★0722「初めてのレンゲショウマ」
▲杓子山 1998










★0722「初めてのレンゲショウマ」杓子山=1998
 朝日カルチャーセンター千葉での登山講座がすでに2年、40回目のことですから不思議なのですが、私の記憶ではこれがレンゲショウマとの初めての出会いでした。
 忍野八海の近くから立ノ塚峠に出て、そこから鹿留山(ししどめやま 1,632m)に登り、いよいよ富士山と向かい合う杓子山(1,598m)へと向かうとき、「わっ! レンゲショウマよ!」という黄色い声が全員の足を止めたのです。Sさんがすごい興奮状態で「写真を撮ってください!」というので撮ったのがここにある写真なのですが、それは、私の30年の登山コーチとして唯一の汚点としていまも忘れられない「事件」でした。
 というのは、登山道から斜面を何歩か下って撮った写真なのです。約2,000回の登山講座のなかで、「登山道から一歩もはずれずに」という大原則を破った(たぶん)唯一の写真なのです。
 私はいちおう写真家を目指した人間ですから、いろいろなカメラマンを見てきました。被写体にどう向き合うかという点で、じつに多彩な人種が競い合う世界だと思います。しかしそれでも、それぞれがそれぞれの「一線」を守って仕事をしている、と感じてきました。大学の写真部の同期は朝日、毎日、日経のカメラマンになっていてオリンピックで競合したりしていましたが、後に私が編集者としていっしょの仕事をしたりすると、カメラマンと写真家との境界にある「越えない一線」というのがそれぞれの生き方を支配していると感じるようになりました。私は超入門編の「登山講座」を続けられるだけやってみたいと考えていたので、写真は「登山道からはずれずに」、つまり「一般登山道」で登山者が楽しむ範囲だけで楽しんでみたいと考えていたのです。レンゲショウマの写真で登山道を外れるという選択などはありえないという意気込みだったのに。
 ……ちなみにそのSさんはいまこれを書いている2026年までに何度も「リタイアの危機」を迎えながらも「現役」として参加されています。その30年の「起点」のひとつとして、Sさんには、この写真の果たした役割があったのかな、とも思いますが。
▲写真78点