林 智子……あたまをつかったちいさいおばあさん
私の 大好きな人――2008.12.17



■私の 大好きな人――2008.12.17

私の大好きな人は 84歳の おばあさま。
でも 彼女のことを <おばあさま> などとは 思ったことも
ないし また そう 呼びかけたことなども 一度もない。
なぜなら 彼女は おばあさんじゃないから。

彼女は Gさんという。
Gさんとは 8年ほど前 フィットネス内の パソコン出張クラスで出会った。
この 中高年の私が ダントツに 若いといわれた 超高齢者パソコンクラスの 
4人のメンバーの中で Gさんは 最高年齢者だった。
にも かかわらず 其の 頭の回転の速さや 雰囲気の明るさは 
これまた ダントツだったし ぴかぴかだった。

パソコンで お会いしてから よくよく見れば フィットネスのプールで ひたすら 泳ぐ
人々の中に Gさんはいた。私の プール暦は 結構長く もう 14・5年になるが
プールでの 私は ホボ じっと ひたすらに 前を向き おじさんに
混じって 歩く人を 長いことやっていたので プールにどんな人が いるのかなど
ほとんど 知らなかった。
 
でも Gさんがいると知ってからは 方針を少し変えて オジサン組から脱出し
周りの人と 少し 話してみることに してみた。
なぜ オジサン組かと言うと プールの おじさまたちは ほぼ 独立独歩体制で
歩きながら ダラダラと 話しはせずに さっさと 歩いたり さっさと
泳いだりしてのち さっさと 帰宅・・という 体制の人が 多くて
私は おばさんではあるけれども おばさんたちと あれこれと 世間話なんか
して たらたら 歩くのは ほんと 苦手で 面倒くさかったから
プールでは 孤立無援 独立独歩体制を とっていたのだ。
つまり おおざっぱに言って おじさん組。

*しかし・・・山は 別だ。
最初 静かに歩いていた私も いまや 大騒ぎだもの。自分が
信じられないわ。
あることないこと 喋り捲り キャーキャーやっていて うるさいでしょう。
しかし ホントは 本当の私は たいていは 一人で静かに 日々を過ごしていた・・・
んだけどなー。 ウン? でもないか?幼稚園でキャーキャーやっていたか!

なんと Gさんは 72歳の時 テレビで スキーの講座を見て
<アラ・おもしろそ! やってみよう!> と 其のテレビの先生に
電話をして スキーを 始めちゃった・・と 言うのだ。
それだけだって ウワー素敵!と思うが 80歳のバースデイの 息子さんからの
プレゼントが 新しいスキーの板。
プールで 互いを 見つけると <Hさーーん・山 いってきたー?>
<スキーどうですかー?>などと ついつい 山の話で 盛り上がる。

<もう いつまでいけるかわかんないけどね。スキーなんか楽よ。 泳ぐより
楽よ。あなたは ものすごく 若いんだから スキー おやんなさい。
5時からが また 楽しいのよ。ぱかぱか 飲んじゃうのよ!>
<どっこも 悪くなくって どうしちゃったのかしら? わたし。
おばーさんなのにねー>などと おっしゃる。

若かりし頃の Gさんは 呉服屋の娘で 両親が早く 亡くなったが為に
叔父さん夫婦に 育てられ 花嫁修業はいいが おじょーさんに 学問なんか!
といわれ 外交官になりたかったにも 係わらず 学問を させてもらえなかったのが
それだけは 残念でならない・・と 時として しんみりと 話された。

とはいえ そんなことは 蹴散らし 笑い飛ばし けらけらと 逞しい。

今日 Gさんは 東京で一日遊び 一泊してから 飛行機で スキー場に 飛んで 
2泊して 滑りまくるのだそうだ。
<お天気はいかが? お気をつけて いってらして下さいね>の
私への お返事は <大雪よ 降れ・・・ってかんじ。 わたしなんか いつ
死んじゃったって もう いいんだから。 じゃんじゃん 滑ってくるわ>だって。
といいつつも プールの横で 誰よりも 念入りに ストレッチをなさる
Gさん。 

北海道の キラキラと 輝く 雪のなかの 彼女が目に浮かびそうだ。
彼女の笑顔が 私にも 物凄く 幸せを くれる。
いいなあ・・・ Gさんは。 すきだなあ・・・・・!
素敵な人だ。


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