈(まずかり)尾根のつづら岩へと登る道の分岐に出ました。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】11時00分=伊藤 幸司
またおだやかな林業風景の中を進みます。

大岳山馬頭刈尾根=登山、綾滝
【撮影】11時12分=土屋 千鶴子
綾滝。静かな山中にはよく似合う。

大岳山馬頭刈尾根=登山、綾滝
【撮影】11時14分=伊藤 幸司
森のなかに現れたのは綾滝です。落差21m。

大岳山馬頭刈尾根=登山、綾滝
【撮影】11時16分=伊藤 幸司
檜原村観光協会の「秩父多摩甲斐国立公園・ひのはら・滝と水辺 1」で「綾滝」はこう解説されています。
【綾という名が示すように、繊細な流れが岩肌を音もなく滑り落ちる滝で、下の方では水流が泡を成すように見えることから“泡滝”という名もあります。滝の右壁面 には三郷不動明王と刻まれた石碑があり、その下に祠が鎮座。檜原城が落城後に城主平山氏重の奥方が、ここに庵を結んで余生を過ごしたといわれています。】
なかなか整った顔立ちの、いい滝だと思いました。

大岳山馬頭刈尾根=登山、綾滝
【撮影】11時21分=伊藤 幸司
綾滝の肌の雰囲気、出てますかね。別名「泡滝」とか。
カメラが勝手に撮ってくれたので、この泡っぽさがいいか悪いか判断できないでいたら、泡滝の雰囲気を撮ってくれていたのだとわかりました。カメラさんありがとう。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】11時24分=伊藤 幸司
綾滝からは本格的な急登になりました。登山道は細かくジグザグを切っているのですが、それでも急登です。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】11時25分=伊藤 幸司
ガクウツギですかね、これは。
「樹木図鑑」の「ガクウツギ」に花の解説がありました。
【花は5〜6月、枝の先に散房花序をつける。縁に、萼の変化した装飾花がある。萼片は3片が大きくなるが、大きさがばらばらなのが特徴。】
この写真では白いがく片は3片ではなくて4片。4片だとノリウツギになるのですが、がく片の大きさはきちんとそろって、こんなアンバランスは絶対に生じないという感じ。
けっきょくわからなくなりました。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】11時31分=伊藤 幸司
こんなふうに登っていきます。なかなか乱暴な急登という感じですが、道そのものはきちんと作られています。
馬頭刈尾根は大岳山から下ってくる長い尾根なのですが、その下りはじめのところへ出る白倉バス停から登る道はこことは逆に驚くほど大きなジグザグを切っていて、登るのも楽ですが、下りは驚くほど高速になります。
白倉の集落のところには大嶽神社があります。大岳山の大嶽神社の里宮となっているのでそちらが参道。村人の歩きやすい道にしたのだなと思います。
それに対してこちらは山仕事に従事する人たちの感覚で整備された登山道という感じがします。この上にあるつづら岩は岩登りの練習場として知られています。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】11時33分=伊藤 幸司
急登ですが、手間をかけてキチンと作られた道というふうに見えました。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】11時43分=伊藤 幸司
まあこんなふうに。登っていきます。こういう登りでのダブルストックの有効性は、この場面ではありません。この手前、大きな段差を乗り越えるときに、ストック(腕力)で後ろから押し上げるのです。つまり脚に大きな力を出させる無酸素運動領域を腕の力で軽減してあげるという考え方です。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】11時44分=伊藤 幸司
こんなふうに。みなさんちょっとつらそうです。
この登山道だと30度以上の急斜面に、ジグザグを切りながらも20度以上の勾配の道が作られています。
糸の会では一般登山道での登りの基本スピードを「時速300m」としています。1時間に標高差で300m登るペースです。登山道の平均勾配が17度のとき、距離(水平距離)1km先で高度(垂直距離)300m登るという目盛りで基準時間を測っています。
その理由は、平地を「時速4km」で歩くエネルギーで登山道(一般登山道)を登りたいという考え方です。
17度の上り勾配では水平側に「時速1km」ですからそれに15分、登り300mに残りの45分を使うので、1時間のうちの4分の3のエネルギーはカラダを持ち上げるために使われます。平地を時速4kmで歩くアクセル加減のまま、その4分の3のエネルギーを「真上に向ける」という力加減が、登山道の歩き方の基本中の基本なのです。
そのことを言い始めて20年以上になり、本も何冊か書き、私の本の図書館での貸出表を見ても読んでいる人がそれなりにいるらしいのに、同じ理論付けをしているプロを私はまだ知りません。「登りはゆっくり歩きましょう」などと説明される以上のものではないようです。ちなみに、その基本的な登りのスピードは、日本の標準的なエスカレーターの半分です。
ここではまだ先が見えない状態ですから、皆さんそれぞれ「平地なら時速4km」以上のエネルギーを使わないように、ダブルストックはそのことをできるだけうまくアシストするように登っています。私は最後尾からそのエネルギーのやりくり具合を見ています。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】11時45分=伊藤 幸司
私もなぜかしつこく撮っています、この急登。
ダブルストックの使い方を私は2つの側面で見ています。ひとつはバランスアシスト、もうひとつはパワーアシスト。登りでストックを前方に突くというのは素朴な発想ですから悪くないのですが、杖の使い方と同じです。100%バランスアシストで使っても、姿勢が安定するぶん、脚にかかる無駄なエネルギーをセーブする効果はあります。
それに対して、私はダブルストックのパワーアシストの割合をできるだけ大きくすることが、その人の登山能力の拡大に寄与すると考えます。
その考え方はこうです。
登山道を「平地の歩き方のバリエーション」と考えるわけですから、基本的には有酸素運動です。そこに急いだり、大きな段差をエイ! ヤア! と乗り越えるたりすることによって無酸素運動領域に入り込むのをできるだけ除去したいのです。そのためにダブルストックを使いたいのです。
登りでストックを前方に突きたい人は、たぶん意識が「前方」すなわち「前方上方」にあるはすです。ストックなどをまだ持っていない初心者ならなおさら、100%そういうふうに登山道を見ています。
坂を「斜め前方」へ進もうという感覚は神社の男坂や女坂でも、駅の階段でも、階段トレーニングでも同じです。つまり下界の人の歩き方の延長です。
ところが山仕事をする人たちの山の道は、直線的に登って下るというように最短距離を求めています。ネパールでトレッキングした人たちはそういう道を体験しているでしょう。日本でも東北の山には木こりやマタギのプロの道の雰囲気が濃密に残された登山道がありますし、北海道では沢から登って尾根に出るという探検登山的な登山道を体験できます。
もっというと、アイゼンとピッケルで登る冬山では雪氷登山や高所登山という世界になるのですが、力のある人は限りなく直登です。
つまり登山における「健脚」は水平方向へのスピードではなく、登坂力なのです。
ですが、その登坂力を大きくして無酸素運動の領域に踏み込むのを避けるために、ダブルストックをできるだけ有効に使おうというのが私の基本的な考え方なのです。みなさんそんなにうまくできていないとも見えますが、自分の力以内で歩けていればいいのです。無理強いされて「歩かされて」いなければ。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】11時56分=伊藤 幸司
まだまだ、登山道はおんなじ気分でどんどん延びていきます。
右前方の男性は櫻田さん(81歳)ですが、ダブルストックを非常に有効に利用しています。
そのかたちにちょっと違和感を感じるのは「ナンバ歩き」になっているからだと思います。蹴り足が右のときに右側のストックを使い、下りで右足で着地するときにも右側のストックが出ています。
私自身はスキーで緩やかな斜面を登るときのストックワークを基本としつつ、大きな力を使おうという場面ではダブルストックを同時にダブルで使うという(これもスキーでよく使います)ふうに考えています。
でも日本古来の歩き方と称されるナンバ歩きには興味があるので、ちょっと調べてみました。
ウィキペディアの「ナンバ(歩行法)」には否定的な見解が示されています。
【「ナンバ」とは、日本における歌舞伎の動作である六方(ろっぽう)にみられる、同じ側の手と足を動かして歩く動作のことである。古武術研究家の甲野善紀の著作などにより一般に知られるようになった。江戸時代以前の日本ではナンバ歩きが一般人の間で広く行われていたが、明治以降、西洋的生活様式の移入とともに失われたとされる。ただし、これは厳密な検証を経た学説ではなく、歴史学界では一般に甲野個人の武術理論から生まれた「伝統の創造」の類と見なされている。ただし、ナンバを基本とする身体の使い方は、伝統武術や陸上競技などに一定程度応用することが可能であり、スポーツ科学の観点からも研究が行われている。】
ネクストライブラリ株式会社のユーザー参加型検索サービス「NAVERまとめ」に「日本人古来の歩き方?アスリート達の活躍により「ナンバ歩き」が見直されている!(更新日: 2018年06月13日、この記事は私がまとめました ddexxxさん)というのがあって、いろいろなところからの引用集となっています。そのいくつかを私が紹介するとダブル引用となるのですが。恐れずに。
【冬季オリンピックのノルディックスキーの競走やバイアスロン競技でも、ストックで体のバランスをとりながら早く坂道を登るときに、ナンバ歩きのように駆け込むシーンが見られた。(出典:第59回 オリンピックとナンバ歩き)】
【ナンバ歩きが一躍注目を集めたのは、陸上競技の末続慎吾選手が、世界陸上パリ大会で、200メートル決勝で20秒03という記録を出した時のこと。末続は陸上競技(トラック競技)でアジア初の銅メダルを獲得した。記者会見で末続は「ラスト50メートルでナンバを意識しました。」(出典:「ナンバ歩きの秘密」〜実践!ストレス解消に歩け歩け! 日経ビジネスオンライン)】
【語源は「難場」で、「難儀な場所」「難儀な道」を意味し、そんな場所では自然と膝の上に同じ側の手をあてて膝と肘を伸ばしながら歩く姿勢になります。(出典:太極拳練習法)】
【相撲取りがすり足して鉄砲を繰り出す際には、それこそ、右手と右足が同時に前に出て、左手と左足が同時に前に出るのです。(出典:(4) ナンバ(なんば)歩きの勧め | 神道・日本語・日本文化を学ぶ)】
【ナンバは「右手ではなく、右半身(右腰・右肩)が右足と同時に出る動作」と正しく伝わるようになってほしいものです。これすなわち腰を捻らない動作。(出典:ナンバ歩きの実践)】
【ナンバ歩きは、当時の歩きの再現という感覚ではなく、どんな路面の道であっても効率的に身体を使うことで、より足腰への負担の少ない、安定感のある快適歩行(出典:ミズノ│ウォーキング│上野敏文のナンバ歩き講座)】
その上野敏文の「ナンバ歩き」講座」がすぐに見つかりました。
【今回紹介するナンバ歩きは、当時の歩きの再現という感覚ではなく、どんな路面の道であっても効率的に身体を使うことで、より足腰への負担の少ない、安定感のある快適歩行と理解頂きたいと思います。】
写真付きのていねいな解説がありますが、なかなか難しいので、関心のある方は直接見ていただきたいと思います。
【つま先部は足関節の動きにつながっており、蹴る動きをすれば足関節主導の動きをするが、カカト部で押す動きをすれば股関節主導の動きに変わる。その時には股関節周りのお尻の筋肉、太ももの裏側の筋肉など大きな筋肉が働くので、その意味でも楽に移動できるのかも知れません。
腕の動きも肩関節を内旋させる動きが入ることで腹筋、背筋まで参加し体幹部のトレーニングにもなります。
腹部を捻る動きがなく呼吸も楽です。
もっとアクティブに歩く世界を広げたい方はトライしてみて下さい!】

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】11時59分=伊藤 幸司
どんどん、どんどん、どんどん、という感じの登りです。

大岳山馬頭刈尾根=登山、つづら岩
【撮影】12時10分=伊藤 幸司
これがつづら岩のひとつ。
山と溪谷社のクライミング・ボルダリング総合サイトの「国内岩場」に「つづら岩、天狗岩」がありました。
【つづら岩は古くからゲレンデとして利用されてきた馬頭刈尾根上の岩場だが、アプローチが1時間半と遠く、フリークライマーにはほとんど利用されていない。逆に本チャンの練習用と考えればこのアプローチもトレーニングのうちと考えられるだろう。
天狗岩は滝の側壁で、近年フリーの新ルートも拓かれた。こちらはアプローチも30分と、フリークライマーの許容範囲である。
古いルートではスリングを直接ピトンに通す(カラビナが入らない)ことも多いので準備したい。つづら岩で唯一のハードなフリールートとしては、人工ゲレンデに30メートルのスケールを持つ「山崎ハングルート」がある。武蔵五日市よりバスで千足下車。】

大岳山馬頭刈尾根=登山、つづら岩
【撮影】12時18分=伊藤 幸司
つづら岩でゆっくり休憩しました。気温23度C、気持ちのいい稜線でした。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】12時37分=伊藤 幸司
大岳山から下ってくる稜線は基本的に下り基調。楽しい時間が始まりました。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】12時38分=伊藤 幸司
ダブルストックはこういう場面でものすごく有効です。とくに女性は安全性が高まるだけでなく、スピードも上がります。
スキーで急斜面に飛び込むときの深い前傾姿勢が基本です。私のアドバイスとしては(ちょっと誇張していますが)「3歩先にストックを突いて」「1歩目はまっすぐ下に」2歩目を踏み出したら、そこからまた「3歩先にストック」という動き。ダブルストックによって上半身が深い前傾姿勢をとれるようになったらOKです。
視野の中で目で確認しながら頭でコントロールしようとするのが杖(ステッキ)なら、スキーストックに由来するダブルストックは体の一部(腕の延長)として反射的に動かすようにしたいのです。

大岳山馬頭刈尾根=登山、イチヤクソウ
【撮影】12時56分=伊藤 幸司
イチヤクソウがありました。
「松江の花図鑑」の「イチヤクソウ」には次のように書かれています。
【葉の間から20cmほどの花茎を立て、上部に2〜10個の白花をつける。花冠は直径約1.3cmで、深く5裂する。雄しべは10個、雌しべは湾曲する。】
その湾曲する雌しべが写っていると花の雰囲気がガラリと変わるのですが、これはバックシャンのイメージ。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】13時08分=伊藤 幸司
これはわかりません。たぶん初めて見たと思います。

大岳山馬頭刈尾根=登山、イチヤクソウ
【撮影】13時13分=伊藤 幸司
イチヤクソウの全身がよく見える写真です。上の2つの花では長く伸びた雌しべが見えていますが、撮ったときには気づいていません。

大岳山馬頭刈尾根=登山、ナワシロイチゴ
【撮影】13時28分=伊藤 幸司
葉っぱの様子からナワシロイチゴではないかと思います。
「松江の花図鑑」の「ナワシロイチゴ」には次のような記述がありました。
【葉は互生。長さ8〜14cmの奇数羽状複葉。ふつう小葉は1対。1年目の茎の葉は大きく、小葉が2対のものもまじる。】
基本をきちんと理解しようという姿勢のない私には「1年目の茎の葉は大きく、小葉が2対のものもまじる」という変則的なルールが写真に写る葉の大小バラバラな感じとつながっているのではないかと想像してしまいます。

大岳山馬頭刈尾根=登山、ギンリョウソウ
【撮影】13時30分=伊藤 幸司
ギンリョウソウたちが群集劇の舞台に立っているように見えました。この生存にゴキブリが関係しているということはどこかの山で触れましたので、今回はいろいろ探してみると、労作がありました。
「バレエ・オペラ鑑賞,クラシック音楽,ルネサンス美術,海外旅行とインド・アンコール遺跡,単独登山,スキューバダイビング,好奇心を原動力に 未知の感動を求めて 人生を積み重ねる個人のサイト」というのがタイトルのようで「2018年07月25日 のぶなが74才」とありました。単に「のぶなが」というのがタイトルかもしれません。そこにギンリョウソウがあったのです。
【≪ 銀竜草 (ギンリョウソウ) 長期観察 写真 ≫
登山中に、気にかけていると、たまに見つける事ができるが
登山中では、通過するだけなので、その生態は把握できない。
我が家の近くに群生地があるので、芽吹きから休眠までを毎日、観察・撮影した。】
【「 銀竜草 」は、名付けられたその名のとおり、
銀のように渋みのある光沢
首をもたげた龍の如き気高さがある。
中国では「 水晶蘭 」と呼ばれる。
しかし、この気品ある姿は、条件が厳しいのである。
勢い良く伸びている期間、周囲の泥などの汚れにまみれていない。
そして、ま近で UP で見る。という条件である。
泥やゴミで汚れ、虫に食われたりすると、茶色に変色し、薄汚くなってしまい、別名の ユウレイタケ (幽霊茸) になってしまうのである。
気品ある女性と同じく、美しいものほど、際どく崩れ易いのである。】
……という精神で取り続けた写真を「のぶなが」さん流の並べ方でたっぷり見せてくれます。ご期待あれ。

大岳山馬頭刈尾根=登山、馬頭刈山
【撮影】13時44分=伊藤 幸司
奥多摩三山のひとつ標高1,266mの大岳山の尾根として下ったことはあるのですが今回は途中のつづら岩(標高約950m)からですから、標高846mのこの馬頭刈山山頂で記念写真。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】13時51分=伊藤 幸司
馬頭刈山を過ぎると道は下山路という雰囲気になります。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】14時04分=伊藤 幸司
すぐに高明山(標高798m)ですが、顕著なピークというより、高明神社の跡。前に訪れたときには、まだ「跡」にはなっていなかったと思います。
これは境内の端から参道を見下ろしたところで、なかなか立派な鳥居があり、それに見合う立派な参道が残っていました。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】14時04分=伊藤 幸司
「高明神社跡」と書かれた新しい石碑が中央におかれていました。この高明神社がどのようなものだったか知りたいと思っていろいろ調べてみたのですがなかなか出てきません。
「一般社団法人・大多摩観光連盟」というサイトの「観光案内情報」の「檜原村」の「神社仏閣」にようやくありました。
【高明神社
TEL:042-596-0690
所在地:あきる野市乙津
交通:JR五日市線 武蔵五日市駅→西東京バス上養沢行き15分 軍道下車→徒歩
創建は不祥。祭神は天之御中主尊、伊弉諾命、伊弉冊命。かつては高明山頂にあったが、平成3年(1991)現在の地に遷した。】
要するに高明山山頂にあった神社はその山すそに降ろされたというのです。
ちなみにこの「一般社団法人大多摩観光連盟」は青梅の東京都青梅合同庁舎内にあって、都議会議員の林田武という人が会長をつとめ、顧問・参与に地方議会の有力者をたくさん並べています。

大岳山馬頭刈尾根=登山、イヌトウバナ
【撮影】14時08分=伊藤 幸司
全然見当がつかないので「小さな白い花、夏」で画像を見ていたら、ありました。イヌトウバナです。たぶん。もっとクローズアップしていたら、この白い花はなかなか美しかったと、あとから思いました。トウバナは塔花と書くそうです。
ウィキペディアの「イヌトウバナ」には花について次のように書かれています
【花期は8-10月。枝先や上部の葉腋にやや短い花穂をつける。花はやや接して数段、まばらに輪生し、花穂の軸には密に毛が生える。】

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】14時25分=伊藤 幸司
だいぶ下ったところにまた立派な鳥居がありました。村人たちによる信仰が篤かったことが想像されます。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】14時41分=土屋 千鶴子
終点近くの山の中の頑丈なつり橋。全然ゆれません。それもちょっと面白くない。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】14時48分=伊藤 幸司
標高600mあたりで、高明神社が移された軍道との分岐があって、私たちは「瀬音の湯方面」という道を下りました。いかにも近道という感じの急な下りが続きます。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】14時53分=伊藤 幸司
下りきったところに登山者専用の吊橋がありました。「これで終わり」と思わせられる印象的な光景です。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】14時53分=伊藤 幸司
ハナイグチというキノコに似ているように思いますが、わかりません。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】14時54分=伊藤 幸司
吊橋を渡りました。登り返す感じがちょっと不安。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】14時57分=伊藤 幸司
吊橋のあたりから見下すと、林業関係らしい工場があって、集落からはまだ離れているようです。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】15時00分=伊藤 幸司
地図によると吊橋から標高326mのピークを経て、瀬音の湯、私の古い地形図には「青年の家」と書かれている方向に向かっていきます。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】15時12分=伊藤 幸司
この痩せた尾根。箱庭的ではあるのですが、どこまで続くのかわからない山道が伸びています。

大岳山馬頭刈尾根=登山、オカトラノオ
【撮影】15時12分=土屋 千鶴子
オカトラノオ。登山中よく見かけました。これは下山路も終わりに近いところで。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】15時13分=伊藤 幸司
ようやく、最後の下り。でもはじめての人には疑心暗鬼の部分が、まだ残っています。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】15時16分=伊藤 幸司
ようやく、集落が見えてきました。まだ遠いかもしれませんが、気分は晴れやかになります。

大岳山馬頭刈尾根=登山、オカトラノオ
【撮影】15時17分=伊藤 幸司
なかなか立派なオカトラノオがありました。これくらい立派な花を山道ではけっこうしばしば見るのですが園芸的にはどうなのでしょうか。
「ガーデニングの図鑑」に「オカトラノオの育て方」がありました。
【オカトラノオは、日本、中国、朝鮮半島などを中心に東アジアに分布するサクラソウ科オカトラノオ属(リシマキア属)の多年草です。
日本では北海道から九州にかけて分布しており、山野の日当たりの良い場所や、道端、草地などで普通に見られる植物です。
日本ではあまり栽培されませんが、野の花の趣を持ちながら美しい花を咲かせるるため、ヨーロッパや欧米などではナチュラルガーデンの宿根草として植栽されることがあります。】
とのこと。
【耐寒性、耐暑性に優れ、育てやすい植物です。
地下茎を伸ばしよく増え、よく花を咲かせます。
冬には地上部を枯らして宿根し、春に再び芽吹きます。】
なんで日本ではあまり栽培されないのでしょうか。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】16時38分=伊藤 幸司
瀬音の湯には「森のテラス」というのがあって「お昼寝スペース」とか。この日はちょっと暑かったけれど、こんなふうに眠れます。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】17時19分=伊藤 幸司
宿泊施設もあるのでレストランの食事は悪くありません。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】17時19分=伊藤 幸司
山旅のあとの食事はほぼ何だって間違いなく美味しいのです。ちょっとしたごちそうなら感激です。風呂上がりで、ビールを1杯やりながら、至福の時間が訪れています。ただ、私が下戸ゆえに、糸の会はしだいに下戸の集団になっていて、酒盛りの雰囲気が失われて久しいと思います。

大岳山馬頭刈尾根=登山、エゴノキ
【撮影】17時42分=伊藤 幸司
タクシーを呼んでもいいのですが、この日は十里木バス停まで出ることにしました。まずは庭にあったエゴノキ。「雑木林に普通に生える落葉樹。初夏にたくさんの白花が下向きに咲きます。花が散ると地面が白くなるほどです。」という説明書きがありました。その果実が目の高さにありました。
「森と水の郷あきた・あきた森づくり活動サポートセンター総合情報サイト」に「樹木シリーズ23 エゴノキ」があって、写真をパラパラと見ていくだけで、登山道から見上げてもよくわからないエゴノキの全貌がわかります。
【実・・・夏、灰白色の実がさくらんぼのように多数垂れ下がる。果皮は、星状毛が密生し、縦に裂けて落ち、褐色の堅い種子が1個残る。種子には脂肪分が多く、ヤマガラが好んで採食するほか、ゾウムシの幼虫が寄生したりする。】
【石鹸の代用・・・果皮のエゴサポニンは、界面活性作用があり、泡立ちが良い。その果皮をすりつぶして、水に入れて振ると白濁して泡立ち、石鹸水になる。かつては実際に石鹸の代わりに使われたことから、別名セッケンノキ(福井、大分、鹿児島)、シャボンノキ(福島)、シャボンダマ(茨木、千葉)、サボン(石川)などと呼ばれている。】
【魚毒・・・果皮をつぶして川に流すと水が白濁し、米のとぎ汁に色が似ているので「コメミズ」と呼ぶ地方もある。川水が白濁すると、そこにいる小魚類が酔って浮いてくるという。奄美大島での地元漁師への聞き取り調査によると、干潮時に、エゴノキの実をすり潰した汁をサンゴ礁の水たまりに流すと、魚が麻痺して浮き上がってきたものを捕獲。その捕獲した魚を新しい水に放してやると、たちまち息を吹き返したことから、毒性は弱い。ちなみに、渓流などでは、毒性が弱く、効き目がなかったらしい。】
【ヤマガラとエゴノキの実・・・・エゴノキの実には、有毒なサポニンが含まれている。それが分かっているのか、ヤマガラは両足で実をはさみつけ、器用にくちばしでつついて有毒な果皮を割り、中の種子だけを取り出す。その実を幹の割れ目や朽木、地面などに埋め込んで貯える習性がある。厳冬期にエサとして利用されるほか、翌年の繁殖期にヒナに与えるエサとして使われる。その残りが、芽を出し繁殖を繰り返すことができる。なお、ヤマガラによって果皮が除去されたエゴノキの種子は、果皮がついたままよりも発芽率が高い。】
【薬効・・・エゴサポニンが含まれる果皮は、痰(たん)きりや咳止めの製薬原料になる。生薬名は「麻厨子(まちゅうし)」。】

大岳山馬頭刈尾根=登山、石舟橋
【撮影】17時47分=伊藤 幸司
瀬音の湯の敷地が終わると歩道橋がありました。路面は簡易舗装のたぐいで、この写真では吊橋かどうかわかりません。

大岳山馬頭刈尾根=登山、石舟橋
【撮影】17時50分=伊藤 幸司
「ここが東京!? 秋川渓谷とその周辺版」というサイトに「石舟橋」がありました。
【檜原街道の十里木バス停から 「瀬音の湯」へ渡るために作られた歩行者専用の吊橋。 長さ96mの橋は湾曲しており、橋の上からは秋川渓谷の渓谷美を楽しむことができる。
秋川渓谷を代表する風景として、多くの人が訪れる。特に初夏の新緑、秋の紅葉は見事なまでの景観を見せ、訪れた人を魅了する。】

大岳山馬頭刈尾根=登山、ネムノキ
【撮影】17時53分=伊藤 幸司
十里木バス停のところにネムノキがありました。

大岳山馬頭刈尾根=登山、ネムノキ
【撮影】17時54分=伊藤 幸司
ネムノキの花。それから、撫でてあげるとネムネムしてしまう葉っぱ。
古い話ですが、1971年に「あむかす探検学校」の第1回としてボルネオ探検学校を開催しました。全国の大学の探検部を結集させようとした探検会議から一本釣りされた遠征帰りの若手OBたちがリーダーとなり、一般の人たち(パスポートを持っていない人)に「たんけん」的な方法論で歩いてもらってみようと考えた実験的なツアー。飛行機の団体割引と1日ひとり10ドル以上は持たないという貧乏旅行体験でした。
私がマネージングリーダーをやり、2波5班で参加者は合計33人。20歳から69歳で平均年齢29歳。それぞれ15日間、いろいろなかたちでマレーシア・サバ州を旅しました。(私はその後半にキナバル山に登り、田舎町で米粉のまんじゅうを売ってみようと悪戦苦闘したりしました。そのとき参加者のひとりだった早稲田の学生が近年糸の会に参加したものの病欠となっている写真愛好家の伊藤さんです)
ネムノキは前半での話です。そこに参加した女性の中に「どうしてもサンダカンに行きたい」という人がいました。山崎朋子の『サンダカン八番娼館─底辺女性史序章』が映画化されたりしていましたが、その人はそこで育って、小さい頃に見たネムノキが忘れられないということでした。
私はあまり深く考えていなかったのですが、私より10歳ほど年上のその人が、ほとんど病院暮らしの青春を送り、その旅も医者からは絶対に許可されない状況で参加したと、あとで知らされたのです。そしてそのとき、その人は「すっかり元気になりました」と語ってくれたのです。
ひとつの旅が、その人の人生に大きく関わることがある……かもしれないという象徴的な出来事を、私はネムノキを見るたびに思い出すのです。

大岳山馬頭刈尾根=登山
【撮影】17時57分=伊藤 幸司
バス停でバスを待っているときに、ちょうど日が落ちました。右肩にみえるピークは大岳山の方向で、そのような形に見えますが、正しいかどうかはわかりません。



★ページ 先頭に戻ります
Copyright 2018 Koji Ito & ito-no-kai All rights reserved.