山旅図鑑 no.207
八方尾根と唐松岳
2018.8.21-22

山旅図鑑目次


糸の会(no.1099)
2018.8.21-22
唐松岳
52パワー

1日目……登り26p
2日目……下り26p

*計画書には次のように書きました。八方尾根往復が主役の唐松岳という設定です。

*体験北アルプス、体験小屋泊まりの唐松岳です。
*登りはリフトを利用して長野オリンピック大滑降のスタート地点から歩き始めます。八方尾根をゆっくりと登って、山小屋へ。もちろん唐松岳登頂も。
*2日目は五龍岳まで足をのばす計画を何度かやっていますが、時間的にハードです。歩ききるということに特化してしまいます。八方尾根は蛇紋岩の特異なお花畑とされていますから、2日目はそちらを主役にしたいと考えて、同じ道を引き返します。じっくりと、花鑑賞の尾根歩きという趣になるかと思います。写真撮影、ご自由に。八方尾根はだいたい電話が通じますから、ある程度自由に行動できるように考えます。

第1日(8月21日)
・1250……リフト終点の八方池山荘を出発(標高約1,850m)
・1415-20……八方池で休憩(標高約2,050m)
・1450-55……休憩(標高約2,150m)20度C
・1550-55……丸山ケルンで休憩(標高約2,400m)
・1650……唐松岳頂上山荘着(標高約2,600m)
・1710-50……唐松岳山頂で落日(標高2,696m)
第2日(8月22日)
・0500-20……唐松岳山頂で日の出(標高2,696m)16度C
・0700……唐松岳頂上山荘を出発(標高約2,600m)
・0800……丸山ケルン通過(標高約2,400m)
・0930-1000……八方池で三々五々休憩(標高2,050m)
・1050……八方池山荘に到着(標高約1,850m)

今回の写真出展メンバー(提出順)は以下の5人です。

秋田 守、小林 美子、三浦 陽子、矢野 博子、伊藤 幸司



山旅図鑑 no.207
八方尾根と唐松岳
2018.8.21-22

唐松岳登山
【撮影】1日目 11時28分=秋田 守
白馬駅に入線する千葉始発特急あずさ3号。ぼくは前日に青春18きっぷの残り1回分を利用して松本まで乗り込み、駅近くの素泊まり2500円という旅館松風に前泊。この日の朝、鈍行列車を乗り継いで一足先に白馬駅で待機していたので、皆さんをお出迎えした。 松本市内は「サイトウキネン・フェスティバル 」改め「セイジ・オザワ松本フェスティバル」がすでに始まっていて、幟や大きなポスターで飾られていた。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 11時44分=伊藤 幸司
私の予定の中にはJR白馬駅からタクシーでゴンドラ駅まで直行するというのがあったのですが、駅前にいたバスに飛び乗るかたちで「白馬八方バスターミナル」で飛び降りたのです。
じつは私の中には八方尾根のゴンドラ駅のちょっと手前を、きちんと歩いてみたいという気持ちがあったのです。
明日、下山後の入浴・食事の候補として白馬八方温泉・郷の湯と川魚料理・こいやがありました。ゴンドラ駅から歩いてすぐのところにあるのはわかっていたのですが、その位置関係がはっきりしていなかったのです。どちらも数回訪れているのですが、記憶がはっきりしません。
バスターミナルからホテル・レストラン街という雰囲気の通りを行くとすぐに八方尾根が見えてきました。風呂はこの先の左手、こいやは右手という感じですが、要はどの路地を入ったらいいのか、記憶にないのです。距離にして500mほどの間のことなのですが。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 11時49分=秋田 守
白馬バスターミナルからゴンドラ乗り場へ向かう途中、路上にヘビがへばりついていた。車に轢かれたのだろうか。 マムシではなさそうだけど、ヘビは好きではない、というか、はっきり言って嫌いなので、生きているのかいないのか近づいて確かめる気にもなれなかった。山岳リゾートのベース、白馬と言えど、気温は軽く30℃を超えていた。 この日に限って言えば、自宅周辺より白馬の方が確実に気温は高かったはずだと思う。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 12時14分=伊藤 幸司
標高約770mの八方駅からゴンドラリフト・アダムで標高約1,400mの兎平へ一気に登ると、アルペンクワッドリフトとグラードクワッドリフト(名前が難しくってどんどん訳がわからなくなりますよね)に乗り換えて標高約1,800mの八方池山荘(第1ケルン)にまで上がりました。1998年の長野オリンピックで滑降競技に使われたゲレンデの最上部まで一気に上がるのです。
でも、ともかく、花がほとんどありません。下山時にはこの斜面を徒歩道で下りながら花を見るかもしれないと、片道キップで登ってきたのですが、これでは往復割引を失っただけのようです。今年のこの計画は秋の花を期待したものでしたが、完全に花から見放されているらしいと、ちょっと絶望的になりました。
ちなみに、このあたりはまさに長野オリンピックの滑降ルートの設定問題で揺れた斜面です。
『長野県環境保全研究所』が『長野冬季五輪から10年後の自然保護対策における現状と課題』(2009年)という広範なレポートを出していました。
『2-8 長野冬季オリンピックから10年後の八方尾根の現状と課題』(富樫均・浜田崇・尾関雅章)では男子滑降スタート地点引き上げ問題に触れていますが、まずはその概説。

【3.1 男子滑降スタート地点引き上げ問題
 対象地域では,長野大会の開催前に男子滑降競技スタート地点引き上げ問題が起こった. 当時の経緯や背景については丸山(1999),富樫ほか(2001) 富樫(2004)に詳しい. ここでは,出来事の要点を簡単にまとめておく.
 問題の発端は,同地域を会場とした男子滑降競技において,当初計画されていた1680mのスタート地点を,国際スキー連盟(FIS)が1800mに引き上げるように要請したことにあった. これに対し,長野オリンピック冬季競技大会組織委員会(NAOC) は,国立公園内の自然保護等を理由に一貫して引き 上げを拒否し続けた. そして,大会を目前に控えた 1997年9月に入りさらに FISが強硬に引き上げを要請し,両者の対立が深刻化した. それにより,この問題は国内外のスキー競技団体・自然保護団体・NAOC・行政・地元住民・マスコミ関係者などを巻き込んだ大問題に発展した. この論争は大会開催が迫る約 2ヶ月前に,1765m地点への引き上げが公式に発表される形で終息した. しかし,最終的に 1765mに決着した根拠について合理的な説明はされ なかった. スタート地点引き上げにあたっての関係者間の合意事項として,国立公園の一部は小ジャンプで通過し,公園内には工作物を設置せず,雪面硬化剤は使用しないなどの条件がつけられた.
 この問題への対応として,長野県自然保護研究所 (当時)は1997年10月に緊急の現地調査を行い,当地域が学術的に貴重な自然環境をもち,保護のために細心の注意が必要であることを示し,併せて冬季に限らず夏から秋にかけての登山利用のために一帯の植生に荒廃が生じている現状を指摘した6). こうして八方尾根の自然の保護に関して一般の関心が高まるとともに,これまでの保護と利用に関する矛盾点が改めて注目されることとなった.】

その最後に『6 残された課題』が示されています。
【冬季以外の状況も含めた当地域の自然保護上の課題として,四つがあげられる.
 第一に国立公園の境界の問題がある. 現在の境界は,屈曲する登山道を境にして公園の内外に分けられている. しかし,その境界は自然環境や生態系の連続性を無視した全く人為的なものになっている(図1). そのため,公園外の荒廃等の影響が公園内におよび,冬の利用者には,公園の内と外の区別がつかず,公園内がスキー場と同一であるかのような印象を与えている. また第1種特別地域にあたるこの地域は,本来はさらに上部の特別保護地区と対比ができるほどの貴重な自然環境であり,景観核心地 域にあたる. にもかかわらず,その外周には緩衝地帯や移行帯が設定されておらず,いわば核心地域がむき出しの状態にある. これは,自然公園の保護管理計画上の欠点といえる.
 このような問題は,土地の所有権や使用権を取得することなしに地域を指定するという,国の国立公園制度(「地域制自然公園」制度もしくは「地域指 定制自然公園」制度と呼ばれる)のあり方に深く関わる問題である. つきつめるならば,この「地域制」に起因する境界設定の欠点や管理のあいまいさがスタート地点問題をあれほどまでに紛糾させた大きな背景であった. しかし,これまでの長い歴史的経過を無視して制度そのものを変えることは必ずしも現実的とはいえない. 今後の保護管理がより適切に進められるように,まず取り組むべきことは,公園境界が自然の連続性を反映したものとなるように検討し,少しずつでも現在の矛盾の解消をはかっていくことであろう.
 第二に,冬季利用についてはスキー場事業者の管理が行き届くならば,自然への影響程度が大きく軽減されることがわかった. したがって,現在の利用状況が続く限りは,今後も事業者を中心とした賢明な判断と管理の徹底をお願いしたい.
 第三に,登山道沿いには多くの登山者による植生の踏みつけと,土壌の流亡等による植生荒廃箇所が認められる. これについては,1998年から県や地元ボランティア等の手によって,表流水処理とジュートネットおよび土嚢による土留めを用いた植生復元活動が行われている. しかし,現地が蛇紋岩と呼ばれる超苦鉄質岩の分布域で特殊な土壌条件であることもあり,いったん荒廃してしまった植生の復元はうまく進んでいない. 植生復元については,今後も応用的な調査研究を重ねるとともに,復元活動が 継続されることが必要である. 同時に登山道外への踏み込みをなくし,荒廃箇所がこれ以上拡大しない ように,融雪時期の歩行ルートの適切な誘導や登山者への一層の呼びかけも必要である.
 第四に,「八方尾根の自然の保護と利用に関する協議会」で提言された「ビジターセンター建設とその運用」について,10年が経過した今も実現の見通しが立っていない. 近年の景気悪化により,財源の確保が厳しさを増していることは確かである. しかし,類い希な自然と景観に恵まれた場所であるとともに,今も年間数十万人の観光客が集中して訪れる地域である. この特別な地域で,自然の保護と適切な利用を可能にするためには,ビジターセンター機能を有する施設と人材は是非とも必要である. さらに,環境学習の推進と併せて,オーバーユースによる環境の劣化を招かないための方策についても具体的な検討が必要であろう. 多くの人が情報を共有し,当地域の自然環境を理解し,環境保全に配慮することは,結果的に当地域の観光の魅力と価値を高めることになる.】

唐松岳登山、八方尾根、シシウド
【撮影】1日目 12時16分=矢野 博子
ゴンドラを降りて 次のリフト乗り場までの脇に咲いていたセリの仲間のシシウド。背が高く山の植物のなかで目立つが割と頻繁に現れるので あまり貴重がられないかもしれない。

唐松岳登山、八方尾根、シシウド
【撮影】1日目 12時21分=伊藤 幸司
アルペンクワッドリフトを降りてグラートクワッドリフトへと移るところが黒菱平の鎌池湿原。
『公益財団法人八十二文化財団』のサイトに『信州の文化財』として『八方尾根鎌池湿原』の『概要解説』がありました。
【超塩基性岩(蛇紋岩)地に発達した高層湿原。母岩の含有成分による特種条件により、植物の垂直分布上本来標高の高いところに生育する高山植物の異常な下降現象が観察される。固有種を含め植生には注目すべきものが多い。また貴重な両生類や高山性のトンボ、蝶など昆虫の生息地である。】
この日はこのシシウドが主役でしたが、シラネアオイなども咲くようです。


唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 12時26分=秋田 守
下界からゴンドラと2本のリフトを乗り継いで、八方池山荘まで一気に運び上げてもらえるのはラクチンこの上ない。通しで1550円。この時点では翌日の下りは全部乗らずに歩いて下る予定だったので往復割引は買えない。それよりさらに安く買う方法もあった。ぼくが勤めていた古巣の会社が運営するチケット購入サイト「PassMe!」を通せば2610円で買えたのだが…。八方池山荘前のソフトクリーム代ぐらいにはなったね。

唐松岳登山、八方尾根、ウメバチソウ
【撮影】1日目 12時48分=矢野 博子
ウメバチソウは 毅然としていて何かこちらの姿勢が正され きりっとなる。コウメバチソウだろうか。

唐松岳登山、八方尾根、ヤナギラン
【撮影】1日目 12時48分=秋田 守
八方池山荘周辺にはヤナギランがたくさん咲いていた。おおざっぱな造りの花は個人的にはあまり好みではないが、彩りとしては悪くない。7月半ば過ぎに万座温泉へプチ湯治に行ったのだが、ゲレンデに早くも満開状態で咲き誇っていた。地元の方に聞くと例年より早いとのことだった。もっともその日は、標高1800mの温泉地にもかかわらず、気温が30℃を超えていて、冷房のない宿の部屋は居心地が悪く、避暑に来たはずが、裏切られた。

唐松岳登山、八方尾根、カライトソウ
【撮影】1日目 12時49分=秋田 守
カライトソウ。以下、花の写真が出てくるが、初日のカメラはオリンパスTG-4というコンパクトカメラで全て撮影。コンパクトながらF2.0の明るいレンズ、1㎝までの接写可能、水中撮影もOKという、頼りになるヤツで重宝しています。ただし、同じ花を翌日、ちゃんとしたマクロレンズで撮影するとその違いは歴然と分かるので見比べてみて下さい。で、カライトソウだけど、蕾はよく見るときれいな手毬みたいですね。惚れてしまいました。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 12時49分=秋田 守
八方池山荘前のリフト乗り場。リフトに一緒に乗ったコーチとも話していたのだけど、足をぶらぶらさせると下の地面にくっつきそうになるくらいの高さ。スキーシーズンに雪が積もっていたらどうするんだろうかと不思議だったが、ロープの張り方を調整して、高さを調整できるのかな。夏場にあまり高くしておくと転落事故のリスクが高い、という理由であのような高さにしてあるのかなと後になって思うのだが、果たして真相は如何に。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 13時01分=矢野 博子
よく見ると小さな花が集まっていて それこそルーペでみたら魅力に取り付かれそう。兎も角 山の花は細工が細かい。

唐松岳登山、八方尾根、タムラソウ
【撮影】1日目 13時02分=秋田 守
タムラソウ。このエリアでアザミは種類が多くて、区別もなかなか難しい。が、アザミに似たタムラソウだけは容易に判別できる。まず花が上を向いている。茎に棘がない。八方池山荘付近から唐松岳頂上山荘近くまで、登山道脇にずっと広範囲にたくさん咲いていた。キク科タムラソウ属に分類されて、他のアザミ属の多種とは一線を画している。別名を玉箒(タマボウキ)というらしいが、タマボウキという別の植物もあり、実にややこしい。

唐松岳登山、八方尾根、オヤマボクチ
【撮影】1日目 13時15分=矢野 博子
かなり芸術的な形が 目を引いた。オヤマボクチ。もしかすると 初めてこの奇妙な植物に出会ったかもしれない。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 13時18分=伊藤 幸司
12時30分から50分まで八方池山荘でトイレとエネルギー補給をして出発。八方池までは登山道ではなく、観光用歩道とか。みごとな木製ベンチ形状の歩道です。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 13時22分=伊藤 幸司
標高1,900mに近い尾根の道が完全に階段です。さすがに観光歩道ですから登山道の「土止め」より「段差」に注意が払われています。つまり街にある階段の標準的な段差を実現しようとしていると思われます。寺社仏閣に見られる急階段より人にやさしいかと思われます。

『オウチーノ』というサイトに『階段の幅、標準仕様は何センチ?』という解説がありました。
【現代の建築物では、階段の幅は建築基準法で建物の用途と面積規模により定められており、古民家にあるような階段を取り付けることはできません。一般の住宅であれば、階段の幅は有効幅75㎝以上、踏み面(足を載せられるスペースの奥行)15㎝以上、蹴上(1段ごとの高さ)23㎝以下と定められています。】
【ただ、法律で定められた最低限の階段の幅や高さが実生活においても使い勝手がよいものとは限りません。法律の数値とは別に、住みやすい・利用しやすい階段の幅と高さがあります。一般的には、昇りやすい階段の幅は、踏み面が20cm〜22cm、蹴上は1段あたり18cm〜20cmとされています。】

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 13時25分=伊藤 幸司
下に見える赤い屋根が八方池山荘。その隣に黒い屋根のリフト乗り場があります。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 13時28分=小林 美子
空は重〜い雲に覆われている。
今にも降ってきそうな雲があったけど、
雨の心配はなかった。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 13時28分=三浦 陽子
八方山ケルンか第2ケルン辺りから白馬の町を見渡して。晴れわたりいい眺めです。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 13時28分=秋田 守
八方池山荘から登り始めて30分弱、山荘とさらにその下の白馬の町を見下ろす。下界はよく晴れていていかにも暑そう。標高が高い分、少しは涼しいはずなのだが、汗が溢れ出てくる。水分補給しながら、いつもの10分先頭交代方式で歩く。今日は登りでもダブルストックを使っている。少し慣れてきたと思う。今日の自分の歩きテーマはなんば歩き。少し前の記録にどなたかがなんば歩きをしているとコーチが書いていたので、意識して歩いた。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 13時37分=矢野 博子
八方池までは 観光客も多く ゆったりと登って行った。写真を撮るときにブレないようにストックを一本出したが 使い方も分からず ダブルストックを最初から使っている私には ふらついてしまって 邪魔になってきた。

唐松岳登山、八方尾根、タムラソウ
【撮影】1日目 13時39分=伊藤 幸司
タムラソウがありました。葉っぱにトゲのないアザミ、と覚えておけばまず間違いないのですが、真上から撮ったら別人のようでした。

唐松岳登山、八方尾根、ウメバチソウ
【撮影】1日目 13時41分=小林 美子
ウメバチソウ。
今が青春よとばかりに咲いていました。

唐松岳登山、八方尾根、イワショウブ
【撮影】1日目 13時41分=伊藤 幸司
イワショウブが、なかなか印象的な花を咲かせていました。

唐松岳登山、八方尾根、ウメバチソウ
【撮影】1日目 13時42分=伊藤 幸司
ウメバチソウがいまちょうど盛りという感じで咲いていました。実はこの花、目を近づけると細かな細工がいろいろ見えて面白いのですが、ここではその余裕がなかったようです。

唐松岳登山、八方尾根、イワショウブ
【撮影】1日目 13時42分=伊藤 幸司
イワショウブの花ですが、若いのか、熟しているのか、私にはわかりません。

『Tam's素人植物図鑑 1998』というサイトに『イワショウブ』がありました。
【花茎の先端に、線香花火がはじけたような白〜淡紅色の花が1節から3個ずつつき、花柄は斜め上を向き総状に集まる。苞は卵形または披針形。花被片は先が鈍形で長さ5-7mmの長楕円形で6個、雄しべは6個、雌しべは3個あり、葯の色は紫黒色〜薄茶色。花茎上部や花序、花柄に腺状突起が密につき、触ると粘る。】……とのこと。

唐松岳登山、八方尾根、ウメバチソウ
【撮影】1日目 13時42分=秋田 守
フレッシュなウメバチソウが群れ咲いていた。花の名前、ウメバチは梅鉢で、家紋に由来する。菅原道真や前田利家などが有名。この写真ではよく分からないが、接写すると、雄蘂が5本、そのほかに先端に小さな黄色い丸い粒をたくさんつけたものがあり、こちらは仮雄蘂というものらしい。黄色い粒は線体と呼ばれる。ふう、難しい。ちなみに、コウメバチソウという高山型もあり、仮雄蘂の数が12〜22となる。これはたぶんウメバチソウ。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 13時42分=秋田 守
そろそろ白馬三山が見えてくる頃だが、山の上の方は雲の中にすっぽり隠れていた。この日の天気予報は午後は雷雨に注意。ザックの中は、支度をする時に、雨具を上蓋の中に入れて、いつでも取り出せるようにしてある。この日の靴は、前回、前々回に履いてきたゴローの革山靴ではなく、ハイキング用のゴアテックスのローカットモデル。コーチはスニーカーと防水ソックスを推奨されているが、まだそこまで踏み切る勇気は今のところない。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 13時42分=秋田 守
先頭を交代してもらい2番手で歩く。比較的緩やかな上り道を行く。八方池はまだ先。このあたりまでは、登っていく人、下ってくる人、どちらも大勢の人で賑わっている。夏休み中とあって、子連れファミリーも多いし、我らのような年齢層の高い人も多い。八方池までで引き返す人は、軽装の人もいる。もっと先の方で追い越していった外国人ファミリーの息子達はサンダル履きだった。彼らとはその後すれ違わなかったが、どこへ行ったのか謎。

唐松岳登山、八方尾根、イワショウブ
【撮影】1日目 13時52分=伊藤 幸司
これが、たぶん、イワショウブの大人の顔だと思います。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 13時53分=伊藤 幸司
八方池まで、高級木道でいくのかと思ったら、自然石の石段になりました。でも雨で表土が流されて土台石が露出し、訪れる皆さんからは敬遠されているという感じ。山の道は平地の感覚で土木工事をやると大自然からシッペ返しを受けることになります。見栄えのいい、立派な道ほど危ういというふうに見えてきます。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマコゴメグサ
【撮影】1日目 13時55分=伊藤 幸司
ミヤマコゴメグサです。『「高山植物図鑑」登山道の花』というサイトの『ミヤマコゴメグサ』に次のような記述がありました。
【北アで見るコゴメグサはほとんどミヤマコゴメグサと紹介しているものが多いが、本当にそうだろうか・・・。コバノコゴメグサ(南ア)、コケコゴメグサ(中央ア)が良く似るが、それ等は北アではほとんど見ないと言うが、変種が多いので見分けは難しいらしい。】
白を基本にして紫色と黄色を散らしているのがとてもおしゃれに見えます。カワイイというのかもしれません。

唐松岳登山、八方尾根、クモマミミナグサ
【撮影】1日目 13時56分=矢野 博子
現地で手に入れた“八方尾根花散歩”によるとナデシコ科のクモマミミナグサらしい。花弁にきれいに切れ込みが入っている。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 13時56分=伊藤 幸司
八方池までは観光歩道ということのようですが、タウンシューズの観光客の皆さんにも本物の北アルプスの尾根歩きを体験していただけます。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 13時58分=伊藤 幸司
アマニュウでしょうか、ミヤマシシウドでしょうか。近づいていくと複散型花序と呼ばれるいくつもの花の塊が広がっていますが、その一つがこんな具合。すでに実を結んでいるのかな? でもまだ花の段階みたいなのもあって、それぞれが小宇宙みたいに見えてきます。花の時期だとけっこうたくさん虫がいたりすんですけれど。
梶本さんという方の『四季の草花』というサイトに『アマニュウ』がありました。
【アマニュウも高山の草原に生える大型の植物で、遠目にはミヤマシシウドと区別が付かない。近寄って葉を見るのが最も確実なように思われる。小総苞片は少ないので、ミヤマシシウド(小総苞なし)と区別できないことが多い。】

唐松岳登山、八方尾根、タカネナデシコ
【撮影】1日目 13時59分=矢野 博子
あまり元気が良くはなかったが タカネナデシコ。写真は青みががっているが 実際にはもっとピンクが濃かった。この写真に限らず 私のカメラは 何となく実際より青みが強く出る。今の若い人は “大和撫子”という言葉 知ってるのだろうか? 大和撫子とは縁遠い私が危惧するのもヘンだけど。

唐松岳登山、八方尾根、マツムシソウ
【撮影】1日目 13時59分=伊藤 幸司
秋の高原を代表するのはなんといってもマツムシソウです。一度見たらまずまちがいなくマツムシソウ! と太鼓判を押せる花です。
今回、八方池山荘の売店で皆さんに石原敏行さんという人の『八方尾根の花』(第3版・2014)というガイドブックを勧めました。500円と安くなって思いっきりコンパクトになりましたが、この尾根で見られる花の名前がこれによって一応確定できると考えたのです。
そういう私が花の名前に関してウロウロし続けるのは不甲斐ないとも思うのですが、この『八方尾根の花』によって確定する「タカネマツムシソウ」を例題として私のそのウロウロを律儀にやってみたいと思いました。

たぶん、ですが、植物分類学好きじゃない人間が山でたまたま撮ってしまった花の写真の、その名前を知りたいと思ったとき、その入口になる基本資料としての図鑑を決めておくというのが、とりあえず賢い方法だと思ってきました。

──1──
私の場合は『山の花1200』(青山潤三・2003年・平凡社)が最重要の基本図書ですが、それはひとつの「常識ライン」と(勝手に)決めたからです。幸い草本だけでなく木本(樹木)の花も入っていて『高山植物以外にも、亜高山帯、低山帯に生える植物も積極的に取り上げた。原則として人里周辺に見られる植物は除外したが、山間部にも進出している種にについては、その一部を著者の独断で取り上げることにした』というあたりが好きなのです。ここになければ私は知らななくてもいい、と考え、私の花の世界をこの本で限定的なものにしたのです。
 それ以前、山歩きの先生役を始めた頃、そういう役目を担ってもらっていたのは『山溪フィールドブックス』の『高山植物』(木原宏・山と溪谷社・1993年)と『春の野草』『夏の野草』『秋の野草』(いずれも永田芳男)でした。

そこでまず『山の花1200』で見てみます。
『マツムシソウの仲間──マツムシソウ科』として『小さな多数の花が花床の上に集まって一輪の花のように見える頭花を形づくるのは、キク科の特徴だが、もうひとつ、マツムシシソウ科の花も同じような構造をもつ。もっとも、植物ナンバーワンの種数を誇るキク科とは対象的に、マツムシソウ科は日本で2属2種が分布するだけの小さな科。マツムシソウは夏の後半から秋にかけての高原を彩る植物で、さまざまな蝶が吸蜜に訪れる。』とあります。

そして解説。『マツムシソウ 松虫草 Scabiosa japonica』というタイトルで『北海道〜九州の山地草原に分布。茎高50cm〜1m。葉は羽状に深裂。茎頂に、内側に筒状花が集まり、外側に裂片が波打ちながら広く伸びた淡青紫色の舌状小花が並んだ、径4cmほどの頭花を1輪ずつつける。花期8〜10月。』
続けて『本州と四国の高地帯に生える変種タカネマツムシソウ(高嶺松虫草 S.j.var.alpina)は、草丈が低く、頭花はより大きく、濃色。ナベナ(鍋菜 Dipsacus japonicus)は本州〜九州の山地に分布。茎頂に筒状花のみからなるアザミを小さくしたような径2cmほどの球形の頭花をつける。』

『山溪フィールドブックス・高山植物』の索引にはマツムシソウはなくてタカネマツムシソウがあります。木原均さんはどう書いているのか。
まず『マツムシソウ科マツムシソウ属』というページが1ページだけ立っていて『タカネマツムシソウ Scabiosa japonika var.alpina』という見出し。
『平地に咲くマツムシソウに比べ、背丈は20〜30cmと低く逆に花はやや大きめで色も濃いため大変美しい。しかし写真を撮るとなると、高山植物の中でも写真にしにくいものの筆頭にあげられる。細い花茎に大きな花をまばらにつけ、それがあちこちの方向を向いている。しかも風が吹くと、いつまでも揺れて止まらないのである。地面に這いつくばって30分待たされたこともある。幸運にもこの写真は無風の中、1分とはかからなかった。花期=8月、分布=本(中部以北)、四。』

『山溪フィールドブックス・夏の野草』には『タカネマツムシソウ (高嶺松虫草) Scabiosa japonica var.alpina』があって、永田芳男さんはこう書いています。
『高山の礫混じりの草地に生え、場所によっては群生する。秋に高原などに咲くマツムシソウと比べると花の色が驚くほど濃い。花も大きく直径が5センチほどもある。草丈は低く高さは30センチほどである。北アルプスや南アルプス、東北の高山などに生えるものはドキッとするほど鮮やかな花の色をしているが、四国のものは色が淡い。花が終わると坊主頭のような実になって、茎がさらに高く伸びる。花期=8〜9月。分布=本(中部以北)、四。』

『山溪フィールドブックス・秋の野草』も開いてみると『マツムシソウ(松虫草) Scabiosa japonica』があって、こちらも永田芳男さんの文章。
『秋の高原を代表する花で、群落となって次ページのように咲き続く。名前はマツムシの鳴く頃に花が咲くからとも、実の形が巡礼のもつ松虫鉦ににているからともいわれる。種子から育つ二年草で、花は2年目にならないと咲かない。高さは70センチほどになり、直径4センチほどの花を咲かせる。右の写真のように、花の構造はキク科の花によく似ている。キク科と異なる点は、刺状の萼と小苞が花の基部を包んでいることである。花期=8〜10月。分布=北、本、四、九。』

いってみれば、これらは個々の植物の手配文書、あるいは紹介文で、簡潔に書くために専門用語を混じえています。その専門用語を知らない私などにはチンプンカンプンになってしまうので、青山さん、木原さん、永田さんといった写真家は、その典型的な写真をカラーで提供することで、いわば「顔写真付き手配書」になっているわけです。

──2──
その「顔写真付き手配書」という新しい植物図鑑のさきがけとなったのは(たぶん)平凡社の『日本の野生植物』(全3巻・1985年)だと思います。その「まえがき」には次のようなことが書かれています。
たとえばその時代背景。
『植物図鑑は国の植物学ひいては文化の水準を表すものである。欧米の先進国はもとより、日本にも立派な図鑑があるのはいうまでもない。
 すぐれた図鑑の生命は、図の精確さと解説の適正にあることは論を待たない。従来の植物図鑑の色または画は、色彩を施したものもあるが、多くは単色で表現されていた。近年カラーフィルムの進歩に伴い、写真によるものが多くなってきた。しかし、植物の中にはまだカラーの生態写真の発表されていない種が多い。
 植物を表すのに、画によるか写真によるかは一長一短があって、簡単にどちらがよいとはきめかねる。画によれば、種類の形態的特徴を正確に示しながら理想像を描くことができる。写真によれば、植物の生態と環境を如実に写すことは、種類の特徴を正確に表わすことは難しいのである。図鑑の目標が那辺にあるかによって、図の表現法がちがってくるが、理想的には、写真によって生態を表し、部分図によって特徴を示すことであろう。』

平凡社は大正時代に(たしか)『や、此は便利だ』という事典を出したのを皮切りに、戦後は大英帝国の知の集大成というべき百科事典『ブリタニカ』に「追いつき、追い越せ」として『世界大百科事典』を刊行し、その普及版としての「国民百科事典」を空前のベストセラーにしたのです。
じつは平凡社の最後の百科事典、黄金色の表紙の『平凡社大百科』では私は外部スタッフながら日本の全町名に添える写真と、外国の地名にかかわる写真収集を担当するチームを編成していましたが、経営悪化とともに規模を縮小することになり、写真や図版を大幅に削減するという後始末に転じました。
そのとき一番驚いたのは平凡社本社地下にあった図書倉庫で、百科事典執筆者にダンボール箱で送りつけたと伝えられている国内外の高価な専門書が膨大に並べられていたことです。日本の頭脳のひとつがここにあると正直感じたものです。
そしてこの『日本の野生植物』にも追い越すべき存在があったようです。
『漠然と植物図鑑のあり方を頭に浮かべているとき、アメリカ合衆国を6地域に分けたカラー図鑑《Wild Flowers of the United States》が刊行された。これに刺激されて日本のカラー図鑑を思いついたのが、そもそもの発端である。
日本の種子植物は約3,700種ある(大井次三郎の《日本植物誌》による)。これを対象とするにはあまりにも多すぎるので、まず草本植物約2,800種をとりあげる。地域的に分冊とする仕様もあるが、かなり無理と思われるので、分類別(単子葉植物、離弁花植物、合弁花植物)の3分冊にするという基本線で有志数名が寄り合い、骨子をまとめ、企画立案書を作ったのが1971年、幸い平凡社が引き受けてくれたのが1972年の春であった。』……と編者の『まえがき』。
こうして1981年に発刊されたのが『日本の野生植物』(全3巻・平凡社・1981年)なのです。

でもそれは私とは無縁で、私が手元に置いているのは『フィールド版 日本の野生植物 草本』(平凡社・1985)で、じつは前節で紹介した『日本の野生植物』の『まえがき』もこの『フィールド版……』に収録されていたのです。
ではこの『フィールド版……』はいかなるもの、なのか。
『《日本の野生植物》3巻が完結して、早くも3年近い年月が過ぎた。10数名の研究者がそれぞれ専門の科を担当執筆した植物誌的性格を帯びた解説に、プロの植物写真家と地方在住のベテラン写真家の作品から選抜されたカラー写真を加えたこの写真図鑑が予想以上の好評を得たのは当然のことであった。
ところが、刊行直後から、机上に備えて使うにはまことに結構な本であるが、なにぶんにも大部すぎる。もっと手軽に野外へ持ち出せる本にならないかという声がきこえるようになった。』
そこで『1.写真を主にするので、カラーページは多少縮小しても全部収録する。2.なるべく軽量にするために解説はできるだけ省略する。』というかたちで『フィールド版 日本の野生植物 草本』が刊行されたというのです。

さてようやく本題に。その『フィールド版 日本の野生植物 草本』には『マツムシソウ科 DIPSACACEAE』があって、科の検索表は2属のみ。
『A. 植物体に剛毛がある。総苞片はふつう草質、花床の鱗片とともに先は硬く刺状……【1】ナベナ属』
『B. 植物体は軟毛または白い腺毛があるか、ときに無毛。総苞片は1-2列で葉状、花床の鱗片は短いか、またはない……【2】マツムシソウ属』
そしてその『【2】マツムシソウ属』。
『1. マツムシソウ(写真121-3)高さ60-90cm。花は8-10月、頭花は径約4cm。葉の裂片の先は鈍い。北〜九。山地の草原。
──品種ソナレマツムシソウ(写真121-4)丈は10-25cmで葉が厚い。関東南部・伊豆の海岸。
──変種タカネマツムシソウ(写真121-5)丈が30-35cm。頭花は径5cm。本・四。高山草地。
──変種トウマツムシソウ var.acutiloba エゾマツムシソウ。葉の裂片の先がとがる。北・本(北部)、朝鮮・中国東北。』

──3──
じつは私は最近『原色日本植物図鑑』(全3巻・保育社・初版1957〜64年)も手元に置くようにしています。じつはこの図鑑には写真がなく、非常にレベルの高い(と思われる)カラー図版が使われているからです。平凡社の『日本の野生植物』に先立つこと20年あまりということと、昭和32〜39年という東京オリンピックを頂点とする復興期の産物だということを軽く認識するだけでも、一般国民向け植物図鑑としては力作だったと想像できます。じつは私が持っているのは初版ではなくて翌年に改定版として出された第二版で『草本編[1]合弁花類』はなんと42刷(1975年)ですから一大ロングセラーだったと想像できます。
今回、この長い図鑑バナシを書いているうちに知ったのですが、この『原色日本植物図鑑』と先に紹介した『日本の野生植物』とは、あるいは太いロープでつながっているのかもしれません。北村四郎という植物学者によって。
この『原色日本植物図鑑』の著者は3人です。著者に『北村四郎・村田源・堀勝』という名前が並んでいますが、北村四郎という名は『日本の野生植物』の5人の編者のひとりでそちらには『北村四郎・京都大学名誉教授』と出ています。
じつは、その『日本の野生植物』の解説は記名原稿であったらしく、先ほど引用した『マツムシソウ科』を書いたのはたまたま北村四郎先生でした。そのことで両書の編者に目が行ったのでした。

さて保育社の『原色日本植物図鑑』ですが『草本編[1]合弁花類』の序文には次のような記述があります。
『この図鑑は植物の名を知り、その分類や分布の知識を得つつあわせて植物の美しさをたのしんでいただくのが目的であります。名を知るためには可成りの努力と観察力と思考力が必要で、それ等の力の訓練になると思います。名はこれまでの知識を引き出すためのものでありますから、名を知るのはまず第一歩であります。』
『草本編[3]単子葉類』の序文では(最終巻のこの巻に限ってのことですが)制作途上の状況がくわしく語られています。
『本著は村田がらん科からあやめ科まで、北村がやまのいも科からゆり科まで、村田がびゃくぶ科からうきくさ科まで、北村がさといも科、小山がかやつりぐさ科といね科、北村がはんごんそう科からがま科までの原稿を作成しました。北村はすべてを通覧して、全体をととのえました。』
序文でこの細かさですから、3人の著者の手作業でなされた大著という印象です。序文はさらに続きます。
『北村と村田とは京都大学理学部植物学教室で著作しました。小山は、はじめの1部は東京大学理学部植物学教室で、その後はカナダのオタワの中央実験農場植物研究所、次いでアメリカ合衆国のニューヨーク植物園(現職 Associaite Curator)で著作しました。小山の著作の大部分は外国で書いたものであります。』
図版に関しても索引的な記述があります。
『この図鑑を作るにあたって、原色図版の大部分、1-13,15-53,105-108図版は渡辺修氏、14図版は石津博典氏、単色図版の大部分、54-104図版は中川道夫氏に描いてもらって、それらを著者等が実物と引き合わせ、検索表と対照して、訂正しました。花や果実の解剖図は第1─第138図は村田が、かやつりぐさ科といね科のうち第44図は小山が、その他は村田が描きました。』
そしてここから3巻全体に及ぶ最後のまとめのように思われますが……、続きます。
『解説は、多数の分類学者の知識から書いたものでありますが、それらをまとめられた大井次三郎著「日本植物誌」(至文堂発行)を参考とすること多く深謝いたします。北村と村田は解説と図を作るにあたり、京都大学理学部植物園に集められた生きた植物を、できるだけ用いました。著作の資料は主として京都大学理学部植物学教室の標本庫の標本を用いました。これ等を採集し、寄贈された、日本各地の植物研究者のおかげによるところ多大であり、深謝いたします。』
どうも3人の植物学者が10年の歳月と、日本有数の(と想像する)京都大学の植物学研究環境を存分に利用して書き上げた大著だったと思われます。
『本著作は主として、京都大学理学部植物学教室で行いました。その間10年にわたり、教室の皆様に迷惑をかけましたことは多大であります。同教室員の方々が、終始、暖かい心で、はげまして下さり、無事終わりましたのは、まことにありがたく、御礼申します。』

……で、その『原色日本植物図鑑』ですが『まつむしそう科 Dipsacaceae 第33図版』にはこう書かれています。
『草本。葉は対生または輪生して托葉はない。花は両性で通常頭状に集まり、左右相称。がくは洋盃形で往々冠毛状に分裂。花冠は合弁で裂片はふく瓦状に並び、雄ずいは4本、まれに2-3本、花冠裂片と互生して筒の基部につく。葯2室で縦にさける。子房は下位1室で花柱は細く、胚珠は1個で下垂する。約9属、160種、主に旧大陸(特に地中海沿岸)に多く、オーストラリア、ポリネシアに分布している。
《属の検索表》
1. 植物体は剛毛または硬い粗毛があり、総苞片は通常草質で花床の鱗片と共に先は硬く、刺状となる……ナベナ属 Dipsacus
1. 植物体は軟毛または白い腺毛があるか時に無毛、総苞は1-2列で葉状、花床の鱗片は短いかまたはない……マツムシソウ属 Scabiosa』
こうして『マツムシソウ属 Scabiosa L. (英)Scabious (仏)Scabieuse (独)Scabiose』という見出しになります。
『252. マツムシソウ Scabiosa japonica Miq. (34図)
 山の乾いた草地に生える越年草。茎は高さ30-80cmで分枝し、葉は羽状に分裂し長さ5-10cm、裂片は鈍頭。頭状花序は8-10月頃に花を開き、径2.5cm、果時は球形で径1.5cm、周辺部の花冠の外側の裂片は大きくのびる。がくの上部は5-8個の牙歯となり、歯には剛毛がある。雄ずいは4本で花冠筒の上部につく。そう果は8肋ある小総苞に包まれている。その上部膜質のところは0.8-1mm長。がく歯は宿存する。[分布]温帯:北海道・本州・四国・九州。
全体丈低く、花が大きくてがくの刺針の長いものをタカネマツムシソウ var.aloina Takeda といい、高山に生える。
トウマツムシソウ var.acutiloba Hara は葉の裂片の先が鋭く、小総苞の膜質部は1.2mm長。[分布]温帯:北海道・本州(北部)・朝鮮・満州。』

──4──
頑張ってここまでお読みいただいた方には裏切りのようになりますが、最近ようやく花に加えて葉っぱも撮るようにしている程度の私にはほとんど役に立っていません。時々「検索表」のところで別品種や亜種の名前を確認するぐらいです。すなわち、ほとんど活用できていないのです。

そこで、たとえば……と話題を切り替えて「花」のことですが、AKB48という花々を例にとると、1期生たちが引退し始める頃までは、私にもずいぶん馴染んだ顔がありました。テレビ画面で見るそういう顔を見ながら(私の興味は黒幕の秋元康でしたが)10人ぐらいは顔と名前が一致するようになりました。
いま山で花を見る態度は、相変わらずそんなところで、馴染んだ顔がいっぱい出てくれば嬉しい、楽しいというのが正直なところ。そして新しい顔が出てきたら、できれば名前ぐらいは知りたいという気持ちです。
そこで植物図鑑を見るのですが、そこには「花」のスリーサイズやら家系やら、ファッション情報なんかが書かれているわけです。そんなものは知りたくもないのに知らないと名前を教えてくれない……と感じるのです。

かくして植物図鑑の世界は、どうしたって身体検査みたいなことになるのでうっとおしいのですが、最近グーグル(google)の画像認識が格段に進歩して、ブロマイド本で名前を知りたい人気タレントの顔を探すというようなことができるようになりました。
グーグルの検索で(音声でもいいのですが)「紫系の秋の花で、高原や山で咲くのはな〜に?」と聞くといろいろな花がぞろっと出てきますから、そっくりさんや似た花をクリックするとそのウェブページ(ブログやホームページなどの該当ページ)へ飛びます。
そこで候補を絞って、花の名前で検索し直すと、しばしば「似た花」を比べているサイトもありますから兄弟の違いみたいなところまでわかったりします。
私がしばしば参考にさせてもらう『松江の花図鑑』だと解剖所見みたいなところまで見せてくれます。
検索画面の1ページ目にあるものはしばしば口当たりのいいものが多いので、どうしても調べたいときには5ページ目ぐらいまではめくってみます。
そうやって名前がほぼ確定したら、名前+地域、名前+花期、名前+栽培法……など無理やり質問をしてみると突如真面目な学術報告が出てきたりするのです。

そういうネットサーフィンだと「顔」だけで探索が進んでいきます。印刷された図鑑だと標準的な写真や図をいかに厳密に選ぶかが編集の基本ですが、情報垂れ流しのネット上にはベストでない写真、ベターでもない写真、さらに全く関係のない写真まで乱雑に置かれています。だからすっぴんの花だって見つかったりするのです。これは印刷文化からネット文化に切り替わったことによる大きな違いです。
この、糸の会の「山図鑑」のno.198「高山」の11時26分撮影の写真のところでグーグルの画像検索について(長々と、以下のように)書きました。
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じつはほんの数年前まで、グーグルの「画像」検索は実用レベルではないと感じていました。ところがいま、画像認識におけるAI 技術は飛躍的に能力を上げています。
加えて、グーグルでは画像につけられた文字情報を効果的に利用するようになったようです。とくに画像のファイル名に加える「alt 属性」(代替属性。画像を表示できない、音声で判断したいというときに利用する代替テキスト)が重要な役割を果たすようになり、「画像公開に関するGoogleのガイドライン」にいろいろ書かれています。
【代替テキスト(画像について説明するテキスト)は、スクリーン リーダーを使用するユーザーや、低帯域幅のネットワークを使用しているユーザーなど、ウェブページの画像を確認できないユーザー向けの補助機能として役立ちます。
Google では、代替テキストに加えて、コンピュータ ビジョン アルゴリズムやページのコンテンツを使用して、画像のテーマを理解します。また、画像の代替テキストは、画像をリンクとして使用する場合にアンカー テキストとして使用できます。
代替テキストを設定するときは、キーワードを適切に使用して、ページのコンテンツのコンテキストに沿った、情報に富む、有用なコンテンツを作成するようにしてください。alt 属性にキーワードを羅列すること(キーワードの乱用)は避けてください。これによって、ユーザー エクスペリエンスが低下し、サイトがスパムとみなされる場合があります。】
【Google 画像検索では、ウェブ上の画像を検索できます。画像のキャプション、わかりやすいバッジ、AMP 結果などの新しい機能により、ユーザーは画像の詳しいコンテキストを使用して、すばやく情報を探索できます。
画像に関するコンテキストを追加すると、利便性が増すため、より良質なトラフィックをサイトに呼び込むことにつながります。また画像やサイトを Google 画像検索用に最適化することで、ユーザーは目的のコンテンツを見つけやすくなります。Google 画像検索の検索結果にコンテンツが表示される可能性を高めるには、Google のガイドラインに沿って対応してください。】
グーグルの画像検索に最適かどうかまだわかりませんが、この「山図鑑・高山」の写真の全てに「高山=登山」という山名を「alt 属性」としてつけます。さらに具体的にこれが「ズミ」と確定できれば、それも加えます。いずれ「ズミ」と検索するとこのあやしい写真が表示され、それを開くとこの長大なキャプションが迫ってくる、と考えていいのです。
グーグルの画像検索が能力を飛躍させた結果、AI 図鑑としての価値を日々増していると感じます。糸の会の山図鑑がいつどのようにそれに参加していくことになるのか楽しみです。

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つまり名前が正しければ幼少期の姿であれ、老衰時の現実であれ、群像であれ、人生のすべての顔が「画像」として並べられる可能性があるということのようです。そしてそれは自分のサイトでも小規模ながら実現できるということなのです。
植物図鑑というにはおこがましいのですが、米帝国主義傘下の花図鑑ながら、新しい可能性を実現できると感じています。
そういう考えから、この八方尾根登山では「花図鑑」の作成という可能性をすこし加味した(ちょっと新しい)山旅を試みてみたいと考えたのでした。

唐松岳登山、八方尾根、タカネマツムシソウ
【撮影】1日目 14時00分=秋田 守
タカネマツムシソウ。翌日、一眼レフのマクロレンズで撮影した別カットがあるので見比べてほしい。この花は比較的紫色が薄かったが、もっと濃い紫色の花も見受けられた。紫色ではない色のものもあり、白っぽいのはどこかで見た覚えがあるけど、淡紅色の花もあるという。見てみたい。なんとなくどこでも普通によく見かけているような気がしていたが、各地で減少していて、レッドデータ入りしているらしい。もっと愛でてあげなきゃ。

唐松岳登山、八方尾根、八方池
【撮影】1日目 14時01分=矢野 博子
八方池。雲が低く垂れ下がってきて これから先の天候が気になり 雨具を 取り出しやすい一番上にしまった。ここまでは 多くの観光客もいたが これから先が本格的な登りとなった。

唐松岳登山、八方尾根、シモツケソウ
【撮影】1日目 14時03分=伊藤 幸司
シモツケソウです。
花の名前を何らかの立場で公にした人たちのセンスというか、文化度というか、真面目さなどにしばしば絶句するのですが、オオイヌノフグリなどはその最右翼。ちゃんと見たこともない犬の陰嚢の姿を繰り返し要求されます。カラマツソウや、モミジカラマツだって「どこにアイデンティティを求められるの?」というつまらないことを毎回思うので嫌になります。おかげでその名前、忘れないのですが。
それに比べるとシモツケソウはご当地系の名前ですから、日光なにがし(某)、白山某、筑波某、富士某と同じで栃木県の旧国名・下野に由来するわけです。
……で、『山の花1200』(青山潤三)の『シモツケソウの仲間』のところを読むと。さらにちょっと複雑になります。
『シモツケとシモツケソウほど紛らわしい存在も、そうないと思う。ともにバラ科だが、シモツケはシモツケ亜科、シモツケソウはバラ亜科に属し、類縁的には相当離れている。シモツケソウの名はシモツケ(下野=栃木県に由来するが、特に下野地方に多いというわけではない)に似た草本、ということでつけられたもの。しかし草本とはいっても草丈は高く、むしろ低木のシモツケを凌駕するほどである。両者は開花期も生育環境もよく似ていて、隣り合って生えていることも少なくない。』
なんとシモツケソウの看板をかかげながら、シモツケが本家だということらしい……のです。
しょうがないので『シモツケの仲間』の方を読んでみました。
『庭によく植えられている低木に、小さな白い花を文字どおり雪のように満載した、ユキヤナギ、コデマリ、シジミバナの、シモツケ属栽培種がある。』
なんだかシモツケがどんどん偉く見えてくるじゃないですが。ここはシモツケソウの写真ですが、シモツケに脱線しないわけにはいかない気分です。

『原色日本樹木図鑑』(保育社・1959年)を見ると、たしかにシモツケ属にユキヤナギ、コデマリ、シジミバナなどがあって、それぞれに「観賞用として植栽」と書かれているのです。そしてシモツケのところには「花は赤で古くから栽培されている」とのこと。
するとその「シモツケ」という名は、明治時代以降の植物分類学のために学者の誰かが名付けたというものではないのかもしれないと思い、麓次郎著『四季の花事典 花のすがた・花のこころ』(八坂書房・1985年)を開いてみると、ありました。『ユキヤナギ』のところにシジミバナがあり、コデマリがあり、シモツケがあって『元来、ユキヤナギ、シジミバナ、コデマリなどを包含するシモツケ属の植物は落葉低木で叢状のものが多く、北半球の温帯、亜寒帯に約100種が分布している。このうち日本には二十五種が原生しているが、以前から日本で庭樹または切花用などとして普通に栽培されているは、前記三種のほかはシモツケとその品種だけである。』
『庭園や垣根に植えられ、また、いけ花にもよく用いられている植物で、栽培はコデマリやユキヤナギなどよりだいぶん古いようである。変異性に富み、白花、濃赤色花はもとより斑入葉のものまで知られている。初夏の頃、株全体が美しい小花でおおわれている様子はじつに見事である。清少納言も「枕草子」六七段「草の花は」の項の末尾に「……されど なお夕顔といふ名ばかりはをかし しもつけの花 葦の花」と記し、賞美している。』
……とのことです。

唐松岳登山、八方尾根、ハッポウアザミ
【撮影】1日目 14時04分=伊藤 幸司
アザミを撮りました。石原敏行さんの『八方尾根の花』に出てくるアザミはオニアザミ、ノアザミ、ハッポウアザミの3つだけですから、まず間違いなくハッポウアザミだと思うのですが、『茎は上部で分枝し薄いクモ毛がある。枝先に1〜6個の花を上、横向きにつける。』というレベルの解説では八方の名をつけたものの解説としてはテンションが低すぎます。信頼度にもかかわります。

それとそこに使われている写真の葉と比べると私のはちょっと繊細すぎやしませんか? という感じがしたので、ネットで「八方尾根のアザミ」を探ってみることにしました。
最初に見たのは『四季の山野草』というサイトの『ハッポウアザミ』でした。
『アザミは種類が多くて似通ったものが多く同定できることは珍しい。
でも、八方尾根ならではの 看板の おかげで、安心して紹介することができる。
葉だけでなく、花についた鎧のようなトゲが、なんとも見事だ。
ハッポウアザミの花は、石神井ケルンの近くに咲いていたもの。
まだ、アザミの季節にはちょっと早いのだろう。咲いていたのはこの一株だけだった。
ハッポウアザミについては、ナンブアザミ亜節キソアザミ列に属するタテヤマアザミやセンジョウアザミの仲間で、日本固有種としかわかりませんでした。 』
ずいぶん詳しい人のようです。できれば八方尾根で見られる花の一覧はないかなと探したのですが、見当たりません。
『森林インストラクター 岳の発見!』というサイトに『北アルプス、唐松岳はベージュと白い山だった。』という2015.9.17日のレポートがありました。そこにアザミの写真があって、そのキャプションが気になりました。
『ハッポウアザミ キク科  蛇紋岩に生えるタテヤマアザミの変種 八方池周辺のみ』
……つまりこれだけで、ハッポウアザミの親戚関係として『ナンブアザミ亜節キソアザミ列に属するタテヤマアザミやセンジョウアザミの仲間』というのと『タテヤマアザミの変種』という記述が出てきたわけです。そうなると軽く確かめて見たくなります。なにしろ「ハッポウ」アザミの素性に関する疑問ですから。
私の知るべき範囲を定めてくれる『山の花1200』にはハッポウアザミは出てきません。タテヤマアザミの項にはダイニチアザミがあり、センジョウアザミはホウキアザミの項に。シコクアザミの項にナンブアザミ、シロウマアザミ、トネアザミ、ヨシノアザミ、ヤツガタケアザミの名がありました。
そこで『フィールド版 日本の野生植物 草本』を見てみるとアザミ属の検索表に48の種(和名)が並んでいます。もちろんタテヤマアザミがありますがそこには「変種ダイニチアザミ」があるだけ。ナンブアザミもあって、そこには「変種トネアザミ(別名タイアザミ)」「変種イガアザミ」「変種ヨシノアザミ」「変種シコクアザミ」が列記されています。キソアザミだのセンジョウアザミはありませんし、ハッポウアザミも。
植物分類学上の検索表というのはかなり確定したものかと思って『原色日本植物図鑑 草本編[1]合弁花類』でアザミ属を見てみると27の和名が並んでいます。タテヤマアザミは白山アザミの項に出てくるのですが、その下にダイニチアザミがあるだけです。

さて、どうしたものかと思って「ハッポウアザミの名付け親は?」と検索してみたら『国立科学博物館植物研究部・日本のアザミ』というサイトの『ハッポウアザミ』が出てきました。
【分類=ナンブアザミ節ナンブアザミ亜節ノリクラアザミ列】
【和名=ハッポウザミ】
【種名=Cirsium happoense】
キャッチフレーズ=長野県八方尾根に特産し,中型の頭花を下向きに咲かせるアザミ】
【基準産地=長野県白馬村八方尾根】
【記載=日本固有種.茎は高さ0.4-0.7 m,直立〜斜上し,単純あるいは上部でわずかに分枝する.根生葉は花期には生存しない.茎葉は卵状披針形,長さ12−20 cm,羽状に深裂し,羽片は5−9対.花期は8月〜10月.両全性.頭花は単生あるいは数個が疎らな総状花序に付き,長い柄の先に点頭する.総苞は広鐘形〜鐘形,生時で直径15-20 mm,総苞片は6−7列,斜上〜反曲し,クモ毛があり,総苞外片は狭卵形で内片とほぼ等長.腺体は披針形,内片と内側の中片にあり,総苞は少し粘る.小花は鮮やかな紅紫色,長さ14-16 m,狭筒部は広筒部より長い.痩果は暗褐色,長さ3.5 mm,冠毛は長さ8-13 mm.長野県八方尾根の固有種で,蛇紋岩地の草原に生える.】
【分布=長野県白馬村八方尾根】
【ノート=蛇紋岩地に生える高山植物.北アルプスの高山帯に普通に生えるタテヤマアザミとは,茎葉が深裂し,総苞片に腺体があることで区別できる.八方尾根の蛇紋岩地には本種が,上部(非蛇紋岩地)にはタテヤマアザミが生育し,明瞭な棲み分けが見られる.】
この情報によれば、石原敏行さんの『八方尾根の花』にはタテヤマアザミも入れておかなければいけなかったですね。
……したがってこの写真は八方池の直前の蛇紋岩地で撮っていて、葉の深裂が繊細すぎるという懸念があったので悩んだのですが、間違いなくハッポウアザミの全身像だろうと思います。

唐松岳登山、八方尾根、マツムシソウ
【撮影】1日目 14時05分=矢野 博子
池の脇にさくマツムシソウの群落。マツムシソウは ひっそりと数本咲いているのはよく見かけるがこんなに沢山咲いているのは あまり見たことがない。この花の色は 紫が強いものと青が強いものがあって夫々きれいだが 私は 青の強いほうが好みだ。

唐松岳登山、八方尾根、タカネナデシコ
【撮影】1日目 14時05分=伊藤 幸司
タカネナデシコの印象というのは、こんなふうになってもあまり変わらないということがわかります。天候のせいでしょうかね。
ふと、花言葉を知りたくなったら、『NAVER まとめ』というサイトに『日本の花 なでしこ(撫子)高嶺の花 花言葉──なでしこジャパンの名前の由来となった花、日本に咲く「ナデシコ」をまとめてみました。 更新日: 2015年07月05日』というページがありました。著者は『utsunomiya-takaさん』とのこと。
それによるとカワラナデシコの花言葉は『可憐な純情』、タカネナデシコの花言葉は『純愛、無邪気』だそうです。
ついでに『GKZ植物図鑑』の『タカネナデシコ』を覗いてみました。
『語源=和名は、高山帯に見られるナデシコの意〜。/属名は、Dios(=ゼウスつまり、ジュピター)とanthos(=花)の合成語で、花の美しさをたたえている。/種小名は「気高い、立派な」の意。/変種名は「南アルプス赤石山脈の」の意。/変種名は「美しい、華やかな」の意。
学名=Dianthus superbub var.speciosus』
なお『花言葉=純愛』だそうです。

唐松岳登山、八方尾根、カライトソウ
【撮影】1日目 14時05分=伊藤 幸司
この時期は、カライトソウがあちこちにありました。きちんと見ずにそう思っているのですが、この穂の色と姿に、たぶん間違いはないでしょう。

唐松岳登山、八方尾根、タカネナデシコ
【撮影】1日目 14時05分=秋田 守
タカネナデシコの咲き残り。ほとんど咲き終えていたのではないか。よそでもあまり見かけなかった。ナデシコと言えば、そもそもヤマトナデシコという表現はどうして生まれたのだろうか。撫でし子、なでるようにかわいがっている、愛しい子という所から、その愛すべき日本女性を、植物のヤマトナデシコにもたとえて呼ばれるようになった、というもっともらしい説明を見かけたが、なにかもうひとつ腑に落ちない。まあどうでもいいが。

唐松岳登山、八方尾根、八方池
【撮影】1日目 14時07分=伊藤 幸司
八方池です。雲が低く垂れ込めて、これから先の天気のほうが心配で、気分は重い、状態でした。

唐松岳登山、八方尾根、カライトソウ
【撮影】1日目 14時08分=矢野 博子
これも八方池脇に色をそえていた カライトソウ。水面によく映える。今回の山行では ちょくちょく現れた。

唐松岳登山、八方尾根、八方池
【撮影】1日目 14時09分=小林 美子
八方池。
まわりの山の山頂は雲が覆っているので、
池には映ってなくて、残念でした。
でも22日(明日)の写真には
絵はがきのような、景色がみられますよ。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 14時09分=伊藤 幸司
八方池から見上げると稜線上の道には登山者と観光客とが混在しています。ここがその、まだ登る人と、もう降りる人との分かれ目です。

唐松岳登山、八方尾根、タカネマツムシソウ
【撮影】1日目 14時10分=小林 美子
1ヵ所にこんなに、
たくさんのマツムシソウが咲いているのは初めてかもしれない。

唐松岳登山、八方尾根、タカネマツムシソウ
【撮影】1日目 14時10分=三浦 陽子
濃い色合いが美しいタカネマツムシソウ。

唐松岳登山、八方尾根、タカネマツムシソウ
【撮影】1日目 14時10分=伊藤 幸司
タカネマツムシソウがきれいに咲いていました。なかなかいい群落風景です。

唐松岳登山、八方尾根、タカネマツムシソウ
【撮影】1日目 14時11分=伊藤 幸司
タカネマツムシソウ。もちろん、全体を撮ったら接近して部分も。
『山の花1200』ではマツムシソウの解説に『茎頂きに、内側に筒状花が集まり、外側に裂片が波打ちながら広く伸びた淡青紫色の舌状小花が並んだ、経4cmほどの頭花を1輪ずつつける。』とあり、さらにタカネマツムシソウの解説に『変種タカネマツムシソウは、草丈が低く、頭花はより大きく、濃色。』とあります。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 14時11分=伊藤 幸司
クガイソウに混じって薄い紫色を帯びた白い野菊。まずはノコンギクかと思いましたが、白い花のゴマナが『八方尾根の花』にありました。
ネット上で探ってみると、ゴマナもノコンギクも八方尾根にはあるようです。

唐松岳登山、八方尾根、ワレモコウ
【撮影】1日目 14時12分=三浦 陽子
ワレモコウと枯れた草の組み合わせがいいなと。

唐松岳登山、八方尾根、クガイソウ
【撮影】1日目 14時12分=伊藤 幸司
これはクガイソウ。ただし花は完全に終わっています。そこで「クガイソウの実、種」と検索してみました。
するとドン・ピシャ。『クガイソウの実と種』というウェブページがありました。YAHOO! ブログの『野の花山の花』のようです。
このページ2006/11/20で『練習用』とありますからいつまで見られるかわかりませんが、穂先と種が紙の上に置かれた写真が1枚あって【クガイソウの実と種は、ヒメトラノオとまったく区別がつきません。種は2月末ごろ、砂などに蒔きます。多湿は禁物です。また、発芽後ヨトウムシなどの被害に要注意です。】とのこと。

突如「ヒメトラノオ」などという私には見逃せない名前が出てきたので「クガイソウ、ヒメトラノオ」と検索してみると、出てきました。
フリーカメラマン(だった?)人の『旅は犬連れ、花日和』というサイトで『クガイソウ(ゴマノハグサ科クガイソウ属)ヒメトラノオ(ゴマノハグサ科ルリトラノオ属)』という見出しが立っていました。
それによるとアウトドア雑誌の仕事をするようになって小川の岸に群生していたクガイソウと出会ってしまったのだそうです。
【まさに一目惚れ。好みのタイプとか、よく言われるけれど、花茎に小花が細長く付く穂状花序と呼ばれるものに、僕はいたって弱い。好みのタイプなんだなア。これが。】
で、あるとき【高原に紫色の花穂を見つけた時には、思わず走り出した。】というのです。
【で、で、走り寄ってみれば、これはクガイソウではなくて、同じゴマノハグサ科だがルリトラノオ属、図鑑によっては、クワガタソウ属のヒメトラノオであった。
 遠目には、風情のよく似た花だが、近付けば、クガイソウの花は、先が浅く四裂した筒状の花冠から、雄蘂が突出した細い花が集まって花序をつくっている。
 一方、ヒメトラノオは、ルリトラノオ属をクワガタソウ属に含める説もあるぐらいで、ひとつ一つの花には筒部があるが、四深裂して、クワガタソウの仲間達に似ている。花序も数本ついているものが多く見受けられる。クガイソウの葉は4枚から8枚の輪生で、対して、ヒメトラノオの葉は対生である。違いは歴然、受ける印象も堅く剛健で、繁殖力も、余程クガイソウより強そうである。】
そこで終わればよかったのに、話はヒメトラノオに移ったのです。
【ところでヒメトラノオ、僕等は最終的にヒメトラノオという事にしたのだが、実は、同定にさんざん苦労して、結果、自信がない。まァ、同定には常に自信なんてないのだけれど、ヒメトラノオという種自身を取り上げていない図鑑も多いのである。要は、ヤマトラノオの亜種らしい。】

なんだか道を間違ったような気分になっていたら、今度はクガイソウとルリトラノオの花が並んでいる画面が出てきてしまいました。
『自然観察日記』の『クガイソウとルリトラノオ』です。
それによると2011年の8月8日に伊吹山に行って来たのだそうです。
【ルリトラノオが一番綺麗な時期だったんですね。クガイソウもまずまず綺麗で、両方がしっかり楽しめました。
良く似たこの二つを比較してみます。
科:どちらもゴマノハグサ科ですが、属はクガイソウ属とルリトラノオ属です。
分布:クガイソウは本州の山地に広く分布しています。ルリトラノオは伊吹山特産種で伊吹山にしかありません。
開花時期:クガイソウの方がやや早い。ルリトラノオ8月上旬がピーク。
花色:良く似た青色ですが、ルリトラノオの方が鮮やか。】
【葉:クガイソウは4〜8枚輪生する、縁には鋭い鋸歯。ルリトラノオは2枚が対生上から見ると十字、縁には鋸歯。
花序:クガイソウは茎の頂きに長い(10〜20cm)総状花序を普通1本つける。ルリトラノオは花序は1本の事もあるが、多くは葉腋から2本で計3本の花序が立つ事が多い、さらに下の段の葉腋からも出て5本の場合もある。写真の左の株の方は3本で右の株は5本出てます。】
【クガイソウの花:筒状花の先は浅く4裂し、パッと開きません。
ルリトラノオの花:筒状花で深く4裂し、ロート型に開きます。
雄しべは2本雌しべは1本は同じですが、葯の色が違います。クガイソウ葯が開く前は淡紅紫色ですが、ルリトラノオは白です。
花が咲くと、クガイソウでは花冠の外側が見えていますが、ルリトラノオでは内側が見えています。】

糸の会ではルリトラノオを見ようと伊吹山へ2度行っています。1回目は2003年7月15日。新幹線往復の日帰りで、京都で祇園祭・宵宮の弾丸ツアーつき。2回目は2006年7月11-12で、1日目は琵琶湖畔ドライブの後、長浜の料理旅館泊まり。……いずれもおまけは面白かったけれど、ルリトラノオには1か月早かったということになります。(反省)

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 14時12分=秋田 守
八方池近くにあった飯森神社奥社。飯森神社は千国街道飯森宿にある。南北朝時代に八方池に棲み村人に悪さをしていた大蛇を鎮めるために八方池畔に社殿を建て祈願したのが起こりと伝わる。そのために今も八方池そのものが麓の飯森神社の奥之院として信仰対象となっており、雨乞い、水乞いに御利益があるという。後で分かったこと。その場でそこまで分かっていたならば、奥社と八方池を一緒に入れた写真を撮っていたのに、残念無念。

唐松岳登山、八方尾根、カライトソウ
【撮影】1日目 14時13分=小林 美子
カライトソウは、終わりに近づいていた。
少し枯れはじめていたけど、
今回 見たい花でした。

唐松岳登山、八方尾根、カライトソウ
【撮影】1日目 14時15分=伊藤 幸司
八方池の岸辺にあったカライトソウ。『山の花1200』には次のような解説がありました。
『ミヤマワレモコウとの混生地(白馬八方尾根など)では雑種ハッポウワレモコウ、タカネトウウチソウとの混生地(白馬雪倉岳など)では雑種ユキクラトウウチソウを生じる。』

唐松岳登山、八方尾根、オヤマリンドウ
【撮影】1日目 14時16分=秋田 守
八方池が見えると、右手から池畔へと下り、給水休憩。いいペース。池のすぐ側で見かけたオヤマリンドウはものすごく深く濃い紫色をしていた。光線の加減もあったのかもしれないが、その後、こんな色のオヤマリンドウは見かけることはなかった。近くにはカライトソウ、ワレモコウ、ミヤマコゴメグサなどが見られた。そういえば、池の水に手を突っ込んでいなかった。どのくらい水が冷たいのか確かめてみるべきだったなあ。反省。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 14時32分=伊藤 幸司
これはやっかいなセリ科のどれかです。『白馬八方尾根』には9種類が出ています。ミヤマウイキョウ、シラネニンジン、ミヤマセンキュウ、タカネイブキボウフウ、ハクサンボウフウ、ミヤマトウキ、オオバセンキュウ、アマニュウ、シシウドです。

その旧版(『白馬岳 八方尾根 花の旅』1998年)にはわざわざ見開きの図版で11種類の全体図と葉の模式図をまとめているので、今回私は意気込んで、それを持参していました。でも、これじゃぁわかりません。
『せり科の植物はどれもおなじような姿で、区別をするのは容易ではない。ここでは八方尾根で見られるせり科の植物を図解する。』ということで旧版にはさらにミヤマゼンコ、イブキゼリモドキとあり、シシウドはミヤマシシウドとなっていました。図で見ると枝ぶりや葉の形はずいぶん違うのに、図形の記憶力に全く自信のない私はお手上げです。

唐松岳登山、八方尾根、ウツボグサ
【撮影】1日目 14時37分=矢野 博子
ウツボグサの仲間だろうか。この色は鮮やかでこの花もよくみると かなり複雑な造形をしている。

唐松岳登山、八方尾根、ダケカンバ
【撮影】1日目 14時37分=伊藤 幸司
八方尾根の先、観光歩道から登山道になるとダケカンバの巨木が立ち並ぶ樹林庭園に入り込みます。
白馬観光開発の『八方アルペンライン』というサイトに『八方尾根レポート Q& A』があって『高山のお花が多く、大きな木がないのはなぜ?』という設問がありました。
【八方の特殊な地質・植生の逆転現象とは!?
特殊な「蛇紋岩」と呼ばれる地質により、黒菱平から八方池上部付近まで、本来標高2500m以上の高山でしか見られない低木林や希少な花々が咲き、八方池上部より上になると、標高が高くなるにもかかわらずダケカンバ林が現れます(下ノ樺・上ノ樺)。このように通常は現れないはずの低い標高に高山植物が生育し、高い標高にダケカンバ林が生育している逆転現象が八方尾根の特徴です。
また半年間もの間、3〜4mにもおよぶ雪の下で、厳しい寒さの環境を耐えた貴重で豊富な高山植物をすぐ足下に見ることができます。】

つまりここでようやく標準的な植生の亜高山帯に入ったということですが、その蛇紋岩についてもQ&Aがありました。
【蛇紋岩(超塩基性岩)は「かんらん岩」などの超塩基性岩が蛇紋石化によって生成したもので、紙を重ねたように見える葉片状の部分と、塊状の部分がみられます。表面がヘビの皮の模様に似ていることから蛇紋岩と呼ばれ、マグネシウムや鉄などを多く含む岩石です。
水分を含むと破砕、風化しやすく粘土質となり、土壌間の結合が弱いために、地層の流動を起こしやすいのです。また、マグネシウムの成分が植物の水分吸収能力を低下させることから、乾燥に耐えられるアカマツ林や、根の浅いツツジ科植物の群落になることが多く、生存競争が低いことも加わって特有の固有種が生育するなどの特徴があります。】
このダケカンバ林によって、蛇紋岩地帯が終了したということのようです。

唐松岳登山、八方尾根、オヤマソバ
【撮影】1日目 14時40分=伊藤 幸司
オヤマソバです。富士山の高山帯に生えるオンタデと似ていて『八方尾根の花』に出ていなければ悩んだところです。
じつはオヤマソバとオンタデはごく近い仲間でオンタデ属です。
『ウィキペディア』の『オンタデ属』によると【世界に10数種分布し、日本には3種ある。】とのこと。
それによるとヒメイワタデ、オヤマソバ、ウラジロタデにオンタデです。えっ? 3種? 4種?
じつはこのオンタデ属では花が単性で雌雄異株のものがウラジロタデ、その裏白に綿毛がない変種がオンタデ、花が両性のものがヒメイワタで、葉枝が短くあればオヤマソバという関係(すなわち3種1変種)というのが『フィールド版 日本の野生植物 草本』の見解。
『山の花1200』では『葉は卵型。淡緑白色の小さな花を、円錐状に密につける』オヤマソバが見出しとなっていて北海道に細長い葉をつけるヒメイワタデ。ウラジロタデは雌雄異株で果期の雌花序が美しい鮮赤色になり『葉の裏面が緑色で毛の少ない変種をオンタデと呼ぶ』と説明しています。
それでようやく、オヤマソバとオンタデが若い頃によく似ているのだという理由がわかりました。

唐松岳登山、八方尾根、ウツボグサ
【撮影】1日目 14時41分=伊藤 幸司
紫色の花弁が残っていてウツボグサとわかりました。『八方尾根の花』にはタテヤマウツボグサとあって、高山種。ウツボグサの亜高山帯の小型種を変種ミヤマウツボグサと呼ぶようです。
『山の花1200』のタテヤマウツボグサの項には次のような文も。
『北アルプス八方尾根中腹の蛇紋岩崩壊地に生えていた個体(*写真)は、花序に毛を欠き全体にひ弱な感じだが、本種の変異形の可能性もある。』……そういう「変異形」がハッポウウツボグサとしてデビューしたりするのかもしれませんね。写真のこのタテヤマウツボグサとは生存環境が違いますが。

唐松岳登山、八方尾根、シモツケソウ
【撮影】1日目 14時41分=伊藤 幸司
シモツケソウの花がかなりきれいに咲いていました。

唐松岳登山、八方尾根、シモツケソウ
【撮影】1日目 14時41分=伊藤 幸司
シモツケソウとアザミの競演、なんですが、それがオニアザミかハッポウアザミかわかりません。『八方尾根の花』にはオニアザミとハッポウアザミが両方でていますから、そのどちらかではあるのですが。
そこで『国立科学博物館植物研究部』の『日本のアザミ』で『ハッポウアザミ』を開いてみると、ありました。
【長野県八方尾根に特産し,中型の頭花を下向きに咲かせるアザミ】で、
【蛇紋岩地に生える高山植物.北アルプスの高山帯に普通に生えるタテヤマアザミとは,茎葉が深裂し,総苞片に腺体があることで区別できる.八方尾根の蛇紋岩地には本種が,上部(非蛇紋岩地)にはタテヤマアザミが生育し,明瞭な棲み分けが見られる.】
……ということは、これはタテヤマアザミかもしれませんね。

唐松岳登山、八方尾根、シモツケソウ
【撮影】1日目 14時41分=伊藤 幸司
シモツケソウの花をクローズアップしてみました。ひとつひとつの花の顔が見えてくると、印象がガラリと変わったように思います。
『四季の花散歩』の『シモツケ花散歩』がなぜか検索にかかってきました。
そこでは木本のシモツケを驚くほど広範囲に見せてくれているのですが、紛れ込んだかのように「アカバナシモツケソウ」があったのです。それも八方尾根の。
【長野八方尾根八方山に群生するアカバナシモツケソウの花写真(撮影2013.8.27)。長野八方尾根八方山(標高1974m付近)に群生するアカバナシモツケソウ(Filipendula multijuga var. ciliata 他)の花色は素晴らしいです】

そこで「八方尾根のアカバナシモツケソウ」と検索してみるとありました。
『信州の自然と環境!!』というブログに『八方尾根散歩(6)アカバナシモツケソウ、クガイソウ、ハクサンシャジン』がありました。
【シモツケソウと言う名前のように下野の国に多かったのかと思う。下野の国って確か栃木県だったと思うのだが長野県では標高1000m位から2000m位の山にはどこにでもある普通の花。亜高山帯から上にあるものはアカバナシモツケソウとも言うそうでこの赤い花は中々綺麗。
濃いピンク色の小さな5弁花を散房状につけ、雄蕊が特に赤い。】

しかしシモツケソウかアカバナシモツケソウかについては『Nature Log 植物記』の『シモツケソウ』にこう書かれていました。
【北アルプスの花の本やガイド記事にはアカバナシモツケソウの名前を見ることがあるが、本当にアカバナシモツケソウであることを確認しているのか、特にシモツケソウの名前は一切出てこずアカバナシモツケソウの名前しか出てこない記事は疑問に感じる。北アルプスにはアカバナシモツケソウしか分布しないという思いこみで、すべてをそれだとして判断している疑いがある。『長野県植物誌』の分布図を見ても北アルプスには両方分布するようだし、花期における外見上での区別は難しいことを考えると、どうも怪しい。なお、以下に掲載するシモツケソウも北アルプスで撮影したものなのでシモツケソウなのか、アカバナシモツケソウなのか不明。ただ不明なのであれば、わざわざ変種名の方で呼ぶのではなく、その母種の名前で呼んでおく方が無難というものだ。】
やっぱり、ここは「シモツケソウの花」ですかね。

唐松岳登山、八方尾根、ダケカンバ
【撮影】1日目 14時42分=伊藤 幸司
ダケカンバの大木。老木という風格を感じました。よくよく風雪に耐えてきたという雰囲気が漂っていました。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンシャジン
【撮影】1日目 14時43分=伊藤 幸司
ハクサンシャジンです。『日本の山1200』では『ハクサンシャジン』について次のように書かれています。
【「トトキ」の名で山菜として知られるツリガネニンジンは、低地産の変種ツリガネニンジンや基準変種サイヨウシャジンをはじめ、多くの亜種、変種に分けられている。ハクサンシャジンは、本州中部以北に産する高山性変種。】
ちょっとよくわからないので『フィールド版 日本の野生植物 草本』の『ツリガネニンジン属』を見ると、そこに『ツリガネニンジン』があり、
ツリガネニンジン(北〜九・樺太。山野や高原)
『基本種=サイヨウシャジン(ナガサキシャジン、本=中国地方・九・中国)』
『変種=ハクサンシャジン(北・本州=中北部。高山草地)』
『変種=オトメシャジン(四=東赤石山。岩地)』
ハクサンシャジンでいいのだと思います。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンシャジン
【撮影】1日目 14時43分=伊藤 幸司
ハクサンシャジンは、ある時期にはこの八方尾根の主役になっていたと思います。

唐松岳登山、八方尾根、シモツケソウ
【撮影】1日目 14時44分=伊藤 幸司
赤いサンゴのような雰囲気ですが、シモツケソウの実だと思います。葉っぱも写り込んでいますがまだピンとしています。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 14時53分=伊藤 幸司
これ何でしょうか、ねえ。好きなんでどうしても撮ってしまうのですが、これがシラネニンジンなのか、ハクサンボウフウなのか、ミヤマトウキなのか、そんなことは全然わかりません。撮るときにはどこかに虫がついていないか探してしまって、相手の名前なんか、どうでもいいという感じなんです。改めて写真で見ても、いい風景ですよね。

唐松岳登山、八方尾根、コバイケイソウ
【撮影】1日目 14時53分=伊藤 幸司
『八方尾根の花』にはコバイケイソウしか出ていないので、念の為「ミヤマバイケイソウ、八方尾根」と検索してみたら初めて見る、不思議なリストが出てきました。
画面上部には『花の名前でサーチ』とあって、自動的に『バイケイソウ』と出ています。
『21件ヒットしました。1件目〜10件目を表示します』として、どうも保存されている花の写真から「バイケイソウ」「コシジバイケイソウ」「コバイケイソウ」……と「バイケイソウ」がらみの写真を立体で見せてくれているようです。サイト名の『www.plants3d.org』は植物立体写真という意味なんですね。関心のある方はぜひにらめっこしてみてください。
このサイトの21件の中で八方尾根で撮影されたのは
10点(インデックス写真2点、交差法立体写真4点、平行法立体写真4点)で、すべて「コバイケイソウ」でした。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンシャジン
【撮影】1日目 14時55分=伊藤 幸司
ハクサンシャジンが、一瞬「咲き乱れている」という雰囲気を見せてくれました。

唐松岳登山、八方尾根、タカトウダイ
【撮影】1日目 14時56分=伊藤 幸司
『八方尾根の花』のおかげで、これがタカトウダイかハクサンタイゲキのどちらかだというところまでは一発で決まりました。
そこで検索画面からこの『比較画面』『トウダイグサの仲間』に移ると『タカトウダイ』と『ハクサンタイゲキ』の相違点を比較することができました。
タカトウダイには【高原に多い種。草丈が人の腰より高くなる種は,ほかにハクサンタイゲキがあるが,本種は子房に毛がないので見わけられる。】とあり、ハクサンタイゲキには【亜高山に生える種。タカトウダイと同じところに生えていることもあるが,子房の毛を確かめればまちがえることはない。苞葉の黄色が鮮やかなのも,本種の特徴。花期は夏。伊吹山には小型の変種,イブキタイゲキがある。】
そこでオリジナル写真で拡大してみると、この写真の、まだ緑色の子房のところには毛がないと判断、タカトウダイと確定することができました。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマトリカブト
【撮影】1日目 14時57分=伊藤 幸司
『八方尾根の花』によればミヤマトリカブト……ですが、念のために「ミヤマトリカブト」で検索してみました。
『四季の山野草』というサイトに『ミヤマトリカブト』があってお隣さんという感じの『栂池自然園』のトリカブトについて書かれていました。
【栂池自然園には2種類のトリカブトがあって、その判別が難しい。
ここでは、写真を拡大した時、花柄に屈毛があると思ったらミヤマトリカブトとしている。
両方あるんだな、と思って楽しんでもらえると助かります。】というのです。さらに、
【ミヤマトリカブトについては、今度行ったら、きっちり確かめたいと思っている。
通常、ロープウェイで販売される「花情報」にはミヤマトリカブトが掲載されていない。
2016年8月中旬に訪問した際、ビジターセンタの方に尋ねた所、栂池自然園入口の小さな囲みにある数株のトリカブトは隣り合わせでヤチトリカブトとミヤマトリカブトが並んで咲いていることがわかった。
そこではっきり、直毛と屈毛をルーペで確認し、
写真も撮って花図鑑に区別する方法として掲載した。
さて、栂池自然園に入って毛の状態を確認してみると、かなりの割合でミヤマトリカブトが生えており、とくに木道の左側(中央寄り)に多いようであった。】

そこで今度は「ヤチトリカブト」で検索してみると、また同じ『四季の山野草』というサイトが出てきました。
『四季の山野草/山野草図鑑』の『ヤチトリカブト』です。
【谷地鳥兜。和名は谷地(湿地)に生えるという意味で、基準標本が上高地の谷間で得られたため。しかし、本種は北アルプス高山帯に広くふつうに分布する。高山植物が低所の渓谷沿いに生育することはしばしばみられる現象であり、ヤチトリカブトが湿地に好んで生えるというわけではない。】

唐松岳登山、八方尾根、トリカブト
【撮影】1日目 14時57分=秋田 守
八方池から先はいわゆる登山者の世界。コーチからは、雨具をすぐに取り出せるように準備を、という注意。スタンバイ済み。樹林帯に入る。アザミ、ハクサンシャジン、タテヤマウツボグサ、ミヤマアキノキリンソウなどの花々が出迎えてくれる。すると、トリカブト。これも秋の花、という感じ。ミヤマトリカブト、ヤチトリカブトなど種類があるようだが、力不足のため、特定できません。この先、トリカブトはたくさんたくさん登場した。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマトリカブト
【撮影】1日目 14時58分=伊藤 幸司
ミヤマトリカブトがなよなよと枝垂れかかっていました。この写真、オリジナルを拡大してみましたが花柄に屈毛があればミヤマトリカブト、直毛があればヤチトリカブトだとして、その「毛」が見えません。ルーペで確認しなければいけないほどの「毛」なのでしょうか。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマシシウド
【撮影】1日目 14時58分=伊藤 幸司
これはまあ、背丈からいってミヤマシシウドだと思います。『八方尾根の花』にはただのシシウドしかありませんが。
ただ、アマニュウとの見分けが難しいというので、「ミヤマシシウドとアマニュウ」で検索してみました。
『四季の草花』というサイトの『アマニュウ 甘にゅう』です。
【アマニュウも高山の草原に生える大型の植物で、遠目にはミヤマシシウドと区別が付かない。近寄って葉を見るのが最も確実なように思われる。小総苞片は少ないので、ミヤマシシウド(小総苞なし)と区別できないことが多い。】
相違点は葉にもあるようです。
【アマニュウの葉は、3裂して丸みをおびている。
ミヤマシシウドの葉は、細長い。先端の葉には3裂する物もあるが2つ目以降は分裂しない。】
葉っぱによれば、これはミヤマシシウドのようです。

唐松岳登山、八方尾根、ウメバチソウ
【撮影】1日目 14時58分=伊藤 幸司
ウメバチソウです。この美しさには毎回目を奪われてしまいます。
そのことについて狂信的に書いている人はいないかと探してみたらありました。
『sotto草木日和***』というブログで『ウメバチソウ(2014/10/20)』とのこと。
【“ウメバチソウ” 梅鉢草
家紋などに使われる、梅鉢紋に、花の形が似ているから、この名がある。
梅鉢紋には、ウメの多数のオシベが図案化されているが、“ウメバチソウ” にも、多数のオシベがあるように見える。
が、雄蕊に見えるものは、本来の雄蕊ではなく、雄蕊の機能が退化した仮雄蕊。本来の雄蕊は、5本。 仮雄蕊も5本。
仮雄蕊の上部が、糸状に分裂し、先端に丸い腺体があり、これが葯のように見える。
これが、なんとも美しい!
繊細なガラス細工のような美しさで、芸術作品のよう。
仮雄蕊の扇状に開いた先端が、黄色から乳白色へ、また黄色へと、グラデーションの水玉を美しく配列した、端正な姿。
う〜ん
水玉のような、腺体。
蜜が出ているわけではなく、単なる飾りらしい。
代わりに、仮雄蕊の糸状に分裂しはじめる手前に、蜜線があり、小さなアブは、おそらくそれを目当てに、訪れているのだろう。
もしくは、腺体にだまされて、訪れているのか?
この腺体、数によって、他種と区別されている。
仮雄蕊にばかり、目がいくが、雄蕊も面白い動きをする。
上の写真は、開花三日目。
なぜかというと、写真では分かりにくいが、雄蕊1本が反り返り、1本が花粉を出しているから。
“ウメバチソウ” の開花は長く、開花一日目は花弁と仮雄蕊を開くのみ。
二日目、1本の雄蕊(a)が立ち上がり、花粉を出す。
三日目、1本の雄蕊(a)が反り返り、新しい1本の雄蕊(b)が立ち上がり、花粉を出す。
これを続け、雄蕊が全て反り返り、初めて雌蕊の柱頭が開きはじめる。
なので、上の写真、奥の花は六日目、手前の花は、五日目、ということになる。
花の中心の膨らんだ部分は子房で、このまま、緑色になり、熟し膨らんでいく。
その頃には、花弁も朽ちて落ちてしまうのだろう。】

唐松岳登山、八方尾根、オニアザミ
【撮影】1日目 14時59分=伊藤 幸司
『八方尾根の花』によればオニアザミとハッポウアザミのどちらかなのですが、蛇紋岩地帯ならハッポウアザミ。ここはもう蛇紋岩でない(はず)なのでオニアザミか? 
『nemophy photo-blog 花などを記して残す雑記帳』に『八方尾根で見たアザミ』にわかりやすい説明がありました。
【オニアザミは頭花が大きいこと、総苞片が粘ること、先端に頭花を複数つけることから、分かりやすいようです。】
【ハッポウアザミは、八方尾根の固有種です。
葉が中裂から深裂し、総苞片は斜上または平開します。
頭花を茎頂か、枝の先に1個下向きにつけます。
総苞は粘りません。】

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 15時00分=伊藤 幸司
これは葉っぱを見る限りではミヤマシシウドのように思われます。でもシモツケソウと背比べするような年頃でこんな立派な花をつけちゃっていいのでしょうか。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンタイゲキ
【撮影】1日目 15時00分=伊藤 幸司
『八方尾根の花』のおかげで、これがハクサンタイゲキだと迷わず決めることができます。ですからなにか変わったエピソードなどないかな? と思って「ハクサンタイゲキの秘密」なんていう検索をかけてみました。
『里山生活──週末の飯綱高原での里山生活の中から、何気ない様子をつぶやく 何とか現役を保っているサラリーマンブログです!』という、楽しいスケッチに短文を加えたブログと出会いました。「秘密」がどこへいったのか探せませんでしたが『2011年09月15日 ハクサンタイゲキ』がありました。
【トウダイグサなのかハクサンタイゲキなのか?
どちらもへんな名前ですが、形も変な山野草。
山野草で「ハクサン○○」というように、白山の名前が付いたものが結構多い。
ハクサンイチゲ、ハクサンフウロ、ハクサンチドリ・・・・・
先日描いたゴゼンタチバナも最高峰の御前峰に由来していると言う。
白山は登ったことが無いが、山野草の咲き誇る一番の時期に訪れたいと思っている山。
こんなにたくさん名前がつくほどの山・・・、憧れてしまいます。
八方尾根にもたくさんの山野草がありましたが、秋を感じさせてくれる赤い色が目立った花でした。】

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマアキノキリンソウ
【撮影】1日目 15時00分=伊藤 幸司
アキノキリンソウですが『八方尾根の花』を見ると、ミヤマアキノキリンソウ。「ミヤマ」がつくだけかと思うと大違い、別名はイメージが完全に違います。アキノキリンソウはアワダチソウ、ミヤマアキノキリンソウはコガネギクですから。
アワダチソウというと平地で傍若無人のセイタカアワダチソウにひっぱられてしまいますが「アワダチソウとは」で検索してみたらありました。
『コトバンク』に『世界大百科事典内のアワダチソウの言及』
【アキノキリンソウより
…日当りの良い道端や山地の草原に普通に見かけるキク科の多年草で,ユーラシア大陸に広く分布する(イラスト)。花が一見ベンケイソウ科のキリンソウに似ているので,和名は秋に咲くキリンソウの意味でつけられ,別名のアワダチソウは花序の姿を盛りあがる酒の泡にみたててつけられた。学名のSolidagoは〈完全な状態〉という意味で,傷薬として用いられたところからつけられ,virga‐ureaは〈黄金の枝〉という意味である。…
※「アワダチソウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について】

ついでにコガネギクで検索したら『ウィキペディア』の『ミヤマアキノキリンソウ』が出てしまいました。
【別名コガネギク。アキノキリンソウの高山型。アキノキリンソウの花が比較的まばらにつくのに対し、本亜種は頂部に固まってつく傾向にある。総苞片は、アキノキリンソウが四列であるが、本亜種は三列。中間型もあり、厳密な区別は難しい。】

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマシシウド
【撮影】1日目 15時02分=伊藤 幸司
『山溪フィールドブック・高山植物』(木原浩・1993年)にはオオハナウドのところに次のようにかかれています。
『高山に生える大型のセリ科の代表は3種類ある。前頁のオオカサモチ、そしてミヤマシシウドとこのオオハナウドで、どれも1mを超える背丈である。』
そしてミヤマシシウド。
『オオハナウドと混生したりして紛らわしいが、写真のように茎が紫色になり、花序はオオハナウドは水平に、こちらは丸みを帯びた咲きかたをする。』
ミヤマシシウドの茎は緑色のときもあるので、まず、これはミヤマシシウドとしていいのでしょう。

唐松岳登山、八方尾根、マルバダケブキ
【撮影】1日目 15時02分=伊藤 幸司
マルバダケブキですね。役目を終えた花に対して、葉っぱがまだみずみずしいのが、こうしてみると印象的です。

唐松岳登山、八方尾根、シロバナクモマニガナ
【撮影】1日目 15時03分=伊藤 幸司
清楚にして気高いという感じ。花弁の先端をピンキングはさみでギザギザカットしたり、雄しべを黄色と黒の継ぎ接ぎにしたりと細工が細かい上に、白い花弁に繊細な陰影。ひと目で恋に落ちるという感じの花です。
ニガナに似た花だと思ったら『八方尾根の花』にシロバナニガナがありました。
ネットで見ると八方尾根にはまちがいなくシロバナニガナがあり、さらにシロバナクモマニガナもあるとのこと。
念のために『フィールド版日本の野生植物』を見ました。
『ニガナ 高さ30cm内外。花は5−7月、頭花は径17mm内外。小花は5-7個。そう果は長さ3-5mm。日本全土。山野の草原。
白花品をシロニガナという。
──変種シロバナニガナ 高さ40-70cm。小花は8-11個。
この黄花品をハナニガナという。
──亜種クモマニガナ 高さ10-30cm。小花は11個。そう果は長さ4.5mm。北・本(中北部)。高山岩場。
──亜種タカネニガナ 高さ7-17cm。小花は9-10個。そう果は長さ5-5.5mm。本〜九。高山岩場』
「小花は11個」ということからシロバナクモマニガナといえそうです。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマシシウド
【撮影】1日目 15時04分=伊藤 幸司
茎が紫色を帯びていることから、ここにあるのはミヤマシシウドです。
そのミヤマシシウドについて『山溪フィールドブックス・高山植物』(木原浩・1993年)にはこう書かれています。
『山地に生えるシシウドが高山に上がったものであろうが、どの本を読んでも納得できる明瞭な区別点は見つからなかった。こうしたことは他にも多く、素人判断をさせてもらえば、高度差による形態的な変化をどう区別するかがはっきりしていないのだろう。』

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマトリカブト
【撮影】1日目 15時05分=伊藤 幸司
トリカブトも難しい花ですが『八方尾根の花』にはミヤマトリカブトだけが出ています。ネットにはホソバトリカブトもあるように出ています。
『山溪フィールドブックス・高山植物』(木原浩・1993年)には『高山性トリカブトの仲間』としてこう書かれています。
『トリカブトの仲間は同定が非常に難しい。特に高山性のものは高度による変化も加わるため、より難解をきわめ、学者たちの意見も整理されていない。ここでは筆者が一番納得のいく門田祐一氏の分類を学名共々採用させてもらった。
ミヤマトリカブト・写真は白馬岳の葱平の草地に咲いていたもの。分布=本(中部)
キタザワブシは御嶽山、中央アルプス、南アルプスなどに生え、母種のミヤマトリカブトより葉の切れ込みが深い。分布=本(中部)
オオサワトリカブトは木曽駒ケ岳、御嶽山、恵那山、乗鞍岳などに生える。茎が稲妻のように曲がる。分布=本(中部)
ダイセツトリカブトはホソバトリカブトに非常によく似ている。ダイセツトリカブトは花柄の毛が開出する。分布=北(大雪山)』

植物分類はどうなっているのかと『フィールド版 日本の野生植物』を見てみました。
すると『ハクサントリカブト』の項目に(別名でしょうか)『ミヤマトリカブト、サクライウズ。』とあって分布が『東北南部〜中部地方、高山草地』となっています。
『原色日本植物図鑑』にはミヤマトリカブトの名がありません。
いったいどうなっているかという疑問には『山の花1200』で青山潤三さんがこう答えています。
『後者(トリカブト亜属)は日本で多数の種に分化し、系統的には、染色体が2倍体のダイセツトリカブトなど北海道産の3種と本州産の3種、4倍体の蔦植物で絶滅寸前のハナカズラ、およびそれ以外の4倍体の30余種に分けられる。ちなみにトリカブト類の和名に冠せられるブシ(附子)、ウズ(烏頭)は、漢方として利用される塊根の名称。』

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマシシウド
【撮影】1日目 15時06分=伊藤 幸司
この斜面ではミヤマシシウドが主役を張って一幕の風景を作り上げていました。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマセンキュウ
【撮影】1日目 15時09分=伊藤 幸司
さて、問題のセリ科ですが『山溪フィールドブックス・高山植物』(木原浩・1993年)では、ミヤマセンキュウに『葉は1〜2回3出羽状複葉で、深く切れ込んで先が尖り、まるでシダの葉を思わせる。この葉の形を覚えておくとわかりやすい。』とありますが、この葉がそれではないかと思われます。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマシシウド
【撮影】1日目 15時09分=伊藤 幸司
これから花を咲かせようとしているミヤマシシウドがありました。

唐松岳登山、八方尾根、シロバナニガナ
【撮影】1日目 15時10分=伊藤 幸司
シロバナニガナです。すでに見たように近づいて花だけをクローズアップすると表情がガラリと変わるんですね。美は細部に宿っている、のでしょう。

唐松岳登山、八方尾根、キヌガサソウ
【撮影】1日目 15時13分=矢野 博子
いつみても存在感のあるキヌガサソウ。花弁がピンクのものもあるらしいが 見てみたい。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマアキノキリンソウ
【撮影】1日目 15時15分=伊藤 幸司
ちょっと寂しい後ろ姿……という感じですが、ミヤマアキノキリンソウです。心配になって『グーグル』の画像検索で『ミヤマアキノキリンソウ』を見てみましたが、ありました、こんなのが。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマバイケイソウ
【撮影】1日目 15時17分=伊藤 幸司
この写真ではうまく写っていませんが、直立する緑色の美しい花を最初に見たのは鹿島槍ヶ岳の稜線でした。そのときにミヤマバイケイソウと聞いたので、一本気な緑の花として覚えたのです。
山で広く見られるコバイケイソウとこのミヤマバイケイソウとは葉っぱだけだと全く区別がつきませんが、花が咲けば一発明快……だと思っていたら、その間にバイケイソウというのが割り込んできて、しだいに複雑な三角関係になってきたのです。

『山溪フィールドブックス・高山植物』では『コバイケイソウ』『ミヤマバイケイソウ』という2つの見出しが立っていて『ミヤマバイケイソウ』のほうに『山地に生えるバイケイソウに近いといわれ、背丈は50〜80cmほどで半分くらいの高さだが、バイケイソウと同じものとする見解もある。』としています。
『原色日本植物図鑑』にはミヤマバイケイソウが出てきませんし、『フィールド版日本の野生植物』では『バイケイソウ』のところに『ミヤマバイケイソウは前種とコバイケイソウとの中間型の一つである。』と書かれています。
花の部分がしっかり写っていないのでここまででやめておきますが、緑の花のミヤマバイケイソウは特別な存在だと思っています。

唐松岳登山、八方尾根、オオヒョウタンボク
【撮影】1日目 15時17分=伊藤 幸司
オオヒョウタンボクは北アルプスではおなじみで、この赤い実のおかげで歩きながらでもほとんど見逃すことがありません。

唐松岳登山、八方尾根、オオヒョウタンボク
【撮影】1日目 15時17分=伊藤 幸司
オオヒョウタンボクの瓢箪がこれ。実がなる前には白い花が葉っぱの上で踊っているようなユニークな場面を見せてくれます。

唐松岳登山、八方尾根、キヌガサソウ
【撮影】1日目 15時18分=三浦 陽子
大きな葉が目立つキヌガサソウ。こんなに立派なのは久しぶりに見た感じ。

唐松岳登山、八方尾根、オオヒョウタンボク
【撮影】1日目 15時18分=秋田 守
緑の葉っぱの中に、真っ赤な実が仲良くペアで一対ずつ。オオヒョウタンボク。花は白くて、ちょっとひょうきんな感じで、好きな花。なぜだか知らないが、赤い実は2個がなかばで「合着」するのだそうな。この2個がくっついている形がヒョウタンのように見えることから名前が付けられたとのこと。一見、食べられそうに見えなくもないが、有毒だそうです。標高2100mを越えたあたりの樹林帯の中に赤い小さなヒョウタンが一杯突き出していた。

唐松岳登山、八方尾根、キヌガサソウ
【撮影】1日目 15時19分=伊藤 幸司
突如キヌガサソウが出てきました。白馬大雪渓の末端、白馬尻小屋のあたりにはキヌガサソウの大群落がありますが、ここもついこの間まで大きな雪渓があったその末端部。よかった、早春の花が見られて。

唐松岳登山、八方尾根、キヌガサソウ
【撮影】1日目 15時19分=伊藤 幸司
葉っぱに見えるのは葉っぱです。その内側に同じ枚数の花びら状のものがありますが、花弁状外花被片(平ったくいうとガク片で、白色からこの写真の淡黄緑色となりピンク色へと変化していきます)でふつう8枚。一般にいう花びらもあります。黄色っぽい葯をつけた雄しべ(15-20本)が中心の雌しべ(8-10本)を取り囲んでいますが、その間に、じつは葯の無い、この写真では雄しべと区別のつかないものがあるのですが、それが内花被片(たぶん8本)で、すなわち花びら……とのこと。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 15時20分=伊藤 幸司
雪渓の雪は、まだすこし残っていました。

唐松岳登山、八方尾根、キヌガサソウ
【撮影】1日目 15時20分=秋田 守
キヌガサソウがまだ咲き残っていて驚いた。少し先に扇雪渓があったのだ。それで納得。これも翌日、一眼とマクロレンズで撮影しているので見比べしてみて下さい。花びらのように見えるのは萼片で、咲きはじめは純白、次第に紅紫色に、最後は種子ができる頃、緑色になる。この花がまさに紅色から緑色に変わりつつある時期。左隣にも少し小ぶりなキヌガサソウがあり、こちらはもう萼片の縁の紅色も消えてほぼ緑色になっていた。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 15時20分=秋田 守
扇雪渓。この上を歩く訳ではない。脇を通り過ぎるだけ。でも眺めるだけでも涼しい。翌日、ぼくは見られなかったけど、先にこの雪渓まで下りてきた方々は、オコジョを見たそうだ。ぼくと同じくらいに辿り着いたYさんが、一度見てみたかったのにと、残念がっていらっしゃった。オコジョの写真はこの日泊まった唐松岳頂上山荘の食堂にも飾ってあった。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 15時22分=伊藤 幸司
雪渓のところまでは尾根の斜面をたどってきましたが、ここから尾根筋に上がります。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 15時23分=伊藤 幸司
野イチゴがありました。ナワシロイチゴでしょうか。私はモミジイチゴとそれ以外の野イチゴという2種類の認識しかありませんのでわかりません。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 15時23分=秋田 守
扇雪渓を過ぎると、冬季の積雪で大きく曲がってしまった樹々(ダケカンバかな)が茂る森の中を登っていく。相変わらず白いガスの中を歩くので、周囲の様子はあまりよく分からない。登山道自体は迷いようもなくはっきりしているので安心して歩くことができる。風が通らないと蒸してきて汗がさらに噴き出し、気がつけばシャツはびしょ濡れ。標高はすでに2300mあたり。気温が下がって寒いくらいではないかと心配していたが、無用だった。

唐松岳登山、八方尾根、ヤマハハコ
【撮影】1日目 15時31分=伊藤 幸司
うまく撮ればなかなかシャレた光景でした。白い花はヤマハハコ、紫の花はオヤマリンドウ。

唐松岳登山、八方尾根、オヤマリンドウ
【撮影】1日目 15時31分=伊藤 幸司
オヤマリンドウはこの状態で(ほぼ?)開いているようです。『八方尾根の花』には『花はあまり開かないせいか、開花期でもつぼみのように見える。』ということですし、『山の花1200』でも『花冠はわずかに開く程度。』とのこと。なんのための花かわかりませんが。

唐松岳登山、八方尾根、ヤマハハコ
【撮影】1日目 15時32分=伊藤 幸司
ヤマハハコの、これは花が開く前でしょうか、開いた後でしょうか。

唐松岳登山、八方尾根、ナナカマド
【撮影】1日目 15時33分=伊藤 幸司
ナナカマドに実がつきました。これから実も葉も艶やかな秋の色に染まっていく……のでしょう。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】1日目 15時39分=伊藤 幸司
チングルマがありました。つい最近まで雪が残っていた窪地なので、これから短い夏を走り抜けようと準備万端整えたところ、というふうに見えました。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】1日目 15時39分=伊藤 幸司
チングルマのこの黄色は、中央部に20〜30本の雌しべが束になっていて、その周囲を先端に葯をつけた多数の雄しべが取り囲んでいます。
雌しべと雄しべで受粉が終わり、5枚の白い花弁が枯れ落ちるとき、雄しべも全部落ちてしまって、雄しべだけが枯れ色の長い毛のように伸びて綿毛になります。1本、1本の綿毛の先には種子がついていて、タンポポの綿毛のようにその種を遠くに飛ばすのだそうです。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 15時39分=秋田 守
森林限界を抜けると岩場の登り。この位置にいるということは、ぼくは先頭を交代したばかりで、現在2番目を歩いているということだな。途中で足がつり気味な方もいらっしゃったが、何とか持ち直されて、全員、元気に登り続けて来た。幸いなことに、雨が降りそうで降らずに、ここまで来ることができた。あともう少し降らずにいてほしいと願いつつ、足下に気をつけながら一歩ずつ登っていく。

唐松岳登山、八方尾根、ウサギギク
【撮影】1日目 15時41分=伊藤 幸司
なぜかここにひとかたまり、ウサギギクが群れていました。『山の花1200』に『本州中部以北の、高山雪田周辺の草地や礫地に生える。』とありますが、まさにこの岩がゴロゴロしているあたりは雪田だったはず。その観客席という雰囲気の、たぶん風の直撃を受けない場所に、安住の地を見つけたのだろうと思いました。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】1日目 15時42分=伊藤 幸司
すでに雌しべが綿毛となったチングルマもありました。
その綿毛の状態が「チングルマ」の名の由来だというのですが、そのことに関するレポートが『とりあえず、尾瀬 ミズバショウ♪ニッコウキスゲ♪だけじゃない(^^)』というブログに『チングルマの語源は「稚児車」ではなかった !?』(2009年11月04日)がありました。
【歯医者へ行った帰り道。(虫歯じゃないです^^)
ふらっと寄った図書館で、なんとなく手にした本をぱらっと開いたところにあった「チングルマ」の話です。
「チングルマ」の語源は、子供が遊ぶ稚児車(チゴグルマ)から転化して「チングルマ」となった、というのが一般的? というか定説? というか、植物図鑑などをみれば書いてあるので、そうなんだ、と思っていました。
「稚児車」というのは「子供が遊ぶ風車のことを言う」と記憶していましたが、なんと! 玩具の「稚児車」という言葉は存在しないらしいです。
『チングルマは稚児車が転化して・・・』という説は、牧野新日本植物図鑑に書いてあるそうです。おそらく、ここから稚児車説が広まったのでしょう。
玩具としての「稚児車」がないとなると、この植物図鑑が「稚児車」という言葉の素かもしれないですね〜?
じゃぁどこから「チングルマ」になったのか?というと・・・
この本を読むと、
・チングルマとオキナグサの実をつけた様子が似ている
・オキナグサの方言で「チゴバナ」の名が全国に普及、越中立山の方言で「チグルマイ」という
・「チグルマイ」は「チゴノマイ」が転化したもの
・チゴノマイ=稚児の舞い、子供が首(こうべ)を降りたてながら舞うと髪の毛が渦を巻くように揺れる←これが実をつけた姿と似てる
・チグルマイが訛って「チングルマ」
・・・ということらしいです(^-^)/
「稚児車」説も「チグルマイ」説も、花が咲いた状態ではなく花が終わった後の実をつけた様子が語源、というところは共通ですね。
詳しくはこちらの本をどうぞ】

……と紹介されたのは『植物和名の語源探究』(深津正・八坂書房・2000年)でした。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】1日目 15時42分=伊藤 幸司
綿毛のチングルマもいっぱいありました。

唐松岳登山、八方尾根、ウサギギク
【撮影】1日目 15時42分=伊藤 幸司
ちょっとくたびれた感じのウサギギク。

唐松岳登山、八方尾根、ゴゼンタチバナ
【撮影】1日目 15時44分=秋田 守
ゴゼンタチバナが咲いていた。というより咲き終わっていた、と言うべきか。白い部分は花ではなく苞(ほう)という、蕾を包んでいた葉。秋も深まると真ん中の黒っぽい花の跡が赤い実となる。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】1日目 15時45分=秋田 守
チングルマの実。これを稚児車(子供の風車)に見立てるというのは何とも風流でいいですねえ。まだきれいな花が咲いている株もたくさん見かけた。チングルマは花にしろ実にしろ、たくさん一面に群生している景色が絵としては定番なれど、たまにはこうやってぐぐぐっと近づいて、愛でてあげるのもいいもんです。この実はきれいな朱色をしていて、思わず目に留まりました。特別な花に呼ばれて、撮影するということはよくあることです。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 15時55分=伊藤 幸司
15時50分から55分まで標高2,430mの丸山ケルンで休憩しました。そこからいよいよ唐松岳へと続く稜線の道。雲の中ですが、雨にはなっていません。ありがたいことに風もほとんど吹いていません。問題があるとすれば山小屋への到着時刻が午後4時という目安を超えてしまうということ。

一般的にいえば午後4時の宿泊客の数で夕食を準備する、といわれています。だから山小屋のチェックインは午後4時まで……なのですが、今日の予定では到着が午後4時、遅れています。千葉発の特急あずさ3号(南小谷行き)でやってきてほとんど無駄な時間は使わなくても、ギリギリの計画です。ですからメンバーが揃ったところで、山小屋には連絡を入れました。

ちなみに夏山の常識に「早立ち・早着き」がありますが、このような高山帯の裸の稜線を歩くときに一番危険なのは雷です。雷雲は車が走るようなスピードで走ってきて、もしそれが自分のとこに来るとしたら、猛烈な雨、それから裸の稜線では危険が高くなる落雷、という想像がだいじです。
雷雲の発生や移動については危険地帯があります。かつて白馬岳の山頂で体験した例では、遠くに雷鳴を聞き、雷雲の存在を知って、それがこちらに向かってくると確認したのであわてて雨具を着たら、ギリギリセーフかアウトというタイミングで土砂降りになりました。
谷川岳の山頂直下でも雷雲の接近で雨具の装着をしたのですが、アウトかセーフか人によって分かれました。
私たちはトマの耳のすぐ手前で引き返して、とにかく樹林帯へと逃げるように下ったのですが、その雷雲は谷川岳に居座ってしまったとのことでロープウエイが停止、帰れない客は天神平駅で缶詰に。レストランでは食べ放題でしたが、時間切れで電気を使わない非常用運行とかでノロノロ運転ののち、無料パスをいただき、無料バスで新幹線・上毛高原駅まで送ってもらいました。

雷雲の観察は何度もしていますが、来るときには高速です。樹林帯にいるときなら自分に落ちる確率は低いので落ち着いていられますが、高山帯の裸の稜線ではいかなる場合も自分に当たらないように祈るばかりです。
……という雷雲が発生するとしたら午後。ですから森林限界を越えた縦走ルートでは昼過ぎには山小屋に着いておきたいのです。「早着き」の一番大きな理由はそこにあります。
ですからこの雲の中、雨もなく、風もないとわかったときには、正直「ホッ」としたのです。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 16時07分=伊藤 幸司
道は緩やかに登っていきます。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 16時08分=秋田 守
2400mを越えたあたりかな。あたりはますます真っ白で様子がよく分からないまま登っている。16時過ぎともなると、さすがにもう下ってくる人はいない。後から登ってくる人もさほど多くはないはず。さああと一息、がんばって登りましょう。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 16時17分=伊藤 幸司
なんの葉かわかりませんが、秋の気配。いつもどおりの秋の装いかどうかわかりませんが、ちょっとオシャレ。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 16時18分=伊藤 幸司
こちらはちょっと痛々しい、秋の装い。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 16時28分=伊藤 幸司
大規模な崩落があったらしく、トラバースルートは完全閉鎖という感じ。いわれるままに進みます。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 16時39分=秋田 守
登り始めてから3時間半ほど。周りがよく見えていたら、相当な高度感を感じられそうな場所。右側の斜面は一気に落ちていってる感じ。足下にくれぐれも注意しながら登りましょう。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 16時42分=伊藤 幸司
このヤセ尾根を避けるために迂回ルートが作られたのでしょうが、それが通行止めに。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 16時43分=伊藤 幸司
こういう場所があると一般ルートとはいえ北アルプスだなあ、と思います。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 16時44分=秋田 守
唐松岳頂上山荘への最後のアプローチは、通常ルートが崩れていて、細い尾根筋の迂回路をいく。皆さん、足取りはしっかり。さすがに山を歩き慣れていますねえ。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 16時45分=矢野 博子
何とか 雨に遭わずに到着した唐松岳頂上山荘。ここには 初めて泊まるが 随分立派な建物。建物の前のベンチでは すでにビールを片手にいい感じに盛り上がっている中高年が多数いた。おおかたの意見で(声が大きいと こういう時 役に立ちます)プラス800円で カーテンがついていたり 食堂に近い本館に宿泊に決定。でも ここの従業員の応対とか 食事には 多少の不満が 残った。

唐松岳登山、八方尾根、イワギキョウ
【撮影】1日目 16時47分=伊藤 幸司
道筋にイワギキョウ、だと思います。花冠(花弁でできた花の部分)にひょろっとした白い毛がなく、枯れた花のところに残る細くて長いがくによってチシマギキョウではないと判断できます。『八方尾根の花』にはチシマギキョウしか出ていませんが、ネットで見るとイワギキョウもあるとのこと。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】1日目 16時48分=伊藤 幸司
突然、唐松岳頂上山荘の屋根が見えました。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 16時50分=秋田 守
17時前、やっと今夜のお宿、唐松岳頂上山荘の裏手へ出てきました。ほっと一安心。小屋の前には早々に到着した方々が、思い思いに寛いでいた。年齢層の高いことに改めて驚かされる。他人事ではないけど。コーチがチェックインに。ここで一悶着。北館でいいでしょ、というコーチに全員猛反対。800円追加で済むなら本館泊まりにして下さい、と強い要望。もう一度、コーチは手続きをやり直しに向かった。ご苦労様です。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 16時58分=矢野 博子
小屋の前から 唐松岳を眺めると 結構遠くに見えたが 15分もあれば十分行ける距離だった。きれいな稜線だ。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 17時13分=小林 美子
雲の流れが早い。
ちょうど唐松岳の山頂が見えた。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 17時28分=秋田 守
唐松岳頂上山荘に着いて、割り当てられた寝場所を確認し、荷物をざっと整理して、外へ出た。17時半、まだまだ十分に明るい。自販機で600円の缶ビールを買って、グビリと飲んでると、それまで真っ白で何も見えなかったのが、雲が切れて正面に、こっち側より高そうに立ちはだかる山が現れた。劒岳だった。左側の立山の方が標高は高いのだけど、奥に位置するので、手前の劒岳の方がより高く見えてしまうのが、何やら不思議な感じがした。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 17時29分=秋田 守
山荘前で大スケールの景色を楽しんでいると、はじめのうちは雲に覆われて見えなかった唐松岳の山頂が見えてきた。当初の計画では、山荘に着いた後、荷物を置いて、山頂まで往復する予定だったが、真っ白な雲の中に登っていっても何も見えないだけだろうから、山頂行きはいったん見送りとなっていた。山頂までのコースタイム20分、それよりもっと近いように見えた。背後の山荘食堂では初回の組がすでに夕食を食べ始めている。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 17時37分=伊藤 幸司
日の入りは18時30分。この日山小屋は混んでいて夕食は2回戦。時間つぶしに小屋を出ると、目の前の唐松岳山頂は雲の中で見えず、太陽がこんなふうに見えました。ひょっとすると雲が上がるかもしれないという期待感。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 17時38分=秋田 守
雲の動きは速く、切れ目ができたかと思うとまたすぐに真っ白になる。それの繰り返しだった。雲がかかると、その向こうに太陽が霞んで見える。その様子はまるでお月様のよう。でも、ウサギの模様はないけどね、なんて話していたら、雲が紋様を作り出して、それこそ本物の月のように見える一瞬もあったりして可笑しかった。ブロッケン現象が見えるかもしれないと走っていった人もいたが、あいにく見ることはできなかったようだ。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 17時44分=秋田 守
さて、食堂で我々の夕食の番が回ってきた。事前にネット上で唐松岳頂上山荘のことをいろいろ調べていたら、夕食はおかずが何品も出て大変評判が良かった。週末に泊まった人達の記録を見ても、丸い大皿に総菜が何品も盛りつけてあった。指定されたテーブルに皆でつくと、あらら、カレーライスではないですか。平日にもかかわらず宿泊客が多かったため、カレーになったようだ。コーンスープ、3種類のおかず、福神漬け、デザート、以上。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 17時45分=伊藤 幸司
なんだか混んでいるからカレー、という感じ。玄関に示してあった「通常の夕食」とは違っていました。この小屋は早くから24時間発電を実施して、夏にはヘリがしょっちゅうお届け物をしているという人気の宿。ただ、ちょっと「おかしい?」という変化をあちこちに感じました。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 17時45分=伊藤 幸司
2回戦といっても10人がけのテーブル2本だけ。さすがに最盛期とはちがうようです。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 17時45分=伊藤 幸司
前の写真と同じ位置から外の風景を撮ったら、表にいる人たちがこんな感じ。もうちょっと雲が晴れれば正面に剱岳という素晴らしい展望レストラン。窓の右端に唐松岳山頂部の斜面が薄っすらと見えてきました。

唐松岳登山、山頂、イワヒバリ
【撮影】1日目 18時10分=伊藤 幸司
食後慌ただしく山頂に向かいました。小屋脇の、コマクサを保護しているザレ場からイワヒバリが走り出てきました。

唐松岳登山、山頂、イワヒバリ
【撮影】1日目 18時11分=秋田 守
カレーライスの夕食を食べるのにそんなには時間はかからない。コーチが、日没に間に合いそうだから、山頂へ行ってみようと思うので希望者は一緒に、と案内した。せっかく登っても雲の中かもしれない。が、もちろん、行きますと、身支度を簡単に済ませて、出発。山荘前から歩いてすぐ、登山道の先にイワヒバリが1羽。ぴょんぴょんとすぐ脇を先導していく。あたりの岩場にはもう花の時期が過ぎ去ったコマクサがぽつぽつ点在していた。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時21分=三浦 陽子
小屋の前で唐松岳の向こう側に日が沈むのを眺める。コーチと元気組は頂上まで登って夕日鑑賞。写真ではわからないけど、トンがった上にいるはずです。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時23分=矢野 博子
夕刻は どんどん景色を変えていき いつまでいても飽きない。思ったほど寒くなかった。夕日に輝く雲が 山肌を上がって行く。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時25分=矢野 博子
一日目 元気ある仲間は サンセットを鑑賞すべく山頂を目指した。ここに写っている何人かは 糸の会のメンバー、どのシルエットが誰かは分からないけど さぞかし壮大な景色に皆 心動かされているに違いない。汗かいた服を着替えてしまった私は 気持ちが もうオフになってしまい 山頂は 翌朝まで おあずけとした。行くと分かっていれば着替えなかったのにと 少し悔やまれた。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時26分=秋田 守
登りやすい道を15分ほどで、標高2696mの唐松岳山頂に到着。真っ赤な夕陽に思わず声をあげてしまう。おお! 先客2名。フルサイズデジ一眼に高そうなレンズを付けたカメラで撮影中のカメラ女子だった。一人をモデル役にして背を向けて立たせて撮影中。二人一緒に撮影してあげようと思い、撮りましょうかと声をかけたら、お願いします。で、二人とも背を向けてポーズ。え、それでいいの? インスタ映え狙いのカットだったんだ、きっと。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時31分=小林 美子
予定より早く夕食がすんだので、山頂へ行く、
というので、あわててついていく。
山頂での素晴らしい景色だ。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時32分=秋田 守
結局、山頂まで登ってきたのは、コーチとぼくの他には3名。コーチと一緒の記念撮影は珍しい、と歓声があがった。もろ逆光で、あまり美しく撮れなかった上に、コーチの顔は吹っ飛んでしまったけど、雰囲気はいい感じ。陽が落ちてきたら気温がかなり下がりますよと、山荘の女性スタッフに注意されてきたけど、さほど寒くもなく拍子抜けだった。この後、刻々とその色が変化していく夕景は、実に見事な大自然のショーだった。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時33分=伊藤 幸司
ほぼ日没の時刻。雲がどんどん消えて、絵に描いたような夕景になってきました。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時36分=伊藤 幸司
唐松岳山頂からは立山〜剱が眼前に見えます。この写真だと左端の雄山より右端の剱岳が圧倒的に高い印象ですが、雄山が標高3,003m、剱岳が標高2,998m、実際とは逆なんです。私には水平が1〜2度狂う癖があるので確信を持てないのですが、何度見てもこのように見えました。他の人の写真がどうなっているか、です。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時37分=秋田 守
18時37分、まだ陽は沈んでいない。劒岳の上にかかる雲が、朱から赤に、さらに紅にと変化していく。声もなく見とれるばかり。あちらの山頂にも人がいるのかしら。こちらほど簡単に上り下りできないから、こんな時間帯にいないんじゃないかな、なんてしょうもないことを考えながら、シャッターを押す。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時38分=伊藤 幸司
太陽がこの数分、世界を支配しているように見えました。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時40分=小林 美子
写真も撮りたいし、
目にもしっかり焼き付けたいし、
忙しい!

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時40分=伊藤 幸司
さようなら。アディオス。バイバイ……という瞬間。落ちていく太陽はけっこう早い上に、色と光が急に変化したりします。カメラを構えていると最高のゲームです。濃密な時間が流れていきます。
それと現在の高倍率カメラは内面反射がきっちり抑え込まれているらしく、肉眼で見ているよりもはっきり、くっきり写るので驚きます。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時40分=秋田 守
西の方に見えるのは日本海。それまでは海面が夕陽を反射していた。18時20分過ぎ、いよいよ陽が沈んでいった。美しい日没だった。さすがに風が冷たく感じられるようになって、手に持っていったジャケットを取り出して羽織った。下山時は十分明るくて、歩くのには全く困ることはなかった。ひとりさっさと足が動くまま下りていったら、気がつけば山荘まで来てしまっていた。10分もかからなかったくらいで、驚いた。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時41分=伊藤 幸司
立山〜剱岳のあたりが急激にドラマチックになりました。この光景は山頂からですが、小屋前のベンチからでもほとんど同じに見えているはず。見ている側の感動はずいぶん違うと思いますが。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時41分=伊藤 幸司
こんな夕暮れが訪れようとは、100に1つも考えずに登ってきました。来てよかった! という今日が暮れていきます。

唐松岳登山、山頂
【撮影】1日目 18時59分=小林 美子
夕陽を山頂でゆっくり堪能してきたが、
まだ、明るいうちに、
小屋に戻る事ができました。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 04時17分=秋田 守
朝4時に起床。コーチからは4時半出発と昨晩案内されていたが、早々に全員集合。しかし、あまり早く行っても山頂で寒いだけだし、何よりまだ足下が暗い。まもなくライトがなくても歩けるはずとのことで、予定通り4時半になってから出発。山荘入り口のホワイトボードのデータは当てにならない。日の出などの時刻もちょっと前のもの。天気予報も?? 他にも山頂を目指す人達は何組かいた。あとは山荘裏の高台でご来光を待つ人も。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 04時46分=伊藤 幸司
日の出の予定は5時11分。30分前だともちろん私たちはライトなど使いませんが、カメラが自動的に撮ってくれるこの光景は明るすぎます。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 04時50分=矢野 博子
二日目 サンライズを目指して山頂へ その途中で振り返ってみた山荘。反対側の山にもご来光を拝むべく何人か登っていた。今日は お天気に恵まれそう。足元を照らすライトを首にかけていたが 必要なかった。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 04時56分=秋田 守
山頂へ上がると、昨夕とは違って、雲はなく、いろいろな山がきれいに見えた。八ヶ岳の右横に富士山がアタマを出してくれた。手前の山並みも含めて、なかなか素晴らしい眺め。ちょっと目を離すと、富士山は雲に隠れて、またアタマを出して…、山頂に留まる間、ずっとその繰り返しだった。覚悟してきたほど気温は低くはない。穏やかなご来光を迎えようとしていた。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 04時59分=秋田 守
唐松岳山頂の二等三角点。世の中には三角点ハントをしている人もいるらしい。まあ、人それぞれ好き好きだからねえ。ぼくは見つけたらタッチすることにしている程度。もともと収集癖はないので、百名山すら熱心には潰していないくらい。稀少な高山植物は一応追っかけをしているものの、それだって熱心な仲間に引っ張られて行ってるというのが実態なんだから。子供の頃、切手集めとかやったけど長続きはしなかった。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時01分=伊藤 幸司
山並みがどこかはっきりしませんが、昨日の夕日がそのまま今朝まで続いているような印象です。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時01分=秋田 守
山頂から見た唐松岳頂上山荘。右が本館、左が追加料金不要の北館。で、九十九折り状に下ってテント場がある。山荘は鉄板を貼り合わせて建てられていた。昭和7年から営業しているとのこと。ここで珍しかったのは、トイレ前の洗面所の水は飲用不可、それは分かるが、歯磨き用の水を売っている。洗面所の水で歯磨きするとヤバイ、ってことか。歯磨き用って飲用できないのか。山荘の人にきちんと聞いてみればよかった。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時02分=伊藤 幸司
槍ヶ岳が見えていますね。奥穂高岳から前穂高岳へと美しい弧を描く吊尾根も見えています。画面左端にあるのは五龍岳から下る斜面、その奥に鹿島槍ヶ岳が隠れているので、槍ヶ岳の手前にあるのは爺ヶ岳から針ノ木岳へと伸びる稜線でしょうか。あるいは針ノ木岳から蓮華岳?

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時02分=矢野 博子
山頂で ご来光を。みんなの顔が清々しい。周りの山々もくっきり見えている。富士山が見えると何か 得した気分にいつもなる。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時03分=伊藤 幸司
お隣さんの五龍岳です。遥か遠くに槍ヶ岳が見えていますが、その手前にあるのは7月に登った「蓮華岳?」みたいですね。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時03分=伊藤 幸司
南アルプスが見えています。一番高く見えているのが北岳。その右にある大きな山は仙丈ヶ岳、左に甲斐・駒ヶ岳があって、その左の低いのは鳳凰三山。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時04分=伊藤 幸司
こちらの唐松岳と向こうの五龍岳の鞍部に五竜山荘が見えています。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時04分=矢野 博子
雲海から昇る太陽、何故か厳粛な気分になる。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時05分=矢野 博子
朝日に輝く剱岳。少し前に同級生5人で あそこの足元まで歩いた。我らを寄せ付けない威風堂々たる山。こちら側からみても圧倒される。再挑戦はないかな。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時07分=矢野 博子
劔、雄山方面。どうみてもこちらからは 劔の方が高くみえる。朝日に輝く峰々、今ここに自分が立っている事の幸せを感じる。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時08分=伊藤 幸司
いよいよ日の出。カメラが勝手に撮っていて、肉眼で見ている光景より確実にドラマチックです。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時08分=秋田 守
山頂から見た南アルプス方面。一番左が甲斐駒か、その右が北岳だろうな。こちらからよく見えるということは、あちらからもよく見えているということ。まあ、あちらの山頂から北アルプスの中の唐松岳山頂を特定するのは難しいかもしれないが。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時10分=三浦 陽子
朝陽に染まる立山、剱岳。すぐに色合いが変わってしまう。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時10分=秋田 守
ご来光。ありがたくしみじみ見とれてしまった。左の方の山並みは、妙高山、火打山、雨飾山あたりか。しかし、よく晴れ渡ってくれたもんだ。それだけでもありがたい。この時、山頂には30人ぐらいいたかなあ。ぼくとコーチが寝た下段寝台の相客は子連れパパ、彼らも山頂まで登ってきていた。しっかりした男の子だった。そのまま大きくなって山男になるんだろうか。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時11分=伊藤 幸司
五龍岳の頂上に人がいました。こちらが庭に出たぐらいの感覚なら、あちらは隣町まで出かけたというぐらいの散歩でしょう。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時11分=秋田 守
朝陽を浴びる立山。標高は3000mを超えて、劒岳より高いのだが、唐松岳から見ると、ぐっと左奥に位置するために手前の劒岳の方がはるかに高そうに見えてしまう。これまで2回登ったが、またいずれ登ってみたい。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時11分=秋田 守
迫力満点の劒岳。それにしても格好いいなあ。暗いうちにヘッドランプが見えていたから、間違いなく山頂に何人か登山者がいるはずだ。ぼくはここへは登ることはたぶんないだろうなあ。こうやって眺めているだけで十分満足です。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時12分=伊藤 幸司
富士山も見えていました。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時12分=伊藤 幸司
富士山が見えたら、右に南ア、左に八ッという決まり写真を撮っておきます。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時12分=秋田 守
お隣の五竜岳も朝陽を浴びて美しい。糸の会では以前に唐松岳から五竜岳を経由して下山したことも何度かあると聞いた。それだとハードに歩くコースとなる。今回はゆっくり花の写真を撮りながら、登ってきた道を引き返すという計画。幸いお天気もいいし、今日はデジ一眼にマクロレンズを付けて花の写真を撮るつもり。ただ、どんな花が咲いているのかは昨日すでに分かってしまっているので、驚きの要素がないのが玉に瑕。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 05時13分=伊藤 幸司
要するに、劔を背景にした記念写真。唐松岳の影もきれいに写っています。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時13分=秋田 守
五竜岳の右に槍ヶ岳と穂高岳が見えた。やはり存在感がある。槍ヶ岳はぼくは未踏。この先登ることはあるのかしら。穂高も、西穂山荘に泊まった時、雨と雷に襲われて途中で引き返したし、ご縁がないのかも。まあそれはそれでよしとしている。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時15分=伊藤 幸司
影・唐松岳。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時15分=伊藤 幸司
なんで撮ったかというと富山湾。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時15分=伊藤 幸司
これは不帰嶮(かえらずのけん)を越えて天狗ノ頭、白馬・鑓ヶ岳、ほとんど隠れている白馬岳。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時15分=秋田 守
日本海方面を振り返ると、影唐松岳ができていた。太陽はすっかり上がって雲間に浮かんでいる。周囲はずいぶん明るくなっている。5時20分過ぎ、下山開始。山荘近くまで下ってくると、今朝もまたイワヒバリがいた。このあたりをねぐらにしているようだ。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時16分=伊藤 幸司
1分前の写真で白馬・鑓ヶ岳の頭の右にちょこんと尖っていた白馬岳の山頂を超望遠で撮りました。すると山頂に登っている人も写っているではありませんか。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時18分=伊藤 幸司
中央にあるのが、右から左へ妙高山、火打山、焼山と連なっています。画面右端には戸隠連峰があって、大きな山は高妻山。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時21分=伊藤 幸司
山頂の気温は16度Cでしたが、けっこう寒いと感じました。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時28分=伊藤 幸司
富士山の左、八ヶ岳は一番高い赤岳から、右に阿弥陀岳、権現岳、編笠山と並んでいます。

唐松岳登山、コマクサ
【撮影】2日目 05時32分=矢野 博子
今回 初めて遭遇したコマクサ。最初に覚えた高山植物の名前がコマクサだった。風格のある花だ。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時35分=伊藤 幸司
さてこれは5時18分に撮った写真とほぼ同じ、妙高山から左へ火打山、焼山です。でもそれより、陽光が朝霧の中に差し込んでガラス細工のような風景を作り上げたように思われました。

唐松岳登山、コマクサ
【撮影】2日目 05時37分=伊藤 幸司
小屋の脇の砂礫地に保護してきたコマクサ。

唐松岳登山、コマクサ
【撮影】2日目 05時37分=伊藤 幸司
コマクサはすでに時期が遅かったのですが、これなどはなんとかフレッシュな感じの株。

唐松岳登山、コマクサ
【撮影】2日目 05時38分=秋田 守
コマクサ。もう盛りは過ぎていて、何とか咲き残っているという状態だった。コマクサはあちらこちらの山で見てきたが、中でも印象に残っているのは御嶽山で見た白いコマクサ。6年前の8月初旬、頂上小屋に1泊して、山上を巡り歩いた時のことだった。周りは一面ピンクのコマクサが群生している中に、一株だけシロバナが咲いていた。御嶽神社奥社の世話役に教えてもらわなければ、とても探し当てられなかった。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時40分=伊藤 幸司
唐松岳頂上山荘の2棟の間に設けられた荷捌き所。ヘリで運んできた荷物はホバリングしたまま、どんどん降ろしていきます。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時57分=伊藤 幸司
光があたって立体的に浮かび上がった剱岳。唐松岳頂上山荘のテラスから、この風景を見られるのです。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時57分=伊藤 幸司
立山から剱岳。やっぱり剱岳のほうが高く見えませんか?

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時57分=伊藤 幸司
これは唐松岳頂上山荘のテラスから見た唐松岳。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 05時58分=伊藤 幸司
唐松岳の山頂に、まだ人が残っていました。たぶん、朝食を食べてから登った人。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 06時00分=伊藤 幸司
食堂から窓越しに剱岳を眺めました。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 06時08分=伊藤 幸司
唐松岳頂上山荘の朝の食事。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 06時31分=伊藤 幸司
唐松岳頂上山荘から五龍岳へと向かう人たち。大黒岩のクサリ場の手前でモタモタした感じでしたから初心者混じりのようでしたが、ヘルメットをつけてロープをもった感じからすると、五龍岳から八峰キレットを越えて鹿島槍ヶ岳へと向かうのだろうと思いました。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 06時33分=秋田 守
ご来光を見て山荘に戻ると朝食。1回目の朝食を済ませた人達は早々に山荘を後にしている。ヘルメットをかぶった人達は不帰嶮方面を目指すのだろうか。お気をつけて。朝食はまずまず。ご飯、麩入りの味噌汁、焼き鮭、ガンモ、レンコン、タケノコ、豆、フキ、梅干し、海苔。軽くご飯のお代わりもした。朝食後、山荘前で見納めとした劒岳の雄姿。今日はお天気がいいのはありがたいが、気温が上がりそう。300円の水を2本買った。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 06時37分=伊藤 幸司
朝食を終え、出発準備といってもなにもないので、小屋の前で剱岳とゆっくり向かい合いました。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 06時37分=伊藤 幸司
やっぱり剱岳が圧倒的に高く見えます。雲も右肩上がりのように見えます。水平が大きく狂っている写真なのか心配なので、ネット上の写真をいろいろ見てみましたが、ここからだとどうしたって剱岳が高く見えてしまうようです。
剱岳から左に下ると甲斐・駒ヶ岳の摩利支天に似た雰囲気で中腹に盛り上がっているのが前剱、いったん下って、そこからゆるゆると登り返したところに山小屋のある剱御前があって、そこからが立山連峰。別山があって、ちょっと低い真砂岳があって、標高が一番高い最後の盛り上がりは富士ノ折立(標高2,999m)と大汝山(標高3,015m)とその後ろに重なるようにしている雄山(3,003m)という三山のかたまりです。

唐松岳登山、山頂
【撮影】2日目 06時39分=伊藤 幸司
「トイレは小屋の中のみです。1日300円」という独占販売状態のお達し。ここの「内トイレ」は確かにきれいではあるけれど、登山者としてはむしろ靴を脱がずにすむ公衆トイレのほうがありがたいともいえます。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 06時58分=矢野 博子
ミヤマリンドウだろうか。図鑑には もっと紫色の強いものが載っているが これは 青色が濃く 私的には こちらの色合いあの方が 好き。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時01分=伊藤 幸司
小屋の裏手に回って、昨日来た道を戻ります。
その出発にあたって、私はみなさんに(糸の会としてははじめての)写真撮影に関するお願いをしました。
(1)八方池山荘までの下りを自由行動として、ルーペで見るなり、カメラの接写機能を使ってできるだけこまかく花を見るようにしていただきたい。
(2)花を撮るときには花それ自体のクローズアップ(ポートレイト撮影)に加えて、カメラをすこし引いてその花がある群落も撮っておいていただきたい。
(3)元気できれいな花だけでなく、未熟な花や老いた花などもできるだけ撮っておいていただきたい。
(4)花のクローズアップ写真を撮るときには、傘で日陰をつくってその中で撮ってみていただきたい。
……糸の会としては1,000回あまりの山旅ではじめての撮影旅としたつもりです。

計画書でもそのことは強調しておきました。
『*登りはリフトを利用して長野オリンピック大滑降のスタート地点から歩き始めます。八方尾根をゆっくりと登って、山小屋へ。もちろん唐松岳登頂も。
*2日目は五龍岳まで足をのばす計画を何度かやっていますが、時間的にハードです。歩ききるということに特化してしまいます。八方尾根は蛇紋岩の特異なお花畑とされていますから、2日目はそちらを主役にしたいと考えて、同じ道を引き返します。じっくりと、花鑑賞の尾根歩きという趣になるかと思います。写真撮影、ご自由に。八方尾根はだいたい電話が通じますから、ある程度自由に行動できるように考えます。

*たとえば秋田さんには、一眼レフと三脚をお持ちいただいても結構です。また皆さんにはストックとカサ(基本的に黒か透明の雨傘)を活用して、できるだけいい状態の花のクローズアップ写真を撮っていただけるようアドバイスします。(天気にもよりますが)。
*また写真に重きをおかない方は、ぜひルーペをお持ちください。
*八方尾根の花についてはネット上にたくさんの情報がありますから、ぜひ「下調べ」という意識で「見たい花」をリストアップしてきていただきたいと思います。
*ちなみにお金が余ってしょうがないという方はぜひこの機会に「ツアイスの3倍単眼鏡」(carl zeiss cz ルーペ単眼鏡 mono 3x12)を奮発してみてください。ルーペは最短距離20cmでさまざまな業種でプロ用ルーペとして評価されていますが、美術館・博物館用ルーペとしてもプロ仕様です。単眼鏡ながらスポーツグラスやオペラグラスとしても優秀です。私の知人で野鳥の会で活躍していた人はツアイスの10×40双眼鏡(双眼鏡の王様)とこの単眼鏡をセットで使っていました。ちなみに値段は5万円前後です。日本メーカーも同様のものを出していますが比べたらがっかりします、孫の代まで使えます。』

とにかく、昨日の登りでは花は驚くほど貧弱でした。夏の花から秋の花への切り替え期だとは思っていましたが、お花畑としてはかなり寂しい状態で、天気もどんよりとしていつ雨になってもおかしくないという雰囲気。ですから計画そのものが「ハズレだった」という気分を抱えて登ってきたのです。小屋について、あの夕日のドラマがなかったら恐ろしくどんよりとしたままの1日だったところです。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時01分=矢野 博子
空が高く もう秋の気配が感じられた。 この天空にいるシアワセを感じる。もっとゆっくり降りよう。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時02分=伊藤 幸司
前方、尾根の斜面に道が伸びていますが、それが通行止めになった道。私たちは左手に回り込んで、稜線のてっぺんをたどります。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時06分=伊藤 幸司
稜線の迂回路はこんなふうに作られていました。
正面に見えている大きな山は右に高妻山、左に妙高山。妙高山から稜線を左にたどると火打山と焼山の突起があります。

唐松岳登山、八方尾根、イワギキョウ
【撮影】2日目 07時06分=秋田 守
山荘を出て迂回路を下る。そこにイワギキョウ。本日これ以降のカメラは、オリンパスのミラーレス一眼レフE-M5 MARKⅡ、レンズは60mmF2.8Macro。朝、出発前にコーチからはきれいな花だけ撮るのではなく、咲く前や咲いた後も撮るようにとの指示があった。この場所は、まさにそれを全て集約していた。きれいに咲いた花、蕾、咲き終えた残滓。ひとつ難点が。狭くて急な下り道のため、長居はできないこと。さっさと前へ行こう。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時07分=伊藤 幸司
なんだか、いい稜線ですね。いかにも北ルプスという感じがします。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時08分=伊藤 幸司
高妻山と妙高山を背景にした山頂……ではなくて稜線上のちょっとした突起、です。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時09分=伊藤 幸司
岩場の迂回路が終わって、本来の初心者向き八方尾根になりました。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時10分=伊藤 幸司
不帰嶮沢なんていう名前かと思ったら、唐松沢というのですね、これは。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】2日目 07時12分=矢野 博子
チングルマは どの状態も可愛らしい。名前も可愛らしい。眩しく光が当たって光っている。

唐松岳登山、八方尾根、コバイケイソウ
【撮影】2日目 07時14分=矢野 博子
ぬっくと立ち上がっているコバイケイソウ。もう花は終わっているが いつみても 存在感がある。

唐松岳登山、八方尾根、オヤマリンドウ
【撮影】2日目 07時15分=伊藤 幸司
オヤマリンドウがありました。
『山溪フィールドブック・高山植物』(木原浩・1993年)には『高原に咲くエゾリンドウとよく似ており、本によっては両者が混同されている例もあるが、実物を比べて見れば明らかに違う。最も分かりやすい違いは、エゾリンドウの花が4〜5cmなのに対し、オヤマリンドウは2〜3cmと小さいことで、普通、高山に上がると花が大きくなるものが多い中で、この花は逆に半分近くになっている。花はほとんど半開きの状態でめったに平開しない。』
でも困るのは並んで生えていないとどちらが大きいかわからないし、人間の身長だって150cmから200cmぐらいの違いは平気であるのに、植物だと個体差はさらに大きいというのが常識。オヤマリンドウかどうか大いにぐらつく情報だけれど『八方尾根の花』にはオヤマリンドウだけが載っているのです。

唐松岳登山、八方尾根、オヤマリンドウ
【撮影】2日目 07時16分=伊藤 幸司
オヤマリンドウの花はこれで「満開」なんだそうですが、花として、何やってんだ! と誰かに叱られそう。
昔、大学のクラブの先輩に飲み屋街の歩き方を指導されたことがあるのですが、立ち並んだ飲み屋の扉を1軒、1軒、ちょっと開けては、入らない……というのをえんえんと続けていました。
なんで(下戸の私の体験として)そんな人生一度だけの飲み屋街歩きをここで思い出したかというと、思い出すきっかけとなったエピソードと写真が出てきたからです。
『K・Hanadaのブログ 山野草・高山植物&山行記録』に『マルハナバチの採蜜』という目撃情報です。
【山野草を撮っているとよく出遭う光景です。
マルハナバチ(丸花蜂)がエゾオヤマリンドウの花の中にすっぽり入りこんで採蜜作業に励んでいました。
□中央の花に潜っています
□頭から入ってお尻から出てきます。
□花は蜜を与えて受粉の手伝いをしてもらいます
□この株の左側の花の中で採蜜中、出てくるのを待ってワンカット
□花が閉じていても無理やり入っていきます】

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】2日目 07時18分=伊藤 幸司
日が射しているので、チングルマの綿毛も昨日より華やかに見えます。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時18分=矢野 博子
大好きな青色の花ですが 名前が分かりません。ハコベ・ツメクサの仲間だろうか。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】2日目 07時19分=伊藤 幸司
チングルマの綿毛は雌しべが伸びて、その1本1本が抱える種を遠くに飛ばそうといういうのです。ここでその本数を数えてみると、重なりがって正確ではありませんが35本。白い花弁に黄色い雄しべがあったときには、その中央に黄色い繊維がごちゃごちゃと固まっていたやつです。それがこうまで変身するのかと、感心してしまいます。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】2日目 07時19分=伊藤 幸司
綿毛のチングルマは遠くから見ても、近寄って高精細の視野(網膜中心部で錐体細胞が高密度で集まる中心窩)で見ても、こんなふうに鑑賞の視野(光の三原色に対応するRGB錐体細胞をもった黄斑部)でじっくり見ても、なかなかのもの、だと思います。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時20分=三浦 陽子
何リンドウでしょうか。ミヤマ? タテヤマ?

唐松岳登山、八方尾根、コバイケイソウ
【撮影】2日目 07時21分=伊藤 幸司
コバイケイソウなんでしょうね。登りのときに明らかにミヤマバイケイソウと思われるものを見ましたが、群生したこの場所にあるのは『八方尾根の花』にあるコバイケイソウでいいのでしょう。

唐松岳登山、八方尾根、コバイケイソウ
【撮影】2日目 07時21分=伊藤 幸司
コバイケイソウの葉っぱなのでしょうが、これは年齢的には若いのでしょうか。目にはけっこうギラギラ感のある晴天下ですが、なんかいい陰影ですね。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時22分=伊藤 幸司
なんだかわからない花でしたが、前後の写真を見るとミヤマアキノキリンソウなんですね、これは。ミヤマアキノキリンソウは低山で見るアキノキリンソウとずいぶん違うように思います。
アキノキリンソウは別名アワダチソウ。泡立つように咲くという花の様子からだそうです。茎の下方から上方へと黄色い花のかたまりが直接バラバラとくっついた状態、すなわち穂状花穂(ほじょうかすい)なのに対して、ミヤマアキノキリンソウは茎の先端部に黄色い花を集めて、亜種で、別名コガネギク。
じつは私はアキノキリンソウはどの山でも見ている気分なのですが、花のパラパラ感があまり好きではないらしく、いつも「撮らなきゃ」と思いつつ撮り逃がしてしまいます。「泡立ち草」というようなボリューム感はあまり印象にないのです。それに対してこのミヤマアキノキリンソウは花のボリュームがなかなかのもと感じて撮っています。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】2日目 07時22分=三浦 陽子
チングルマの綿毛は白の花より可愛らしい。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時22分=矢野 博子
今回は 写真にかなり重点を置いて 歩いていたので 私もいつもより 気合が入った。傍を歩いていたA氏に色々教えて頂いたが この遠景にピントを合わせて 手前には ぼやけた花を入れるというのを 狙ったが 上手くいかない。周りを気にしないで あられもない恰好で 地べたに這いつくばって撮るのかもしれない。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時24分=伊藤 幸司
何というサイトかわからないのですが『記録:飯野瑞子・田中徳久』として『6月25日〜27日 白馬山麓と八方尾根の高山植物』の『当日観察した主な植物』というリスト、写真が1枚もない文字だけのリストがありました。
【八方尾根
○ヒカゲノカズラ科:タカネスギカズラ・ヒメスギラン・ヒカゲノカズラ
○マツ科:ハイマツ・コメツガ
○ヒノキ科:ネズ(クロベ)・ミヤマビャクシン
○イネ科:ミヤマウシノケグサ
○タケ科:チシマザサ
○カヤツリグサ科:ショウジョウスゲ・コタヌキラン・ワタスゲ
○サトイモ科:ミズバショウ
○イグサ科:エゾホソイ
○ユリ科:ネバリノギラン・カタクリ・ニッコウキスゲ・ナメルギボウシ・クルマユリ・マイヅルソウ・キンコウカ・チシマゼキショウ・チャボゼキショウ・イワショウブ・ヒメイワショウブ・シュロソウ・ウラゲコバイケイ
○ラン科:テガタチドリ・ハクサンチドリ
○カバノキ科:ミヤマハンノキ・ダケカンバ
○ブナ科:ミヤマナラ
○ウマノスズクサ科:ウスバサイシン・ミヤマアオイ
○タデ科:オンタデ
○ナデシコ科:クモマミミナグサ
○キンポウゲ科:ヒメイチゲ・オオバショウマ・ミツバオウレン・コカラマツ
○メギ科:ヒロハノヘビノボラズ・キバナイカリソウ
○アブラナ科:ウメハタザオ・ヤマガラシ・ミヤマタネツケバナ
○モウセンゴケ科:モウセンゴケ
○ユキノシタ科:コウメバチソウ・ヤグルマソウ
○マンサク科:マルバマンサク
○バラ科:ヤマブキショウマ・チングルマ・キジムシロ・オオタカネバラ・カライトソウ・ミヤマワレモコウ・ナナカマド・シモツケ・イワシモツケ
○トウダイグサ科:ハクサンタイゲキ
○モチノキ科:アカミノイヌツゲ
○ニシキギ科:ヒロハツリバナ
○カエデ科:オオバミネカエデ
○オトギリソウ科:シナノオトギリ(ミヤマオトギリ)
○スミレ科:キバナノコマノツメ・クモマスミレ・ミヤマツボスミレ
○セリ科:イワテトウキ(ミヤマトウキ)・ハクサンサイコ・ウイキョウ・ミヤマウイキョウ
○イワウメ科:イワカガミ(コイワカガミ)
○ツツジ科:ウラジロハナヒリノキ・ウラジロヨウラク・ガクウラジロヨウラク・ウラゲハクサンシャクナゲ・オオコメツツジ・クロウスゴ・スノキ・クロマメノキ・コケモモ
○サクラソウ科:クリンソウ・ユキワリソウ・ツマトリソウ
○リンドウ科:イワイチョウ・オヤマリンドウ・ハルリンドウ・ハッポウタカネセンブリ
○シソ科:タテヤマウツボグサ・イブキジャコウソウ
○ゴマノハグサ科:ミヤマママコナ・ヨツバシオガマ・エゾシオガマ・ミヤマクワガタ
○タヌキモ科:ムシトリスミレ
○アカネ科:キバナカワラマツバ
○スイカズラ科:オオカメノキ
○マツムシソウ科:タカネマツムシソウ
○キキョウ科:タカネツリガネニンジン
○キク科:ハッポウアザミ・オニアザミ・ミヤマアズマギク・ハッポウウスユキソウ・クロトウヒレン・コガネギク・ミヤマタンポポ・セイヨウタンポポ】

植物に詳しいと、こういうふうにメモできるんでしょうね。すごいなあ、と思いながらそこから
○イネ科:ミヤマウシノケグサ
○カヤツリグサ科:ショウジョウスゲ・コタヌキラン・ワタスゲ
○イグサ科:エゾホソイ
を引き抜いて、植物図鑑で見比べてみました。
『フィールド版 日本の野生植物』にはもちろん全種索引に載っていて、それぞれ1点ずつですが写真があります。ただ残念ながら該当すると思われるものはありませんでした。また『原色日本樹木図鑑』にはまさに植物標本を広げてていねいにスケッチした図版がしっかりと並んでいました。
結局、この実のつき方で合致すると思うものは見つかりませんでしたが、6月のリストだからかもしれません。でも植物観察のけっこうすごい世界を垣間見た思いです。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時24分=伊藤 幸司
前の写真の穂の部分のクローズアップです。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマリンドウ
【撮影】2日目 07時25分=伊藤 幸司
これはミヤマリンドウですね。『八方尾根の花』には出ていませんが、ネット上には出てきます。
『東京花景色』というサイトに『ミヤマリンドウとタテヤマリンドウの違い』がありました。
【ミヤマリンドウの花冠
花被片は一見無地のようですが、ぼかし染めのような斑があります。】
その白い丸っぽい「斑」がこの写真でもかろうじて見られます。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマリンドウ
【撮影】2日目 07時25分=伊藤 幸司
ミヤマリンドウの横顔ですが、とにかく色がすごかったのです。さらに、傘をさして日陰の花として撮っているので、その色がさらに強調されたようにも思われます。
植物写真愛好家の秋田氏などは白色の軽量傘を雨傘&日傘&撮影用アンブレラとして用意されていましたが、私のは無印良品の黒い傘。黒と言ってもほんのちょっと青みが入っているようなので、それが影響しているかなとも思いますが、わかりません。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマリンドウ
【撮影】2日目 07時26分=秋田 守
ミヤマリンドウ。この青は個人的にとても好きな色。花の写真を撮る時に、図鑑的に撮るか、作品っぽく撮るか、という選択肢がある。図鑑的に撮るなら、もちろん花だけでなく葉っぱも含めて全体が分かるように、ピントも被写界深度を深く、さらに咲いている場所が分かるように周囲の状況も取り込んで、となる。すると撮影するにも三脚を立てて、となる。ぼくが山の花を撮る目的は、図鑑を作るためではない。撮った花の写真を、後でゆっくりニヤニヤしながら眺めたい。それだけ。だからどうしてもこういう写真が多くなる。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時27分=伊藤 幸司
またやっかいなセリ科です。いろいろ調べてみましたが、結局一番ポピュラーなハクサンボウフウではないかと思うことにしました。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時28分=伊藤 幸司
ハクサンボウフウの葉はこんなにスリムではないのですが、そこのところに触れたページがでてきたので、ハクサンボウフウとしておきました。
『花の山旅〜山野草図鑑 山で撮影した山野草の写真を図鑑形式でアップしていますよ。』に『セリ科の見分け方〜ハクサンボウフウとシラネニンジン』があったのです。
【ハクサンボウフウの葉の特徴は粗めの鋸歯です。そしてあまり深く切れ込みません。
個体によって非常に変化に富みますが、どんなに変化した葉でもシラネニンジンとは似ても似つきません。】
【シラネニンジンの葉です。鋸歯の一つ一つは丸く、ハクサンボウフウより柔らかい印象を受けます。
重厚なハクサンボウフウ、軽薄なシラネニンジンと言った感じでしょうか。
とは言っても最大の相違点は葉の切れ込み方でしょう。名前の通り、「ニンジンに似ている」と、言われればそうかもしれません。】
【これは切れ込みが深いタイプのハクサンボウフウの葉です。しかし、切れ込み深くなったとは言え、相変わらず鋸歯が粗いのでシラネニンジンのような柔らかさは見られません。
この深く切れ込みタイプをキレハハクサンボウフウとして区別する場合もあるようです。】

唐松岳登山、八方尾根、イワショウブ
【撮影】2日目 07時28分=伊藤 幸司
この写真の主役はイワショウブです。周囲を取り囲んでいる元気な葉っぱがなにかわかりませんが、イワショウブは上品にして目立ちます。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時29分=矢野 博子
このアザミは きれいに撮れた。光も当たってトゲトゲが 鮮明だ。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマリンドウ
【撮影】2日目 07時30分=伊藤 幸司
ハルリンドウという雰囲気ですね。その高山型のタテヤマリンドウかとも思っていたら、花弁の内側に白っぽく丸い「斑」が見えています。それを唯一の拠り所とすればミヤマリンドウです。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマアキノキリンソウ
【撮影】2日目 07時31分=伊藤 幸司
まさに「コガネギク」ですね、ミヤマアキノキリンソウ。

唐松岳登山、八方尾根、シロバナニガナ
【撮影】2日目 07時33分=伊藤 幸司
シロバナニガナ。往路でも美しく登場しましたが、まったく違う天気でも表情は同じだと思いました。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時33分=矢野 博子
プランターの寄せ植えのような自然の造形。青色が 鮮やか。“花にも語りかけるのが 大切”とは A氏のお言葉。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマイワニガナ
【撮影】2日目 07時33分=秋田 守
ミヤマイワニガナではないかと思われる。ハナニガナかもしれないが。小さな虫が花についているが、接写していると、花と虫を一緒に撮っていることがよくある。しかも撮影した時には気がつかず、後でよくよく見たら虫がいた、ということもしばしば。

唐松岳登山、八方尾根、コウゾリナ
【撮影】2日目 07時34分=秋田 守
コウゾリナ。ひょっとしたらミヤマコウゾリナかもしれない。花の名前は本当に難しいですね。このあたりは絞りは開放、花まで2〜3㎝ぐらいまで寄って撮影してます。絞りは数段階を自動で撮影する設定も可能ですが、帰宅後、膨大なカットを見なくてはならないのが困るので、必要に応じて、絞り込んだカットも押さえるようにしています。

唐松岳登山、八方尾根、ハナニガナ
【撮影】2日目 07時35分=伊藤 幸司
シロバナニガナとほとんど同じところに、ほとんど同じ姿で、色だけ黄色の花がありました。
当然ニガナかなと思ったらさにあらず。『フィールド版日本の野生植物』によるとニガナの『小花は5-7個』で、その『白花品をシロニガナという』とのこと。そしてニガナの変種にシロバナニガナがあって『小花は8-11個。この黄花品をハナニガナという。』とのこと。つまりこれはハナニガナです。

唐松岳登山、八方尾根、ハナニガナ
【撮影】2日目 07時35分=伊藤 幸司
こう見るとハナニガナはかなり生命力に溢れた印象です。花言葉の「明るい笑顔の下の悲しみ」……どこが?

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時39分=伊藤 幸司
なんだか、すごい風景になってきました。右奥にあるのは浅間山、左奥にあるのは戸隠連峰の高妻山。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時40分=矢野 博子
不帰の稜線を眺めながら ゆっくりと 下って行った。今回の2日目は隊をなして歩くのでなく 思い思いに自分の好きなペースで歩いてよかったので 立ち止まりたいところで好きなだけ立ち止まれるし 写真もいくらでも撮ることが出来た。まだ午前中だというのにかなり暑かったが こんな景色 中々みられないので 早く下山してしまうのが 勿体なかった。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時41分=伊藤 幸司
ヤシャブシか、オオバヤシャブシか、といったところのように思われますが、よくわかりません。葉っぱがものすごく端正で、記憶に残りそうな気がします。
『山の花1200』によると葉の脈はヤシャブシとオオバヤシャブシの『葉の脈は15対前後』ヒメヤシャブシだと『脈は20対以上』とのこと。それについて『原色日本樹木図鑑』の詳細な図版を見ると葉の脈はヤシャブシが15本、オオバヤシャブシが12-3本、ヒメヤシャブシが27本描かれています。
この写真を詳しく見ると、11本程度。いろいろ見ていくうちにミヤマハンノキの可能性が大きくなってきました。『山の花1200』によると『脈は10対前後』とのこと。『八方尾根の花』にも載っています。

唐松岳登山、八方尾根、ナナカマド
【撮影】2日目 07時41分=矢野 博子
ナナカマドの実が 少し色づいていた。
今年は 酷暑だったが 紅葉は どんなになるのだろう。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時42分=伊藤 幸司
糸の会はすでにバラバラになって八方尾根の下りをそれぞれ楽しんでいるようです。

唐松岳登山、八方尾根、アカモノ
【撮影】2日目 07時45分=秋田 守
アカモノの実。葉っぱがきれいだったので、F11まで絞り込んで葉の模様まで映し込めるように調整。もっと絞ってしまうと、今度は平坦な画面になってしまい、赤い実の周囲のけばけばなどが引き立たなくなってしまう。アカモノは花も白やピンクの小さな釣り鐘型で可愛らしくて好きな花のひとつです。

唐松岳登山、八方尾根、白馬三山
【撮影】2日目 07時46分=伊藤 幸司
白馬(しろうま)三山が見えてきました。手前が鑓ヶ岳、その先の3つコブ〜4つコブに見えるのが杓子岳。そしてその向こうに三角形の頭をもたげているのが白馬岳。

唐松岳登山、八方尾根、白馬岳
【撮影】2日目 07時46分=伊藤 幸司
前の写真と同じ位置から白馬岳の山頂を撮りました。人がいるかどうかはわかりませんが、山頂に誰かがいる? 何かがある? ということはわかります。

唐松岳登山、八方尾根、唐松岳山頂
【撮影】2日目 07時50分=秋田 守
振り返ると唐松岳山頂がくっきり見えた。登ってきた時は、山頂はずっと雲の中で見えなかった。8時前だが、日帰りだろうか、もう登ってくる人もいた。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンボウフウ
【撮影】2日目 07時53分=伊藤 幸司
さてこれは、白い花をつけているハクサンボウフウ。その背後にある、ニンジンの葉っぱのような直立した植物は、わかりません。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】2日目 07時53分=秋田 守
チングルマの実。前日のクローズアップもいいけど、こうやって群生状態を少し奥行きを出して見るのもいい眺め。今回は人通りの多い登山道で撮影しているのであまり横着な格好はしていないが、他の人のじゃまにならない場所で撮影する際は、地べたに這いつくばって花ににじり寄ったりしている。しかも、いいね、きれいだよ、とか花に対して言葉をかけながら。冷静に考えれば気味悪い。

唐松岳登山、八方尾根、タカネヤハズハハコ
【撮影】2日目 07時54分=伊藤 幸司
タカネヤハズハハコ(タカネウスユキソウ)です。葉っぱがなんとなく美味しそうに見えるので親しい感じになりましたが「ウスユキソウ」と呼ぶだけのものかどうかにはまだ納得できていません。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 07時56分=伊藤 幸司
丸山ケルンまで下ってきました。ここからは尾根の中腹をたどって八方池のところにに出ます。

唐松岳登山、八方尾根、五龍岳
【撮影】2日目 07時59分=伊藤 幸司
進行方向の右後ろには五龍岳がどっしりと構え、その向こうに鹿島槍ヶ岳の美しい双耳峰が見えてきました。
唐松岳から五龍岳へと向かう道が稜線に見えますが、五龍岳から左に下るのが遠見尾根。8人乗りゴンドラの白馬五竜テレキャビンによって神城駅方面へと下ることができます。

ただしテレキャビンの最終が16時30分なので、下るだけで精一杯、花を見る余裕などありませんし、時間に追われて下ると故障者も出る危険が大きくなります。
そういうことがたくさんあったからでしょう、『白馬五竜高山植物園』の『ゴンドラ&リフト』に次のようなお知らせが出ていました。
【五竜岳より下山のお客様
小遠見山通過時点において、体力的に下り最終16:30に間に合わないと判断された方は、携帯電話等で、 0261-75-2101(株)五竜に電話をしてください。遭難防止対策上、延長運転を致します。17:00を過ぎた場合には、割増料金を頂きます。ご了承ください。】

唐松岳登山、八方尾根、コバイケイソウ
【撮影】2日目 07時59分=矢野 博子
コバイケイソウは 花はついてなかったが 葉っぱだけでも結構存在感のある植物だ。

唐松岳登山、八方尾根、ウサギギク
【撮影】2日目 08時04分=矢野 博子
ウサギギクが 整列していた。 人工的に植えたみたいにきれいに並んでいた。

唐松岳登山、八方尾根、ウサギギク
【撮影】2日目 08時04分=秋田 守
ウサギギク。横一列に並んでるウサギギクもなかなかよかったけど、このクローズアップにはどこか惹かれる。これも絞りは開放。山の花の写真のいい所は、撮っている時も驚きや発見があって楽しいし、家でじっくり拡大してみて改めていい写真を見つけ出す楽しみもあって、ひとつの花で二度三度楽しませてもらえるのがいい。

唐松岳登山、八方尾根、ハナニガナ
【撮影】2日目 08時05分=伊藤 幸司
またハナニガナです。清楚なシロバナニガナの印象からどんどん離れていく感じがします。私には。

唐松岳登山、八方尾根、ウサギギク
【撮影】2日目 08時06分=伊藤 幸司
ウサギギクのポートレイトです。
『ヤマケイオンライン』の『高橋 修の「山に生きる花・植物たち」』に『ヒマワリに似たウサギギクの葉は、兎の耳に似ている?』がありました。
【ウサギギクは、その名のとおりキク科の植物。キク科の植物の花の多くは、たくさんの小さな花の集まりで「頭花」と呼ばれる。
「頭花」の外側には、ぐるりと花びら状の「舌状花」がある。「頭花」の中心部分には小さな直径 1mmもない星形の花を咲かせる「筒状花」がたくさん集まっている。この構造は大きさの差はあっても、同じキク科の植物であるヒマワリとまったく一緒だ。
小さな花の集まりである頭花の直径は3.5〜6㎝と、高山植物としては大きいほうだ。草丈は7〜35㎝、茎の先端にひとつだけ頭花をつける。】

唐松岳登山、八方尾根、ウサギギク
【撮影】2日目 08時06分=小林 美子
この1列に並んだうさぎ菊、
昨日は写真が撮れなかった。
帰りはあのうさぎ菊を撮りたいと思いカメラを向けると、
何か言いたげに1列に並んでる様に感じた。
すごく きれいだよ〜

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマアキノキリンソウ
【撮影】2日目 08時06分=秋田 守
ミヤマアキノキリンソウ。花に止まっている虫はいったいどんな虫だろうか。虫の種類まできちんと調べたことはほとんどない。今後の課題か。このカットは絞り開放だけど、少し絞り込めばよかったかなと反省。

唐松岳登山、八方尾根、ウサギギク
【撮影】2日目 08時09分=伊藤 幸司
ウサギギク。昨日ここでこの一角を撮りました。じつはこんな感じでハイマツの根本に並んで、雪渓の雪がだんだん溶けて消えていくのを眺めていた、ということがよくわかります。

唐松岳登山、八方尾根、ウサギギク
【撮影】2日目 08時10分=伊藤 幸司
ウサギギク。その雰囲気から、けっこう楽天的に生きているのかと思ったら、足元はかなりの窮状。生きるに必死になるときだってあるのでしょう。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】2日目 08時10分=小林 美子
チングルマ も枯れはじめていたが、
この一輪は、しっかり咲いていました。
花言葉は 可憐。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】2日目 08時11分=秋田 守
チングルマの花。白い花の上に、これはまた小さな小さな虫がいっぱい。黄色い雄蘂と雌蘂のもじゃもじゃした具合が何とも言えない。こういう状態を、コーチがお勧めしていたツァイスの単眼鏡でのぞいたら面白いだろうなあ。マクロの絶景、なんちゃって。まあ、でもぼくは写真でよしとしておこう。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】2日目 08時12分=伊藤 幸司
チングルマの花と綿毛が一緒に見られるところがあったので撮りました。チングルマは草ではなく木です。枝が横に這っているそうですから、これらの花が同一人物なのか兄弟なのか、はたまた他人なのかわかりませんが、それなりの年齢差はここに出ているわけですよね。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】2日目 08時12分=伊藤 幸司
前の写真にあったチングルマを近づいてよく見たら、まだ綿毛ではありませんでした。白い花弁は落ちましたが、先端に茶色い葯をつけた雄しべはまだついたままです。中央にある茶色のかたまりが細くて長い雌しべで、その数十本の雌しべの根本にいま、種が育っているところなのだと想像します。その雌しべが長く伸びて風に揺れるようになったらいよいよ綿毛の時代です。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】2日目 08時12分=小林 美子
チングルマの綿毛が、
一面に・・
綿毛の時もすきだなぁ〜

唐松岳登山、八方尾根、エゾシオガマ
【撮影】2日目 08時13分=小林 美子
エゾシオガマ。
ちょっと淋しく咲いていた。

唐松岳登山、八方尾根、チングルマ
【撮影】2日目 08時13分=秋田 守
単独のクローズアップもいいけど、群生もいいな、チングルマの花は。チングルマは、なんとバラ科の落葉小低木だそうです。木と言われてもぴんと来ないけど、確かに秋になると紅葉して、その後葉っぱを落とすなあ。

唐松岳登山、八方尾根、ナナカマド
【撮影】2日目 08時15分=秋田 守
ナナカマドの実が付いていた。この葉っぱはまだ緑色だけど、気の早い葉っぱは紅葉していてるのも少し見られた。実の方も少し赤っぽくなっているが、これから真っ赤に変わっていくのだろう。秋の気配を否が応でも感じさせられる。

唐松岳登山、八方尾根、ヤマハハコ
【撮影】2日目 08時17分=伊藤 幸司
ヤマハハコの花はどこか作り物のように見えるのですが、まさにそう。黄色い部分がひとつひとつの頭花で、小花と呼ばれるたくさんの花を一つに束ねています。その頭状花序(とうじょうかじょ、すなわち花序全体)を支えるように包んでいるのが総苞片(そうほうへん)なのですが、それがなんと八重の花びらのようにあって、しかもプラスチックのようなシャープな輝きをもっています。だからヤマハハコはいつ見ても乾いた花という雰囲気をもっています。ここでは花(頭状花序)が黄色から茶色へと置いた雰囲気になりつつあります。

唐松岳登山、八方尾根、オオヒョウタンボク
【撮影】2日目 08時17分=矢野 博子
ヒョウタンボクの実は 何と言っても二つくっついているところが 可愛らしい。どれもこれも “見て、見て!”とばかりに 輝いている。

唐松岳登山、八方尾根、ヤマハハコ
【撮影】2日目 08時18分=秋田 守司
ヤマハハコ。花が終わっているのもたくさんあったが、標高が高い所はまだまだしっかり咲いていた。食用できるとは知らなかった。あまり美味しくはないとのこと。黄色い部分が花で、白い部分は蕾を包んでいた葉にあたる苞(ほう)。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマセンキュウ
【撮影】2日目 08時20分=伊藤 幸司
またセリ科ですが、これは『八方尾根の花』に出ているミヤマセンキュウではないかと思います。旧版の『白馬・八方尾根の花』についていた『せり科を比較しよう』という見開き画面では『葉の切れ込み方がシダっぽい』と書かれています。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマセンキュウ
【撮影】2日目 08時21分=伊藤 幸司
前の写真のミヤマセンキュウの花の部分をクーズアップしたらこんな風景になりました。
花だから客寄せ商売なんですが、今日はちょっと閑散期、オリジナル写真で細かく見てみましたがひとりもいないみたいです。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマセンキュウ
【撮影】2日目 08時21分=秋田 守
ミヤマセンキュウ。たぶん。セリ科の特定は難しい。6年前に八方尾根を歩いた際は、山荘の夜のミーティングの時に皆さんに見ていただいた白馬植物手帳の監修者、藤井さんに解説をしていただきながら高山植物を観察した。その最初がセリ科のアマニュウ、それを延々10数分詳説してもらった。その時にしっかり復習しておればセリ科にもっと詳しくなれたのだが、すべて忘れてしまった。アカン。

唐松岳登山、八方尾根、エンレイソウ
【撮影】2日目 08時22分=伊藤 幸司
エンレイソウもありました。大きな三つ葉の1枚が欠けていますが、どういう理由かちょっと想像できません。

唐松岳登山、八方尾根、コメススキ
【撮影】2日目 08時24分=伊藤 幸司
コメススキではないかと思います。小さな花をまばらにつけているという点で特徴的なのですが、葉が糸のように細いということから背後の葉が別物でなければいけません。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 08時24分=矢野 博子
ここは 扇雪渓。8月半ばでも残っているということは 万年雪でしょう。この辺りは 他に比べて地温が低いから 何か違った草花があるかもしれないと教えられた。成程、そうやって草花は住み分けているんだ。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 08時26分=矢野 博子
これは 雪の重さで根本の方から 曲がってしまっている木。生命力に圧倒される。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 08時28分=伊藤 幸司
クマイチゴ……かどうかわかりませんが。

唐松岳登山、八方尾根、ヒョウタンボク
【撮影】2日目 08時28分=三浦 陽子
赤い実がかわいいヒョウタンボク。美味しそうに見えるが味はエグみがあるらしい。

唐松岳登山、八方尾根、サンカヨウ
【撮影】2日目 08時28分=矢野 博子
サンカヨウの実。花も良いけど 結構 ちょこんと飛び出たこの実が個性的で好きだ。

唐松岳登山、八方尾根、ヤグルマソウ
【撮影】2日目 08時29分=小林 美子
大きな葉のかげに、
ヤグルマソウの花の実を発見。
葉の下から、失礼します、パチリ!
この後、赤くなったら、又見事でしょう。

唐松岳登山、八方尾根、キヌガサソウ
【撮影】2日目 08時29分=秋田 守
扇雪渓近くのキヌガサソウ。これは前日コンパクトカメラで撮影したのと見比べてもらうと写り方の違いがよく分かるはず。実の周りに広がる8片の萼片の手前と向こう側のボケ方の違い。それがどうした、と言われると返す言葉ナシ。萼片の縁の薄紅色のはかなさ。ひとり勝手にニヤニヤさせてもらいます。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 08時30分=伊藤 幸司
昨日ここでキヌガサソウを見た雪渓です。冬になるとこの斜面が全面真っ白になります。
その雪面を4本歯の軽アイゼンで登り、下ると、足さばきの微妙さがよくわかります。ダブルストックの使い方も矯正されます。わたしにはそういう意味で魅力的な雪渓です。

唐松岳登山、八方尾根、キヌガサソウ
【撮影】2日目 08時30分=秋田 守
左奥に咲いていたキヌガサソウは一回り小ぶりで、なおかつ、萼片の縁の紅色がすっかり褪せてしまい緑一色に至っている。こちらはF9まで絞り込んでいる。いずれにせよこの時期に見られるとは思っていなかったキヌガサソウであった。

唐松岳登山、八方尾根、ゴゼンタチバナ
【撮影】2日目 08時31分=伊藤 幸司
ゴゼンタチバナもありました。
『ウィキペディア』の『ゴゼンタチバナ』でこの葉っぱの不思議がすこしわかりました。
【葉は2枚の対生葉と液性の短枝に2個ずつ葉が付き、計6枚の輪生に見える。花の咲く株は葉が6枚にまで成長したものである。】(「液性」は腋性の誤植のようです)
この写真では6枚の葉のうち4枚が異常に小さいのです。こんなのは初めて……と思ったら、左隣にあるものもみな同じような6枚葉です。
じつはウィキペディアの解説がよくわからないのでいろいろ探してみるとありました。
『Professional Photographer SHIORI UCHINO』さんのサイトに『ゴゼンタチバナ(御前橘)』がありました。
コピーができないようになっているので要点を引用すると、まだ花のついていないときには『頂端に対生する葉を2対輪生状につけ』(つまり葉は4枚)、花をつけるときには『頂端に1対(2枚)の対生葉と葉腋の短枝上にさらにそれぞれ1対(4枚)の葉をつけるので計6枚の輪生に見える』
ここで「葉腋」というのがわかりませんが、『コトバンク』の『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説』に『葉腋 ようえき axil』がありました。
【葉と葉のついている茎とのまたになった部分をいう。通常枝は,この部分に生じた芽 (腋芽) が伸長してできる。】
つまり写真のこの状態は大きい葉が『頂端に1対(2枚)の対生葉』で小さいのが『葉腋の短枝上にさらにそれぞれ1対(4枚)の葉』ということになります。

ゴゼンタチバナはどこでも見られる花、という感じで、4枚葉でも6枚葉でもいつも同じサイズの葉に見えていました。だからこれが一種の奇形なのか、成長途上の姿なのかわかりません。

唐松岳登山、八方尾根、オオヒョウタンボク
【撮影】2日目 08時31分=秋田 守
オオヒョウタンボク。後ろから下ってきた人に木の名前を聞かれたので教えてあげた。間違えようのない名前の場合はいいのだけど。自信がない時は、はっきり分からないと答えるようにしている。訊いた方はどのみち覚えていないことが多いのだろうが。

唐松岳登山、八方尾根、ハッポウアザミ
【撮影】2日目 08時32分=矢野 博子
ハッポウアザミだろうか。リフト乗り場で“八方尾根花散歩”という写真集を買ったが それによるとここ周辺でみられるアザミだけでも5種類も載っている。

唐松岳登山、八方尾根、ナナカマド
【撮影】2日目 08時33分=小林 美子
ナナカマド。
他にも実がついた木がたくさんあったけど、
この木、一本だけが少し赤くなっていた。

唐松岳登山、八方尾根、ハッポウアザミ
【撮影】2日目 08時35分=秋田 守
アザミが難しい。これはハッポウアザミではないかと思うのですが、全く自信ナシ。オニアザミは花が複数付く。花がひとつ、しかも下を向いているのは、ハッポウアザミかタテヤマアザミ、もしくはダイニチアザミ。花の付け根部分が粘るか粘らないか、葉っぱの切れ込みが深いか浅いか、などが決め手となるようだが、分からん。

唐松岳登山、八方尾根、ハッポウアザミ
【撮影】2日目 08時36分=小林 美子
ハッポウアザミでしょうか。まだつぼみは小さい。
もうすぐ開いて色がつくでしょう。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 08時37分=小林 美子
ウドの大木。
存在感アリ!

唐松岳登山、八方尾根、シロバナハナニガナ
【撮影】2日目 08時37分=秋田 守
シロバナハナニガナ。咲き終わった後もいくつかぶら下がっていた。このシロバナハナニガナの花が黄色いものをハナニガナと呼ぶのだそうな。逆かとばかり思っていた。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマシシウド
【撮影】2日目 08時41分=秋田 守
またまたセリ科。これはミヤマシシウドではないかと思うのだが自信ナシ。ちゃんと下の方の葉っぱの部分も撮影してあるのだが、それでもよく分からない。光の浴び方がいいなと思って撮ったので、特定できなくてもいいか。

唐松岳登山、八方尾根、ハッポウアザミ
【撮影】2日目 08時42分=伊藤 幸司
これは『八方尾根の花』にあるハッポウアザミだと思って撮りました。が、この写真を見ているうちに国立科学博物館の指摘を思い出しました。
『国立博物館足物研究部・日本のアザミ』の『ハッポウアザミ』の『ノート』です。
【蛇紋岩地に生える高山植物.北アルプスの高山帯に普通に生えるタテヤマアザミとは,茎葉が深裂し,総苞片に腺体があることで区別できる.八方尾根の蛇紋岩地には本種が,上部(非蛇紋岩地)にはタテヤマアザミが生育し,明瞭な棲み分けが見られる.】
じつはまだ、ここは【上部(非蛇紋岩地)】だと思うのです。
ですからタテヤマアザミだと決定したいのですが。グーグルの画像検索で見ると、葉の切れ込みの深さが、やはりハッポウアザミのように思われます。……とすればここはまだ【蛇紋岩地】なのか? 【総苞片に腺体があることで区別できる】ということは全然チェックできていません。

唐松岳登山、八方尾根、ハッポウアザミ
【撮影】2日目 08時42分=伊藤 幸司
ハッポウアザミとしておきます。『八方尾根の花』にあるハッポウアザミとものすごく似ています。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 08時43分=伊藤 幸司
この花はなんでしょうか。わかりませんが、このようなアザミの花がどういう構造になっているのか検索してみました。それに対する回答になっているかどうかわかりませんが、私にはまったく新しい情報が出てきました。
『人と自然 Humans and Nature 20: 73-79 (2009)』に『ノアザミ(キク科)の開花期にみられる小花の形態変化 -雌株と両性株の比較- (小豆むつ子・布施静香・高橋晃)』という論文が出てきました。
【図3 ノアザミの頭花
A:両性株の頭花,B 雌株の頭花.両性株の小花は雄性期からはじまるので開花直後の頭花は葯が目立つ.雌株の小花は中性期からはじまるので開花直後から雌蕊が目立つ.葯は雌蕊や花冠よりも濃色をしているため,雌株の頭花は両性頭花よりも白っぽく見える.(雌株は中性期の写真,両性株は雄性期〜中性期の写真で,頭花の内側につく小花から花粉が放出されており,外側につく小花は中性期に移行しているのが分かる).】
全く答えになっていませんが、この【図3】の写真を直接見ていただくと、アザミの花が雄しべ主体で見えるものと、雌しべ主体で見えるものがあるという程度のことまではわかります。(その先はものすごく難しいみたいですけれど)

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 08時43分=伊藤 幸司
前のアザミ写真の広い風景です。『八方尾根の花』に候補があるとしたらノアザミかオニアザミなのですが、頭花がひとつということでノアザミとしておくのが安全パイかと思います。グーグルの画像検索でノアザミを全部見ましたが、イエスともノーともいえません。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 08時43分=伊藤 幸司
ノアザミかもしれないという写真の3点目です。葉っぱの様子がよく分かるように撮ったつもりです。
『八方尾根の花』以外のアザミだと困るのですが、ノアザミだと『花期6〜8月』というのは他のアザミより早いというということです。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 08時44分=伊藤 幸司
「ミヤマシシウドの谷」まで下ってきました。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 08時44分=伊藤 幸司
ミヤマシシウドの花に虫が来ていました。地味な花ながら、もっと小さなサイズの虫が群れている光景はよく見ます。花に宇宙を感じる瞬間です。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマシシウド
【撮影】2日目 08時45分=伊藤 幸司
ミヤマシシウドの花のクローズアップです。オリジナル写真を拡大してみると黒い点は雄しべの先端にある葯のようです。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマシシウド
【撮影】2日目 08時45分=伊藤 幸司
ミヤマシシウドの花柄の付け根のあたり、たぶんごく最近まで巨大な総苞(つぼみを包む葉)に収まっていた膨大な数の花々が爆発的に飛び出していきつつある、ビッグバン状態だと思います。

唐松岳登山、八方尾根、トリカブト
【撮影】2日目 08時45分=秋田 守
トリカブトはたくさん見ることができた。見れば見るほど不思議な花。ミヤマトリカブトというのもあって、区別はよく分からない。ヤチトリカブトなんてのもあるし。お手上げです。

唐松岳登山、八方尾根、クロトウヒレン
【撮影】2日目 08時46分=伊藤 幸司
クロトウヒレンです。
『フィールド版 日本の野生植物』によるとトウヒレン属のシラネアザミの変種としてクロトウヒレンがありました。『頭花はやや大きくて柄がなく、総苞は暗紫色。山形〜石川の日本海側。高山草原。』となっています。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマシシウド
【撮影】2日目 08時46分=秋田 守
これもミヤマシシウドかなあ。ちょっと違うような気もするのだが。このあたりにはニョキニョキ生えていた。所々にトリカブトの毒々しい青色が混じっている。

唐松岳登山、八方尾根、シモツケソウ
【撮影】2日目 08時47分=矢野 博子
シモツケソウ。この花も とても繊細で ルーペで覗きたくなる花。結構今回は 頻繁にみることができた。

唐松岳登山、八方尾根、クロトウヒレン
【撮影】2日目 08時48分=秋田 守
クロトウヒレン。これは7月頃の花が咲く前の蕾の方が、見て面白いかも。黒くてごっつりしている。名前もその方がしっくりくる様な気がする。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマシシウド
【撮影】2日目 08時49分=伊藤 幸司
ミヤマシシウドの谷を抜けていきます。

唐松岳登山、八方尾根、タテヤマウツボグサ
【撮影】2日目 08時49分=秋田 守
タテヤマウツボグサ。この時期、広範囲でたくさん咲いているのを見かけた。どうでもいいことだけど、花の写真を撮る時は、いつもなぜか息を止めてしまう。だから、撮影し終えて、しゃがんでいた状態から立ち上がると、くらっとすることがある。

唐松岳登山、八方尾根、シナノオトギリ
【撮影】2日目 08時51分=秋田 守
シナノオトギリ。ちょっと盛りを過ぎていたかな。オトギリソウ科に属するが、オトギリソウはもともと古くからの薬草。若い人達にとってはゲームソフト「弟切草」としての認知度が圧倒的に高いのかもしれない。

唐松岳登山、八方尾根、シロバナニガナ
【撮影】2日目 08時52分=伊藤 幸司
私にとっては今回最大の出会いだったシロバナニガナですが、えっ? つぼみはピンクなの? という写真。ここで写真を3枚撮っていますが、この白い花とピンクのつぼみとの関係がわかるようなアングルでは撮っていません。この不思議、撮ったときにはたぶん感じていなかったのでしょう。しょうがないですね。

唐松岳登山、八方尾根、シモツケソウ
【撮影】2日目 08時53分=秋田 守
シモツケソウ。マクロの世界で美しさを増す花。もじゃもじゃたくさん飛び出しているのは雄蘂。こちらは多年草だが、花木のシモツケに似ていることから、名前が付けられたという説明もあったが、本当かしら。ストンと落ちにくいなあ。

唐松岳登山、八方尾根、タテヤマウツボグサ
【撮影】2日目 08時54分=伊藤 幸司
『八方尾根の花』にあるのでタテヤマウツボグサです。
『山溪フィールドブックス 高山植物』(木原浩・1993年)には次のように書かれています。
『紫色の花は、平地に生えるウツボグサよりも色が鮮やかで濃く、大きな株で群生している姿は、目を見張るほどの美しさである。分布が限られているらしく、筆者は今までに白馬岳、八方尾根の一部でしか見たことがない。』
また『山の花1200』(青山潤三・2003年)には『北アルプス八方尾根中腹の蛇紋岩崩落地に生えていた個体(写真次頁左下)は、花序に毛を欠き全体にひ弱な感じだが、本種の変異形の可能性もある。』
じつは木原さんが撮った写真(八方尾根)はすばらしく華やかな群落です。それに対して青山潤三さんの写真(八方尾根)は私のこの写真に似ています。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 08時54分=矢野 博子
この草の名前も近くにいらしたA氏に伺ったが 忘れました。これは 多分 実でしょうが 素晴らしいバランスのとれた造形美。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンシャジン
【撮影】2日目 8時54分=秋田 守
ハクサンシャジン。たくさん見かけたが、やはり時期は盛りを少し過ぎている感じがした。薄青色でなく、白い花も少しだけど見かけた。ツリガネニンジンの高山型だそうです。

唐松岳登山、八方尾根、カライトソウ
【撮影】2日目 08時55分=伊藤 幸司
カライトソウです。
『ウィキペディア』の『カライトソウ』にはこの赤い穂(花穂)の構造について次のように書かれています。
【花穂は長さ4-10 cmの細長い円柱形で垂れ下がる。1-数個が散房状につき、淡褐色の綿毛が密生する。白花品のものもある。小花は紅紫色で直径が約1 mm、花弁はない。雄蕊は6-12個、がく片よりも長く、長さ7-10 mm、黒紫色の点状の葯が付き、雌蕊は1本。葯は乾くと黄褐色となる。花は花穂の上から下へと咲き進む。】
この赤い穂(花穂、穂状花序)がたくさんの小花が集まってできていて、それを構成するひとつひとつの花(小花)からは雄しべが6-12本出て、その頭には黒紫色の点状の葯がついているということです。「花穂(かすい)」という最初の言葉で状況を大づかみできなかったゆえに、参考書をあれこれ見て、1時間はロスしたように思われます。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 08時55分=矢野 博子
高くなった秋空とお花畑。表現したいのは 澄んだ空だったけど どうだろう?

唐松岳登山、八方尾根、ニッコウキスゲ
【撮影】2日目 08時56分=秋田 守
これはニッコウキスゲの花の咲き終わったものだろうか。咲いていたら間違えることはないだろうが、咲き終えたのは難しい。

唐松岳登山、八方尾根、オヤマボクチ
【撮影】2日目 08時57分=小林 美子
雄山火口(オヤマボクチ)
葉の裏に生える繊維が
火起こしの火口(ほくち)として用いられた事からこの名前がついたそうです。

唐松岳登山、八方尾根、タカネマツムシソウ
【撮影】2日目 08時57分=小林 美子
マツムシソウの高山型でタカネマツムシソウ。
鮮やかな濃紫色で花びらの幅が広く、
花びらがつまっているように見えるので豪華とありましたが、
やはり、濃い色の方がきれいだ。
目につく。

唐松岳登山、八方尾根、タテヤマウツボグサ
【撮影】2日目 08時58分=伊藤 幸司
タテヤマウツボグサが群生していましたが、花はもう終わりという感じでした。

唐松岳登山、八方尾根、シナノオトギリ
【撮影】2日目 08時58分=伊藤 幸司
オトギリソウです。雄しべが直線的に飛び出す感じが独特ですぐにわかるのですが『八方尾根の花』によると『オトギリソウ』と『シナノオトギリ』があるといいます。私にはよくわからないので高山性のシナノオトギリとしておくのが無難だと考えます。
『山溪フィールドブックス 高山植物』(木原浩 1993)ではイワオトギリに次のようなことが書かれています。
『北海道の高山に生えるハイオトギリの変種。この仲間の見分け方は大変難しい。ごく近いものにシナノオトギリがあるが、区別の方法は、葉を透かすと見える明点と黒点の有無、その位置の違いで判断するが、検索表で見てもよほど根気がないと分かりにくく、中間種らしきものがあったりで、お手上げというのが正直なところである。』
『四季の草花』というサイトに『イワオトギリ-岩弟切』があって、ここにも区別の仕方に関して説明がありました。
【オトギリソウ属の花は似ているので区別が難しい。オトギリソウは高山でなくても見られ、茎の先に花を沢山付けるので写真のものとは異なる。シナノオトギリとイワオトギリが写真の花に似ているが、この区別は葉の黒点や明点をじっくり見ないと難しい。ここでは、日本海側の高山に分布すること、シナノオトギリよりも葉が尖っていること、黒点が葉の縁のみでなく全体に散らばっていることなどから、イワオトギリと同定した。】

唐松岳登山、八方尾根、タテヤマウツボグサ
【撮影】2日目 08時58分=秋田 守
同じ咲き終わりでもこちらははっきり分かる。タテヤマウツボグサ。花も少しだけ残っているし、独特の形状は分かりやすい。この後、種子となるのだろう。植物にとっては花より種子の方が重要なんだろう。

唐松岳登山、八方尾根、オニアザミ
【撮影】2日目 08時59分=伊藤 幸司
これはオニアザミだと思います。『山の花1200』に『頭花は数個集まって下垂し』とあります。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンシャジン
【撮影】2日目 08時59分=矢野 博子
色が白っぽいけど ハクサンシャジンだろうか。小さなベルのようなものが連なっていて 可愛らしい。青空に映える。この場所に生えているからいいんでしょうね。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンタイゲキ
【撮影】2日目 08時59分=秋田 守
ハクサンタイゲキ。少し葉っぱが色づき始めている。しっかり実も結実している。全体に奥ゆかしい感じがして大変好ましい。

唐松岳登山、八方尾根、タムラソウ
【撮影】2日目 09時00分=伊藤 幸司
行きには見過ごしていた群生のタムラソウ。「トゲのないアザミ」として見るたびになんとなくうれしい花です。正確には「アザミ似」ですが。キク科タムラソウ属の(日本では)1種のみとのこと。

唐松岳登山、八方尾根、サラシナショウマ
【撮影】2日目 09時00分=伊藤 幸司
本来なら真っ白なチューブ洗浄用ブラシに見えるサラシナショウマですが、これはちょっと元気がありません。サラシナはそばの更科(信濃国更級郡)ではなくて、茹でて水に晒して山菜としたことによる晒菜とか。生薬名の升麻には発汗・解熱作用があって、感冒、はしか、のどの腫れ、痔に効くといいます。代表的な漢方処方に升麻葛根湯など、まさにこのサラシナショウマが使われているのだそうです。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 09時00分=秋田 守
花を探して歩くと、下を向いてばかりになりがち。ふと頭を上げたら、カライトソウ、タムラソウ、ハクサンシャジンなどの花畑の向こうに青空が見えた。気持ちのいい一瞬。しかし暑い。まだ9時だというのに汗だくだ。前日は雲がかかっていてこういう風景にはあまり出会えなかったので嬉しい。

唐松岳登山、八方尾根、シモツケソウ
【撮影】2日目 09時01分=伊藤 幸司
シモツケソウです。
この花をどう説明したらいいのか探したところ『みんなの花図鑑』に『シモツケソウ』がありました。
【枝先に集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、花径4、5ミリの小さな花をたくさんつける。
花の色は普通は淡い紅色だが、濃い紅色のものもある。
花弁は5枚で、形は円形である。
雄しべはたくさんあり、花冠から飛び出ている。】

唐松岳登山、八方尾根、マルバダケブキ
【撮影】2日目 09時01分=伊藤 幸司
『八方尾根の花』にはありませんでしたが、マルバダケブキがありました。花はこれからなのでしょうか。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンシャジン
【撮影】2日目 09時02分=三浦 陽子
ハクサンシャジン(タカネツリガネニンジン)。

唐松岳登山、八方尾根、カライトソウ
【撮影】2日目 09時02分=秋田 守
カライトソウ。いい色してるなあ。名前の由来は、たくさん飛び出している雄蘂を、中国(唐)から渡来した絹糸に見立てたことによるそうだ。名前もいいねえ。やっぱり上の方の蕾が可愛いと思ってしまう。小手毬のようで。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンシャジン
【撮影】2日目 09時03分=伊藤 幸司
青空のもと、ハクサンシャジンが群舞していました。光線の具合かもしれませんが、シロバナハクサンシャジンかもしれません。

唐松岳登山、八方尾根、オニアザミで
【撮影】2日目 09時03分=伊藤 幸司
こんなスマートなオニアザミでいいのかと心配ですが、存在感がありました。

唐松岳登山、八方尾根、五龍岳
【撮影】2日目 09時03分=伊藤 幸司
下るに従って五龍岳と鹿島槍ヶ岳の関係が動いてきました。五龍岳から下る遠見尾根とこの八方尾根は双子みたいなもの。見ると歩くとではずいぶん違いますが。

唐松岳登山、八方尾根、オニアザミ
【撮影】2日目 09時04分=伊藤 幸司
オニアザミのカップルの記念写真という感じ。ちょっと普段着っぽいですけれど。

唐松岳登山、八方尾根、カライトソウ
【撮影】2日目 09時04分=伊藤 幸司
カライトソウがかなりかたまって咲いていました。

唐松岳登山、八方尾根、ハッポウワレモコウ
【撮影】2日目 09時04分=矢野 博子
今回 覚えた植物の一つ ハッポウワレモコウ。一般的なワレモコウより花の部分が長い。ワレモコウの群生はあまり見たことないので 珍しかった。

唐松岳登山、八方尾根、ハッポウワレモコウ
【撮影】2日目 09時05分=秋田 守
ハッポウワレモコウ。先のカライトソウとワレモコウとの雑種。ここに写っているのはワレモコウらしいけど、もっとカライトソウに寄った感じのものも見かけた。どこまでを線引きするのだろうか、気になる。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマトリカブト
【撮影】2日目 09時06分=伊藤 幸司
『八方尾根の花』にはミヤマトリカブトとありますから、それです。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 09時06分=伊藤 幸司
写真を撮りながらのんびり歩くのもいい……と思いながら遊山の旅です。花は圧倒的に少ないのですが、昨日は「ほとんど無い」と思っていた花が「結構たくさんあるじゃないか」と思えたのは天気のおかげです。

唐松岳登山、八方尾根、ハッポウワレモコウ
【撮影】2日目 09時07分=伊藤 幸司
ハッポウワレモコウが群落をつくっていました。
『上州花狂いの植物散歩 〜失われゆく植物を求めて〜』というサイトに『ハッポウワレモコウ』がありました。
【カライトソウ×ワレモコウの交雑種
1966年、奥山春季博士がカライトソウとワレモコウの交雑種として北アルプスの八方尾根で発見した。
八方尾根の礫地などにやや稀に生える高さ60〜100cmの多年草。
花穂が短く、直立している点はワレモコウに似るが、雄しべが長く、萼片より突出し、その数が一定しない点はカライトソウの特徴に近い。
八方池周辺で観察できる。】

唐松岳登山、八方尾根、ハッポウワレモコウ
【撮影】2日目 09時09分=伊藤 幸司
ハッポウワレモコウですが、片親に当たるワレモコウも混ざっているようです。

唐松岳登山、八方尾根、タカネマツムシソウ
【撮影】2日目 09時09分=矢野 博子
タカネマツムシソウで良いんでしょうか? この青さを出すには 日陰にしなければいけないことが分かり日傘を使ってみた。何枚か撮ったマツムシソウの中ではこれが一番きれいに青が表現できた。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンシャジン
【撮影】2日目 09時11分=伊藤 幸司
ハクサンシャジンには白花もありますが、私にとっての基準色はこれです。
『四季の山野草/山野草図鑑』に『ハクサンシャジン』がありました。
【葉は3〜5個が輪生する。花は1段に数個、2〜3段に輪生し、花の輪は接近する。高さ15〜50cm。茎葉は多数。下部の葉は花時には枯れる。中部の葉がもっとも大きく長さ3〜7cm、幅1〜2cm。上部の葉はしだいに小さくなる。萼片は線形で、両側に1〜2個の突起状の鋸葉があるが全縁。花冠は長さ1.2〜1.7cm。花盤は円筒形で長さ2cm内外。
ツリガネニンジンの高山型。両者の違いは大きさだけで、変異は連続的だとしてハクサンシャジンを認めない見解もある。】

唐松岳登山、八方尾根、シナノオトギリ
【撮影】2日目 09時11分=伊藤 幸司
オトギリソウですがシナノオトギリなんでしょうね。

唐松岳登山、八方尾根、タムラソウ
【撮影】2日目 09時13分=秋田 守
這い上がってくる雲を背景にしたタムラソウ。タムラソウはちょうど開花期だったのか、たくさん見ることができた。名前の由来は、別名の玉箒(タマバタキ)からタマバタキソウが転じた、とか、花の様子から多紫草(タムラサキソウ)が転じた、とかあるようだが、定かでない。牧野冨太郎博士は語源不明としていたようだ。

唐松岳登山、八方尾根、タカネマツムシソウ
【撮影】2日目 09時14分=伊藤 幸司
マツムシソウの高山型変種・タカネマツムシソウ。秋の山ではうるさいほどたくさん咲いていることが多いので、今回はタカネマツムシソウが少ないために、まだ秋の花になりきらない端境期という印象が残りました。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンシャジン
【撮影】2日目 09時18分=伊藤 幸司
ハクサンシャジンは八方尾根の主役の一つではないかと思います。7月だともっとすごくて、ありとあらゆる場所にチョロチョロと顔を出してくるという感じで。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンシャジン
【撮影】2日目 09時20分=伊藤 幸司
ハクサンシャジンの花の内部を覗いてみました。ちょっと盗撮の気分で。

唐松岳登山、八方尾根、白馬岳
【撮影】2日目 09時21分=伊藤 幸司
もうすぐ八方池というところまで下ってきたら白馬岳(しろうまだけ)の白馬山荘(はくばさんそう)も見えてきました。
7時46分に撮った白馬岳山頂の写真にあった標識らしいものは、ここでは白く写っています。山頂の標識でしょうね。

唐松岳登山、八方尾根、ハクサンタイゲキ
【撮影】2日目 09時23分=伊藤 幸司
トウダイグサ科のハクサンタイゲキです。ずいぶん変わった姿をしているので、逆に記憶に残るかも。葉っぱが紅葉するとものすごい赤になるそうです。
どういう構造になっているのか? 『Tam's 素人植物図鑑』に『ハクサンタイゲキ』がありました。
【葉は長さ5-7cm、幅1-2cmの狭長楕円形で互生し、茎の先の葉は円く数個が輪生する。縁に密に細鋸歯がある。
主茎の先に6個の枝を出し、枝先に3個の苞葉(托葉)がついて3個の小枝を出す。小枝の先に2個の小苞葉の間に杯状花序ができる。花序の腺体は4個で黄褐色、腎形で全縁。花は単性で、雄花は1個の小苞片があり、雄しべ1個からなる。雌花は腺体の間から伸び出し、雌しべ1個だけからなり、花柱は3個で柱頭は2裂する。】

唐松岳登山、八方尾根、八方池
【撮影】2日目 09時28分=小林 美子
昨日は雲が多くて見えなかったが、
今日は、こんな素晴らしい八方池がみられました。
今日の下りは八方池山荘に12:00集合で、
皆、各自好きなように下山する事になっていた。
時間もたっぷりあったので、
この素晴らしい景色をゆっくり見る事ができました。

唐松岳登山、八方尾根、タカネマツムシソウ
【撮影】2日目 09時29分=秋田 守
タカネマツムシソウ。この花は紫色が濃くて美しかった。花を探している時に、珍しい花を上手に見つけるのが得意な人がいる。そうした人のことを花目が利く、と言う。ぼくはそういう域にはほど遠いが、美人貌の花を目ざとく見つけることだけは得意だと思っている。美人貌の花なんてあるのか、という声が聞こえてきそうだが、これがちゃんとあるんですね。でも人それぞれ好みが異なるのは、人間と同じ。上手く棲み分けています。

唐松岳登山、八方尾根、八方池
【撮影】2日目 09時32分=秋田 守
ようやく八方池まで下ってきた。今日も八方池には大勢の人が来ているようだ。雲ひとつない状態より、少し雲が浮かんで流れている方が、アクセントが付いていいと思う。この直後には右手から雲がかかって池が見えなくなってしまった。白馬三山が映り込む様を見なくては、とYさんが八方池の畔に下りて行かれたが、団体客がわさわさ行ったのでパスしてしまった。

唐松岳登山、八方尾根、八方池
【撮影】2日目 09時33分=伊藤 幸司
7時に唐松岳頂上山荘を出たので、2時間半かけて八方池まで下ってきました。

唐松岳登山、八方尾根、八方池
【撮影】2日目 09時33分=三浦 陽子
八方池に映る白馬三山。天気が良いとやはりいい。

唐松岳登山、八方尾根、八方池
【撮影】2日目 09時34分=伊藤 幸司
穏やかな八方池です。山岳観光地としてはこの日、右下隅の岸辺にいる人たちに、素晴らしい風景を見せてくれていたようです。

唐松岳登山、八方尾根、八方池
【撮影】2日目 09時41分=矢野 博子
今回の山行でかなりの花との出会いがあったが 最後にもう一つお土産があった。この八方池に映るアルプスの山々の景色だ。すれ違った若い女性に “きれいに山が池にうつってますよ”と教えてくれたが 何のことか分からなかった。この景色の事と分かったのは ここに着いてからだった。何で あんな遠くにある山がこの近くの池にうつるのか 多分 反射とか角度なのだろうけど 理解はできなかったが 自然のなせる業に ただただ感動。

唐松岳登山、八方尾根、八方池
【撮影】2日目 09時42分=矢野 博子
色々な条件が 揃わなければ見ることのできない景観。絵葉書でみるより ずーっと壮大な景色だった。私が ここに着いた頃 辺りに人も居なく しばし うっとり。

唐松岳登山、八方尾根、八方池
【撮影】2日目 09時44分=伊藤 幸司
白馬三山が左から鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳と奇跡的に大小揃ったかっこうで見えてきました。八方池の水面に写る白馬三山はそういう意味でも特別な価値をもっているといえそうです。

唐松岳登山、八方尾根、クモマミミナグサ
【撮影】2日目 09時48分=秋田 守
クモマミミナグサ。北アルプス北部のみに分布するそうだ。高山帯に生える植物の巻頭語としては他にも、タカネ、ミヤマ、イワ、ヤマなどいろいろあるが、クモマは図抜けて詩的な響きを持っていると思う。

唐松岳登山、八方尾根、ミヤマコゴメグサ
【撮影】2日目 09時57分=秋田 守
ミヤマコゴメグサ。小さな花だけど、その形と色合いが目立っていて、とても見つけやすい。好きなタイプの花。類似したものに、ホソバコゴメグサ、マルバコゴメグサ、イブキコゴメグサ、タチコゴメグサ、トガクシコゴメグサなどがあるようだ。

唐松岳登山、八方尾根、イワショウブ
【撮影】2日目 09時59分=秋田 守
イワショウブ。たくさん見かけた。別名、ムシトリゼキショウ。食虫植物ではないが、花の茎に粘りけがあり、小さな虫がくっつくと死んでしまうらしい。食べてもらえるなら役にも立とうが、それでは無駄死にではないか。もったいない気がする。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 10時05分=伊藤 幸司
問題の「セリ科」の花です。じつはこの後、兎平までリフトに乗らずに花を見ながら下るというスケジュールではあったのですが、往路でほとんど花がないということがわかって取りやめることにしました。
もしそれが「セリ科」の花の時期で、ゆっくり歩いて下ったら、歩いて下るのにちょうどいいガイドがネット上にあって、かなり嬉しかったのに! と(帰ってから)思いました。
『白馬八方尾根スキー場』の『グリーンシーズン情報』に『皆さんの「せり科」の悩み解消します』(2013年08月10日)というのがありました。
【今日は八方に咲く『せり科』のご紹介をします。
パッと見ると同じ様に見えますが、葉っぱの違い、咲いてる場所、大きさなどで特徴が判って頂けると幸いです。わーい(嬉しい顔)
『アマニュウ』
大きさは2〜3mにもなり一見ミヤマシシウドと区別が付き難いですが、葉っぱが違うのと、茎も細めでシシウドよりもきゃしゃなイメージです。グラードリフト終点にたくさん咲いています。
『ミヤマシシウド』
こちらも2〜3mくらい大きくなり、茎が太くゴツイ感じで、花の横の蕾が拳骨みたいなのですぐ判ります。
茎がアマニュウよりゴツくて汚い・・って覚えてください。鎌池湿原、兎平で咲いてます。
『タカネイブキボウフウ』
八方池辺りの白い石の所に多く咲いてます。花は真っ白ですが開く前は紅紫色なのが特徴です。開くとまるでカリフラワーのようです。葉っぱは人参みたいなのですぐに判ります。
『ミヤマトウキ』
兎平から八方池までどこでも見られます。葉っぱは根元で大きく手を広げたように見え、大きく尖っているのが特徴です。秋になると黄色く紅葉してキレイですよ。セロリのような匂いがするそうです。あせあせ(飛び散る汗)
『ミヤマセンキュウ』
黒菱平で8月頃に見られます。花は開ききると全体的に丸みがあり、葉っぱはシダっぽい切れ込みがあり、ヒョロした印象です。『キュウ』って漢字が難しく、パソコンで変換できません。ふらふら
『シラネニンジン』
人参のような葉っぱが特徴です。イブキボウフウと葉っぱは似てますが、花が弱々しいです。2ケルンのトイレの前に咲いてます。
『ミヤマウイキョウ』
3ケルン付近や岩の多い所に沢山咲いています。葉っぱがチリチリなので、花が咲いてなくても判ります。
花は小さく地味で写真映えしません。
『イブキゼリモドキ』
葉っぱは立派なシダのような切れ込みが特徴ですが、花は弱々しく小さくて、立派な葉っぱのオマケみたいな存在です。花が『弱々しい』が覚えるキーワードです。
『ハクサンボウフウ』
2ケルン辺りや八方池の周りに咲いています。大きさは50cmくらいで花だけ見ると他と区別が付き難いのですが、葉っぱが他と異なる形で見分けがつきます。

まだまだ他にも八方にはせり科の植物がありますが、今日はこれくらいにします。
判らない花はアルペンリフトスタッフまであるぺん:たくぞーん】
もちろん写真付きです。

唐松岳登山、八方尾根、ミネウスユキソウ
【撮影】2日目 10時06分=伊藤 幸司
残念ながらこれはハッポウウスユキソウではなくてミネウスユキソウです。
『山の花1200』ではミネウスユキソウの項目に『蛇紋岩や石灰岩の山地に生えるものは多少なりとも特有の形質を示す傾向がある。』としています。
『三河の植物観察』というサイトの『ミネウスユキソウ』では次のように解説されています。
【和名の由来は高山に生えるウスユキソウ。白色の苞葉が白く、薄雪が積もったように見えることから。葉は長さ2〜4㎝、幅0.5〜1㎝の披針形〜長楕円形。葉の両面に綿毛が生える。包葉は茎葉よりやや小さく、長さが不揃いで、星形につく。頂部に小さな頭花を数個を付ける。】
そして【ウスユキソウは頭花に短い柄があり、頭花がやや長い。ハッポウウスユキソウは葉が斜上する。】
もしこれがハッポウウスユキソウなら、緑の葉がはっきりと、バンザイするように「斜上」しています。

唐松岳登山、八方尾根、ミネウスユキソウ
【撮影】2日目 10時06分=伊藤 幸司
ミネウスユキソウの不思議な雰囲気が伝わります。

唐松岳登山、八方尾根、ウラジロタデ
【撮影】2日目 10時11分=伊藤 幸司
1枚めくれた葉によると、これはウラジロタデですね。『八方尾根の花』にはオヤマソバしかないようですが、念のために八方尾根にウラジロタデがあるかどうか検索してみると『白馬岩岳 ヒュッテアルプ』のホームページに『八方尾根トレッキング(第一ケルン⇔八方池⇔下の樺⇔上の樺⇔扇の雪渓)2004-8-25』に『ウラジロタデ』の写真がありました。
【ウラジロタデ タデ科の植物は他にはオオイタドリとオヤマソバ】

唐松岳登山、八方尾根、オトギリソウ
【撮影】2日目 10時12分=伊藤 幸司
『八方尾根の花』にあるオトギリソウかシナノオトギリかは相変わらず簡単には見極められないのですが、まずはこの花の黄色の乱舞。花弁に見える茶系のドットは老いの印ではなくて家紋のようなもの。それで種類を見分ける場合もあるとのことです。
でもそのあたりのことがよくわからないので一番手間をかけずに書かれている『八方尾根の花』によってオトギリソウの『茎は上部で分枝し、先に多数の花をつける』という多数の花を真上から見ている状態と考えて、オトギリソウだと思います。

唐松岳登山、八方尾根、ウスバキトンボ
【撮影】2日目 10時13分=秋田 守
下り始めてから3時間あまり。このあたりでは完全に単独行になっていた。トンボを見つけた。ウスバキトンボ、ではないだろうか。あるいはアキアカネかもしれない。ウスバキトンボのことを赤とんぼと呼ぶ場合もあるらしい。なんとなく秋の気配を感じさせてもらった。

唐松岳登山、八方尾根、ウメバチソウ
【撮影】2日目 10時14分=矢野 博子
行きにも出会ったので 覚えていたが きれいなウメバチソウ。まさに 旬という感じ。完璧です。

唐松岳登山、八方尾根、ハッポウウスユキソウ
【撮影】2日目 10時16分=秋田 守
ハッポウウスユキソウ。たぶん。ミネウスユキソウではないと思うのだが。ウスユキソウといえば、2年前の礼文島で見たレブンウスユキソウを思い出す。この時の礼文行きは、レブンアツモリソウもさることながら、トチナイソウという実にレアな花を探し求めて出かけたのだが、見つけられず。悔しかったので、翌年にはもう1ヵ所の植生地、早池峰山にも出向いたがまたもや空振り。幻のトチナイソウ、いつか必ず見てみたい。

唐松岳登山、八方尾根、エゾシオガマ
【撮影】2日目 10時19分=秋田 守
エゾシオガマ。ほんのりクリーム色の具合が美しい。それにしても面白い形をしている。こういうボケ味はコンパクトカメラでは撮りきれない。これまた、それがどうしたと言われそうだが、ニヤニヤの源であります。

唐松岳登山、八方尾根、イワイチョウ
【撮影】2日目 10時20分=秋田 守
イワイチョウが咲き残っていた。これは登りには気がつかなかった。山の花を探すのは登る時の方が探しやすい。目の角度が下から上へ向かうから。下りの時は、見つけづらいもの。このイワイチョウに限って言えば、登りにはたまたま見落としていただけに過ぎないが。

唐松岳登山、八方尾根、ヨツバシオガマ
【撮影】2日目 10時21分=秋田 守
シオガマはシオガマでも今度はヨツバシオガマ。これも登りには気がつかなかった。山の花は、同じ山行の中で初めに見た時が一番嬉しい。すなわち、登る時に一度見てしまった花を下りに見ても、いまいち気分的には盛り上がらない。そういう意味では登りに見落としておいてよかった。あくまで個人的な思い込みではありますが、言うまでもなく。

唐松岳登山、八方尾根、シナノオトギリ
【撮影】2日目 10時23分=伊藤 幸司
オトギリソウの10分後に見たこれはシナノオトギリ。花がうまい具合に広がっていくのが特徴かと思われます。

唐松岳登山、八方尾根、シモツケソウ
【撮影】2日目 10時24分=伊藤 幸司
シモツケソウの花がどんどん結実していく季節です。

唐松岳登山、八方尾根、シモツケソウ
【撮影】2日目 10時25分=伊藤 幸司
シモツケソウのこの花は、まだ最盛期、奥には花期を終えた株も見えます。同じ場所でも成長ぐあいがだいぶ違うということなのですよね。

唐松岳登山、八方尾根、キンコウカ
【撮影】2日目 10時25分=伊藤 幸司
いろいろ調べてみましたが、わかりません。キンコウカだと思います。あの、ツンツン飛び出した黄色い星型手裏剣の花弁がないので疑わしいのですが、この細い葉と黄色い花との組み合わせはほかに見つからないのです。
でも興味を持ったのはこのかたまり全体。右上、左上にオトギリソウらしい黄色い花がありますが、頑として侵入させない強固な力を感じました。全く別のストーリーも考えられるとは思いますが。

唐松岳登山、八方尾根、カライトソウ
【撮影】2日目 10時26分=伊藤 幸司
カライトソウを葉っぱを主体に撮ってみました。鋸歯というのですが、葉っぱの縁のギザギザがものすごくよくできた細工物みたいです。

唐松岳登山、八方尾根、クガイソウ
【撮影】2日目 10時30分=秋田 守
クガイソウ。先っぽだけ紫色が付いてるのが可愛い。普通に咲いているクガイソウは、あまり好きではない。面白味に欠ける気がするので。これまた超個人的嗜好だな。クガイソウ、ごめん。悪気はないので気にしないで。

唐松岳登山、八方尾根、キバナノカワラマツバ
【撮影】2日目 10時32分=伊藤 幸司
キバナノカワラマツバだそうです。この細い葉はホソバノヤマハハコみたいですが、クルマバソウ、ツルアリドオシ、キヌタソウなどのアカネ科にあってカワラマツバというこれまたユニークな葉の形を見せてくれます。『八方尾根の花』にキバナノカワラマツバはあったのですが目に入らず、この群落のところで立て札を撮っていたので名前調べは一件落着。花の写真はピーク時の姿でないと探索がなかなか難しいですね。グーグルの画像検索の出典表示が見やすくなったので、これも「キバナノカワラマツバ」として掲載されるようになるとうれしいですね。

唐松岳登山、八方尾根、オヤマボクチ
【撮影】2日目 10時35分=秋田 守
これは造形の妙だな。オヤマボクチ。この個性的な佇まいは存在感があって、いいね。少しだけ絞り込んでF5.0。もうほとんど八方池山荘近くまで下山したあたり。先に下りた皆さんが八方池山荘でおでんを食べ始めていらっしゃった頃ではないかしら。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 10時36分=伊藤 幸司
道は高原の雰囲気となり山道というより階段道を上がってくる観光客と次々にすれ違います。本来なら深い樹林に覆われているところでしょうが、蛇紋岩地帯ゆえに高山帯のお花畑のようになったというわけ。この斜面が文字通りのお花畑になっている時期に、やっぱり来るべきなのかと思いました。上にはまだちょっと雪が残っている時期に。

唐松岳登山、八方尾根、アゲハチョウ
【撮影】2日目 10時37分=秋田 守
鮮やかな彩りが目の前を飛んでいった。アゲハチョウだった。あまり日常生活の中では見かけないなあ。住んでいるエリアは雑木林や田圃などたくさんあるので、花々や昆虫、動物はあれこれ見ることが多いのだが、アゲハチョウは何年も見たことないことに気がついた。いいものを見せてもらえて、ありがたいことだ。

唐松岳登山、八方尾根、ハッポウウスユキソウ
【撮影】2日目 10時40分=伊藤 幸司
岩陰にあったので撮りました。ミネウスユキソウかハッポウウスユキソウかですが、横から撮って、葉が「斜上」していればハッポウウスユキソウと確定です。でもそんなこと知りません、撮ったときには。でもここは蛇紋岩地帯ですからハッポウウスユキソウとしておいて間違いではないでしょう。

唐松岳登山、八方尾根、ホツツジ
【撮影】2日目 10時45分=秋田 守
八方池山荘の間近でホツツジがかろうじて咲き残っていた。ほとんど花が終わっていたのだが。これまたラッキー。山荘前には先に下山された方々が美味しそうにソフトクリームを食べておられた。もうリフトに乗るだけだから本来ならばビール、といくはずだったが、ソフトクリームの誘惑に負けた。300円のソフトクリーム、大変美味しかった。

唐松岳登山、八方尾根、ヤナギラン
【撮影】2日目 11時07分=伊藤 幸司
実はこれ、自由行動が終わって休憩中に八方池山荘の脇で撮ったヤナギラン。
カナダ〜アラスカの北極圏では fireweed(火跡地雑草)と呼ばれていますが、焼け跡にすぐ生えるという本来の意味より、山火事のように広がっているというイメージで名付けられたと感じました。日本ではそんなに広大な広がりは見られないのでなよやかな花というニュアンスなのでしょうが。

唐松岳登山、八方尾根、ヤナギラン
【撮影】2日目 11時08分=伊藤 幸司
ヤナギランの花も、近づいて見るとなかなか芯の強そうな感じです。とくに雄しべが根本でちょっとひと癖も、二癖もありそうな妙な絡まり方をしていたりして。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 11時15分=伊藤 幸司
リフト2台を乗り継いて兎平まで下ります。じつはこの時期、下がってきたこのあたりでも花が見られるようなら歩いて下ろうと、往復券を買いませんでした。でもこんな状態。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 11時24分=伊藤 幸司
じつは一時期、ロープウェイで登って深雪を歩いて下るというスノートレッキングを繰り返していました。4本歯の軽アイゼンで限界ギリギリだと思ったのは北海道・黒岳から層雲峡への下り、北アルプス・西穂山荘から上高地への下りなどですが、この八方尾根もやりました。このスキーゲレンデの左端を下ったのですが、多くのスキー場と同様、ゲレンデの縁にネットが張ってあったりすると、その外側は断崖だったりします。八方尾根は「ゲレンデの脇」を歩けないスキー場でした。御嶽山のおんたけ2240スキー場も。
そういう意味で最高なのは2月の安達太良山と3月の蔵王ですが、話し出すと長くなるので、関心のある方は糸の会の写真でもみていただきたい。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 11時24分=秋田 守
当初計画では、帰りは、すぐにリフトに乗らずに、途中まで歩いて下ることになっていたが、咲いている花もさほどないから往きと同じく通しで一気に下界まで下りることに変更となった。下界を見下ろすだけで、暑さが迫り来るようだった。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 11時55分=秋田 守
白馬まで下ったら、まずは温泉で汗を流す。向かったのはさとの湯。オープン4分前に到着。ほどなく暖簾がかけられた。一番風呂。男風呂はコーチと二人で貸切。と言っても熱い湯だったので、水で埋めなくては入れない。その水の側に寄り添うように入らせてもらった。温泉はぬるい湯が好きなんだけど。8月初めに出向いた栃尾又温泉自在館の湯は36℃。1時間ほどじっくり浸かって、気持ちよかった。1泊の滞在中、累計3時間ほど湯に入っていた。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 13時37分=秋田 守
汗を流した後は昼食。鰻と鯉の店は残念ながら休業、次に向かった郷土料理店は満席。結局、駅前へ出て土産物屋の2階、ふじやへ。蕎麦が手打ちで美味しいとのことで蕎麦を頼む方が多かったが、ぼくは生ビールとソースカツ重にした。カツ丼の類いはふだん滅多に食べることがない。その分、旅先で時折無性に食べたくなる。ふじやのソースカツ重、満足でございました。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 15時44分=矢野 博子
JR白馬駅から乗った車内。観光を目的にしているので 特急だけどゆっくり走行。白馬から松本経由で長野に向かう電車だった。最初はガラガラ。途中から結構乗ってきた。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 15時46分=矢野 博子
ゆっくり走る車内から撮影。青木湖では 変わったボードに乗っているスポーツをしているのが 見えた。

唐松岳登山、八方尾根
【撮影】2日目 16時23分=伊藤 幸司
下山後はドタバタしました。ロープウェイ(ゴンドラリフト)を降りてから六角屋根の郷の湯まで歩いたのですが、途中にある鰻の「こいや」が休業だったのです。前日玄関口でメニューまで見ていたのに、不定休の休業チェックをしていませんでした。そこで湯上がりに歩いてすぐの第二候補「おひょっくり」に行くと、入れてくれません。電話で予約はできないといわれていたのですが相席なども不可、料理も出せないかもしれないと強気の対応、しかたなしに昨日降りた白馬八方バスターミナルまで行って、駅前のレストランで、列車の時刻を見ながら食べることにしたのです。
そしてこの列車、南小谷始発で松本経由長野行きという快速・リゾートビューふるさと(運転日指定)に乗ったのです。全席指定で520円かかりますが、松本で千葉行のあずさ30号に飛び乗れます。
先頭に特別シート(利用自由)があって、天井にはモニターが何台もついていて乗客全員が前方の風景を楽しめます、旅客機のように。そして車窓からの写真撮影が可能なように、驚くほどゆっくりと走る「快速」でした。



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