発見写真旅・展(14)――2012.8.23 玉川上水
発見写真旅・展(14)――2012.8.23 玉川上水



今回の水辺の旅は玉川兄弟が百万都市江戸のための上水設備を完成させたという玉川上水。羽村の取水場から緑道が整備されていて、吉祥寺の井の頭公園の先まで行けるという緑道図がインターネット上にありました。
JR青梅線の羽村駅から歩き出しましたが、じつは隣の福生駅から拝島駅まで2駅間を電車でエスケープしました。気持ちよく歩ける緑道というわけではなかったからです。
拝島駅からは西武・拝島線に平行して流れは東に延びていました。当初橋があるごとに渡りつつ流れを覗き、対岸に渡るという基本原則を立てていましたが、両岸に道があるものの、流れに沿う歩道はどちらかの岸に整備されていることが分かって、ひたすら下流に歩かって歩きました。
拝島から3駅目に「玉川上水」という駅がありました。立川から北に延びる多摩都市モノレールとの乗換駅で、近くには国立音楽大学があります。なぜ「玉川上水」駅なのかと疑問に思っていたところ、駅のところで「上水」は終わっていたのです。代わりに下水の再処理水が流されてまったく違う役割の流れになっていました。
ところがそれが私たちにはラッキーでした。上水部分では高いフェンスで守られていた水路が「下水」部分では簡単な柵になり、小さな谷は自然の気配を濃くしていました。
たまたま私の住まいの近く、玉川上水から銭湯の煙突が見えていました「今日はそこまで」という感じで湯船につかり、中華料理を楽しんでお開きという1日になりました。

今回の写真出展メンバー(五十音順)は以下の2人です。
伊藤 幸司(10点)
鈴木 明美(カメラ故障で応募なし)
国木田 之彦(5点+追加1点)


【01】から始まる本編の写真は提出された写真をシャッフルしてランダムに並べた「仮展示」の状態のままです。
ネット上での二次的な「発見写真旅」を楽しんでいただいた方から、そこにさまざまな「投票」が寄せられました。
投票締切後、それぞれの写真に撮影者のキャプション(あらかじめ提出されていました)を加えたので、写真の意図が初めて明らかにされたというものもあるかもしれません。この段階でも二次的な「発見写真旅」を楽しんでいただけるかと思います。
さらに写真サンプルを撮影者別に並べた索引ページを作りました。そのサンプル写真からも展示写真に飛ぶことができます。


撮影:国木田 之彦

【01】 【07】 【11】 【16】 【12】 【05】


【01】これはどうしても写したい。だれかさんがコメントしてくれるかな。
【07】かつての武蔵野の雑木林はこんな感じでしょうか。コナラ、クヌギ、イヌシデ。東京都の環境事務所が管理しています。
【11】フェンスに咬みついています。旺盛な生命力とみるか、痛々しいとみるか。
【16】これがまめ吉です。玉川上水ぞいところどころにカフェがあります。暑くもなく寒くもない季節にゆっくり歩き珈琲をたのしむといいでしょう。
【12】開店7日目の珈琲豆焙煎工房「まめ吉」。おいしいコーヒーをいただきました。
【05】このソファーに座るとお尻の下がムズムズしてきて、落ち着かないのと違いますか。


撮影:伊藤 幸司

【15】 【10】 【14】 【04】 【06】


【15】駅でいえばJR青梅線の羽村駅。多摩川から玉川上水を取り込むところです。水はすでに奥多摩湖で抜かれていて、ここで玉川上水に取られるので本流はだだっ広い河原という感じがしました。でも多摩川はすぐに大河? になるんですよね。水の収支計算はいつもよく分かりません。
【10】流れ始めた玉川上水はものすごく人工的な水路でした。きれいな水が静かに流れ下っていて江戸時代からこんなふうに水を完ぺきにコントロールしてきたのだろうかと疑うほど、完ぺきでした。
【14】ふと気づくと、流れは両岸とも鉄柵で完全に囲われていました。そのかわり柵の内側はすこし自然な様相を見せ始めたようです。
【04】西武拝島線と多摩都市モノレール線の玉川上水駅を過ぎるとすぐ流れをせき止めるような取水口があり、その先で緑道の中に下っていく道がありました。なにか「初めて」という感じの自然な気分がここにはありました。
【06】緑の中に潜り込んでいくとこの場所に出ました。いま、玉川「上水」は消えて、ここからは「清流復活の先駆け」となった再生水とか。「昭島の東京都流域下水道・多摩川上流処理場からの再生水」と書かれていました。じつはこの上流は両岸をがっちりと柵で囲んでありましたが、ここから下流では腰高の柵になって、川の表情も自然な感じになります。私が普段目にしている「上水」のイメージは正確に言えば再生水水路だったのです。
【08】 【09】 【03】 【13】 【02】


【08】そば屋です。定休日でなかったらこのあたりから食べ歩きに転換していたかもしれません。
【09】「まめ吉」の珈琲は「上水」側でした。下って自然なたたずまいになった緑道に面して、こちらはちょっと年季の入ったカフェ。寄ってみたい気分はもちろんありました。
【03】ほとんど全域で車の通れる道路が両岸にありました。そしてどちらか一方に歩行者専用の歩きやすい道が確保されていました。「緑道」は下るに従ってゆったりとした気分になり、公園の緑道と同じように、かなりきちんと手入れされた道が伸びていました。
【13】橋があるごとに流れをのぞいてみましたが、身を乗り出して見下ろすような気分でないと見えないところが多くなりました。小なりとはいえ、谷が深くなってきました。緑道はこのまま井の頭公園のすこし先まで整備されているようです。
【02】緑道のところからこの煙突が見えます。「小平銭湯」に立ち寄って、今日の行動は終わろうと、全員の気持ちが一致しました。


 


【01】撮影:国木田 之彦
これはどうしても写したい。
だれかさんがコメントしてくれるかな。

■投票:伊藤 幸司
これはかなりの失敗作です。写真としては中のメッセージのどれかに「糸口」をつけてほしいところです。政治家でもいいし、探偵広告でもいいのですが、片隅にどうもピースボートのポスターらしきものも見えます。古い大物政治家のポスターが残っていたりすると、全体の印象はガラリと変わってくるでしょうが。
……と書くのは、こういう壁面写真には傑作が多いのです。いま日本が世界に誇る森山大道の写真にもありますし、私がかかわった民俗学者・宮本常一先生も今見ても子どもの教育にどうだろうかと思うような日活ロマンポルノなどのポスターを撮っています。いずれも街のたたずまいとセットになって奥行きのある内容になっていきます。

■撮影者予想:矢野 博子────国木田さん

■投票:林 智子
人生いろいろです。 
こんなの みると 人はみんな それなりに がんばって生きて 
いるのにさ・・・・・何なのさ・・・・・
なんか ちょっとずれちゃってしまって・・なんて 思います。
井上氏は 今ころ どうなさっているのでしょうか。
世の中 明るいのか 暗いのか 分かりませんね。

次の写真へ


 


【02】撮影:伊藤 幸司
緑道のところからこの煙突が見えます。「小平銭湯」に立ち寄って、今日の行動は終わろうと、全員の気持ちが一致しました。

■投票:鈴木 明美
国木田さん……ホテルのお風呂もいいけど石鹸やシャンプーの備えはないけどほのぼのとして嬉しくなるこんなお風呂が好きです。

■投票:矢野 博子
こんなお風呂やさんが 昔 実家の傍にあったので 懐かしい。 やはり 風呂やは 夕方が 似合う。

次の写真へ


 


【03】撮影:伊藤 幸司
ほとんど全域で車の通れる道路が両岸にありました。そしてどちらか一方に歩行者専用の歩きやすい道が確保されていました。「緑道」は下るに従ってゆったりとした気分になり、公園の緑道と同じように、かなりきちんと手入れされた道が伸びていました。

次の写真へ


 


【04】撮影:伊藤 幸司
西武拝島線と多摩都市モノレール線の玉川上水駅を過ぎるとすぐ流れをせき止めるような取水口があり、その先で緑道の中に下っていく道がありました。なにか「初めて」という感じの自然な気分がここにはありました。

■撮影者予想:矢野 博子────国木田さん

次の写真へ


 


【05】撮影:国木田 之彦
このソファーに座るとお尻の下がムズムズしてきて、
落ち着かないのと違いますか。

■撮影者予想:矢野 博子────国木田さん

■投票:林 智子
あら こんな所に 応接間が。
ほんと 日本人は 思いやりにあふれた 親切な
国民ですね。
よけいなお世話では ありますが 日本は
お金持なのか 貧乏なのか・・・どうなのでしょう。
やっぱり ビンボー! びんぼくさい!

次の写真へ


 


【06】撮影:伊藤 幸司
緑の中に潜り込んでいくとこの場所に出ました。いま、玉川「上水」は消えて、ここからは「清流復活の先駆け」となった再生水とか。「昭島の東京都流域下水道・多摩川上流処理場からの再生水」と書かれていました。
じつはこの上流は両岸をがっちりと柵で囲んでありましたが、ここから下流では腰高の柵になって、川の表情も自然な感じになります。私が普段目にしている「上水」のイメージは正確に言えば再生水水路だったのです。

次の写真へ


 


【07】撮影:国木田 之彦
かつての武蔵野の雑木林はこんな感じでしょうか。
コナラ、クヌギ、イヌシデ。
東京都の環境事務所が管理しています。

次の写真へ


 


【08】撮影:伊藤 幸司
そば屋です。定休日でなかったらこのあたりから食べ歩きに転換していたかもしれません。

■撮影者予想:矢野 博子────国木田さん

次の写真へ


 


【09】撮影:伊藤 幸司
「まめ吉」の珈琲は「上水」側でした。下って自然なたたずまいになった緑道に面して、こちらはちょっと年季の入ったカフェ。寄ってみたい気分はもちろんありました。

■投票:鈴木 明美
国木田さん……この次ぎ来たときまだあるといいなあ──かわいい喫茶店「まめきち」

■撮影者予想:矢野 博子────国木田さん

次の写真へ


 


【10】撮影:伊藤 幸司
流れ始めた玉川上水はものすごく人工的な水路でした。きれいな水が静かに流れ下っていて江戸時代からこんなふうに水を完ぺきにコントロールしてきたのだろうかと疑うほど、完ぺきでした。

■投票:鈴木 明美
コーチ……堂々とした玉川上水

■投票:矢野 博子
私の中で 玉川上水というと こんなイメージ。

次の写真へ


 


【11】撮影:国木田 之彦
フェンスに咬みついています。
旺盛な生命力とみるか、痛々しいとみるか。

■投票:伊藤 幸司
国木田さんならではの写真。私などは完全に見落としています。国木田さんは時おり理由の想像できない場所でずいぶん遅れていましたが、こういうものを見ていたのかと思いました。キャプションに木の名前が出るでしょうから、するとこの写真の見え方も全然違う方向に展開するかもしれません。そういう意味で撮影者のキャプションが楽しみです。

次の写真へ


 


【12】撮影:国木田 之彦
開店7日目の珈琲豆焙煎工房「まめ吉」。
おいしいコーヒーをいただきました。

■投票:伊藤 幸司
私は、もちろん黒板の複写はしました。周囲をちょっと入れてこの店のこだわりが伝わるのではないかと。しかし脱帽です。黒板の絵と同じ人物がまさに「心をこめてコーヒー淹れてます」ではないですか。すぐ近くにある国立音楽大学の学生などが入り浸る店になると面白いと思いました。

■投票:矢野 博子
多分 そんなに儲かることはないだろうけど 半分 道楽みたいな感じで やっていて 歩いていてこんなサテンがあったら 迷わず入ってしまう。

■投票:林 智子
大学を卒業してから しばらくは 日本の外を 見たかった。
選択の余地のないような 決められた 生き方など したくはなかった。
でも
今は 静かに お茶をたてるように 珈琲を入れましょう。
ボバペティ・・どうぞ 召し上がれ。
小さなスペースの はじっこで 村上春樹など 読みながら
<ともこさん>で いられるのがいいな。

次の写真へ


 


【13】撮影:伊藤 幸司
橋があるごとに流れをのぞいてみましたが、身を乗り出して見下ろすような気分でないと見えないところが多くなりました。小なりとはいえ、谷が深くなってきました。緑道はこのまま井の頭公園のすこし先まで整備されているようです。

■投票:鈴木 明美
コーチ……親しみやすい玉川上水

次の写真へ


 


【14】撮影:伊藤 幸司
ふと気づくと、流れは両岸とも鉄柵で完全に囲われていました。そのかわり柵の内側はすこし自然な様相を見せ始めたようです。

次の写真へ


 


【15】撮影:伊藤 幸司
駅でいえばJR青梅線の羽村駅。多摩川から玉川上水を取り込むところです。水はすでに奥多摩湖で抜かれていて、ここで玉川上水に取られるので本流はだだっ広い河原という感じがしました。でも多摩川はすぐに大河? になるんですよね。水の収支計算はいつもよく分かりません。

次の写真へ


 


【16】撮影:国木田 之彦
これがまめ吉です。玉川上水ぞいところどころにカフェがあります。
暑くもなく寒くもない季節にゆっくり歩き珈琲をたのしむといいでしょう。

■投票:伊藤 幸司
追加で送られてきた写真です。最初はなぜか正方形の写真でしたからなんでこれを? という感じでしたが、ハイビジョンサイズだとシネマスコープの映画の一場面というセットに見えます。若い道楽マスターの目が表にも行き届いているということがこの写真でよく分かります。
じつは私たち3人がことのときはすでに中にいて、コーヒーを楽しんでいました。表に国木田さんがやってきてあれこれ時間をかけて撮っていました。その時の写真だと思います。
内側から手を振ったりはしたのですが、いつのまにか国木田さんの姿は消えていました。コーヒーはいらないのか……と思っていたら、私たちを見失ったことに気づいたらしく、戻ってきました。
私はとりあえず出会いがしらに(あまり考えずに、反射的に)撮ることを提案していますが、時間をかけて撮った写真がこんなふうにカッチリ写っているということは写真のセンスがいいというひとつの例といえます。


★先頭ページに戻ります

★ホームページのトビラに戻ります