箭内 和子――山笑う・山眠る
東北の山 1
白神岳とベンゼ湿原――2001.6.28-30



■白神岳とベンゼ湿原

 2001年6月28日〜30日にかけて、JR五能線に乗って、山歩きと温泉と湿原です。
 2000年の梅雨時・キタダケソウを見るために北岳に登りました。その時に「肩の小屋」で、隣同士になり、妙に気があって知り合いになった桐山さんと、杉山さんと、その山仲間と一緒です。私を含み5人のメンバーです。
 28日・私は、郡山市に在住のため、東京から秋田新幹線で来る一行と、仙台で合流。仙台〜秋田〜東能代〜白神岳登山口駅へ。
 この日は、駅から歩いて約10分の「ガイドハウス・白神山荘」に宿泊。オーナーは故・長谷川恒夫さんと交流があったそうで、彼からのハガキや、彼が使用したであろう山の道具が、数点飾ってある。夕食に出されたお手製の魚のすり身のだんご汁は、とてもおいしかった。
 翌朝、オーナーに白神岳の登山口まで、車で送っていただいた。
 29日・曇り(一時雨)マテ山コースを登る。登り始めて2時間ぐらいで雨は止んだ。
 期待していたブナの林は、小ぶりなブナばかりで、期待はずれ。会津のブナの方が、大きな木があるなあ〜と思いながら急な登山道を登る。大峰分岐から稜線に上がるとお花畑(グンナイフウロ、ハクサンチドリ、ゴゼンタチバナ、イブキトラノオ、ニッコウキスゲ、サラサドウダン、ツルアジサイなど)登山道の両脇に咲いていて、花を眺めながら、ウキウキ歩く。
 山頂は残念ながらガスってしまい、展望はなかった。山頂付近に避難小屋があり、小屋の中で休憩。世界遺産のブナの塊を見たかったのに、ガスのため、見ることが出来ない。少々、消化不良。花が沢山咲いていたから、良かったね。
 白神岳登山口から、再度、JR五能線に乗って、へなし駅へ向かう。不老不死になったら、困るよね・・・などと言いながら、この日は「不老不死温泉」に宿泊。夕日を見ながらの露天風呂とはいかなかったけれど、赤茶色の温泉に入って、皆満足そう。
 30日・へなし駅から五能線に乗って、木造駅へ。タクシーで「ベンゼ湿原」に向かう。地元の人にもあまり知られていない低層湿原です。杉山さんが、何処かに貼られていたこの湿原の写真を見て、是非行きたいとリクエストしてくれました。
 海のそばの湿原なので尾瀬のように背後に山がある湿原と違って、ボワ〜ンとした印象です。花は、ノハナショウブ、ミズチドリが咲いていました。ついでに見てくることが出来て良かったです。
 14時過ぎに木造駅に戻り、弘前〜青森〜盛岡〜仙台〜郡山〜東京へ。各自、帰途につく。
 支線から、幹線へ乗り継ぐたびに、列車の速度が速くなり、時間と距離感がおかしくなりそうな旅でした。五能線と白神岳と温泉と花と、たくさんの見所があり、おばさん5人の山旅は、笑いの中で終了しました。

【注1】白神岳
標高1232m。青森・秋田両県またぐ山岳地帯の一角にある山。海抜0mから登る山として地元では、昔から親しまれてきた。白神山地の中心部・約17000ヘクタールの地域が、原始の遺伝子がよく保存された大自然の宝庫として、平成5年に屋久島とともに世界自然遺産として承認された。世界遺産のコアエリアは、許可を取らないと入山できないが、白神山地のまわりの緩衝エリアは、入山することが出来る。

【注1】ベンセ湿原
青森県西北部に位置するつがる市木造にある。日本海側沿岸部に屏風山砂丘地域があり、七里長浜に沿って松の防風林と内側にはカシワの自然林が連なっている。周囲には大小の湖沼があり、その中で平滝沼、大滝沼、ベンセ沼に囲まれた湿原がベンセ湿原です。海岸のすぐそばにこのような湿生植物群が存在するのは大変珍しく、北海道の北東部と本州ではこの屏風山一帯の湿原に限られているそうです。

――2008.2.22 記


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