山咲 野乃香……花いかだ
古賀志山回想――2006.12.12



■古賀志山回想――2006.12.12

 古賀志山では、コワタノシイ一日をありがとうございました。
 しょっぱなの道なき道、あの植生は何と言うの? 藪では聞こえがよすぎる「ヤブ」。犬、猫はもちろんケモノも避けるようなトコロ、とげとげも結構ある背丈以上のシゲミをかき分ける事10分以上。エッ、ナニ? コーチころんだの? じゃあ、許してあげる! ホウホウノテイ寸前で脱出でき、「キモオカシイ」体験に昇格。
 パラグライダー滑空場からの眺望は、晴れ女優勢だったようで、爽快。
 岩陵歩きも、ドウダンツツジの落葉も美しく、「コワイ、こわい、きれい」の3拍子の歓声をあげながらの道中だった。

 ハイライトはやはり、ロープで確保してもらっての岩場下り。 
 ロープを脇下に巻いてもらう時は、仕立て上がりの着物に袖を通す時より胸が高鳴った。しかし、その怪しい高揚感も束の間、アレッ? コーチは上から吊り下げる人、私が先頭・・・、ゲッ、下で見てくれる人がいない!
 挑戦の喜びは半減、悲壮感が込み上げたけど、意を決して下る。そう、頼りになるのは己の手足だけ、自分の健気モードに酔いしれそうになりながら、手間取りつつ、何とか宙吊りにならずにあと身長分だけという所で一息。
 体勢を進行方向に変えるも、足掛かりがわからない。右手は傾斜した硯石に湿った苔を生やした風の見るからに滑りそうな1m以上の岩盤。どう見ても踏み出す気にならない。その場で腰を下ろして、飛び降りてしまおうかと思うけど、着地面もかなりの傾斜。おまけにすぐ先に段差。リュックの弾みで前のめりになったら絶対アウト。ウーン。
 しばし右往左往してしまう。ようやく横手から覗き込むと、突出した岩の下に足掛かりあり。無事着地。
 ところが、今度はカラビナがはずせない。初めてではないのに、エッ〜、ナンデェ〜、かなりアセル。回す向きもあっているのに、手袋をしていたにもかかわらず指がかじかんだか、力入らず回せない。「岩にぶつけてみれば」のコーチの指示に従い、やっと緩んだときにはホッとした。

 次に私が犯したのは、「Y嬢混乱罪」。ゴメンナサイ。
 自分的には、コーチの「あまり言い過ぎないように、次の人を見ていてあげてください。」と言う指示はしっかり聞こえていて、最小限のアシストを守ったつもりでいた。冷静に考えれば、最も経験の浅い私が何とかなっているわけだから、言わずもがなである。多分、ハイテンションになっていて最小限が肥大化したのだ。お許しあれ。
 自分の時よりも、人様が踏み外したり宙吊りになりかかったりを下から見ている方がはるかに怖く感じるものだった。

 次なるハイライトは、糸の会スペシャルメニュー、「日没後下山」。コーチの本で擬似体験済み(?)だったが、本番はいつかと心待ちにしていた。
 日没後30分無灯火というのは、想像通り、文句なく伊藤説に満点という感じ。
 暗闇を灯火しながらの下山はというと、ヨムとスルでは大違い。私はLEDヘッドライトを首から下げたが、ライトの大小云々、道をはずさない云々より以前に、一歩一歩を滑るまいしか考えられず、他のことに頭を働かす余裕なしだった。1回大転びするも、幸い無事。
 有り難い経験であったが、このような状況も技量が上がれば違ったものになるのだろうか。回を重ねて余裕の出る可能性はあるやなしや・・・。暗闇の記念写真の出来やいかに・・・

 確かなのは、アドレナリン、ドーパミン、セレトニン諸々出まくりの、私の脳内活性化に大いに貢献した山行であった。


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