山旅図鑑 no.168
雨飾山
2018.10.17-18

山旅図鑑目次


糸の会(no.1055)
2018.10.17-18
雨飾山
78パワー

1日目……登り11p→下り11p
2日目……登り28p→下り28p

*秋の雨飾山はいい、と勝手にきめこんでいました。北アルプス北部の山並みと向かい合いながら標高2,000mに満たないこの山が埋没しないのは、たぶん低山ながら1日のストーリーを豊かに体験させてくれるからではないでしょうか。
*それを秋色が包み込んでくれていると、低山ならではのおだやかな紅葉がふんわりと広がります。あるいは夏には高山性の花々も見られるといい、林野庁中部森林管理局の『平成12〜15年度 ライチョウ調査』によると【雨飾山は百名山に名を連ね、近年多くの登山者が訪れ、ライチョウの目撃情報も多く聞かれるようになった。】と報告されました。
*日本海からの風を直接受けるだけに山は豪雪に覆われるなど、低山とはいいながら、妙高へと続く頸城山塊の主要な山となり、その小さな双耳峰は「猫の耳」と呼ばれているそうです。
*小さいからいい……山かもしれません。

第1日(10月17日)
・1520……小谷温泉山田旅館を出発(標高約900m)
・1605-10……鎌池で休憩(標高約2,500m)
・1655……山田旅館に帰着(標高約900m)
第2日(10月18日)
・0745……登山口(小谷温泉休憩舎)を出発(標高約1,150m)
・0810-15……衣類調節休憩(標高約1,250m)
・0740-50……ブナ平で休憩(標高約1,400m)13度C
・0910-15……給水休憩(標高約1,500m)
・0930……荒菅沢通過(標高1,448m)
・1015-25……休憩(標高約1,750m)
・1125-45……雨飾山山頂(標高1,963m)
・1210……笹平分岐点通過(標高約1,800m)8度C
・1240-45……休憩(標高約1,600m)
・1335-45……休憩(標高約1,350m)
・1450……雨飾温泉・雨飾山荘(標高約900m)

今回の写真出展メンバー(提出順)は以下の3人です。

小林 美子、三浦 陽子、伊藤 幸司



山旅図鑑 no.168
雨飾山
2018.10.17-18

雨飾山=登山、
栂池高原のそば
【撮影】1日目 13時07分=伊藤 幸司
まずは「そば」。栂池高原のそばです。なんでそうなったかというと、けっこう厄介な経緯があったのです。

……話はえんえんと長くなります。
まず、計画段階で最初に悩んだのは宿泊でした。1999年の秋に出かけたときには迷うことなく雨飾温泉(旧名梶原新湯)雨飾山荘に泊まりました。
その理由を計画書には次のように書きました。
『ちなみに新潟側の「雨飾山荘」は以前、山岳図書出版社の朋文堂の経営で、朋文堂は涸沢ヒュッテ、黒沢池ヒュッテ、野沢温泉ロッジも創設・経営していましたから、そういう意味で一度泊まっておきたいという意味で1999年に朝日カルチャーセンターで計画・実施しました。』
今回の計画もそのときのものを下敷きにして、雨飾山荘泊まりにしておけばいいと、上半期半年分の計画立案時に、概要を次のように書いてしまったのです。
『往路北陸新幹線で糸魚川駅下車、雨飾山荘泊まりと考えています。小谷温泉に下って帰路は南小谷駅から松本〜東京方面へ。』
近年、糸の会がJR中央本線を利用するときは特急あずさ3号が基本です。メンバーの多くが千葉方面から来るので、いつ頃からか、そうなってしまいました。ところがJR大糸線〜中央本線を帰路に使うと南小谷発17時55分で松本へ向かうのが事実上の最終です。南小谷駅のタクシー事情なども含めて考えると行動時間に十分な余裕がとれません。
それに対して2015年開通の北陸新幹線だと糸魚川駅発17時40分というのがあり、その後さらに21時08分発まで、4本の新幹線があって、約2時間20分で東京駅まで運んでくれます。計画を具体的に練る段階で、そのありがたさに気づきました。
雨飾山は標高1,963mなので(本来なら)森林限界を越えることもなく、お隣というべき白馬三山などは見上げるしかないちっぽけな存在です。でも、標高差約1,000mを1日で登って・下るという前泊日帰り登山としては十分大きな山といえます。糸の会流にいえば合計68パワーですから1時間に8パワー(平地なら時速4kmの出力)で歩くとして8時間半というかなり長時間の登山となります。しかもエスケープルートがありません。下山時の予備時間があればあるほど計画の安全性が高くなります。

長野県側からの登山ということで考え直さなければということになったのですが、登山口に近い小谷温泉には雨飾荘と山田旅館があって、最近は公営の雨飾荘が人気のようです。
『大町・白馬地域の温泉』の『小谷温泉(雨飾荘)』にこういう一文がありました。
【小谷温泉の最奥にある。「栃の樹亭」という旅館があり、何度も来訪していたが、開いておらず、入ることができないでいた。
今回訪れてみると、大々的に日帰り入浴を受け付けている。その下にあった雨飾荘が取り壊されていて、それがこの施設に移転したようだ。(H20/5)】
バスの終点で登山口に一番近いのでまずは第一候補としましたが、紅葉シーズンでしたから満室でした。
そこで計画書には次のように書くことになりました。
『当初、小谷温泉の雨飾荘(公共の宿)に興味を惹かれたのですが、人気の宿で満室でした。山田旅館は「江戸時代建築の本館を始め木造建築6棟が文化庁の登録有形文化財になっております。江戸、明治、大正、平成とそれぞれの時代に建築された建物が軒を連ね、昔ながらの湯治場の風情を大切に残しています」とのことです。いろいろな評判もあるようですが、一度泊まっておいていい宿だと思います。』
山田旅館をトップ候補としなかったのは登山口までのアプローチに若干の問題があったからです。歩くか、車を頼むかですが。それと宿賃が税込みで13,000円以上となることから、糸の会の「山宿」としてはプラスアルファの価値がほしいところでした。

……で、まだ「そば」はこれからです。
一軒宿の山田旅館で時間を持て余すことを恐れて、昼食を栂池高原で食べることにしたのです。南小谷駅に11:42について、12:05南小谷駅前発のバスで12:29栂池高原着、昼食後13:41に栂池高原を出て14:06に南小谷駅前、バスを乗り換えて14:16小谷駅前→14:52小谷温泉山田旅館前という、限られたバス便ゆえそれしか組めないという計画を立てたのでした。
栂池高原からロープウェイで栂池平まで上がれば秋の花も見られるでしょうが、ロープウェイ(ゴンドラリフトなど)で往復するだけでなんと3,600円も。そこで栂池高原バス停から歩き出し、スキー場の賑わいをかろうじて想像させるゴーストタウンの中で客の入っている「そば処ふるさと」という店を見つけたのでした。ジンギスカンもおすすめというそばの名店……のようでした。

雨飾山=登山、栂池高原スキー場
【撮影】1日目 13時21分=伊藤 幸司
腹を満たしてバスステーションまで戻ります。
このスキー場は栂池高原スキー場。「ゴンドラリフトイブ」で上がると白馬大池、稜線をたどると白馬(しろうま)岳です。
ちなみに白馬八方尾根スキー場にあるのは「ゴンドラリフトアダム」。登ると唐松岳があり右手にたどると白馬三山。そしてその間にあるのが白馬岩岳スキー場で「ゴンドラリフトノア」。
アダムだのイブだのキザな名前ですが、白馬(はくば)を日本有数のスキーリゾートにした三兄弟のひとつです。

雨飾山=登山
【撮影】1日目 13時26分=小林 美子
まちてぇ・・と可愛いバス停がありました。
観光客も少なく店もほとんどが休みなので淋しい感じでした。
時期が悪い。
賑わう時もあるのでしょう

雨飾山=登山
【撮影】1日目 14時37分=伊藤 幸司
小谷温泉に向かう道筋はおだやかな山村のようでした。

雨飾山=登山、小谷温泉 大湯元 山田旅館
【撮影】1日目 14時49分=伊藤 幸司
山田旅館に到着。
公式のホームページは『小谷温泉 大湯元 山田旅館』となっています。
【当館は江戸時代建築の本館を始め木造建築6棟が文化庁の登録有形文化財になっております。江戸、明治、大正、平成とそれぞれの時代に建築された建物が軒を連ね、昔ながらの湯治場の風情を大切に残しています。】

雨飾山=登山、小谷温泉山田旅館
【撮影】1日目 15時15分=小林 美子
小谷温泉山田旅館。
江戸時代に建築、
文化庁登録有形文化財です。
3階が私達、糸の会の部屋です。
温泉は加水加温なし、そのままで、かけ流し・・です。

雨飾山=登山
【撮影】1日目 15時17分=伊藤 幸司
1日目は宿についたら有り余る時間で温泉を楽しむというつもりでいたのですが、鎌池往復という腹ごなしができるとわかり、出かけました。

雨飾山=登山
【撮影】1日目 15時18分=伊藤 幸司
周囲の山は完全な秋景色です。その中に入り込んでいくという気分をすぐに味わうことができました。

雨飾山=登山
【撮影】1日目 15時26分=伊藤 幸司
クズの葉のトンネルがありました。帰りにわかるのですが、このあたりは旅館の裏山、クズの侵略部分もありますが、全体としては山菜畑のような広がりでした。

雨飾山=登山、アケビの実
【撮影】1日目 15時26分=伊藤 幸司
クズに覆われた天井の下に、アケビの実がぶら下がっていました。クズが蔦ならアケビも蔦ですから、きっと壮絶な生存競争があるのだろうと思ったら、みんなの目で2つ、3つと探し出しました。

雨飾山=登山、ツリバナ
【撮影】1日目 15時27分=伊藤 幸司
ツリバナですね。
『日本エコツーリズム協会』の『エコツーブログ』に『ツリバナの実が見頃です(長野県)』(2015年10月25日)がありました。
【赤くて丸い実が5つに割れ、中から朱色の種子が吊り下ります。
その姿の可愛らしさと、やや淡くなった緑の葉との色の対比が美しいので、毎年、写真を撮りたくなる木の実です。】
【ツリバナの朱色の種子は、やはり野鳥に食べられて、糞とともに運ばれるようです。
実際、渡り前のキビタキが、さかんに食べているのを観察した事があります。
しかし種子のまわりは薄い朱色の種皮が包んでいるだけなので、この種子を食べても、消化出来る部位はどれほどもありません。
見た目が目立つのでつい食べてしまうけれど、実は野鳥にとっては栄養分に乏しいのかもしれませんね。】

雨飾山=登山
【撮影】1日目 15時33分=伊藤 幸司
この日は日没が17時07分、紅葉風景は日が傾くとともにその印影を深くしていきました。眼前の山は松尾山(標高1,678m)だと思われます。

雨飾山=登山
【撮影】1日目 15時35分=伊藤 幸司
温泉客向きの散歩に絶好の散策路です。十和田の蔦温泉から蔦沼へ行く道を思い出しました。期待がどんどん盛り上がっていきます。

雨飾山=登山
【撮影】1日目 15時45分=伊藤 幸司
木漏れ日というよりは名残の斜光線。森の風景がどんどんドラマチックになっていきます。私たちは樹林の中でも日没後30分は灯火なしに歩けるとわかっていますが、そういう残り時間が光景のなかに見え始めます。もっとも夕食時間まではあと1時間45分。ここまで登りにかかった時間は約30分。

雨飾山=登山、鎌池
【撮影】1日目 16時02分=伊藤 幸司
見えてきました。鎌池。思ったより近くて、思ったより小さかった。

雨飾山=登山、鎌池
【撮影】1日目 16時04分=小林 美子
鎌池の紅葉。
宿から1時間、ドロドロの登山道を登ってきました。
この鎌池を見たさに。

雨飾山=登山、鎌池
【撮影】1日目 16時04分=伊藤 幸司
雨飾山があれ、かどうかはわかりませんが、新しい展望がありました。

雨飾山=登山、鎌池
【撮影】1日目 16時05分=三浦 陽子
軽い散歩のつもりで鎌池までと思ったら、結構なぬかるみ道だった。

雨飾山=登山、鎌池
【撮影】1日目 16時07分=伊藤 幸司
鎌池の脇の小さな池。森のなかでは小さな池にも独特の味わいがあります。見る側が庭園を見るような目線になっているのかとも思います。

雨飾山=登山、鉈池
【撮影】1日目 16時08分=三浦 陽子
鉈池。

雨飾山=登山
【撮影】1日目 16時37分=伊藤 幸司
明日が楽しみな山の表情と天気。それに軽い腹ごなし。
登山のときの前泊の宿では、腹ごなしの行動があれば夕食になにが出てもごちそうだし、湯上がりのさっぱり気分も最高。湯上がりのビールと食前のビールが重なります。

雨飾山=登山
【撮影】1日目 16時42分=伊藤 幸司
帰り道で立派なアケビをさらにたくさん見つけました。

雨飾山=登山、アケビ
【撮影】1日目 16時43分=小林 美子
アケビだぁ〜
山 の自然なアケビです。
あ〜〜 届かな〜い!

雨飾山=登山、アケビ
【撮影】1日目 16時43分=小林 美子
これで取れるか。

ガンバレ〜。
どうしても取りたい!

雨飾山=登山、アケビ
【撮影】1日目 16時44分=小林 美子
ゲットしましたぁ〜
しかも2個。
早速、味見 あま〜い!

雨飾山=登山、山田旅館
【撮影】1日目 16時48分=伊藤 幸司
裏山から見た山田旅館。完全に山の中の一軒宿です。
糸の会では山裾の温泉宿でも北アルプスの山小屋料金の最高額1万円を基本に考えます。シニアの観光客なら若干もの寂しい値段ですが、山姿ならトイレなしの旧館にも積極的に泊まれます。古い宿の、鍵もかからないような本館でそういう格別の楽しさを味わえるのは山姿ならでは、なんです。しかも今夜はプラス3,000円の宿……。

雨飾山=登山、ママコノシリヌグイ
【撮影】1日目 16時52分=三浦 陽子
ママコノシリヌグイ

雨飾山=登山、山田旅館の玄関棟
【撮影】1日目 16時53分=伊藤 幸司
これが山田旅館の玄関棟。
山田旅館の公式サイトに『小谷温泉の歴史』がありました。
【妙高戸隠連山国立公園の標高850Mの山腹にあり、弘治元年(1555年)川中島の合戦の折りに、武田信玄の家臣によって元湯が発見されたと伝えられています。夢枕に観音様のおつげによって発見されことから、以来 現夢の湯(うつつのゆ)といわれ、450年の永きにわたり万病に効く名湯と謳われ、湯治場として親しまれて参りました。
中でも元湯の源泉は、明治時代にはドイツで開催された万国霊泉博覧会に日本を代表する温泉として、登別、草津、別府、小谷の4つが出泉された名泉です。源泉は全部で3つあり、元湯、新湯、あつ湯とそれぞれ効能豊かな源泉です。掘削やボーリングなど開発をさけ、昔のままの温泉源の姿を守り、すべてが自然湧出の天然温泉です。完全掛け流しで提供され、飲泉による効果の高い良質の温泉です。湧出から、湯船での提供まで、日本でも数少ない本物の温泉です。
昭和時代までは数件の旅館がありましたが現在は山田旅館の一軒になってしまいました。秘境の一軒宿として通年で営業しています。日本海から信州へ塩を運ぶ千国街道塩の道は有名ですが、糸魚川から湯峠を越え小谷温泉を経由する古道の湯道として、また、妙高高原から乙見峠越えのルートなど深い山越えの峠道もあり文化や物流でにぎわい親しまれてきました。
戦後、大糸線の開通や道路が整備されると昭和26年には路線バスが小谷温泉まで、入るようになりました。松本方面、糸魚川方面から容易に来る事が出来るようになりました。しかし、有数の豪雪地帯でもあるので、積雪は4mを超え厳しい自然の中にあります。
冬季(12月〜3月)路線バスは2キロ手前の大凪下までしか通っていません。当館まで除雪は毎日されていますので、通年営業はしているものの道路状況については天気次第ですので、お問い合わせください。】

雨飾山=登山、山田旅館
【撮影】1日目 17時34分=伊藤 幸司
ひと風呂浴びて、予定どおり、ゆっくりと夕食になりました。

雨飾山=登山、山田旅館
【撮影】1日目 17時34分=伊藤 幸司
地味に見えますが、満足できる夕食でした。

雨飾山=登山、小谷温泉山田旅館
【撮影】2日目 06時23分=伊藤 幸司
玄関のある建物が本館。その1階です。
山田旅館の『公式サイト』にこの解説がありました。
【本館……江戸時代建築、木造3階建てで、見事なケヤキの柱や梁で豪雪に耐えてきた重厚な作りです。一階の囲炉裏のある茶の間や神棚が歴史を感じさせ、その奥には立派な3部屋続きのお座敷があり、そこだけが天井の高い作りとなっています。2階と3階は現在も現役の客室で、昔ながらの湯治場です。長野県ではほとんど見られなくなった自炊場も近くにあり、長期の湯治滞在も可能です。】

雨飾山=登山、小谷温泉山田旅館
【撮影】2日目 06時25分=伊藤 幸司
本館の二階です。奥に客室が並んでいます。階段を登ると3階も現役の客室があるそうです。

雨飾山=登山、小谷温泉山田旅館
【撮影】2日目 06時25分=伊藤 幸司
記憶がはっきりしませんが、本館の3階へ上がる階段の途中から2階の廊下を見下ろしているのだと思います。その廊下は右の新館とつながっているのだと思います。

雨飾山=登山、小谷温泉山田旅館
【撮影】2日目 06時27分=伊藤 幸司
たぶん、これが本館と並んでいる新館だと思います。
公式サイトの『新館』には次のように書かれています。(合っているかどうかわかりませんが)
【新館……大正3年建築の木造3階建て、地元の宮大工の名棟梁、山岸市太郎の手によるもので、丸太の通し柱や、ケヤキを使った作りで、当館建物の象徴的な一棟です。角度の違う廊下がL型に繋がり、難しい木組みがされています。】

雨飾山=登山、小谷温泉山田旅館
【撮影】2日目 06時27分=伊藤 幸司
これは「前土蔵」。明治18年の建築だそうです。

雨飾山=登山、小谷温泉山田旅館
【撮影】2日目 06時50分=伊藤 幸司
朝食も十分満足でした。

雨飾山=登山、小谷温泉山田旅館
【撮影】2日目 07時19分=伊藤 幸司
出がけに撮った「新館」の部屋……だと思います。
料金表を見ると次のようになっています。
本館(木造)江戸時代建築──12,960円〜
新館(木造)大正3年建築──12,960円〜15,120円
別館(RC造)平成2年──16,200円〜18,360円
長屋 特別室(木造)明治時代・2008年改装──14,040円〜

雨飾山=登山、小谷温泉山田旅館
【撮影】2日目 07時25分=三浦 陽子
山田屋旅館前でマイクロバスを待つ。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 07時45分=伊藤 幸司
じつは山田旅館に泊まって計算違いが出てきました。旅館から登山口までは歩くと約1時間かかります。バスも送迎も期待できないのでタクシーを頼んだら、小谷観光タクシーのジャンボタクシーが、山田旅館までの配送を含めて7,100円。ジャンボ1台で運んでもらえたから良かったものの。
従ってこの写真、登山口から歩き始めたところです。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 07時56分=伊藤 幸司
素晴らしい秋の山です。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 07時59分=伊藤 幸司
登山口からちょっとのあいだ大海川の谷を歩くとすぐに登りが始まりました。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 08時16分=伊藤 幸司
「孤高のブナ」でしょうか。それにしても表情豊かな紅葉だと思います。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 08時18分=伊藤 幸司
この登り、紅葉に包まれて上へ上へと伸びていく登山道の気分がうまく感じられると思います。

雨飾山=登山、ブナ平
【撮影】2日目 08時41分=伊藤 幸司
標高約1,400mのブナ平という場所で休憩。上を見上げたらこんな感じでした。気温はここで13度C。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 08時48分=伊藤 幸司
紅葉に包まれて登る楽しさ。見る紅葉も素敵ですが、紅葉の中で歩く一歩、一歩には格別の味わいがあります。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 08時54分=伊藤 幸司
紅葉が枝の先端から始まっていく、ということなのでしょうか。
『実験観察館』というサイトの『生物実験室12』に『紅葉のしくみ─その観察と実験』がありました。
【紅葉のしくみについては、次のように考えられています。
葉に含まれる色素には緑色のクロロフィル(葉緑素)、黄色のカロチノイド(カロチン類とキサントフィル類)があります。量はクロロフィルがカロチノイドよりずっと多いので、黄色はめだたず葉は緑色に見えます。秋、気温が低くなると葉のはたらきが弱まり、クロロフィルが分解されます。そのため、クロロフィルにかくされていたカロチノイドの色がめだって黄色になります。イチョウ(Ginkgo biloba)やポプラ(Populus × canadensis)の葉が秋に黄色になるのはそのためです。
(緑の葉にも黄色の色素が含まれていることを調べる実験はここにアップしてあります→生物実験室11 葉はなぜ緑色? 葉の色素の化学)
一方、植物は葉を落とすための準備を始めます。葉柄の付け根にコルク質の離層という組織がつくられ、物質の行き来はここで妨げられます。そのため葉の中の物質は茎に移動できなくなり、光合成で生産された糖は葉に留まることになります。紅葉する葉では、この糖から赤い色素アントシアニンができて葉は赤くなります。葉はやがて、離層のところで切り離されて落葉します。
アントシアニンの合成には、温度と光の条件が重要です。1日の最低気温が8℃以下になると紅葉が始り、5〜6℃以下になるとぐっと進むといわれています。鮮やかに紅葉するには、日中の気温は20〜25℃で夜間は5〜10℃になり昼夜の気温の差が大きいこと、空気が澄んで葉が充分日光を受けられることや、大気中に適度な湿度があって葉が乾燥しないことなどが必要です。】

雨飾山=登山
【撮影】2日目 09時19分=伊藤 幸司
地形図(1/25,000)に標高1,448mの水準点がありますが、それがこの下の荒菅沢のところ。沢への降り口で雨飾山山頂部を始めて見ました。突如現れた岩峰群が布団菱(フトンビシ)と名付けられているそうですが、はっきりした意味は誰も知らないような感じです。
荒管沢を渡ったら、私たちはその向こう側の斜面を登ります。
深田久弥の『日本百名山』では次のように書かれています。
『三度目の雨飾山は、戦後のある年の十月下旬であった。そして私の長い間の憧れが今度は達せられた。登山口はやはり小谷温泉を選んだが、道は途中までしかなかった。頼んだ案内人を先に立てて、私たち四人はみごとな紅葉で塗りつぶされた山へ向かった。大海川へ入るともう道は消え、河原伝いに遡って行くほかなかった。
大海川は上流で二つに分かれ、私たちは左のアラスゲ沢を採った。それまで比較的ゆるやかだった谷が、にわかに急な沢となり、石を飛びこえたり、へつったり、滝を避けるために藪の中を高巻きしたりせねばならなかった。
沢筋に水がなくなって、ゴロゴロした大きな石を踏んで行くようになると、もう森林帯を抜け出て、見晴らしが展け、すぐ頭上にすばらしい岸壁が現れた。それはフトンビシと呼ばれる巨大な岩で、その岩の間に廊下のような細い隙間が通じていた。』

雨飾山=登山
【撮影】2日目 09時20分=三浦 陽子
すこーし秋の気配。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 09時21分=小林 美子


雨飾山=登山、荒管沢
【撮影】2日目 09時26分=伊藤 幸司
山頂までの標高差はあと500mほど。荒管沢を渡ると登りの半分ほどが終わって、舞台がガラリと変わるようです。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 09時29分=小林 美子


雨飾山=登山、オオイワカガミ
【撮影】2日目 09時48分=伊藤 幸司
日本海側のイワカガミ、オオイワカガミでしょうか。
『FLOWER LAND』というサイトでしょうか。写真主体の『雨飾山の花』がありました。
【北海道南部から東北地方、中部地方の日本海側に分布する、ブナ林を主とする樹林下などに群生。葉は長い柄をもち、大型で心形、長さ幅とも6-12cmになり、多数の尖った鋸歯がある、花は1.5-2cm】

雨飾山=登山、黒姫山、高妻山、戸隠山
【撮影】2日目 09時55分=伊藤 幸司
周囲の山が見え始めました。奥に見える山はどうも左端が黒姫山、頭が三峰に見えるのが高妻山、その右の平たい山頂が戸隠山だと思われます。

雨飾山=登山、小谷温泉の雨飾荘
【撮影】2日目 10時21分=伊藤 幸司
見下ろすと小谷温泉の雨飾荘が見えました。あのあたりから登ってきたことになります。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 10時32分=伊藤 幸司
なんだか完全に樹林帯を抜け出てしまったようです。標高は山頂でも1,963mですから、森林限界がかなり低いということになります。冬の気候がよほど厳しいということなのでしょうか。雨飾山に高山植物を求める人が多いというのも納得です。

雨飾山=登山、火打山
【撮影】2日目 10時35分=伊藤 幸司
雨飾山から西を見るとおにぎり型の焼山があります。その向こうにほんのちょっと頭を見せているのが火打山、その先には妙高山があるはずです。ただし焼山へ行く道は(多分)通れません。
この稜線を右寄りにたどると金山からブナ立て尾根を下って小谷温泉ということになるのでしょう。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 10時39分=伊藤 幸司
急に怪しい雲が出てきました。

雨飾山=登山、山頂
【撮影】2日目 10時47分=伊藤 幸司
いよいよ山頂が見えてきました。右のピークにもなにかあるらしく、山頂全体では結構な数の登山者がいるようです。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 10時47分=小林 美子
きれいな、うろこ雲。

雨飾山=登山、笹平
【撮影】2日目 10時55分=伊藤 幸司
私たちはまだ笹平というところにいます。

雨飾山=登山、笹平
【撮影】2日目 10時58分=伊藤 幸司
もうすぐのような、まだまだもうひと登りというような場面です。

雨飾山=登山、山頂
【撮影】2日目 10時59分=伊藤 幸司
カメラの50倍望遠でのぞくと山頂はこんななんですがね。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 11時07分=伊藤 幸司
この谷の、流れが始まるあたりを右手から左手へと渡ったのがおよそ1時間半前でした。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 11時11分=伊藤 幸司
もうまちがいなく最後の登りです。

雨飾山=登山、笹平
【撮影】2日目 11時11分=伊藤 幸司
笹平を振り返ると小さな池がいくつかありました。

雨飾山=登山、山頂
【撮影】2日目 11時22分=小林 美子
雨飾山の山頂。

雨飾山=登山、ナナカマド
【撮影】2日目 11時23分=三浦 陽子
頂上にはナナカマドの実が。

雨飾山=登山、白馬岳(左)と雪倉岳
【撮影】2日目 11時27分=伊藤 幸司
白馬岳(左)と雪倉岳(右)の稜線が雲の上にありました。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 11時28分=小林 美子
山頂では、真っ白なガスで何も見えなくなってしまいました。
残念。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 11時29分=小林 美子
真っ白だったガスが切れて雲の中に浮かぶ山がきれいです。

雨飾山=登山、山頂
【撮影】2日目 11時38分=伊藤 幸司
雨飾山山頂。北アルプスの展望がかなえられなくて残念でした。

雨飾山=登山、北峰
【撮影】2日目 11時39分=伊藤 幸司
笹平から山頂を見上げたときに右側に見えたのは北峰、この社でした。いちおう双耳峰と呼ばれているようです。

雨飾山=登山、北峰
【撮影】2日目 11時40分=小林 美子
南峰から北峰を望む。
人影と石仏がみえます。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 11時42分=伊藤 幸司
山頂までガスが吹き上がってくる気配です。

雨飾山=登山、北峰
【撮影】2日目 11時44分=伊藤 幸司
北峰の石仏群についても深田久弥は『日本百名山』で触れています。
『あとで越後の人からの知らせによると、古い猟師の話では、頂上の石仏は、糸魚川地方で有名な羅漢上人という坊さんが、自身で石を刻み、それをこつこつと山へ運んだものだそうである。』

雨飾山=登山
【撮影】2日目 11時45分=伊藤 幸司
石仏群のところには本気だと思われるお供え物がありました。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 12時35分=伊藤 幸司
越後側への下りが始まりました。

雨飾山=登山、ヤマアジサイ
【撮影】2日目 12時35分=伊藤 幸司
ヤマアジサイでしょうか。花の色は白、青、紫、赤と多彩だそうですが、この色いいですね。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 13時03分=伊藤 幸司
霧の中に、突然大きな木が現れました。おそらく冬には目の前の日本海から大量の雪がもたらされる斜面なのだろうと想像します。身をよじらせるようなどんな出来事も起こりうる世界ではないかと、思わせるのです。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 13時04分=伊藤 幸司
雪の重圧の中でかろうじて生き延びた根曲がりの木があると、ある程度道付けがされてなければとてつもなく歩きにくいことになります。もちろんこれは間違いなく登山道。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 13時06分=伊藤 幸司
越後側は急斜面です。足場さえよければ快適な下りなのですが……。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 13時19分=伊藤 幸司
蔦の葉のみごとな紅葉。何という蔦かわかりませんが。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 13時19分=伊藤 幸司
地形図(1/25,000)で見ると、かなりのヤセ尾根を下ります。さいわい樹林帯なので両側が切れ落ちているというような雰囲気ではありませんが、斜面は削ぎ落とされている感じです。

雨飾山=登山、ヤマモミジ
【撮影】2日目 13時22分=伊藤 幸司
イロハモミジのイメージからすると大味な感じがします。どうもヤマモミジのようです。
『森と水の郷あきた あきた森づくり活動サポートセンター総合情報サイト』に『樹木シリーズ22 ヤマモミジ、イロハモミジ、オオモミジ』がありました。
【紅葉が美しいヤマモミジ(山紅葉、カエデ科)
北日本の日本海側・多雪地帯に分布するカエデ。イロハモミジに似ているが、葉は直径5〜10cmと一回り大きい。基部は心形で、掌状に7〜9中裂する。新緑も紅葉も美しいので、庭や公園に植えられ、園芸品種も多い。イロハモミジの自生分布は、福島県以西、四国、九州の主に太平洋側の山地に普通にみられる。オオモミジは、北海道から九州まで広く分布するが、本州北部では、日本海側にヤマモミジ、太平洋側にオオモミジと棲み分けている。】

雨飾山=登山
【撮影】2日目 13時29分=伊藤 幸司
きちんとしたハシゴが出てきました。

雨飾山=登山、ブナ
【撮影】2日目 13時45分=伊藤 幸司
ブナの木がこの急斜面を支えているというふうに見えます。ダブルストックだと気持ちよく下れるところです。

雨飾山=登山、ダブルストック
【撮影】2日目 13時55分=伊藤 幸司
下りでダブルストックがもっとも有効な場面。ここでは段差が大きいので「2歩先」(基本は3歩先)にストックを突いて「一瞬重心をストックに」預けます。足は段差の上のできるだけ「先端」に置き、着地する足を「できるだけ手前にまっすぐ」(ストックとの関係で言えば1歩目に)降ろします。
簡単にいえばスキーで急斜面に滑り出そうとする最初の深い前傾姿勢をダブルストックでつくるのです。したがって巷でよくいわれるように下りでストックを長くするのはもってのほか、ストックは、下りでは深い前傾姿勢を作り出すための道具です。

雨飾山=登山
【撮影】2日目 14時16分=伊藤 幸司
森が深くなるに従って道は快適になってきました。

雨飾山=登山、雨飾山荘
【撮影】2日目 14時50分=小林 美子
着きました。
雨飾山荘。
ここで風呂に入り汗をながしました。

雨飾山=登山、雨飾山荘
【撮影】2日目 15時01分=伊藤 幸司
雨飾山荘では糸魚川からのタクシーを待つ間の入浴。玄関前の露天風呂には男性が入りました。

雨飾山=登山、糸魚川
【撮影】2日目 17時10分=伊藤 幸司
糸魚川は大火の後。糸魚川タクシーの若いドライバーにひと回りしてもらいました。以前糸魚川で食べた寿司が忘れられないという人が多いので寿司屋に行くと決めていたのですが、候補のどれにしたらいいか聞いたら「すし活」を理論的に強力にすすめたので電話すると、この人数でかろうじてセーフでした。

雨飾山=登山、糸魚川
【撮影】2日目 17時15分=伊藤 幸司
この寿司を食べた後、駅周辺に新幹線を待つための場所がなく、駅前の居酒屋チェーンを喫茶店のように使って1時間に1本の新幹線を待ちました。



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