山旅図鑑 no.204
針ノ木岳
2018.7.17-19

山旅図鑑目次


糸の会(no.1094)
2018.7.17-19
針ノ木岳
108パワー

2日目……登り32p
2日目……登り8p→下り11p→登り8p→下り6p→登り7p
3日目……下り36p

*日本三大雪渓のひとつとされる針ノ木雪渓を登り、有名山小屋のひとつ船窪小屋(代替わりしましたが)に泊まるという、いくぶんミーハーな2泊の山旅でした。
*ところがじつはその間にゆるやかにそびえていた蓮華岳がなかなかの花の山、というのに加えて、続く北葛岳、七倉岳への稜線のアップダウンは密度の高い1日を体験させてくれました。
*3日間で合計530枚を超える写真で「見たもの」を「余すところなく」伝えるといっていい山図鑑になったと思います。

第1日(7月17日)
・1150……立山黒部アルペンルートの扇沢駅を出発(標高約1,450m)
・1235-40……休憩(標高約1,600m) 28度C
・1250……水分補給(標高約1,650m)
・1325-50……大沢小屋で休憩(標高約1,700m)
・1420……水分補給(標高約1,800m)
・1435-40……雪渓末端でアイゼン装着(標高約1,850m) 20度C
・1535-40……休憩(標高約2,050m)
・1630-40……休憩(標高約2,300m)
・1725……針ノ木小屋(標高約2,550m)
第2日(7月18日)
・0350……針ノ木小屋を出発(標高約2,550m)
・0455-0510……針ノ木岳山頂(標高2,821m)
・0605……針ノ木小屋に帰着(標高約2,550m)
・朝食 ・0715……針ノ木小屋を出発(標高約2,550m)
・0750-55……休憩(標高約2,650m)
・0850-0900……蓮華岳山頂(標高2,799m)
・1025-35……クサリ場通過前の休憩(標高約2,350m)
・1150-1200……北葛乗越で休憩(標高2,551m)
・1250……水分補給(標高約2,350m)
・1310……水分補給(標高約2,450m)
・1330-40……北葛岳山頂(標高2,551m)
・1410……水分補給(標高約2,400m)
・1435……七倉乗越通過(標高2,316m)
・1520……水分補給(標高約2,400m)
・1605-10……休憩(標高約2,500m)
・1620……七倉岳(標高2,509m)
・1630……船窪小屋(標高約2,450m)
第3日(7月19日)
・0625……船窪小屋を出発(標高約2,450m)
・0725……水分補給(標高約2,150m)
・0805-15……休憩(標高約1,950m) 24度C
・0920-30……休憩(標高約1,600m)
・1040……水分補給(標高約1,350m)
・1125……七倉山荘(標高約1,100m)

今回の写真出展メンバー(提出順)は以下の4人です。

小林 美子、稲葉 和平、山咲 野の香、伊藤 幸司



山旅図鑑 no.204
針ノ木岳
2018.7.17-19

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・12時03分=山咲 野の香
扇沢を後にして、豊かな樹林の下、気持ちよく歩き出す。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・12時22分=山咲 野の香
奥に見えるのが、針ノ木大雪渓なのか。天気はちょっとよすぎる。扇沢ターミナルで黒部の水を飲んでくるべきだった!

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・12時25分=稲葉 和平
歩きだしてしばらくすると北アルプスらしい山が見えてきた。数日前の天気予報では予想できなかった好天に恵まれそうだ。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・12時36分=小林 美子
遠くに見える、雪渓をこれからのぼります。
思ったより急斜面で長い。生暖かい風と冷たい風が入り交じって、身体にあたってきました。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・12時39分=山咲 野の香
目指す彼方は…
数年前にNHKプレミアムで「北アルプス山岳古道」という興味深い番組を見て以来、必ず針ノ木岳は登ってみたいと思っていた。
古道は信越連帯新道といい、大町の庄屋を中心に作られ、富山─長野を結ぶ最短距離の山岳ハイウェイで、牛馬で塩を運ぶ交易の道。全長57キロ、明治11年に開通。針ノ木峠から道幅9尺の名残りや牛だまりの跡もある。2年で廃道となるも、明治26年にはウェストンは沢ぞいの道のきびしさを記述しているという。
通行人は5銭、荷物を持つ人は7銭の通行料金がかかり、日本初の有料道路とも言われている。
針ノ木峠から黒部湖、黒部湖を渡り刈安峠、五色ヶ原、ザラ峠、立山カルデラ、立山温泉と、古道歩きも夢です。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・12時39分=山咲 野の香
緑に縁どられた向こうが、針ノ木かしら。

針ノ木岳登山、サンカヨウ
【撮影】1日目・12時00分=伊藤 幸司
黒部ダムへの入口となっている扇沢駅を出たのが11時50分。舗装された車道やそのショートカットの登山道などをしばらく歩かされて、50分後にこのサンカヨウを撮りました。
撮るべきものが始めて出てきたというわけではありません。ここまでに撮った18点の写真が画面の一部しか見られない状態になってしまったのです。
カメラから取り出したメモリーカードをパソコンで開こうとした瞬間にプッツン、したのです。完全に応答しない状態になってしまったのです。3日間で900枚撮っていましたから、衝撃的でした。
私自身はパソコンの内蔵ハードディスクや外付けのバックアップ用ハードディスクが壊れたことはありませんが、妻のバックアップ用ハードディスクが壊れたことがありました。それにわずかながらオリジナルデータが入っていたというので、仕方なくデータ復旧を業者に頼んだら、10万円もかかってしまいました。救済して欲しかったのは本来はそこに入れておきたくなかったほんのちょっとのデータでしたが、ハードディスクだとその容量からまずは10万円は覚悟しなければならないと考えるべきでした。
今回はたかだか32GB(ギガバイト)のメモリーカードで、使っていたのは約7GB。ギガバイトはメガバイト(DVDなど)の100倍でテラバイト(ハードディスクなど)の100分の1という目安の外部記録媒体です。10万円は取られないにしても、プロに任せる前にできるだけやってみようと考えました。
ネット上にはデータ修復のソフトがいろいろありますから、安心できそうで、かつ無料のものを探して、やってみました。すると読めるというのです。900の画像データがリストアップできるというのです。
でも無料なのはそこまで。その先に進むには「1万円出しなさい」というのです。
1万円出したからといって、読み出された画像の状態がどうかはわかりません。リスクはあるわけです。でも壊れた画像を元の画像にする修復と、名札が壊れたので画像をうまく呼び出せないという場合の呼び出し部分の修復とでは難易度が大きく違います。
……で1万円払って修復作業に取り掛かってもらったのです。するとアタマの18枚ほどが、画面の上部だけしか見られない状態だったもののあとはすべて正常な画像として取り出すことができたのです。
(そのソフトは無期限? で使えるらしいので、もしそういうことがどなたかに起こったら、修復作業請け負います。もちろん無料という責任範囲で)

針ノ木岳登山、サンカヨウ
【撮影】1日目・12時43分=稲葉 和平
歩きだしてすぐにサンカヨウの実。上の方にはひょっとすると、今シーズンはまだ見ていないシラネアオイが残っているのではないかと期待が膨らむ。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・12時46分=伊藤 幸司
針ノ木雪渓が見えているのかいないのかわかりませんでしたが、とにかくそのあたりが眼前に広がってきました。
あとでわかったのですが、一番奥に見えているおむすび型のピークが針ノ木岳です。その稜線を左に下ると、その鞍部に針ノ木小屋があるのですが、見えません。
足元から登っていく雪渓は針ノ木雪渓なのですが、上部のどこかで左に折れます。そのあたりはまだあいまいです。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・12時49分=山咲 野の香
何回か沢を横切りながら向かいます。

針ノ木岳登山、トリアシショウマ
【撮影】1日目・12時51分=伊藤 幸司
道際にあったこの花はわたくし的にはトリアシショウマなのですが、じつはアカショウマとの違いがわかりません。
『ウィキペディア』の『トリアシショウマ』には次のように書かれています。
【同属のアカショウマ(赤升麻、学名:Astilbe thunbergii )によく似る。トリアシショウマはアカショウマの変種(学名:Astilbe thunbergii var. congesta )という考えもある。トリアシショウマは花序の下部の側枝がさらに分枝し、花序が円錐状に密になるのに対し、アカショウマは花序の最下の側枝を除きほとんど分枝しないので花序はまばらに見える。また、トリアシショウマの花序の最下の側枝は長さ12-25cmになるのに対し、アカショウマのそれは長さ6-9cmと短い。3回3出複葉の小葉は、アカショウマの方が幅が狭く、基部は細まり、鋸歯がやや浅い。】
『フィールド版・日本の野生植物』(平凡社・1985)ではトリアシショウマとアカショウマの植物分類学的相違は次のように書かれています。
トリアシショウマ……花序は下部の側枝がさらに分岐し円錐状。花弁は長さ4-6mm。
アカショウマ……花序は複総状、最下の側枝を除きほとんど分枝しない。花弁はふつう長さ3mm。
続く解説では……
──トリアシショウマ。高さ40-100cm。花は7-8月、萼裂片は長さ1.5cm。3回3出複葉。北・本州(中北部)、亜高山帯~温帯の林床・草原。
──変種ハナチダケサシ。萼裂片は長さ1mm。本州(中部)。
──変種ハチジョウショウマ。葉は光沢があり、萼裂片は長さ2-3mm。伊豆七島。
──変種ミカワショウマ。萼裂片は長さ1.2mm。愛知。
──基本種のアカショウマ。本州(東北南部)・四国。
──変種テリハアカショウマ。葉の表面は光沢があり、花序の下部の枝が伸長。九州。
──変種ツクシアカショウマ。頂小葉は心形。九州(中央山地)
──変種ヤクシマショウマ。葉柄は紫紅色を帯び、側小葉は基部が左右非相称。屋久島、渓谷。
──フジアカショウマ。花弁は長さ2-2.8mm。神奈川・山梨・静岡。
──変種シコクトリアシショウマ。繊細で、高さ25-50cm。四国(東部)、高所。
ちなみに『ウィキペディア』では……
トリアシショウマは「北海道、本州の中部地方以北の主に日本海側に分布し、亜高山帯、温帯の林床や草原に生育する。」として「同属のアカショウマ(赤升麻、学名:Astilbe thunbergii )によく似る。トリアシショウマはアカショウマの変種(学名:Astilbe thunbergii var. congesta )という考えもある」としながらもアカショウマという項目を立てていません。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・13時15分=稲葉 和平
炎天下の登りはきつい。河原は暑いが、川の水が近くにあるだけでうれしい。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・13時20分=伊藤 幸司
葉がよく見えませんが、ヤグルマソウの花でしょうか。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・13時20分=伊藤 幸司
イタドリではないかと思って撮りました。

針ノ木岳登山、大沢小屋
【撮影】1日目・13時24分=山咲 野の香
大沢小屋が見えてきました。一服。

針ノ木岳登山、大沢小屋
【撮影】1日目・13時25分=伊藤 幸司
針ノ木雪渓が近づいてくる前に、突然山小屋が現れました。
『北アルプス 針ノ木小屋・大沢小屋』のホームページに次のように書かれていました。
【大町⇔扇沢ルート開通以前は大町からの登山の中継点として重要な役割がありました。
現在では扇沢から一時間と距離が近い為、
針ノ木岳登山通過のお客様で賑わいます。
勿論宿泊もできます。
昔ながらの山小屋の雰囲気を残した歴史のある山小屋です。
ここで雪渓の状況をお尋ねになって安全に
針ノ木雪渓を通過して下さい。
針ノ木小屋とは無線連絡しています。】
施設案内のところまで読んでみたら、その過不足ない的確な書き方に、ちょっとびっくりしてしまいました。
【・客室
部屋数は6畳間が3部屋になります。
比較的宿泊のお客様は少ない事が多いです。
混雑時はお客様に多大なご迷惑をお掛けすることがあります。
ご理解ご協力の程お願い致します。
・食堂
1階土間、約6人用テーブル2セット。
通過の登山者の寛ぎの場としても利用できます。
・洗面所
男女共用和式便器1のみです。
繁忙期には多大な御迷惑をお掛け致しますがご協力願います。
通過のお客様につきましては使用料100円を頂戴しております。
・乾燥室
約10名分程度の干し場があります。ストーブで濡れた衣類などを乾かします。
(宿泊のお客様のみの利用に限らせて戴いております。)
・自炊場
火器はガスカートリッジのみに限らさせて戴いております。
利用はお泊りのお客様に限らさせて戴いております。
・電気
客室には照明はありません。1階に蛍光灯が2本とガソリンランプのみです。
ソーラー発電にて発電していますが曇天が続きますと蛍光灯は点きません。
日没後はヘッドランプをお持ち下さい。
・水
水は針ノ木雪渓本流を引き込んでいます。
手洗い用と飲用を分けています。飲用についてはスタッフに申しつけ下さい。
登り下り共に水は豊富にあります。詳しくは登山ルートで確認。
・幕営
利用料金は500円/人です。2~3張りのみです必ず小屋にて受付後に設営して下さい。
テント泊のお客様も小屋での食事利用が可能となりました。受付時にお申し出下さい。】

針ノ木岳登山、大沢小屋
【撮影】1日目・13時35分=伊藤 幸司
13時25分から50分まで、大沢小屋でトイレ休憩。コーヒーを頼んでゆっくりと腹ごしらえしました。
入口に次のようなプレートがありました。
「百瀬慎太郎 1892~1949
大6 大町登山案内人組合を結成
大12 冬の立山 初横断
大14 大沢小屋 昭和5 針ノ木小屋開設
昭24.5 58才没 山岳家にして歌人 對山館主
慎太郎祭30回記念 昭62.6 大町山岳会」
ちなみに大町山岳博物館では平成14年に「對山館と百瀬慎太郎・岳都大町に花開いた登山文化の原点を探る」展を開催とのこと。(たぶん)その展示パンフレットを全文読むことができます。その一文だけ引用しておきます。
【大町宿は街道をはさんで南北に細長く発達した町並みの姿が示すように、南北交通の要衝だったが、東西交通の拠点ともなっていた。東方へは善光寺や上田・松代方面へ通じる山中通りの道が大町を起点にして蜘蛛手に延びており、西に向いては交通量は少ないものの立山裏参道ザラ越えルートの出発点にあたる。
南北軸上に発展した宿場町大町が旅館(對山館)を生み、東西軸の岳への道が針ノ木峠への窓を開き、この両軸の交点上に百瀬慎太郎が生まれ育ったとも言えようか。その母胎となる座標軸は遠く江戸時代以前から準備されていた。】

針ノ木岳登山、大沢小屋
【撮影】1日目・13時48分=山咲 野の香
大沢小屋前には百瀬慎太郎のレリーフ。「山を想えば人恋し。人を想えば山恋し」はちょっと「おセンチ」かな。(おセンチ自体が ? となりそうだけど)安全祈願して合掌。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・13時54分=伊藤 幸司
こんなに特徴のはっきりした花と葉っぱなのに、私にはまだわかりません。白い花弁は4枚で、雄しべが弧を描いて長く伸びています。忘れないようにしよ~っと。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時06分=伊藤 幸司
大沢小屋の手前にでしたが「ブナ林」という説明板がありました。
「冬期間に雪の多い日本海側と夏から秋にかけて雨量の多い太平洋側では同じブナ林でもその林をつくっている植物の種類が違ってきます。
たとえばその下に生えている「ササ」の仲間を見ると日本海側はチシマザサ、太平洋側はスズタケとそれぞれ特有な植物を多く含むようになります。このあたりのブナ林はすべて日本海側の特徴をもったブナ林です。中信森林管理署・大町市・国有林観光施設協議会」
私たちはいま、そういう日本海側の気候帯のなかを歩いています。

針ノ木岳登山、エンレイソウ
【撮影】1日目・14時08分=伊藤 幸司
エンレイソウが出てきました。

針ノ木岳登山、オオバノヨツバムグラ
【撮影】1日目・14時08分=伊藤 幸司
輪生する葉のようすに特徴があるのでクルマバソウを入口に調べてみました。
平凡社の『フィールド版日本の野生植物』でリストアップできるのは、葉が4枚ということではクルマバソウ属のウスユキムグラ、ヤエムグラ属ではヤマムグラ、ヨツバムグラ、ヒメヨツバムグラ、キクムグラ、ミヤマムグラ、オオバノヨツバムグラ、エゾノキヌタムグラ、キヌタソウ、ミヤマキヌタソウと出てきました。
ここまで候補が出揃ったら、あとはネット上で調べていけばいいのですが、葉っぱのかたちと、花のつき方に特徴があるので、たぶんオオバノヨツバムグラではないかと見当がつきます。
『荻生の森』の『四国の高山植物』の『よく似た仲間』の『アカネ科(白い花、ムグラの仲間)』にオオバノヨツバムグラがありました。
【茎は四角形で、高さは20cm~40cm程度。
花の特徴
花は黄緑白色で、直径3mm程度で先が鋭く尖る。雄しべは4個。果実にはカギ状の長い毛が生える。花はまばらに付ける。
葉の特徴
葉は、4枚輪生で、楕円形で先は丸くて先端はややとがる。3本の並列した葉脈がよく目立つ。縁と両面の脈上に上向きに剛毛が生える。】

針ノ木岳登山、ノリウツギ
【撮影】1日目・14時13分=伊藤 幸司
花が開いていないのでよくわかりませんが、この白色系のウブな感じはアジサイというよりノリウツギのように思われます、がどうでしょうか。
毎日新聞社の東京本社が入っている竹橋のパレスサイドビルがホームページをつくっています。その『竹橋ガイド』に『花の命は長~くて・・・。ノリウツギが咲いてます』(2012年6月19日)がありました。
【白いアジサイのような花が咲き始めました。パレスサイドビルの南側、皇居東御苑内二の丸雑木林の中で、これから周りを明るくしていこうという勢いも感じさせる咲き方です。
ノリウツギ。アジサイ属ですからアジサイに似ているのは当たり前ですが、ほとんどのアジサイは一つの花のかたまり(花序)が球形なのに対しノリウツギは円錐形なのが特徴のようです。
漢字で書くと糊空木。枝の茎がスポンジ状で空洞のようにスカスカであることから「空木」、「糊」は水につけた樹皮の内側から溶け出た粘液が和紙を漉くときの糊として使われたことからその名が付けられたそうです。楮(コウゾ)が和紙の原料ですが、ノリウツギの糊で漉くと紙同士がくっつかなくなり、腐りにくいようです。
秋に近くなるとガクの裏側が赤く色づき表の白い色との見事なコントラストも見ものです。さらに、花が枯れてからも茶色になりながらも翌年まで残ります。このため、ある地方では娘がお嫁に行くときに親が「ノリウツギの花が無くなるまで帰るな」と言って送り出すそうです。ノリウツギの花を例えて言えば「花の命は長~くて......ことは多かりき」となるのでしょうか。】
毎日新聞社にはずいぶん出入りしましたが、もちろん視野に入ったことなどありません。眼の前の皇居はいつも「緑」でしたけれど。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時14分=伊藤 幸司
この梯子などは山小屋の人たちが手入れしているように想像させます。基本的には丸太をボルトで止めているようですが、補助的な針金などはたぶん毎年チェックしているものでしょう。その都度、気づいたら細かく修繕していくというような感じがします。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時15分=伊藤 幸司
あこがれていた残雪がようやく出てきました。針ノ木雪渓ももうすぐでしょう。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時15分=伊藤 幸司
30分前に見た名前のわからなかった花とものすごく似ています。でもよく見るとあちらの花弁が4枚なのに対してこちらは5弁。撮ったときには背後の大きな葉っぱがギボウシのものに見えたので、ほとんど中身を確かもせずに撮ったのです。
もちろんちょっと調べて分かりそうもない写真なのでここで外してもいいのですが、こんな作業をしておけば、いつかまた出会ったときに思い出すような気がします。
別に名前を知ったからといって大した意味はないのですが、最近は名前を調べるという名目でネットサーフィンする楽しみが出てきました。撮った写真でもう一度旅に出るという意味での「発見写真旅」の楽しさを知った気分です。

針ノ木岳登山、シモツケソウ
【撮影】1日目・14時16分=伊藤 幸司
シモツケソウの花も咲く道なんですね。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・14時17分=伊藤 幸司
いよいよ針ノ木雪渓が見えてきました。ワクワクする場面ですね、映画の導入部みたいですね。

針ノ木岳登山、ニッコウキスゲ
【撮影】1日目・14時18分=伊藤 幸司
ニッコウキスゲ(ゼンテイカ)が明日の花、明後日の花、さらにその翌日の花という予備軍を用意して絶品というほどきれいに咲いていました。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時22分=伊藤 幸司
雪渓はもちろん融けはじめていて、夏に向けて危険な場所がしだいにその範囲を広げていくと思われます。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時24分=伊藤 幸司
こういう場面で岩場に対する対応を見ることができます。危険な場所だと判断したらリーダーが先頭でチェックすることが安全管理上最善の方法ですが、ここでは危険ということは考えなくていいので、たとえばほぼ中央に下がっているロープをどう見るか、どう使うか、というあたりに注目します。
登山道では、しばしば、ロープやクサリに頼ろうとするとかえって危険な状態になるということがあります。最終的な安全手段というふうに視野に入れながら、自分自身でこの斜面をどう歩くか、トライしてみることが重要です。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時24分=山咲 野の香
シモツケソウとオオバギボウシ。半分ふさふさになったピンクは、いつでも目立って、見とれてしまう。

針ノ木岳登山、ウツボグサ
【撮影】1日目・14時26分=伊藤 幸司
ウツボグサです。
でもこの場所のこの写真で「ウツボグサ」と決め込んでしまっていいのかという不安はあります。本来なら現場でいろいろ見ておかなければいけないのですが、出会い頭にシャッターを切るだけで精一杯ですし、じつは、そこでしゃがんで見たって、私などにはたいしてわかるわけでもありません。
そういう場合は、たぶん従来型の植物図鑑を持ち歩くのが基本的な姿勢なのかと想像します。そこで泥縄式ではありますが『フィールド版日本の野生植物』(平凡社1985)を開いてみたら次のように書かれていました。
「ウツボグサ属」はシソ科の23番目にあって、「A.子房は深く4裂、分果は基部にごく小さい着点がある」の次に「B.萼の開口部は5裂または10歯があり、上半が脱落することはない」さらに「C.花冠の上唇は2浅裂または全縁で、下唇はふつう3裂。雄蕊は上唇の下に斜上するか、花外に長く突き出す」そして「D.完全雄蕊は4個」「E.花冠は大きく、上唇はかぶと状または背面が著しくふくらむ。葯は2室」「F.萼は3-10脈がある。上側の雄蕊は下側のものより短い」「G.萼は唇形とならず、裂片はほぼみな等しくて口を閉じることはない」……となって、24番目の「ジャコウソウ属」と仕分けられているようです。……と言われたって記述内容のほとんどはチンプンカンプン。この写真で確認できる部分も、ほとんどないようにも思えます。
ですから通常参考にするのはその次です。
「23ウツボグサ属」の項目を見ると「A.葉柄は長さ1-3cm。花冠は長さ約1.5-2cmで、花糸の上部に鋭い突起がある。走出枝がある……1.ウツボグサ
「A.葉柄はごく短いかまたは無柄。花冠は長さ2.5-3.2cmで、花糸の突起は目立たない。走出枝がない」……2.タテヤマウツボグサ
そしてさらに「1.ウツボグサ カコソウ。高さ10-30cm。花は6-8月。北~九、アジア東部・北東部。山地の草地。──変種ミヤマウツボグサ 走出枝がない。北・本(中北部)、アジア北東部。高山」
「2.タテヤマウツボグサ 高さ25-50cm。花は7-8月。本(中北部)、高山草地」
となるのですが、でもやっぱりわかりません。
そこで悔しい気分も味わいながら、ネットで探してみるのです「ウツボグサに似た花」と検索したら『あの頂きを越えて・野山で出会った花~似た花の比較』がありました。
似た花が4つ並べられていて、その「特徴」は以下のとおり。
ウツボグサ【花は小型、葉は細長く柄がある、茎の基部に走出枝があるのが見分けるポイント】
シロバナウツボグサ【花の色は白色、ウツボグサより背も低く少し小型】
タテヤマウツボグサ【ウツボグサより大形で、花の色が濃く鮮やかで見応えがある。葉は幅が広い、葉柄はないかあっても短い、茎の基部に走出枝が無いのが見分けるポイント】
ミヤマウツボグサ【ウツボグサに比べ小型、亜高山帯に生えるのが特徴。地域的な変化としてウツボグサとミヤマウツボグサを分けない考え方もあります】
この写真からだと「葉は細長く柄がある」という感じもするのでウツボグサにしておこうと思いつつ、念のためにと思いつつ「ウツボグサ 針ノ木岳」で検索してみるとウツボグサもミヤマウツボグサも、さらにはタカネウツボグサもあるようです。ウツボグサかウツボグサ属か、結局はっきりさせられません。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時26分=伊藤 幸司
大きな雪渓が出てきました。12時51分に見たトリアシショウマかアカショウマか、という写真と比べるとまたずいぶん違います。ヤマブキショウマでしょうか。

針ノ木岳登山、オオバギボウシ
【撮影】1日目・14時26分=伊藤 幸司
オオバギボウシの花がとても大きく、気品のある白い色だったので、ちょっと夢中になりました。花の中、カマキリ風に見えているのは雄しべの葯です。たまたまそういう気分に重なって見えました。1本長く伸びているのが雌しべです。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時26分=山咲 野の香
遠目でも、一株だけでも目をひく、黄色。ニッコウキスゲ。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時26分=山咲 野の香
ツツジの仲間は確かのよう。あまり見かけない気がして撮りました。コメツツジでしょうか。

針ノ木岳登山、ウツボグサ
【撮影】1日目・14時27分=稲葉 和平
ウツボグサが出てきたが、残骸という雰囲気。やはり今年は花の時期が早まっているので針ノ木岳の花が残っているかどうか不安になる。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時27分=稲葉 和平
シモツケソウが出てきたが、そのうちもっと出てくるだろうと思って通過したのだけれど。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時27分=稲葉 和平
それでも、若干嫌な予感がしたので一枚ギボウシとシモツケソウを収めようとしたけれど、残念!

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時28分=稲葉 和平
ヤマブキショウマ(バラ科)。トリアシショウマは似ているがあちらはユキノシタ科。まぎらわしいが、科が違うと思うとなんとなく違いが分かるような気になるが、これもまた怪しい。葉の葉脈の模様がずいぶん違う。

針ノ木岳登山、アキノキリンソウ
【撮影】1日目・14時28分=稲葉 和平
アキノキリンソウもなんだか秋も終わってしまうのではないかと思うほど元気がない。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・14時28分=伊藤 幸司
ようやく谷に下っていくというところ。ウキウキとした気分になっています。

針ノ木岳登山、ミヤマキンバイ
【撮影】1日目・14時32分=伊藤 幸司
ミヤマキンバイだと思います。ミツバツチグリの仲間で地上にランナー(走出枝)を伸ばしています。

針ノ木岳登山、エンレイソウ
【撮影】1日目・14時33分=稲葉 和平
ぐったりしたエンレイソウ。だんだん暗い気分になってくる。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・14時33分=稲葉 和平
雪渓が近づいてきた。上の方はガスがかかっているのは温度差のせいだろうとは思いつつ、雨にならないことを祈った。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・14時34分=伊藤 幸司
標高約1,850m、針ノ木雪渓の末端に出ました。これはたまたま2018年7月17日の状況で、雪渓は徐々に融けて後退、夏の終わりにはほとんど雪のない谷になってしまうようです。もちろん、毎年の積雪量と、春から夏への日射量や気温によって変わるのですが、問題は今、私たちはいい状態で針ノ木雪渓を楽しむことができそうです。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・14時34分=山咲 野の香
雪渓から白煙の天然クーラー。冷気で一気に暑さを忘れる。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・14時47分=稲葉 和平
雪渓の上の方で雪が少ないとかなり厳しい巻き道を登らなければならなくなる。この溶け具合がどうなのか気になる。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・14時49分=伊藤 幸司
雪渓を登り始めるとまずは涼しい。快感です。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・14時53分=稲葉 和平
長い雪渓をひたすら登る。雪渓の上は気温が低いのがせめてもの救い。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・14時54分=稲葉 和平
振り返るとガスが消え、いつの間にか青空になっていた。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・15時01分=伊藤 幸司
振り返ると正面に見えるのは爺ヶ岳。その向こうに鹿島槍ヶ岳があるのですが、隠されていて見えません。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・15時02分=山咲 野の香
来し方の空も青さが増してきました。鹿島槍方面。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・15時09分=山咲 野の香
先は長い。

針ノ木岳登山
【撮影】1日目・15時17分=稲葉 和平
爺が岳と稜線上の種池山荘の赤い屋根が分かる。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・15時18分=伊藤 幸司
いったん雪渓を歩きだすと、それまで目標地点となって見えていた針ノ木岳ははっきりしなくなりました。目的地が見えない状態でただ登り続けるという状態になりました。

針ノ木岳登山、軽アイゼン
【撮影】1日目・15時20分=伊藤 幸司
この人の足元にグリーンのロープが巻かれていますが、糸の会では夏冬通じて「4本爪」と呼ばれる手のひらに乗る軽アイゼンを標準装備としています。すなわち(厳冬期の山に関しても)それ以上のレベルの登山は行わないということで、もちろんここでも基本はそれ。私は通年メッシュのランニングシューズですから、それにも対応するようにアイゼンはロープで固定する方法を採用しています。
この「4本爪」の使用は、雪の斜面での足さばきを厳密にするという教育効果が大きく、通常の登山道でも安定を高め、無駄な力を省くという点で効果抜群なのですが、(残念ながら)多くの会員の方たちが一般的にいう「軽アイゼン」すなわち「6本爪」のアイゼンを使っています。
つまり4本爪だと止められない斜面でも、6本爪なら問題なく歩けます。そういう意味で「安全」なアイゼンなのですが、足を斜面に「フラットに置く」という歩き方の厳密さを問われずに歩けるという点で教育的価値は少なくなります。
(一般論としてですが)登山用品店で「軽アイゼン」を買おうとすると「4本爪はあくまでも簡易アイゼン」で「危険です」と指導されてしまうようです。
つまり土踏まず部分に小さな爪が4本出ているだけなので、登りで、後ろ足で蹴り上げようとすると爪が浮いてしまいます。あるいは下りで、かかとで滑り止めしようとすると「足裏全体でフラットに接地する」という原則からはずれてしまいます。だから滑るのです。
6本爪でも、本格的な10本爪、12本爪でも歩き方の原則はまったく同じはずで、より急な斜面、より硬い氷の斜面など、条件が厳しくなったときにそれぞれの性能を問われるわけで、低レベルの斜面では安全に対する余裕幅が大きいのです。
教育的効果という意味で「4本爪」の軽アイゼンを私は高く評価しており、樹林帯を出ない雪の山のほとんどは「スノートレッキング」としてその体験領域だと考えています。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・15時23分=伊藤 幸司
最後尾の人とその前の人との歩き方が完全に違います。後ろは「4本爪」、その前は「6本爪」のアイゼンです。「4本爪」だとその4本が全部土踏まずの部分にあるだけですが、「6本爪」だと土踏まずのほかに指の付け根とかかとに爪がありますから、後ろ足で蹴り上げても前の2本が効いています。
私は昭和40年台のカジタのアイゼンを持っていますが「6本爪」です。現在のものと比べると驚くほど長い爪が出ています。糸の会の古い女性会員の方が若い頃に山岳会に所属して北アルプスなどに登っていたころに使っていたものだそうです。その当時の登山家に聞くと下山時にはグリセードでものすごいスピードで下ったりしていたといいます。現在の「6本爪」には氷壁を登る「前爪」はありませんが、使い方がうまければかなり高度なこともできるということになります。
そこで「安全の範囲」という問題にかかわるのだと思いますが、樹林帯を越えて本格的な雪氷登山に踏み込むのなら「10本爪」や「12本爪」の本格的なアイゼンを登山靴とセットで慎重に選ぶべきです。命にかかわる選択だからです。
最近靴を選ばずに使いやすい「10本爪」のアイゼンがあるそうですが、前爪をきちんと使うには靴の性能が重要だということをお忘れなく。
私は逆に「4本爪」でぎりぎり通過できるかどうかという雪の斜面を体験することを冬の山で計画します。私が自分でトライしてだめなら「ごめんなさい引き返します」という方針です。アイゼンの性能ギリギリのところで足さばきの洗練を狙っています。この写真に写っている後ろから2人目の人は「その程度の歩き方」とわかります。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・15時28分=伊藤 幸司
雪渓を登り始めてから約50分ですが、気温は20度Cから16度Cほどへと下がって快適です。だいぶ登ってきました。登りながら上(前方)を見てきた風景とは異質の、本当に登ってきた道筋だろうかと思う光景が広がっていました。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・15時33分=山咲 野の香
きつい傾斜を登りきり、一休み。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・15時34分=伊藤 幸司
1時間めの休憩です。高度計で標高約2,050m。雪渓は標高約1,850mから2,550mまでのようですから、約200m登って残り約400mというところ、私たちの登りのスピードが高度差で約200m/hということと、残りがあと2時間前後ということになります。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・15時35分=稲葉 和平
雪渓の急斜面の下の方を写真に撮ろうと思ったら、急角度に切れ落ちた斜面は見えなくなってしまっていた。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・15時35分=稲葉 和平
どうやら雪渓は上まで雪が残っていそうで一安心。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・15時42分=伊藤 幸司
針ノ木雪渓では鯉のぼりの道標が名物となっているようです。山小屋が設置しているらしいのですが、ネット上の登山記録を読んでみると、雪渓が消えて夏道が現れたとき、沢筋の渡渉ポイントを示してくれるようです。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・15時43分=伊藤 幸司
振り返ってみると、ここはもう、雪渓末端から見上げたときには見えなかったところまで登ってきたとわかります。そのかわり、針ノ木岳~爺ヶ岳の稜線が浮かび上がってきました。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・16時07分=山咲 野の香
爺ヶ岳もひときわ高く。見えていない方が、絶対下りたくないような、かなりの急傾斜でした。

針ノ木岳登山、アイゼン不要
【撮影】1日目・16時09分=伊藤 幸司
じつは計画書に「アイゼン」という項目を入れ忘れるというポカをしたので、ひと騒動ありました。ベテランの皆さんはほとんどが、私の(いつもの)うっかりミスではないかと思いつつ、今回は特別にアイゼン不要なのかもしれないと疑問に思ったそうです。この人がじつは最初に反応したのですが、ネットを見ていると「アイゼン不要」が正しいのではないかと思う、という結論を伝えてきました……私に対して。
そして最後までツボ足(アイゼン不使用)で登りきりました。この時期、この雪渓をツボ足で歩けるかどうかが上級登山者かどうかの判定基準のようになっているようです。この人(Oさん)は海外も含めて本格的な雪氷登山を現在も続けていますから、上級登山者としてこの雪渓を登ったといえます。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓、ダブルストック
【撮影】1日目・16時11分=伊藤 幸司
登り始めて、時間的には半分ほど。傾斜がだんだん急になってきました。先が見えない状態で、どんな未来が待っているのか、期待半分、不安半分という状態になってきました。
この写真でわかるように、みなさんが使っているストックには雪用リングがついていませんが、じつは冬のスノートレッキングでも雪用リングを使わずにこの状態で歩くことがほとんどです。
トレッキング・ポールなどと呼ばれるダブルストックには雪用リングが標準装備されるようになってきたかと思いますが、尻制動で下れるような深い雪の急斜面でも(なぜかわかりませんが)雪用リングをつけないほうが具合がいいのです。
また石突の根もとに小さなカップ状の小リングが標準装備されているのが普通ですが、私はそれに対して基本的に反対なので、依頼があれば躊躇なく取り去ってしまいます。もちろん石突の刃物としての性能を認めないゴムキャップは、ダブルストックをスキーストック由来の使い方で厳密に利用したいので使いません。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・16時15分=山咲 野の香
交代して先頭でしたので、高見の見物 !? 皆さん、ガンバって!

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・16時19分=伊藤 幸司
ようやく、雪渓に破綻が感じられました。このあたりは地形的に積雪が少なかったのかもしれませんが、すでに雪融けが進行して、沢が現れていました。私たちは目印テープをたどりながら登っていきます。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・16時20分=伊藤 幸司
サンフルーツというやつだったかもしれません。大きなミカンが雪で冷やされている状態だったので、勝手ながらいただきました。(翌日美味しくいただきました)

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・16時22分=伊藤 幸司
雪渓はもう終盤という雰囲気なのですが、この先がどうなっているのか不可解です。夏道が現れてきたので、やはりそちらに引っ張られます。雪の上をガンガン登ったっていいのかもしれませんが。

針ノ木岳登山、ベニバナイチゴ
【撮影】1日目・16時43分=山咲 野の香
ベニバナイチゴ。濃い紅紫色の派手な色。花は下向きでも目立つ。まずいに関しは異論あり。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・16時51分=伊藤 幸司
この写真で、赤い染料で示された雪渓上のルートと、雪融けで現れた登山道(夏道)とがはっきりわかります。私たちは「10分交代制」でトップが変わりますから、その人がどちらをたどるかは自由です。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・16時58分=伊藤 幸司
なんだか、最後の稜線が真っ白な雪面として浮かび上がってきたような気配です。どんなふうになっているのか、見当がつきませんが。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・16時58分=山咲 野の香
あの向こう側は小屋と信じて、あと少し。時々人影が見え隠れする。と思ったら、後で小屋のお兄さんが「心配で上から見ていました」ですって。えっー!?

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・17時01分=山咲 野の香
何で心配されるのか、大きなお世話と言いたいけれど…とりあえずあと一息。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・17時17分=伊藤 幸司
雪面が終わるあたりがもう稜線だろうということは、右上から登山道らしいところを下ってきた人の動きでなんとなく感じられました。もういいかげん最後だろうという気分もあって。
雪上の赤い線が右手にカーブしているので私たちは土の斜面に上がりましたが、登山道に上がる角度によって、けっこうしんどい思いをした人もありました(私の無責任なアドバイスも影響したかもしれませんが)。でもこの時期には雪面を最後まで突き上げたほうがよかったかもしれません。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・17時18分=山咲 野の香
はるか彼方には、白馬らしき山も見える!

針ノ木岳登山、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・17時21分=山咲 野の香
針ノ木小屋前から。やりました、槍見えてます。左手には大天井岳、右手には水晶、赤牛岳の後ろには黒部五郎の頭も!?

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・17時23分=小林 美子
長~い、雪渓も、もう少しで終わる。
振り返ると後ろからくる人が見える。
登りきった所に小屋が見えた時は、嬉しかった
雪渓がおわってからももう少し歩くと思っていたので・・🙌

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・17時25分=小林 美子
槍ヶ岳がきれ~い。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋
【撮影】1日目・17時25分=稲葉 和平
雪渓が切れたらガスは消え、すぐに針ノ木峠だった。

針ノ木岳登山、針ノ木雪渓
【撮影】1日目・17時25分=稲葉 和平
最後の方は傾斜が急で軽アイゼンでもずるずる滑り、結構疲れた。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・17時30分=稲葉 和平
素晴らしい景色が眼前に広がっていた。槍ヶ岳はやはり目立つ。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・17時34分=伊藤 幸司
雪渓を登りきったところに針ノ木小屋がありました。部屋割りが終わってから外に出ると、雪渓を登りきったときの風景がありました。ヤリ(槍ヶ岳)が見えるじゃありませんか。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・17時34分=伊藤 幸司
とりあえず槍ヶ岳から奥穂高岳、吊尾根を渡って前穂高岳というヤリ~ホの美しい姿がクローズアップされました。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、針ノ木小屋
【撮影】1日目・18時15分=伊藤 幸司
針ノ木小屋の食事は良かったですね。肉と魚を両方食べさせてくれるという心意気のようなものが。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・18時43分=伊藤 幸司
最初に撮ってから1時間後の槍~穂高。この日の日没は長野県(県庁所在地)で19時05分、その夕日が山肌を照らしていました。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、白馬遠望
【撮影】1日目・18時52分=稲葉 和平
反対の北側には鹿島槍の堂々とした姿が右手間近に見え、左には白馬も見える。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・18時56分=伊藤 幸司
槍~穂高の稜線とは別に、槍ヶ岳から斜め手前に下ってくる稜線があって、それが東鎌尾根。山頂部が平らに見えるのが西岳で、その左に大きく見える、山頂部に日が当たっている山が大天井岳、画面左端に3つのピークを並べているように見えるのが燕岳。手前の山は明日の目的地・七倉山だろうか。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・18時56分=山咲 野の香
さあ、夕景ショータイムです。この時点ではさほど大きな期待はなかったのですが…

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・18時57分=伊藤 幸司
富士山と槍ヶ岳の大きな違いは、富士山は万人の山であり、槍ヶ岳は基本的に標高2,000m以上の高みまで登った登山者の山。下界の人たちにはほとんど見られていないし、見えたからといって特別ありがたいと思われないのに、いったん登山を始めるとどんなに遠くの山からでも、ひょっとして見えるかも? と目を凝らして探すのが、この槍の穂先。とくに真冬、真っ白な北アルプスの稜線に、小さく尖った黒い突起に一喜一憂するのは自分でも滑稽に感じることがあるのではないでしょうか。その槍ヶ岳に、いま、突然、夕日が注がれました。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・18時59分=山咲 野の香
3分たつと、槍に日が射しました。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時00分=小林 美子
今日の夕陽は、どんなのが見られるかな?
夕陽が、槍ヶ岳を染めています。
見るたびに違う夕陽がみられます。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時00分=稲葉 和平
午後7時。日が沈み、槍の頭に色がついてきた。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時01分=稲葉 和平
槍から前穂の山並みは、これぞ北アルプス、という感じがする。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時01分=山咲 野の香
グッと近寄ると、悲しいかな、それなりにボケます。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、オヤマソバ
【撮影】1日目・19時03分=稲葉 和平
夕暮の稜線を背景にオヤマソバがフレッシュに見えた。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、白馬遠望
【撮影】1日目・19時05分=稲葉 和平
鹿島槍の上の空が夕陽で微妙な色合いに変化してきた。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時07分=伊藤 幸司
槍の穂先に夕日が当たったのがほぼ日没の時刻。それから10分経つと、空が急激に色づいてきました。槍ヶ岳から右方向には、手前に裏銀座の鷲羽岳~野口五郎岳といった山並みがあり、右端に薬師岳、その中間、奥には黒部五郎岳が見えているようです。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時08分=稲葉 和平
日没の時刻はとっくに過ぎ、すでに7時を回っているが、空の色は言葉では表現できない微妙な色彩になってきた。ほかの登山客からもあちこちで、こんな色見たことない!、と感嘆の声が上がっていた。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時08分=山咲 野の香
野口五郎岳の上あたりの雲が金色に。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時08分=山咲 野の香
ボケない程度にちかづくと、金色が雲の反射とよくわかる。槍からジャンダルム、奥穂、北穂、前穂と、ピンクが広がっていく。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、針ノ木小屋
【撮影】1日目・19時09分=稲葉 和平
小屋の前でも眼前に展開される天空の色彩ショーに見入っている。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、夕焼け
【撮影】1日目・19時09分=伊藤 幸司
まだ登っていない針ノ木岳の山頂方向を見上げると、夕日は空全体を黄色く染めているようでした。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、白馬遠望
【撮影】1日目・19時09分=山咲 野の香
転じて、登ってきた北側。遠く白馬方面が見えている。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、白馬遠望
【撮影】1日目・19時09分=山咲 野の香
右から白馬鑓、白馬、朝日岳でしょうか、夕日に照らされています。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時10分=稲葉 和平
野口五郎の上の雲が夕陽を反射して輝きを増してきた。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、白馬遠望
【撮影】1日目・19時10分=伊藤 幸司
北の方向に白馬岳が見えました。肉眼でははっきりしませんでしたが、超望遠で覗いてみるとその山頂直下に白馬館の灯りが煌々と輝いていました。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時10分=山咲 野の香
再び槍方面。雲に夕日が映って、青空の色が出てきました。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、夕焼け
【撮影】1日目・19時11分=伊藤 幸司
槍ヶ岳から薬師岳を経て立山に延びる稜線風景を針ノ木岳が邪魔しています。ただ、空の色がどんどんドラマチックになってきました。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時12分=稲葉 和平
青い空と夕陽に輝く雲!

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時12分=山咲 野の香
槍のライトアップ終了。さあ、これからどんな幕引き? と思いきや…

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時13分=山咲 野の香
なんと夕日が青空と白雲に新しい息吹を与えた。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時14分=稲葉 和平
時間と共に陽は沈んでいくが空の色はますます美しく澄んでくるようだ。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、夕焼け
【撮影】1日目・19時14分=伊藤 幸司
月が、雲にかかっておぼろに見えていました。1200mm相当の超望遠を手持ちで構えて、月を真ん中に入れるにはちょっとした射的ゲームのような楽しさがありました。ただし白っぽいこの色は、このカメラの超望遠撮影のときの強い癖です。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、夕焼け
【撮影】1日目・19時14分=伊藤 幸司
これがその、月を超望遠で撮ったときの28mm相当の広角画像。月はこんなふうに、薄雲の中にありました。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時15分=山咲 野の香
雲のピンクが濃くなって。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時16分=山咲 野の香
更に青も深くなり。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時16分=山咲 野の香
金色が広がり、何か有り難きものの顕現か? 天孫降臨か? はたまた浄土からの招きの光か。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時18分=稲葉 和平
この世のものとは思えない美しい色の空の下に、蓮華、七倉岳、その後ろに槍、穂高。まさに冥途の土産級の絶景!

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時18分=稲葉 和平
カメラをどこに向けたらこの美しさを撮ることができるだろうかと思いながらシャッターを切ったがのだが・・・・。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時18分=伊藤 幸司
実際に見ていた色と、カメラで撮った色とはもちろん一緒ではありませんが、空が燃えるという印象は再現されています。落ちる夕日そのものは針ノ木岳に隠されてしまったにもかかわらず、小屋の外にいた人たちはうろうろと立ち続けていたのです。世界が動いているという感じは、オーロラを見たときと似ていると思いました。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時18分=山咲 野の香
山並み全体が再び明るさを増し、全体の色調が落ち着く。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、夕焼け
【撮影】1日目・19時19分=伊藤 幸司
今度はかなりくっきりとしたお月さま、になりました。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、夕焼け
【撮影】1日目・19時19分=山咲 野の香
三日月も参戦。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時20分=稲葉 和平
そろそろ天空の色彩ショーも終わりに近づいてきたようだ。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時20分=山咲 野の香
山の印影深く、青とピンクのコントラストがマックスに。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、夕焼け
【撮影】1日目・19時20分=山咲 野の香
ピンクの波に三日月の貝殻が漂う。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、夕焼け
【撮影】1日目・19時21分=稲葉 和平
アッとみても何を撮った写真か分からないが、これは、月。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、白馬遠望
【撮影】1日目・19時21分=稲葉 和平
雪渓も微妙な色を映し出していたが、残念ながら写真では分からない。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】1日目・19時21分=稲葉 和平
この美しさをどうしたら撮れるのだろうと、本当に写真は難しいと思った。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、夕焼け
【撮影】1日目・19時24分=伊藤 幸司
ともかくみんな、カメラを空に向けて撮り続けていたのです。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、夕焼け
【撮影】1日目・19時25分=山咲 野の香
北側のピンクを纏うブルーのグラデーションに目を見張る。山向こうは浄土の光溢れる世界では…

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、夕焼け
【撮影】1日目・19時26分=山咲 野の香
言葉に尽くせぬ、一期一会の夕景ショータイムでした。感謝。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、夕焼け
【撮影】1日目・19時27分=稲葉 和平
それでも、少しは実際の空の色の感じを撮れたのではないかと思う1枚。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋、夕焼け
【撮影】1日目・19時29分=伊藤 幸司
松本方面にいくつかの積乱雲がもくもくと成長して、残照の最後を受け持って輝いていました。

針ノ木岳登山
【撮影】2日目・04時29分=伊藤 幸司
日の出は長野県で4時42分なので3時起き、3時半出の予定でしたが、出発は3時50分になってしまいました。背後の鞍部に針ノ木小屋があり、向こうにそびえているのが蓮華岳。

針ノ木岳登山
【撮影】2日目・04時30分=伊藤 幸司
東の空が急激に明るくなってきました。私たちは高山帯の道を歩くときには、日の出の1時間前からライトは使いません。足元は完全に見えるし、曙の空の美しさこそ、稜線の小屋に泊まって得られる最大のご褒美となるかもしれないからです。ライトをつけたいのはアタマ(頭)ですが、人間の目は狭い経験則で生きてきたアタマが考えているほど悪い性能ではないのです。
ここではまだよく見えませんが、見えている山は右から左へ爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳~五竜岳~唐松岳~(白馬)鑓ヶ岳~白馬岳~朝日岳(?)まで、北アルプス北部の山が一望できています。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、日の出
【撮影】2日目・04時36分=伊藤 幸司
こちらは北アルプスの南側。正面奥に槍ヶ岳が見えます。画面中央の湖面は高瀬ダム湖。その湖面にかかる手前の山は左に七倉岳、右に船窪岳、船窪岳から奥に進むと不動岳、烏帽子岳。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、
【撮影】2日目・04時36分=山咲 野の香
早朝、針ノ木岳登頂途中、日の出となりそう。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、日の出
【撮影】2日目・04時40分=伊藤 幸司
長野県(県庁所在地)の日の出時刻より2分ほど早く、太陽が出てきました。高いところにいるので、朝日がその分早く射してきたというわけです。最近のデジタルカメラは肉眼で見た感じをうまく写し取ってくれるのでほんとうにエライと思います。レンズもあまりハレーションなどの乱反射を起こさないし。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、白馬遠望
【撮影】2日目・04時41分=伊藤 幸司
先ほどの北の眺めがはっきりとしてきました。ここでは右から鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳、(白馬)鑓ヶ岳、白馬岳、そして(たぶん)朝日岳。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、日の出
【撮影】2日目・04時41分=伊藤 幸司
朝日は完全に雲の上に出たようです。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、日の出
【撮影】2日目・04時41分=伊藤 幸司
残念ながら、私たちは山頂に届かず、途中から日の出を見たのです。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、日の出
【撮影】2日目・04時41分=小林 美子
7月18日の日の出です。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・04時41分=山咲 野の香
槍方面はまだ日が当たらず、槍の奥には乗鞍が見えているらしい。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、日の出
【撮影】2日目・04時42分=伊藤 幸司
まあ、穏やかな日の出です。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、八ヶ岳遠望
【撮影】2日目・04時43分=小林 美子
雲の中に浮かんでいる様な山々。
素晴らしい一時を過ごす事ができました。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、日の出
【撮影】2日目・04時43分=山咲 野の香
雲間からの日の出となるも、貴重、厳か、有難い気分に変わりはない。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・04時48分=伊藤 幸司
槍ヶ岳に朝の光が当たりました。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・04時49分=山咲 野の香
槍方面も、明るくなる。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・04時50分=伊藤 幸司
槍ヶ岳方面を眺めるみなさん。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・04時51分=伊藤 幸司
せっかくなので、日の出を見た場所でこちらを向いてもらいました。2人は山小屋に居残りでしたが。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・04時51分=稲葉 和平
素晴らしい景色。二日目も天気は良さそうだ。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、鹿島槍遠望
【撮影】2日目・04時51分=稲葉 和平
鹿島槍のシルエット、好きだ。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、裏銀座遠望
【撮影】2日目・04時52分=稲葉 和平
不動岳、烏帽子岳、野口五郎岳、鷲羽岳、水晶岳。友人は4年前に新穂高から野口五郎、烏帽子、不動、を越えて船窪から針ノ木までソロで縦走し、途中雨にも降られてしんどかったものの、素晴らしいコースと言っていた。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、富士山遠望
【撮影】2日目・04時52分=山咲 野の香
中央に小さく富士山の頭が見えていた。左手の雲海の上には八ヶ岳。右手は南アルプス?

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、立山〜劔遠望
【撮影】2日目・04時55分=伊藤 幸司
山頂に立つと立山連峰~剱岳が眼前に聳えていました。平たく見えるのが立山連峰、その右手にあるのがほんのちょっと低い剱岳。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、白馬遠望
【撮影】2日目・04時55分=伊藤 幸司
針ノ木岳の山頂からいま登山者が下っていきます(見えにくいかもしれませんが)。稜線をたどるとスバリ岳~赤沢岳~鳴沢岳~岩小屋沢岳とたどって爺ヶ岳(背後の山並みの右端)へ。爺ヶ岳からの稜線を左に進むと鹿島槍ヶ岳~五竜岳、その陰の小さな唐松岳から不帰嶮(かえらずのけん)を越えて白馬三山が続きます。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、
【撮影】2日目・04時55分=伊藤 幸司
ついさっき山頂からひょいと下り始めた登山者が、本格的に歩き始めています。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、立山〜劔遠望
【撮影】2日目・04時55分=山咲 野の香
北西方面に、立山、剱岳も美しく見える。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、白馬遠望
【撮影】2日目・04時56分=伊藤 幸司
天に向いて尖っているのが白馬岳です。その手前が(白馬)鑓ヶ岳、さらにその手前に重なっているのは天狗ノ頭でしょうか。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、白馬遠望
【撮影】2日目・04時56分=山咲 野の香
どんな風に撮れましたか? 左手奥には五竜、唐松、白馬がくっきりと。鹿島槍の稜線も美しい。爺ヶ岳との間には焼山、火打、妙高。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、立山〜劔、黒部湖
【撮影】2日目・04時58分=伊藤 幸司
黒部湖を見下ろしています。立山連峰は画面中央から右側に連なる山稜なのですが、その左側の最高地点に、オリジナル写真を拡大すると立山信仰のかなめ・雄山神社峰本社があるのがわかります。
その雄山から斜面を傾斜なりに(右下方向)に下ると中腹に白っぽい四角がありますが、黒部ダムから室堂へと向かうアルペンルートの大観峰駅(立山ロープウェイ)です。
写真の右端に剱岳が見えています。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・04時59分=伊藤 幸司
高瀬ダムのダム湖の先に槍ヶ岳を望んでいます。左端に(わかりにくいですが)燕岳があるので、槍ヶ岳への表銀座縦走路が全部見えています。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、イワオウギ
【撮影】2日目・04時59分=稲葉 和平
朝日にイワオウギが輝いていた。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、立山遠望
【撮影】2日目・04時59分=山咲 野の香
剱岳を撮っていますか? 立山に日が差し始め、黒部湖はまだ静かに沈んでいます。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、剣岳遠望
【撮影】2日目・04時59分=山咲 野の香
剱に朝日。黒部湖をはさんだこちらの稜線の迫力といい、絶景です。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、針ノ木岳山頂
【撮影】2日目・05時00分=伊藤 幸司
私たちだけの針ノ木岳山頂。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、白馬遠望
【撮影】2日目・05時00分=伊藤 幸司
5分前に下っていった登山者はどのあたりにいるのでしょうか。この道は立山連峰と剱岳を左手に眺めながら種池山荘へと向かう道です。さらに先に進めば鹿島槍ヶ岳の冷池山荘へ。たぶんそんなに難しくなく、いくぶんマニアックで気分爽快という縦走路なのでしょう。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、立山〜劔遠望
【撮影】2日目・05時00分=稲葉 和平
黒部湖越しに劔、立山。爽快な気分。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、立山〜劔遠望
【撮影】2日目・05時01分=伊藤 幸司
まだ山頂に立ち続けています。なにしろ足元には黒部湖、お向かいさんは立山~剣。そこに朝の光が射してきました。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、五色ヶ原遠望
【撮影】2日目・05時01分=伊藤 幸司
五郎平小屋を起点にして、薬師岳から立山まで途中2泊で縦走したことがありましたね。スゴ乗越小屋と、ここに見えている五色ヶ原山荘に泊まりました。私には道筋にリンネソウがたくさんあって嬉しかった記憶があります。その五色ヶ原山荘がこの写真の右側の突起の麓に白い四角いかたちで写っています。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、黒部湖遠望
【撮影】2日目・05時01分=小林 美子
針ノ木岳山頂からの
神秘的な黒部湖。
ただ、すご~い !の一言。
来る事ができてよかった。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・05時01分=稲葉 和平
西鎌尾根、東鎌尾根、両方とも歩いたと思うと感慨深いが、東鎌尾根では天気が良くなかったのが残念だった。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、五色ヶ原遠望
【撮影】2日目・05時02分=伊藤 幸司
五色ヶ原山荘の周囲にはまだ雪がだいぶ残っているようですから、雪融け期の花がどんどん咲きだしているところでしょうか。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、
【撮影】2日目・05時02分=山咲 野の香
影針も映って、パノラマビュー。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・05時03分=伊藤 幸司
また槍ヶ岳を見ています。懲りずに。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、富士山遠望
【撮影】2日目・05時03分=伊藤 幸司
富士山も撮るだけ撮っておきました。うまく撮れたかどうかというより、見えたか見えなかったかの証明写真のようなものです。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、富士山遠望
【撮影】2日目・05時04分=伊藤 幸司
富士山を画面中央に置いたまま28mm相当の広角画面にすると、右手に南アルプス、左手に八ヶ岳という北アルプスからのお決まりの風景になりました。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、針ノ木岳山頂
【撮影】2日目・05時05分=伊藤 幸司
立山~剣に光が当たっていい感じになったので、記念写真を撮りました。山頂の標識はありませんが、この風景は忘れないと思います。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、富士山遠望
【撮影】2日目・05時05分=山咲 野の香
すっかり明けて、雲上に再び頭だけの富士山。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、鹿島槍遠望
【撮影】2日目・05時05分=山咲 野の香
鹿島槍、白馬方面、うまく撮れましたか?

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、鹿島槍〜白馬遠望
【撮影】2日目・05時07分=稲葉 和平
朝靄の中に鹿島槍から白馬、手前の雲もなかなかいい。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、薬師岳遠望
【撮影】2日目・05時09分=山咲 野の香
はっきりと大きな影針。歓声。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・05時07分=稲葉 和平
この写真だけ見ると不動岳から烏帽子、野口五郎の稜線も気持ちよさそう。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、ミヤマオダマキ
【撮影】2日目・05時11分=伊藤 幸司
山頂の一郭にミヤマオダマキが堂々と咲いていました。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、白馬遠望
【撮影】2日目・05時11分=山咲 野の香
いつの間にかふんわり雲がやって来ました。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、鹿島槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・05時12分=伊藤 幸司
鹿島槍ヶ岳を望遠撮影しています。大糸線から見ると素晴らしく美しい双耳峰ですが、針ノ木岳からだととりたてて魅力的とは感じません。
写真左端あたりにある冷池山荘に泊まった朝、あたりは完全に雲の中でした。日の出を見に行く人を募ったら、ほとんどの人がNoということで、数人で出かけました。するとすぐに雲の上、素晴らしい朝を堪能しました。この写真にあるような雲が滝雲となって、山小屋のあたりから流れ落ちていたのです。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、針ノ木岳山頂
【撮影】2日目・05時12分=稲葉 和平
朝の針ノ木の頂上も風はほとんどなく、寒くもなかった。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、鹿島槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・05時12分=山咲 野の香
深い谷とそびえる山に等しく力強い朝日が注ぐ。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、鹿島槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・05時14分=伊藤 幸司
鹿島槍ヶ岳から視野を広げると、やはり双耳峰の爺ヶ岳が出てきました。爺ヶ岳の向こうに見えるのが戸隠山~高妻山と、その背後の飯縄山~黒姫山。鹿島槍ヶ岳に近づいていくのは焼山~火打山~妙高山という連なり。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、ミヤマオダマキ
【撮影】2日目・05時14分=山咲 野の香
頂上直下、鮮やかなミヤマオダマキ。造形の妙と色合いの妙。いつもドッキリします。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、イブキジャコウソウ
【撮影】2日目・05時14分=山咲 野の香
イブキジャコウソウ。
大好きな香り。かぐ余裕がなかった、残念。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、イブキジャコウソウ
【撮影】2日目・05時15分=稲葉 和平
針ノ木岳の花に少しは期待してきたのだが、やっと花があったという感じのイブキジャコウソウ。しかし光線の関係で色が異常に濃くみえ、近寄ってみるまで何の花か分からなかった。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、シコタンソウ
【撮影】2日目・05時15分=稲葉 和平
イブキジャコウソウの向こうの花はシコタンソウ!、とは思ったものの、やはり色が違うので近寄ってみるまで???だった。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、シコタンソウ
【撮影】2日目・05時15分=稲葉 和平
写真は良く撮れていないけど、近寄ってみたらシコタンソウ。きちっと撮りたかったが細くて長い茎の花は風で揺れるし、コンデジでは小さな花に焦点を合わせるのは難しいし、みんなは下り始めていたし、適当にシャッターを切って諦めてしまった。揺れが止まるまで、もっとねばるべきだった。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、ミヤマキンバイ
【撮影】2日目・05時17分=伊藤 幸司
夏の山で見られる黄色い花はいろいろあり、しかも似ていたりするので私はいつまでたっても覚えられないのですが、これはミヤマキンバイだと思います。じつはキジムシロ属なのでキジムシロやミツバツチグリとの仲間。葉の見た目が「三つ葉」で、花の雰囲気も似ています。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、ミヤマクワガタ
【撮影】2日目・05時18分=伊藤 幸司
クワガタソウの仲間だということはその顔つきですぐに分かるのですが、何クワガタかという段になると手が出せません。私が山の花の常識ラインとしている『山の花1200』(青山順三・平凡社・2003)にはミヤマクワガタ(別亜種キクバクワガタ)、ヤマクワガタ(よく似たクワガタソウ、ヒメクワガタ、エゾヒメクワガタ、テングクワガタ、グンバイヅル)と出ています。
しかし『フィールド版日本の野生植物』(平凡社・1985)で見るとヒメクワガタ節とクワガタソウやヤマクワガタのあるヒヨクソウ節の間にイヌノフグリ節があって、『山の花1200』で主軸となっているミヤマクワガタは出ていません。
『日本の野生植物』でクワガタソウ属を大きく二分する違いは先端が花(ヒメクワガタ節やイヌノフグリ節)か葉(クワガタソウやヤマクワガタ)ということになっています。
そこで『ウィキペディア』で『ミヤマクワガタ』と検索すると人気の甲虫を代表するクワガタムシのメージばかり。『ミヤマクワガタの花』でようやく出てきました。
【ミヤマクワガタ(深山鍬形、学名:Pseudolysimachion schmidtianum subsp. senanense)は、オオバコ科ルリトラノオ属の高山植物で、以前はクワガタソウ属 Veronica に含められていた。ミヤマとは山奥のことであり、クワガタとは果実に萼片がついている様子が兜のくわがた(V字形の角)に似ていることからこの名前が付いたといわれる。花言葉は純潔、多才な人。
なお、同名の昆虫にクワガタムシ科のミヤマクワガタがある。】
そういうわけでもう一度『日本の野生植物』でルリトラノオ属を見ると、私がかつて大蔵高丸に足繁く通ったルリトラノオやヤマトラノオの隣にあって花が密につくかつかないかという違いのようです。えっ! という感じですが、ミヤマクワガタに関しては次のように書かれています。
「ミヤマクワガタ 高さ10-25cm。花は7-8月、径10-12mm。花の両面は無毛か毛が散生。本州中部高山と青葉山(京都・福井県境)、岩地。──品種にミチノククワガタ(東北)、バンダイクワガタ(福島県磐梯山)、ダイセンクワガタ(中国地方)がある。──基本亜種キクバクワガタ 葉の切れ込みが深く、萼裂片の先はとがらない。北(北部・東部)、千島・樺太。──エゾミヤマクワガタ 葉が小さくて鋸歯の先は鋭い。日高・夕張・天塩の山地。」
そうだ、これはバンダイクワガタの印象に似ているんだと思いました。今年(2018.5.15-16)の磐梯山ではまったく見られなかったけれど。
写真の花はたぶんミヤマクワガタなんだろうと思います。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、タカネヤハズハハコ
【撮影】2日目・05時25分=伊藤 幸司
タカネヤハズハハコです。……が、なんとなく引っかかって『山の花1200』(青山順三・平凡社・2003)を見るとタイトルに「タカネヤハズハハコ(タカネウスユキソウ)」とありました。これがウスユキソウの仲間だとしても、その名前で代表の一郭を占めてもいいのかと思って、ネットで検索してみました。
サイトの名前がわかりませんがタカネウスユキソウの写真(Date:2005.7.17 Fild:唐松岳・八方尾根丸山ケルン付近) をきちんと見せてくれているページだけが(たぶん単独で)出てきました。
【本州中部以北から北海道の高山帯の湿めりけのある場所に生えます。頭花は丸形で白色または往々紅色を帯びるますが濃淡は一様ではありません。茎高は20センチほどで、茎と葉に白く柔らかな毛を蜜に被り、全体が灰白色に見えます。葉は互生しており、質は柔らかく茎葉はヘラ形しています。似た種類にタカネヤハズハハコがありますが、葉の形はヘラ状で、先端にいくにしたがって広くなっていますが、見た目では区別がつきません。】
さてどうしよう。「ヘラ形」と「ヘラ状で、先端にいくにしたがって広くなって」がどうちがうのか。
仕方がないので『フィールド版日本の野生植物』(平凡社・1985)も見てみるとタカネウスユキソウはタカネハヤズハハコの別名となっていました。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、タカネヤハズハハコ
【撮影】2日目・05時25分=山咲 野の香
タカネヤハズハハコ。みずみずしく、堂々としていた。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、
【撮影】2日目・05時25分=山咲 野の香
残念、ボケてしまったミヤマクワガタ。ミヤマクワガタの紫色は幅広い。可憐さは同じ。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、
【撮影】2日目・05時34分=伊藤 幸司
来たときの印象と、陽光あふれる今の気分とはずいぶん違います。帰るとなれば、空腹感も。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、
【撮影】2日目・05時34分=山咲 野の香
針ノ木岳とスバリ岳の間から剱がのぞいている。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、白馬遠望
【撮影】2日目・05時36分=山咲 野の香
スバリ岳から赤沢岳方面、美しい稜線。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、
【撮影】2日目・05時36分=山咲 野の香
そくそくと山小屋に戻ります。今日一日、体力配分が気になります…

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、コイワカガミ
【撮影】2日目・05時37分=山咲 野の香
小さいけど、生きのいいコイワカガミ。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、シナノキンバイ
【撮影】2日目・05時39分=山咲 野の香
花が続きそうな予感。斜面にシナノキンバイが現れた。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、シナノキンバイ
【撮影】2日目・05時39分=山咲 野の香
シナノキンバイ、日差したっぷりで元気一杯。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、ベニバナイチゴ
【撮影】2日目・05時40分=山咲 野の香
蕾と並んでフレッシュなベニバナイチゴ。華やかで美しく花です。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、ミヤマダイコンソウ
【撮影】2日目・05時42分=山咲 野の香
ミヤマダイコンソウ。現時点では立派な葉に主役を譲っています。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、キバナノコマノツメ
【撮影】2日目・05時42分=山咲 野の香
キバナノコマノツメ。いつもスマートな印象。葉が馬の蹄に似て丸いことが名の由来とか。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、チングルマ
【撮影】2日目・05時42分=山咲 野の香
朝日に向かって伸び上がっいるチングルマが凛々しい。夜明け前の暗い登山道でも、チングルマだけは白く浮かびあがっていた。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、チングルマ
【撮影】2日目・05時44分=山咲 野の香
チングルマの間にコイワカガミのピンクがアクセント。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、チングルマ
【撮影】2日目・05時50分=伊藤 幸司
チングルマが斜光線できれいに浮かび上がっていました。ただ、この感じの花の写真では、ピントがなかなか花にいかずに、カメラが葉っぱを鮮明に撮りたがるので手こずっています。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・05時51分=伊藤 幸司
懲りずにまた、槍ヶ岳を撮っています。なんだろう、ほぼ同じ場所からほぼ同じフレームで撮っているのですが、太陽の位置によるライティングの違いが見え方を変えてくれるので、いつもそれなりに新鮮な気持ちではあるのです。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、白馬遠望
【撮影】2日目・05時52分=伊藤 幸司
いやあ、逆光気味に浮かび上がってきた(右奥から)爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳~五竜岳(+唐松岳の頭)~白馬三山。手前の山肌が全体の印象をものすごく良くしてくれています。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、ミヤマハンノキ
【撮影】2日目・05時54分=稲葉 和平
ミヤマハンノキ(カバノキ科)。針ノ木岳という名前は‘ハンノキ'が訛ったというけど・・・。

針ノ木岳登山、針ノ木岳、、針ノ木雪渓
【撮影】2日目・06時01分=伊藤 幸司
下山する登山者がいました。この下り、気分爽快か、ちょっぴり不安か。どうでしょう。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋
【撮影】2日目・06時09分=伊藤 幸司
帰ってすぐに朝食。山小屋の朝食はなんでヘルシーな感じなんでしょうかね。
白山の室堂センターでは梅干しや漬物が大きな瓶にたっぷり入っているので大食漢は安心して食べ出せます。私などはトシもトシですから2杯がいいところですが、私の人生最高量は飯盒にまるごと1杯の4合です。が、かつて山仕事の人たちの標準感覚は5合、1升飯だってあったというから、お代わり自由のご飯を炊き足す危険を避けるためには「ヘルシー」な朝食を演出しなければいけないのかもしれません。でも、赤岳鉱泉で前日余ったらしいカレー食べ放題つきの朝食だったときは(2杯だけしか食べられないのに)幸せな気分でしたね。
ちなみにこの日のこれは、ぜんぜん不満ではありませんでした。

針ノ木岳登山、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・07時06分=山咲 野の香
針ノ木小屋前、今日も天気に不足なし。いよいよ正面の七倉岳を越えて船窪小屋へ出発。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、富士山遠望
【撮影】2日目・07時06分=山咲 野の香
中央に富士山の頭。昨日よりはっきり見える。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ウサギギク
【撮影】2日目・07時15分=伊藤 幸司
山小屋を出たところにウサギギクがありました。葉がもうすこし長いとウサギの耳とわかるのですが。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・07時17分=伊藤 幸司
蓮華岳への登りにかかるところで、別れの気分も含めて槍ヶ岳方面を見ています。今日の目的地の船窪小屋から船窪岳~不動岳~南沢岳~烏帽子岳と続くハシゴ、クサリ、ワイヤーが連続する有名な難ルートが手前にくっきりと見えてきました。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ハクサンシャクナゲ
【撮影】2日目・07時19分=伊藤 幸司
ハクサンシャクナゲです。
『ウィキペディア』の『ハクサンシャクナゲ』には次のような基本的解説がありました。
【花は白から淡い紅色で、内側に薄い緑色の斑点がある。亜高山帯の暗い針葉樹林内を彩る代表的な花である。】
『山の花1200』(青山順三・平凡社・2003)の「シャクナゲの仲間──ツツジ科」の概説部分に次のような記述がありました。
『日本に野生するシャクナゲ群の種は、高山の風衝岩礫地に生えるキバナシャクナゲと、高山~亜高山に分布するハクサンシャクナゲはともかく、それ以外の、花が紅色の亜高山~山地帯樹林内に生育する種については、分類上の扱いに諸説がある。』

針ノ木岳登山、蓮華岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・07時19分=山咲 野の香
まずは行く手に背を向け蓮華岳へ。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、針ノ木小屋
【撮影】2日目・07時26分=伊藤 幸司
10分ほど登ったとこから振り返りました。針ノ木小屋が足元にあります。今朝登った針ノ木岳はまろやかな方のピークです。その手前、稜線にかかる白い残雪のところは、こちら側の縁をたどって鞍部に出ました。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、イワツメクサ
【撮影】2日目・07時27分=伊藤 幸司
イワツメクサです。5枚の花弁がそれぞれ深く切れ込んで10弁に見えるこの顔つきはイワツメクサとおぼえておいていいように思えます。このかたちで似ているものを『山の花1200』(青山順三・平凡社・2003)では『花弁が10枚に見え(1弁が2中~深裂)、葉が披針形~匙形なのが、ハコベ属のイワツメクサとシコタンハコベ、およびミミナグサ属のミヤマミミナグサ。』としています。
ふと思いついて「イワツメクサうんちく」と検索してみるとヤマレコに『山の花100これだけ覚えれば大丈夫(初心者用)』というのがありました。
【山で見かける花はそれほど多いものではありません。実際にはものすごい数なんでしょうが、有名どころはせいぜい100種類も覚えれば十分です。山の初心者や素人の人を連れて山に行くと、高山植物の名前を知っているだけで尊敬されます。】
どうも書き手は指導的な立場の人のようです。その35番(LEVEL4・少しレベルが高くなりますが、覚えてしまいましょう!)にイワツメクサがありました。
【イワツメクサ…細かい花ですが主張は強いように思います。】

針ノ木岳登山、蓮華岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・07時29分=伊藤 幸司
また、槍ヶ岳です。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ハイマツ
【撮影】2日目・07時31分=伊藤 幸司
北アルプス稜線のゆるやかな斜面はこんなふうにハイマツで覆われていることが多いように思います。ハイマツはもちろん樹木ですが、これと背の低いダケカンバとは森林限界周辺の風衝地に緑の衣を広げています。
ダケカンバは亜高山帯では巨木となりますが、鳳凰三山の山稜風景を形作るダケカンバなどはいかにも風雪に耐えたという表情で地面に這いつくばっている姿が印象的です。
ハイマツはいかにもこの地に生を受けた者のごとく生き生きとした表情をしていますが、『山の花1200』(青山順三・平凡社・2003)では「ハイマツの仲間──マツ科」の概説のところで次のように書かれています。
『総じて大木になるゴヨウマツ類だが、最も著名な種ハイマツが、地を匍匐する矮性樹木であることは興味深い。』
私は50年以上前、大学探検部の無積雪期知床半島縦走に新人として参加してサポート隊のひとつに配属されましたが、縦走隊を待つ間、稜線にルートを確保すべくハイマツ帯に道を切り開く作業をしました。
その伐採が後に大きな問題になったのですが、知床のハイマツはこの写真に見える緑の広がりが頭の上にあって、「地を匍匐する」という横枝が腰のあたり。くぐるも、乗り越えるもなかなかたいへんというジャングルでした。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、チングルマ
【撮影】2日目・07時32分=伊藤 幸司
チングルマが木だということはエピソードとしていつからか知っていました。でも草になるか木になるかの分岐点はどのようなところにあるのか、知りませんでした。
そこで「チングルマはなぜ木なのか」とグーグルに問うてみました。
『森林・林業学習館』というサイトに『木と草の違い』というページがありました。
【形成層の有無、つまり、太くなるかならないかによって木本(木)と草本(草)の違いが特徴づけられます。ただし、植物学の世界では「本質的な違いはない」といわれています。】
【木部の細胞を年々蓄積して、成長するグループを「木(木本)」、蓄積しないグループ(多くは1年~数年で枯れる)を「草(草本)」として、木本と草本を区別するのが、最も的確な表現でしょう。】
『虫、生きもの、植物の共生するナチュラルなライフスタイル」というブログに『<立山>を代表する高山植物の<チングルマ>は、草のように見えても立派な木なのです」というページがありました。
それによると室堂にあった解説板に次のように書かれていたというのです。
【クリーム色をした5弁の花を咲かせるチングルマは、高さ10㎝から20㎝ですが、1年の大部分が雪に埋もれる厳しい気象条件のため、幹がマッチ棒の太さになるまで10年ほどかかるといわれています。直径5.5mmの茎でも、その断面を顕微鏡で見ると20年以上の年輪が数えられます。】
そういえば竹や笹は地下茎で猛烈な繁殖が可能なのに、60年に1度、それをチャラにして花を咲かせ、種子による完全生まれ変わりをすることで種としての存続を図っているのではないかというような、深慮遠謀がチングルマにも隠されているのではないでしょうか。

針ノ木岳登山、蓮華岳、
【撮影】2日目・07時32分=伊藤 幸司
じつはいつもちょっとイライラしながら見ているのはセリ科の花です。ミヤマシシウドを親分だとすればオオカサモチが女将さん、あとはズラリと子分たちだとすれば、ニンジンの葉っぱみたいでちびっこのミヤマウイキョウやシラネニンジンからけっこう大きくて若い衆という感じのアマニュウあたりまで、一家の子分たちだとはすぐにわかるのに、どれがどれだとか、ほとんどまったくわからなくてイライラするのです。他の花だって後で調べる楽しさだけが繰り返し残っている状態だから、現場でわかろうはずもないのですが、なぜか癪なんですよね。
実は石原敏行さんという人の『白馬岳・八方尾根 花の旅』という古いガイド本に「セリ科を比較しよう」というイラスト表があって、なんとかそれを手がかりに顔と名前が一致するように努力してみようと考えてはいるのですが、けっきょくまだ子分たちに切り込んでいくことができていません。
『高山植物図鑑・登山道の花』というサイトに『ハクサンボウフウ』がありました。
【セリ科は似た花が多く、特徴があまり目立たないので、関心が低く見分けをしっかりしないまま、多くはハクサンボウフウだろうと思っていたが、そうでも無いらしい。
ミヤマトウキ・シラネニンジンがよく似ているが、シラネニンジンは本種より葉の切れ込みが細かく、ミヤマトウキは荒い。他にエゾボウフウ・ミヤマゼンコなども似る。】
どんどんわからなくなっていきます。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、剱岳遠望
【撮影】2日目・07時32分=伊藤 幸司
針ノ木岳~スバリ岳の稜線の向こうに立山~剱岳を見ています。標高3,003mの雄山(立山)と標高2,998mの剱岳とはいつも微妙な背比べをしているように感じます。だからこの写真、水平感覚がこんなふうに立山を段違いに大きく撮ってしまったのではないかと不安になります。自信もありません。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、剱岳遠望
【撮影】2日目・07時32分=山咲 野の香
立山の向こうに剱が見える。平蔵谷、長次郎谷の雪渓がはっきりと。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・07時36分=稲葉 和平
槍、裏銀座、薬師。北アルプス大展望というところ。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ハイマツ
【撮影】2日目・07時46分=伊藤 幸司
手入れの行き届いた日本庭園のような道になりました。雑草はもとより、余分な草が生える余地がないような、完璧な造りです。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ハイマツ
【撮影】2日目・07時46分=伊藤 幸司
さすがのハイマツも苔庭みたいな表情になっています。
下ってきた登山者が「蓮華岳の向こう側はコマクサがすごかった」とつぶやいていましたが、余計なお世話。推理小説のネタバラシのようなものだと思うのですが、初心者丸出しだから、むしろそういう人が単独で登ってこられる道らしいという情報として受け取りました。
実際に私自身がその「向こう側」を見た結果として、彼は登り道だったから花がいっぱいに見えたのではないかという観察力の偏りが加わっていたとわかりました、が。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、北信五岳遠望
【撮影】2日目・07時51分=伊藤 幸司
爺ヶ岳の向こうには北信五岳が見えています。どれがどれと見ている暇はありませんが。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、蓮華岳
【撮影】2日目・07時55分=伊藤 幸司
岩山は風化で自発的に砂利広場を作って、そこにハイマツが広がってきたという風景なんでしょうか。
岩は温度の変化やしみ込んでできた氷の膨張などで内在的な節理に沿って割れていきます。自然の砕石工場なのです。ハイマツはそこで生物学的な営みを続けて、密かに土壌を蓄えつつ、自分の世界を広げていこうとしています。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、蓮華岳のコマクサ
【撮影】2日目・07時58分=山咲 野の香
コマクサが現れた! 思わず接近しすぎ、反省。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、蓮華岳のコマクサ
【撮影】2日目・08時01分=山咲 野の香
どんどん増えてくコマクサ。今まで見たことない量!

針ノ木岳登山、蓮華岳、、蓮華岳のコマクサ
【撮影】2日目・08時02分=伊藤 幸司
まだ、砕石地帯。土と呼べるようなものがありそうにないところにコマクサは悠然と暮らしている、というふうに見えます。
コマクサのこの状態を育て親の目で見るとどうなるのか? 『アウトドア暮らしのウェブマガジン暮らし~の[クラシーノ]』というサイトに『高山植物の女王!コマクサの育て方と栽培方法!見頃の季節などを紹介!』という記事がありました。
【コマクサは、もともと高山の砂や岩場で自生する植物なので、水はけのいい土地を好みます。鹿沼土に砂や軽石を混ぜた用土を準備しましょう。市販の山野草用の培養土を利用すると手軽です。またコマクサの成長期である、春から秋には、月に数回液体肥料を施してやるとよいでしょう。】
【コマクサは、乾燥も加湿も嫌う植物で、一年中、こまめな水やりの管理を必要とします。このことが、コマクサの栽培が難しい、と言われる理由のひとつでしょう。コマクサを植えている土の表面が乾いたら水やりをするのですが、ただし、あまり過度に水やりをしすぎるとコマクサが枯れてしまいますので、水やり前にはしっかり観察することが大切です。またコマクサは、冬の時期には地上部がなくなり、まるで枯れたようになりますが、根っこは生きています。水やりは、コマクサが枯れたように見える冬のあいだもしっかりと続けましょう。】
山の天気はずいぶん手間のかかる育て方をしているということでしょうか。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、蓮華岳のコマクサ
【撮影】2日目・08時08分=伊藤 幸司
孤軍奮闘、百年前、南米のジャングルに放り込まれたかつての日本人農業移民のような存在にも見えてきます。コマクサは。
『岩手県環境保健研究センター』の小山田智彰,山内貴義,鞍懸重和,川目智之さんによる論文『絶滅危惧植物コマクサの組織培養による大量増殖』──薬用植物研究 38(1)2016年──によると少し違ったコマクサの人生が見えてきます。
【 薬用植物におけるコマクサは,全草にアルカロイドのジセントリン,プロトピン,フラボノイドのクェルセチン・モノメチルエーテルを含む.ジセントリンは,少量で麻酔作用があり,中等量では麻酔作用についで脊椎以上の中枢を刺激する.さらに大量で呼吸中枢を刺激して初め興奮させ,のちに痙攣させる.
また心臓に対して運動機能を麻痺させ,血管中枢を麻痺させる.コマクサは,その麻酔作用から民間で腹痛の鎮痛用に使用されていたが,特別保護植物の指定を受けてからは採取ができない状況となり,薬用植物としての研究も容易に取り組めないのが現状となっている.】
そうして研究は成功裏に終わったのです。
【我々が開発した大量増殖法は,以下のとおりである(図 5).まず 4 月に出芽したコマクサから葉を採取し,これを中性洗剤で洗浄する.クリーンベンチに搬入して 70% エタノールに 10 秒浸漬し,滅菌水で 1 回洗浄する.
次に 0.6% 次亜塩素酸ナトリウム溶液に 15 分間浸水殺菌し,滅菌水で 3 回洗浄した後,5mm角の葉片になるようにカットし,2 種の植物成長調節物質NAA0.1mg/L+BA1.0mg/Lを添加したコマクサ増殖用培地に置床する.培地置床後,暗所条件下で 30 日間培養することによって葉片がカルス化する.このカルスを明所条件下に移して 30 日間培養することで 1 つのカルスからおよそ 10 本が出芽する.出芽したシュートをカルス基部をつけた状態で切り出し,これをコマクサ増殖用培地のスクロース量を 30g/Lに設定し,活性炭0.5g/Lを添加した発根用培地に置床して 60日間培養することで健全な苗が完成する.8月に作出した苗を培養容器から取り出して野外栽培に移行すると 90%が生存し,野外栽培開始から 240 日で開花,つまり最初の葉片培養を開始して1年後の翌春4月には開花に至った.順化後の生存は,植物培養法の実用化を確認するための指標となり,本研究で作出した培養苗の顕著な発育性が証明されたと考える.以上のことからコマクサの大量増殖が可能となり,カルス,不定芽,発根させた培養苗など,研究者の求めに応じた生育段階で提供することが可能となった.また,葉の小片のみを外植体に使用するため,葉を採取した母材に生育障害や枯死が発生しないなどの利点も確認された.】
……とのこと。具体的な意味はほとんどわかりませんが。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、コマクサ
【撮影】2日目・08時09分=山咲 野の香
ややピークは過ぎているかもだが、このボリューム!

針ノ木岳登山、蓮華岳、、コマクサ
【撮影】2日目・08時10分=伊藤 幸司
北アルプス蓮華岳のコマクサ開拓団は生き生きとしているように、見えました。住めば都、なんでしょうか。
でもここに、タカネスミレの黄色い花がチラリとでも見えたりすると、コマクサの楽園には暗雲が立ち込めてくるようにも見えるのです。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、裏銀座遠望
【撮影】2日目・08時10分=山咲 野の香
白い砂礫一面にコマクサが点在。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ミヤマリンドウ
【撮影】2日目・08時11分=山咲 野の香
ミヤマリンドウ。花冠の内側には白い斑点。炎天下、ほっとする色。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、蓮華岳
【撮影】2日目・08時12分=伊藤 幸司
なんだか理想的な登山日和。蓮華岳は地図上で想像しても針ノ木岳から眺めても、特別な個性、存在感を感じさせるものはなく、この先にあるという「蓮華の大下り」の生みの親という程度の認識。確かにタラタラと登っていくだけの山のようだと思いながらも「気持ちいい登りだなァ」と感じています。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、コマクサ
【撮影】2日目・08時12分=稲葉 和平
蓮華のコマクサには間に合わないかと思っていたけど、一応残っていた。きれいに撮るのが難しいかなり厳しい状態ではあったものの、朝の光線が助けてくれた。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ミヤマリンドウ
【撮影】2日目・08時12分=山咲 野の香
ミヤマリンドウ、これから開きつつある濃い青紫色。目がクールダウンできそう。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ハクサンボウフウ
【撮影】2日目・08時13分=稲葉 和平
ハクサンボウフウ(だと思う)。花が少ないのでこんな地味な花でも嬉しかった。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・08時13分=山咲 野の香
依然としてコマクサ。砂礫の上に大群落が続く。他の追随を許さぬ環境に孤高の女王。と思ったら秋田駒ではイワブクロが迫っていてびっくり。ここでは見あたりませんが。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、蓮華岳
【撮影】2日目・08時14分=山咲 野の香
蓮華岳山頂へ。コマクサを踏まずに歩くのが難しいくらい。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、針ノ木岳遠望
【撮影】2日目・08時15分=稲葉 和平
素晴らしい稜線歩き。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、槍ヶ岳遠望、コマクサ
【撮影】2日目・08時15分=山咲 野の香
グッと寄って。もっと高密度の所もありました。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、富士山遠望
【撮影】2日目・08時17分=稲葉 和平
八ヶ岳、富士山、南アルプス。ちょうどこの日、高校時代の友人が甲斐駒の黒戸尾根を駒ヶ岳神社の宮司をリーダーとする参拝登山で登っていたことを後からfacebookで知った。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、チングルマ
【撮影】2日目・08時18分=伊藤 幸司
ハイマツとコマクサに続いて、チングルマの群落が登場。花は花弁が白く、雌しべと雄しべが黄色ですが、こんなふうな色のバランスは初めてです。別の花を見ているような気分です。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、富士山遠望
【撮影】2日目・08時18分=山咲 野の香
遠く富士の頭。コマクサの手前にチングルマの群落も現れた。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、チングルマ
【撮影】2日目・08時19分=伊藤 幸司
チングルマは白い花弁を落とす頃、雌しべがどんどん伸びて長髪を風になびかせる感じになります。ここでは雄しべはまだ黄色ですが、中央の雌しべが茶色く色づいています。
『~自然と時間の流れの中に、癒し・憩いを見つける~癒し憩い画像データベース/九州がんセンター』に『チングルマの「花から実・綿毛へ』がありました。
【また、花が終わって出てくる集合果も、特徴があります。落花の後、花柱が伸びて、先端に淡褐色の長い毛を持った小さな実が密につきます。やがて、束になっていた果実は、ほどけながら放射状に広がった羽毛の白い穂へ。夏の終わり頃の登山で、爽やかな風を受けつつ、この白い毛をなびかせるチングルマの群落に出会うと、疲れを忘れます。そして実は種子となって、風とともに新たな旅へ・・・。チングルマは花も実も種子も、忘れがたい風情をもっています。(潮 信輔)登録日2018年08月20日】

針ノ木岳登山、蓮華岳、、蓮華岳
【撮影】2日目・08時20分=伊藤 幸司
頂上間近というのにこのおおらかさ。道際にポツポツとコマクサが咲いています。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、チングルマ
【撮影】2日目・08時20分=稲葉 和平
チングルマ。残っていた。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、立山〜劔遠望
【撮影】2日目・08時21分=山咲 野の香
立山連峰と剱。手前は相変わらずコマクサの群落。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、鹿島槍遠望
【撮影】2日目・08時22分=山咲 野の香
コマクサの広がりのスケール感をどう撮っていいか、悩みます。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、鹿島槍〜白馬遠望
【撮影】2日目・08時23分=伊藤 幸司
道際のコマクサも、背景によっては特別な存在という雰囲気になってきます。見えている山は右から鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳、少し離れて白馬・鑓ヶ岳、白馬岳。左端はわかりません。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、蓮華岳
【撮影】2日目・08時25分=小林 美子
この稜線を気持ち良く歩きましょう。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ミヤマダイコンソウ
【撮影】2日目・08時26分=伊藤 幸司
ミヤマダイコンソウが横一線に並ぶ黄色い帯のほぼ中央、すこし奥に小さな、驚くほど小さなピンクの点として写っています。じつは画面下端、右から1/4あたりにゴミのように見える小さなピンクの点もコマクサです。
それに対してこの黄色の軍団の威圧感はなんだ?

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ミヤマダイコンソウ
【撮影】2日目・08時27分=伊藤 幸司
ミヤマダイコンソウのアップです。
『Tore-Tate.com』に『ミヤマダイコンソウ』がありました。
【フォトエッセイ(野の花365日のミヤマダイコンソウより)
高山植物には黄色の似た花が多く,最初のうちは識別が難しい。
主なものでは,ミヤマキンポウゲ,シナノキンバイ,ミヤマキンバイそして,このミヤマダイコンソウである。
ミヤマダイコンソウの特徴は,まず乾いた岩場に生えること。ミヤマキンポウゲやシナノキンバイは湿った草地に生える。
もうひとつは葉は正確には羽状複葉だが,側小葉が著しく小さいため,円形の単葉に見える。この点,イチゴの葉のようなミヤマキンバイと簡単に見わけることができる。】
そして【ダイコンソウの仲間には,低地の森林内にはダイコンソウ,草地にはオオダイコンソウ,北海道や亜高山の湿地周辺にはカラフトダイコンソウがある。】
このダイコンソウの4種に関する論文がありました。
『日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨』の『日本産ダイコンソウ属3種の系統的位置付けと形態分化』藪田泰基(信州大・理)です。
【ダイコンソウ属は世界に約50種が生育し、日本国内には4種が生育している。国内に生育する4種のうちミヤマダイコンソウは風散布型の種子を、ダイコンソウ・オオダイコンソウ・カラフトダイコンソウは動物付着散布型の種子を産する。Smedmark & Eriksson(2002)は種子形態と分子系統解析を併せて世界的なダイコンソウ属の分類を行っているが、日本国内のダイコンソウ属は1種が扱われたのみであり、国内種の系統関係については調べられていない。 】
そこでどういうことをやったのか。
【本研究では日本産ダイコンソウ属の系統関係を明らかにするために分子系統解析を行った。また、北村・村田(1961)や清水(1997)によって外部形態の類似が指摘されている動物付着散布型種子を産する3種に着目して、それぞれの種の種子外部形態を測定するとともに、成熟個体の根出葉の標本から外部形態を観察し定性的に差異を示した。系統解析には葉緑体DNAのtrnL-trnF領域985bpを用いた。種子外部形態の測定には短径・長径・花柱それぞれの長さを用いた。 】
そして結論。
【その結果、系統解析においては動物付着散布種3種が同じクレードに属した。3種間の遺伝的差異はダイコンソウ、オオダイコンソウの一部、カラフトダイコンソウの間では全くみられなかった。】
【ダイコンソウ属の動物散布種3種には遺伝的差異はほとんど見られないが形態的な差異がみられることが明らかになった。】

針ノ木岳登山、蓮華岳、、チシマギキョウ
【撮影】2日目・08時27分=伊藤 幸司
チシマギキョウまで咲いていました。イワギキョウとの区別には、何年見てきても自信がありませんが。
そこで「高山帯の先駆植物」で検索したら、岩手大学のサイトになんだかわからないのですが『6.高山帯 1500-1600m以上』というpdf文書が1枚裸でパラリと出てきました。
【 森林限界線より上の分布帯が高山帯である。気候帯からは寒帯に相当し、暖かさの指数は15度以下となる。
(1) ハイマツ群落
 高山帯を代表する植生はハイマツ低木林で、とくに森林限界からしばらくに間はハイマツが多い。上部にいくにつれて、ハイマツに代って倭小低木群落や草原なのが多くなる。その相観によって便宜上、上部高山帯と下部高山帯とに分けることもある。しかし、温度要因からみれば日本の高山帯はすべてハイマツ群落の成立し得る範囲にあって、その他の要因によりハイマツ低木林の発達しないところに他の群落ができていると考えられる。
 ハイマツ群落に適した条件としては、日射量の十分な安定した斜面で、冬期適度な積雪におおわれて芽の保護されることなどがあげられる。風当たりが非常に強くて雪が吹き飛ばされるようなところや、ガレ場はハイマツに不向きである。
(2) 高山火山荒原
 高山帯において、立地条件が厳しいところは、斜面が崩壊しやすく、礫流を起こしやすい。植物の生育もまばらになりいわゆる高山荒原の地域となる。このような不安定な環境に先駆種となるのがコマクサ・タカネスミレであり、特にコマクサは高山礫地の代表的な花とされている。このほか、ミヤマムラサキ・タカネシオガマ・ウルップソウ・チシマギキョウ・ミヤマタネツケバナ・コバノツメクサ・オヤマソバ・イワスゲ・コメススキなどがあげられる。
 また、日本は世界有数の火山国である。火山の植生を非火山のそれと比較すると、いろいろな差異がある。若い火山では山としてのフロラが未熟で、垂直分布も未完成である。火山性の厳しい環境要因のもとでは、高山性の植物が下降して垂直分布の乱れる場所もある。
 火山の植生で興味深いのは、噴出物の堆積によってまったく新しい裸地が出現し、その後の遷移(一次遷移)の実例が展開されることである。これに着目した調査が各地で行われてきた。溶岩の流出した年代が明らかであれば、そこに成立する群落を調べ、それらをいくつかつなぎあわせて、遷移の系列を推測することができる。 】
ここではチシマギキョウだけが出てきましたが、登山者の現実に近いアドバイスが『中日新聞+プラス』というサイトにありました。『達人に訊け! 林正一の生涯自然人めざして』の『チシマギキョウとイワギキョウ』です。
【チシマギキョウによく似たイワギキョウも各地の高山帯で見られます。草丈は10センチ前後、花の形は5裂した鐘型、花の色は青紫色、標高約2500メートル以上の砂礫地か岩のすき間に自生しており、花の時期は7月下旬から8月にかけて、と共通するところが多くあります。見間違いをしてもおかしくないくらいによく似ております。
異なる点は、花の付け根にあたる「がく」片にあります。イワギキョウのがくは細くふちに鋸歯がある、チシマギキョウのがくは広くふちに鋸歯はないの違いです。
花冠の長さは、チシマギキョウのほうはイワギキョウと比べて少し長い。並んで咲いていたら区別もつきやすいのですが、別々だと判別は難しいですね。
白山にはチシマギキョウは自生していないので、チシマギキョウでなくイワギキョウです。山頂一帯で見ることができます。
立山では、一ノ越の下辺りで両種並んで咲いているのを見られます。 】

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ツガザクラ
【撮影】2日目・08時29分=伊藤 幸司
花がほとんど全部上向きだったので何の花か調べるのに右往左往してしまいましたが、ツガザクラです。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ミヤマダイコンソウ
【撮影】2日目・08時30分=伊藤 幸司
ミヤマダイコンソウの花のアップ。大きな群落を作っているとパワフルに見えますが、花のひとつひとつは繊細な感じがします。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、コイワカガミ
【撮影】2日目・08時30分=山咲 野の香
たまには違う花もね。コイワカガミ、ミヤマダイコンソウ。

針ノ木岳登山、蓮華岳、コマクサ
【撮影】2日目・08時31分=伊藤 幸司
道筋の途中ではハイマツとコマクサだけの世界だったのに、山頂に近づくにつれてだんだん少数派という印象に。これなどはいじめられっ子というふうにも見えてきました。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ミネズオウ
【撮影】2日目・08時31分=伊藤 幸司
蓮華岳はとことんマイナーな山なのかと思っていたら、花の山、とくにコマクサの山としてネット上にはたくさんのレポートがありました。
『山の花に会いに行く・山で出会った花々をアルバム風にまとめていきます』というブログは千葉県の男性で「山登りがしんどい歳となりましたが、次々現れる花に元気をもらいながら、続けています。」とのこと。自然体でいい写真をとっていらっしゃる感じです。
【後立山連峰の南部に、蓮華岳(2799m)と針ノ木岳(2821m)が、針ノ木峠を隔ててそびえています。
蓮華岳へのコースは、日本三大雪渓のひとつ針ノ木雪渓を登り詰めた針ノ木峠から往復します。
蓮華岳の山頂一帯は、大きな岩礫帯で草木も育たないのに、夏になるとコマクサの世界となります。】
2007年7月16-17日で針ノ木小屋泊まりだったようです。
【翌朝も好天で、蓮華岳に向かった。岩場の道を進んで視界が開けると、小さな岩場にコマクサがたくさん咲いていた。
多くの登山者が反対側の針ノ木岳方面に向かうのが不思議。こんないい場所をひとり占めできて、幸せでした。】
そこに並べられた花の写真は、「針ノ木雪渓前のタニウツギ」「シラネアオイ」「針ノ木峠のツガザクラ」「イワカガミ」「アオノツガザクラ」「ミヤマダイコンソウ」「ミネズオウ」「ミヤマキンバイ」「タカネスミレ」「蓮華岳のコマクサ(3点)」
私のこの写真はミネズオウですね。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、コイワカガミ
【撮影】2日目・08時31分=伊藤 幸司
ミネズオウのところで登場していただいたブログの著者は「イワカガミ」としていましたが、この近辺、蓮華岳や針ノ木岳でこの花を見た人のレポートを見ると「イワカガミ」と「コイワカガミ」が混在。さあて、私は山の植物の多くが太平洋側と日本海側ですこし違っていて、一般的に日本海側の花に「大」あるいは太平洋側に「小」を付ける例が多いと思っていて、北アルプスの場合はその「大」が多いと感じていました。有名な室堂のも「イワカガミ」ですから。
『Yahoo! JAPAN 知恵袋』に『イワカガミとコイワカガミの違いがわかりません。NETで調べてもコレっというものがなく・・・ご存知の方教えてください 』というのがありました。
その回答者『run*******さん』がどういう人_かわかりませんが、明快です。
【ついに来ましたか、この質問。
私は、よくSNSで「コイワカガミです」と言って写真を載せられているのを見て、よほど詳しいか受け売りで適当に言っているかのどちらかだなと思っています。
結論から言うと、種レベルでは同一のものと見られています。
つまり交雑可能であり、連続的に分布している場合には、遺伝学的意義は別として、形態学的には区別することにあまり意味はありません。
葉の鋸歯の尖りが大きい小さいなどといった、樹木では同一個体内で起こるような差異しか実はありません。
植物分類学上では、「品種」という扱いで、これは例を挙げるとお米のコシヒカリとササニシキ程度の違いです。
一方、オオイワカガミという種もあって、こちらは交雑可能の同種ながらも種レベルでは「変種」扱いで、形態的にも分布にも明確な差異が認められています。
ですので、イワカガミを見つけたときには、「コイワカガミ?」と悩まず、「イワカガミ!」と断言して大丈夫です。】
そこで念のため私の基準図書『山の花1200』(青山順三・平凡社・2003)でイワカガミを見てみると「高山帯に生えるものを品種コイワカガミ、主に日本海側に生える大形のものを変種オオイワカガミとする。」と書かれています。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ミヤマダイコンソウ
【撮影】2日目・08時31分=稲葉 和平
数は少ないけどミヤマダイコンソウも。今回の針ノ木は花は諦めかけていたが、少し救われた気がした。結局は小さなお花畑だけだったけど。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ツガザクラ
【撮影】2日目・08時31分=山咲 野の香
ツガザクラだと思うんですが、こんな風に上向くことあるんでしょうか。別人の風情。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ミネズオウ
【撮影】2日目・08時31分=山咲 野の香
ミネズオウ。小さくても肉厚な花びら。星形の塊が目立つ。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ツマトリソウ
【撮影】2日目・08時32分=稲葉 和平
結構フレッシュなツマトリソウ。最近あまり見ていなかったこともあってここに咲いていたことに意外な感じがした。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ツガザクラ
【撮影】2日目・08時33分=稲葉 和平
ツガザクラも元気がいい。ツガザクラは今までほとんど見たことがなかった。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ミネズオウ
【撮影】2日目・08時33分=稲葉 和平
ミネズオウも出てきた。少しはお花畑が出てきたが、でもコマクサ以外の群落は小さい。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、イワギキョウ
【撮影】2日目・08時33分=山咲 野の香
花の内側に毛がなさそうなので、イワギキョウと思う。私的にはチシマギキョウの方がワイルドな印象。イワギキョウの方が繊細で上品な感じ。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、イワツメグサ
【撮影】2日目・08時35分=稲葉 和平
イワツメクサ。好きな花だが歩きながら撮れる場所にはあまりなかった。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、蓮華岳
【撮影】2日目・08時35分=山咲 野の香
蓮華岳山頂、意外に遠いです。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、蓮華岳
【撮影】2日目・08時37分=山咲 野の香
蓮華岳山頂まで、まだコマクサロードは続いています。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、コマクサ
【撮影】2日目・08時39分=伊藤 幸司
山頂直下になると、道際にピンクの帯が伸びていました。コマクサルートというべきでしょう。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、立山〜劔遠望
【撮影】2日目・08時39分=山咲 野の香
極小のコマクサと極大の立山、剱。しばし立ち尽くすの感。自然の計らいはすごいね。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、タカネシオガマ
【撮影】2日目・08時40分=山咲 野の香
力強い、タカネシオガマの株も点在してきた。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、タカネシオガマ
【撮影】2日目・08時41分=伊藤 幸司
ヨツバシオガマかと思い込んで撮ったのですが、とにかくものすごい色です。しかもその四葉が見えていない。帰って調べてみたら高山性のシオガマギクにミヤマシオガマとタカネシオガマがあるんですね。
『自然を楽しむ山歩き>富山 北信越飛』というブログに『同定<48>タカネシオガマ、ミヤマシオガマ』というページがありました。
【ミヤマシオガマとタカネシオガマは区別が難しいが、ミヤマシオガマは先端の花が大きく角の様に伸びるが、タカネシオガマはその様な事は無い、又、タカネシオガマは葉が羽状に1回裂けるだけで、粗く裂けている様に見え、あまり葉が目立たないが、ミヤマシオガマは葉が羽状に二重に細かく裂け、ふさふさとして葉も見映えする。】
そう言われると、この写真ではわかりません。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、タカネツメクサ
【撮影】2日目・08時41分=伊藤 幸司
ミヤマツメクサだと思いますが、タカネツメクサかもしれません。いずれにしても確信はありませんが。
『「高山植物図鑑」登山道の花』というサイトにその両者の相違点を意識した解説がありました。
まずはミヤマツメクサ。
【本州中部に分布、高山帯の岩場や砂礫地に生え、背丈5~10cm位になる多年草。
茎はよく分岐して株状になり、葉は対生して多数付き、長さ5-20mmの針状よりやや広い線形で、三脈が見えるのが特徴とされる。(三脈は未確認)
花期は7-8月、茎先に径10-15mm程度の白花を、上向きに1個咲かせる。花弁は5枚(裂、先端が鈍尖になり、花弁に透ける様な縦縞模様が有る。萼は花弁長さの1/3程度の長さ。
タカネツメクサと良く似ており、時間を置いて見ると、ミヤマだったかタカネだったか、はたまた他のツメクサだったか、判らなくなってしまう。】
そしてタカネツメクサ。
【本州中部と東北の一部に分布、高山帯の岩礫地に生えて群生する事が多く、背丈5~10cm位になる多年草。
茎はよく分岐して株状になり、葉が沢山付き、長さ5-20mmの針状線形。
花期は7-8月、茎先に径10-15mm程度の白花を、上向きに1個咲かせる。花弁は5枚、先端が尖らず細かい鋸歯が有り、花弁に色の付いた模様は無い。花弁の間に、花弁の長さの半分以上の萼が良く見えるのが特徴。
ミヤマツメクサと似るが、比べると葉の幅がだいぶ違う事で区別が出来るが、時間を置いて別々に見ると、区別は難しい。】

針ノ木岳登山、蓮華岳、、コマクサ
【撮影】2日目・08時41分=伊藤 幸司
登山道の縁取りとなっているコマクサ。でも、たぶん、コマクサの花園が先にあって、そこに強引に登山道を作ったのでしょう。
いつだったか、北岳に登る途中、大樺沢二俣でトイレ休憩したことがありました。簡易トイレができてゆったり休憩できるようになったのですが、はるか昔、どこか、そういう草原に寝転んで休憩するのを好んでいたことを思い出しました。
つまり、山の草原と山里の草地との区別なく、草を褥(しとね)に、という豪華さだけは感じながら、寝転がったことがあったのです。大原富枝の小説『草を褥に―小説牧野富太郎』を読んだことはありませんが、知らぬながらのそういうゴージャス感はありました。
この蓮華岳のコマクサに関しても白状すれば、私たちは一度コマクサの群落に導かれて枝道に入り、そこから同じ道を引き返さずに強引に抜け出たことが一度ありました。コマクサの見えないハイマツ際を歩いたのですが、そこで昔のお花畑のことや(書きませんが)平ヶ岳山頂での野営のことなどを思い出したのです。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、コマクサ、キバナノコマノツメ
【撮影】2日目・08時41分=山咲 野の香
コマクサとキバナノコマノツメが連れ添うように。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、タカネツメクサ、タカネシオガマ
【撮影】2日目・08時42分=山咲 野の香
植え込んだようなタカネツメクサの足下にタカネシオガマ。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、タカネシオガマ
【撮影】2日目・08時42分=山咲 野の香
がっしりと丸みのあるタカネシオガマ、色鮮やか。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、ミヤマツメクサ
【撮影】2日目・08時43分=伊藤 幸司
ひと群れのミヤマツメクサがありました。しなやかな防御の姿勢によって、自分の領土を難攻不落のものとしていく、という感じがします。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、タカネシオガマ
【撮影】2日目・08時43分=稲葉 和平
タカネシオガマも元気がない。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、若一王子神社
【撮影】2日目・08時44分=伊藤 幸司
これは山頂の手前部分にあった「若一王子神社(にゃくいちおうじじんじゃ)奥宮」。
『大町市役所』のサイトに『若一王子神社』がありました。
【現在の大町市街地は、この地の支配者である仁科氏によって都市計画が進められ、鎌倉時代から室町時代にかけて骨格が造られました。中央通りである千国街道に面して「市町」が形成され、町屋の裏側には飲料水として鹿島川の清浄な水を引き、表には「町川」が流れていました。
この水を分配する要の位置、市街地の北のはずれに、町の繁栄を願って祀られたのが若一王子神社です。仁科氏が厚く信仰していた熊野権現那智大社(くまのごんげんなちたいしゃ)を分社したと伝えられ、本殿は、地方色豊かな安土桃山時代の様式をよく留めており、国の重要文化財に指定されています。また、神社でありながら境内には三重塔(長野県宝)や観音堂(大町市指定文化財)が残るなど、神と仏を一体とする「神仏習合」の影響を色濃く残しています。】
振り返って撮っているので、左端に針ノ木岳、奥に立山~剱岳が見えています。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、イワベンケイ
【撮影】2日目・08時44分=稲葉 和平
イワベンケイ。萎れている。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、タカネツメクサ
【撮影】2日目・08時45分=稲葉 和平
タカネツメクサ。これは元気が良かったので、思わず近よった。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、タカネツメクサ、タカネシオガマ
【撮影】2日目・08時45分=稲葉 和平
タカネツメクサとタカネシオガマ。せっかく赤白並んだのにタカネツメクサは元気が良かったが、タカネシオガマは今一つ。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、蓮華岳山頂
【撮影】2日目・08時46分=伊藤 幸司
蓮華岳山頂。奥に見えるのは浅間山です。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、蓮華岳山頂
【撮影】2日目・08時47分=稲葉 和平
蓮華の頂上。気分よさそう!、元気が出てくる。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、浅間山遠望
【撮影】2日目・08時48分=山咲 野の香
下界は大町? 山並みの陰影と薄曇が美しい。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、白馬遠望
【撮影】2日目・08時49分=山咲 野の香
種池山荘が見えている?

針ノ木岳登山、蓮華岳、、鹿島槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・08時53分=稲葉 和平
鹿島槍。種池山荘と冷池山荘が見える。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・08時54分=伊藤 幸司
今日もまた槍ヶ岳を撮っています。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・08時54分=稲葉 和平
これが蓮華の大下り?。野口五郎まで続く稜線の眺めは素晴らしい。思わず歩いてみたくなる。

針ノ木岳登山、蓮華岳、、立山〜劔遠望
【撮影】2日目・08時57分=稲葉 和平
稜線の上の素晴らしい青空。これだから止められない。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・09時05分=伊藤 幸司
さあて、これからが「蓮華の大下り」。槍ヶ岳の方向へ向かって、稜線を、どこまでだか、たどっていくんでしょうね。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、コマクサ
【撮影】2日目・09時06分=伊藤 幸司
道はきちんとつけられていて、コマクサを踏む心配はありません。足元もそれなりにしっかりしているので、楽な下りが続きます。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、七倉ダム
【撮影】2日目・09時07分=伊藤 幸司
足下に見える湖面は明日降りる七倉ダム、でしょう。高瀬川が信濃大町方面へと下っていきます。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、大町方面
【撮影】2日目・09時08分=伊藤 幸司
この写真、私の悪い癖で右がちょっと上がっています。その左端に浅間山、右端に八ヶ岳の端っこが写っています。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、大町方面遠望
【撮影】2日目・09時10分=稲葉 和平
松本方面は霞がかかっているが、これもまたいい。下を流れているのは梓川?

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・09時10分=稲葉 和平
気持ちのいい稜線。これで登りがなければいうことはないのだけれど、そうは問屋が卸してくれない。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、シロバナコマクサ
【撮影】2日目・09時16分=小林 美子
私は初めてです。白いコマクサ。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、シロバナコマクサ
【撮影】2日目・09時16分=山咲 野の香
きたァー、という感じ。白いコマクサ! しかもこんな間近。しかもこんな複数株。初めてです。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、シロバナコマクサ
【撮影】2日目・09時16分=山咲 野の香
白いコマクサ。上品で高貴な感じ。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、シロバナコマクサ
【撮影】2日目・09時17分=伊藤 幸司
この蓮華の大下りはコマクサの名所のひとつということのようですが、登ってきた斜面のほうがはるかにドラマチックだと思いました。ただ、道際の足元に白花のコマクサがこんなきれいな状態で登場したのにはびっくり。シロバナコマクサそのものは珍しいとはいえ一定の確率で出てくるので目を凝らせばあちこちで見つけることができるのですが、ここでは、それが登山道としてきちんと踏まれている道際のしゃがめばそのままこの写真が撮れるところにあったのが驚きでした。登っているときにすれ違った登山者は、たぶん、恐らく、この白花を見ていなかったのでしょう。あの調子だったら、言わないはずはないでしょうから。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、シロバナコマクサ
【撮影】2日目・09時17分=伊藤 幸司
コマクサは根を長く伸ばしてこの一点を死守しているのだそうです。最近では北アルプスの山小屋の多くが砂礫地にコマクサを復活させているのですが、そこへの登山者の侵入を厳しく禁止しているのは、人間が踏み込むと砂が動き、あるいは水の流れができて砂を動かすために、コマクサの根が傷められるから、と説明されています。
『ウィキペディア』の『コマクサ』にはこう書かれています。
【他の植物が生育できないような砂礫地に生えるため、地上部からは想像できないような50-100 cmほどの長い根を張る。タカネスミレなども同様な場所に生育し混生することもあるが、単独の群落をつくることが多い。双子葉類の植物だが子葉の発達が悪く、子葉は1個しか出ない。花が枯れると長さ約1.2 cmの細長い楕円形となり、光沢のある黒い種子ができる。】
この写真、種子ができ始めていますね。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、コマクサ
【撮影】2日目・09時17分=伊藤 幸司
シロバナコマクサのすぐわきに通常のピンクのコマクサもありました。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、コマクサ
【撮影】2日目・09時17分=山咲 野の香
タカネツメクサに囲まれたコマクサ。女王というより
お嬢様風情。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、シロバナコマクサ
【撮影】2日目・09時18分=稲葉 和平
茶色い染みが目立つけれど、もとは白いコマクサ。ここの白いコマクサは有名というからかなり残念。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・09時19分=伊藤 幸司
歩きながら登山道を撮りました。登山者に踏まれた道は、見事な砕石道路。歩きにくいと思った人もいるかと思いますが、これだけの小石が温度変化や凍結による水分の膨張など、自然の力によってこれだけ大量にここに撒き散らされたということに、私はちょっと感激しました。ようやく周囲にコマクサが生えるまでになったという土壌製造工程の記念写真です。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・09時19分=伊藤 幸司
蓮華の大下りは快適に続きました。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、コマクサ
【撮影】2日目・09時19分=稲葉 和平
フレッシュなきれいなコマクサがイワツメクサに囲まれていた。今回の一番。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、タカネスミレ
【撮影】2日目・09時21分=伊藤 幸司
これは意図的なものなのか、運命のいたずらなのか。じつはよく見る光景のひとつなのです。
黄色い花を咲かせているのはタカネスミレ。それがその中心に見えるピンクのコマクサをびっしり、がっちり包囲して、締め上げているように見えるではありません。どこでもタカネスミレがコマクサを追い払おうとしているような勢いに見えるので、私はコマクサの味方です。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、コマクサ
【撮影】2日目・09時23分=伊藤 幸司
この光景はコマクサ王国という感じですね。
『YAMA HACK [山ハック]は、国内最大級の登山メディアです』に『高山植物の女王「コマクサ」が見られる時期・場所はここ!』というページがありました。
【■北海道
・知床半島
硫黄山付近で見ることができます。
・雌阿寒岳
阿寒富士のコル付近や斜面の火山礫など、山頂より少し標高を落としたエリアの至る所で見られます。
・大雪山系
7月から8月にかけて大雪山全域で目にできます。特に銀泉台登山口~赤岳間の通称・駒草平。大雪山にのみ生息するウスバキチョウというアゲハチョウの幼虫は、コマクサの花と茎の付け根を好んで食べるという習性があり、運が良ければウスバキチョウとセットで見られるかも!
■東北地方
東北地方では、岩手山、秋田駒ケ岳、蔵王の三座のみで見られる貴重種となっています。例年、7月の終わりに見頃を迎えます。
・岩手山
日本で最もコマクサの群生地が広がる山は岩手山と言われています。頂上のお鉢巡り付近や焼走りコースの第一噴出口跡からツルハシノ別レ間などで大群落の姿を目にできます。見頃は7月はじめから8月中旬までと比較的長め。
・秋田駒ヶ岳
大焼砂原で7月下旬頃に見頃を迎えます。
・蔵王連峰
三叉路の近くの馬の背、三叉路から熊野岳山頂の間で見られます。
■日本アルプス(北アルプス)
・白馬岳
砂礫地帯で数多く見られます。
・蓮華岳
山頂付近の砂礫に覆われた斜面に大群落があります。特に蓮華の大下りあたりです。7月中旬からおよそ8月に渡ってコマクサの花が咲き誇ります。
・燕岳
コマクサの大群落地がある山として最も有名なのが燕岳です。頂上付近の風化した花崗岩一帯にコマクサの群落が点在しています。7月中頃から8月中頃までの約1ヶ月間見頃を迎えます。
・乗鞍岳
畳平のお花畑では見かけませんが、剣ヶ峰へ向かう途中など乗鞍岳の砂礫地帯で目にします。魔王岳山頂付近の砂礫地帯も数多く咲いています。
・大天井岳
大天井ヒュッテ東斜面でコマクサ畑が見られます。
※木曽駒ヶ岳(中央アルプス)と南アルプス
甲斐駒ヶ岳ではかつてコマクサの群落地がありましたが、薬草として採り尽され絶滅しました。木曽駒ヶ岳など中央アルプスも同様で、自生のコマクサは絶滅したと考えられています。
■八ヶ岳
八ヶ岳の稜線で数多くのコマクサを目にすることができます。特に、横岳~硫黄岳間、特に硫黄岳大ダルミ~台座ノ頭あたりの西斜面に大群落を築いています。
・横岳
硫黄岳大ダルミ~台座ノ頭あたりの西斜面に大群落あり。
・根石岳
箕冠山のあたりに群落あり。横岳から北に向かって縦走すればコマクサがたくさん見られます。
■その他
・燧ヶ岳
燧ヶ岳には、至仏山にはない植生がたくさんありますが、コマクサもその一つです。ただし、登山道沿いにはあまりなく、人知れずひっそりと咲いています。
・草津白根山
ロープウェイを使い、軽いハイキングで大群落地までアクセスできるのが魅力です。
・御嶽山
最も見ごたえがあるのは、五の池小屋から継子岳へ向かう登山道周辺の群落地です。他には、サイノ河原の登山道から少し東へ逸れた地点、白龍避難小屋(サイノ河原避難小屋)から摩利支天へ向かう急な斜面、お鉢巡りの終了地点の一の池外輪から二の池へ下る斜面などで多数見られます。】

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・09時25分=伊藤 幸司
見上げると、やっぱりそこに槍ヶ岳がありました。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・09時26分=山咲 野の香
槍に向っているわけではありません。大下りで北葛乗越へ。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、チシマギキョウ
【撮影】2日目・09時27分=伊藤 幸司
この過酷な環境のなかでチシマギキョウも生きていました。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、ミヤマムラサキ
【撮影】2日目・09時29分=伊藤 幸司
ミヤマムラサキの花がここではなにか宝物のように思われました。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、ミヤマムラサキ
【撮影】2日目・09時29分=伊藤 幸司
『撮れたてドットコム』に『ミヤマムラサキ』がありました。
【ミヤマムラサキは,高山の岩礫地に生える多年草。
高山帯でワスレナグサに似た花を見かけたら,まずミヤマムラサキでまちがいないだろう。ミヤマムラサキはムラサキ科の中でももっとも厳しい環境に生えるもので,垂直の岩の隙間に根を下ろしている光景も目にすることがある。
よく似た花はいくつかあるが,どれも生育環境に特徴がある。ワスレナグサはヨーロッパ原産で低地の水田周辺などに帰化している。ヤマルリソウは,低山地の林の中に生える。エゾムラサキは,落葉樹林の林縁に生え,草丈が人のひざほどになる。】
まさにこれがミヤマムラサキの全身像。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、ミヤマムラサキ
【撮影】2日目・09時29分=山咲 野の香
すごい! 見事なミヤマムラサキが複数株。小さな青紫色。中心には鮮やかな黄色のリング。かわいい!

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、ミヤマムラサキ
【撮影】2日目・09時29分=山咲 野の香
根本から放射状に花の茎を出している。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、ミヤマムラサキ
【撮影】2日目・09時29分=山咲 野の香
更に大きな株がありました。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、ミヤマムラサキ
【撮影】2日目・09時30分=山咲 野の香
岩とのコラボも素晴らしい。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、ミヤマムラサキ
【撮影】2日目・09時31分=稲葉 和平
ミヤマムラサキの密度の高い群落がが突然現れた。感激!。しかしながら背景を考えて撮る余裕はなく、シャッターを切っただけで通過。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、ミヤマダイコンソウ
【撮影】2日目・09時31分=山咲 野の香
斜面にミヤマダイコンソウ。遠目でも目が合ってしまった気がして、撮影。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、チシマギキョウ
【撮影】2日目・09時35分=伊藤 幸司
ハイマツの中からチシマギキョウがチャッカリという感じで頭をもたげていました。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クモマニガナ
【撮影】2日目・09時37分=伊藤 幸司
この黄色い花が「ニガナ似」ということはわかりやすいと思いますが、その高山型が2種類あるということで、すこし記憶力の良い方だったら簡単に覚えられると思います。私はダメなので今回また一から調べてしまいましたが。
まず、花びら(舌状花)の枚数を数えます。9-10枚ならタカネニガナで、11枚ならクモマニガナ。花のつく茎(花茎)が細くて束になって、それぞれの花茎に数個の花がついていればタカネニガナ、太い茎から多数の花茎が分かれてたくさんの花を咲かせるのがクモマニガナ……と、相違点を覚えてしまえば簡単……なのです。この写真に写っているのは当然クモマニガナのはず……ですよね。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、チシマギキョウ
【撮影】2日目・09時38分=伊藤 幸司
チシマギキョウの乱舞です。砂礫地の下りが終わったらとたんに花の雰囲気がガラリと変わりました。
オリジナルを拡大してみると花弁の先端に白い毛が見られますし、花はおおよそ横向き、イワギキョウなら無毛で上向きといわれます。しかし必ずしも判断できない場合があるのです。この写真にはがく(萼片)が写っています。三角形に伸びて花弁を支えているように見えますが、イワギキョウなら細い紐みたい。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、タカネバラ
【撮影】2日目・09時41分=伊藤 幸司
タカネバラかオオタカネバラかわかりません。タカネバラだと奇数羽状の葉(小葉)は7-9枚(3-4対)で薄く、オオタカネバラだと5-7枚(2-3対)で肉厚だそうです。写真をよく見ると葉っぱが9枚のものがありますからタカネバラなんでしょう。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、タカネバラ
【撮影】2日目・09時41分=山咲 野の香
あー、その名にふさわしく美人でした。タカネバラ。
色といい、形といい、蕾を携えた姿といい、美女。じっくり愛でられなかったのが悔い。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、チシマギキョウ
【撮影】2日目・09時42分=伊藤 幸司
またチシマギキョウがありました。こうやってひとかたまりになっていると家族か仲間か、あるいはこれで自分一人なのか、ドラマチックに感じます。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・09時46分=稲葉 和平
これは何でしょう?

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、ミヤマムラサキ
【撮影】2日目・09時49分=伊藤 幸司
またミヤマムラサキ。いいですねぇ、1本の花、1株の花というのではなく、この生活環境の中で生きてきた歴史みたいなものまで含めて見られる博物館のような楽しさがあります。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・09時49分=稲葉 和平
素晴らしい稜線をワクワクしながら下る。

針ノ木岳登山、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・09時54分=伊藤 幸司
岩の上に風雪に抗って生きてきた木がありました。カッコいいと思って撮りましたが、なんという木かはわかりません。
が、その木の奥に槍ヶ岳が見えていたので、半分慌ててシャッターを切ったのです。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、ハクサンシャクナゲ
【撮影】2日目・09時56分=稲葉 和平
ハクサンシャクナゲ。ハクサンシャクナゲはかなり残っていたけれど萎れているのが多く写真を撮っていなかった。これはかなりフレッシュ。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・09時58分=伊藤 幸司
再び急な下りが始まると、左端の槍ヶ岳から右端の薬師岳あたりまでが一望できました。
今日たどるべき道は、まずはこの下りを降りきって鞍部の北葛乗越。そこから北葛岳へと登り返す道が向かいの尾根に見えています。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・09時59分=伊藤 幸司
道はたちまち急な下りになりました。前の人の左脇腹のあたりにロープが見えていますが、この下にあるクサリ場での新しいセルフビレイ(自己確保)の方法を模索させていただく準備を整えました。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・10時07分=山咲 野の香
槍がどこ吹く風とのぞいているが。北葛乗越へは登って下って、稜線歩いて登って下れば、到着ですか? この時点では昼食は船窪小屋でと信じてましたが…

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・10時09分=稲葉 和平
素晴らしい稜線が続く。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・10時11分=伊藤 幸司
おどろおどろしい顔つきの岩の脇をすり抜けるようなヤセ尾根を進むようです。その先にどんな光景が待っているのか?

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、ニッコウキスゲ
【撮影】2日目・10時14分=伊藤 幸司
ニッコウキスゲ(ゼンテイカ)ですかね。オリジナルを拡大して見ていたら、画面左上に向かっている枯れ枝状の先端にトンボが止まっていました。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クモマニガナ
【撮影】2日目・10時14分=伊藤 幸司
クモマニガナだと思いますが、花弁の数がはっきりと数えられません。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・10時16分=伊藤 幸司
この下りと、向こうに見える登りとの間には、見えない鞍部があるはずです。そこにどんどん近づいています。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・10時17分=伊藤 幸司
道は多分、向かいの尾根を登って左に折れ、画面左端の北葛岳に上がります。正面に槍ヶ岳がまた見えています。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・10時18分=伊藤 幸司
蓮華岳の標高2,799mから北葛乗越の標高2,275mまで、標高500mを一気に下りますから日帰りのひと山分の下りです。いつまでたっても終わらない下り、という感じがします。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、イワナシ
【撮影】2日目・10時34分=稲葉 和平
これはどう見てもイワナシ。こんな時期までよく残っていた、という感じ。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・10時34分=山咲 野の香
なぜか皆さん、もう十分歩いたような様子で休憩。大下りはまだ道半ば。ここで一口の甘露の恵み登場。コーチが大雪渓で拾ったグレープフルーツ! これぞアムリタ! 忘れられない美味しさでした。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・10時39分=伊藤 幸司
また登りです。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クサリ場
【撮影】2日目・11時01分=伊藤 幸司
いよいよクサリ場が始まりました。足場がしっかりしているので恐怖を感じるという場面ではありませんが、今回はクサリの開始点から、ロープを使って完全なセルフビレイ(自己確保)を取りながら下るという(いくぶん面倒くさい方法ですが)律儀な方法をみなさんにやってもらうことにしました。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クサリ場、セルフビレイ
【撮影】2日目・11時04分=伊藤 幸司
クサリ場だから危険ということではありませんが、本格的なクサリ場には危険はともかく、恐怖を感じさせる場面が多いと思います。
その恐怖心は人によって感じ方が違います。ですからコーチとしての私は「10人中のひとり」がその恐怖感を悪い方向へ連鎖させる危険がないか考えて(自分なりに想像して)、必要ならその場所にロープの輪を設置してクサリの安全係数を上げるとか、特定の人をロープで確保させてもらって徹底的に安全を優先させるという方法で「10人中のひとり」の安全を(できれば)100%確保するとしてきました。
写真のこの場合、クサリにからげたロープが体と連結していますから、たとえ滑っても、転んでも、落ちることはありません。
じつはこれまではストックを1本使ってもらって、そのストックの(やっかいな)捌き方を見ることで、平常心を失っている人をチェックして、必要ならドクターストップとする観察方法をとってきました。
たとえば写真のこの人が無用なストックを邪魔だと思い、イライラして混乱しているようなときには、それを目印にして私が細かく観察するという方法を皆さんに強要してきたのです。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クサリ場、セルフビレイ
【撮影】2日目・11時08分=伊藤 幸司
輪にした6mmロープをひとからげするだけで、完全にストップできます。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クサリ場、セルフビレイ
【撮影】2日目・11時08分=伊藤 幸司
これをズラすにはクサリ側の輪を緩めればいいし、逆に緩めたまま行動していても、体側からロープを引くと、クサリ側の輪が締まって固定されます。
私たちが利用する一般登山道のクサリ場では、基本的にはクサリに頼らずに行動します。ただし必要なときには「三点支持」の1点をクサリに求めることで、自由な位置で利用できるありがたい支点となります。
多くの男性登山者の場合、クサリにぶら下がってカッコよく上り下りしていますが、握力のない女性の場合にはクサリにぶら下がるのはご法度です。クサリに頼ると、その立ち位置がクサリを主要な支点としたところからの重力に支配されるのでフットステップ(すなわち足場)の確実性が少なからず失われます。登山の安全性の基本は足にありますから、その足場を軽んじる傾向を内在したクサリ場の、クサリに頼っての通過は、瞬間的に大きな危険を内在する場合がありうるのです。そしてそういう1歩、2歩の危険を犯すかどうかということで「握力の差」「年齢の差」「不安の差」などが安全に関わってくると考えます。
糸の会は当初、今回と同様にクサリ場での安全を(できるかぎり)100%確保するためにセルフビレイを実施していたのですが、やめて私が必要と感じたときのみ、必要な安全装置を施して、その場面では100%私の指示に従っていただくという方法をとっていました。
しかし高齢化してくると、恐怖心を強くする人が増え、また皆さんの安全感覚を私が信じなくなり、いつか、どこかで、安全にほころびが生じるという不安をリーダーたる私自身が感じるようになりました。私自身にしても、自分の安全にかかわる意識が大きくなることから、皆さんの行動を監視する能力に欠落部が生じるのではないかという不安も大きくなりました。
それが、いま実験している糸の会に必要なセルフビレイの実験なのです。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クサリ場、セルフビレイ
【撮影】2日目・11時30分=伊藤 幸司
急斜面に下りかかるところで、一歩を踏み出す勇気を求められることが多いかと思います。ロープで安全を確保されているという安心感はそこで大きく寄与するはずだと考えます。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クサリ場、セルフビレイ
【撮影】2日目・11時35分=小林 美子
クサリ場です。
安全確保の為カラビナを使っての初体験。
初めは少し緊張しましたが少し慣れてきたら、
ちょっと、楽しくもなってきました。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クサリ場、セルフビレイ
【撮影】2日目・11時36分=伊藤 幸司
1本のクサリにはひとりしか入らないという大原則があるのですが、ここではクサリがこまかく区切られているので、ずいぶん賑やかに見えます。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クサリ場、セルフビレイ
【撮影】2日目・11時37分=伊藤 幸司
クサリにロープをからげるという方法は、行動中はイライラする場面もあるのですが、クサリの切り替え場面や、待ち時間での安心感が全体にいい影響を与えると感じました。無用な時間がかかると感じる一方、無用な緊張をとる効果は大きいと感じました。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クサリ場、セルフビレイ
【撮影】2日目・11時39分=伊藤 幸司
これだけ長いクサリ場だと、私は中間点あたりにいて、いつでも出動できるようにしておかなければいけなかったところですが、この写真は終了地点から撮っています。ロープの操作さえきちんとやってもらえれば、あとはSOSが出たら急行すればいいのです。そういうかたちで安全性が高められたと思いました。
あとはコストと、コンパクトさと、使わないときのさり気なさと、事故が起きたときに想定外の危険を生じない固定法といったところの改良かと思います。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クサリ場、セルフビレイ
【撮影】2日目・11時42分=稲葉 和平
クサリ場の連続!、というほどではなかった。コーチ発案のロープ&カラビナは面倒くさかったが、ロープ遊びをしているようでなかなか面白かった。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、チシマギキョウ
【撮影】2日目・11時45分=伊藤 幸司
クサリ場が終わったところにまたチシマギキョウがありました。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・11時47分=山咲 野の香
北葛乗越。蓮華大下り終了。

針ノ木岳登山、コケモモ
【撮影】2日目・11時48分=稲葉 和平
まだ若いコケモモの実。ここ以外ではあまり見かけなかったように思う。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・11時53分=小林 美子
ここを下りてきたのです。
写真では、怖さが伝わりませんが・・

針ノ木岳登山
【撮影】2日目・11時53分=稲葉 和平
雰囲気はミヤマハンノキに似ているけど、葉が違う。何という木でしょう?

針ノ木岳登山
【撮影】2日目・11時55分=伊藤 幸司
北葛乗越で10分休憩をとりました。

針ノ木岳登山、北葛岳、ミヤマママコナ
【撮影】2日目・11時55分=伊藤 幸司
これはエンゴサクの仲間ではありません。アキギリの仲間ともちがいます。ジャコウソウの仲間でもないようです。けっきょく、私にはわかりませんでした。
■コメント1:伊藤 幸司=2018.9.21
ミヤマママコナだったんですね。ママコナという雰囲気、まったく記憶にありませんでした。

針ノ木岳登山、北葛岳、チシマギキョウ
【撮影】2日目・12時08分=稲葉 和平
チシマギキョウ。今回、イワギキョウはよく咲いていたと思うけど写真に撮れるチャンスがなかった。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クサリ場
【撮影】2日目・12時10分=伊藤 幸司
振り返ると、男性が2人、クサリ場を下ってきました。北葛岳で追いつかれましたが、シニア登山者で、東京方面から夜行バスでやってきて、扇沢を朝に出て針ノ木雪渓を登って、一気に船窪小屋までの予定とのこと。明日は険悪なクサリ場、ワイヤー設置の稜線をたどって烏帽子岳まで行くという、超ベテラン組。もうひとりは画面右上に下半身だけ写っています。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り、クサリ場
【撮影】2日目・12時12分=伊藤 幸司
黄色いザックの男性は真下の緑のところまで下るとクサリは終了。右下に出て画面右1/3ほどの道をまっすぐ下ればすぐに私たちが休憩した北葛岳乗越です。

針ノ木岳登山、北葛岳、クロウスゴ
【撮影】2日目・12時18分=稲葉 和平
クロウスゴ(ツツジ科スノキ属)と思うけど、自信なし。

針ノ木岳登山、北葛岳、ミヤマママコナ
【撮影】2日目・12時18分=山咲 野の香
大下りから一息ついて。木陰でミヤマママコナが笑っています。

針ノ木岳登山、蓮華の大下り
【撮影】2日目・12時23分=伊藤 幸司
蓮華岳の山頂が見えてきました。砂礫の道はほとんど見えなくて、最後の岩場が正面にありました。

針ノ木岳登山、針ノ木小屋
【撮影】2日目・12時24分=伊藤 幸司
北葛岳に向かって登ると、背後に昨夜泊まった針ノ木小屋が見えてきました。

針ノ木岳登山、北葛岳、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・12時26分=伊藤 幸司
進行方向にまた槍ヶ岳が出てきました。

針ノ木岳登山、北葛岳、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・12時26分=山咲 野の香
気をとり直して出発。槍は変わらず。この時点で船窪小屋到着が4時間後になるとはつゆ知らず。

針ノ木岳登山、北葛岳、ゴゼンタチバナ
【撮影】2日目・12時27分=伊藤 幸司
ゴゼンタチバナの立派な花がありました。

針ノ木岳登山、北葛岳
【撮影】2日目・12時28分=稲葉 和平
不動岳が近づき、その崩落がだんだんリアルな感じで迫ってきた。

針ノ木岳登山、北葛岳、トリアシショウマ
【撮影】2日目・12時30分=伊藤 幸司
トリアシショウマの仲間かと思いますが、ヤマブキショウマかもしれません。あるいはアカショウマか。
そこでお助けマン。トリアシショウマで検索すると『高山植物と山野草、似たもの比較』の『アカショウマと似た花 』が出てきました。
【■アカショウマの花序はあまり分枝しない(花穂が花茎から一本づつ出る)が、ヤマブキショウマは分枝(花茎から出た花穂がさらに複数出る)する。■アカショウマの葉は3回3出複葉だが、ヤマブキショウマは2回3出複葉。■アカショウマの葉の葉脈は曲線状で平行ではないが、ヤマブキショウマの葉脈は直線状で平行。■アカショウマの花序(穂のような花の部分)は元のほうで少し分岐するが、トリアシショウマの花序は先端までよく分岐する。■アカショウマの花序は放射状(上の花序も下の花序もほぼ同じ長さ)だが、トリアシショウマの花序は円錐形(下の花序は長いが上の花序は短くなる)。■アカショウマの花序は下に垂れないがトリアシショウマの花序は垂れる。■アカショウマの葉の基部は楔形だがトリアシショウマの葉の基部はややハート型。■アカショウマの小葉は長卵形-卵状披針形、トリアシショウマは卵形で幅が広い。】

針ノ木岳登山、北葛岳、ニッコウキスゲ
【撮影】2日目・12時31分=伊藤 幸司
登山道の下の斜面にニッコウキスゲの群落がありました。北アルプスの縦走路でも、標高2,500m前後の森林限界から下がると、また雰囲気の違うお花畑が広がっています。30度以上の急斜面では雪崩で樹木の生えにくい場所が生まれて、そこがお花畑となり、あるいは熊さんたちの餌場になるということが多いように思われます。

針ノ木岳登山、北葛岳、コバイケイソウ
【撮影】2日目・12時32分=伊藤 幸司
コバイケイソウが主役のお花畑です。

針ノ木岳登山、北葛岳、蓮華の大下り
【撮影】2日目・12時32分=山咲 野の香
「立ちはだかる」感の七倉岳。

針ノ木岳登山、北葛岳、ハクサンシャクナゲ
【撮影】2日目・12時35分=伊藤 幸司
ハクサンシャクナゲの花もちょうど咲いていました。

針ノ木岳登山、北葛岳、アカモノ
【撮影】2日目・12時38分=伊藤 幸司
アカモノ(イワハゼ)がありました。赤い実をつけます。

針ノ木岳登山、北葛岳、アカモノ
【撮影】2日目・12時40分=稲葉 和平
アカモノ。好きな花だが最近、といってもこの1~2年、大きな群落に出会っていないので少しばかり期待したのだが、残念ながら数はそれほどでなかった。

針ノ木岳登山、北葛岳、ハクサンシャクナゲ
【撮影】2日目・12時46分=山咲 野の香
ハクサンシャクナゲ。
所々で見られたが、これはピンクの混ざり具合が美しかった。

針ノ木岳登山、北葛岳、ハクサンシャクナゲ
【撮影】2日目・12時53分=伊藤 幸司
ハクサンシャクナゲが群生していましたが、1本の枝先に10個ほどの花をつける、という感じがうまく見られました。

針ノ木岳登山、北葛岳
【撮影】2日目・13時10分=伊藤 幸司
道は登りにかかりました。北アルプスの縦走ではひと山越えるのにけっこうな時間がかかります。そこに急登が加わると精神的に辛くなったりします。穏やかな歩き方でどこまでも、いつまでも歩き続けるという感覚が必要になります。
それでも結局、ささやかな期待は何度も何度も裏切られるのが普通です。
糸の会ではおよそ10分毎に先頭が交代します。一番後ろの人がトップに出るので、その交代ごとに全員が集まって、次のスタートになります。だから全体のペースを作ろうとせず、自分のペースを崩さずに歩いていいのです。トップに出た人は自分の気持ちいい歩き方を存分に試してみていいのです。
100%自由ではありませんが、それぞれの自由をすこしずつ発揮させつつ、全体のペースを作っていくという意味で、ものすごく有効だと考えています。私は常に最後尾にいますから、メンバーの調子をあんがい正確に把握できます。

針ノ木岳登山、北葛岳
【撮影】2日目・13時11分=山咲 野の香
のどかな感じの一枚。
撮り手は、このあたりから、暑さと喉の渇きで水分不足の危機を感じていました。

針ノ木岳登山、北葛岳
【撮影】2日目・13時16分=伊藤 幸司
稜線上の一郭に名前のつくピークがあるとすれば、遠くから見たときにはっきりと分かる登りと下りがあるはずです。これがそういう登りであれば頂上はもうすぐですが……。

針ノ木岳登山、北葛岳、ハクサンシャクナゲ
【撮影】2日目・13時19分=伊藤 幸司
ハクサンシャクナゲのきれいな花がありました。

針ノ木岳登山、北葛岳、針ノ木岳遠望
【撮影】2日目・13時28分=山咲 野の香
針ノ木、蓮華、北葛岳をふり返っています。

針ノ木岳登山、北葛岳、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・13時30分=伊藤 幸司
北葛岳の山頂に立ちました。再び槍ヶ岳です。

針ノ木岳登山、北葛岳、蓮華の大下り
【撮影】2日目・13時31分=伊藤 幸司
振り返ると蓮華岳。山頂から北葛乗越までほぼ3時間の下りでした。そこから1時間半の登りで北葛岳山頂に立ちました。

針ノ木岳登山、北葛岳山頂
【撮影】2日目・13時41分=伊藤 幸司
北葛岳山頂の記念写真。背景は針ノ木岳~蓮華岳です。
でも問題がひとつ。予定ではこの写真を11時に撮っているはず。計画の立て方が悪かったのか、現実のスピードが驚くほど遅かったのかはともかくとして、3時間近い遅れです。船窪小屋の到着予定時刻が12時だったのに、15時以降になるのは間違いありません。そのことを、できれば小屋に伝えておきたいのですが、山頂で携帯電波を探っても全くダメ。ここで追い抜かれることになったシニア男性2人に、私たちの存在を山小屋に伝えていただくことをお願いしました。
北アルプスの稜線ではNTT docomoが積極的に通信可能エリアを拡大してくれています。
『携帯電話がご利用いただける登山道』に『針ノ木岳』がありました。
それによると、針ノ木小屋と針ノ木岳山頂は「利用可能スポット」で、その間の登山道は断続的に「利用可能」とのこと。
そしてこのあたり、蓮華岳や北葛岳の一帯は「一部利用可能」でもなく基本的にNTT docomoのサービス圏外ということのようです。
計画書の時間計算が良かったかどうかは、じつは翌日、松本で高速バスを待つ間に計算してみたのですが、通常の「8パワー=1時間」ではなくて「6パワー=1時間」すなわち平地の道路を時速3kmで歩くペースに落ちてしまったとわかりました。2017.8.15-18のときの太郎平小屋~黒部五郎小舎~槍ヶ岳山荘と同様の結果です。登りの時間オーバー分を下りで取り戻せないというのが基本的な理由だと思います。北アルプスなどの岩稜樹走路では糸の会の実力では「6パワー=1時間」で計算しなければいけないのです。

針ノ木岳登山、北葛岳
【撮影】2日目・13時47分=伊藤 幸司
七倉岳の山頂まで行けば船窪小屋はついたも同然なのですが、そこへの道がこの下りから始まりました。

針ノ木岳登山、北葛岳
【撮影】2日目・13時48分=伊藤 幸司
また気持ちのいい下りですが、どこまで行けば下りきって標高2,316mの七倉乗越なのか。

針ノ木岳登山、北葛岳、カラマツソウ
【撮影】2日目・14時02分=伊藤 幸司
カラマツソウが出てきました。気がついたのは初めてです。北アルプス稜線ではかなりポピュラーなものなのに。

針ノ木岳登山、北葛岳、ヤマハハコ
【撮影】2日目・14時05分=伊藤 幸司
これもポピュラーなヤマハハコ。

針ノ木岳登山、北葛岳、ハクサンシャクナゲ
【撮影】2日目・14時08分=伊藤 幸司
ピンクの色合いが濃いハクサンシャクナゲがありました。

針ノ木岳登山、北葛岳、ハクサンシャクナゲ
【撮影】2日目・14時11分=伊藤 幸司
ハクサンシャクナゲにアリが入っていました。道はどんどん下って、深い森の中という雰囲気です。

針ノ木岳登山、北葛岳
【撮影】2日目・14時27分=山咲 野の香
七倉岳へ。えー、まだこれ登るの? が正直な感想。裏銀座方面の山がチラリとのぞいているような。

針ノ木岳登山、北葛岳、北葛乗越
【撮影】2日目・14時37分=伊藤 幸司
七倉乗越でようやく登りに転じました。

針ノ木岳登山、七倉岳、ハシゴ
【撮影】2日目・14時42分=伊藤 幸司
今日、初めてのハシゴです。こういうものを設置した人のご苦労をいつも感じます。

針ノ木岳登山、七倉岳、ハシゴ
【撮影】2日目・14時42分=伊藤 幸司
私たちはハシゴの上り下りでもストックをぶら下げています。ただ、両手をきちんと使うために、ベルトで手首にぶら下げた状態で、あちこちにひっかかりやすいストックをていねいにさばきながら行動します。私はそのさばき具合を見ながら、その人のイライラ度を観察しています。一番悪いのは2本のストックを片手で持ってしまうこと。いらいらしないかもしれませんが、三点支持は崩れます。

針ノ木岳登山、七倉岳
【撮影】2日目・15時00分=伊藤 幸司
本格的に登りに転じたかと思ったら、また下りです。山肌にガスがまとわりついてきました。

針ノ木岳登山、七倉岳、ブロッケン、アキアカネ
【撮影】2日目・15時23分=伊藤 幸司
そのガッカリな感じの小鞍部でブロッケン。よく見ればハイマツの葉先にアキアカネが写っていました。
『ウィキペディア』の『アキアカネ』にはここでこのトンボが見られた理由がくわしく書かれていました。
【繁殖するのは通常平地または丘陵地、低山地の水田、池沼、溝などであるが、まれに標高2000m代の高所からの羽化記録もある。5月末から6月下旬にかけて夜間に羽化した成虫は朝になると飛び立って水辺を離れ、1-2日間草に止まったまま体が十分固まるのを待つ。その後近辺の樹林、植栽木などに集合して群れとなり、4-5日間を摂餌に費やして様々な小昆虫を空中で捕食し、長距離飛翔に必要なエネルギーの蓄積を行う。
十分に体力がついた個体は単独で、あるいは群れを成して日中の気温が20-25℃程度の3000mぐらいまでの高標高の高原や山岳地帯へ移動して、7月-8月の盛夏を過ごす。未成熟成虫が水辺を離れて生活するのは他のアカネ属の赤とんぼのみならず、非常に多くのトンボに共通した習性ではあるが、アキアカネの場合この移動が極端に長距離となる。低温時におけるアキアカネの生理的な熱保持能力は高く、活動中の体温は外気温より10-15℃も上昇するが、高温時の排熱能力は低い。そのため暑さに弱く、気温が30℃を超えると生存が難しくなり、このことが季節的な長距離移動の原因と考えられている。酷暑の年には移動先はより高い標高の地域となり、冷夏の年にはそれほど高いところまでは移動しないことが示唆されている。なお、夏の昼間の日差しが強い時間帯に、止まっているアキアカネが逆立ちをするのは、日光が当たる面積を減らし体温の上昇を抑えるためと考えられている。
夏の間、高地で摂食を続けている間に生殖腺などの内部組織が発達、充実し、最終的に体重が2-3倍にまで増加する。昆虫などの節足動物は脱皮後に体の大きさは増大するが、それは消化管内にのみこんだ水や空気の圧力で外側の外骨格だけを膨張させているため、しばしば内部はすかすかの状態である。そのため、脱皮後は成長しないように思われがちだが、実は外骨格の膨張に伴っていなかった内部組織の成長が起こるのである。
十分成熟した成虫、特に雄は体色が橙色から鮮やかな赤に変化し、通常秋雨前線の通過を契機に大群を成して山を降り、平地や丘陵地、低山地へと移動する。】

針ノ木岳登山、七倉岳、ムシトリスミレ
【撮影】2日目・15時26分=伊藤 幸司
ムシトリスミレがありました。こんなのが登場すると、私たちのグループはたちまち元気になります。

針ノ木岳登山、七倉岳、ムシトリスミレ
【撮影】2日目・15時26分=山咲 野の香
ムシトリスミレ。スミレの顔してタヌキモ科。ねばねばの葉を広げて獲物を待つ美人。

針ノ木岳登山、七倉岳
【撮影】2日目・15時38分=伊藤 幸司
なかなか歯ごたえのある登りです。

針ノ木岳登山、七倉岳、クロマメノキ
【撮影】2日目・15時39分=山咲 野の香
クロマメノキの花。
黒い実や紅葉の葉の印象が強いけど、花も愛らしい。

針ノ木岳登山、七倉岳
【撮影】2日目・15時58分=伊藤 幸司
歯ごたえのある登りがさらに20分ほど続いて、山頂に近づいてきた気配です。

針ノ木岳登山、七倉岳山頂
【撮影】2日目・16時16分=伊藤 幸司
ようやくのことで七倉岳山頂。たぶん夕食には間に合います。

針ノ木岳登山、七倉岳、船窪小屋
【撮影】2日目・16時29分=伊藤 幸司
七倉岳山頂から船窪小屋はすぐでした。

針ノ木岳登山、七倉岳、船窪小屋
【撮影】2日目・16時29分=伊藤 幸司
先ほどの山霧はどこへ行ったのか、晴れて、夕日の光が差し込んで、風はそよ風。小屋の周辺は最高の夕暮れ時です。

針ノ木岳登山、七倉岳、船窪小屋
【撮影】2日目・16時29分=小林 美子
やっと今日の終着点。
船窪小屋が見えてきました。
今日の一日は長かった。

針ノ木岳登山、七倉岳、船窪小屋
【撮影】2日目・16時29分=山咲 野の香
見えた! ようやく船窪小屋。暑さと渇水感でいささか消耗。1.5ℓを持参していたが、残り300mℓ。到着直後1.5ℓを短時間で飲んでしまう。

針ノ木岳登山、船窪小屋、立山遠望
【撮影】2日目・16時57分=稲葉 和平
まだ明るいのに逆光で山のシルエットが浮かび上がった。5時でもまだ日が高い。

針ノ木岳登山、船窪小屋
【撮影】2日目・17時21分=伊藤 幸司
夕食の「1回戦」は室内でした。私たちは「2回戦」、オープンデッキでの夕食になりました。

針ノ木岳登山、船窪小屋
【撮影】2日目・17時27分=伊藤 幸司
なんと最高のディナータイム。立山~剣を眺めながらです。刻一刻と落ちていく夕日を見ながらです。心地いい風に吹かれながらです。虫などいません。しかもこの空間、貸し切りです。

針ノ木岳登山、船窪小屋
【撮影】2日目・17時28分=伊藤 幸司
反対側を見れば、まだまだしつこく、槍ヶ岳があるではありませんか。

針ノ木岳登山、船窪小屋
【撮影】2日目・17時28分=伊藤 幸司
これが夕食。この辺鄙な宿でこの食事を出されたら、誰だって称賛です。私たちには自然条件まで理想的でした。

針ノ木岳登山、船窪小屋
【撮影】2日目・17時28分=伊藤 幸司
風呂があったらなあ! などとまったく思いませんでした。この場にいるということだけで100%のシアワセ感。こんな瞬間を山で体験するなんて!

針ノ木岳登山、船窪小屋、日没
【撮影】2日目・18時57分=伊藤 幸司
夕食を食べ終わったところで日は山の端に落ちていきました。まるで時間を調節したようなプログラム。ありがとう。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日没
【撮影】2日目・19時05分=山咲 野の香
昨夕に比べ、シンプル? な日の入となるのか。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日没
【撮影】2日目・19時06分=伊藤 幸司
この日の日の入りは長野県の県庁所在地で19時05分と計画書に書いておきました。山の上から山の端に落ちる太陽ですから国立天文台の計算上の日没時刻と狂ってしかるべきだと思うのですが、目安としては驚くほど正確です。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日没
【撮影】2日目・19時06分=伊藤 幸司
太陽が落ちるところに、ひょっとすると人工物かもしてないものがありました。が、私のカメラの1,200m相当の望遠撮影では稜線の樹林だったとわかりました。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日没
【撮影】2日目・19時06分=小林 美子
今日の夕陽もきれいです。

針ノ木岳登山、船窪小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・19時07分=稲葉 和平
午後7時、かすかに残る夕陽に照らされていた景色も、ほぼ消えてシルエットだけになってしまった。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日没
【撮影】2日目・19時07分=山咲 野の香
おふたりは、どんな風に撮りましたか?

針ノ木岳登山、船窪小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・19時09分=小林 美子
槍ヶ岳の方面はどうなってるのだろう。
うっすら赤い空にくっきりみえました。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日没
【撮影】2日目・19時09分=稲葉 和平
山間に沈む太陽が稜線の樹林帯を透かしてしぶとく顔を出し続けていた。

針ノ木岳登山、船窪小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・19時09分=山咲 野の香
「やっぱり槍ははずせない」

針ノ木岳登山、、船窪小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】2日目・19時11分=稲葉 和平
槍の頭の色が変わらないかとねばってみていたが、欲張りな注文だった。これでも十分美しかった。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日没
【撮影】2日目・19時36分=山咲 野の香
太陽が隠れてからが色彩マジック本番? シンプルなんて失礼しました。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日没
【撮影】2日目・19時38分=稲葉 和平
前日と違って雲がないせいかドラマチックな展開にはならなかったが、日の沈んだ後の空の深い青が印象的だった。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日没
【撮影】2日目・19時41分=伊藤 幸司
夜の帳(とばり)が下りる、というのは、まさにこういう瞬間でしょうか。空には星が、すでに結構たくさんみえています。深夜になると驚くほど濃い味のミルキーウェイが流れていました。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日の出
【撮影】3日目・04時48分=伊藤 幸司
計画書には18日の日の出を04時42分としましたが今日は19日、04時43分が県庁所在地での日の出です。空にはまだ夜の気配が残っています。稜線の山小屋に泊まったら、日の出の30分前には表に出ていたいところです。日の出そのものよりも曙の空のドラマチックな色合いに最大の期待をかけたくなります。
太陽はすでに地平線の上にあって、雲があたりをつつんでいるのでしょう。よく見ると、右上方向に火矢が飛んでいます。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日の出
【撮影】3日目・04時50分=伊藤 幸司
朝日のあたりを望遠で撮ると、なかなか複雑な雲があたりを覆っていることがわかります。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日の出
【撮影】3日目・04時52分=伊藤 幸司
雲だか山だかの上に出た太陽が手前の雲を照らし始めました。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日の出
【撮影】3日目・04時55分=伊藤 幸司
太陽はすでに昇ってしまいましたが、日の出の全景を撮っておいたらカメラはこんな絵を残してくれました。画面内にフレアやゴーストなどレンズ内反射による余分な光がないというのは驚きです。コンピューター設計と非球面レンズ、特殊ガラスなどの採用によっておもちゃみたいなこのカメラもとんでもない「夢のカメラ」に進化してしまっています。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日の出
【撮影】3日目・04時55分=稲葉 和平
雲海の中から太陽が顔を出してきた。お天気は良さそうだ。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日の出
【撮影】3日目・04時56分=伊藤 幸司
広角画像にして船窪小屋からの朝の風景。

針ノ木岳登山、船窪小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・04時56分=稲葉 和平
朝日に染まり始めた槍、穂高の美しいシルエット。

針ノ木岳登山、船窪小屋、立山遠望
【撮影】3日目・04時56分=稲葉 和平
立山は登るのが簡単なせいか印象の薄い山だが、こうしてみると堂々としている。

針ノ木岳登山、船窪小屋、立山〜劔遠望
【撮影】3日目・04時57分=伊藤 幸司
立山連峰~剱岳に朝に光が当たりました。

針ノ木岳登山、船窪小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・04時58分=伊藤 幸司
槍ヶ岳~穂高連峰にも朝日が当たりました。

針ノ木岳登山、船窪小屋、日の出
【撮影】3日目・05時03分=稲葉 和平
雲海が美しい。でも雲の流れはちょっと遠かった。

針ノ木岳登山、船窪小屋
【撮影】3日目・05時27分=伊藤 幸司
第2陣の朝食、私たちです。

針ノ木岳登山、船窪小屋
【撮影】3日目・05時29分=伊藤 幸司
まったく文句のない朝食です。

針ノ木岳登山、船窪小屋、コマクサ
【撮影】3日目・06時11分=伊藤 幸司
じつに元気で血色の良いコマクサです。小屋の特設広場に十分世話をして育て上げたコマクサがひと株……のはずです。

針ノ木岳登山、船窪小屋、コマクサ
【撮影】3日目・06時11分=伊藤 幸司
なんとまあパワフルなコマクサです。餌が良ければ大きく育つ、という感じなのでしょうか。

針ノ木岳登山、船窪小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・06時22分=山咲 野の香
小屋のはずれにコマクサの大株。出発前、大撮影会。

針ノ木岳登山、船窪小屋、コマクサ、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・06時23分=山咲 野の香
やはり槍を入れたいです。それにしても、今までで最大級の株。富栄養か、愛でる人達な情念か、一体いくつの花をつけてることやら。

針ノ木岳登山、船窪小屋、コマクサ
【撮影】3日目・06時23分=山咲 野の香
思わずツーショット。

針ノ木岳登山
【撮影】3日目・06時24分=伊藤 幸司
小屋を発つ前に、槍ヶ岳をもう一度撮りました。

針ノ木岳登山、船窪小屋、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・06時28分=伊藤 幸司
船窪小屋はテレビなどでしばしば取り上げられてきたので有名ですが、はっきり言って行きやすい小屋ではありません。
ただ、一般論として言えば、山小屋は、山小屋の「オヤジ」ひとりの意志と努力で客を呼び、その山を登山というフィールドにしてきました。
戦後日本の登山ブームは、なんといっても1956年(昭和31)のマナスル登頂を頂点とするものだと思います。そこで「オヤジ」さんたちは国有林の一郭に掘っ立て小屋を建てて、寝泊まりできるスペースと、米を持ってきた人には炊いて食事を提供するというサービスに加えて、登山道を整備したり開発したりしたのです。
また地域の先鋭的な登山者たちは地元の山に新しい登山ルートをどんどん「開発」(乱開発も)していきましたし、山小屋の多くは一般登山者に安全で登りやすい「新道」を提供したりしました。
船窪小屋は1954年(昭和29)に福島宗市さんによって建てられたそうですが、その冬に福島さんは雪崩でなくなり、娘の寿子さんが地元山岳会のメンバーの協力を得て山小屋の経営を続けたといいます。18歳でした。その協力者のなかにいた松澤宗洋さんと結婚、つい最近まで船窪小屋の顔として登山者を迎えていたのです。
(その話、現在の金峰山小屋のドラマと重なります。)
私はそういう古い時代を感じさせる山小屋で人気の「オヤジ」さんや「オカアサン」がいるとちょっと斜に構えてしまう質なので、もうすこし違った見方をします。
ネット上では当然ながら、船窪小屋は代替わりしてふつうの山小屋になったというような感想があります。私はその時代を知りませんから、いい、悪いということはわかりませんが、なんとなくここには船窪小屋特有の時間の流れがあるように、感じました。テキパキ感はないけれど、きちんと対応してくれるという感じ……かな? 小さな山小屋なのでお互いの善意が山小屋に漂います。ネパール人のスタッフも、ほとんど言葉なしに、善意のなかにありました。
最後に見送ってくれた様子も、ずっと、とても律儀な印象でした。

針ノ木岳登山、七倉尾根
【撮影】3日目・06時31分=伊藤 幸司
いよいよ、最後の下りにかかります。下に見える七倉ダムまで標高差約1,400mの下りです。

針ノ木岳登山、七倉尾根、チングルマ
【撮影】3日目・06時32分=伊藤 幸司
チングルマが鮮やかに咲いていました。

針ノ木岳登山、七倉尾根、チングルマ
【撮影】3日目・06時33分=伊藤 幸司
チングルマの花の白と黄色は、なんというか、清楚ときらびやかのちょうど境目を行ったり来たりしているように感じます。

針ノ木岳登山、七倉尾根、コイワカガミ
【撮影】3日目・06時33分=伊藤 幸司
イワカガミは高山帯にあってコイワカガミ、日本海側にあってオオイワカガミという原則です。新潟県の山で見ると葉っぱが大きいと感じることが多いので、これは高山帯のコイワカガミ。船窪小屋関連のネット情報でもコイワカガミと出てきます。

針ノ木岳登山、七倉尾根、アオノツガザクラ
【撮影】3日目・06時33分=山咲 野の香
アオノツガザクラ。朝日にのびのびと林立。

針ノ木岳登山、七倉尾根、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・06時33分=山咲 野の香
気持ちよく歩いていくと、前方小雪渓の左手に、発見! の声が。

針ノ木岳登山、七倉尾根、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・06時35分=伊藤 幸司
まだ見えている槍ヶ岳、ほんのちょっと近づいただけなのに、ずいぶん大きく見えて(写って)います。

針ノ木岳登山、七倉尾根、シラネアオイ
【撮影】3日目・06時35分=小林 美子
シラネアオイ。
この一株だけでしたが会えて良かった。

針ノ木岳登山、七倉尾根
【撮影】3日目・06時35分=稲葉 和平
三日間晴天が続き、アルプスの景色は堪能したけれど、お花畑は想像以上に少なかった。

針ノ木岳登山、七倉尾根、七倉ダム
【撮影】3日目・06時36分=伊藤 幸司
大町方面は朝霧の中。天気に恵まれて本当に良かった。

針ノ木岳登山、七倉尾根、七倉ダム
【撮影】3日目・06時36分=伊藤 幸司
七倉ダムです。あそこまでです。

針ノ木岳登山、七倉尾根、シラネアオイ
【撮影】3日目・06時36分=山咲 野の香
シラネアオイ。フレッシュです。今回オンリーワン。あっち向きでも許します。

針ノ木岳登山、七倉尾根
【撮影】3日目・06時36分=山咲 野の香
さりげなくこんなに目立たない雰囲気で。

針ノ木岳登山、七倉尾根、シラネアオイ
【撮影】3日目・06時37分=伊藤 幸司
信じられないことに、足元の斜面にシラネアオイがありました。おそらくつい最近までここには雪が残っていたのでしょう。

針ノ木岳登山、七倉尾根、コイワカガミ
【撮影】3日目・06時38分=稲葉 和平
コイワカガミ。コイワカガミは途中結構見かけたがほとんど終わりの状態だった。これはいい方。

針ノ木岳登山、七倉尾根
【撮影】3日目・06時38分=山咲 野の香
ふり返って。皆さん撮影しました。

針ノ木岳登山、七倉尾根、ハクサンチドリ
【撮影】3日目・06時39分=伊藤 幸司
シダの葉の間からハクサンチドリが顔を出していました。

針ノ木岳登山、七倉尾根、ハクサンチドリ
【撮影】3日目・06時39分=伊藤 幸司
これもハクサンチドリだと思うのですが、シロバナハクサンチドリではないですね。『グーグル』の画像検索で『ハクサンチドリ』を見ると、ありました。こんなふうに中途半端なハクサンチドリが。

針ノ木岳登山、七倉尾根、シラネアオイ
【撮影】3日目・06時39分=稲葉 和平
諦めていたシラネアオイが突然出てきた、感激。それも一株? だけ。フレッシュで美しかったが、遠くて私のコンデジではこれが精いっぱい。

針ノ木岳登山、七倉尾根、チングルマ
【撮影】3日目・06時39分=山咲 野の香
チングルマも朝日に向け満開。花が続く予感。

針ノ木岳登山、七倉尾根、タカネヤハズハハコ
【撮影】3日目・06時40分=伊藤 幸司
タカネヤハズハハコです。別名タカネウスユキソウと知ったのは2日目の05時25に撮った写真について調べたときでしたが、今回の、この写真を見ると「ウスユキソウ」という特別な名前を与えたいと思うだけの気品を感じます。

針ノ木岳登山、七倉尾根、ハクサンチドリ
【撮影】3日目・06時40分=山咲 野の香
色鮮やかなハクサンチドリ。

針ノ木岳登山、七倉尾根、コバイケイソウ
【撮影】3日目・06時41分=伊藤 幸司
これは美しい。美しいコバイケイソウです。しばしば憎らしいほどの強さを見せつける花も初々しく見えていますが、若い葉っぱも素晴らしい。三宅一生の「プリーツ プリーズ」よりはるかに美しい……じゃないですか。いい花を見せてもらったと思います。

針ノ木岳登山、七倉尾根、チングルマ
【撮影】3日目・06時41分=伊藤 幸司
これは写真としては技術的にうまく撮れているとは思えませんが、しばしば貧相に見えたりするチングルマの、とてもシアワセそうな光景という意味で、いい感じに写っていると思います。

針ノ木岳登山、七倉尾根、コバイケイソウ
【撮影】3日目・06時41分=山咲 野の香
真っ白なコバイケイソウ。蕾の集合体は若さがあふれるような感じ。有毒。

針ノ木岳登山、七倉尾根、コイワカガミ
【撮影】3日目・06時41分=山咲 野の香
コイワカガミ、ほっそりと伸び上がってます。

針ノ木岳登山、七倉尾根
【撮影】3日目・06時42分=稲葉 和平
チングルマも現れたが、写真をちゃんと撮る余裕もなく、歩きながらシャッターを切っただけ。残念だった。

針ノ木岳登山、七倉尾根、チングルマ
【撮影】3日目・06時42分=稲葉 和平
頑張って撮ってみたものの、遠くて何だかよく分からない写真になってしまった。

針ノ木岳登山、七倉尾根、チングルマ
【撮影】3日目・06時42分=山咲 野の香
綿毛でも若者っぽい。そろってリーゼント風にキメて。

針ノ木岳登山、七倉尾根、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・06時43分=伊藤 幸司
槍ヶ岳とは、これが本当に最後かな、と思いながら撮りました。槍と向かい合いながら歩いた3日間は特別でした。また来たからといってこんなふうに向き合えるとは限りません。
糸の会、朝日カルチャーセンター千葉、東急セミナーBE、東武カルチュアスクール合わせると1,500回を超える山旅の中で、一度いいと感じたプランは、二度、三度と、どこかにに強引に潜り込ませる企みを繰り返してきました。
今回のこのルートはそういう意味では「二度目」があって当然ですが、糸の会の力はたぶんそれを許さないと思います。わずかな数の健脚メンバーに対しても「二度目」はそうとうな危険球になると思います。そういう意味で、このルートからの槍ヶ岳は私には特別なものに思えてきます。
実際には今年度も「二度目」「三度目」……「何度目?」という計画がありますから繰り返す? 繰り返さない? の基本線が決まっているとも思えないのですが。一度良い思いをした計画には何回かはこだわってみたいと思いますし、強引に勧めたいとも思います。カメラマンとしての本性かと思いますが。
そういう自由(かつ勝手)を見逃してくださる許容度の大きなみなさん(だけ)が残って糸の会が存続しているのだと思います。
でも20年を超える経験があり、1,000回を越える体験があっても、70代、80代が中心のシニア登山となると、どこかに大きな欠落が潜んでいないはずはない、のです。そういう意味で今回の槍ヶ岳は「一生モノの思い出」だと思いながら撮りました。

針ノ木岳登山、七倉尾根、コイワカガミ
【撮影】3日目・06時43分=稲葉 和平
美しい色のコイワカガミ。ちょっとピンボケなのが残念だけど。

針ノ木岳登山、七倉尾根、チングルマ
【撮影】3日目・06時43分=山咲 野の香
沿道のチングルマとコイワカガミがお見送り。

針ノ木岳登山、、七倉尾根、アカモノ
【撮影】3日目・06時44分=稲葉 和平
アカモノもたくさん出てきた。花も出てきてやっと山に来たという感じになってきた。

針ノ木岳登山、七倉尾根、ウサギギク
【撮影】3日目・06時47分=伊藤 幸司
ウサギギクも、なんでこんなに美人なんだ? という感じで咲いていました。

針ノ木岳登山、七倉尾根、ウサギギク
【撮影】3日目・06時47分=山咲 野の香
朝日を一身に受けようとするウサギギク。いつ見ても元気印。

針ノ木岳登山、、七倉尾根、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・06時50分=稲葉 和平
下りに入るとこの景色も見られなくなる。しっかり見ておかないと。

針ノ木岳登山、七倉尾根、高瀬ダム、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・06時51分=伊藤 幸司
下山路は船窪新道。七倉尾根というのを下るのですが、突然新しい風景が現れました。また槍ヶ岳ですが、そちらの方向に向かって高瀬ダムのダム湖が伸びているのが突然見えてきたのです。私たちは向かって左に方向転換するのですが、すると七倉ダムがあるのです。

針ノ木岳登山、七倉尾根、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・06時53分=伊藤 幸司
ホントに、これが最後の槍ヶ岳、だと思いながら撮っています。立っているのは標高2,300mあたりでしょうか、本州中央部で標高2,000m以上の高みに登った者にのみ与えられる勲章が槍ヶ岳(といっていいの)ですから。

針ノ木岳登山、七倉尾根、高瀬ダム、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・06時56分=伊藤 幸司
道ははっきりと左に折れました。間違いなく槍ヶ岳とのお別れです。

針ノ木岳登山、七倉尾根、コメツツジ
【撮影】3日目・07時00分=山咲 野の香
コメツツジの蕾、美しい。ハナアブも顔を埋めてます。透明な羽根がきれい。

針ノ木岳登山、七倉尾根、槍ヶ岳遠望、高瀬ダム
【撮影】3日目・07時02分=山咲 野の香
快晴。天狗の庭、絶景。

針ノ木岳登山、七倉尾根、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・07時05分=小林 美子
天狗の庭。
高瀬ダムの向こうに槍ヶ岳。
3日間、槍ヶ岳を見ながら
雨の心配も全然しないでラッキーな山旅でした。
ステキな3日間をありがとう。

針ノ木岳登山、七倉尾根、七倉ダム
【撮影】3日目・07時06分=伊藤 幸司
七倉尾根はおおよそ南東の方向に下っていきます。七倉ダムへ、真一文字に下っていく気配です。

針ノ木岳登山、七倉尾根
【撮影】3日目・07時33分=伊藤 幸司
本州中央部では気象上の森林限界は標高2,500mあたりです。ここはもう標高2,100mあたりですから深い森の中。右手も左手も深く切れ落ちて逃げようのない細い尾根を下っていきます。

針ノ木岳登山、七倉尾根、ハシゴ
【撮影】3日目・07時38分=伊藤 幸司
このルートではあらゆる場所にこの種のハシゴがかけられています。
ちなみにいまハシゴを下っている O さんは2本のストックを背中に挟んでいます。ピッケルをそのかたちで背中に避難させる方法は、大昔のキスリングザックのときにはものすごくいい方法でした。今のザックでも肩のあたりにブレードとピックが T の字型に引っかかるピッケルなら安定しているのですが、ストックでは握りの部分が若干太くなるだけなので、固定したい位置にうまく止まりません。背中に意識的に空間を設けている構造のザックが多いので固定されにくく、さらにストックはピッケルより長いので、注意しないと石突がどこかに引っかかる危険があります。
私は、時おり邪魔になるダブルストックを一瞬避難させる方法として皆さんに紹介したのですが、本格的な冬山をやっているOさん以外は、けっきょく馴染まなかったようです。

針ノ木岳登山、七倉尾根、ギンリョウソウ
【撮影】3日目・07時52分=山咲 野の香
樹林帯にホッとして、ギンリョウソウのフレッシュな白もうれしい。

針ノ木岳登山、七倉尾根、ハシゴ
【撮影】3日目・07時53分=伊藤 幸司
この階段なら、ダブルストックで前向きに下れると思うのですが、意気がると事故が起きる危険はあります。「裏返って」と私たちはいうのですが、一歩、一歩、安全第一主義で下ることで「時間より安全」という意識を守るべき時かと思いました。
じつは私は、こういう段階で下山時刻のことは考えません。下りで時計を見て「ペースを上げたい」という場面になっても、意地で下山時刻を考えません。ひとりか二人で行動する登山者の場合、下山時のバスの予定は、いわば最重要の情報ですが、私は常にスペアとしてタクシーを用意しています。3人以上で1万円以内なら、タクシーは下山時の非常用装備と考えます。
ある段階で携帯電話の電波を探ったりしますが、通常は下山してから間違いなく電波の通じるところまで出てタクシーを呼んだ場合の帰路の予定など、下りながらいろいろ考えます。ですがその時、下りのペースを下山時刻に合わせて調節するという考え方は100%排除するのです。
10人中のひとりにトラブルが起きただけで予定は完全に未定になりますから、遅れが明らかに大問題になりそうなときほど、頭を使っていろいろシミュレーションするのです。「予定の列車に間に合うか?」「今日中に帰れるか?」「明日の朝までには帰れるか?」それより何より「明るいうちに下山できるか?」など、何段階もの対応を考えます。軽くですけれど。

針ノ木岳登山、七倉尾根、槍ヶ岳遠望
【撮影】3日目・07時55分=山咲 野の香
見納めの槍。

針ノ木岳登山、七倉尾根
【撮影】3日目・08時15分=山咲 野の香
下山路、足下のアレンジが目に優しい。

針ノ木岳登山、七倉尾根
【撮影】3日目・08時26分=山咲 野の香
幾多の緑がこもれびに輝いて見える。

針ノ木岳登山、七倉尾根
【撮影】3日目・08時26分=山咲 野の香
炎天下からの解放故の、この一枚。

針ノ木岳登山、七倉尾根
【撮影】3日目・08時46分=山咲 野の香
目の高さに出てきて思わず撮ってしまった。キノコでしょうが、誰?

針ノ木岳登山、七倉尾根
【撮影】3日目・08時50分=山咲 野の香
一条の朝日に照らされた平凡な森の一木一草に、無事下山の安堵感が重なった。

針ノ木岳登山、七倉尾根、ハシゴ
【撮影】3日目・09時08分=伊藤 幸司
登山道の脇にハシゴの材料がありました。補修が必要ならこれを運んでいって、針金で応急修理になるのでしょう。

針ノ木岳登山、七倉尾根、ギンリョウソウ
【撮影】3日目・09時24分=伊藤 幸司
長めの休憩をとったところで、たまたまギンリョウソウが見つかりました。

針ノ木岳登山、七倉尾根
【撮影】3日目・09時31分=伊藤 幸司
何の木かわかりませんが、紅葉していました。樹林帯に入って花がガクンと減ったので、こういう色はあちらから目に飛び込んできます。

針ノ木岳登山、七倉尾根、ゴゼンタチバナ
【撮影】3日目・09時34分=伊藤 幸司
ずいぶん大柄なゴゼンタチバナです。老婦人という雰囲気でしょうか。

針ノ木岳登山、七倉尾根、橋
【撮影】3日目・09時48分=伊藤 幸司
たぶん、今回のこのルートで初めて橋を見ました。

針ノ木岳登山、七倉尾根、橋><br>
【撮影】3日目・10時19分=伊藤 幸司<br>
その橋は工事現場でよく見るパイプと滑り止めの穴を開けた鉄板で組み立てた、一般的には簡便なものですが、その橋に大きなラベルが貼られていました。「日本山岳遺産基金・船窪小屋 道しるべの会」とありました。<br>
<a href=『日本山岳遺産基金』のホームページにはまず、次のように書かれています。
【日本山岳遺産基金は、日本の山々がもつ豊かな自然・文化を次世代に継承していくために設立された基金です。株式会社山と溪谷社と株式会社インプレスホールディングスを正会員として、その会費と、当基金の主旨・活動に賛同する賛助会員からの会費をもとに各種活動を行なっております。】
【 日本山岳遺産基金事務局を山と溪谷社社内に設置し、基金が主催する活動や日本山岳遺産の認定と活動支援のための助成金支出などを決定します。
その際、活動における中立性、公平性、信頼性を保つための諮問機関として「アドバイザリーボード」を置きます。】
その活動支援の対象として「船窪小屋 道しるべの会」があったということなのですが、『支援リスト』の中にありました。
【2013年度 船窪岳(長野県・富山県) 船窪小屋・道しるべの会 60万円 登山道の維持整備活動】

針ノ木岳登山、七倉尾根、ヤマアジサイ
【撮影】3日目・10時47分=山咲 野の香
涼しげなヤマアジサイ。里が近いことを感じる。

針ノ木岳登山、葛温泉、湯宿かじか
【撮影】3日目・18時07分=伊藤 幸司
11時25分に七倉ダム湖の湖岸・七倉山荘に着きました。そこがタクシー溜まりになっていて、高瀬川の上流・湯俣温泉まで入るタクシーの乗り継ぎ地点になっているようでした。
一番オーソドックスな下山後の作戦として七倉山荘で入浴しながらタクシーを待ち、その後一気に信濃大町駅方面へ出るというつもりでしたが、溜まっているタクシーの3台がダム下の葛温泉までなら空き時間で送れるということで、私たちは O さん情報によって湯宿かじかの檜風呂に入ったのです。

針ノ木岳登山、信濃大町、創舎わちがい
【撮影】3日目・18時07分=伊藤 幸司
その後、さらに O さん情報によって、大町の「創舎わちがい」へと向かったのです。
『創舎わちがい』のホームページには次のように書かれています。
【「わちがい」とは、
室町時代からこの大町の地に佇む「栗林家」の屋号。
代々この地に大庄屋を務めたこの屋敷は
明治時代からの造りを
そのまま残し時を刻み続けています。
輪が連なる「わちがい」の屋号のように
訪れた方との出会いの輪が繋がる願いを込め
安らぎの空間としてよみがえりました。
雰囲気の違うそれぞれの客室は全てお庭と面し、
喧噪を忘れさせてくれる
静かでゆっくりとした時の流れを感じます。】
【わちがいでは、
大町の自然が味わえる食材を中心に、お食事を提供させていただいております。
大町の水と空気で育った、農薬を一切使わない野菜。
素材の味を一層引き出す為に、
一つ一つ丁寧に調理した小鉢。
わちがいオリジナルブランドの「わちがい ざざ」。
大町の豊かな自然で育った「大町黒豚」。
どれも丹精込めて、ご提供させていただいております。】

針ノ木岳登山、信濃大町、創舎わちがい
【撮影】3日目・18時07分=伊藤 幸司
「わちがい」での食事は3日間の山旅の締めとしては最高のものとなりました。Oさんのアドバイス、ありがとう。



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