箭内和子……山笑う・山眠る
福島県の山 10
両親と登った磐梯山――2000.10



■両親と登った磐梯山

 2000年の春、東京にいる父が、もう一度、磐梯山に登りたいなあ・・・と言い出しました。父はこの時80歳になっていました。
 父は若い頃、父の父(私の祖父)と2人で、わざわざ東京から磐梯山に登りに来たことがあるそうです。今は、運営する人がいないので荒れ放題になっている「中の湯」に泊まったそうです。畳なんてなくて、薄縁が、敷いてあったとか。
 なんとか、父と登れる方法がないか、夫と考えました。安達太良のようにゴンドラがある訳でもないし、一番楽に登れる八方台の登山道からでも、無理かしら・・・。
 どこから登ったら父を山頂に立たせられるか、悩みながら日が過ぎます。夫が山仲間から、赤埴林道を車で登ってから歩くと楽ではないか・・・と言うアイデアをいただいてきました。ここは、弘法清水にある2件の山小屋の荷揚げ用に使っている道なのです。
 早速、8月・夏休みで帰京していた次男と夫と私の3人で、荒れた林道の赤埴林道を恐々走って、沼の平〜天狗岩〜弘法清水〜山頂のコースを歩いてみました。
 この日の山頂からの展望は、裏磐梯側はガスがかかって見えませんでしたが、猪苗代湖方面はすっきりと眺められました。このコースなら、父でも何とかなりそうな感触を持って下山しました。
 10月・社会人3年目の長男が、両親を車に乗せて、郡山に来る。この日は、表磐梯の温泉付のペンションに泊まる。翌日、赤埴林道の駐車場を8時40分出発。ここから、沼の平〜弘法清水まで1時間45分かかりました。
 沼の平付近の紅葉は、想像以上に綺麗でした。天狗岩まで登ると桧原湖などの裏磐梯の景色がよく見えます。弘法清水で一休み。山頂に11時20分に着きました。
 先に登っていた長男は待ちくたびれて、寒い・寒いと震えていました。そろそろ、初冠雪の時期ですから、山頂は寒いです。長居をせずに下山。弘法清水の小屋でゆっくり休憩をして登山口に13時55分に戻りました。
 父の様子を見ていると、弘法清水から山頂への登りは、大変そうでしたが、頑張ってくれました。母は意外と元気に歩いてくれて、裏磐梯の景色を楽しそうに眺めてくれました。
 私は、親孝行が出来た気分で一杯でした。

――2008.1.25 記


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