箭内和子……山笑う・山眠る
遠くの山 31
くびき山塊 天狗原山(2197m)と金山(2245m)――2013.7.29-31



■天狗原山(2197m)と金山(2245m)


サンカヨウ


金山へ向かう

天狗原山と金山は、何処にある山か?と言うと、雨飾山の東側、火打山と妙高山の西側にあり、超有名な山に挟まれて、ひっそりとある山です。2012年の7月上旬に登ろうと計画しましたが、役場に問い合わせした所 「林道の雪が融けていない」と、言われて、2013年に再度計画しました。

●2013年7月29日(月)曇りのち雨
東京の西尾さんと、JR大糸線、南小谷の駅で待ち合わせ。西尾さんは、松本経由の「あずさ3号」11時43分着に乗ってくる予定。この時間に合わせて、郡山の自宅を6時25分発。
今回は、一人だし、軽自動車の方が高速料金も安いし、燃費も良いだろうと思って、ダイハツタントで出かける。西会津を過ぎた頃から、雨になり、速度を抑えて走行する。雨だったが、霧より見通しが利いて、かえって良かった。磐越道から北陸道に入って、黒崎Pと、名立谷浜Pで休憩して、10時35分に糸魚川ICを降りる。@4300円。
時間があるので、R148沿いの「道の駅小谷」で、時間調整。西尾さんと合流後、「道の駅小谷」へ戻り、昼食。小谷温泉に向かう。山田旅館のチェックインまで、時間があるので、鎌池の散策コース(1周約40分)に行ってみる。傘をさして歩けそうなので、ブナの原生林に包まれた遊歩道を1周する。透き通った水面、夏草の匂い、静かな時を過ごす。山田旅館に戻り、明日の朝食は、早く出かけるので、おにぎりを頼み、江戸時代からの温泉に浸かる。今風の露天風呂と、昔からの浸かるだけの風呂がある。客室の数の割にお風呂が、小さいかな?と思った。熱めのお湯なので、長湯は出来ないが、さっぱりする温泉だった。

●7月30日(火)曇りのち時々晴れ間
5時50分 山田旅館発   6時15分 金山登山口近くの駐車場に着く。 既に2台の車が停まっていた。6時25分 雨具の準備をして入山  7時15分 水場 ここまでは、トチやブナの深い森。アジサイ位しか花がない。上部に雪渓が残る小さな沢を渡り、しばらく進むと、水芭蕉、キヌガサソウ、エンレイソウ、サンカヨウ、カラマツソウなどの群落が出て来た。雨の後なので、沢っぽい登山道を上がり、ガレた広場に出る。ガスが出ていて、登山道の周りしか、見えない。晴れていれば、展望が楽しめるのでしょう。残念。滑らないように慎重に登る。また、樹林の中の登山道になる。「何時になったら、開けた所に出るのだろう。辛抱の山歩きだねえ」と西尾さんと話す。そのうちに、なんとなく話声が聞こえて来た。
9時50分 天狗原山手前の広場に飛び出した。一面の花畑。シナノキンバイ、ハクサンコザラ、チングルマ、アオノツガザクラ、ショウジョウバカマ、ミツバオウレンなど。
先行の女性3人が、休憩中だった。彼女達は、ここから下山するとの事。一緒におしゃべりをしながら、私達も休憩する。
10時15分 金山を目指して、歩きだす。先行のもう1グループ(男女のペア)とスライドする。
10時20分 天狗原山 山頂。周りの景色は、全然見えない。急な下りを下ると、大きな雪渓があった。この雪渓を見て、他の2グループの撤退した訳が分かった。雪渓の先が見えないので、どのくらい、どの方向に下るか、分からないのだ。取りあえず、西尾さんが、アイゼンを装着して下り始める。最初の数歩は、凍っていたが、後は、柔らかい雪面だったので、私は登山靴のまま下った。下って行くと、かすかにトレースが見つけられた。雪渓が切れて、登山道になると、ここからも、シラネアオイやニッコウキスゲ、キンバイなどの花畑があり、引き返した2グループの人達を呼び戻したい気持だった。多分、「神の田んぼ」と呼ばれる湿原でしょう。この後、6ケ所、雪渓が残っていた。金山山頂のすぐ下まで行ったが、最後の雪渓は、割れていて、両側に壁の様になっていた。うまく、取り付く所が見つけられない。ここまでにしよう・・・と話して、往路を戻る。11時30分 2か所の雪渓を越えた所でランチタイム。だんだん、空が明るくなってきた。 焼山や火打山のシルエットがぼんやり見えて来る。晴れ間が広がり、空気が乾いてくるのが分かる。登山道も、随分乾いてきた。下山の時は、展望も利くようになり、巻くように付けられた登山道から、垂直の岩場を見上げたり、笹が峰貯水池を遠望した。コバイケソウや、タカネナデシコの花畑に思わずニッコリしながら山を下る。でも、登りの時の天狗原山手前の稜線に出るまでは、ひたすら、黙々と登る山だった。湿った匂いがたちこみ、木の葉と下草の緑が混ざり合い、重い空気の中を1人だったら、歩きたくないねえ・・・そんな気分の歩きだった。15時25分 駐車場着。本日の登山者は、3グループ、7名でした。
山田旅館に戻る前に雨飾荘そばにある無料の「露天風呂」に入った。男女別に整備されている温泉で、林の中にある湯船に浸かり、今日の山歩きを振り返る。
当然、山田旅館に戻っても、温泉三昧だった。

●7月31日(水)晴れ
「山歩きは、お腹一杯です」の気分だったので、栂池自然公園を散策する事にした。
2本のロープウエーを乗り継ぎ、自然公園に上がると、さすがに涼しい。最初は、浮島湿原までのつもりだったが、展望湿原まで歩いてしまった。ウッドデッキの展望台からは、白馬大雪渓の下部だけ見えた。白馬岳などの後立山の山々は、ガスがかかり、見えなかった。
ワタスゲ、ニッコウキスゲ、ゴゼンタチバナ、ハクサンコザクラ、キヌガサソウ、サンカヨウなど沢山の花が咲いていた。ここでも、充分に高山植物が楽しめるのだと思った。
14時15分 JR南小谷の駅で、西尾さんとお別れ。
次回は、北海道にスキーに行く・・・約束をした。
14時55分 糸魚川IC〜米山SAで、休憩後、18時23分 磐梯熱海ICまで、ノンストップ
19時頃自宅着  走行距離 785.6km 1Lあたり 19.3km走りました。

メジャーな山ではないのですが、山が深くて遠い。その上、花が沢山咲いている。
こんな山を歩ける事に感謝、一緒に楽しんでくれる仲間に感謝、気持ち良く送り出してくれる家族に感謝。温泉に2泊しての山歩きなんて、本当に贅沢な山旅でした。


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