発見写真旅・展(21)――2013.2.16 渋谷駅から 発見写真旅・展(21)――2013.2.16 渋谷駅から



今回も20歳代の女性ふたりの参加です。いずれも渋谷が仕事場だったり、遊び場だったりという「地元」民です。
集合場所を忠犬ハチ公の銅像として「渋谷駅から、まずどっち方向に向かうかで、その日の運命が決まりそうです。ジャンケンで決めましょうか」という計画でしたが、寒いので集合場所は渋谷駅連絡通路内の岡本太郎の壁画前としました。
通常なら渋谷らしい渋谷をさがして徹底的にウロウロするというのが写真イベントの基本でしょうが、最近は肖像権や著作権の広がりのひとつとして商業施設の内部での写真撮影を禁止されるケースも多くなっています。そういう軋轢をかいくぐって写真を撮るという方向もあるでしょうが、見えるものを自由気ままに撮りたいので「渋谷から」という方針を最初から決めておいたのです。
10時に集合してマークシティ内の暖房の効いた「屋外風テラス」で基本的な打ち合わせ。外の寒さに対して暖かさのチャージ時間となりました。
「渋谷から」の方向に関しては「高速道路のある方へ行きたい」という希望が出たので、ジャンケンせずに決め、まずは渋谷をひと歩き。
寒い日でした。しかも参加者はふたりとも普段渋谷を歩く服装。冷たい風が吹き抜けるたびに身が縮むような日で、日だまりを選びながら歩きたい気分でした。気持ちが委縮していたからか2時間ほどでまた渋谷の中心街に舞い戻ってしまいました。
しょうがないので「絶望」という名のスパゲティで暖かさをチャージして、今度は「高速道路の方へ」と真一文字に。お屋敷街から下町情緒の商店街を抜けると東大の駒場キャンパス。その先、池尻大橋(田園都市線で渋谷の次の駅)にたどり着く前に寒さでダウン。長いお茶の時間に逃げこんで午後も正味2時間で写真旅が終わりました。

今回の写真出展メンバー(五十音順)は以下の3人です。
伊藤 朝(5点セット×3)
伊藤 幸司(5点セット×3)
齋藤 紀子(5点セット×3)


【01】から始まる本編の写真は提出された写真をシャッフルしてランダムに並べた「仮展示」の状態のままです。
ネット上での二次的な「発見写真旅」を楽しんでいただいた方から、そこにさまざまな「投票」が寄せられました。
投票締切後、それぞれの写真に撮影者のキャプション(あらかじめ提出されていました)を加えたので、写真の意図が初めて明らかにされたというものもあるかもしれません。この段階でも二次的な「発見写真旅」を楽しんでいただけるかと思います。
さらに写真サンプルを撮影者別に並べた索引ページを作りました。それによって5枚セットのテーマ写真の意図も明らかになります。そのサンプル写真をクリックすると展示写真に飛ぶことができます。
この「本展示」に対する「投票」もいただいたものは順次掲載させていただきます。


撮影:齋藤 紀子────テーマA:落書き

【13】 【01】 【06】 【04】 【30】


【13】商品が見えないよ  ほんとにジュースでてくるの?  自動販売機にもこの通り、落書きだらけ  勢い、若さ、ユーモア、適当さ、ごちゃごちゃとひしめきあういろいろな物事、いいこと悪いことなんでも有り  渋谷ってこんな町だよなぁ。
【01】いろいろな種類のステッカーがランダムに貼られているだけなんだけどなんだか、全体が妙にまとまって見える。  不思議だな、汚いステッカー、汚い落書きなのに
【06】ゴミ捨て場すらキャンパスに  壁、窓、排気口、扉にまで、一人の人が書いたのではなくいろいろな人が徐々に書いて行って最終的にこうなったのだろう。  たくさんの人が行きかった証拠なのだろう。
【04】こんな細いガードレールにもたくさんの落書き。  人が多い大きな街だから、忘れられないように、印象に残るように、  スキがあれば落書きやステッカーで自分の存在を主張しているようだ。落書きはいけないことだけど、こういう行動ってなんだかとても人間らしく感じる。
【30】大きな壁のキャンパスに、  なんの絵なのかわからないけれど、アートって自分で想像するものじゃない?鳥?うさぎ?バスケットボール?考えるだけで楽しくってドキドキしてくる。


撮影:齋藤 紀子────テーマB:道

【25】 【14】 【32】 【33】 【16】


【25】少し暗くて、木が生えている小さな道。幼い頃にこんな道をよく通っていた。私の故郷とは遠く離れた場所なのに、こんな都会の中なのに、なんだかとても懐かしい。今度故郷へ帰ったら、あの道を通ってみようかな。
【14】白い階段。汚れ具合がいい感じ。回りの家ともマッチして、すっきりと都会的。まだまだ新しいものだろうけど、これからもっともっと汚れていくだろうけど、このモダンさは変わらないのだろう。
【32】皆の庭。  思い思いの花を育てたり、植木鉢を置いて道を作ったり、  誰かのスペースのような、みんなでシェアしているスペースのようなちょっと不思議な空間。
【33】ネコの小道。するすると小さな道もしなやかに歩いていく。  少し休憩しているのかな?  そう思っていたらもう一匹ネコがやってきた。あぁ、待ち合わせをしてたのか。
【16】石畳の小さな小さな小道。  通るのはヒトかネコくらいじゃないでしょうか?  並んでいる石、植木鉢、前を歩く友達、どれもなんだか可愛らしくて心が暖かくなる。


撮影:齋藤 紀子────テーマC:かわいいアート

【09】 【23】 【36】 【44】 【02】


【09】向日葵 、太陽  元気の象徴。ひとつ、ひとつ、違う顔だけどみんな笑顔だね  ここを通る人達もこの絵を見て楽しく、笑顔になるといいな  ずっと皆を見守っててね。
【23】皆がこっちを見ているよ  シャッターに書かれたちょっとおちゃめでおしゃれなアート。  皆がこちらを不思議そうに眺めてる、思わず足を止めて『どうしたの?』と声をかけてしまいそう。
【36】ごちゃごちゃとした路地裏の中でちょっと目を引く建物。  もしもここに住んだなら  『青の扉に住んでるよ』  伝える時にわかりやすくて面白い。
【44】秋と冬の絵  秋の色には黄色、茶色、オレンジ色、冬の色には白、水色、あたたかそうなレンガ色、  色から季節がイメージできる。子供たちもきちんと季節の色を感じ取っているんだなぁ。
【02】夏の絵  赤色、緑色、茶色、青色。  夏はいろいろな生命が活発になる季節 。見える世界もとってもカラフル。秋や冬の絵もいいけれど、元気一杯の夏の絵が一番好きかな。


撮影:伊藤 朝────テーマA:わたしの好きな壁と色

【35】 【34】 【37】 【26】 【22】


【35】渋谷の路地裏。   袋小路の先、塀の上には有刺鉄線。   人なんてほとんど来そうもないこんなところに。   だからかな。   こんなに軽やかな有刺鉄線なのは。
【34】前に友達がバイトをしていたカフェ。   お店を出ると目の前にあらわれるこの壁。   前からずっと好きだった壁。   なのに、好きだと考える事も、もちろん写真を撮ったのも今日が初めて。
【37】1階の天井と、3階のカーテンと。   あのカーテンを選んだひとは、絶対にここに立っていたと思う。   そして、私のようにこの写真のようにこの窓を眺めたと思う。
【26】こんな感じの洋服があったら絶対可愛いと思った。   レンガ色とベージュのチェック。   グレーの切り替え、黄色のパイピング。   男性のセットアップも絶対いい!!
【22】グレイッシュな校舎。   色がいい。   形もいい。   そしてここは東京大学。


撮影:伊藤 朝────テーマB:見慣れた風景

【15】 【38】 【43】 【12】 【18】


【15】渋谷の名物。   ハチ公の前で記念撮影。   そんなカップルを記念撮影。
【38】人ごみの中の若い家族。   子供の目線から見る渋谷の街はこんな感じ?   大人も建物も大きくて、ちょっと怖いかも。   はぐれないようにね。
【43】まだ午前中なのに、こんなにたくさんの人。   油断したらぶつかってしまう距離。   知らない人とのこんな距離感、よく考えたらすごい事かもしれない。
【12】誰も待っていないバスの停留所。   そういえばあったなぁといつも思う。   そして、いつも忘れてしまう。   本来の渋谷の街の姿がどれだけ見えていないかという事に気づく。
【18】1週間のうち半分程は訪れる渋谷の街。   普段感じていた以上に落書き大国だった。   こんなのは序の口。   一度は落書き巡りをするのも楽しいかもしれませんよ。


撮影:伊藤 朝────テーマC:渋谷の道

【17】 【29】 【03】 【28】 【41】


【17】派手なトラックと、ステッカーでいっぱいの電柱と。   ごちゃっとしていていかにも渋谷らしい。   でも、じっくり見つめてみると、なんだ意外とさわやかな道。
【29】少し歩くとごみごみした町中から抜け、広い通りに。   歩くひとがいない、こんな渋谷もあるんだと感じたみち。
【03】何かの入り口。   長く伸びる矢印から、なんだか元気が貰えそうなみち。
【28】閑静な高級住宅街。   大きな家ばかりが立ち並ぶ整備された住宅街の中に、昔からずっとあるであろう小道がいくつもあった。   おとなりの落書き大国とはうってかわって。   ここは高台。   温かみのある道。
【41】このみちにどんな素敵なものがあるのかと思ったら、ただただ普通に大通りに出た。   私道持ちの悩みはわからないけど、   どうせならもっと楽しい道にしたらいいのに。   自己主張ばかりが強い道。


撮影:伊藤 幸司────テーマA:ゲイジュツ家たちの街

【21】 【31】 【10】 【11】 【39】


【21】5階建て(だったと思います)のこのビルの東急ハンズと向かい合う壁面は以前はナニモノでもなかったと思います。そいつを一気にゲイジュツにしてしまったのには、どんな経緯があったのでしょうか。  じつは糸の会の初期の会員に渋谷センター街にビルを持っている人がいて、駅前広場に面した屋上広告に月60万円の収入があるということでした。  この壁面をただのゲイジュツにするか、金になる広告にするかを一瞬考えたに違いないと思いながら鑑賞すると、渋谷の壁面ゲージュツの代表作といっていいのでしょう。タイトルなんかももちろんついているのでしょうね。
【31】これはビルに囲まれた古い木造家屋です。ブロック塀に取り付けられたポストに「宇田川子育地蔵」とあるだけなので、思わず軽く覗いてみると公共料金の伝票みたいなものも見えました。地蔵堂と木造家屋2軒がセットになって残されているらしく、渋谷区教育委員会の史跡としての説明板もありました。  私たちのひとりが門を入ってお地蔵さんに近づくと、その左手の家屋のまえに超小型のキャンピングテントがあって「お婆さんと挨拶してしまった!」というのです。そのお婆さんは管理人でもないらしく、戸締めの家屋の玄関先に居所を作っているだけのようでした。  写真は地蔵堂の奧にある二階家。カラーコーンで進入禁止をうたっているのに渋谷の街にあふれているスプレーゲイジュツがここまで進出していました。この空き家、潜り込む人なんかいないのだろうか、と心配になる危険なたたずまいもまたゲイジュツ的なのかもしれません。
【10】賃貸アパートだと思いますが、これだと酔っぱらって帰宅しても、友人を電話でどんどん招いても、絶対にたどりつけるという感じがします。ペンキ屋さんにまかせたという感じでもないし、デザイナーがいるという感じでもないので、若い才能に夢を託してみた……けれど、というものでしょうか。
【11】巨大盆栽という新ジャンルを感じました。木の影は計算外だったのでしょうが、壁面のパターンはマッチングを考えてのことでしょうか。
【39】これは円山町のラブホ街。3人で入口まで覗いてみましたが、結局なんだかよく分からないビルでした。有名なんでしょうが。


撮影:伊藤 幸司────テーマB:持ち主の顔を見たい

【05】 【20】 【45】 【42】 【19】


【05】無断駐輪は「発見次第、処分」というところに置き場所をがっちり確保したこの自転車にはけっこう高価な感じの盗難防止チェーンが2本も準備されています。本体もけっこう高価なのかもしれません。
【20】色合いだけでの素人判断ですが、高級自転車に類するものではないでしょうか。軽そうだし、かなりオシャレなこの自転車が無造作に置かれているのを見て、渋谷は結構安全な街なんだと感じました。  街中にスプレーペイントによる落書きが反乱する渋谷の荒れた気分がこの自転車で一気にぬぐわれた感じです。  タイヤのブルーを見ているうちに、この自転車走っているのだろうかという軽い疑問も出てきました。持ち去ろうとする輩がいると、じつは地面にがっしりと固定されていたりして……。
【45】正面の「駐輪禁止」は「ワタシの場所を確保するための注意書きよ」と言っているみたいな自転車。バックシャンという古い言葉を思い出しました。
【42】普通の街なら路上に止めてある自転車の過半はママチャリです。しかし渋谷ではママチャリは少数派。若者の街という感じがします。そして案外男性の街かも。
【19】暴力的になぎ倒された自転車たち。壁際のものはきちんと立っています。だいたい、これが正規の駐輪スペースなら白線の1本ぐらいひかれていてもいいのではないかと思います。  じつはこれ東京大学の駒場キャンパス。強い風が吹いてほとんどの自転車が倒された直後のこと。もちろんだれも直そうなんて考えている気配なし。持ち主が起こして乗って、1台1台消えていくだけなのでしょう。


撮影:伊藤 幸司────テーマC:五感の記憶

【27】 【07】 【40】 【24】 【08】


【27】集合は最初忠犬ハチ公銅像前としていたのですが、午前10時に岡本太郎の壁画の前としました。JRと東京メトロの渋谷駅から京王井の頭線への、この連絡通路なら寒くはないとかんがえたからでした。寒くはなかったけれど、暖かくもありませんでした。マークシティ側に表から直接上ってくる階段があったりして、風通しもすこしはあったからです。  この絵がここに掲げられたのは2008年。これは1968年にメキシコのあるホテルの依頼により現地で描かれたものの、所在不明となっていたのが2003年に発見されました。分割して日本に運ばれ修復されたのち、最終的にここに掲げられたという岡本太郎の代表作とか。  タイトルは「明日の神話」。渋谷の明日をこんな感じで見続けています。五感その1・視覚です。
【07】計画ではまずこのハチ公銅像に集結してここを起点にどの方向にガンガン歩くことにするかジャンケンで決めようと考えていました。しかし寒さを恐れて集合は駅構内というべき岡本太郎壁画前に変更。そしてジャンケンは、しようとしたのですが、参加者のひとりS嬢が国道246号線の、高速道路路の方へ行きたいと強く主張したので、理由なく、寒さに負けた感じで「了解」となったのでした。
【40】西武百貨店のところから渋谷センター街の方へと入りました。初老とおぼしきこの人は、なぜかピタリと立ち止まっているのです。だれかを待っているのだろうとは思いましたが、そうだとしても待ち人来たらずという危険を冒して寒い中に立ちつくしているようなはかなさも漂わせていました。  それよりも何よりも、渋谷という街ではじっと立っているだけでものすごく存在感があるということに気づきました。五感のその3としてはなんだか聴覚だと思います。
【24】渋谷の街をくるりとひとまわりしてしまったので、ランチの後、強い意志でS嬢が最初に口走った「高速道路の方」へと向かったのです。すると白壁のお屋敷街を抜け、下町風情の商店街へと迷いこんだのです。  このふたり、冬の日射しをスポットライトのように浴びて心うきうき踊り出した……かのように見えるでしょうが、さにあらず。真冬の写真ロケにモデル気分のような服装で来たものだから、吹き抜ける北風に思わず飛び跳ねているのです。五感その4・触覚という光景です。
【08】寒さは私たちをどんどん追いつめて、日向から日向へと走り込むような歩き方になりました。田園都市線で渋谷の隣り駅にあたる池尻大橋駅まで行けずにギブアップ。ヘンなレストランでお茶だけでもいいかと聞いて、逃げこみました。私はポットでたっぷり出てくることを期待してアッサムティを注文したのですがこれ。  テーブルのこんな感じで店全体がデザインされているうえに店内はひろく、暖房エネルギーを広く薄く配分しているらしく、甘さを求めてチャイティーを頼んだおふたりには寒くはないけれど暖かくもない店でした。五感その5・味覚です。




【01】■撮影:齋藤 紀子
いろいろな種類のステッカーがランダムに貼られているだけなんだけどなんだか、全体が妙にまとまって見える。
不思議だな、汚いステッカー、汚い落書きなのに
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【02】■撮影:齋藤 紀子
夏の絵
赤色、緑色、茶色、青色。
夏はいろいろな生命が活発になる季節 。見える世界もとってもカラフル。秋や冬の絵もいいけれど、元気一杯の夏の絵が一番好きかな。
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【03】■撮影:伊藤 朝
何かの入り口。
長く伸びる矢印から、なんだか元気が貰えそうなみち。

■投票:伊藤 幸司
何だ? これは。
私は見ていないのでどこにあったかわかりませんが、
「IN」という表示は公的なものではないのでしょうね。
駐車場への入口表示かな? 
でも渋谷という魔境への進路という雰囲気がここにはあります。
本当に魔境への入口だったかもしれませんが。
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【04】■撮影:齋藤 紀子
こんな細いガードレールにもたくさんの落書き。
人が多い大きな街だから、忘れられないように、印象に残るように、
スキがあれば落書きやステッカーで自分の存在を主張しているようだ。落書きはいけないことだけど、こういう行動ってなんだかとても人間らしく感じる。

■投票:伊藤 幸司
この写真は誰かさんの趣味みたい。
実に調和のとれた色と、文様化した落書き。
落書きが落書きで上書きされていくというのが渋谷風だとしても、
それも調和の範囲内という感じ。
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【05】■撮影:伊藤 幸司
無断駐輪は「発見次第、処分」というところに置き場所をがっちり確保したこの自転車にはけっこう高価な感じの盗難防止チェーンが2本も準備されています。本体もけっこう高価なのかもしれません。
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【06】■撮影:齋藤 紀子
ゴミ捨て場すらキャンパスに
壁、窓、排気口、扉にまで、一人の人が書いたのではなくいろいろな人が徐々に書いて行って最終的にこうなったのだろう。
たくさんの人が行きかった証拠なのだろう。
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【07】■撮影:伊藤 幸司
計画ではまずこのハチ公銅像に集結してここを起点にどの方向にガンガン歩くことにするかジャンケンで決めようと考えていました。しかし寒さを恐れて集合は駅構内というべき岡本太郎壁画前に変更。そしてジャンケンは、しようとしたのですが、参加者のひとりS嬢が国道246号線の、高速道路路の方へ行きたいと強く主張したので、理由なく、寒さに負けた感じで「了解」となったのでした。
その時の写真がこれで、ハチ公に「フン」とあざ笑われたみたいですが、五感その2・嗅覚です。
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【08】■撮影:伊藤 幸司
寒さは私たちをどんどん追いつめて、日向から日向へと走り込むような歩き方になりました。田園都市線で渋谷の隣り駅にあたる池尻大橋駅まで行けずにギブアップ。ヘンなレストランでお茶だけでもいいかと聞いて、逃げこみました。私はポットでたっぷり出てくることを期待してアッサムティを注文したのですがこれ。
テーブルのこんな感じで店全体がデザインされているうえに店内はひろく、暖房エネルギーを広く薄く配分しているらしく、甘さを求めてチャイティーを頼んだおふたりには寒くはないけれど暖かくもない店でした。五感その5・味覚です。
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【09】■撮影:齋藤 紀子
向日葵 、太陽
元気の象徴。ひとつ、ひとつ、違う顔だけどみんな笑顔だね
ここを通る人達もこの絵を見て楽しく、笑顔になるといいな
ずっと皆を見守っててね。
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【10】■撮影:伊藤 幸司
賃貸アパートだと思いますが、これだと酔っぱらって帰宅しても、友人を電話でどんどん招いても、絶対にたどりつけるという感じがします。ペンキ屋さんにまかせたという感じでもないし、デザイナーがいるという感じでもないので、若い才能に夢を託してみた……けれど、というものでしょうか。
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【11】■撮影:伊藤 幸司
巨大盆栽という新ジャンルを感じました。木の影は計算外だったのでしょうが、壁面のパターンはマッチングを考えてのことでしょうか。
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【12】■撮影:伊藤 朝
誰も待っていないバスの停留所。
そういえばあったなぁといつも思う。
そして、いつも忘れてしまう。
本来の渋谷の街の姿がどれだけ見えていないかという事に気づく。
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【13】■撮影:齋藤 紀子
商品が見えないよ
ほんとにジュースでてくるの?
自動販売機にもこの通り、落書きだらけ
勢い、若さ、ユーモア、適当さ、ごちゃごちゃとひしめきあういろいろな物事、いいこと悪いことなんでも有り
渋谷ってこんな町だよなぁ。

■投票:伊藤 幸司
街中を落書きで塗りつぶしてしまおうというパワーは
どこから出てくるのでしょうか。
自己主張のある落書きには
(良い悪いは別として)
技と気迫を感じたりしますが、
こんな暇つぶしみたいな落書きもあります。
渋谷に忍び込んできた暗雲という感じですよね。
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【14】■撮影:齋藤 紀子
白い階段。汚れ具合がいい感じ。回りの家ともマッチして、すっきりと都会的。まだまだ新しいものだろうけど、これからもっともっと汚れていくだろうけど、このモダンさは変わらないのだろう。
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【15】■撮影:伊藤 朝
渋谷の名物。
ハチ公の前で記念撮影。
そんなカップルを記念撮影。
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【16】■撮影:齋藤 紀子
石畳の小さな小さな小道。
通るのはヒトかネコくらいじゃないでしょうか?
並んでいる石、植木鉢、前を歩く友達、どれもなんだか可愛らしくて心が暖かくなる。
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【17】■撮影:伊藤 朝
派手なトラックと、ステッカーでいっぱいの電柱と。
ごちゃっとしていていかにも渋谷らしい。
でも、じっくり見つめてみると、なんだ意外とさわやかな道。
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【18】■撮影:伊藤 朝
1週間のうち半分程は訪れる渋谷の街。
普段感じていた以上に落書き大国だった。
こんなのは序の口。
一度は落書き巡りをするのも楽しいかもしれませんよ。
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【19】■撮影:伊藤 幸司
暴力的になぎ倒された自転車たち。壁際のものはきちんと立っています。だいたい、これが正規の駐輪スペースなら白線の1本ぐらいひかれていてもいいのではないかと思います。
じつはこれ東京大学の駒場キャンパス。強い風が吹いてほとんどの自転車が倒された直後のこと。もちろんだれも直そうなんて考えている気配なし。持ち主が起こして乗って、1台1台消えていくだけなのでしょう。
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【20】■撮影:伊藤 幸司
色合いだけでの素人判断ですが、高級自転車に類するものではないでしょうか。軽そうだし、かなりオシャレなこの自転車が無造作に置かれているのを見て、渋谷は結構安全な街なんだと感じました。
街中にスプレーペイントによる落書きが反乱する渋谷の荒れた気分がこの自転車で一気にぬぐわれた感じです。
タイヤのブルーを見ているうちに、この自転車走っているのだろうかという軽い疑問も出てきました。持ち去ろうとする輩がいると、じつは地面にがっしりと固定されていたりして……。
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【21】■撮影:伊藤 幸司
5階建て(だったと思います)のこのビルの東急ハンズと向かい合う壁面は以前はナニモノでもなかったと思います。そいつを一気にゲイジュツにしてしまったのには、どんな経緯があったのでしょうか。
じつは糸の会の初期の会員に渋谷センター街にビルを持っている人がいて、駅前広場に面した屋上広告に月60万円の収入があるということでした。
この壁面をただのゲイジュツにするか、金になる広告にするかを一瞬考えたに違いないと思いながら鑑賞すると、渋谷の壁面ゲージュツの代表作といっていいのでしょう。タイトルなんかももちろんついているのでしょうね。
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【22】■撮影:伊藤 朝
グレイッシュな校舎。
色がいい。
形もいい。
そしてここは東京大学。
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【23】■撮影:齋藤 紀子
皆がこっちを見ているよ
シャッターに書かれたちょっとおちゃめでおしゃれなアート。
皆がこちらを不思議そうに眺めてる、思わず足を止めて『どうしたの?』と声をかけてしまいそう。
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【24】■撮影:伊藤 幸司
渋谷の街をくるりとひとまわりしてしまったので、ランチの後、強い意志でS嬢が最初に口走った「高速道路の方」へと向かったのです。すると白壁のお屋敷街を抜け、下町風情の商店街へと迷いこんだのです。
このふたり、冬の日射しをスポットライトのように浴びて心うきうき踊り出した……かのように見えるでしょうが、さにあらず。真冬の写真ロケにモデル気分のような服装で来たものだから、吹き抜ける北風に思わず飛び跳ねているのです。五感その4・触覚という光景です。
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【25】■撮影:齋藤 紀子
少し暗くて、木が生えている小さな道。幼い頃にこんな道をよく通っていた。私の故郷とは遠く離れた場所なのに、こんな都会の中なのに、なんだかとても懐かしい。今度故郷へ帰ったら、あの道を通ってみようかな。
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【26】■撮影:伊藤 朝
こんな感じの洋服があったら絶対可愛いと思った。
レンガ色とベージュのチェック。
グレーの切り替え、黄色のパイピング。
男性のセットアップも絶対いい!!
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【27】■撮影:伊藤 幸司
集合は最初忠犬ハチ公銅像前としていたのですが、午前10時に岡本太郎の壁画の前としました。JRと東京メトロの渋谷駅から京王井の頭線への、この連絡通路なら寒くはないとかんがえたからでした。寒くはなかったけれど、暖かくもありませんでした。マークシティ側に表から直接上ってくる階段があったりして、風通しもすこしはあったからです。
この絵がここに掲げられたのは2008年。これは1968年にメキシコのあるホテルの依頼により現地で描かれたものの、所在不明となっていたのが2003年に発見されました。分割して日本に運ばれ修復されたのち、最終的にここに掲げられたという岡本太郎の代表作とか。
タイトルは「明日の神話」。渋谷の明日をこんな感じで見続けています。五感その1・視覚です。
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【28】■撮影:伊藤 朝
閑静な高級住宅街。
大きな家ばかりが立ち並ぶ整備された住宅街の中に、昔からずっとあるであろう小道がいくつもあった。
おとなりの落書き大国とはうってかわって。
ここは高台。
温かみのある道。
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【29】■撮影:伊藤 朝
少し歩くとごみごみした町中から抜け、広い通りに。
歩くひとがいない、こんな渋谷もあるんだと感じたみち。
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【30】■撮影:齋藤 紀子
大きな壁のキャンパスに、
なんの絵なのかわからないけれど、アートって自分で想像するものじゃない?鳥?うさぎ?バスケットボール?考えるだけで楽しくってドキドキしてくる。

■投票:伊藤 幸司
これは公立小学校の入口となっている道を支えている壁面です。
私もずいぶん気になったのですが、腑に落ちなかったのは
これが落書きなのか、壁画なのかわからないこと。
つまり勝手連の絵なのか、公認の絵なのか。
交通標識のカラーコーンは立ち入り禁止のためでしょうが、
誰のどのような行動を規制しようとしているのか、わかりませんでした。
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【31】■撮影:伊藤 幸司
これはビルに囲まれた古い木造家屋です。ブロック塀に取り付けられたポストに「宇田川子育地蔵」とあるだけなので、思わず軽く覗いてみると公共料金の伝票みたいなものも見えました。地蔵堂と木造家屋2軒がセットになって残されているらしく、渋谷区教育委員会の史跡としての説明板もありました。
私たちのひとりが門を入ってお地蔵さんに近づくと、その左手の家屋のまえに超小型のキャンピングテントがあって「お婆さんと挨拶してしまった!」というのです。そのお婆さんは管理人でもないらしく、戸締めの家屋の玄関先に居所を作っているだけのようでした。
写真は地蔵堂の奧にある二階家。カラーコーンで進入禁止をうたっているのに渋谷の街にあふれているスプレーゲイジュツがここまで進出していました。この空き家、潜り込む人なんかいないのだろうか、と心配になる危険なたたずまいもまたゲイジュツ的なのかもしれません。
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【32】■撮影:齋藤 紀子
皆の庭。
思い思いの花を育てたり、植木鉢を置いて道を作ったり、
誰かのスペースのような、みんなでシェアしているスペースのようなちょっと不思議な空間。
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【33】■撮影:齋藤 紀子
ネコの小道。するすると小さな道もしなやかに歩いていく。
少し休憩しているのかな?
そう思っていたらもう一匹ネコがやってきた。あぁ、待ち合わせをしてたのか。
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【34】■撮影:伊藤 朝
前に友達がバイトをしていたカフェ。
お店を出ると目の前にあらわれるこの壁。
前からずっと好きだった壁。
なのに、好きだと考える事も、もちろん写真を撮ったのも今日が初めて。
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【35】■撮影:伊藤 朝
渋谷の路地裏。
袋小路の先、塀の上には有刺鉄線。
人なんてほとんど来そうもないこんなところに。
だからかな。
こんなに軽やかな有刺鉄線なのは。
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【36】■撮影:齋藤 紀子
ごちゃごちゃとした路地裏の中でちょっと目を引く建物。
もしもここに住んだなら
『青の扉に住んでるよ』
伝える時にわかりやすくて面白い。
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【37】■撮影:
■撮影:伊藤 朝
1階の天井と、3階のカーテンと。
あのカーテンを選んだひとは、絶対にここに立っていたと思う。
そして、私のようにこの写真のようにこの窓を眺めたと思う。
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【38】■撮影:伊藤 朝
人ごみの中の若い家族。
子供の目線から見る渋谷の街はこんな感じ?
大人も建物も大きくて、ちょっと怖いかも。
はぐれないようにね。
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【39】■撮影:伊藤 幸司
これは円山町のラブホ街。3人で入口まで覗いてみましたが、結局なんだかよく分からないビルでした。有名なんでしょうが。
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【40】■撮影:伊藤 幸司
西武百貨店のところから渋谷センター街の方へと入りました。初老とおぼしきこの人は、なぜかピタリと立ち止まっているのです。だれかを待っているのだろうとは思いましたが、そうだとしても待ち人来たらずという危険を冒して寒い中に立ちつくしているようなはかなさも漂わせていました。
それよりも何よりも、渋谷という街ではじっと立っているだけでものすごく存在感があるということに気づきました。五感のその3としてはなんだか聴覚だと思います。
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【41】■撮影:伊藤 朝
このみちにどんな素敵なものがあるのかと思ったら、ただただ普通に大通りに出た。
私道持ちの悩みはわからないけど、
どうせならもっと楽しい道にしたらいいのに。
自己主張ばかりが強い道。
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【42】■撮影:伊藤 幸司
普通の街なら路上に止めてある自転車の過半はママチャリです。しかし渋谷ではママチャリは少数派。若者の街という感じがします。そして案外男性の街かも。
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【43】■撮影:伊藤 朝
まだ午前中なのに、こんなにたくさんの人。
油断したらぶつかってしまう距離。
知らない人とのこんな距離感、よく考えたらすごい事かもしれない。
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【44】■撮影:齋藤 紀子
秋と冬の絵
秋の色には黄色、茶色、オレンジ色、冬の色には白、水色、あたたかそうなレンガ色、
色から季節がイメージできる。子供たちもきちんと季節の色を感じ取っているんだなぁ。

■投票:伊藤 幸司
落書き天国の渋谷センター街から抜け出ると、
落書きのない白壁の街が続きました。
そして現れたこの「壁画」。
私たちはみな、何だ? 何だ? ここはどこだ? と
一瞬うろたえてしまいました。
これがもし渋谷文化圏なら落書きで上書きされていないはずはないからです。
でも、渋谷の落書きもこれくらい楽しく、あったかければいいのに。
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【45】■撮影:伊藤 幸司
正面の「駐輪禁止」は「ワタシの場所を確保するための注意書きよ」と言っているみたいな自転車。バックシャンという古い言葉を思い出しました。


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