山旅図鑑 no.202
乾徳山
2018.7.5

山旅図鑑目次


糸の会(no.1092)
2018.7.5
乾徳山
47パワー(計画変更により)

登り16p→下り31p

*計画書には次のように書きました。……「7cs針ノ木岳」の事前準備のひとつとして、クサリ場での自己確保のテストをしたいと思っています。ロープは「6c赤岳」で改良したものを用意しますから、もし「安全環つきカラビナ」をお持ちの方はご持参ください(なければいいです)。
*乾徳山には本格的なクサリ場があるので、糸の会の行動にふさわしい自己確保(セルフビレイ)の方法をテストしてみたいと考えていました。
*じつは糸の会の初期にはみなさんにロープとカラビナを持ってもらうことにしていたのですが、形ばかりの安全対策となってうまく活用できず、危険を感じたクサリ場では私が用意した安全対策で通過するというかたちに落ち着いてしまいました。
*しかし高齢化の波は私にも及んできて、事前に危険を察知するという観察力に若干の不安を感じるようになってきました。参加者の皆さんにしても、恐怖を感じることなく危険な状態に陥る可能性があると思われるようになって、まだ低い危険レベルから予備的な安全対策を講じるべきだと考えるようになりました。
*自己確保の装置としていちばん重要なのは、もしその装置に身を委ねる瞬間が生じたときに、確実に支えてくれることと、逆さになって頭が下にならないことだと思います。それとクサリにビレイポイントをとりながら行動する手順、必要のない場面でじゃまにならないスマートさ、と価格。
*限定的な安全装置だとすると、いざというときには「想定外」のいろいろな問題が周囲から迫ってくると考えられます。運用に際しての注意も必要です。そういうことを考えながら、皆さんに体験してもらって、ゆっくり考えたいということでした。
*残念ながら本格的なクサリ場に取り付く手前で引き返すことになりましたが。

7月5日
・塩山駅からタクシーで旧大平牧場へ
・0945……大平高原の乾徳山登山口を出発(標高約1,4000m)
・1020-25……休憩(標高約1,650m)
・1050……月見岩を通過(標高約1,750m)
・1105-1130……腹ごしらえ+自己確保の装置装着(標高約1,800m)
・1220……引き返しを決定
・1315……月見岩に戻る(標高約1,750m)
・1340-1400……国師ヶ原の避難小屋・高原ヒュッテで休憩(標高約1,550m)
・1520……林道(登山口)へ出る(標高1,000m)
・1540……乾徳山登山口バス停(標高約850m)

今回の写真出展メンバー(提出順)は以下の2人です。

藤原 由香里、伊藤 幸司



山旅図鑑 no.202
乾徳山
2018.7.5

乾徳山登山
【撮影】08時24分=伊藤 幸司
大月駅まであと6分というあたりで車窓から見た空模様。ずいぶん複雑な空模様なのでなんとも判定できません。しかしまだ、暗い気持ちで見ていたわけではありません。
というのは、笹子トンネルをくぐると天気はガラッと好転する可能性があるからです。だいたい、甲府盆地に住んでいる人たちは「台風も避けていく」と信じています。私もすこし信じていますから。

乾徳山登山、塩ノ山
【撮影】08時52分=伊藤 幸司
塩山駅到着の1分前です。街の中に盛り上がっているのは塩ノ山。
山梨県甲州市観光協会の「ぐるり甲州市」に解説がありました。
【市の南西部に位置し、「塩山」の地名の由来にもなった山です。「古今和歌集」の賀部の中に、「志ほの山 差出の磯に住む千鳥 君が御代をば 八千代とぞなく」と詠まれており、「四方から見える山」の意で「しほうのやま」が「しおのやま」と呼ばれるようになったと考えられます。】

乾徳山登山
【撮影】08時53分=藤原 由香里
雨の予報だったかと思うと、曇りの予報に変わったり。そんなはっきりしない天気予報の中、木曜以外の選択肢のない私は、とりあえず出発した。家から傘をさして。
お馴染みのあずさに乗って空を見ていると、行き先の方が明るくなってきた。良いかも。Yさんと、お気楽な予測をし、塩山に到着したのだった。

乾徳山登山
【撮影】09時27分=伊藤 幸司
塩山駅からタクシーでダイレクトに大平牧場へと上がります。その大平を私はずっと「おおだいら」と信じてきましたが、ネット上にその正式な読み方を記しているものはほとんどないのでけっこう真剣に探してしまいました。
でも牧場名は結局見つからず、大平高原にふりがなのついたものがありました。
あったのは「富士の国やまなし・観光ネット」(公益社団法人やまなし観光推進機構)で山梨県庁に事務所を置いている組織ようでした。
【大平高原(おおひらこうげん)八ケ岳・秩父山系乾徳山の麓の高原で富士山の展望良。レンゲツツジの群落有り。牧場・民宿有り】
そして同じサイトの別の部分にはこういうのもありました。
【大平高原(おおだいらこうげん)エリア:石和・勝沼・西沢渓谷】
そこで牧場の入口にあたる民宿「大平荘」で調べてみると「登山口ナビ」というサイトに「大平荘(おおだいらそう)駐車場」というのがありました。
【概要……乾徳山中腹の大平高原南部にある大平荘(民宿は廃業)の有料駐車場。アクセスは中央道の勝沼インターチェンジを下りて国道20号線の東京・大月方面へ進み勝沼大橋を渡った先の柏尾交差点を県道38号線の塩山・山梨方面へ左折、すぐにフルーツライン(東山東部広域農道)へ右折して道なりに進み、県道213号線につき当たったら三富・雁坂トンネル方面へ右折する。国道140号線のつき当たりを秩父方面へ右折、徳和入口交差点を過ぎて上門坂トンネルをくぐった先で、乾徳山の青い案内板がある左手の脇道へ入り道なりに進む。大平荘までは全線舗装路だが落石や斜面が崩れている箇所もある。駐車場利用者は大平荘のトイレを使用することができる。乾徳山の登山口は林道の先から大平高原(牧場)を横切り再度林道と交差する地点にあり、途中で道満尾根のルートと合流する。】
私達はいま、まさにその「大平荘までは全線舗装路だが落石や斜面が崩れている箇所もある」ところを走っています。
ところがこの道「上門坂トンネルをくぐった先で、乾徳山の青い案内板がある左手の脇道へ入り道なりに進む」という入り口のところで警備員にいったん止められたのです。工事用トラックが降りてくるというのです。
じつは民宿大平荘も大平牧場もなくなってしまったようなのです。
山梨県議会議員・古屋まさおさんのブログ「俺の畑にちょっとよってけし!」(2017-06-20)にありました。
【旧「大平牧場」開発計画示される
日本100名山の乾徳山(標高2031m)の登山口にあたる大平(大平牧場)地区周辺の開発計画が示された。
この地域の開発は兼ねてから太陽光発電を中心とした土地の有効活用が検討されてしました。この度、民間企業による旧大平牧場(標高約1350m)周辺の市が所有する山林147,812㎡を購入し(2,480万7千円)し太陽光発電施設を建設、牧場跡地・農地にはブルベリー等を含む野菜栽培する計画が示された。
市ではこの計画により雇用の創出を含めた地域振興が図られるとして、議会に対し土地の処分を提案した。私が所属する「総務常任委員会」では、周辺の環境及び景観に対する影響等について現地視察を行った。】
近隣の北杜市議会議員の池田やすみちさんの「オフィシャルブログ」に「韮崎市、甲斐市の水にも影響!?大平牧場跡地にて検討されている太陽光発電(メガソーラー)が心配な件」(2017年07月13日)というレポートがありました。
【ここに降った雨が塩川ダムへと流れ込みます。このダムの水は、北杜市(須玉、明野)、韮崎市、甲斐市で使われます。パネルに万が一のことがあったら、飲料水が汚染されるリスクがあるのでは?と心配の声が上がっています。
県道610号から牧場までは市道だそうで、雪が降っても今は除雪してないそうですが、パネルが設置されれば市は常に雪かきをして災害に備えないと、イザという時に手も足も出ないような場所です。
100mmの雨で通行止めとなる道もあり、防災上非常にハイリスクなロケーションです。
事業者は固定買取価格(電力消費者が負担)によって利益を上げられますが、果たして北杜市全体で見たときに、また韮崎市、甲斐市のことも考えたときに、どれだけのメリットがあるのだろうか、と感じました。】
いま、その工事が着々と進められているところでした。

乾徳山登山
【撮影】09時42分=藤原 由香里
乾徳山登山口にて。
塩山からタクシーに乗って間も無く、雨が降り始めた。その勢いは徐々に増して行った。先生から、雨具を着るように指示が出され、車内で装着。登山口に着くと、当たり前だが、私たちは車外に出され、置いていかれたのだった。
何と無く寂しい気持ちになってしまったのだが、後続のタクシーから出て来たお姉様方の明るいこと。流石だなぁと私も気持ちを上げるのだった。

乾徳山登山
【撮影】09時48分=伊藤 幸司
これまでは牧場の中を抜ける感じの小道を通って乾徳山登山口まできたのですが、今日は雨宿りできる場所が見つからないので、林道を登山口まで上がってもらって、そこで下車。さいわい小雨だったので手早く準備して登り始めました。

乾徳山登山、道満尾根
【撮影】10時12分=藤原 由香里
登山道を進むと早速、岩が出て来た。3つ位、岩場を超えるのよ。とTさん。

乾徳山登山、道満尾根
【撮影】10時14分=藤原 由香里
あぁ、大きな岩だなぁ。この様な岩をよじ登るのは、結構好きだ。雨で滑らないか心配したが、岩の質自体、滑りにくそうだった。難なく通過。

乾徳山登山、道満尾根
【撮影】10時24分=伊藤 幸司
雨はシトシトという感じです。

乾徳山登山、道満尾根
【撮影】10時32分=藤原 由香里
岩場を超えると、新緑に挟まれた山道に。この新緑は、ミツバツツジのようだった。こんな道をしばらく進んだ。

乾徳山登山、道満尾根
【撮影】10時38分=伊藤 幸司
ダブルストックには岩場で使用するための特殊な石突が標準装備されています。超硬合金の鋭い歯で岩に食い込むので強く打ち込めば有効ですが、より安全にするために、こういう岩場では小さなくぼみや細い溝を利用すると万全です。
石突部分にゴムのキャップをしている人がいますが、岩場では驚くほどよく滑って危険です。

乾徳山登山
【撮影】10時39分=藤原 由香里
こんな岩は皆さん朝飯前なのです。

乾徳山登山、道満尾根
【撮影】10時43分=伊藤 幸司
右側を覗くと驚くほど切り立っています。そういうことにあまり気づかないような道が岩っぽく続いています。

乾徳山登山
【撮影】10時47分=伊藤 幸司
ここで急に樹林を抜けます。草付きのおおらかな斜面が広がっているのですが、私たちは完全に雲の中。おだやかな道に出たという印象以上ではありません。

乾徳山登山、月見岩
【撮影】10時49分=伊藤 幸司
穏やかな斜面に巨岩がひとつ。月見岩です。

乾徳山登山
【撮影】10時49分=藤原 由香里
突然、ドーンと開けた先は扇平だった。

乾徳山登山、月見岩
【撮影】10時50分=伊藤 幸司
月見岩を振り返っています。現実的な登山スケジュールでは「月見をしたらいいだろうな岩」以上のものではないでしょうが、富士山を眺めながらの「お弁当岩」としては最高です。
私たちは向こうのガスった森からこちらへトラバースしてきましたが、ここから斜面を下ると国師ヶ原を経て乾徳山登山口バス停へと出ることができます。

乾徳山登山
【撮影】10時51分=藤原 由香里
今日一番の花、シモツケです。

乾徳山登山、月見岩
【撮影】10時52分=藤原 由香里
今日の月見岩からの展望はありませんが、岩元にはシモツケが咲いていた。

乾徳山登山
【撮影】10時59分=伊藤 幸司
月見岩のある一帯を扇平というのでしょうが、そこから岩山としての乾徳山が始まります。まずは岩っぽい道に。

乾徳山登山
【撮影】11時11分=藤原 由香里
苔が瑞々しく、ぷっくりとして、雨の中での楽しみである。

乾徳山登山
【撮影】11時37分=藤原 由香里
今回は岩場での怪我を最悪にしない為の訓練? が一番の目的だった。先生は私たちの体に紐を巻き、カラビナを付けて準備をした。そして、登山再開となった。

乾徳山登山
【撮影】11時40分=伊藤 幸司
岩は次第に大きくなっていきます。このあたりから小さなクサリ場が出てきます。

乾徳山登山
【撮影】11時42分=藤原 由香里
岩場になると、先生が先頭に向かい色々と指示を出されるのだ。

乾徳山登山
【撮影】11時48分=藤原 由香里
雨が降っていたから色々慎重だったと思うが、岩場が多くアスレチック的で楽しい山だ。

乾徳山登山
【撮影】11時49分=伊藤 幸司
今回はクサリ場での自己確保の実験を行う予定なので、このあたりからロープを装着して、どんなふうにやろうとしているか試運転状態に入っています。

乾徳山登山
【撮影】11時54分=藤原 由香里
お腹の大きなカエルが様子を見守っていた。

乾徳山登山
【撮影】12時15分=藤原 由香里
今日はここまで。残念ですが仕方ありません。ツツジの咲いている時に来たいと思います。

乾徳山登山
【撮影】12時19分=伊藤 幸司
風はそれほど強くありませんでした。ここが乾徳山の岩場のいわば玄関口。いま F さんが立っている場所が岩棚になっていて、足運びには問題はないのですが、右肩が当たる岸壁が姿勢をちょっと阻害しますし、足元の岩が丸びを帯びていて、濡れているとこちら側に滑り落ちそうな気配があります。
そういう緊張感を味わわせてくれるので記憶に残る場所なのですが、残念なのは安全を補助してくれるハンドホールドがないこと。
ヒヤヒヤしながらも真っすぐ歩いていけば、かなりの初心者でも通過できるのですが、濡れていると難易度は上がります。ロープで確保するのも難しいので、この日はここで引き返すことにしました。F さんは私が引き返すことを決めた場所を確認しに行ったのです。
ちなみにその岩棚を抜けて、裏側に回ってはしごを手がかりにして真裏に下ります。そこからしばらく行ったところに、最初の本格的なクサリ場があるのです。そこからの準備は整えてきたのですが、ここが思わぬネックになりました。

乾徳山登山
【撮影】12時25分=伊藤 幸司
下り道で自己確保のための操作手順を体験してもらいました。

乾徳山登山
【撮影】12時29分=藤原 由香里
下山時もカラビナの練習です。

乾徳山登山
【撮影】12時32分=伊藤 幸司
クサリ場では、基本的にはクサリは予備として考えます。岩登りの基本中の基本である「三点支持」で動いてもらい、そのいささかもどかしい動きがスムーズにいっている間は、見ている私はあまり緊張しません。
しかし三点支持のもどかしさが動きに手抜きを感じさせたら、私は緊張します。両手両足のどれかが不意にミスった瞬間に落ちる危険があるからです。両手両足の四点のうち常に三点で安全を確保しているということが絶対の安全保証となっているからです。
そのときクサリは位置取りに自由度の大きな支点(ハンドホールド)となるのでお助けマンとしてありがたい存在なのですが、クサリに頼ろうとすると三点支持を維持しづらくなって、握力に自信のある男性の場合は両手でクサリにぶら下がって身軽に下る(登る)という例が多いと思います。私は女性基準に考えているので、クサリにしろロープにしろ、ぶら下がるという使い方は厳禁しています。
しかし時にはクサリにぶら下がって恐怖をやり過ごそうという気持ちになる場面もあるかと思います。神にすがるというような絶対絶命感のとき、自分の身をどう守るかというために、輪にしたロープをクサリに巻き付けて(クサリを直接握るのではなく)電車の吊革のように持てると握力の不足を大きく補うことができます。そしてさらに体と結んだロープの先にカラビナという接続器具でクサリ側のロープと体を接続すると、落下の危険を防げます。そこから、時間をかけて立ち直るための安全を確保できます。そのような安全への逃げ道を、簡単にうまく実現できるかどうか、みなさんにやってもらいました。檜舞台で、というわけにはいきませんでしたが。

乾徳山登山
【撮影】12時45分=伊藤 幸司
こんな小さなクサリ場でも、だからこそ、100%の安全を確保して下らなければなりません。簡単なところで手抜きをしていると、自分の動きの粗雑さを自覚することができませんから。

乾徳山登山
【撮影】12時53分=伊藤 幸司
クサリを利用する場所では体は岩の側に向きますが、ここでは下りの姿勢のまま通過できると判断しています。そういうときにはダブルストックが有用です。なぜなら両手が1m以上長くなるからです。
ストックで下る→岩に向かい合って登りの逆モーションで下る→クサリなどを必要に応じて利用して下る、というように、難易度を自分できちんと判定できるようになると安全性は大幅にアップします。わけも分からず、だれかにいわれるがままに突入するというのが一番危険だと考えます。

乾徳山登山
【撮影】12時54分=伊藤 幸司
チムニー(煙突)と呼ばれるサイズの岩の割れ目を下ります。腕や体を岩に押し付けることで摩擦力を含めたいろいろな力を利用して安全を確保することができます。登るときには気づかなかった岩との触れ合いが体験できます。

乾徳山登山
【撮影】13時12分=伊藤 幸司
扇平まで下りました。引き返した地点までは登り、下りとも正味50分ほどでした。

乾徳山登山、月見岩
【撮影】13時16分=伊藤 幸司
月見岩まで戻ってきました。山頂での記念写真の代わり。

乾徳山登山、マルバダケブキ
【撮影】13時24分=伊藤 幸司
扇平の草原を下って樹林帯に入ると、一面にこの大きな葉が広がっていました。マルバダケブキです。この一帯にはニホンジカがたくさんいて以前何頭もの姿を見たことがあります。マルバダケブキはシカが食べないのでこの場所で大群落を形作ったと考えられます。
神奈川県自然環境保全センターの『神奈川県シカ不嗜好性植物図鑑』(2016年3月発行)の pdf にマルバダケブキがありました。
そこに登場するのは「不嗜好性植物」として、キジノオシダ、イワヒメワラビ、オオバノイノモトソウ、オオバノハチジョウシダ、シキミ、ヒトリシズカ、フタリシズカ、テンナンショウ類、オオバイケイソウ、ルイヨウボタン、ヤマトリカブト、マルミノヤマゴボウ、ヨウシュヤマゴボウ、ベニバナヤマシャクヤク、ヤマシャクヤク、ナツトウダイ、ナガバヤブマオ、メヤブマオ、オニシバリ、ミツマタ、マツカゼソウ、ミヤマシキミ、オオバアサガラ、アセビ、サワルリソウ、タンザワイケマ、キジョラン、ガガイモ、ハシリドコロ、ハダカホオズキ、メハジキ、テンニンソウ、レモンエゴマ、シロヨメナ、マルバダケブキ、キオン、「採食耐性植物」が、ヤマカモジグサ、ヒメノガリヤス、ウラハグサ、アシボソ、チヂミザサ、ミヤマクマザサ、タニソバ、ハナタデ、ミヤマタニソバ、ヘビイチゴ、ミズ、ヤマミズ、クワガタソウ、ヒメチドメ、アザミ類、としてページアップされています。
そしてこの図鑑の意図が次のように書かれています。
【しかしながらシカの影響を事前に判定するのは容易ではありません。シカを見る機会は限られていますし、食痕や糞、足跡などの生活痕跡を見つけても、それらだけではシカによる植物への影響はわかりません。そこで、シカの影響の程度を教えてくれるのが不嗜好性植物の繁茂状態です。シカの密度がわからなくても、不嗜好性植物の繁茂状況から森林の状態を推測することができます。いわば「森林でシカを見ずしてシカを知る」ということです。
この図鑑は、森林整備や野生動物の保護管理を担当する現場技術者、森林調査に携わる人、森林インストラクター、自然愛好家の方々が植物を通してシカの影響を判断する一助になるように作成したものです。掲載種は 36 種と少ないものの丹沢山地の代表的な不嗜好性植物が含まれています。また、シカに採食されても再生できる採食耐性植物を 15 種載せています。この図鑑を通してシカと森林との関係や森林整備、シカの保護管理に興味をもつ人が増えることを期待しています。】

乾徳山登山
【撮影】13時28分=伊藤 幸司
登山道は深くえぐられるほどではないにしても、雨の日の流路の状態で下っていました。

乾徳山登山、避難小屋
【撮影】14時05分=伊藤 幸司
国師ヶ原には避難小屋がありました。「高原ヒュッテ」という名前で屋内にバイオトイレ(冬季閉鎖)があり、まるで営業小屋のようなたたずまい。20分間、ゆっくり休ませてもらいました。鹿さんたちが表通りを歩いてきてくれるかもしれないというところに一縷の望みをかけましたが。

乾徳山登山、フタリシズカ
【撮影】14時22分=伊藤 幸司
フタリシズカがありました。緑色の爪楊枝ふうの細い花序が2本ほど立っていますが、オリジナル写真を拡大して見てみると、そこに丸っこい塊がいくつもついています。白いとそれなりにきれいなのですが、雄しべがくるっと丸まって雌しべのアタマを包んでいて、それがひとつひとつの花なのだそうです。ここでは爪楊枝に似た花序に小さな緑色のブツブツといくつもついている状態です。ヒトリシズカだと雄しべは棒状に伸びていて丸まっていません。ブラシ状に見えるはずです。クローズアップした写真がないのできちんと説明できませんが。
ちなみに前述の『神奈川県シカ不嗜好性植物図鑑』によればフタリシズカもヒトリシズカもニホンジカの「不嗜好性植物」です。

乾徳山登山
【撮影】14時30分=伊藤 幸司
小さな岩が散らばって、ちょっと不思議な光景が広がっています。以前、このあたりで鹿の群れと遭遇したことがあって、彼らの世界だという感じがしました。

乾徳山登山
【撮影】14時32分=藤原 由香里
下山時は、北八ヶ岳の様な緑の森の中を通った。そこに子鹿と思われる比較的小さなシカが下から上に一気に駆け抜けたのだった。さすが凄い脚力だ。山で自分の力で生きている動物と出会うと、尊敬と言うか、自分の生命力のなさに打ちのめされる気分になる。

乾徳山登山、マムシグサ
【撮影】14時33分=伊藤 幸司
マムシグサがありました。『神奈川県シカ不嗜好性植物図鑑』には入っていませんから鹿に効くかどうかわかりませんが、かなりの毒草です。
仏炎苞の花や毒々しい赤になる実が個性的ですが、私は決定的に葉っぱが好きなのです。
ウィキペディアの「マムシグサ」には葉について次のように書かれています。
【葉は2個あり、楕円形の小葉が7個から15個つく。】
要するに2本の葉(枝?)でこれだけの葉っぱの円陣を作り出しているのです。

乾徳山登山
【撮影】14時47分=藤原 由香里
きのこと言うか、菌糸と言うか。すごい出方だと思った。

乾徳山登山
【撮影】15時15分=伊藤 幸司
徳和集落に向かってどんどん下っていくと、あたりは深い樹林になっていきました。植林地帯です。

乾徳山登山
【撮影】15時34分=伊藤 幸司
徳和川に出ました。雨のせいか川はかなり増水して大きな音を響かせていました。登山口に出たのが15時22分。川沿いの林道を下って、15時40分に道満尾根の登山口でもある乾徳山登山口バス停に着きました。
私は完全に下山するまでは時計を見ない(正確には時計に合わせてスピードを調整しない)と決めています。
この日は、じつは山梨市駅方面に下る1日6便のバスが15時36分にあり、西沢渓谷方面に上がるバスが15時49分と微妙な時間帯でしたが、私は下山路でルートと時間がおおよそ明らかになったあたりから携帯電話の電波をさぐり、タクシーを2台呼んでおきました。
じつは往路でタクシーを使ったのは、そうせざるをえないルートであったからですが、帰路のことも考えてのことでした。じつは計画では大平牧場からふたたびタクシーで下山するつもりでしたが、クサリ場の体験ができなかったために急遽徳和への長い下山路を選びました。
ですから(必ずしも時間をきっちり指定できなくても)おおよその予定で帰路のタクシーにきてもらうことを相談できると考えていたのです。下山路ではしばしば集落に出るまで電話が通じないので、タクシーには往復の帰り便というかたちで受け取ってもらうのです。
それと糸の会では千葉方面からの参加者(朝日カルチャーセンター千葉の出身者)が多いので、塩山から18時29分発の各駅停車で大月に出て千葉行きの特急あずさ30号に乗れるという可能性を重視したいのです。
……で、それまでにできれば入浴と食事を可能にしたいということで、バス停に待っていたタクシーではやぶさ温泉に直行、1時間の入浴でレストランかざはなへ、パスタのセット料理を食べて18時10分に塩山駅へと向かったのです。

乾徳山登山
【撮影】17時06分=伊藤 幸司
食前のビールやワイン、個別に注文したパスタ。下山後の食事はその日の山の価値を(計画どおりにいかなかったらそのぶんさらに)かなり補ってくれます。

乾徳山登山
【撮影】17時27分=伊藤 幸司
かざはなは玄関方面の窓の向こうに小楢山が見えます。こちらの窓は塩山の市街地を向いています。ゆったりとした時間が流れていきます。

乾徳山登山
【撮影】17時46分=伊藤 幸司
デザートと食後の飲み物。タクシーをはやぶさ温泉からレストランかざはなへ、レストランかざはなから塩山駅へと正確な時間でこまかく配車してもらえたので、とても気持ちいい旅の印象になりました。山でマイナス点がついたときには、その後の進行に若干、力が入ります。



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