【撮影】08時45分=秋田 守=0845
高尾駅で1分の接続で甲府行き各駅停車に乗り換えた。いつもなら楽勝で着席できるが、さすがに連休、つり革にぶらさがるしかなかった。ふと、窓の外を見れば、若井さんが1番線ホームを歩いている。この列車に乗り換えるのを諦めたんだろうな。お先に行きます、と心の内で呟き、発車する列車の揺れに身を任せた。大月駅に到着後、いったん改札の外に出た。今日は休日お出かけパスを買ってきたので、富士急へはスイカで新たに入場した。
【撮影】08時58分=秋田 守=0858
神社みたいな富士急大月駅にスイカをタッチして入場。待合室で会のメンバーおふたりと合流。やがて折り返しで9時15分発になる列車が入線。派手なペイントがされた車両だった。何が描かれているのか分からないと、noteというサイトで書いたら、教えてくれる人がいた。BanG Dream! (バンドリ)という音楽バンドのアニメやゲームのキャラクターです、とのこと。床は木の床。面白いねえ、富士急は。後から来た若井さんや他の皆さんも無事乗車。
【撮影】09時54分=秋田 守=0954
三つ峠駅で下車。トイレを済ませて、スイカタッチで外へ出ると、青空が眩しい。駅舎の屋根の上に三ツ峠山の山頂が見える。実は、山歩きを始めて間もない、今から17年ほど前の秋に、ここ三つ峠駅から、いこいの森を経て三ツ峠山に登っていた。山荘に泊まって、翌朝富士山からのご来光も見た。が、駅から山を見上げてもその時の記憶は蘇ってこなかった。ボケたもんだ。帰宅後、自分で書いた記録を見てようやく思い出した。情けない。
【撮影】09時55分=秋田 守=0955
駅舎の脇になにやらきてれつな塔が立っていて、テッペンにこんな天使の像が乗っかっていたけど、何のつもりやろか、これは。冷静に考えれば、間違いなくジョークでしかない。このあたりが登場する「ヤマノススメ」というアニメがあったらしく、その聖地巡りをするマニアもいるようだ。この天使像もそのアニメに登場したらしく、皆さん、写真を撮ってはいるが、これが何なのかは誰も分からないようだ。不思議だなあ、誰か教えて下さい。
【撮影】09時55分=秋田 守=095551
三つ峠駅は昔ながらの小さなかわいい建物。駅は無人だったが、かつては駅員もいたらしい。というか、すでに50年前に業務委託化されていたそうで、社員が切符をきっていたのは、その前ということになる。7年前からスイカ対応がされたようである。富士急行線が走っているのだが、富士急が鉄道事業分割を行ったため、運営会社は今年の4月から、富士急子会社である富士山麓鉄道となった。と言っても、乗客にはあまり関係なさそうだけどね。
【撮影】09時57分=秋田 守=0957
三つ峠駅前の広場を端っこまで行くと、周辺の案内板が立っていた。で、そこから見上げれば、民家の屋根の上に富士山がアタマだけ出していた。来るまでの列車の中からも、時々、思った以上に深く白い雪を被った富士山が見えて、気持ちを盛り上げてくれていたのだが、さすがにこれだけ近くに見えると、よっしゃあ、という気分になる。ここ数日来、けっこう気温が低い日があったから、一度溶け始めた雪が、また積もり直したに違いない。
【撮影】10時09分=秋田 守=1009
先へ進むと、住宅街を抜けて、桂川に沿って設けられた桂川公園に出た。広々してなかなか気持ちの良い公園だ。その脇をクマガイソウ群生地に向かって歩いて行く。すると、ピンクの桜の花が目に飛び込んできた。ぼってりしたヤエザクラ。標高600mと高いから、ずいぶん遅くまで咲いてるのかな。だって、今サクラが咲いているのは北海道あたりだからね。でも、驚くのはまだ早かった。その先には、もっと素晴らしい景色が待っていたのだ。
【撮影】10時11分=秋田 守=101107
サクラが咲いているのに驚いていたら、その向こうに、富士山の真っ白な山頂が現れたではないですか。オーマイガッド! こりゃ外人さん、大喜びの眺めではないですか。サクラと富士山、ニッポンを象徴する最強コンビですよ。いやいや、やってくれますねえ、西桂町。それを見越して、サクラを植える場所も決めたね、きっと。糸の会メンバー全員、思わず、カメラやスマホを構えて、パチリパチリ。こりゃ獲るなと言っても無理ですなあ。
【撮影】10時13分=秋田 守=1013
桂川公園、下を流れる川の水は冷たそう。魚はいるのかなあと思っていると、釣り人がいた。しかも大きな魚を手に持っている。そうか、釣った魚をリリースしようとしてるんだな。ヤマメではなさそうだ。ニジマスかな。この川で釣りをするためには、遊漁券が必要。アユとそれ以外の魚の2種類あるようで、マス・ヤマメはすでに3月に解禁されていて、アユの解禁は6月からみたい。ぼくは残念ながら釣りには縁がなく、もっぱら食べるだけだが。
【撮影】10時15分=秋田 守=1015
桂川公園の脇を歩いていると、親子がいて、子供は捕虫網を振っていた。モンシロチョウを狙ってるそうで、都会の子供には珍しいらしい。がんばれよ。どうもお父さんは頼りにならないみたいだぞ。その先に、一面のタンポポ。大半は綿毛になっている。半月ほど前に我が家に孫が遊びに来たが、その時に道ばたに咲いてる綿毛のタンポポを摘んでは、振り回してフワフワ綿毛を撒き散らして遊んでいた。こんなの見たら興奮するだろうなあ。
【撮影】10時40分=秋田 守=104021
桂川を渡り、町営グランドの脇を回り込み、そこから山道を少し登ると、フェンスに囲われたクマガイソウ群生地。テントに人がいて、代表者の名前を記入したり、募金箱の受付などをしていた。少額ながら寄進させてもらった。先日訪れた栃木県のイワウチワ群生地でははっきり400円と入山料を提示していたが、ここもそうした方がいいのではないかしら。中に入ると、おおお、一面のクマガイソウ。サックを置いて、じっくりカメラを構えた。
【撮影】10時40分=秋田 守=104023
クマガイソウ群生地には、クマガイソウ以外の花もあれこれ咲いていた。イカリソウもそのひとつ。けっこうたくさん咲いていた。よく探せば、ひょっとしたらシロバナもあったのかもしれないが、なにせ、クマガイソウに目を惹かれっぱなしなので、正直、他の花にまではそれほど集中力が発揮できず。ここで30分もとってもらっている、と思っていたが、案の定、瞬く間に時間が過ぎていき、もう少し粘りたかったなあ、と思う羽目に至った。
【撮影】10時42分=秋田 守=1042
クマガイソウの名前の由来は、群生地にも説明書きが掲示されていたので、わざわざ記すほどのこともないと思うが、一応、書き留めておきたい。鎌倉武士の熊谷直実が使っていた母衣(ほろ)に、その形が似ているために名付けられたという。しかし、これってよく考えたら変な話で、母衣を使っていたのは他にも大勢いただろうに、何故、クマガイの名がわざわざ付いたのか。そんなに特徴的な形だったのか。よく分からん。横顔もいいなあ。
【撮影】10時47分=秋田 守=1047
この群生地は、今はなき池田正純さんという方が昭和45年から、クマガイソウを後世に伝えたいと栽培を始められたという。最盛期には3万株が咲き誇ったそうだ。群生地を出たところでお会いした女性が、実は池田さんの娘さんで、ご両親亡き後、群生地を守っていらっしゃる。3万株あったが、昔、盗掘にやられて激減したという。たぶんフェンスなどはその後設けたのではないか。なんとか5000株まで戻したそうで、さらなる復活を祈りたい。
【撮影】10時50分=秋田 守=1050
逆光を受ける姿は神々しい。ボランティアガイドの方がいろいろ案内をされていたようだが、途中でレブンアツモリソウに触れて、あれは草むらに咲く、なんて言葉が聞こえてきたので、思わず、そんなことはないですよ、と声をあげてしまった。昨年、海岸に自生している様子を見てきたばかりなので。礼文島にしか自生しないレブンアツモリソウも保護区域が徹底されて、少しずつ株が増えてきているように思う。海岸のは去年初めて観た。
【撮影】10時52分=秋田 守=105232
クマガイソウ群生地の、まだ花が咲いていないエビネの下にアミガサダケが出ていた。なんとも不気味なお姿ではあるが、微量の毒があるものの食用キノコ。日本よりヨーロッパなど外国の方がよく食べるようだ。フランス語でモリーユ。生食は避けた方がよく、加熱調理しても、大量のアルコールと一緒に摂取すると酔いを深め、嘔吐することもあるらしい。ぼくみたいなヤツは要注意だね。乾燥させて水で戻して調理することが一般的らしい。
【撮影】10時52分=秋田 守=105236
我が家の近所の八幡宮では、4月半ば頃から開花しているエビネだが、こちらではまだ蕾。他にも結構な数のエビネの株が出ていた。さらに、西桂町によれば、富士急行線を挟んで反対側、すなわち三ツ峠山方面には「とうざんの里」というエビネの群生地があるそうだ。8000株以上のエビネが咲くそうで、機会があれば一度観てみたいなあ。高尾山周辺では大垂水峠から少し登ったあたりに、野生のエビネ自生地があって、何度か足を運んでいる。
【撮影】10時54分=秋田 守=1054
クマガイソウといえば、その独特な花の形に目を惹かれるが、ぼってりした部分は、唇弁と呼ばれ、ハチなどがこの穴に入り込み、上から抜け出すときに花粉をくっつける仕組みになっている。一般的に、花の蜜に虫が引き寄せられ、知らぬうちに花粉を運ばされるが、クマガイソウには蜜はなく、いかにも蜜がありそうに見せかけているだけなのだそうな。あらら、だまし討ちですね。花も面白いけど、ぼくは実は丸い葉っぱが気に入っている。
【撮影】10時55分=秋田 守=1055
事前予習をしていて、クマガイソウ群生地には、双子の花があると分かっていた。横に2つ並んだのと、縦に2つ並んでるのを今年の写真で見ていた。これは縦2つの双子ちゃんだが、横に2つ並んだ双子ちゃんは結局見つけられなかった。もう花が終わったのかな。上の花、唇弁の上にくるりと丸まった部分が見えるが、この黄色い部分が葯で、ここに花粉がある訳です。ハチが入り込んだ唇弁の穴からは、出られない仕組みになっているのだそうです。
【撮影】10時58分=秋田 守=1058
クマガイソウ群生地で見かけた他の花。こちらはキケマン。ひょっとしたら、ミヤマキケマンかもしれない。園内には同じキケマン属のエンゴサクも咲いていた。申し訳ないけど、この類いの花には、もうひとつ特別な思い入れが持ちづらく、いつも軽視してしまう。ちょっと気に留めるのは、エゾエンゴサクくらいだろうか。どうして軽視するのかは、自分でもよく分からない。ただ単に好みの問題と言うしかないように思う。誠に申し訳ない。
【撮影】11時01分=秋田 守=1101
クマガイソウ自生地で、小休憩。皆さん、朝が早かったから、おにぎりなど食べていらっしゃる。早朝は少々寒かったので、ぼくは保温水筒にお茶を詰めてきた。こういう時のお茶は、阿波番茶。徳島出身のカミさん曰く、昔、小学校の給食の時などは大きなヤカンに番茶(言わなくても阿波番茶)の葉っぱをたくさん入れて、そのまま湯を沸かして飲んだ。しばらく前に身体にいいとかガンに効くとか噂が流れ、値段が高騰してしまったのは残念。
【撮影】11時07分=秋田 守=1107
クマガイソウ群生地で見かけた他の花。ホウチャクソウ。これもたくさん見かけた。でも山に入ったら、全然見かけなかったなあ。標高が高すぎるのかしら。先日、高尾山に久しぶりに花を見に行ったら、ホウチャクソウがものすごくたくさん咲いていた。口がすぼまったヤツはワニグチソウ、もっとずらり花が連なると、ナルコユリかアマドコロ。仲間が多くて、意外に間違えやすい。さらに高尾山にはタカオワニグチソウなる交雑種もある。
【撮影】12時10分=秋田 守=1210
クマガイソウ群生地を出て、登山道を登る。ここからのルートは分かりづらいと町役場なども推奨しないらしい。しばらく登ると、若井さんが、アカマツの林だからマツタケ山だよ、ここは、とおっしゃる。それで、人が行かないように、違うルートで登れと誘導してるんだな。さらに登ると、木の幹にテープがグルグル巻きしてある。鹿が樹皮を食べないようにとの防護策。が、これをしても巻いてない根っこ近くを食べられたりするそうだ。
【撮影】12時26分=秋田 守=1226
群生地からの登山ルートはYAMAPでは破線にはなっていたが、太い登山ルートにはなっていない。おまけにそのまま進むと沢の奥に突き当たってしまう。どこかで、左へ折れて、尾根筋のルートに出ないといけないはず。が、心配無用だった。ピンクの目印テープが、ちゃんとそっち方面へ誘導してくれた。そのかわりちょいと急傾斜の斜面。500mほど雑木林の中を登って、目指すルートに出た。そこからはぐいぐい登っていく。薫風が心地よい。
【撮影】12時39分=秋田 守=1239
次第に傾斜がきつくなり、高度を上げていく。右手の緑色の樹間に、時々、富士山が垣間見える。なんだか富士山に励まされているような感じがする。高尾山あたりで見る富士山とは違って、距離が近い分、迫力がある。しかも降って間もなさそうな雪がしっかり付いているから、よけい険しさを感じる。いいなあ、この見守られ方は。風も爽やかに吹いてくれて、暑さも感じなくすんでるし。紫外線はきつそうだが、日焼けを心配する身でもナシ。
【撮影】13時13分=秋田 守=1313
見晴台に出る前、足下を見れば白い小さな花。ニシキゴロモ、ですかね。写真は省いたけど、フデリンドウも咲いてましたね。まあ、でもこの日の山の花は、クマガイソウを別格とすれば、後で登場するヒトリシズカが圧倒的だった。ここにも、そこにも、あちらこちら、ヒトリシズカだらけだった。それだからこそ、こういう数少なかった小さな花には、感謝したい。よくぞ、あの場所に咲いていて、しかも、見つけさせてくれて、本当にありがとう。
【撮影】13時18分=秋田 守=131814
レンゲツツジの花は、ここまでまったく見られず。花が終わって、新しい若葉が出始めている最中だった。これはこれで、美しい。葉っぱをまじまじと見つめることなんて、そうあるわけではない。若葉には、よくよく見ると細かな毛が生えている。若葉は内側に巻いて、両面に腺毛が生えて粘り気があるが、成葉となると無毛になる、と解説されている。倉見山の山頂を過ぎたあたりには、薄紫色の花が少しだけ残っている木が数本見られた。
【撮影】13時21分=秋田 守=1321
倉見山と相定ヶ峰を結ぶ稜線まで登り詰めると、そこは見晴台。振り返れば、富士山がドカンと聳えていた。山裾に広がっているのは富士吉田の町並みかな。この写真では山頂に雲がかかっているが、少し待つと、雲が晴れた。この日はずっとそんな具合で、山頂が隠れていても、少し待てば、アタマを出してくれるのだった。ありがたや、ありがたや。それまでも風が気持ちよかったが、この先、倉見山山頂にかけて、一際、いい風が吹いた。
【撮影】13時32分=秋田 守=1332
見晴台から少し下って、登り返すと、倉見山山頂。山頂はさほど広くなかったが、我々以外には誰も登山者はいなかったので、独占。山頂に着いて、真っ先に三角点にタッチ。三等三角點、と刻まれている。三角点マニアのことは以前にもご紹介したが、1週間前に、甑島の遠目木山と尾岳の山頂三角点の写真を送ってきてくれた。甑島は一昨年に行ったばかりなので懐かしかった。手打という集落にいるというので、手造り製塩所をお勧めした。
【撮影】13時37分=秋田 守=1337
倉見山山頂で小休憩していると、山頂のすぐ下でコーチが屈んで花らしきものの撮影をしている。ありゃ、見逃したか、コーチに見つけられてしまうとは、これはアカンでしょ、と思って駆け寄ってみると、花が終わった状態なのか、完全形ではないが、小さな花が確かに見えた。帰宅後、図鑑、ウェブサイトなど、あれこれ調べてはみたが、結果的には名前分からず仕舞い。何でしょうかねえ、この花は。ギブアップ、お手上げでございます。
【撮影】13時38分=秋田 守=1338
倉見山山頂に、富士山八景という案内板が立っていた。テーマ、として、トレッキングしながら見る富士山、とある。4つのテーマごとに8箇所剪定して、32スポットがあると書かれていたが、他にはどんなテーマと場所があるのかしら。と思って調べてみると、富士山と桜の眺め、とか、夕焼けの富士山、とか、信仰の場から見る富士山、などあるらしいが、もっとシンプルにしてよ。同じ山頂でも、場所によって少しずつ見え方が違うのが面白い。
【撮影】14時04分=秋田 守=1404
倉見山山頂から別ルートで下る。山行記録を見ていると、こちらから登っている人が圧倒的に多い。町や観光協会などの推奨ルートなんだね。確かに案内表示も多く、途中で迷うような場所もなかったので、勧めやすいのだろう。しかし、いつも糸の会に参加して思うのだけど、下りになると皆さん、本当に速いですよね。初めて参加する人がいたら、びっくりしますよ。いくらダブルストックのおかげと言っても、なかなか真似できないと思う。
【撮影】14時08分=秋田 守=1408
さて、今回、山の中で一番たくさん見かけた花、そう、ヒトリシズカです。もっと群れ咲いているのもあったし、名前の通り、ポツンとひとりぼっちで咲いてるのもあった。しかし、なぜかこの4兄弟、いや4姉妹かもしれないが、この子たちが印象深かった。清楚な感じ、というか、初々しさというか、葉っぱの加減とのバランスもグッとくるんだなあ。口の悪い人に言わせれば、単なるセーラー服趣味じゃねえか、なんて聞こえてきそうだが。
【撮影】14時23分=秋田 守=1423
けっこう山を下ってきたら、ぽっかり木の枝の隙間から、下界の町の様子が見えた。GoogleMAPの航空写真で確認すると、西桂町小沼のあたりのようだ。赤い鉄塔の下、右にセブンイレブンがある。鉄塔左下の黒い建物はカーショップ、その左の白い建物はコメリ。山と山の狭間のエリアに、高速道路と富士急行線と桂川と国道139号線(富士みち)がぎゅうっと密集して走っている様子がよく分かる。登山口まで下山するのに、あと30分ほどの場所。
【撮影】15時01分=秋田 守=1501
登山口から荒れてはいるが、なんとか車が通れそうな林道もどきの道。山頂ではひんやりする風が吹いていたが、さすがに気温が少し上がってきた。汗をかくほどではないのが助かった。足下の草叢を見ると、チョウが数匹舞っていた。スジグロシロチョウかな。桂川公園でモンシロチョウを狙っていた子に見せてやりたかった。1頭だけは、ひらひら舞わずに、ずっとじっと留まり続けていた。チョウにも性格があるのかしらと思ってしまった。
【撮影】15時03分=秋田 守=1803
スジグロシロチョウの先には、お馴染みのキランソウ。別名、ジゴクノカマノフタ。昔から薬草としても様々に活用されてきた。高血圧、鎮咳、去淡、解熱、健胃、下痢止め、切り傷などに効能があるとされる。先月、半年ぶりに奄美大島の南、加計呂麻島へ行ってきたのだが、あちらにはヒメキランソウが生えている。花の色が濃い青で、中の白い紋様がもっとくっきり浮き出して見える。リンク先を貼っておくのでご覧になってみて下さい。———
2022年4月 加計呂麻島
【撮影】15時05分=秋田 守=1505
林の方を見ると、何やら小さなキノコがブツブツ生えている1本の木があった。周りの木にはなく、その1本だけ。調べると、ヒトクチタケというようだ。このキノコは枯れた松にしか出ないそうなので、あの木は枯れていたんだ。枯れて2年以内の木にしか出ないそうな。へえええ。キノコの世界も実に奥が深いねえ。ま、そこには幸いハマらない、はずです。一口で食べられるからそんな名前が付いたのかと思いきや、食べても美味しくないそうです。
【撮影】15時10分=秋田 守=1510
これも道端に咲いていた里の花。カキドオシ。こちらもまたまた薬草。腎臓病や糖尿病などに効くそうで、生の葉っぱを塗ると水虫に効くそうだ。ありゃ、知ってたら、葉っぱを摘んでくるんだった。この花のことを、おっちょここいして時々、カキオドシと間違えてしまうことがある。垣根を通り抜けて成長するため、垣根通しとも言われたことから名が付いたという語源をしっかり理解していれば、間違えることもないのですよね。覚えました。
【撮影】15時11分=秋田 守=1511
高速道路の近くまで来ると、小さな神社があった。厄神社。なんとも凄い名前。室町時代、この辺り一帯に何度も悪疫が流行し、多くの者が死んだ。とりわけ幼児が大勢死ぬ。その後、さらに天災が続き、また疫病が広まったため、これを治めるために創建されたと伝わる。なんとも大昔の話ですなあ。で、その近くのこの小さな橋は、厄神橋。これを渡ったら厄落としできる、なんてことはないのかしら。今からでも遅くないから、伝説作ってね。
【撮影】15時21分=秋田 守=1521
帰り道は往きとは違う橋を渡り、再び桂川公園へ戻ってきた。桂川には釣り糸を垂れる釣り人が数名。振り返れば、富士山が見送ってくれていた。今日は朝から、登山中も、下山後もずっと富士山に見守られていたんだと痛感。お見送りしてくれてありがとう。しかも、いつ見ても、ちゃんと山頂を見せてくれたしね。こんなことはそうそうある訳ではない。参加者の中に、どなたか日頃の行いが格別によろしいお方がいらっしゃったに違いない。
【撮影】16時28分=秋田 守=1628
糸の会に参加させてもらうと、帰路は温泉に立ち寄るのが基本コースとなっている。が、若井さんと一緒だと、お湯よりお酒優先、となってしまうのはしょうがない。というわけで、皆さんが温泉に浸かっている頃、ぼくたちは大月駅まで引き返し、飲める店へ向かった。いつもは濱野家だけど、コーチの計画書に出ていたうづきという食堂が気になって寄ってみた。2つあるテーブル席は先客あり。奥の座敷へ案内された。まずは生ビールを注文。
【撮影】17時02分=秋田 守=1702
店のお母さんが、餃子焼きますかと聞くので、お勧めだろうと思い、1人前。鰯の酢締め海苔巻きという品書きが気になる。それと、長芋バター醤油焼き。餃子、これが旨い。焼き加減もバッチリ。そしてイワシ。小指より細い海苔巻き。醤油をつけずワサビを載せてパクリ。いや絶品。長芋も美味しい。これは酒だ。地酒笹一を大徳利で。この店、大当たり。コーチはきっとラーメンとか定食しかご存じないのだろうが。良い店を教えてくれて感謝。