山咲 野乃香……花いかだ
山と「おしゃべり」――2008.4.18



■山と「おしゃべり」

 私は、物静かで控えめな女性に魅かれる。(ウフッ)もうその時点で、丸バレ!
 そう、私は物静かでも、控えめでもないのです。(オホン)自己評価は中庸よ。

 糸の会入会前後に、いくつかの山歩きの会に関わりがあった。
 どの会の主催者も個性的で、それなりに良質のプログラムが提供されていたと思うが、それぞれに印象的だったのは参加者の「おしゃべり」である。
 少々奇異に感じたのは、とあるカルチャーセンターの中高年向き登山講座。
 このA会は説明会に参加したのみで入会したわけではないので実態は違うかもしれないが、なんと、山行中に「山の話」はご法度という掟。主催者曰く、自分が登った山の話は、その山に登った事のない人にとっては非常に鼻白むことであるので、してはならぬという趣旨。
 確かに「山」に限らず、自慢話というのは聞き苦しいものかもしれぬが、それを禁ずる規則文を作ります? フツー、いい大人がさ。(因みにストックも自然破壊説で禁止だった)
「自慢じゃないけど」の自慢話を聞くのもするのも好きな私には無理だった。
 少々の苦痛を感じたのはB会。こちらは10年ほど前に三男と自然体験プログラムに参加して以来の縁で、年数回の山登りをし、中高年登山の本を読むきっかけ、すなわち糸の会と出会うきっかけとなった会である。参加者は毎回4〜5名の少人数。私以外全員60代のおばさんだったが、その「おしゃべり」の量も質もハンパでない。集合場所で出会った時から帰途に着くまで間断なく続くのには、マイッタ。
 悪気がないのは十分わかるし、これが彼女たちのストレス解消法かもと思うと、無碍なことも言えず、こちらが遠慮した方が無難だった。
 うって変わってお通夜型だったのはC会。こちらも大手カルチャーセンターの講座が参加者不足で、主催者個人の会に移行したもの。主催者のD先生は日本山岳協会認定ガイド。某山岳雑誌の公募山行ではオバサン人気度?1の、親切と気遣いのかたまり(しかも40台イケメン)のような先生。
 ところが、なぜか参加者はいつも5名前後の少人数。年代は4〜50代。そしてこの方々が極めて口数の少ない方ばかり。雑談もぽつりぽつりとあるかなきか。私とD先生の声ばかり目立つ。B会とは正反対、かなりの静寂を楽しめる山行だったわけだが、まあ、勝手なもので、自分がふった話題にあまりの弱反応もつまらぬものである。

 そして、当 糸の会といえば・・・
 一言でいうなら、さすが皆様「おとな」。踏み込みすぎず、かといって、よそよそしくなく、適度に己を語り、場にふさわしい雑談を楽しむ。「山歩き」でみえるものはそれぞれでも、「糸」の奏でる通奏低音のなせるワザか、感性を共有できる者どうしは世間話も面白い。
 つるまない性根の私が、ポロリと内輪話をしてしまう。そんな問わず語りも懐深く受け止めてもらえる安心感は有難く思う。糸の会では、5年、10年、20年後に自分もあのようでありたいという先輩がいる。
 敬愛できる人がいるということは、シ・ア・ワ・セ。


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