箭内和子……山笑う・山眠る
福島県の山 4
大好きな山・安達太良山――1994.5



■大好きな山・安達太良山

 94年4月・本格的に山歩きをやろう・・・と決めて、社会保険センターで開講されていた登山教室に加入しました。4月から12月までの10カ月。月2回の講義と、月1回の実技登山です。
 2年間この登山教室に参加しました。講師は、福島県山岳連盟の会長をなさっていた西関先生。最初の1年目は、月1回の実技登山に参加する時間を作る事が大変でした。この教室の5月の実技登山が、安達太良山でした。
 安達太良山は、南から和尚山、安達太良本峰、矢筈森、船明神山、鉄山、箕輪山、鬼面山と繋がる連峰です。これらの山の総称が、安達太良山なのです。
 5月に登った安達太良山は、銚子ガ滝の登山口から和尚山へ登り、安達太良本峰を経由して、船明神山から母成峠へ下るコースでした。一般的な奥岳からの東面の登山道ではなく、西面の登山道です。山に登る登山道は、一つではないのです。
 東面の登山道とは、まったく違う姿を見せてくれました。私は、山の多彩な表情にびっくりしました。当たり前と言えば当たり前です。山は、平面ではなく立体なのだから、色々な面があります。それすら理解していなかったのです。
 だんだん高度を上げていく和尚山の登りは、ハイマツの中を登ります。和尚山の三角点は藪の中。登山道は、安達太良本峰へ向けての通過点のようです。本峰に着くと、遠くから見るとポツンと尖っている乳首に登ります。
 牛の背を通り船明神山の分岐へ。沼の平の噴火口跡の荒々しい姿、なだらかな山のイメージとは、全然違う山の姿に魅せられました。
 花の名前も、木の名前も、個々の山の名前も知りません。比較的体力はあるほうだったので、歩いて登るだけで、楽しくて、楽しくて、しょうがない私がいました。
 あれから、14年。山に対する知識や花や木に対する知識は、多少付きました。安達太良のあらゆる時期に登り、全ての登山道を歩き、東京の山仲間を案内したり、湯川渓谷の沢歩きをしたり、一人でちょこっと、登りに行ったり、いつ登っても、見知った景色ではありますが、大好きな安達太良山なのです。

――2008.1.25 記


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