箭内和子……山笑う・山眠る
福島県の山 9
磐梯山・初冠雪――1996.10



■磐梯山・初冠雪

 95年5月・加入していた登山教室の実技登山は、磐梯山でした。私にとっては3度目の磐梯山です。
 この時のルートは、川上温泉から入山。火口原分岐から櫛ガ峰を回りこみ、天狗岩に出て、弘法清水から山頂へ。山頂から弘法清水、八方台へ下山のルートです。
 川上温泉からの登山道はガスがかかると、迷いやすい難しいルートです。その上、距離が長いのです。
 川上温泉からは、薄い樹林帯。櫛ガ峰に向かっては、ガレバの急な登り。今までの磐梯山登山とは、全然違う雰囲気の登山道を歩きました。
 このルートが気に入って、喜多方の恵子さんを誘って翌年(96年)10月に登りました。
 喜多方の恵子さんとは、95年7月・山都町で毎年開催されている「いいでの集い」に参加して知り合いになりました。
「いいでの集い」とは、山都町の山のベテランが、サポートに入ってくれる飯豊登山のイベントです。初日に川入から入山し、切合小屋に泊まり、翌日飯豊本山をピストン。戻って切合小屋に泊まり、3日目に川入へ下山します。
 私は、自分の力だけで飯豊山に登るのに不安だったので「いいでの集い」に参加しました。ここで、恵子さんに出会いました。それから、恵子さんとの交流が続いています。
 恵子さんの磐梯登山の一番好きなルートは、押立ルート。恵子さん曰く、猪苗代湖を背中にしょって、磐梯山に登る。最高に気分が良いそうです。このルートだけは、直接山頂へ繋がっています。非常にすっきりとしたルートです。
 早朝、恵子さんと合流。恵子さんの車を下山口の裏磐梯スキー場・駐車場に置き、私の車で川上温泉に向かいます。川上温泉からの登山道は、うっすらガスがかかっていましたが、迷わずに歩けました。火口原のガレバを登り始め、高度が上がると、岩が霜で真っ白。
 マーキングが、全然見えません。風を避けて地図を広げて確認しました。進む方向を間違わないよう慎重に歩きました。時間はたっぷりあるし、間違えてもここまで来ているのだから大丈夫と思いパニックにならずにすみました。
 そのうちに天狗岩がはっきり分かり、安心しました。ここからは、順調に山頂を踏み、裏磐梯のスキー場へ下山しました。翌日の新聞に磐梯山・初冠雪と発表されていました。だから、岩場の岩が真っ白だったのだと、納得しました。
 10月の最終週の頃には、磐梯山は初冠雪する。この事をはっきり憶えた登山でした。

――2008.1.25 記


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