リストランテ大澤の庭・その魅力――2007.11.6のレポート
イタリアレストラン・リストランテ大澤(武蔵小金井)
042-382-8811 営業11:30-15:00/17:30-22:00




●2007.2.19


今まで、この庭は慈しみながら沢山の植物が植え込まれてきました。
この庭に関わりだしてからもう2年でしょうか、ことにこの一年程は下草の維持管理と、庭周辺の清掃をしてきました。この庭を慈しむ大澤大奥様がお茶を運んでくださるたびの花談義、造園時の苦労話をうかがい休憩時間はあっという間に過ぎておりました。
季節を追いかけて次々と咲く花をウキウキしながら写真に撮りました。
「写真に納めましたよ」
「ありがとう、嬉しいわ」と。
強風の後には時には来客までに清掃をしなければと、大奥様が既にほうきを持ち、玄関の砂利に落ちた落ち葉や木の実を取っておられました。その清掃は心を磨く行為のように思えるほどにていねいで、神殿を掃き清めるといった表現が、ぴたりとするものでした。
融通が利かない手抜きの出来ない質の私の掃除が、以来あれがお手本だと、より丁寧になりました。
大量に植物を植え込まれてきたそのおかげで庭のどの部分にどの植物が定着するのか、この庭にはテストの植え込みがされています。
樹齢200年の梅の木を筆頭に風格のある樹木が沢山入っています。まだぼんやりとかすんでいるこの庭の魅力を浮き立たせるための下草管理の勉強をする実践の場だと、この庭に関わる意味をそう位置づけています。駐車場を含めて300坪の下草の維持管理を私ひとりにまかせて下さっている「鈴木庭苑」の鈴木さんにも感謝です。
「記憶に残る庭」はすぐ手の届くところにあると思います。
-----------------2007年11月6日 伊藤知恵



計算された作庭

■立ち止まって鑑賞したい庭です
家屋を含めて300坪とは思えないボリュームのある庭です。
一年という時間をかけて造られた庭は築山と池を隣り合わせたことで起伏をつくり、樹木は作庭の時に数百本とあった豊富な樹木から選んだだけの効果が現れています。
歩くにつれて木々の重なり具合が変わり、異なる面白さが味わえます。そこを意識して見なければもったいない。


●2007.2.19
●レストランのテーブルから見える庭。
●花はすべて梅の木です。



●2007.2.19
●レストランの玄関へ行く路地を振り返ると、ケヤキの下に本紅梅が僅かな花を咲かせています。
●特に私はこの本紅梅の紅に心惹かれるのです。
●屋根は蔵の屋根、石の門柱も見えます。
●この路地の突き当たりの塀沿いには八重咲きのドクダミが植わっています。



●2007.2.19
●路地を抜けて左に折れると開ける庭。



■垣根でステージを変える
茶室にでも向かって歩いている感覚になる通路。
これは庭師の鈴木さんが持ち込んだ低木が植え込まれて、その植栽センスのお陰です。


●2007.9.18
●週に1回の竹箒での落ち葉はきのせいでしょうか、苔が美しくなりました。



●2007.6.14
●蔵の前から梅花型の飛び石を下ると、左はメインの庭へつながり、右は玄関へ通じる路地となります。



●2007.2.3
●もみじの裸の枝に重なる紅梅



■格調とのどかさが同居
日本庭園でイタリアンという設定にも通じていて面白い。


●2007.2.22
●門前の左側に立つと、もみじの大木が枝を広げて旧家の庭先の伸びやかさが残っています。



●2007.2.22
●門の右側に立つと格調の高さが感じられます。



愛されながらつくられた庭

■思わぬところに花を見つける楽しさがあります
芝生の中からイヌサフランが咲いたり、前庭の植え込みの中から思いがけず背の高いユリが咲いたりする面白さがあります。
これは植えた方の柔軟でかわいらしい性格の現れのようにも思えてきます。


●2007.8.4
●築山と池を隔てる石組みの上にユリが咲き出した。



●2007.8.4
●路地から玄関への途中のユリ。



●2007.8.18
●レストランのテーブル近くに咲くユリ。



■そして、ゆっくりと歩きたくなるのです。
ゆっくり歩くと宝物探しに通じる楽しさがあります。
植物好きの人たちの特権かも。


●2007.5.23
●庭の石陰に咲くアヤメ。



●2007.4.29
●芝の中に咲くタツナミソウ。



●2007.10.12
●イヌサフランが咲く後には赤白のミズヒキソウとムラサキシキブの実が実る。



■あちこちに小さな発見があります
ゆっくり歩くと珍しい山野草も、ありふれた山野草も沢山見つかります。みな住処をみつけています。
句を詠む方、今、はやりの絵手紙を描く方たちにとっても素材がいっぱいです。


●2007.4.5
●ウラシマソウが2本顔を出す。



●2007.5.23
●エンレイソウ



●2007.6.21
●モジズリ(ネジバナ)も大切な一員。



多様な表情の樹木

■古木独特の美しさ


●2007.3.20
●李が可憐な花をいっぱいに咲かせるこの枯れた味わいの美。



●2007.4.10
●苔むした梅にも力強さと優しさがあります。
●時間の経過はこの庭の宝物です。



■陰と陽


●2007.6.21
●もみじが覆う池の端。



●2007.2.19
●かやの樹に覆われて咲くヤブツバキのあたりには、鎮守の森にあるような小さな暗がりがあります。



■里山の景色
●樹木の根方にユズやハナズオウなどが植えられていて、里山の景色があります。


●2007.4.5
●芽吹きの頃。



●2007.4.10
●ハナズオウが咲く。



■2月の梅の庭
梅の花の色が重なり合い、枝先の新芽がわずかに色を含み霞がかかったように庭全体がかすんで見える。
けやきの新芽はまだ堅そうで枝先は空にとけ込んでいる。なんといってもこの庭は梅の庭だった。


●2007.2.19
●紅梅の濃淡。



●2007.2.19
●白梅は樹齢250年とも200年とも……。


■来訪者
春も秋も木の実は落ちる来訪者もある。
ユズ、カキ、ウメ、ブルーベリーなどの果実も成る。
梅は白加賀で最高の実が採れる。


●2007.4.11



●2007.4.11



●2007.4.5



庭のアクセント

■花と葉
庭のポイントとなる草花、四季折々に咲く。


●2007.2.19
●クリスマスローズ



●2007.6.21
●斑入りのミツバとトクサ。



●2007.7.6
●オイランソウ



●2007.5.3
●ニッコウキスゲ



■アヤメ
4月から5月はジャーマンアイリスやアヤメ、シャガなどが咲く。


●2007.5.23



●2007.5.14



●2007.4.29



●2007.5.23



●2007.5.14



●2007.5.14



●2007.5.23



■アジサイ
ガクアジサイやアジサイは4月から6月の花。


●2007.5.23



●2007.6.11



●2007.6.11



●2007.6.11



●2007.6.11



●2007.6.14



■ツツジ
4月から5月はツツジが咲き出す。
沢山の種類のツツジの花が咲き出す。
圧倒的な緑の中で咲く、この庭には赤い花が多い。


●2007.3.20



●2007.5.14



庭のアクセント

■白い花
白い花はどこの場所にでも似合う。
周辺の植物を違和感なくつないで清浄感を生む。


●2007.4.29
●白いミヤコワスレ



●2007.3.20
●ツツジ



●2007.4.29
●ウツギ



●2007.4.29
●シャクナゲ



●2007.6.21
●クチナシ



■黄色い花
黄色の花はその場を明るくします。
レンギョウ、ビヨウヤナギ、ヤマブキなど3月から6月まで咲いています。


●2007.4.5
●ヤマブキ



●2007.5.3
●八重のヤマブキ



●2007.6.14
●ビヨウヤナギ



●2007.4.10



●2007.3.27
●レンギョウ



■梅の花
梅の花は香りも高い。白梅から本紅梅まで、いろいろな色が競い合っています。
これらの色が重なり合うのも見事です。


●2007.2.19



●2007.2.19



●2007.2.19



■隠れた主役・山野草
ウラシマソウだけでも見たい人はいる。
ウラシマソウの細いひげに価値があるらしい。
イカリソウ、ミスミソウ。


●2007.4.10
●イカリソウ



●2007.4.10



●2007.3.23
●ミスミソウ(雪割草)



●2007.4.11
●ウラシマシソウ



たとえば、これから

■ヤマユリの球根を10球植える
花の愛好家にとっては見てみたい光景です。
ヤマユリは1本でもこのように迫力があります。
あと10本位この築山の斜面に固めて植えてみたい。


●2007.7.6



●2007.7.6



●2007.4.10



■日本水仙の球根をたくさん植える
毎年水仙が咲く所は水仙が地中に住める環境が整っているということです安心をして周りに寒咲き日本水仙が植えられます。
お正月用に切り花として使われるものですが、12月の寒さの中で咲き始める春の先駆け。12月中頃から3月末頃まで咲く極早稲種類です。
気品のある小さな凛とした花にも似た芳香を庭に漂わせてみたい。


●2007.4.5



●2007.3.23



●2007.3.20



●2007.3.23



●2007.3.23



■ちょっと変わった雰囲気をつくる――古来の庭造りの手法から逸脱しないグラウンドカバー
雑草やいやな銭苔が生えてくる所です。
雑草が生えにくくなるメンテナンスの省力化も兼ねています。
庭師の鈴木さんが芝庭の南西角の芝生が根づかない所に植えた苔がクラマゴケです。
庭の雑草対策とメンテナンスフリーに近づけるための方法です。


●2007.4.10



●2007.10.15



●2007.4.10



■既存している植物を群生させる
スズラン、オダマキ、フタリシズカ、タツナミソウなどなどそここに沢山の山野草が顔を出しています。大切に育てて増やしています。


●2007.4.29



●2007.4.29



●2007.4.29



●2007.4.29



■既存の植物を生かして周りを整える方法
看板下では樹木と下草の竜のひげとユリを生かしてその周りをきれいに整えました。
この簡単な手法は庭の何か所かで使いたい方法です。


●2007.5.14



●2007.7.18



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