山旅図鑑 no.252
天狗山〜男山
2019.7.23

山旅図鑑目次

写真アルバム(時系列速報)目次


糸の会(no.1152)
2018.7.23
天狗山〜男山
43パワー

登り6p→稜線12p→下り25p──43パワー

*計画書には次のように書きました。
【タクシーで天狗山の山頂近くまで上がってしまいます。あとは楽しい稜線歩き。展望絶佳の岩稜が続きます。軽い岩場歩きを体験したい方はどうぞ。
男山山頂からは八ヶ岳〜南アルプスの雄大なパノラマを楽しめると思います。】
*さて、どうなったことやら。

・1140……馬越峠を出発(標高約1,650m)
・1300-15……天狗山山頂(標高=1,882m)
・1340……大深山遺跡方面への分岐跡(標高約1,750m)
・1355−1400……休憩(標高約1,750m)
・1415−20……雨具をつける(標高約1,750m)
・1435……垣越山山頂(川上村・南相木村・南牧村境界。標高=1,797m)
・1530……驟雨終わる(標高約1,800m)16度C
・1550−55……男山山頂(標高=1,851m)
・1610……御所平方面分岐(標高=1,800m)
・1640−45……休憩(標高約1,600m)
・1650……林道跡へ出る(標高約1,600m)驟雨
・1750……御所平登山口。タクシーを待つ(標高約1,150m)

今回の写真出展メンバー(提出順)は2人です。
山咲 野の香、伊藤 幸司


*速報写真が「粗選び」だとすれば、この「山旅図鑑」にはキャプションが添えられた「最終的セレクト」の写真のみ(順次)掲載させていただきます。
*キャプションはタイトルではありません。文字数自由(できれば40字以上、数百字でも。一律200字と決めている方もあります)としているのは、写真と撮影者との関係を軸にした自由な「フォトエッセイ」を理想と考えているからです。
*また撮影者以外のかたの自由なコメントも順次掲載させていただきます。その場合はWeb画面で取り出した写真に文章(と氏名)を加えて、メールでお送りください。どなたからのものでもありがたく掲載させていただきます(若干の編集作業を加える場合がありますから、問題があればお知らせください)。


山旅図鑑 no.252
天狗山〜男山
2019.7.23

天狗山〜男山登山
【撮影】10時39分=伊藤 幸司
小海線の列車が野辺山駅の手前で標高1,375mのJR鉄道最高地点を通過すると、後方に八ヶ岳が全貌を現すはずなのです。が、なんだか怪しげな雲にすっぽりと覆われています。あたりは野辺山高原、高原レタスや高原キャベツの畑が広がっています。
なんでこの風景が重要かというと、今日の山では男山から見る八ヶ岳が、ほぼこの方向だからです。八ヶ岳が見えるのと、見えないとでは、今日一日の重みが大きく違ってきます。何がなくても、八ヶ岳の展望があればそれだけで満点、だからです。
でなければ、なにかうまく、記憶に残る山旅になる出来事やハプニングがほしいなどと、ちらりと考えてしまうのです。

天狗山〜男山登山
【撮影】10時43分=伊藤 幸司
前方に天狗山(右側)と男山(左側)が見えています。私たちは天狗山のすぐ下までタクシーで上がって、男山まで縦走、そこから下って信濃川上駅まで歩く予定です。
雲の底が、その山頂部に触れている感じですね。

天狗山〜男山登山
【撮影】10時46分=伊藤 幸司
レタス畑のこの部分は収穫時期になっているのでしょうか。覆いをかけた白い畑と、こんなふうな緑の畑が広がっています。3分前の写真と比べると雲の底はすこし上がったみたい。不安定な天気ということかもしれません。

天狗山〜男山登山
【撮影】10時52分=山咲 野の香
信濃川上駅。あら、二宮金次郎 !! なぜここに?
先だって新聞の映画評で、道徳なき経済は犯罪であるという思想を持つ二宮金次郎を描く映画を知り、見たいと思っていた。だから会えた⁉︎
公式サイトによれば、「二宮金次郎は、これまでの封建社会の枠組みを覆すようなやり方で、荒廃した村々をプロジェクトX ばりに次々と復興させてゆく。その数なんと600以上…」その生涯がドラマチックに映画化されているという。
それにしても、麦わら帽とスカーフのせいかなんとも愛らしい金次郎。もう少しためつすがめつしたかったなあ。

天狗山〜男山登山
【撮影】11時14分=山咲 野の香
登山口で来し方を見ればこの雲。さて、いつまでもってくれるか。

天狗山〜男山登山
【撮影】11時15分=山咲 野の香
登山口。思いがけず鮮やかなカワラナデシコが迎えてくれた。大きな切れ込みをそよがせ、虫も誘われている。

天狗山〜男山登山
【撮影】11時27分=伊藤 幸司
じつは10時51分にJR信濃川上駅に着いて、そこからジャンボタクシーで標高約1,650mの馬越(まごえ)峠まで一気に上がってしまう計画でしたが、ジャンボタクシー1台では乗り切れない3人分の中型タクシーの手配が忘れられていて、その3人は路線バスで大深山中央バス停まで行って、そこでピストン輸送のジャンボタクシー待ち。11時25分に戻ってきた車に乗ったのです。山に登っていく道で私たちを先導したのはレタス収穫用の荷台を備えたトラクター。しばらくのろのろと走りました。

天狗山〜男山登山
【撮影】11時31分=山咲 野の香
シモツケ。色濃い見頃と少々薄まった年増⁉︎ と。雄しべが花弁より長い!

天狗山〜男山登山
【撮影】11時32分=伊藤 幸司
この白い畝が千曲川源流の川上村を有名にした高原レタスの畑です。

天狗山〜男山登山
【撮影】11時32分=山咲 野の香
艶やかなカワラナデシコ。私が中高6年間過ごした女子校の校章は撫子でした…大和撫子になれとは教わらなかったけど、良妻賢母教育⁉︎ を受けた最後の世代という気はしてます。

天狗山〜男山登山
【撮影】11時41分=伊藤 幸司
馬越峠に全員が集結して出発したのが11時40分。足元にカワラナデシコがありました。
じつは私はナデシコが大の苦手、メイクの濃いタカネナデシコならそれなりの表情が見えるけれど、カワラナデシコの「美しさ」がどうにもわからないのです。雨はもちろん、風でも、ちょっとした老いでも、とたんに貧相な感じになってしまうと思うのです。
そのどこが「やまとなでしこ」なのかという疑問がいまだにあります。
そこで麓次郎『四季の花事典』(1985年・八坂書房)の『ナデシコ』を覗いてみると、長大な解説がありました。
【このナデシコは正式にいうと、カワラナデシコ [Dianthus superbus L. ver longicalycinus (Maxim.) Williams]のことで、別名ヤマトナデシコ、カタミグサなどともいわれる。分布は広く、日本全土に見られ、誰でも知っている馴染深い植物。
「なでしこや 地蔵菩薩の 後先に  一茶」村はずれの情景が目に浮かぶようである。】
【草丈50〜100cm、茎は細くて節が高く、そこから折れ曲がるようにして伸び、またよく分枝する。松尾芭蕉がこの様子をみて、「なでしこは なぜ折れたぞよ 折れたぞよ」と詠み、自分の身の上をナデシコに寄せてよく表現している。
葉は線形で対生し、粉緑色。夏から秋にかけて淡紅紫色(稀に白色)の優雅な花を開く。萼は淡緑色、筒状で2〜3cmと非常に長く、先端は浅く5裂し、基部に3対の小苞をつける。花弁は5枚で平開し、弁縁は深く糸状に分裂している。その姿、見るからに可憐で美しく、かつ弱々しい感じであるが、じつは性質がきわめて強靭で、真夏のカンカン照りの河原に好んで生育し、平気で開花、結実する。それでカワラナデシコの名がつけられたのであろう。
『大言海』では「家経朝臣和歌序にある鐘愛衆草に抽(ぬきん)ず。故に撫子(なでしこ)といふ。艶状千年に共す、故に常夏といふ」を引用し、さらに「又、此草の花、形小さく色愛すべきもの故に、愛児に擬しナデシコといふ」と、この植物にふさわしいこの名の語源を説明している。自然観察の鋭い万葉人はこの愛らしい草花を詩歌の題材はもちろんのこと、鑑賞花として注目したことは当然のことである。
「吾が屋外(やど)に蒔きし瞿麦(なでしこ)いつしかも 花に咲きなむ此(なぞ)へつつ見む」これは大伴家持が坂上大嬢に贈った歌であるが、この時代にはすでに栽培されていたし、この優美な風情は女性の代名詞や恋の花ともされている。
「置露の懸るものとは思へども かれせぬものはなでしこの花」(源もろあきあらの朝臣)返し「かれずともいかが頼まむ撫子(なでしこ)の はなは常磐(ときは)の色にしあらねば」(どちらも『後撰和歌集』より)
恋心を花に託して愛を語った当時は人間的なゆとりが感じられて羨ましい気がする。】

天狗山〜男山登山
【撮影】11時42分=伊藤 幸司
じつは大深山中央バス停のところでジャンボタクシーが折り返して迎えに来るのを待っていたとき、かなりはっきりとした雷鳴を何度か聞いたのです。これがおそらくその雲だと思うのです。
山で雷鳴を聞いたときには、その方向をきちんと探っておきます。標高2,500m以下の樹林帯ではほとんど恐れる必要はないのですが、雷鳴を注意深く聞くことで、雷雲、すなわち積乱雲がこちらに動いてくるかどうかを探ります。森のなかにいると落雷にはほとんど心配しませんが、土砂降りの雨に襲われる確率がどんどん大きくなってくるのです。今日は八ヶ岳の壮大な展望は望めないかもしれませんが、ドラマチックな雲の動きを観察する絶好のチャンスかも知れません。

天狗山〜男山登山
【撮影】11時42分=伊藤 幸司
この白い蝶は、図鑑で調べるとヒメシロチョウかその仲間ということのようです。
『昆虫エクスプローラ』にある『昆虫図鑑』の『ヒメシロチョウ』には次のような解説がありました。
【白色で、細い翅を持った可憐なシロチョウの仲間。前翅に黒紋があるが、個体によっては紋の色が薄くなる。
東日本の河川の堤防や、田畑の土手、草原などで見られるが、分布は極限される。
近畿地方、四国には見られず、中国地方でも近年は確認されていない。
九州では、阿蘇・九重の高原地帯にのみ生息する。
草原上を低く飛び、いろいろな花で吸蜜する。地表で吸水することも多い。
幼虫はツルフジバカマ、カラスノエンドウ、ビロードクサフジなどを食べる。】
蜜を吸っているのはウツギの花でしょうか。

天狗山〜男山登山
【撮影】11時42分=山咲 野の香
ホソバキリンソウ。ぎっしりとした蕾がすごい存在感。

天狗山〜男山登山
【撮影】11時44分=伊藤 幸司
道はすぐに樹林帯に入っていきます。

天狗山〜男山登山
【撮影】11時44分=伊藤 幸司
シモツケがありました。
これに関して園芸の世界での見方。『花と緑の図鑑ーGarden vision』に『シモツケ』がありました。
【日本原産で風情のある花を初夏に咲かせます。暑さや寒さにも強く性質は大変丈夫です。花は3〜5mmの小さな花が集まって花序になります。花色は赤紫からピンク、白などがあります。葉は長楕円形で葉先がやや尖り、葉縁のギザギザが目立ちます。株は分枝が多くこんもり育ちます。やや大きくなるので地植えに向いていますが、寄せ植えにも使える矮性の品種があります。】
その「矮性種」については以下のとおり。
【シモツケのアレンジ……基本的に地植えに向いています。和風の庭や自然風の庭に合い、高木の下の根じめや境裁、ボーダーガーデンの後方、建物周りなどに使えます。野趣があり、ふんわりした姿が持ち味なので整形花壇には使いづらいです。矮性種は境栽や寄せ植え、グランドカバーにも使えます。やや花つきが悪いので葉ものとして用いるといいでしょう。明るい葉の矮性種は洋風の庭にも向きます】

天狗山〜男山登山
【撮影】11時44分=伊藤 幸司
アキノキリンソウだと思うのですが、山の花としてはごくごく一般的な花なのに決め手がなくてこまるんです。その理由の一端がわかる説明を見つけました。
『井伊影男の植物観察──植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。』というブログで、『アキノキリンソウの仲間』(2011年11月03日)です。
【アキノキリンソウは変異が大きくて、環境によって大きく姿や性質を変えるという。
[写真]ミヤマアキノキリンソウです。キク科アキノキリンソウ属。
アキノキリンソウの高山型で「コガネギク」の別名をもつ。
アキノキリンソウが比較的まばらに花をつけるのに対して、ミヤマアキノキリンソウは頂部に固まってつく。
[写真]ミヤマアキノキリンソウ、花のアップです。
花のつき方にはアキノキリンソウと若干違いがあるが、頭花一つ一つを見れば大きさも形もほぼ同じ。
総苞がアキノキリンソウが狭鐘形であるのに対して広鐘形とされ、総苞片そのものについても違いがあるとされるが、中間型もあって区別は難しいという。
アキノキリンソウの1変種または1亜種とされるのもその辺の事情による。
[写真]オオアキノキリンソウです。キク科アキノキリンソウ属。
こちらもアキノキリンソウの1変種、1亜種の扱いとなる。
名前に「大」の字がつくが、草丈や花そのものが大きい訳ではなく、茎が太いことやミヤマアキノキリンソウよりは草丈が大きくなるなるところから、イメージ的に「オオ」の名前がついたらしい。「ミヤマ」が高山型であるのに対して、「オオ」の方は海岸草地型である。】

天狗山〜男山登山
【撮影】11時45分=山咲 野の香
白い殻の部分がないけれど、タマゴタケ。見る度に釘づけになる色!これはそのものが怪しい卵にしか見えない。何が孵化したらしっくりくるかしら?

天狗山〜男山登山
【撮影】11時46分=伊藤 幸司
登りはじめの足元にタマゴタケがありました。ヨーロッパでは高級食材というこのキノコ、首都圏の日帰りの山でけっこう当たり前に見つけることができます。もうすこし大きくなった時に猛毒のベニテングダケと似ているということと、この毒々しい色で敬遠されているのですが、もしこれが白いポツポツが散りばめられた赤いきのこ、すなわち白雪姫の七人のこびとたちのかわいい家だったら、それがその毒キノコ、ベニテングダケなんです。
以前、アサヒグラフという雑誌に日の出山の山頂直下にあったこの真っ赤な卵が白い卵の中から出てくる写真を載せたところ、ベニテングダケの可能性はないかという校閲からの意見があって、編集後記に注意書きをつけられたことがありました。私もベニテングダケではないと、断固主張できないでいたのです……。
タマゴタケの料理を調べようとしたら、なんと『クックバッド』に『タマゴタケのレシピ13品』がありました。その筆頭の『タマゴタケと生ハムのサラダ』がこれ。
【フランスやイタリアでよく食べられていて高級食材ともてはやされるタマゴタケ。生で食べられるのでシンプルに調理しました。
■材料 (2人分)
タマゴタケ2〜3本
生ハム適量
塩(粗塩)小さじ1/3〜1/2
EXバージンオリーブオイル小さじ1〜
レモンのしぼり汁小さじ1/2〜
パルミジャーノチーズ適量
イタリアンパセリ 適量
■作り方
1……タマゴタケは薄い塩水(分量外)に1時間ほど浸ける(虫が心配ない場合は省いてOK)
イタリアンパセリはみじん切りにする。
2……タマゴタケの水気をよくふき取りスライスする。塩、オイル、レモン汁で和える。
3……皿に生ハムとともに盛り付ける。パルミジャーノチーズをおろしてかけ、パセリを散らして完成。
コツ・ポイント……精製塩を使う場合は塩気が強いのでレシピより控えめにして作ってください。
タマゴタケはなかなか手に入らないので生のマッシュルームでも作れます。
このレシピの生い立ち……以前神戸のミシュランの星を持つお店で生のタマゴタケをいただいておいしさに感動したため、同じ物は作れませんが見かけたらぜひ生で食べてみたいと思ったため私流に家庭の味にアレンジして作りました。
レシピID : 5787219 公開日 : 19/08/17 akkey-y】

天狗山〜男山登山
【撮影】11時46分=伊藤 幸司
水平が狂っているわけではありません。山頂まで標高差200mほどですからひと登り、ではあるのですが、それはそれでなかなか、なんです。

天狗山〜男山登山
【撮影】11時53分=伊藤 幸司
この写真は、登りでのダブルストックの使い方のいい「風景」だと思います。
簡単にいえば「登りではストックを体の前に出さない」が基本です。でも実際のところ、ストックを大きく前に振り出すと「登りが楽」という人が圧倒的だと思うのです。なぜか? ダブルストックの機能をバランスアシストとパワーアシストの2つに分けて考えないと理解していただけないのですが、バランスを整えるだけで無駄な力を使わなくなり、さらに力をからだを持ち上げるという一点に集中させることができるので、効果があります。つまり2本杖として使っているのです。いまも多くの人がダブルストックを「2本杖」と理解していると思われますし、そう指導している人が多いと感じます。
でも私は重要な瞬間でバランスを整える機能はできれば自分の側で担当してもらいたいと考えます。実際、私もいろいろな原因で足元のバランスが悪くなったと感じてからダブルストックを使わずに数年すごして、ようやく足元がピタッと着地する感覚に戻りました。
そういう足元の不安定さを補うために杖を使い、ダブルストックを前方に突いて腕で引き上げると一石二鳥のように見えるのです……ね。でも私はダブルストックをその潜在力まで含めて活用するために、まずは100%パワーアシストに使いたいのです。バランスは自力で整え、いざという時にいつでもダブルストックのバランスアシスト能力を使って危機管理的に活用する、というふうに考えたいのです。
そのための2つの技術課題を考えるのです。
まずは大きな段差の登り。通常なら段差をこまかく区切って(無駄な筋力を使わずに)登るところを、ストックを下の足の足元(正確にいえばかかとの脇)に突いてその蹴り足のパワーをアシストし、通常より大きな段差をスローモーションで乗り越えます。脚力の一部を腕力で補うことで登攀力をアップするのです。
もうひとつは北アルプスの岩の稜線などでないとなかなか体験できないのですが、大きな段差を越えるときに、足をのせたその同じ岩にストックを突いてほしいのです。……なぜか? 多くの人はストックの石突きを置くポイントをきちんと見ていません。適当にやっています。
ところが岩が重なっているような場所では、ストックの石突きは時に石の表面で滑って危険なものになりかねません。杖は基本的に視野の中で、頭の支配下で使われますから大きな問題にならないのですが、スキーのストックと同様、ダブルストックはいわば手の延長となって、視野の外でも活躍するのです。そうすると石突きの鋭い刃を岩の小さな溝に置くというような高い精度で使わなければならなくなります。その時に、です、足をどこに置こうかというところは目でしっかり見ていますから、その足の、足元どころか「かかとの脇」にストックの石突きを置くことで、目できちんと見た場所を利用しつつ、からだを真上に持ち上げるパワーを有効にアシストすることができるのです。
ところが残念なことに、そういう厳密なストックワークを登りで体験できる場所は(瞬間的にはあるのですが)なかなか見つかりません。そういう道に出かけるまでには、みなさんそれなりのベテランになってしまっているので「登りでは後ろからストックで押し上げる」という体験が不十分なまま、それなりのベテランになってしまっているので、私の言葉がちょっとうざったい状態になっているようです。
ここに見える皆さんは、この傾斜の、この状態の路面では模範的なダブルストックの使い方をしている、と見たのです。

天狗山〜男山登山
【撮影】11時57分=山咲 野の香
下向きのツボミ。さて?
誰か教えて下さい。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時01分=伊藤 幸司
グーグルの画像検索で探してみると、これはどうもドクベニダマシに似ています。本物かどうかわかりませんが。
『フジテレビコンテンツストア』というサイトの『「とくダネ!」公式ブログ』『WEB とくダネ!〜とくダネです。』に『食欲の秋…今年は“毒キノコ”も大豊作! キノコ先生の見分け方がスゴイ』(2016年10月24日)があってドクベニダマシが出ていました。
【問題…このキノコ食べられる?
続いてはかわいらしい赤いキノコ。派手な色でいかにも毒々しい印象。しかし、井口先生に見てもらうと…
井口先生「これは『ドクベニダマシ』。見た目で『ドク』って名前が付いちゃってるんですけど毒はない。食べても問題ございません」
というわけで…
答え…食べられる
派手な色だからといっても、毒が有るか無いかに関係ないのだという。他にも毒キノコにまつわる様々なウワサは、あてにならないものばかり。
日本には全部で4000〜5000種類のキノコがあるが、そのうち食べられることが分かっているのはたった100種類ほど。見分けるのは至難の業で“キノコ名人”などと言われる人たちからもらったキノコで食中毒を起こすケースも多いという。】

天狗山〜男山登山
【撮影】12時01分=山咲 野の香
ミヤマママコナ。花が口を開けている。唇形花というそうです。たくさんありました。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時05分=伊藤 幸司
こういう場面でのストックワークも、この写真でなかなかいい感じ、に写っています。
というのは、ダブルストックの使い方が上達してくると、いざというときパッ! と目に飛び込んできた「なにか」に石突きがピタッと当たる確率が高くなります。それこそ「命をかけるに値しない補助的な道具です」といううようなコトバで責任回避してきた輸入業者やメーカーに対して、私が憤りを感じてきたところです。「命を救ってくれる」道具だと20年間思っているのです、私は。
たとえば、丸太で土留めをした下り階段で、一瞬目に入った丸太に石突きを当ててみます。最初はほとんど当たりませんが、角度を決めてまっすぐ突き出せばその確率が上がってきます。さらに繰り返すと、ある程度の表面積があればかなりの確率で当たるようになるはずです。しかも一瞬目に入るものが木であったり、石であったりすると、ストックを強く当てると石突きの鋭利な歯が食い込んで、緊急事態の最後の一撃としての能力の高さを実感することになります。
たとえばこの場面で、不覚にもちょっとバランスを崩したときに、谷側のストックがどのようにスタンバイしているかで生死とはいわなくても危険をどれだけ予防できるか、感覚的には理解されないとしても、アリかもしれないとはわかっていただけるのではないかと思います。
でもそれより重要なことは、リーダーの目です。私がこの写真を「安心感」の絵柄だと思うのは、ストックを見るだけで、ここに写っている人たちが確実な足運びをしていると感じるからです。「感じる」だけですからいい加減ではあるのですが「安定したリズムを感じる」というようなレベルではダブルストックがその状態をものすごくよく見せてくれます。
たとえばすこしわかりやすくいうと、自分の実力を超える危険を感じると、その人はストックの使い方を変化させます。その変化を感じるだけで、リーダーである私はその人に注目するのです。
私はだから、リーダーとしての私自身のために、みなさんにダブルストックの使用を義務付けているのです。(ちなみに最近では使わないという選択肢も用意していますが、それにはまた別の理由があります。)

天狗山〜男山登山
【撮影】12時05分=山咲 野の香
ピンク、白、黄、とちょっとだけお花畑の雰囲気。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時10分=伊藤 幸司
ヤマハハコですね。でもなんで「山母子」なのかというと、ハハコグサに似ているからということなんですね。同じキク科ですがヤマハハコ属とハハコグサ属に別れていますからその距離が近いのか遠いのかよくわかりませんが、ウスユキソウ属とともにごく近いグループにあるようです。「似ている」というのが他人の空似ではないようです。
『賢者の森──【♪山と自然が好きなので♪】とあるオリンピアンが八ヶ岳南麓からお届けしているブログです』に『家族の愛に花束を -ヤマハハコ- (花期:8月〜9月)』(2018/8/24)がありました。
【山では、秋を告げるように咲き始める花があります。
低地の街の方ではまだまだ暑さ極まる夏の真っ只中にあっても、夏の期間が短い高地では、それらの花を見かけると、どこか秋の足音が聞こえてくるようにも感じます。
そんな、秋を感じさせる花のひとつに「ヤマハハコ」があります。
「ヤマハハコ(山母子)」は、キク科ヤマハハコ属の多年草です。主に中部以北の亜高山帯から高山帯に分布しており、西日本では「ホソバノヤマハハコ(細葉之山母子)」が分布しています。
「ヤマハハコ」の名前の由来は、「ハハコグサ(母子草)」というキク科ハハコグサ属の越年草です。越年草とは、一年生植物(一年草)のことでその中でも特に、秋に発芽し越冬し翌年に枯れる植物のことを越年草または冬型一年草と呼びます。
ハハコグサは、「春の七草」のひとつとしても有名で別名「御形(ごぎょう)」とも呼ばれています。茎葉の若いものを食用にし、4月から6月の花期には、頭状花序という多数の小さな花が集まってできている黄色い花が、さらに花束のようになって咲きます。
ハハコグサという名前の由来は、はっきりしたことは分かっていませんが、新芽がやや這うことから「這う子」がなまったものではないかという説があります。
ヤマハハコは、このハハコグサに似ていることからその名前が付きました。ただ、ハハコグサの黄色い花束に対して、ヤマハハコの花束は輝くような白さが印象的です。
実は、ヤマハハコの白い花びらみえている部分は、総苞片(そうほうへん)という、つぼみを包んでいた部分で葉です。花はその中央に見えている黄色い部分で、ハハコグサと同じ頭状花序となっています。これはキク科の花すべてに見られる咲き方です。
自然の中で自生しているヤマハハコもきれいなのですが、お花屋さんなどで売られているヤマハハコの入ったドライフラワーやリースも本当にきれいです。そんなヤマハハコの花言葉は「親子愛」「純情」だそうです。
学名 Anaphalis margaritacea の後半部分(種小名)は、元々の語源がギリシア語の「真珠」を意味する言葉からきており、つぼみをつけた頃のヤマハハコは、本当に純白そのもので真珠のような輝きを放ちます。】

天狗山〜男山登山
【撮影】12時10分=伊藤 幸司
ヤマハハコの蕾はまだ相当硬かったようです。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時16分=伊藤 幸司
標高約1,700mあたり。この標高になるとこれはダケカンバです。
『ウィキペディア』の『ダケカンバ』がわかりやすい解説をしているように思います。
【シラカンバ(シラカバ、白樺)とよく似ているが、シラカンバよりも更に高い高度に分布する。また、樹皮がシラカンバよりもかなり赤茶色がかっている点、葉にやや光沢がある(シラカンバの葉には光沢がない)で区別できる。明るい場所に生え成長が早いこと、森林が何らかの理由で破壊されたあとに真っ先に生える木であること、などの特徴はシラカンバと共通する。亜高山帯の上部、森林限界近くではしばしば純林に近いダケカンバ林となる。また、森林限界を超えても、ハイマツの中に混生している例もある。普通は樹高10〜15m、大きいものは30mにも達する一方、森林限界近辺では低木状となる。】
八方尾根の八方池からちょっと登ったところにはダケカンバの素晴らしい巨木林があります。また有名なことですが、富士山は新しい火山なので森林限界に登場するハイマツがないのですが、そこに驚くほど矮性化したダケカンバが広がっています。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時17分=伊藤 幸司
この顔つきですからアキギリの仲間かなと思って撮ったのですが、顔つきでいちばん違うのは長くチロチロと伸びた雌しべがこれにはみえません。それはたまたまうまく写らなかったとしても、アキギリの仲間の葉にはほとんどが鋸歯(ギザギザ)があるようです。ずいぶんたくさんの画像を見ましたが、だめでした。撮った写真もこれ1枚ぎりですし。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時17分=伊藤 幸司
だいぶ登ってきました。川上村のレタス畑の中心部が見えてきました。オリジナル画像をあとから見てみると、この写真の中心点のところにある緑の区画内に収穫しているらしい人物が4人いるように見えます。画面のど真ん中なので、超望遠画像を1枚撮っておけばよかったのですが、残念でした。私はこのとき、レタス畑の白い模様ができるだけ広く見通せる場所を探すのに神経を使っていたのを覚えています。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時18分=伊藤 幸司
これはシャクナゲの落ち葉です。アズマシャクナゲかハクサンシャクナゲかわかりませんが。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時18分=伊藤 幸司
このふっくらとした顔つきはときどき見てきたように感じます。つまり名前は知らないけれど顔見知りの感じがするというキノコです。そこで画像検索してみると「ウラグロニガイグチ」という名前が出てきました。「ウラグロ」ですから、最低限、内側を覗いてみないとなんとも言えないのですが、ウラグロニガイグチというキノコはけっこうな有名人のようです。
『Hokto公式サイト』の『きのこらぼ』に『【キノコアルバム】ウラグロニガイグチ』がありました。
【こげ茶色の、ぽってりかわいい このきのこはウラグロニガイグチです。
一見、(ちょっと焼きすぎた)パンケーキのような、どら焼きのような“香ばしさ”を感じてしまうのは私だけでしょうか…。
ウラグロニガイグチは夏から秋にかけて主にブナ科の広葉樹の下などに発生します。
傘の直径は5〜9cm、色はこげ茶から暗赤褐色で、湿るとねばりを帯びます。
柄は長さ6〜9cm、表面は灰紫色で紫褐色の細かい点が見られます。
きのこを割ったり、傷をつけたりするとその部分が少し紅く変色します。
傘の裏を見てみると…ん? なにやらスポンジのような、ふわふわ発見。(おいしそう!?)
ここは、管孔と呼ばれる細い管が無数に集まった部分です。
例えばブナシメジやエリンギは、傘の裏にひだがありますよね。ひだは胞子が作られる部分なのですが、管孔もそれと同じ働きをします。イグチ科のきのこのほとんどが傘の裏にひだではなく、管孔を持っています。(ちなみに身近なきのこの中で管孔があるのはマイタケですね!)
このきのこは管孔が黒いことから、「ウラグロ(裏黒)ニガ(苦)イグチ(猪口)」と名付けられています。この写真ではそれほど黒くありませんが、幼菌のときは真っ黒なのです!
また、名前には「ニガイグチ」と入っていますが、風味には癖がなく、口当たりがよいきのこと言われています。しかしっ! 体質によっては中毒症状を起こすこともあるとの報告がありますので、食べない方が安全です。】
もうひとつ『埼玉きのこ研究会』の『We love mushroom』というサイトに『ウラグロニガイグチのあぶない料理法』(秋山恭子・横瀬町)がありました。
【ウラグロニガイグチ:目立たない、どう見てもおいしそうなキノコには見えない。しかしよくよく見れば粋な装いと言えなくもない。若い時期のものは管孔の色も黒くしまり、傘のくすんだレンガ色という中間色を同系色のチリメンの柄で地味にまとめた渋いやつと言える。傘の歯ごたえの良さと癖のない味で色の悪さは充分にカバー出来ていた。そして、何よりも大量に取れ、スープで冷凍保存も可能な便利なキノコとしてまあまあの位置に存在していた。毒性があるとは露ほども思っていなかった。それもそのはず幾度となくスープやシチューにして食べていたからである。
6月の雨続きの合い間にこの年初めてのウラグロニガイグチが取れた。傘の径が7cm程3本である。今までは汁気の多い料理でしか食べた事がなかったので今度はスパゲッティにでもしようと思い、少な目の水にキノコを入れだしを取る。バターにつぶしたニンニクを入れ、タマネギをいため、そこに刻んだキノコを入れだし汁と一緒に煮つめる。塩、こしょうで味を付け、最後に生クリームを加え、茹であがったスパゲッティにあえた。ちょっと見はイカスミのスパゲッティのようだった。全部は多かったので1/4程残しておき、ワインなど飲みながらの山の幸の夕飯を終えた。
それから10〜12時間程たった頃だったと思う。朝方から胃がシクシクと痛み始めた。シクシクはしばらく続き、そのうち少しづつ重くなってきた。胃ケイレンが始まったのかと思いそのままひっくり返っていた。梅雨とはいいつつも真夏のような暑さ続きに知らぬ内に胃が弱っていたのかもしれない。胃薬を飲む。「そのうちすぐおさまる」との憶測ははずれいつまでたってもおさまる気配はない。たまに起こる胃痛とはどうも違うようである。痛みの強弱はあったがその日1日ついにおさまる事はなかった。
2日目、痛みは少しおさまり食欲はあまりなかったが何かお腹に物を入れなくてはと思い、トーストと残り1/4のスパゲッティを食べる。極く少量である。うまみエキスを充分吸ってふやけたスパゲッティはそれなりにまたうまい。それが追いうちをかけてしまったのか1日目と同じ痛みがまた起こった。何しろウラグロニガイグチが毒だとは思っていないので具合の悪さとキノコの因果関係は全く頭の範疇には入っていない。ましてや完全に消化してしまった後の事である。3日目も多少の痛みは続いた。その間下痢も吐き気もなくただ痛みのみであった。その後痛みのあった3日間を含め一週間は食欲があまりない日が続いた。まわりからの「また変な物でも食べたんだろ?」の合唱の前に「理由がわからない。風邪が胃にきたのかもしれない。」と答えるしかなかった。何しろ何度も言うが、その時点で本人はキノコ=毒の意識は皆無なのだから...
徐々にその事は過去の話になり忘れつつあった。研究会の野外観察会があり出席した。鑑定会の時にウラグロニガイグチに対して注意を促すような話があった。しばらくはふんふんと聞き流していたが、突然ハッと思い頭の中で一瞬にすべてがつながった。「ウ・ラ・グ・ロ・ニ・ガ・イ・グ・チ」食べ物に原因があると仮定し、消去法でいけば残る原因はあれ以外には考えられなかったからである。会誌に詳しく中毒例が載っているという話を聞き、早速会誌を取り寄せて読んだ。症状が全く違う。調理法も水を加えかなり煮込んでいるので半生という事はあり得ない。個人差なのかその時の体調か? 生える場所による個体差なのか又は料理法か? 同じ場所に生えるウラグロニガイグチを大量に持ち帰った友人はシチューにして家族でおいしく食べ何ともなかった。という事実もある。ますますわからない。少なくとも水分が少な目の料理は敬遠しておいた方が無難なようでもある。取り敢えず自分のリストには要注意のキノコに入れる事にした。】

天狗山〜男山登山
【撮影】12時18分=伊藤 幸司
シャクナゲの林を抜けていきます。花柄が残っているものがほとんどないので、今年は不作だったのだろうと思いました。登山道に落ちた葉はまだ緑のものもあるので、カラカラに乾いてくるりと丸まって、コロンコロンと落ちている葉は、去年の葉なんでしょう。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時19分=伊藤 幸司
シャクナゲの花が足元に落ちていました。咲いている花もあるんだ、と見上げると、探せば見つかるという程度に花がついていました。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時19分=山咲 野の香
多種類の苔が入り乱れてます。この後も美しい苔がたくさんありました。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時20分=伊藤 幸司
花を間近に見ることができました。ハクサンシャクナゲです。
『ウィキペディア』の『ハクサンシャクナゲ』には次のように書かれていました。
【北海道・本州・四国と朝鮮半島北部の亜高山帯から一部はハイマツ帯まで分布する。樹高は、亜高山帯では3mほどにもなるが、ハイマツ帯では環境が厳しいため50cmにも満たない場合がある。花は白から淡い紅色で、内側に薄い緑色の斑点がある。亜高山帯の暗い針葉樹林内を彩る代表的な花である。】
この天狗山でもアズマシャクナゲとハクサンシャクナゲが同居しているようです。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時21分=伊藤 幸司
急な上りはいつの間にかなくなって、シャクナゲの森を抜けていきます。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時22分=伊藤 幸司
これがシャクナゲ。この写真の範囲内では花も花芽も花が終わったあとの花柄もなく、葉芽だけが新しい葉をかなり伸ばしていました。この葉が葉柄から広がるところがなめらかに移行している様子を見るとアズマシャクナゲのように思われます。この山はアズマシャクナゲとハクサンシャクナゲが同居しているようです。自信がないけれど。
同様の同居報告が『私達の山旅日記』の『No.298 日留賀岳(ひるがたけ・1849m)』(2012年5月17日)にありました。
【栃木県の北部、男鹿山塊の南端にひっそりと聳えるのが「渋くて無骨な(鷲頭隆)」日留賀岳である。関東百名山の一峰であり、山頂からの展望がよく、山稜の森の姿が美しいと聞いている。登山口のある南麓には塩原温泉郷がある、というのも嬉しい。前々から狙っていた山で、私達夫婦はうきうき・いそいそと未明の東北自動車道を北進した。】
【葉の裏が淡褐色でビロード状のアズマシャクナゲが出てきたなと思っていたら、やがて、葉が極端に丸まったハクサンシャクナゲにとって替わる。コメツガやトウヒも目立ち始める。植生が亜高山性になってきたのだ。樹木の背がさらに低く疎になり、展望が開けてくる。気持ちのいい尾根歩きだ。常緑樹のヤマグルマ(トリモチノキ)は本来は高木だが、ここでは灌木のように地を這っている。アカミノイヌツゲ、そしてハイマツも次から次へと顔を出す。小ピークを越え、所々雪渓状になった残雪を踏みしめて、最後の登りにとりかかる。】

天狗山〜男山登山
【撮影】12時23分=伊藤 幸司
ようやく稜線上の展望台という感じのところに出ることができました。出発からおよそ45分、やれやれという感じですが、山頂はまだのようです。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時23分=伊藤 幸司
川上村の中心部がまた見えました。山裾の道を画面左奥に進むと川端下(かわはけ)からは金峰山へ、毛木平(もうきだいら)からは甲武信ヶ岳へと登れます。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時23分=伊藤 幸司
この川上村のレタス畑に関する古いレポートと出会いました。『アメーバグロブ』の『リュウタ×2』さんの『レタスで平均年収2500万円の「奇跡の村」長野県川上村は、デマなんかでなくブラックそのものだった』(2014-12-20)で、内容は告発レポートなんですが、書き手の「リュウタ×2」さんの他の文章などを読んでみると私が共感できる体験主義者ですから、何が書かれていたとしても筆者の側の「事実」はそこから読み取れると思いました。
【群馬県と長野県の県境にある御巣鷹山に日航ジャンボ機が墜落した年のことだった。ぼくはジャンボ機が墜落する数日前まで、御巣鷹山近くの長野県川上村でレタス収穫作業のアルバイトをしていた。大学を出たばっかりのころの20代の、農作業などやったこともないぼくは、牧歌的な風景を夢み、人情の厚い田舎の人たちとの出会いを求めて、夏だけのアルバイトに応募したのが、川上村で1か月ほど過ごすきっかけだった。
その川上村で事件が起きた。新聞報道ではこうなっていた。

平均年収2500万円の真実は? 長野・川上村に“ブラック農業”風聞
産経新聞 12月19日(金)7時55分配信
◆中国人実習 日弁連「人権侵害」 村側「投書はデマ」
「平均年収2500万円の村は中国人を使った“奴隷制” “ブラック農業”で成り立っていた」──。ネット上でそんな衝撃的な風聞が広がり、レタス出荷量日本一の長野県川上村が揺れている。発端は、村も設立に携わり毎年数百人の中国人技能実習生を受け入れていた「村農林業振興事業協同組合」(解散)に、日本弁護士連合会(日弁連)が11月末、「人権侵害があった」として改善を勧告したことだ。しかし組合側は「善意の行為も人権侵害とされた。勧告はあまりに一方的だ」と反発している。真実はどこにあるのか。(小野田雄一)
◆班長が罰金徴収
日弁連が調査に乗り出したきっかけは平成24年、同組合が受け入れ、レタス栽培に従事していた中国人実習生の名前で作成された投書だった。投書には、中国人の「班長」が違法に実習生を管理していた ▽班長から「深夜に外出したら罰金」「実習生を示す帽子を脱いだら罰金」など多くの名目で罰金が徴収された ▽毎日未明から夕方まで休みなしで働かされた ▽農家に日常的に暴力を振るわれた-などと書かれていた。
日弁連はこの実習生を含む5人の中国人実習生、組合役員、同村に住む中国人らから聞き取り調査を行い、事実認定を行った。この過程で、投書は実習生の名をかたった別人が作成したことが判明している。
日弁連が認定した事実はショッキングなものだ。中国人実習生は、連日の長時間にわたる激務▽残業代の過少計算 ▽組合による賃金口座の管理 ▽罰金制度 ▽劣悪な住環境-などに縛られ、「自己決定権や人間的生活を送る権利が侵害されていた」と結論付けた。
◆米大使館に届く
組合の状況は日弁連の勧告以前も厳しかった。組合元役員によると投書は在日米大使館などにも届き、今年6月に米国が日本政府に川上村の実習実態の改善を求める事態に。9月には東京入国管理局から「班長制度は違法」として、実習生受け入れ停止処分を受け、組合は11月上旬に解散した。
組合は「投書はデマだ」として、24年に長野県警に容疑者不詳で名誉毀損(きそん)罪の告訴状を提出、今年9月には米大使館に抗議した。しかし組合元役員は「不確かな投書をもとに権威ある機関に一斉に批判され、反論は難しかった」と憤る。
複数の組合元役員は、実習生を日本に派遣する中国側の「送り出し機関」と協議の上、毎年2〜3人の班長を置いていたことを認めた。その上で「農作業に携わらない班長は実習制度の趣旨から外れ、違法は事実。しかし、班長制度の目的は実習生の不満を班長を通じて組合が把握し、農家を指導して実習生を守ることだった」と弁明する。
◆「ルールを悪用」
罰金徴収については「噂があり、実習生に聞き取りをしたが、確認できなかった。ただ、地域住民の不安解消や円滑な仕事のために作ったルールが、罰金の根拠として送り出し機関や班長に悪用された可能性はある。監督責任の不備はあっても、『実習生の管理・支配のため組合も黙認していた』との日弁連の認定は事実と違う」と話す。人権侵害とされた他の行為についても組合側は異なる見解を示した。
別の元役員は「一部に問題の農家がいるのは事実で勧告は真摯(しんし)に受け止めている。しかし過酷な仕事で日本人アルバイトが集まらない中、大多数の農家は実習生に感謝し、帰国時は手を取り合って涙を流しているのが実情だ。組合全体で中国人から搾取していたことは断じてない」と話す。
日弁連は「組合のあり方には問題があったが、村全体で人権侵害が行われていたとまでは認定しておらず、ネット上の川上村批判は不本意だ」としている。

あの、思い出すだけでも忌々しい記憶がよみがえった。川上村の村民は、投書の内容をデマだと否定しているようだから、川上村でぼくが実際に体験したことを書いてみる必要があると思った。参考くらいにはきっとなるはずだ。
日弁連の主張は、まさに真実そのもの、女工哀史の女工さえ逃げ出すほどの過酷な労働を、ぼくは川上村で体験した。奴隷労働と形容しても、決して言い過ぎとはいえないだろう。ブラックそのもの。体験したぼくがそういうのだから、間違いない。
ぼくがお世話になった農家は、50代(らしき)の夫婦と小学生の男の子が1人(高校生の女の子もいたような気もするがはっきりしない)、それと祖父母の5人家族だった。専業農家だった。夫婦とも高学歴で、妻のほうは、皇太子の学歴をバカにするような発言をしていたのが思い出される。皇族は学習院に進学するのが決まりなのだから、こういう中傷はさすがのぼくでもどうかと思ったが、口を挟まなかった。1年のうちの半分は農業、残りの半分はなにもしない。夫はパチンコ屋通いだと自嘲していた。
仕事はまだ暗い朝の5時から始まった。昼飯までの12時まで、その間に15分ほどの小休止を挟んで、レタスの収穫作業に追われる。昼休みは昼飯を食べる時間も含めて2時間あったように思う。午後2時から農作業を再開し、午後5時で終了。でも、それだけでは終わらない。女工哀史と言われるゆえんだ。
午後8時ごろから納屋で手作業が始まり、それが午前零時まで続く。1日の総労働時間はざっくりみて、14時間である。睡眠時間は5時間を切っていた。
ある日のこと。農作業中に雷が鳴った。レタス畑は丘陵地だったので、ぼくは雷に当てられるのではないかと、それが怖くて怖くて作業どころではなかった。それでも農家は手を休めない。そのうち、不安が的中した。ぼくが作業していたところからおよそ20メートルほど先の大地に落雷したのだ。ぼくといっしょに作業をしていた大阪の大学生が自分に直撃したのだと勘違いして、大きな声をあげた。ぼくも頭上から全身に電気が走ったのを感じた。そのことがあって、初めて農家は作業の手を緩めた。】
【ぼくがアルバイトをした1985年当時は、外国人実習制度がまだなかった時代である。だから、表にあるような、班長制度はなかったし、帽子をかぶらされることも、罰金が課されることもなかった。住居も、農家の2階の個室をあてがわれた。
しかし、それ以外の日弁連の主張はおおむね正しい。それどころか、労働時間についてはもっともっと長時間だったことは先に書いた。
休日も1月働いて1、2日だった。1日は軽井沢に遊びに行った。アルバイト仲間の大阪の大学生と神戸の大学生が農家に1日だけ休みをくださいと懇願した結果、ようやく与えられた休日だった。もう1日はあったようななかったような。だから「休日や休憩が少なく、過酷な作業を強いていた」はまったく正しい。
次に賃金。いくらもらったのかは全く覚えていない。しかし、はっきり覚えているのは「残業代が過少計算された場合があった」なんて生易しいものでなくて、残業代そのものが一切出なかったことだ。出ない理由は、働きが悪いからということだった。たしかに、ぼくは持病の痔が仕事を始めて半月後くらいから再発して、ふだんだと指で押し込めば治まったのに、重い荷物を持ったり、腰を引いて踏ん張る作業が多かったりしたため、指で押し込んでも押し込めきれず、押し込んだと思ってもすぐに出てくるということになって、作業に支障をきたすことがあったのは事実だ。しかし、だからといって、残業代を支払わなくてもいいという理由にはならない。
バイト仲間の話だと、前年参加したバイトに対しても仕事にケチをつけて、給料をけずった「前科」があったという。これも「変種の」罰金制度だといえなくもない。
ぼくは、今回の事件が発覚するまで、こういうクレージーな農家は、いくらなんでもここだけかと思っていた。しかしどうも違うようだ。ネットで調べてみると、ぼくと同じような体験をしている日本人の「回顧録」がいくつか見つかったからである。しかし、だからといって川上村全体がそうだとは思わない。良心的な農家が大部分であるにちがいないと思いたい。
しかし、である。以下のような発言をみると、その病根は深いようにも思えてくる。

農作業に汗する中国人研修生 長野・川上村(08.15産経新聞)(リンク切れ)
研修手当は月額8万5千円。時給換算すると530円ほどで、最低賃金の全国平均(20年)の703円にさえ届かない。農家が「安い労働力」として使っているとも指摘されるが、受け入れ団体の一つ、川上村農林業振興事業協同組合の鷹野憲一郎専務理事(58)は「農家は手当以外に渡航費や手数料、保険料、宿舎の光熱費、コメ代まで負担し7カ月で100万円になる。日本人なら繁忙期の4カ月だけ雇えばいいからトータルコストは変わらない。目的はあくまで労働力の確保であって安い人件費ではない」と話す。

よくもまあ、ぬけぬけとこんなことを。日本人に対してさえあのような仕打ちをするのだから、相手が中国人ならもっと安くこき使いたいのは目に見えている。

川上村村長がワイドショーで語ったお言葉
年収2500万円というカネの話ばかりがクローズアップされるけど、厳密には年商2500万円ですし、そもそもそれより大切なのは、村民たちの心の満足度。いくらカネがあっても心が貧しければ村は衰退する。子供が元気に育って、村民全員が健康で笑顔の絶えない村を作るのが、私の使命だと思っています

川上村の唯一のよき思い出は鯉コクが美味しかったこと。水もうまかった。そして、このありがたいお言葉。川上村の村民の心が豊かか貧しいか、そんなことはぼくにはどっちでもいいけれども、こんなに儲けているのだったら、今からでもいいので、未払い残業代くらい支払ってもらえないか。年5分の利子もちゃんとつけて。
(追記)
読み返してみると、朝食時間が抜けていた。朝食は、レタス畑でテキトウに何かを摂ったような気がする。】

天狗山〜男山登山
【撮影】12時24分=伊藤 幸司
ブラックな話が先になってしまいましたが、川上村は日本一のレタス村です。
『レシピサイトNadia(ナディア)』に『ちょりママが触れた日本一のレタス産地 川上村のヒミツ。』という雑誌記事なみのレポートがありました。
【野菜王国とも呼ばれる、長野県南佐久郡川上村。村内就業者の約6割が関わるほど盛んな農業の中でも、生産の5割を占める「川上村レタス」の収穫に、料理家ちょりママ(西山京子)が現地を訪れてきました。大変ご多忙な藤原村長との対談も実現!さぁ、いってみよっ♪】
【川上村の野菜たち
◎レタス
出荷時期…6月下旬〜9月
出荷量…72,856t
川上村レタスの特長は、昼夜の温度差によって増した甘み。食欲を誘う優しい香りと柔らかくシャキシャキした食感。栄養がたっぷりつまった鮮やかな緑色が料理においしさと彩りを添えます。
◎白菜
出荷時期…7月〜10月
出荷量…55,195t
冷涼な気候のもとしっかりと甘さを蓄え、ズシリと重く身のしまった川上村産の白菜が全国の消費者に喜ばれています。鍋物や漬け物など様々な料理に合います。
◎サニーレタス
出荷時期…6月中旬〜9月
出荷量…5,541t
赤と緑の鮮やかなコントラストが映えるリーフレタス。かすかな苦味があり、サンドイッチや手巻き寿司など、和洋中問わず色々な料理に活躍します。
◎グリーンリーフ
出荷時期…6月中旬〜9月
出荷量…4,407t
通常のレタスに比べ、更に緑の色が鮮やかで栄養価にも優れているのが特徴。サクサクとした歯ざわりが楽しめクセのない味わいで料理の幅が広がります。
◎グリーンボール
出荷時期…7月下旬〜10月中旬
出荷量…1,741t
葉は肉厚ですが大変やわらかく、甘みのある小ぶりの丸いキャベツ。サラダや浅漬けなどにおすすめです。】
【埼玉を朝一番に出て川上村を訪れたちょりママ。そのためこの日は昼前から収穫作業を手伝わせていただきましたが、本来川上村の収穫作業が始まるのは深夜2時!気温が上がらないうちに収穫し、そのまま箱詰めされて冷温を保ったまま出荷される。
川上村レタスは正真正銘の「朝採れ」レタスなのです
1. こうして採れたてのレタスはすぐに箱詰めされて保冷車で全国へ配送されます。比較的近い首都圏では、その日のうちに売り場に並ぶこともあるようです。
2. 一面広がるレタス畑!その作付面積は1戸あたり平均して5haもあるそう。レタスを収穫するのは、JA長野八ヶ岳の宮澤課長。
3. 雨を特に嫌うレタス。この日の前日もゲリラ豪雨に見舞われた川上村でしたが、それでもすくすくと育っています。
4. 川上村役場の日向さんに川上村レタスのレクチャーを受けるちょりママ。もちろん日向さんも、ご自宅でレタスづくりに携わっています。
5. 丸々と大きく育った川上村レタス。収穫後すぐに畑で外葉を外します。
6. 昼夜の寒暖差が美味しさの秘密。夏の平均気温は20℃を上回りますが、その寒暖差も10℃を超えるそう。
7. 鮮やかな緑が青空に映えて。内部がしまりすぎず実の軽いレタスが川上村の特長。その葉肉はやわらかでいて、レタス特有のシャキ!パリッと感。
8. そしてそのお味はこれぞレタス!という強い主張を感じます。甘さもさることながら苦みもしっかり。さらに鼻を刺激する香りもレタスを実感。決して脇役ではない、主役としての存在感を存分に感じた収穫体験でした。】
【◎村長との貴重な対談が実現! 藤原村長ありがとうございます!
普段は激務で大変お忙しくされている川上村の藤原村長と、僅かではありますが貴重な対談のお時間をいただきました。
ちょりママ、更に川上村のことを深く探っていきます!
藤原村長:川上村でレタス栽培に着手し始めて約60年。現在では日本一のレタス産地となり、「川上村レタス」ブランド化の重要性を強く感じています。
ちょりママ:川上村といえばレタス!というイメージをもともと持っていましたが、今日実際に川上村を訪れてその野菜王国魂を至るところで感じました。
藤原村長:川上村には耕作放棄地がありません。つまり村内すべてが畑のようなものです。人口自体は年々減少していますが全体的な野菜の生産量は年々増加しています。現在では1戸あたりの平均年収も徐々に伸びている状況です。
ちょりママ:農業に特化した村なのですね、その年収には驚きです…
藤原村長:ありがとうございます。現在はやはり「ブランド化」が大事だと考えていますので、プロモーションには手を抜けません。プロサッカーチーム「川崎フロンターレ」のゲームで川上村レタスを配布したり、プロ野球チームに協賛し都市部の消費者へのPRも実施しました。
◎川上村のレタスは、海外でも通用するレタスだと自負しています(藤原村長)
藤原村長:カリフォルニア大学の教授からは「川上村レタスは日本一!」とお墨付きをいただきました。
ちょりママ:現在は海外にも輸出されているのですか?
藤原村長:そうなのです。平成18年頃から台湾・香港などアジアを中心とした諸外国へレタスや白菜を輸出しています。1週間かけて船で輸送していますが、特に現地の富裕層の方々中心に大変ご好評だと聞いています。最近ではカット野菜も売れているそうですよ。
ちょりママ:1週間も!鮮度管理は行ってらっしゃるのですか?
藤原村長:国内の輸送の際もそうなのですが、品質管理には村として徹底的に取り組んでいます。朝の冷涼な空気の中で収穫した野菜を、真空予冷施設で素早く冷却します。保冷トラックに積載するまで、保冷庫で温度管理を行うなど取り組みは徹底しています。レタスは鮮度が命なので、強く意識していますね。
藤原村長:現在はカリフォルニア大学のご協力で、村独自のオリジナルレタス「リバーグリーン」と「サワーアップ」を開発するなど、常に新しいことに挑戦しようと思っています。
ちょりママ:新種のレタス…?
藤原村長:そうです。通常のレタスに比べて糖度が3〜4℃と高く、半結球型で緑色の濃いレタスです。葉肉を厚くして、煮たり焼いたり料理の幅が広がるように、との思いが込められているのですよ。
ちょりママ:ぜひいただいてみたいです…(ゴクリ)
藤原村長:他にも、産地廃棄となってしまうレタスを使って「麗多寿焼酎」を生産したり、レタスを使ったアイスを売り出しているところもありますよ。
◎農家の皆さんに安心して野菜づくりに取り組んでいただけるよう、地域を支えるサービスを充実されることも役場の責務だと考えています(藤原村長)
藤原村長:十数年前には住民なら誰もが利用できる「文化センター」も作りました。当時は賛否両論ありましたが、今では音楽や演劇、シンポジウムなどに幅広く利用されています。
ちょりママ:文化センター!他にはどのような取り組みを?
藤原村長:文化センターには24時間利用できる図書館が併設し、時間を持て余す農閑期に楽しんでいただけています。また日本初でしょうか、村営CATVで導入し、情報を発信しています。デイサービスでのケアなど、医療福祉の充実も図っているのですよ。】
【編集後記──村中を走りまわった車内からも常に視界に入るレタス畑。
その都度カメラを抱えて車を降りるちょりママは、川上村、そして川上村レタスに1日で魅了されていました。
夏前から全国各地のスーパーに並び始める川上村レタス。この時期には「長野県産」と書かれたもののほとんどが川上村レタスだそうです。皆さんもぜひご賞味ください!】

天狗山〜男山登山
【撮影】12時25分=伊藤 幸司
危険な感じは全くありませんが、岩稜という感じの場所が時々登場するようになりました。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時25分=伊藤 幸司
進行方向右側を見ると、南相木村(みなみあいきむら)の立原集落が足元にありました。馬越峠を越えて県道川上佐久線を下るとこの集落に出るのです。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時25分=伊藤 幸司
長野県南佐久郡南相木村立原が足下の白いビニールハウス地帯です。その上方に見えるピークが同村最高峰の御座山(おぐらやま・2,112m)で、この天狗山山頂が第2位といういう山国です。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時25分=伊藤 幸司
あれがピークなんでしょうか。急な登りが待っています。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時25分=山咲 野の香
花びらが7枚なのでハナニガナ。珍しくもないのですが、岩場にひとり、あまりに凛と見えたので。葉や茎から出る液汁が苦いのでニガナだとか。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時25分=山咲 野の香
転ずれば、眼下はレタス畑。だいぶ登った。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時26分=伊藤 幸司
ニガナの仲間です。舌状花が9枚あるのでハナニガナのように思います。
『ウィキペディア』の『ハナニガナ』には次のように書かれています。
【日本全国に分布する。茎の高さは40-70cmほどになり、茎葉は茎を抱く。茎の上部で枝分かれし、多数の頭花をつける。花期は5〜7月。頭花は舌状花だけで構成されており、ニガナの小花が5個であるのに対し、7-11個程度ある。シロバナニガナ(白花苦菜、学名:Ixeris dentata var. albiflora)の花が黄色のものをいう。】

天狗山〜男山登山
【撮影】12時26分=伊藤 幸司
後ろから見ていて、みなさんがストックをどう使っているか、ストックを使わずに直接ハンドホールドを求める人がいるかなどで自分たちのグループにとっての難易度を考えます。危険な雰囲気を感じさせる人がいたら、後ろから大きな声で進行を止め、リーダーとしてその現場に立ち会ってみるべきかと考えます。
ただし、今日のこのルートは初心者に岩稜歩きのスリルを感じてもらうために何度か体験しているので、おおよその感じはつかめているつもりです。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時27分=伊藤 幸司
いつまでも変わらないような、すこしだけ変わっているような気分で写真を撮っています。見えたものはできるだけすべて撮っておきたいという気持ちです。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時30分=伊藤 幸司
登りきったところが頂上ではなくて、もうひと山残っていたようです。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時33分=伊藤 幸司
広さより、高さを感じさせるかもしれないと撮った写真です。でも手前のアカマツに説明をつけられるような中身がないなと感じながら絵面だけでシャッターを切ったことは覚えています。やっぱり薄っぺらい風景です。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時33分=伊藤 幸司
落ちると結構ヤバイのですが、よほど運が悪くなければ死ぬとは思えないうえに、樹々が生い茂っていて心理的な恐怖感もありません。そこにある程度しっかりしたロープが設置されているので、それを使わないで自分の歩きを維持したい人と、ロープ使って最終的な安全を求めたい人の両方に「安全」を提供しようとした人の心づかいを感じました。
前方にかかっている標識には「注意──ロープは 必ず一人づつ 体重をかけずに 補助として利用して下さい。」とありました。この文章を見るだけでも、たとえば小学生のグループ活動あたりまで想定しているかもしれないと思いました。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時34分=伊藤 幸司
ヤマツツジの花が足元にありました。上を見上げましたが、見つからない感じの孤立した木のようでした。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時34分=山咲 野の香
よしよし、雲の切れ間からは青空。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時37分=伊藤 幸司
さっきの松の木越しの風景が消化不良ぎみだったので、今度は松を単純な前景として撮ってみました。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時38分=伊藤 幸司
これがこの山の、今年のアズマシャクナゲ。今年の葉芽がここまで育ったということでしょうが、自然環境では数年に一度しか花芽がつかないので、こういう寂しい光景になるわけです。もし花が咲いたのなら、花柄(はながら)という花茎の残りがいくぶん汚い状態で残っているので、豊作だった年などには来たのが遅かった、残念、という気分にさせられます。園芸の基本としては翌年の花をできるだけうまく咲かせるためにこの花柄を管理するようです。
『NHK出版』の『趣味の園芸』のサイトで『シャクナゲ』を見ると『主な作業』としてつぎのような解説がありました。
【花がら摘み…花が終わったら速やかに、花茎の基部から花がらを摘み取ります。花がらをつけたままにすると、果実(タネ)ができて、新しい枝が伸びるのが遅れ、夏までに充実しないため、花芽がつきにくくなります。
芽かき…適期は4月中旬から7月中旬です。シャクナゲは枝数が少なく、剪定を行うと芽が伸びないことがあるので、芽かきを行って樹形を整えます。春に1枝から1本の新芽しか伸びない場合は、伸び始めた芽が柔らかいうちにかき取ることで、複数のわき芽が出ます。】

天狗山〜男山登山
【撮影】12時39分=伊藤 幸司
足元の岩にコガネムシがいました。何人もの靴が頭の上を通過していっただろうに、ずっとこの姿勢でじっとしていたみたいです。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時39分=伊藤 幸司
クローズアップしてみると、なかなかの美形です。素人目でコガネムシとしましたが、かえって調べると害虫のコガネムシに対してカナブンも似た体つきだということです。ただし先端に突き出た東部が「四角い」という大きな相違点があるというので、コガネムシでいいらしいとわかります。しかし画像で見てみるとたくさんの種類があって、どれとも決められない状態です。
コガネムシにはさまざまな色の金属的な光沢のものがあるので「コガネムシ 茶色」で画像を見ていくと、なんとなく似た姿がありました。それにヒメコガネという名がついていたので調べなおすと似ています。非常に似ています。見た目だけの印象ですが、当たらずもと遠からずというところでしょうか。
『昆虫エクスプローラ』の『昆虫図鑑』の『ヒメコガネ』を見てみました。
【小型のコガネムシ。体色は、暗赤銅色、暗藍色、暗緑銅色など、変異が多い。
マメ類、ブドウ、クリなど、様々な植物の葉を食べる。幼虫は、地中で植物の根を食べて育つ。
芝や農作物を食害することがある。】
色が色々あるのは種類の違いというより個体差みたいですね。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時40分=伊藤 幸司
ロープの付いた岩場が出てきました。ロープを頼りにする人、自力で登ろうとする人、こういう場所は初心者の体験としては最高です。このチームに初心者はひとりもいないですけれど。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時41分=伊藤 幸司
雲の状態はほとんど変わっていない、と思いながら撮っています。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時41分=伊藤 幸司
広い風景を撮ったので、適当な望遠でもう1枚撮っておくという癖が抜けません。本当は一眼レフカメラのファインダーで楽しみながら撮りたいところですが、このカメラの接眼ファインダーは画像の質が悪いので、たとえばこの写真の光が踊っているような雰囲気はまったくありません。だから水準器をチェックしたらシャッターを切る、ぐらいのいい加減な状態ですが、ファインダーで見た印象よりずっといい形で撮っていてくれるので、帰ってからパソコンで見るのが楽しみというのが正直なところです。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時42分=伊藤 幸司
ハクサンシャクナゲの花が道際に咲いていました。この山にはすでに花期の終わったアズマシャクナゲもあるわけですが、それに加えてキバナシャクナゲの、3つが基本だというを知っておきたいという解説がありました。
『いがりまさし公式サイト 撮れたてドットコム Plants Index Japan』の『ハクサンシャクナゲ』です。
【高山から亜高山帯で見かけるシャクナゲ。高山帯には、より丈が低く地を這うようになるキバナシャクナゲがあるが、亜高山帯で見かけるピンクや白花のシャクナゲはほとんどこのハクサンシャクナゲと思ってよい。
山地帯のアズマシャクナゲに比べて、葉の幅が広い。また、キバナシャクナゲは、花の色が黄色味を帯びるので識別できる。】
【シャクナゲの仲間は年によって花の咲き方に違いが激しい。いわゆる成り年と裏年である。隔年周期で繰り返すことが多い。
成り年にあたると,ここにこんなにシャクナゲの木があったのかと目を疑うほどに花が咲いていることになるが,その記憶をたよりに何年か後に同じ所にいってみても,ほとんど花を見られないこともある。】

天狗山〜男山登山
【撮影】12時42分=伊藤 幸司
ハクサンシャクナゲの花は、ほんのりと色付けされたピンクと緑色の斑点が美しい。アズマシャクナゲと比べると品のいい薄化粧です。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時43分=伊藤 幸司
もうすぐ頂上か、という気分になってからいろいろな仕掛けが現れます。馬越峠をスタートして1時間ですが、次から次という感じでかなり変化のある稜線です。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時46分=伊藤 幸司
狭い岩場をすり抜けたと思ったら、今度は広い斜面です。安全第一もいいですけれど、スタスタと自然な歩き方で登ってみると、バランス感覚と、足の置き場の細かな選び方に関してレベルが上ってきます。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時46分=伊藤 幸司
枝先に咲いたハクサンシャクナゲの花のかたまりは、すでに散り時となって雌しべを残して次々に落下。この花も遠からずポトン、と落ちるのでしょう。花柄(はながら)と呼ばれる雌しべの繁殖装置だけが残されます。
『ネイチャーログ』『フォトライター・日野 東が運営する自然と花のサイト』の『植物記』に『ハクサンシャクナゲ』がありました。
【ツツジ科ツツジ属の常緑低木。北海道、本州中部以北、四国に分布し、山地帯〜高山帯の湿った林内に生える。枝先に葉が集まり、一見すると輪生にも見えるが互生である。葉は長さ5〜15センチ、幅3〜5センチの長楕円形で革質。表面には光沢があり、縁は裏側に巻く。裏面には淡褐色の毛が密生するが、毛がない品種もあり、これをケナシハクサンシャクナゲ( f. fauriae )と呼ぶ。
6〜7月、枝先に10個前後の淡紅色〜白色の花を付ける。花冠の直径は4〜6センチ。5中裂し、内側の上部3裂片には淡黄緑色の斑紋が入る。雄しべは10個。八重咲きになるものをネモトシャクナゲ( f.nemotonum )と呼ぶ。果実は長さ約2センチの蒴果で、熟すと裂開し、2ミリほどの細かい種子を出す。
本種は、東日本の山岳地では普通に見られ、亜高山帯を彩る代表的な「樹の花」といえよう。ただ、花のコンディションがベストな株に遭遇できるのはあまり多くはない。】

天狗山〜男山登山
【撮影】12時47分=伊藤 幸司
ニガナです。この写真の解説としてピッタリのものが『あの頂を越えて』『野山で出会った花〜似た花の比較〜』の『ニガナに似た花』にありました。
【特徴:頭花は黄色で舌状花は4〜6枚。根生葉は長い柄がある広披針形〜倒卵状長楕円形、茎葉は柄がなく茎を抱く。】

天狗山〜男山登山
【撮影】12時48分=伊藤 幸司
また急斜面の岩場です。ここにはロープが垂らしてあって「注意 ロープは必ず一人づつ体重をかけずに補助として利用してください。」
この状態でだれかが急にロープを使うと、ロープがピンと張って他の人にも危険が及びます。糸の会のメンバーはここではロープを使用しないで登るという共通の認識ができているということになります。
さてここで、ダブルストックの岩場での使い方の究極の方法なんですが、きちんと立ってストックでの補助の割合を大きくするためには、ストックに絶対に「裏切られない」使い方が必要です。
そのためにはどうするのか。登りでは「後ろから押し上げる」のが基本ですが、その石突きを置く場所の微妙な位置を眼で確認する余裕はありません。そこで「石突きをかかとの脇に置く」という私の口癖を思い出していただきたいのです。
ストックをパワーアシストとして使うときには「Vの字」で使うのが原則だと言っているはずです。下りではみなさんかなりその原則は理解されていますが、登りでは「なかなか」です。
軽い登りで(必ずしもVの字の必要を感じない場面で)やってみてください。からだの後方でダブルストックをV字にすると、腕を前方に降り出したときにストックは足にぶつかります。そのときに、石突き部分を靴のかかとにぶつける癖をつけるのは難しいことではありません。つまり石突きの位置を眼で確認するのではなくて、視野の外側の長い指先と考えると「体感」として自分のコントロールの範囲内に加えることができるわけです。
それでどうなるのかというと、岩場の登りでは足場の選択は厳密です。私たちが標準的に使っている「柔らかくて軽い靴」の場合には小さな突起を指の付け根(すなわち重心位置)で踏むというのが最大の安全確保と考えている(はず)です。
そこまで厳密に足場を「見る」ことができるようになると、自分の足を置く場所と、そのかかとの脇の、ストックの石突きを置く場所を同時にチェックするのは簡単です。そのうえで、足場が悪い、危険がある、というようなフットスタンスに関する「要注意の場所」では足場だけでなくストックの石突きを岩のどのくぼみ、どのシワ、にはめるのか、あるいは腕の力で思いっきり突っついて石突きの刃の力で置きどころを作る……など、手でハンドホールドを探すのと同じ気持ちで指先が1m以上延びたストックの石突きを慎重に使ってみてほしいのです。常時やる必要はありませんが、いざというときには高い精度でそういう作業をすることができると、この程度の岩場をふつうの姿勢で登っていくことは可能だと思うのです。なお、私はストックを使わずにみなさんの後を追っています。できるだけストックを使った場合の動きを維持しながら。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時50分=山咲 野の香
岩場にはたくましくシモツケがたくさん。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時51分=伊藤 幸司
こういう状態で、2度目だか、3度目の岩場が登場しました。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時52分=伊藤 幸司
ハシゴやこのような岩場で、ストックを2本まとめて片手に持つというのが常識かと思います。しかし糸の会ではベルトでそれぞれの手に通したまま、ぶら下げたストックが邪魔にならないようにさばいていきます。合理的に思えない捌き方なので、それを見ている外部の登山者の多くは非合理的だと思っているのがあきらかで、ときどき「ストックをしまいなさい」と親切な指導をしてくれる人もいます。
それはそれで、間違いないのです。たとえば冬山では、ピッケルがじゃまになる場面ではザックと背の間に差し込んで手を自由にしたりします。ストックだって同様に背中に背負うことも可能(じつは縮めないとやっかいなことも生じます)なのですが、2本束ねて片手で持つというのは明らかに非合理です。ありうるとすれば2本いっしょにベルトに手を通して、やっかいな不要ストックのさばきを楽にしようというところまでではないかと思います。そうでなければ、一般の識者がいうように、岩場ではストックは使わないと考えるのが正しいと思います。
でも糸の会では岩場で使わないストックにイライラしながら登るというのを大原則としています。危険の多い岩場で、個人個人の力量の差を私(リーダー)が見やすくさせてもらうためです。私がストップをかけて全体を止め、その人のところへ行ってサポートするためです。つまり歩きやすさという観点ではなく、危機管理的な観点から不要になったストックにまで神経を使える状態かどうかという見方をさせてもらっているのです。邪魔なストックをていねいにさばいているあいだは、行動に余裕があるということなのです。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時52分=伊藤 幸司
これぐらいの岩場はダブルストックでスマートに登ってもらえるはずだと思っているのですが、みなさん「安全第一」のお年頃ですからね。最近ポツポツと参加される若い方にぜひ、そういう境地にまで達していただきたいものだ、と思っているのですが。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時53分=伊藤 幸司
けっきょく、何という花かわかりません。キジムシロに近い花かとも思われますが、山に咲く黄色い花には似たものがあるように思われるのに、特徴のある葉は見つかりませんでした。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時54分=山咲 野の香
先頭登頂。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時55分=伊藤 幸司
いままでとはちょっと気分の違う急登です。なんとなく「ようやく最後」という予感。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時55分=伊藤 幸司
私にはこういうスタイルの登り方が好ましいと思っています。基本的には右手のようにストックを効かせて立って歩くのですが、バランスのとりにくいところでは左手のように、岩のホールドを手で確保します。これはそういう姿勢です。岩が立ってくればストックを使う割合が下がって、両手を直接岩に置くということもあるでしょうし、あるいは立ち上がって左手もストックでサポートできるようになるかもしれません。いざという場合にロープを利用させてもらう段階からはかなり練度が高い歩き方だと思います。しかも慎重に歩いている感じはこの写真でもわかります。恐怖感から早く脱出しようとしている気配などまったくありません。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時56分=伊藤 幸司
とうとう山頂です。出発から1時間15分。予定は1時間でしたから、中身の濃い300mの登りだったといえますね。写真を見ながらでもそう思いましたが、歩いているときにもよほど行程計算を間違えたかと思ったほどです。

天狗山〜男山登山
【撮影】12時57分=山咲 野の香
相変わらず雲は多いが、降らずにラッキー!八ヶ岳は見えなかったが、のんびりする。
今回一番ショックだったのは、下山後、Kさんが2007年に天狗山に登っており、その時に私もいたというのです!一切、これっぽっちも覚えてないのです…未だに信じられません。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時03分=伊藤 幸司
山頂でゆっくり休憩しました。写真の右手から登ってきましたから進行方向右側の風景がここにはあります。右端の人の頭上にある山が御座山(おぐらやま。標高=2,112m)です。けっこう不便な山なのであまり登っていませんが、山頂の展望はすばらしい。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時06分=伊藤 幸司
天狗山の山頂にはきちんと造られた祠がありました。でもお賽銭しか撮っていません。こういう写真、なんの意味があるのか自分でもわかりませんが、登山者の財布にはけっこう小銭が入っているのは確かですね。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時06分=伊藤 幸司
天狗山の山頂から進行方向の風景を見ています。……ということは雲に隠れた八ヶ岳と、その麓の野辺山高原の高原野菜の農園風景です。……次の写真に続きます。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時07分=伊藤 幸司
前の写真と同じ方向を写しています。前方に見えるピークが男山(標高1,851m)で、これからあそこまで行くのです。その向こう、雲があってほとんど見えないのが八ヶ岳。男山の山頂左手に木の梢が2本飛び出しているのが見えますが、前の写真(13時06分)はそこを写しています。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時10分=伊藤 幸司
この写真は前の写真(13時07分)のほぼ左端で、前の前の写真の左に接続する風景です。右側から八ヶ岳の稜線が下ってきて、左へは飯盛山(標高1,653m)へと登っていく稜線が見えています。
その稜線の下に(オリジナル画像だと)白いパラボナアンテナがはっきり見えるのですが、それは国立天文台野辺山宇宙電波観測所。家屋が密集しているのはJR野辺山駅の周辺です。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時11分=伊藤 幸司
これは12時25分の写真にすでに登場している南佐久郡南相木村(みなみあいきむら))立原の集落と、その周辺です。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時12分=伊藤 幸司
これは南相木ダムのようです。ダム湖は奥三川湖というようです。そこから下った流れは三川からすぐに南相木川に注いで、信濃川水系の千曲川に注ぐのですが、『ウィキペディア』の『南相木ダム』を見ると不思議なことが書かれていました。
南相木ダムの水は尾根向こうの神流川(かんながわ・利根川水系)にあるダムと通じているというのです。日本海側の水系と太平洋側水系がちょっと特殊な関係で接しているということに加えて、日本最高標高のダムということのようなのです。
【南相木ダム(みなみあいきダム)は、長野県南佐久郡南相木村、信濃川水系南相木川に建設されたダム。高さ136メートルのロックフィルダムで、東京電力の発電用ダムである。同社の揚水式水力発電所・神流川発電所の上池を形成。下池・上野ダムのと間で水を往来させ、最大282万キロワットの電力を発電する計画である。ダム湖の名は奥三川湖(おくみかわこ)という。なお、日本のダムの中では最も標高の高い、標高1532メートルに堤体が位置する。】
【神流川発電所は、南相木ダム湖(奥三川湖)を上池、上野ダム湖(奥神流湖)を下池として利用する揚水発電所である。南相木ダムは、その上池として1995年(平成7年)より建設開始、2005年(平成17年)に完成した。
現在、神流川発電所1・2号機(各470MW)が稼動しているが、最終的には6台の水車発電機により、揚水発電所としては世界最大となる2,820MWの発電を行う予定である。堤頂への自動車の進入は禁じられているが、徒歩での立ち入りは認められている。】
【南相木川の水は南相木ダムを通さず、脇から導水路を経由して洪水吐付近に放流されている(増水時には増水分はダム湖に流れ込む仕組みになっている)。 これは、慣行水利権・漁業権の関係から南相木川の水を発電に利用することができないためである。
この方式は同じく東京電力の玉原ダムで採用されたものであり、異なる水系の河川水が混入することで下流の漁業資源・生態系に悪影響が生じることへの配慮でもある。したがって湖水はすべて神流川の水を揚水したものである】
【ダム周辺は上流・下流にわたって公園が整備されており、完成以降は南相木村の観光資源として積極的に開放されている。前述の通り、堤頂部は日本のダムの中で一番標高が高く、晴れた日には八ヶ岳を望むこともできるなど眺望がよい。
ダム下流の公園にはウズマクヒロバと呼ばれる広場が設けられており、ウズ・ナガレ・ラセンの3要素を石灰岩・水・コンクリートの壁により表現している。ウズマクヒロバは2006年度のグッドデザイン賞を受賞した。なお、ウズマクヒロバは自動車での進入が認められている。
南相木ダム建設に伴い、南相木村には固定資産税が入り、2006年度からは地方交付税交付金の不交付団体に指定されている。】

天狗山〜男山登山
【撮影】13時13分=伊藤 幸司
山頂の石積みのところにシモツケが咲いていました。
バラ科のシモツケ属について『原色日本樹木図鑑』(北村四郎・1959年・保育社)では次のように書かれています。
シモツケ属【北半球の温帯及び亜寒帯に約100種類が知られている低木または半低木で多数の花をつけ美しいので観賞用として植栽され切花にもちいられる。日あたりのよい岩場に多い。蛇紋岩地帯や石灰岩地帯に多い植物である。】
ユキヤナギやコデマリも仲間だけれど、シモツケという名をつけたものとしてはたとえばエゾシモツケ、アイズシモツケ、トサシモツケ、キイシモツケ、イワシモツケ、イブキシモツケ、キビノシモツケ、ホソバノイブキシモツケ、ホザキシモツケ、マルバシモツケ、エゾノマルバシモツケ、エゾノシロバナシモツケとあって、それぞれ分類学的な違いが証明されているようです。
それに加えて本家のシモツケがあって、そこには【葉は披針形から卵型。下面有毛か単色か或は白色を帯ぶ。鋸歯辺。花序は通常新条の先につく。花柱は子房の2倍長。】となっていて、分布としては【種としては本州・九州・朝鮮・中国・ヒマラヤ。変種多くその1つはヒマラヤのネパールにまで分布し、そこが西限である。シモツケは葉は長楕円状披針形。殆ど無毛で茎の稜角は明らかでない。花は赤で古くから栽培されている。】
じつはそれに続いて、シモツケの変種としてたくさんの名前が列記されています。シモツケ属の本家、分家、孫分家、本家取り、暖簾分けなど正統的な「変種」としてシモツケ本家に従属するものなんだろうかと思うほどいっぱい、あっちこっちにあるようです。ただし、書くのが煩わしいのでラテン語表記は省略します。
【シロバナシモツケはその白花品。
葉に毛のあるものがケホソバシモツケ。分布=本州・九州・中国。これからシモツケがでたのであろう。
ヒロハシモツケは葉が卵形鋭頭で無毛のものから有毛のものまである。分布=本州。
オヤマシモツケは葉が卵形鈍頭で小さく山の高いことろにある。
ウラジロシモツケは葉が卵形鈍頭又は円頭で無毛。裏面緑白である。九州南部の鰻火山の産。
チョウセンシモツケは葉が卵形、鋭頭。茎に稜角の出るもので、分布=本州西部・九州・朝鮮・満州・中国北部に及ぶ。九州ではこれが広く分布している。
ドロノシモツケは茎に稜角があり、花序も果実も無毛で、葉は細い。分布=近畿南部。
ヒゴシモツケはドロシモツケに似ているが葉の裏面に毛が多い。分布は九州・熊本県。
栽培されているコシモツケの葉は広卵形で小さく、あわ立ったように表面に凸起がある。】

天狗山〜男山登山
【撮影】13時14分=伊藤 幸司
シモツケの花に関しては『四季の花事典 花のすがた・花のこころ』(麓次郎・1985年・八坂書房)の『ユキヤヤナギ』のページにコデマリとともに紹介されています。
【庭園や垣根に植えられ、また、いけ花にもよく用いられている植物で、栽培はコデマリやユキヤナギなどよりだいぶん古いようである。変異性に富み、白花、濃紅色花はもとより斑入葉のものまでしられている。初夏の頃、株全体が美しい小花でおおわれている様子はじつに見事である。清少納言も『枕草子』六七段「草の花は」の項の末尾に「……されど なお夕顔といふ名ばかりをかし しもつけの花 葦の花」と記し、賞美している。】
じつは清少納言が「シモツケ」という名の花を知っていたというのが私にはとてつもない驚きでした。
シモツケなどという和名は明治以降の植物学者が採集した標本を新種として登録する際にたまたまつけた名前……とばかり思っていました。ハクサンとかシラネとかがつく植物は、そこで集中的に採集された植物に(ひとあたり適当に)つけられたのだと思っていましたからその流れで。千年も前にこの花が遠く離れた東国の「しもつけ」という名で京文化のなかに広く通用していたとは。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時14分=山咲 野の香
なんと濃いピンクのシモツケ!この日一番鮮やか。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時15分=伊藤 幸司
ようやく山頂での記念写真です。
なお、天狗山は金峰山荘のある廻目平から川端下を経てJR信濃川上駅へと向かうバスなどからだと、前方にスフインクスのような雰囲気で睨みつけている独特の表情をもった山として登場します。その顔つきから天狗山という名は記憶に残るのですが、その岩場を存分に楽しみながら登ろうという『天狗山ダイレクト・ルート案内』がありました。
『山岳ガイド 佐藤勇介』というサイトのブログで『公開 !! 天狗山ダイレクト』(2019年6月2日)の『天狗山ダイレクト・ルート案内』
【川上村のナナーズから見上げる天狗山は山頂直下に岩壁を張り巡らせている。
山頂へと続く岩稜・岩壁をつないで登るバリエーションルートを開拓・整備した。
その名も『天狗山ダイレクト』。
読図、ルートファインディング、プロテクションセットなど総合的な技術が求められる。
男山ダイレクトに続く好ルートである。】
私たちがタクシーで登った馬越峠への県道のかなり下から登山道を登って、標高1,760mあたりから岩に取り付いて山頂をめざすというもの。興味のある方は御覧ください。私たちが登った稜線の左下にこんな世界があったのかとわかります。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時17分=伊藤 幸司
男山へと向かって出発です。正面に大きく見えるはずの八ヶ岳が雲の中に完全に隠されてしまっています。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時19分=伊藤 幸司
天狗山山頂から下り始めるとすぐに川上村の中心部が見えてきました。千曲川は手前の山麓側に隠れてしまって見えませんが、住宅が密集した中に赤っぽいH型の屋根と茶色い校庭が見えるのが川上村立川上第一小学校です。JR信濃川上駅は画面右端からすこし行ったところになります。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時19分=伊藤 幸司
男山に向かって延びる稜線の全貌が見えてきました。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時20分=伊藤 幸司
進行右側の展望が開けて、すでに何度か見てきた南相木村立原の高原野菜畑が幾何学模様を見せていました。たぶん画面下部に見えている道路が県道川上佐久線だと思います。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時20分=伊藤 幸司
前の写真のもうすこし広い風景です。手前に茶色い屋根の、ひょっとすると窓の付き方から4階建てかもしれない大きな建物がありますが、なんなのかわかりません。立派な玄関がついているようにも思われます。今では使われていないホテルかなにか、ですかね。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時22分=伊藤 幸司
山頂にあったシモツケの花と比べると妖艶な雰囲気ですかね。前の写真と見比べてみるとこちらのほうが若い……んじゃなくて、あちら(13時14分の写真)はまだ蕾が多いのに対して、こちらは開ききった状態なんですね。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時22分=伊藤 幸司
今回2度目の登場のニガナです。
『三河の植物観察』で『ニガナ』を見ました。花や葉のきちんとした図鑑的な写真が魅力です。
【頭花は直径15〜19㎜、黄色(稀に白色)の舌状花5〜7個だけからなる。舌状花の先に細かい切れ込みがある。】
【白花品はシロニガナというが、属名をIxeridiumとして、分けない分類に変わってきている。
類似のハナニガナは舌状花が8〜12個である。ただし、中間的な6〜8個というものもよく見られる。
ハナニガナの白花品はシロバナニガナという。
ハイニガナIxeridium dentatum subsp. dentatum form. stoloniferum はニガナによく似ているが、短い匍匐枝を出す。茎葉の基部が茎を抱かないことが多い。
クモマニガナ Ixeris dentata subsp. kimurana 北海道、本州(中部以北)の高山に分布する。高さ30㎝以下。頭花は11個の舌状花がつく。2n=28
タカネニガナ Ixeris dentata subsp. alpicola北海道、本州、四国、九州の高山に分布し、茎が細く、高さ20㎝以下。頭花は8〜10個の舌状花がつく。茎葉の基部は茎を抱かない。】

天狗山〜男山登山
【撮影】13時23分=伊藤 幸司
下り始めるとすぐにこんな下りです。当然のことで、「山」とか「岳」という名のついたピークは下から見上げて突起となっているわけですから、それなりの登りと下りが用意されているわけです。あとはその角度と長さ、さらに私たちにはそこに人間が開いた道の歩きやすさが関係してくるというわけです。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時24分=伊藤 幸司
なんの木だかわからずに撮りましたが、この葉っぱ、美しいと思いました。そのときには帰って調べてみよう……という気分もありましたが、いまはまったく。手も足も出せない気分です。ひょっとすると聞いたことのある名前ではないかと思います、けれど。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時24分=山咲 野の香
男山に向け出発。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時25分=伊藤 幸司
なんか、とても初々しい、緑の競演という感じです。細かく見ると、けっこうたくさんの種類の木がここに顔を揃えています。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時25分=伊藤 幸司
早くも紅葉、かどうかわかりませんが、自分で色づいたのか、外部から強制的に色づかされたのか、ひょっとするとなにか語りかけたいのかな、と思わせる光景でした。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時27分=伊藤 幸司
雲は低くたちこめて、その雲のどこかで雨が降っている感じではあるのですが、ここではまだ雨という気配はありません。山頂から見た最初の風景とほぼ同じ方向ですから、雲がなければ南アルプスの甲斐駒ヶ岳あたりが見えるのでしょうが、もちろんナシ。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時29分=伊藤 幸司
ヤハズハハコだと思います。ネット上にこの「ヤハズ」についてのウンチクを語る専門サイトがあったので紹介させていただきます。
『植物の名前覚え書き 植物和名用語の基礎知識』というブログで、書き手は新ヰ樹邦さん。
【弓矢の矢の後端には、弦をはめ込む凹型の切込みの筈(はず)がある。弓の両端にも弦を結ぶ筈があるので、矢のものは矢筈(やはず)といって区別する。環境省の植物リストには「やはず」を名に持つ植物が15種類記載されている。葉の先端が矢筈のように凹型なのが基本のようで、ヤハズマンネングサ、ヤハズハンノキ、ヤハズアジサイ、ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)、ヤハズカワツルモには、大なり小なり窪みがある。逆に葉の基部が凹んでいるのが、ヤハズカズラ、ヤハズトウヒレン、ヤハズヒゴタイで、その名の由来とされているが、基部からは葉柄が出ているので見た感じは鏃(やじり)に近い。なお「やじり」が名に付く植物はない。ヤハズソウはどこにも窪みはないのだが、葉の先をつまんで引っ張ると葉脈に沿ってきれいに凹型にちぎれる。ただし、矢筈というよりも矢羽根(やばね)のようである。「やばね」が名に付く植物も今ではないのだが、ヤハズハハコはもともとヤバネハハコと呼ばれていたらしい。ヤハズハハコの茎には翼がありこれを矢羽根に見立てたようだ。なお、ヤハズハハコにはどこにも凹型はない。
最後にオオヤハズナシだが、この植物については存在自体が疑わしい。薬種商にして市井の植物研究家、後に「備中植物誌」を著す吉野善介によって岡山県上房郡楢井で採取され、京大の小泉源一博士が1925年に新種として植物学雑誌に記載した。小泉博士は他にも多くのナシの新種を登録したが、細かく分類しすぎたようで、現在ではその多くは同一種の変異とみなされている。小泉博士とすれば「こんな筈ではなかった。」というところか。】

天狗山〜男山登山
【撮影】13時00分=伊藤 幸司
これがたしかにヤハズハハコなのかと調べていくうちに「クリヤマハハコ」の解説と出会いました。
フォトライター日野東さんの『Nature Log』というサイトの『植物記』にあった『栃木県栗山村に因む クリヤマハハコ』です。
【キク科ヤマハハコ属の多年草。ヤハズハハコの変種で、栃木県栗山村(現・日光市)で発見されたことに因む。関東地方(栃木県、群馬県、埼玉県)に分布するが、『長野県植物誌』(信濃毎日新聞社)には未確認種として掲載され、確かに長野県東部にはあっても不思議ではないだろう。ちなみに御座山で見かけたものは、ヤハズハハコのようだったが。
山地の岩壁に生え、母種に比べて綿毛が少ないが、腺毛は多いために粘着性があり、葉をもむと焦げた砂糖のような匂いがある。9〜10月頃、茎頂に直径3ミリ程度の頭花を散房状に付ける。
写真は1997年9月に妙義山で撮影したものだが、『群馬県植物誌』(群馬県)をめくると、妙義山にはヤハズハハコしか分布しないことになっていた。ところが、その一方で妙義山にも自生しているとする別資料も…。両種には外見上の明瞭な違いはないので、同定は難しい。しかも肝心の葉の匂いは未確認(意外と匂いって、現場ですっかり忘れちゃうものなんだよな〜)なので、散々迷った挙げ句、確信がないまま著書にクリヤマハハコとして写真を掲載したこともある。今回、改めてネット検索してみると、妙義山のものはすべてクリヤマハハコ…とする記述を見つけ、少し安心。ネット情報なので、どこまで正しいか不明だが、本サイトでも掲載することにした。もし間違っていたら、ご指摘下さい。
*追記……2017年7月、妙義山に登った際、葉の匂いを確認したところ、確かに焦げた砂糖のような匂いがあった。どうもクリヤマハハコで間違いないようだ。】

天狗山〜男山登山
【撮影】13時34分=伊藤 幸司
縦走路は岩稜から山腹の巻道になりました。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時35分=山咲 野の香
見下ろすようにミヤマシシウドが一本。孤高の雰囲気。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時36分=伊藤 幸司
山稜の左側にいたかと思うと、今度は右側。歩きやすい縦走路が延びていくという感じです。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時37分=伊藤 幸司
進行左手の山裾にはゴルフ場がありました。わたしの持っている地図には「カワカミヴィラージュカントリークラブ」とか「カワカミヴィラージュゴルフ場」となっていますが、ゴルフ会員権の『椿ゴルフ』のサイトに『川上ゴルフ倶楽部を経営の(株)甲武信、事業を停止し私的整理へ』というページがありました。
【帝国データバンク(平成29年5月1日付、http://www.tdb.co.jp/)によると
「長野」(株)甲武信(資本金4000万円、登記面=南佐久郡川上村居倉1733-1、代表小林徹平氏)は、4月28日までに事業を停止し、事後処理を新井哲男弁護士(千代田区丸の内2-2-1、法律事務所ジェイ、電話03-5224-5588)に一任した。今後は私的整理の方針。
当社は、1987年(昭和62年)3月に設立されたゴルフ場の運営業者。南佐久郡川上村にあるゴルフ場「川上ゴルフ倶楽部」(オープン1996年8月、18ホール、7026ヤード、パー72、樋口久子プロの総合監修指導により設計)を運営し、2003年12月期は年収入高約1億円を計上していた。
しかし、ゴルフ人口の減少や都心から遠いという立地的な条件により集客力が低下。また、業績不振に陥るなか、2007年頃に預託金の返還期日を迎えたものの、資金不足により返還できず、訴訟問題も抱えていた。
こうしたなか、業績悪化にも歯止めがかからず2013年12月期は年収入高約730万円までダウンし、ジリ貧状態が続いていた。こうしたなか、2016年11月までにゴルフ場をクローズし、今シーズンは再開不能と判断したため今回の措置となった。
負債は債権者約1200名(主に預託金債権者)に対し、約60億円。】
13時40分に分岐跡というべき白塗り標識を過ぎましたが、それがゴルフ場の縁を下って大深山遺跡方面へと下る道でした。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時42分=山咲 野の香
ウスユキソウがひっそり。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時46分=伊藤 幸司
これもまったく見当がついていません。次の写真で花のアップをとっていますが、まさかキバナウツギじゃないですよね。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時46分=伊藤 幸司
花よりも葉の色に引っ張られて撮らされている写真です。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時46分=伊藤 幸司
足元にキノコが出てきました。出てきたというより、目に入るようになってきたということかも知れません。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時48分=伊藤 幸司
小さなアップダウンのこういう尾根歩きはいいですね。単調じゃなくって。それと自分がいまどこにいるかわからないっていう感じになります。1時間が3時間に感じられたりもします。
ひとつの山を登って、下るというのはいわば単調。いくつかのピークを踏むとすると、歩きやすい高速道路のような道(たいてい時速2kmほどで歩けます)や小さなピークを次から次へと超えていく岩尾根があり、また巻き道でも高尾山から陣馬山のようなランニングコースみたいな歩きやすい巻道と、ここにあるような、ピークとは直接関係なしに下ったり登ったりのジャングルルートもあるんです。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時49分=伊藤 幸司
左側斜面を下ります。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時50分=山咲 野の香
派手な?倒木を見ると、あー、どうしてこんな憂き目に?と思ってしまう。寿命ならいいけれど。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時52分=伊藤 幸司
3分後には右側斜面を下っています。

天狗山〜男山登山
【撮影】13時54分=伊藤 幸司
歩きやすい稜線の道に出ると、天狗山と男山の中間点です。左斜面には川上村のゴルフコース(跡)があって、右斜面の下には南相木村立原の集落があります。道標がいくつも出てきて「立原高原」への下山ルートがあるとわかります。
じつは天狗山からここまでは川上村(南側)と南相木村(北側)の町村界になっていて、ここから男山までは川上村(南側)と南牧村(北側)の町村界となるのです。そこで「ここまで」となる南相木村からのルート上がってくるというのでしょう。
ところがこんな立て札がありました。
【天狗山は岩場が多いので非常に危険です。父兄引率者のいない小学生等は登山をご遠慮ください。川上村】
もうひとつも川上村のもの。
【天狗山県自然環境保全地域──当地域は、天狗山の南面に広がる優れた自然環境を守るために指定された地域です。
天狗山は、堆積岩の一種であるチャートの岩峰としてそびえるとともに、フォッサマグナ地域に特有な植物が自生するなど、植物分布上貴重な地域でもあります。この優れた自然環境を大切に守り育てましょう。
長野県自然保護条例第7.10.11条の規定により 平成3年3月28日指定 面積35.90ヘクタール 長野県・川上村】

天狗山〜男山登山
【撮影】13時58分=山咲 野の香
苔のソファでくつろぐマダム。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時03分=伊藤 幸司
アズマシャクナゲの森を抜けていくという雰囲気の道でした。ルンルン気分で進みます、……が。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時07分=伊藤 幸司
前の写真から4分後にはこの岩が。小さな変化がどこにでも出てきます。数分おきにです。それがこの山のキメの細かさ、面白さともいえるのですが。
この3分後に【←1.2km男山  天狗山1.2km→】という標識がありました。ちょうど中間点ということです。天狗山山頂を出たのが13時15分でしたから水平距離でいえば時速1kmちょっと。高速の稜線歩きと比べると半分近くのスピードです。でも計画書では1/25,000地形図によって、水平距離500m×2、高度差50m×5で7パワーという運動量とし、糸の会の標準パワーの8パワー/時によって1時間と見積もっています。おおよそ順調な行程だったといえそうです。
でも、じつは、悪い要素が加わってきました。14時12分に雷鳴が聞こえたのです。11時25分に大深山中央バス停のところで馬越峠から戻ってくるタクシーを待っていたとき、金峰山の方向で雷鳴がいくつか聞こえました。それ以後注意していたものの怪しい雲が近づく気配はなかったのですが、ここで再び雷鳴が聞こえたのです。
そしてすぐに微かに雨の先触れを感じたので、しばらく様子をみたあと、14時15分から5分間で雨の準備をしました。雷鳴があって、雨の気配(霧雨のひと粒みたいな気配でもすぐわかります)もあれば、積乱雲が頭上にまで流れてきていると考えるべきです。問題はその中心部がこちらに向かっているかですが、次の雷鳴でそういうこともある程度判断できると考えます。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時25分=山咲 野の香
バイカウツギでしょうか、いきなり美女に出会ったような。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時28分=伊藤 幸司
森林限界を超える北アルプスの稜線などでは雷は最大の危険です。昔テレビ朝日のニュースステーションの仕事で親知らずの海岸から北アルプスを縦走してくる撮影班を、当時の女子アナといっしょに白馬岳の山頂で迎えるという段取りでした。
私たちが山頂に立ったとき、縦走隊はすぐそこまで来ていましたから撮影の準備を整えました。そのとき西の空に黒い雲が見えたので、雨具の装着も指示しました。そういう準備が整うまでに10分もかからなかったと思うのですが、ちょうど縦走隊を山頂で迎えたときには土砂降りの雨でした。
じつは雨は、ずぶ濡れになったとしても致命的ではありません。見晴らしのいい岩稜で致命的なのは落雷です。もし落雷があれば、雨でずぶ濡れになっている人間の体は電気の良導体となっているので、落雷する危険は避雷針とほとんど変わらないというのです。唯一危険を避ける方法は自分より高いものに先に落雷してくれるように、低い場所で身をかがめてひたすら雷雲が走り去っていくのを待つだけだと、山岳気象の専門家から直接聞いたことがあります。
雨が降り始めたということは、積乱雲の端っこが頭の上に来ているのかもしれません。積乱雲は時速40kmで走り抜けていくというイメージで受け止めるのがいいと思っていて、雷鳴が遠くにあるところで監視し始めないといけないと思っています。だから私は頭上近くで突然雷鳴がある……かもしれないと考えつつ歩いています。急遽雨具をつけたものの、空振りだったかも知れませんが。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時35分=伊藤 幸司
14時34分に小さなピークを通過しました。1/25,000地形図には名前もなければ水準点もないのですが、ここがちょうど進行右手が南相木村から南牧村に変わる地点だからか「垣越山頂上」という標識があって「標高1,797m」とありました。
小ピークとはいえ、登りきったあとは下りです。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時39分=伊藤 幸司
また、痩せた岩尾根になりました。すごそうに見えるかもしれませんが、変化があって楽しい、という程度です。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時39分=伊藤 幸司
進行左手、つまり川上村から金峰山の方角を見ていますが、この山が濃い雲にすっぽりと包まれてしまったような気配です。雰囲気は穏やかなのですが。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時41分=伊藤 幸司
樹林帯のなかの岩っぽい道は、命にかかわるような危険を感じないところが多いのですが、そういう場面でこそきちんと歩いてほしいと思います。この写真の右側が、木のない切り立った崖だったら、とてつもなく緊張する場面です。
周囲がどうであれ、どこに足をおいて、どこに手を置いて歩くのか、緊張を強いられない場面でこそ、一歩一歩をきちんと歩く。その積み重ねが重要だと考えています。
ですから、以前はこういう場面では「手袋をつけない」ということをかなり強調してきましたが、永いお付き合いの皆さんとの間ですので最近はほとんどなにもいわずに尻尾からついていくだけ。写真キャプションで突然いわれても困ると憤慨する人も出てくるかもしれませんが、ご容赦。……正直、ここで単独行の達人(女性ながら雷鳥沢に単独で1か月キャンプして、もちろん劔岳も含めて周囲の山を登りまくったなど)のKさんのたまたまの赤い手袋が目に入ったので思い出して書いているだけですのでご理解ください。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時41分=伊藤 幸司
木を撮っているのか、空を撮っているのか、あるいは雨が降りそうで降らない感じを記憶しておこうと撮っているの、まったく記憶にございません。でもそんなあいまいな気分のまま歩いていたのは事実です。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時41分=伊藤 幸司
稜線に飛び出した小さな岩を越えつつ前進するというこの道は、気分がまだ初心者のみなさんに体験してもらうには絶好の舞台ですから、昔は大いに利用させていただきました。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時43分=伊藤 幸司
稜線の道は愚直にそのテッペンを進んでいくだけでなく、障害物を右に左に避けながら歩く「快適感」を味わわせてくれるこういう道も私たちにはおなじみです。
けっこうたくさんの人たちが目印だけの「縦走ルート」を歩きやすい「縦走路」にまで作り上げてくれたという感謝を、こういう場所で時々思い出します。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時52分=伊藤 幸司
進行右手の御座山(おぐらやま)の方向が見えました。低く垂れ込めた雲が頭上から、あちらへと広がっているようです。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時52分=伊藤 幸司
前の写真と同じく御座山のほうこうですが、頭上を覆っている雲はこんなぐあいです。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時52分=伊藤 幸司
さっき登った天狗山を振り返りました。下には川上村のレタス畑が見えていますが、山の稜線は完全に雲の中。大きな雲が私たちの行動域に完全に覆いかぶさっています。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時52分=伊藤 幸司
この段階ではあまり意味はないのですが、前の写真のレタス畑を望遠で抜き撮りしています。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時53分=伊藤 幸司
雲はどんどん動いていて、グレーの濃度もさまざま。つい1分前の写真にはなかった青空も出てきました。
本当ならこういう場所で長い休憩をとってじっくりと天気の動きを体験しておきたいところですが、私自身、けっこう逃げ腰になっていました。
散発的にでも雷鳴が聞こえたら、この雲の状態では、次の雷鳴が頭上でドン、ときてもおかしくありませんし、黒雲に覆われてどんどん暗くなってきたということは、雷鳴が稲光といっしょになってくるかもしれません。以前、何度も雷の動きを観察する長い休憩をとったりしましたが「近づいてきた」という説明の直後に「頭上でドン」というショッキングな体験もありました。稲光が見えたら、私たちは「包囲されている」という状態なんです。風向きひとつで、そうなるか、ならないか、というところを私たちは今歩いているのです。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時54分=伊藤 幸司
前方に男山の山頂が見えました。天狗山を出てから、初めて見えたんじゃないかと思いました。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時55分=伊藤 幸司
こんなふうに登っていきますが、山頂とは全く関係のない小突起です。こういう灌木の中で雷さんと遭遇したくはありません。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時55分=伊藤 幸司
前の写真の2人がいま登っているのはこんな場所です。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時56分=伊藤 幸司
雨は来ましたが、岩を完全に濡らすほどではありません。風もまだ敵対的ではありません。こういう場所では、みなさんの歩き方を見ながら、それぞれの「余裕」を感じ取っておきたいと思います。もしちょっとでも不安感のある人を見つけたら、ただ技術的な問題ではなく、自分を取り巻く大きな不安がその人を支配し始めていると(思い過ごしかもしれませんが)考えるようにしています。不安感も技術的弱点のひとつです。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時58分=伊藤 幸司
この縦走路の構造を理解できている人にはけっこう面白そうな道ですが、そういう楽しみ方のわからない人には「最大の難関」と見えるかもしれません。前方に小さく見える人のこの危うさは、その人自身にはなんの関係もないものです。これまでたどってきた道の様子からして「気づいたらあそこまで行っていた」ということになるだろうと思います。山では「スリル」と「危険」の仕分けが人によって大きく異なる場面がたくさん出てきます。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時58分=山咲 野の香
なるほど、天狗山の名にふさわしい姿。

天狗山〜男山登山
【撮影】14時59分=山咲 野の香
ギザギザは瑞牆山でしょうか。鳥も飛んでる。この後は遠雷つきの大雨となりました。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時00分=伊藤 幸司
再び天狗山を振り返りました。雲の雰囲気は7分前とあまり違っていないようです。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時04分=伊藤 幸司
登ったと思ったら下りです。岩がすこし濡れています。同じ歩き方をしていると、小さなミスが起こりやすい状況です。小さなミスが小さな怪我を誘発するというようなことが、計画を大きく狂わせる原因になったりします。
じつはこのあたりから私たちは「夕立」に襲われるのです。できれば一度休憩して、状況をいくぶん悪い方に想定して、軽く仕切り直ししたいところではあるのですが、みなさん超ベテランばかりですし、なによりも男山がすぐそこです。なんとなくもぞもぞとした感じで、私自身が「億劫」に流されていました。そして反省したりしていました。そういうグズがなにかの事故と直結するかもしれないと感じながら。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時16分=伊藤 幸司
きました。夕立です。でも樹林帯の中にいると気持ちはかなり穏やかです。雷鳴があっても、ガラス戸1枚挟んだような安心感があります。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時23分=伊藤 幸司
川上村のレタス畑に、いま、まさにこの瞬間、雨が降っているのではないでしょうか。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時23分=伊藤 幸司
なぜこの写真を撮ったのかというと、ブルーのザックカバーに大粒の水滴が落ちてきた瞬間だったからです。いよいよ私たちは夕立に捕まったのです。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時24分=伊藤 幸司
たちまち岩が濡れました。当然、歩きのモードを切り替えて、ロープを頼りにしたければ積極的に利用します。「安全第一」という価値判断への切り替えが重要です。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時37分=伊藤 幸司
このキノコ、この色が印象的でした。
もちろんなんというキノコかわかりませんが、似たようなキノコを画像検索で拾ったら面白い話に繋がりました。『フジテレビ「とくダネ」公式ブログ』の『食欲の秋…今年は“毒キノコ”も大豊作!キノコ先生の見分け方がスゴイ』(2016年10月24日)です。
【続いてはかわいらしい赤いキノコ。派手な色でいかにも毒々しい印象。しかし、井口先生に見てもらうと…
井口先生「これは『ドクベニダマシ』。見た目で『ドク』って名前が付いちゃってるんですけど毒はない。食べても問題ございません」
というわけで…「答え」食べられる
派手な色だからといっても、毒が有るか無いかに関係ないのだという。他にも毒キノコにまつわる様々なウワサは、あてにならないものばかり。
日本には全部で4000〜5000種類のキノコがあるが、そのうち食べられることが分かっているのはたった100種類ほど。見分けるのは至難の業で“キノコ名人”などと言われる人たちからもらったキノコで食中毒を起こすケースも多いという。
談笑「実はキノコの専門家を自称している人たちも食中毒になりやすいんです」
食欲の秋。くれぐれも気を付けて豊作のキノコを満喫してほしい。】

天狗山〜男山登山
【撮影】15時42分=伊藤 幸司
川上村方面の青空が広がってきました。じつは夕立は赤いキノコを見つける前に上がったのです。私のメモでは「1528、夕立終わる。16度C」となっています。ザックカバーの大粒の雨を撮ったのが15時23分でしたから、激しい雨はほんの数分、雨具をつけたのが14時15-20分でしたから、1時間ほどパラパラと雨粒をちらした後、数分間夕立になって、さっと消えたという印象でした。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時49分=伊藤 幸司
これが男山への最後の登りです。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時53分=伊藤 幸司
ようやく男山山頂。天狗山から約2時間でした。計画では1時間半でしたから、通常の8パワー/時が6パワー/時に落ちたということです。最近、北アルプスの稜線では私たちのペースを「8パワー/時」から「6パワー/時」という係数に切り替えるべきだとの考えがまとまってきて8月の「燕〜常念〜蝶」の縦走路で、その「道の違い」が明らかになりました。それについてはまたそこで書きますが、この縦走路は樹林帯の中にありながら、森林限界を越えた岩稜歩きに近い体験ができるというふうにいえるだろうと思うのです。
ここでは5分間休憩しましたが、本来なら八ヶ岳の展望を楽しみながらなにかゆっくり食べたいという思い出づくりの山頂です。でも展望がないだけでなく、雷鳴がこちらに近づいてくる気配でした。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時53分=伊藤 幸司
ここに見えているのは瑞牆山の岩峰群とその左に盛り上がっていく金峰山です。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時54分=伊藤 幸司
画面の左から1/3あたりに御座山が見えています。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時54分=伊藤 幸司
天狗山の方を振り返っています。青空がずいぶん広がっているんですね。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時54分=伊藤 幸司
こちらは八ヶ岳の方向。野辺山高原の高原野菜畑が見えていて、どうもそのあたりに雨が来ているような感じです。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時55分=伊藤 幸司
とにかく私は早く、深い樹林の奥に逃げ込んでしまいたいのです。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時56分=伊藤 幸司
下山路への分岐まで急斜面を下るのですが、そのとき虹が見えました。

天狗山〜男山登山
【撮影】15時56分=伊藤 幸司
天狗山のあたりのように、この男山の山頂一帯も、いまは雲の切れ目にあるのでしょう。

天狗山〜男山登山
【撮影】16時08分=伊藤 幸司
わたしたち全員がロープを使用する状態で山頂直下の急斜面を戻ります。

天狗山〜男山登山
【撮影】16時08分=伊藤 幸司
ロープがあると上りでそれを腕力でたぐりながら登る人が多いのですが、私はそれに反対で、ロープやクサリは「三点支持」の1支点として使うように主張し続けてきました。下りではもっと多く、ロープにぶら下がるのが楽なのですが、私はロープ片手に、できるだけストックを活用することを求めてきました。つまりこのような「裏返って、登りの逆モーション」から下の方に見える下りの歩き方の切替え点が、その人の技術レベルの表明になると考えているからです。
安全ならどういうふうに下ってもいいともいえますが、糸の会というグループ全体の安全を考えると、上手い人がスマートに通過するのをまるごと真似する前に、自分自身の安全性を確認しつつ、いろいろな人の技術をすこしずつ取り入れていただきたいと思います。
ともかくここは、完全に濡れているので安全最優先ではありました。ここから数歩下ると斜面はかなりゆるやかになるのです。

天狗山〜男山登山
【撮影】16時17分=伊藤 幸司
16時11分に「御所平」への下山路分岐まで戻って、そこから急斜面を一気に下り始めたのです。それと同時に、土砂降りの雨になりました。

天狗山〜男山登山
【撮影】16時20分=伊藤 幸司
驟雨というのでしょうか、あたりは急激に暗くなり、落ちてくる雨脚が写らないかと何枚か撮ってみたものの、オート撮影のカメラは露出もバッチリ、夕立の気分も知らんぷりしたまま撮ってくれていたのです。オリジナル画像で確認したのですが、この写真でも足元に水の流れが出始めています。あっという間に道が川になっていく、その端緒ではあるのです。2人のザックカバーやレインウェアには雨粒がはっきりと写っています。
私は雨っぽい天気のときには常に折り畳み傘を手に持って、カメラのレンズを濡らさないための撮影小道具としているのですが、このときの雨はその傘も慎重に扱わないとレンズに雨粒がかかってくるというような雨でした。その雰囲気が、オート撮影ではまったく感じられない。デジタルカメラのオート機能は撮影者の印象を生かすかたちでうまく撮ってくれると感じることが多いのですが、ここではアンダー目の写真も撮り、できれば低速シャッターでも撮っておきたかったのですけれど、雨が強いのと、みなさんの足が意外に早くて、私にその余裕がありませんでした。スマホの最新カメラだったら、そのようなときに、どんなふうに撮ってくれるのでしょうかね。

天狗山〜男山登山
【撮影】16時22分=伊藤 幸司
道はだんだんヌルヌルとしてきましたが、ダブルストックの皆さんにはあまり障害にはならないようで、先頭の人たちはどんどん離れていきます。

天狗山〜男山登山
【撮影】16時30分=伊藤 幸司
結局、雷は接近することなく、夕立も通り過ぎて、道も手の混んだジグザグ道になったりして、穏やかな下りになっていったのです。

天狗山〜男山登山
【撮影】16時46分=伊藤 幸司
分岐から30分ほど下って、ようやく先頭の「10分交代」。水分補給で一息ついたのです。

天狗山〜男山登山
【撮影】16時49分=伊藤 幸司
再び歩き始めると、すぐに林道跡に出ました。前方の人たちははすでに林道にいて、後半の私たちは、登山道の最後の部分にいます。前方の、草むした古い林道からこの登山道に入ってくる分岐には「←1.0km 男山」という標識があって、英語と韓国語が添えられていました。

天狗山〜男山登山
【撮影】16時55分=伊藤 幸司
カラマツの植林地ですかね。林道は傾斜がゆるいかわりに大きなジグザグを描いて距離が長くなります。しかしSUNTOの高度計で下降速度を見ると、1時間に600mを超えるような、すなわち登山道の登りの倍の速度で下るのが普通となり、歩く私たちにも(1時間ぐらいまでなら)楽で楽しい下りになります。

天狗山〜男山登山
【撮影】16時59分=伊藤 幸司
林道を下っていくと、なんと日がさしてきました。前方で傘をさしている人がいますが、雨傘ではなく、日傘でもなく、傘をしまうために干そうとしているようです。

天狗山〜男山登山
【撮影】17時07分=伊藤 幸司
なんと道際にモミジイチゴが出てきました。

天狗山〜男山登山
【撮影】17時08分=伊藤 幸司
これはなんでしょうか。ウツギの仲間のような気がしました。次の写真でノリウツギとわかりました。

天狗山〜男山登山
【撮影】17時08分=伊藤 幸司
白い花弁で、これはノリウツギ。確信するまでにけっこう時間がかかりましたが、それは4弁の白い花(装飾花)が主役ではなく、ここでは蕾のように見える花(白色の小さな両性花)がおおよそ円錐形の花束をつくり、それを装飾花がパラパラと飾るというのが最終的なイメージのようです。
『NHK出帆みんなの趣味の園芸』に『ノリウツギ』がありました。
【ノリウツギはアジサイの仲間ですが、円錐形の花序(花房)をもつため開花時の趣は一般のアジサイと少し異なります。開花期もアジサイより遅く、花の少ない夏にはありがたい樹種です。花弁のように白く円錐花序を彩るのはしべが退化した装飾花の萼片で、雄しべと雌しべをもつ両性花には装飾花のような大きな萼片はありません。「ピラミッドアジサイ」の名で市場に出回っているミナヅキは、ほとんどの花が装飾花となり、円錐花序全体が白色で覆われます。】

天狗山〜男山登山
【撮影】17時14分=伊藤 幸司
下山路は穏やかな風景の中を下っていきます。千曲川の河谷部に出るとその川向うにJR信濃川上駅があるのですが、すこし迂回して橋を渡って御所平という集落。駅に出るには、その迂回部を戻らないとなりません。
小淵沢方面への次の列車は18時04分。一応計画書の帰路の予定を見ましたが、いまここでなにか考えるというよりは、このままのペースで、とにかく時間計算のできるところまで行くことにしました。登山口に出るまでは、その後のことは考えない、というのが安全管理の基本だと考えています。

天狗山〜男山登山
【撮影】17時40分=伊藤 幸司
林道歩きはまだ続いています。ただ、登山口までの残りが見えてきました。実際に登山口で車道に出たのがこの10分後。……つまり、18時04分の列車に乗るのは、可能性があるとはいえ、現実的には無理でしょう。そこで計画書の予備情報を見ると、小淵沢経由で東京方面に出る最終の選択が、19時41分信濃川上駅発の小淵沢行きであり、それが小海線の次便。それだと小淵沢発20時52分の特急あずさで22時45分。新宿行き特急の最終便で、それしか選択肢がありません。
じつは川上村からは、ジャンボタクシーで小淵沢の入浴施設スパティオ小淵沢まで直行したことがあります。便数の少ない小海線ではそういう手も必要になります。帰路のそういう可能性もある場合には往路でタクシーを使っておくことも多いのです。下山が遅れるとか、列車の不便さをタクシーでカバリングするとか、困ったときの安全保障としてタクシーはリーダーの選択肢を広げてくれる可能性があるからです。
でも今回は12人の大部隊、9人までならジャンボタクシーの使用順位を相当高くするのですが、朝の名越峠までのドタバタのようなことが起きやすい人数です。じつは川上観光タクシーは路線バスも運行し、中型バスも持っていたのではないかと思うのですが、今回はけっこうやりくりのむずかしい感じがしました。
18時04分の列車の次が19時41分ですからそれまでの1時間半で入浴と食事を考えてみることにして、村営のヘルシーパークかわかみでのこの人数での入浴と食事の可能性を確かめて、それから電話でタクシーの手配。中型2台しか出せないので、1台はピストンで、ということになりました。駅への帰路は、列車に合わせて路線バスが走っているので、それで行くのがいいというのがタクシー会社の弁。12人だとやはりタクシーでは自由がきかない感じがしました。
でも、おおよそこのあたりで、入浴と食事は川上村で、あとは小淵沢で新宿行きの最終の特急に乗るという帰路の大方針が決まったのです。

天狗山〜男山登山
【撮影】18時08分=伊藤 幸司
登山口で2台のタクシーで女性陣を送り出し、ピストンで戻ってきた3台目に男性陣が乗って、こんな夕景の中を一路お風呂へ。

天狗山〜男山登山
【撮影】19時31分=伊藤 幸司
ヘルシーパークかわかみの入湯料金は300円。軽食もやっているのですが、お役所仕事っぽい感じで、入浴前に注文、ということで、ラーメンを人数分という感じで注文しました。
そしてJR信濃川上駅で乗る人と降りる人に対応した路線バスで駅へ。

天狗山〜男山登山
【撮影】19時35分=伊藤 幸司
旅の最後にいろいろなことがあったときでも、とりあえずリーダーのドタバタに対して不満などが吹き上がってこないということでは、私は本当に助かります。今回も帰宅が午前様になる人が多いのですが、みなさんとっくに諦めています。だから、信濃川上駅での列車待ちの時間もそれなりに楽しい気分……で、ということになりました。



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