環境博覧会すぎなみ2008――2008.10.17-19





●新しいプランターの会・展示パネル



屋敷林とアオバズク

 

2003年私はエコをふまえた環境共生住宅の勉強*をしていました。その卒業制作として作ったのがここに並べた3枚のボードです。
2002年南荻窪に引っ越してきました。青葉の頃夕方になると高原にいるようなさわやかさを感じました。それがアオバズクのホー・ホーという声のせいだったのです。学校に提出するテーマを「屋敷林に毎年渡ってくるアオバズクの住む環境を守りたい」と決めました。
早速、屋敷林の持ち主の美作おじいさまをお訪ねしました。勉強の素材にさせていただきたいという願いを快諾してくださり、数回にわたって昔のお話を伺いました。美作さまはお名前に負けない美しい方でいらっしゃいました、そして植物を愛し小鳥を愛す方でした。
私のまとめたこのボードが環境共生住宅の提案としてもうひとつ納得出来なかった私は、美作おじいさまにお見せしないでしばらくの時が過ぎました。

不義理のままでいることが咎めでいた私は、桃でジャムを作ってお尋ねしました。しかしその日は美作さまの納骨の日でした。早くお尋ねしていれば良かったと猛反省を致しました。今回残されたご家族のあたたかな承諾をいただき、ここに当時まとめたままを並べ、今の屋敷林の様子をあわせて展示させていただきます。
宇田川美作様への感謝とお詫びの気持ちをこめて、また樹木を愛し小鳥を愛されたその思いが受け継がれている様子をここに展示させていただきます。
ひとつがいのアオバズクが毎年子育てをして棲んでいた大ケヤキも昼間に遊んでいた樹木も残されたのですが、最近聞こえたと言う方がおられるそうですが、わたくしにはアオバズクの声は聞こえないままです。あの年に東南アジアから飛来してきたアオバズクは、棲み家が見つかったのでしょうか。
*青山環境デザイン研究所・エコ住宅設計デザイン科(2002年度 芝静代先生に師事。現・緑の家学校)

   


砂利敷きコンクリートを緑にかえて




■土地っ子を生かす

   



 

雑草が生えにくくなる植栽をするために、どの庭に行ってもはじめにその場所がどのような用途で使われるのかを伺います。用途にあった、つまり通行する所なのか眺めるためなのかなどなどです。そしてそこに生えている植物の中からそこに住み続けてもらうものを決めて、その他の植物を抜き取るのです。自生のものはその土地にあっているのですから、何か他の植物を植えるよりも安心なのです。その場合あまり雑草とか園芸品種とかにはこだわらないようにしています。


■用途の見極めを

 

左の写真は、わたくしが毎週一回下草の手入れをしている庭の一角です。おおよその場合砂利を敷く事に反対をしています。その多くは雑草取りが苦手だ、という理由だからです。雑草が生えやすいのは太陽が当たる所です。砂利はコンクリートと同様に灼熱の太陽熱を吸収、保持するからです。この場所は南側に蔵があり、樹木が幾重にも茂っていて、それらが冷気をおろしてくれる場所ですから、ここは砂利を敷くのに適しています。砂利は隙間から雨水を地面に浸透してゆきます。右の写真は数日前に施行したものです。手前から前の物置まで始終行き来するそうで、白茶の部分は浸透性のあるもので、地面の一部を被ったものです。


■緑で冷やす

   

この3枚の写真は真夏の太陽に熱せられる所です。そういう所に便利に提案できるのがツル植物です。蔓植物は植える場所が小さなスペースでもかなり緑が広がり、緑で被いたい所に誘引すれば自由に住処を指定できます。上の写真はディコンドラのシルバーです。赤いプランターの写真は美容院の前ですから、変形のプランターを提案しました。緑のカーテンは今年天沼弁天池公園でつくったもので、ヘチマが主体です。


■やはり優れものだった。草取りが楽になる庭作り
数年前からダイコンドラ(ディコンド)を使って雑草が生えにくくなる庭作りを目標にいろいろな場所で植えてきました。このコーナーは皆下地としてダイコンドラを植えてあります。

 

左上の写真は庭の一角にブルーベリー畑を作ってありました。雑草で困るという事で、ここでは雑草をみな抜いてダイコンドラの種を蒔きました。この写真の右側の親子が座っている前の緑のようになります。ブルーベリー畑ではここに毎年顔を出す、背の低い球根の花を点在させるように提案してゆきたいと思っています。

 

二段目の左がオニユリが自然に咲いたので、そのムカゴを意図的にバラマキました。その翌年の今年には右側のようなボリュームになりました。レストランの看板下ですから、目立たせたいのです。



ダイコンドラの優れ者の理由
1、 背が低い
2、 常緑2、常緑
3、 比較的踏まれ強い
4、 強いけれども他の植物を淘汰しない
5、 日陰にも日向にも強い
6、 良く根が張るがあまり深く張らない、
7、 あまり個性がないので邪魔にならない
8、 花が目立たない、絵画の下地と同様に考えられる
9、 足にからんでも切れやすい
などです。


植物と太陽。植物と水の関係




■植物と太陽の関係



2006年9月16日 サツマイモのツルの長さを表した図 



2006年9月16日 サツマイモのツルの長さを計測した日
写真は左から、東から見る、西から見る

 
写真は左から、南から見る、北から見る

●発見? 副産物がありました。
知人が「朝日は良質な光なので植物を東側に置くとよろしいと聞いていたけれども、同じ植物を東側と西側に置いていたら、西側の植物の方の成長が良よかった。」と話されました、とっさに2006年に行った屋上でのサツマイモの実験時によぎった違和感を思い出しました。帰宅するなりツルの長さを計測した図を見直してみると、東側よりも西側のツルの長さが勝っている事が歴然としておりました。太陽の光の質よりも長時間太陽の光を浴びる方が成長するという実証データの一つとなりそうです。
本来の実験は屋上緑化の軽量化でした。
プランターを点在させる事で屋上にかかる耐荷重を軽減するにあたって、美味しいお芋が収穫出来るサツマイモを植えた場合には、プランターの設置間隔をどのぐらい空けられるのかを知るのが目的でした。
サツマイモのツルの長さを図にしたものは今回のように90℃回転させて観るべき事だったようです。


■植物と水の関係
●植物は何時に水を吸い上げているのか
今年、7階建ての杉並区役所の南側の壁面に出現したヘチマによる緑のカーテンを育てた、あのマップ式プランターの開発者の森さんの屋上での話です。


写真の右側は水が循環している水路のある一つの細長いプランターです。マップ式プランターは浮きの原理を利用して植物が水を吸い上げて減った分だけが、その都度補給されるようになっています。

 



 

その流れの写真です。プランターに補給されているその水が常時見えるようにしてあります。小さな棚田のような段段を流れ落ちてゆくという趣向で刻々と、植物が吸い上げたり、水面から蒸発した水量補給状況が見えるようになっています。

毎日観察していて分かった事は、植物は夏場には10時頃から給水を初めて1時2時3時がピークで5時頃には給水を止めるのだそうです。冬場には10時頃から給水を初めて4時には給水が止まるのだそうです。
東京農業大学の成人学校の生徒だった時に昨年他界された柳宗民先生が「ナーセリーの仕事は真夏には朝から一日中水やりをしなければ間に合わない、かんかん照りの真昼に水をやっていて枯れた事がないのです。」と話されていた事が思い出されます。


●水やりの注意



雨が降ったから水やり不要とは限らない場合があります。
ある講習会で種まきをしました。芽が出たてのかよわい芽は少しの乾燥ででも干からびてしまいます。雨が降った翌日です。
耕して種をまいた所だけが乾いています。これはふかふかに耕したばかりで、地面(地中)から水分が毛細管現象で上がって来にくくなっているからです。



樹木や草花の葉陰は沢山の雨が降らないと乾いたままです。



岩にせっかく生えてきたシダです、猛暑続きには水をやりました。


●足立区立N小学校の緑のカーテン



緑化面積 642F、水102トン使用
栽培期間 162日、一日平均使用水量630リットル(人が一日で使用する水量の4.2人分相当)
最多使用水量:8月の最も暑かった日に1,685リットル
栽培面積 30F、緑化面積は 642F
緑のカーテンのある教室とない教室の授業中の最大体感温度差は6℃を記録
キュウリ 129株から2,000本収穫


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