山咲 野乃香……花いかだ
私の黒檜山戦記――2006.2.11



■私の黒檜山戦記――2006.2.11

 転んだ、ころんだ、見事にコロンダ。その質、量ともにこれは特筆ものと思いレポートさせていただく。
 スノーシューの経験はあるがアイゼンで雪道は初めてで、コーチに4本爪を借りて出発。
 上りは無風でぽかぽか。どんどん上着を脱ぎ、半袖と長袖シャツ2枚でちょうどよくなる。眼下には、わかさぎ釣りの人がテントを引きずりながら湖上を歩く姿が見える。
 アイゼンは途中で一度ゆるみを直す。爪の間にすぐに雪が固まってしまう感じ。
 「私の足元をよくみてください」とコーチに言われるも、マネできているかいないかよくわからないまま、とにかくすべらぬよう踵で踏みしめて行く。所々口呼吸になりながらも、なんとか山頂。暖かいココアを頂戴しほっと一息。行きはよいよいだった。
 さあ、下り!! 先頭を交代しながら、私にとってはかなりのハイペースで下りる。
 多少の予感はあったものの、小1時間にしりもち5〜6回、大滑落?2回、覚悟の滑降1回・・・(こんなことなら、きちんと数えて糸の会ギネス申請もありだったと思える)
(なぜかコーチのしりもちだけは冷静に数えている私がいる)
 幸いにも、時折必死の形相を交えながらも、最後まで笑う、もしくは笑ってみせる余裕はあったと思う。その時点では痛みは大したものではなかったので。

 最初の大滑りでは心の底から笑えた。ころぶって楽しい! こんなに新鮮! と喜べる私も捨てたモンじゃない・・・
(ナルシストめ!)って感じ。なぜか笑いのツボにはまって、しりもちをつくたび愉快度を増していく。なんだ、なんだ、ちょっと痛いのも気持ちいいゾ!(私はM?)
 勝手にナチュラルハイも頂点といった時、コーチの甘い誘いが――
「すべっていいですよぅ」
・・・その時既に私の大腿筋はかなりキテいて、その10mほどの急下降をすべり下りたらどんなに楽チン! と、誘惑にふたつ返事で、尻すべりGo! Go!
 コーチと私のすぐ後ろのNさんは無事。私だけが突出していた小さな切り株をよけきれず、お尻をひっかけてしまう。
 アー痛い。「お嫁にいけなくなるぅ」と超古典的セリフをいいながら、やはり笑ってしまう。
 結構ひどい打撲かなと思い始めたのは温泉行きのバスの中。帰宅途中は鈍痛状態。家に着いたときには立ち座りが「イテテ、、、」となり、できれば知られたくなかった夫にも隠しおおせず、白状。尾底骨は内臓側に曲がってしまうとおおごとらしいと脅かされ、月曜に整形外科へ。レントゲンで縦ヒビ発見となった。痛みは半月ほど、自然放置で1か月で治癒の見通しとのこと。
 私のコロビの最大原因は、もちろん私の技量の未熟さだが、私にとってはアイゼンの爪数も少なかったと思う。
 また、後から他の参加者から指摘を受けてなるほどと思ったのだが、今回私は踵のある軽登山靴だったが、これに4本爪だと、運動靴のようなフラットな底につけた時より踵の高さに相殺され、効きが悪かったのではなかろうか?
 おまけに爪の間に固まりついた雪。底がゴム板だとつきにくいという意見もあった。コーチの「6本爪中途半端説」以外にも他の方からいろいろご意見を賜った。
 リベンジは釈迦ヶ岳でなるか、来シーズンに持ち越されるか微妙なところだが、今回の臨コロビ体験で見えたものを忘れず次のステップにしたいと思う。また、いにしえの尾の確かな所在を知らせるウズキも貴重な体験だった。
 ご一緒させていただいた皆様、ご援助、ご助言、激励ありがとうございました。


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