リストランテ大澤の庭<山野草の丘>
春に咲く可憐な多年草を64ポット植え込みました。

────2011.3.23(「新しいプランターの会」伊藤知恵)

小金井市の新小金井街道沿いにあるイタリアンレストランのリストランテ大澤の庭は私のフィールドワークの場所の一つです。2003年に鈴木庭苑の鈴木貴博さんに誘われて草取りを始めたのがはじまりで、2009年頃から庭通いが増えて、今では毎週2日間通っています。
リストランテ大澤の庭は2010年になってから数回に分けて改造されました。3月には車椅子の通れるスロープを造り、4月には坪庭の改造を行い、11月には食堂棟前に落葉樹と山野草の丘がつくられました。鈴木庭苑の庭師、鈴木貴博さんの頑張りで山野草の生息しやすい環境も整いました。それにともなって春に咲く多年草の山野草を2011年2月14日〜16日にかけて沢山植え込みました。山野草の丘では四季それぞれの景色が楽しめる丘にしようという計画です。



植え込んだ株の中でいち早く咲いたセツブンソウ(3月2日撮影)。
セツブンソウ(節分草)キンポウゲ科・セツブンソウ属。本州の関東地方以西に分布する高さ10cmほどの小さな多年草。早春に芽を出し節分の頃に花を咲かせることからついた和名。可憐な花は人気が高く、現在は、乱獲や自生地の環境破壊によって希少植物になっている。準絶滅危惧(環境省レッドリスト)



二番目に咲いたイチゲ(一華)(3月11日撮影)。
キクザキのイチゲです。キンポウゲ科・イチリンソウ属




写真中央より少し右手の株立ちの紅葉は新たに鈴木さんが植えられました。真夏の直射から草花が守られます。このような心使いが山野草の生息できる環境となります。



少し引いて見た植栽場所。仮置きをして植栽位置を眺めて。(2月14日撮影)


植栽した植物


【1】イチゲ(一華)40ポット。
植栽した7種類の中で二番目に咲いたイチゲ(菊咲き)。夕方になると花は萎み朝にまた開花しています。(3月16日撮影)
キンポウゲ科 イチリンソウ属・花期3〜4月・15センチ〜20センチ



この写真のように群生してくれることでしょう。



【2】ニリンソウ(二輪草)10ポット。
キンポウゲ科 イチリンソウ属・花期3-6月・15センチ〜0センチ・白い萼片を持つ花をつける。多くは1本の茎から特徴的に2輪ずつ花茎が伸び、和名の由来となっている。根茎で増えるため、群落を作ることが多い。
日本では北海道、本州、四国、九州に分布し、主に湿潤な山地の林床や周辺部に生育する。根茎は「地烏(ジウ)」と呼ばれ、漢方薬として用いられる。また、若葉は山菜として食用とされるが、有毒植物であるトリカブトの若葉に似ていることから注意が必要。



【3】オオバナノエンレイソウ(大花延齢草)3ポット。
ユリ科エンレイソウ属・花期4〜6月・30センチ・原産地;日本、東北地方から北海道に自生、自生地では雑木林の中に大きな群落が見られる。花弁は丸みを帯び、 先端もあまり尖らない。
エンレイソウの仲間はすべて開花までに10〜15年を要する。大きな葉がドレスのようで「森の貴婦人」とも言われているそう。



【4】アカバナヒマラヤユキノシタ(赤花ヒマラヤ雪の下)2株。
ユキノシタ科ベルゲニア属・花期2月〜4月・原産地はヒマラヤ地方やアジア東部、北部の山岳地。日本には明治初期に園芸用として渡来。日向で良い(3月11日撮影)。



アカバナヒマラヤユキノシタの花(4月15日撮影)。



【5】シロバナヒマラヤユキノシタ(白花ヒマラヤ雪の下)2株。
ユキノシタ科ベルゲニア属・花期2月〜4月。日向で良い。
今回植え込んだ株の中で三番目に花の色が覗いたのがシロバナヒマラヤユキノシタでした(3月16日撮影)。



【6】セツブンソウ(節分草)4ポット植栽(3月2日撮影)



セツブンソウ(節分草)(3月2日撮影)



【7】エゾエンゴサク(蝦夷延胡索)3ポット植栽。
ケマンソウ科キケマン属・10センチ〜20センチ・花期4〜5月・北海道から東北地方の日本海側に分布し、山地の湿った森林内、林縁部に生える。
この写真のような空色の花が咲いてくれるようにと期待しています。
同属のキケマンやムラサキケマンなどと違い、毒性が無く風味が良いので食用に供される。花を含む地上部は普通の野菜のように加熱調理して食べる。塊根はアイヌ語で「トマ」と呼ばれ、保存食として利用されてきた。有毒のキケマンは草をちぎると不快臭がするので判別は容易である。
観賞用としても良いが、漢方薬にも使用される。地下にある塊茎を乾燥したのが漢方薬の「延胡索」で、この中国名がそのまま使われている。



植え込み手順をまとめてみました


仮置きして落ち着き具合を見ています。芝生に置いてある袋は腐葉土です。(2月14日撮影)



新たに植えた株立ちの紅葉などがつくる葉陰を想像しながら仮置きをしています。(2月14日撮影)



これからのメンテナンスが行いやすい足場のことも考慮しなければなりません。(2月14日撮影)



お客様の座る食堂棟からの眺めも考慮します。(2月14日撮影)



ポット苗の置かれた位置が判るように、標を残して、順次植え込んでゆきました。標は中央の紅葉の太い幹を支点にしてできるだけ正確な位置を残しました。(2月15日撮影)



植え込んだ数量が多いうえに、ほとんどが地表に芽が出ていないポット苗ですから、どの苗を植えたのかが判るように色分けもしました。(2月15日撮影)



植えたポット苗の写真です。全く顔を覗かしていない苗もありました。(2月16日撮影)



赤ちゃん苗ですから、これからも続く寒さや降るであろう雪の対策としてビニール袋に大切に保管しておいた落ち葉を苗の上にかぶせ、落ち葉の布団を掛けてやりました。落ち葉が少なかったので周囲は落ち葉の代用として腐葉土を使いました。(2月16日撮影)



植え込んだときの用土の様子です。雪が降ったために土が湿っていますが、 ふるい通しをした腐葉土を混ぜ込みましたので、支障を感ぜずに植栽できました。用土には僅かな油かすも入れました。(2月16日撮影)



落ち葉の中から顔を出したイチゲです。(3月2日撮影)



3cm弱の小ささですが、満開の菊咲きのイチゲが2輪、眼に飛び込んできました。(3月16日撮影)



山野草の丘の周辺では梅の花が咲き、ほのかな香りが漂いだしていました。(3月2日撮影)



門を入ってすぐに建つ蔵の前の梅の木です。白梅は白加賀で見事な実を成らせる樹です。(3月2日撮影)



山野草の丘にはオーニソガラム・ウンベラタムが顔を出してきました。この生命力をご覧下さい。山野草をデリケートに植え込んでいる最中ですので、この勢いが怖くて、ハナニラと共に写真のように掘り出しています。(2月23日撮影)
オーニソガラム:ユリ科/オーニソガラム属
原産地:ヨーロッパ、西アジア、アフリカ「ベツレヘムの星」と呼ばれ、キリスト誕生の時に光輝き 東方の博士らにその場所を知らせた後 辺りの草原に流れ星のように降り注ぎ、そのまま花となった言われる伝説の草花なのですが。



暖かな日差しの中にあるのを見てホッとした思いから1枚パチリ。(2月23日撮影)


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