箭内和子……山笑う・山眠る
福島県の山(近くの山) 40
GWの山(南会津・窓開山〜坪入山)――2011.4.29-30



■GWの山(南会津・窓開山〜坪入山)

日時       2011年4月29日(昭和の日)〜30日(土)
天候       29日・晴れのち曇り  30日・晴れのち小雨
メンバー     克行・和子

 深田久弥の日本百名山の踏破は、願望としては、気がついたら、全部登っていたわ・・・というのが、理想なのですけど、私には、なかなか、難しそうです。会津にも、会津百名山という、百名山があります。こらなら、全部登れるかな・・・と思って、夫と山歩きの目標の一つにしていました。夫は、昨年の9月に大幽沢・西の沢から丸山岳に登って、百名山達成しました。私は、坪入山だけが残っていました。坪入山には、今年の3月下旬に登る予定でいましたが、11日の震災で、延び延びになり、GWの前半に行くことになりました。短時間で登って来る計画で、夫にテントを担いでもらい、山中1泊の行程です。ルートは、色々ありますが、1番確実に歩けるだろうと、小豆温泉そばの保太橋の登山口から、巽沢山〜家向山分岐〜窓開山〜坪入山のピストンです。
 28日は、午後から山の準備をしました。夫のザックは、16kgくらい、私のザックは、12kgくらいです。この重さなら、何とか頑張れるでしょう。
 29日は、自宅を5時過ぎに出発。登山口にて準備をして、8時入山。初日の行動時間は、15時までとして、行ける所まで行って、テント泊の予定です。登り始めると、マンサクの花と、イワウチワの花のお出迎え。H900mくらいからは、残雪歩きになりました。順調に高度を稼ぎ、10時45分・家向山分岐に着きました。窓開山に向かう稜線でランチタイム。日が差して、気温が上がったせいか、雪が柔らかくなり、ブッシュ帯は、膝上まで潜ってしまい、難儀な歩行です。
 13時25分・窓開山山頂着。360度の展望。小沢山から稲子山の稜線が、すっきりと見える。坪入山へ向かう稜線は、何箇所か、雪庇が割れている。安全のためには、樹林帯の中を進む方が良さそうだ。樹林帯の急な下りを腰まで雪に潜りながら進む。15時・H1650m、坪入山手前の鞍部に着く。ガスってきたので、山頂のタッチは、明日にして、行動中止。テント設営の作業に入る。
 16時・テント設営終了。寒くて、寒くて、ダウンのジャケットを着て震えながらテントの中に潜り込む。お湯を沸かすためにガスに火をつけると、テントの中が一気に暖まった。雪を溶かしながら、水をつくり、夕食の準備。メニューは、卵スープと、アルファー米の味ご飯。おさけのつまみにペペロンチーニと、レタスとチャーシューのサラダ。バラバラと、雪の降る音が聞こえる。明日の心配をしても仕方がないので、19時に眠ってしまった。夜中に一度外を覗くと、満点の星空だった。
 30日は、寒くて4時半に、起きてしまった。明るくなると、すっきりと稜線を見渡せる。6時半・アイゼンとピッケルだけで、坪入山まで行ってくる。どこが山頂か分からなかったが、取りあえず、ピークまで登って来た。
 8時・テントを撤収して下山開始。会津駒、平が岳、荒沢岳、越後三山などを眺めながら、柔らかい雪の上を歩く。9時20分・窓開山山頂。曇り空になってくる。家向山分岐に向かって、急な下りを下りている時に単独の男性登山者と、スライドした。この方は、三岩岳に登ると言っていた。10時50分・家向山分岐に着いた。ポツリポツリと、雨が降ってきた。克行が家向山まで行って来る間私は、雨具を出したりして、のんびり待っていた。11時35分・巽沢山へ向かって下山。雨は、降ったり止んだりだった。
 12時40分・巽沢山着。ここまでくれば、安心だね。もう、コンパスも、合わせなくて大丈夫だね。二人の気持ちが緩んだ。この緩みを後で反省した。巽沢山から、登山口までは、かかっても、50分位のはずだった。ところが、H1000mくらいの所で、尾根を一つ間違えてしまい、下っていくと、急な藪になってしまった。方向は間違っていないので、無理して下る事も出来たかもしれないが、はっきり、分かる所まで登り返そう・・・と、思いなおして、登り返す。注意しながら登っていくと昨日、克行が着けた赤布を見つけた。やれやれ、やっと、戻れるわ・・・。そこから、丁寧に下って行くと、次の赤布を発見。14時45分・無事登山口に到着。1時間以上、道迷いをしていたようだ。時間があったから、良かったが、夕暮れが迫っていたら、冷静に対処できたかどうか、どこか、注意力が散漫になっていた。私達の力は、この程度なんだな・・・と、がっかりした。
 南郷の「きらら」で、汗を流し、食事をして、帰途に着く。
 私の最後の会津百名山「坪入山」あっけなく、終わってしまった。二人だけの静かな山だった。南会津のこの山域は、残雪時、天気の良い時に歩くと、本当に素晴らしい。青空と、ぶなの林と、白い雪。限りなく続く稜線。
この山域を歩いていると、山をさまよう不安と、生きている喜びが、ごちゃまぜになってしまう。そんな不思議な気持ちにさせられる山域なのです。


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