林 智子……あたまをつかったちいさいおばあさん
我が親友・・デイミちゃんと薔薇と――2009.4.16



■我が親友・・デイミちゃんと薔薇と――2009.4.16

 うちの お向かいには マドモアゼル・デイミちゃんが住んでいる。
 デイミちゃんは 猫である。
 生後 8ヶ月の デイミちゃんは ある日 突然 お向かいのうちにつれてこられた。

 さっそく デイミちゃんは ご近所の 探検をはじめた。
 大人の猫ちゃんより やっぱり 少し 小さくて 幼い感じは デイミちゃんって子供なのね!・・と 納得。
 私は ネコは 苦手。というより 近くで 相対した経験が ほとんど ない。

 デイミちゃんとは 初めて 出会ったのに デイミちゃんが 私のことを すぐ 好きになってくれた。私も デイミちゃんが 大好きになった。
 マイ自家用車の 自転車で 私は この近辺を 風のごとくに 毎日 走り回るが この音を 聞きつけたデイミちゃんも また 必ず 風のごとくに 音もなく私の元へと 駆けつける。うれしい。
 しかも このごろは 二人は 会話もするのである。

 北風が ぴゅうぴゅう吹いて 寒いのに 家の門の前で 日向ぼっこをしていたデイミちゃんに
<アラア・デイミちゃん・今日さむいよう・大丈夫? さむくなーい?>と思わず 声をかけたら 
<ミャー・寒くなんかないよ。会いたかっんだもん>と 答えた。

 どうも 最近 デイミちゃんは マドモアゼルになってきたようだ。
 少し 大きくなって 体型は 大人のように見える。
 私をじっとみて 少し ご挨拶をした後は デイミちゃんの 目に入るものはこの世の森羅万象 全てである。
 全てのものを デイミちゃんは 見逃さない。
 小さな虫の音も ちらりと 散った 花びらも。
 デイミちゃんは 凄い能力の持ち主だね!と思わず デイミちゃんを 抱きしめそうになる。
 けれど・・・・デイミチャンは 絶対に 抱っこなどは 嫌なのね!

 一回 デイミちゃんは 我が家の木登りには 失敗した。
 いいとこみせようと 思い切って走り登った木から 降りられなくなって じたばたした。
 やっと 降りてくることができた かっこ悪い デイミちゃんは さっさと 振り向きもせずに自宅に 帰ってしまった。
 しかし 次には そんな お馬鹿なことはしない。
 登るぞ と 決心した デイミちゃんは また 我が家の木に 走り上った。
 そして 木をわさわさと ゆすった。
 前回 かっこわるく じたばたしたところでは 思い切って一気に 駆け下りた。
<やったわよ! 私って やるときは やる猫なのよ!>と 
得意そうな笑顔と興奮を 私に見せて デイミちゃんは 自宅に飛んで 帰っていった。
<へえー!> <デイミちゃんは ほんと プライド高いんだねエー>と 
我が家の デイミちゃん指数は 高まるばかり。 ほんと デイミちゃん 好きだ!

 さて 春もたけなわになってきたせいか 今日など キラキラと お日様が まぶしいほどだ。
 小学校の 桜も 咲き始めているし 私だって 花見にいかにゃーーと 思うぐらいだから デイミちゃんだって ゼッタイ 朝から 近辺くまなく お花見と お散歩と 確かめるべき山ほどのお仕事を こなしつつ 楽しくやっているに違いない。
 今回 私は ある本を読み 
 <おいしいものをたべて 大好きな洋服を着て 薔薇の香りにつつまれて幸福に暮らそう!> という 一説に であった。
 よーし・よーし・やってやりましょう。薔薇ね・薔薇。
 私もお庭に薔薇を植え 薔薇の香りに 毎日包まれて 幸せに暮らそう・・・やろうっと!

 というわけで 小さな庭には 小さい小さい ミニ薔薇を 植え続けている。
 庭に 私がいると さっそく デイミちゃんは 飛んでくる。
 このごろ さらにさらに 私の質問には こたえてくれる デイミちゃん。
<デイミちゃん・あったかいから お散歩ですか?><ミャー・そうにゃりん>
<デイミちゃん・ボーイフレンド 出来ましたか?><ミャー・いにゃい・くすん>
<デイミチャン・いつも お散歩してるの? あとは寝て暮らしてるの? 猫の暮らしは 面白いの?>
<ミャー・森羅万象・我輩にとっては ことごとく 愉快にゃのじゃ・よ>
<アラ・デイミちゃんは 女の子でしょうが・・>

 といってる間に 季節は 春も終わり?
 こぶしも 桜も もくれんも 散った。
 でも 私の庭の ミニ薔薇は 今 小さいながら ピンクや黄色の 花々を咲かせてくれているのだ。
 薔薇の香りに包まれて 幸せに暮らそう・・計画。
 薔薇は まだ ささやかだけれど 私は 思った。
 毎朝 <私の小さな ミニ薔薇ちゃん・・・咲いてくれてえらいねえ・・・・・>
 なーんて 話しかけたりして それって 凄い 幸せ! たのしいねえ・・。充分 しあわせじゃーん。

 昨日 例のごとく 鼻歌まじりで 家に帰ってきたら 黄色い薔薇の横の ブロックの上に ネコがいる! いかにも 当然 俺んちって感じで。
 アレ! デイミちゃん?
 デイミちゃんなんかじゃない。
 どすの利いた 強そうな やくざみたいな 感じの 白黒のネコ。 <なんか 文句ある?>ふうな顔をして 私を 見た。
<文句なんか ないけどさ・・・・><なーに? これー>

 しかし デイミチャンは? と お向かいを見てみれば この光景は しっかり デイミちゃんも見たのだ。
 私を認め 家のほうには 来たけれど 遠巻きに サクに沿って ちらり・と 私をみて 行っちゃった。 あーあ。 やくざなんかなあ・・・・・・・。
<やさぐれた やくざもんは 家に来ないでいただきたい。箱入り娘の デイミチャンと仲良くしたいのよ>と
私は 今日も 思っている。

 さーて デイミチャンに 会いに行こうっと。


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