行道山――2007.12.18(火)


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◆糸の会山行[542]――12d
◆行道山
ぎょうどうさん(石尊山見晴台)……442m
おおいわさん(大岩山)……417m
りょうがいさん(両崖山)……251m
登り5p→稜線29p……31ポイント
日の出0647、日の入り1627……12.18宇都宮で
◆東武伊勢崎線・足利市駅から……2007.12.18(火)実施


●タクシーは足利市駅→浄因寺2,870円。1040行道山浄因寺の駐車場(標高約200m)を出発……1050-1100境内で休憩。1135-45-50石尊山見晴台(標高442m)
●駅待ちのタクシー3台を使ったが、先頭の1台が参道入口でメーターを倒した。後の2台はさらに駐車場まで上がるつもりのところ、道をふさぐようなかっこうで止めていた。けんか腰でふたたび前に行かせるという小さなハプニングがあった。後で聞いたところによると駐車場が満杯になってUターンできなくなることを恐れていたらしい。……とはいえ、メーターを倒してしまった運転手は追加料金をひとり100円(計500円)請求したというから、根性のよくないところもありそうだ。道は集落の最後のところからすれ違い不可能になる。ときに車で大渋滞するというが、そういう日があるというだけでこちらは感心する。駐車場まで上がってみると車が1台止まっていた。寺の車のようだった。

●境内に上がってみると、黒い犬が挨拶にきた。これまではいつもつながれていたが、愛想よく全員に挨拶している。が、最近では「エサをやらない」というのが動物とのつきあいの基本だから、だれも食べ物を分けてやらない。犬はあせるでもなく、淡々と挨拶回りをつづけていた。
●いつも思うのだが、この寺にはかつて「関東の高野山」と呼ばれたというブランドがある。往時の面影なしとはいえ、断崖に囲まれた南画的風景と新緑・紅葉は現在も名所とされる。下から見上げると転げ落ちそうに見える清心亭を積極的に利用して茶を出すなり、本格的に精進料理を出すなりしたら、これは関東有数の観光スポットになる。
●じつは今回のルートの最後、織姫神社の石段脇にはそば通に広く知られている「おりひめ茶屋蕎遊庵」がある。不定「休」ではなくて不定「開」の店で、蕎麦系のイベントスペースという理解が正しいかもしれない。なにも常設でなくていいし、オーナーが自分でやる必要もない。浄因寺の清心亭でフランス料理が出たっておかしくない……といつも思うのだが、もったいない。

●1220-30毘沙門天でトイレ休憩(標高約300m)……1305-15(標高約200m)……1350両崖山(251m)通過……1355-1405展望台で休憩……1450-55織姫公園ホワイトパレスでトイレ休憩……1505織姫神社鳥居下(標高約30m)
●浄因寺の犬は、結局石尊山見晴台のところで目的を達成した。けっこういろいろなものをゲットしたけれど、態度がすこしも変わらないあたりはお見事。道に臭いづけしながらの巡回行動は、そのすこし先で終わったようだ。
●標高417mの大岩山の下にある毘沙門天は足利七福神のひとつで、悪態まつりというのがあるという。七福神というイメージと悪態とはなかなか相容れない感じがするけれど悪態の一等賞には1万円の賞金がつくという。我がグループ内に「悪態ならまかせて!」という人がいたが、悪態にも「明るい悪態」とか「よい悪態」などというのがあるのだろうか。
●両崖山(標高351m)は城跡ということだが、素通りして日当たりのいい、足利市街が一望できる展望台のところで休憩した。そこから尾根は岩っぽくなり、見晴らしがよくなる。尾根はだんだん公園の雰囲気を加えていき、織姫神社の背後にあたる古墳のところで終わる。そこにはホワイトパレスと呼ばれる公共の建物がある。正式には「織姫公園レストラン棟」というらしい。
●以前はその1階にハーブティーなどが飲めるカフェテラス(WHITE GARDEN)があったのだが、しばらく戸締めになっていた。ところがやっているではないか。「織姫山荘・手打ちそば・伊とう」とある(0284-21-5201)。コーヒーも飲めるが、そば屋らしい。帰ってからインターネットで調べたら2007年の11月オープンだからまだ開店早々という状態だった。この建物は公共の施設なので、きれいなトイレを自由に使える。

●行道山から織姫神社への尾根歩きは、柔らかな日差しにつつまれて、歩いているだけで心楽しいものとなった。足元から街が始まっているような場所にありながら、谷を隔てた向かいの斜面にシカの鳴き声を聞くなど、自然の雰囲気も漂わせている。なによりも関東平野に下っていくという感触がいい。
●歩きながら、ず〜っと悩みがあった。織姫神社以降のスケジュールに関してだ。「1500ごろ_織姫神社」という予定のその後をどうするか……だ。
●「織姫公園レストラン棟」でそばを食べるという手がある。すぐ下に駐車場があるのでタクシーを呼ぶことができる。ここで終わりにするという場合には有効な選択肢だ。あとはタクシーで風呂や駅に直行できる。あるいはここではコーヒー休憩にして、風呂の後の食事を残しておくことももちろんできる。
●しかし、今日は途中で「足利学校を見学できたらいいな」という声があった。時間的に十分可能なので優先順位の一番に上がってきた。たぶん開いているのは1600まで、入館料も取られる。すこしは時間的な余裕がないといけない。
●タクシーを使えば時間はかなり節約できるが、歩いてもいける。ちょうど微妙なところなのだ。歩いていけば舟定屋本店(0284-21-3807)ご自慢の「本物の」芋ようかん(1本500円)が買える。さらに数分で古印最中の香雲堂本店(0284-21-4964)。さらにそびえ立つ足利商工会議所は足利の栄光の時代を今に伝える。さらに鑁阿寺(ばんなじ)への飾り歩道、そして足利学校への入口。古印最中を買っても1630までに足利学校へ着くことができた。
●足利学校はしかし閉まっていた。年末年始の準備らしく、臨時休業とのこと。ところが「庭だけなら」ということで親切に案内してくれた。もちろん無料。建物に上がったとしても特別に見る価値があるというほどではないので、逆にラッキーだった。
●案内してくれたその人が、明るいうちに鑁阿寺を見ておきなさいと強くいうので隣りにまわる。途中でめん割烹の「なか川」をのぞいたら火曜定休となっている。私の計画書もそうなっているではないか。今回は一茶庵ではなくなか川にしようと密かに決めていたのだが、ご破算だ。

●寒い日はまず風呂だが、足利には総合グラウンドの奥に幸の湯があり、川向こう、東武の足利市駅のさらに向こうに足利健康ランドがある。鑁阿寺まできてしまうとタクシーを呼ぶというほどの距離ではないので歩くことにしたのだが、これが結構遠い。遠いけれど、みなさんから不平は出ない。出ないように、話しておいたことがある。足利で小学生だったひとがいて、昔の遠足は学校から浄因寺まで歩いて、織姫神社からまた学校まで戻ったという。タクシーの運転手に聞いてみるといまでもそうらしい。つまり私たちは立派な山の格好をしてはるばるやってきて、小学生の遠足の半分しか歩かない……。だから風呂まで歩くぐらいはおまけのうちと。
●総合運動場は市立の足利女子高校の先になる。途中、人が並んでいる屋台があった。1個百円の今川焼き(というのかどうか確認はしていない)で、屋台のくせに「駐車場→」という張り紙をしてある。店の前に止めるなという意味のようだけれど。
●女子高校が終わったところにも屋台があった。なんとコーヒーだ。ARAGINという有名な店だそうで、ここに30年以上とか。風呂帰りに歩いてくるとすれば一杯飲んでみたいところだが。

●風呂からは当然タクシーになる。どこへ行くかだ。東武駅のすぐ近くにある肉汁うどんの小島屋だと特急の時間を見ながら食べられる。しかし雰囲気は大衆的だ。だからそこで昼食を食べて出かけたことがある。今日はまだ店が開いていなかった。
●人数が少なければ新しい店の開拓もいいけれど、足利が初めての人であれば、一茶庵本店は一度はいっておいていい店だろう。そば名人排出の仕掛け人・片倉康雄は大正15年(昭和元年)に新宿に「まずいそばを食わせる店」をオープンした。店はその後「まずいそばを食わせるくせに、へんに熱心な店」になったと『蕎麦と生きる――一茶庵友蕎子・片倉康雄伝』(柴田書店・1997年)で岩崎信也は書いている。8年後に大森にそばと料理の店を開いている。そして戦後、片倉は足利に店を移した。
●タクシー……幸の湯→一茶庵980円、一茶庵→足利市駅(?円)
●以前、冬の寒い日に鴨なんばん(1,350円)を無性に食べたくなったことがある。同時におせいろ(650円)も頼んだら、同じそばがこれほど違うのかと驚いた。そばと鴨を同時に味わいたかったら鴨せいろ(1,350円)ということになるのだろうが、冷たいそばならそばつゆで食べた方が主役が際だつように思う。そばが主役から脇役にまわっても鴨なんばんという選択肢は捨てがたい。一茶庵の鴨はおいしいと思ったからだが、あるとき、鴨なんばんでそばを田舎そばにしてもらった。けれどもやはり、そばを主役にしようとしても汁そばでは無理があると思った。
●今回はさらしなせいろの大盛りにした。さらしなせいろは650円で「おせいろ」というふつうのせいろとと同じ。大盛りになると900円。いつもなら大盛り2枚というようにして腹で味わうところだが、もうそういうのはやめようかと考え始めているので大盛り1枚に。さらしなは値段は同じだが量がちょっと少ないかな……などと思いながら。

●駅について特急券を買うに当たって、いつもなら特急券だけまとめて買うところを、各人それぞれに、ということにした。私鉄ではふつう、全席指定の特急ではひとりなら窓際席を順に埋めていく。つまり2人掛けにひとりずつだ。ところが何人かまとめて買うと、連番の特急券になる。ありがたいのは通路をはさんでボックス席が2つ並ぶようにしてくれること。ありがたくないのは、そのグループ席の手前にも先にも2人掛けに1人が続いて、グループのところだけ乗客密度が高くなるという気分。周囲がガラガラだといろいろありがたいのだが、前後ともひとり客できちんと埋められている。権利としては、2人掛けをひとりずつに割り振ってもらえればゆったり自由に使えるのだが、そうしようと思うと離ればなれになってしまう。行きはともかく、帰りは眠る人も多いので、ゆったり気分でも帰りたい……という気分が強くて「特急券もそれぞれ買いましょう」ということにした。そして予想どおり各車両にみごとに振り分けられた。


◆集合
●12.18(火)8:40……東武浅草駅_1階出札口付近
*この時刻に集まった人で特急券(座席指定)をまとめて購入します

◆ポイント
●ご存じ、行道山は足利市の後背部に長く延びる稜線です。冬枯れのこの小さな稜線をゆっくりとたどりたいと思います。
●起点の行道山浄因寺は「関東高野山」と呼ばれる名刹。行道山はその寺の山号なのですが、登ったところにある標高442mの無名峰を行道山と総称するという説をここではとっておきます。そこにはたぶん石尊山という名があるだろうと思いますが、谷をはさんで北西に標高486mの石尊山がありますから、そこは石尊山の展望台というのが穏当な解釈でしょう。
●地形図では平坦なハイキングルートをルンルン気分で歩くかのように見えますが、実際には、時間分、びっしりと歩かされることになると思います。でも楽しい道だと思います。
●一茶庵でそばを食べた人が多いと思いますので、今回はちょっと違った店にしましょう。もちろん、舟定の芋ようかんは1本買って帰りたいと思います。

◆往路
0850_浅草始発(東武伊勢崎線・特急りょうもう号5号_赤城行き)……1008足利市
0850浅草→0901北千住→1008足利市
*タクシーで行道山浄因寺へ

◆現地行動
1100ごろ_浄因寺を出発……上り5ポイントを30分として
1130ごろ_石尊山(行道山)……稜線4ポイントを30分として
1200ごろ_毘沙門天……稜線12ポイントを1時間半として
1330ごろ_両崖山……稜線13ポイントを1時間半として
1500ごろ_織姫神社
*天気によりますが、足利学校・バンナ寺あたりを歩いてみましょう。食事などもお楽しみに
*風呂の往復にタクシーを使います。

◆帰路参考
●東武伊勢崎線(特急りょうもう号。特急夜間割引800円)
1806→1925、1837→1955、1905→2025、1946→2105、2034→2155

◆往路参考
●地下鉄銀座線
0802渋谷→0815新橋→0824神田→0829上野→0834浅草
●都営地下鉄浅草線
0816新橋→0825東日本橋→0826浅草橋→0830浅草
0707芝山千代田→0720京成成田→0852津田沼→0757京成船橋→0829浅草(西馬込行き快特)
0651京急久里浜→0808品川→0819新橋→0828東日本橋→0829浅草橋→0833浅草
●総武線各駅停車
0726千葉→0743津田沼→0800市川→0815錦糸町→0820浅草橋
●中央線快速
0658高尾→0705八王子→0720立川→0741三鷹→0802新宿→0814神田
●山手線
上野←6西日暮里←12巣鴨←16池袋←21高田馬場←25新宿
上野←4秋葉原←6神田←8東京←12新橋←20品川
●地下鉄半蔵門線+東武伊勢崎線
長津田0709→0803渋谷→0820大手町→0833錦糸町→0839押上→0848北千住
●地下鉄日比谷線
0808中目黒→0842上野→0851北千住
●地下鉄千代田線
0816代々木上原→0838新御茶ノ水→0852北千住

◆費用の目安
東武伊勢崎線_浅草→足利市……940円
特急券_浅草→足利市……1,000円
taxi_足利市駅→浄因寺……1台約2,500円
東武伊勢崎線_足利市→浅草……940円
特急券_足利市→浅草……夜間割引800円
*ほかに市内で短距離のタクシー利用があるかと思います

◆電話
●タクシー(足利市駅)
朝日タクシー_0284-71-1101_駅前
●入浴(足利)
幸の湯……0284-42-0030……450円(休日550円)_1000-2400_第一火曜定休_民間_総合運動場隣
●そばなど(足利)
肉汁うどん 小島屋……0284-71-3257……1130-1500/1700-2000_日曜定休_足利市駅裏徒歩3分
舟定…… 連絡……芋羊羹
カフェ・ド・フルカワ……0284-42-9619……昌平町_コーヒー専門_0630-1730_月曜定休_学校門近く
WHITE GARDEN……0284-21-0171……1000-1700_月曜定休
一茶庵本店……0284-40-3188……1130-1400/1630-1900_水曜/第3木定休
そば割烹大正庵……0284-43-3377……1100-2100_月曜定休_懐石2,100円〜_敷地1,000坪
めん割烹なか川……0284-41-2322……1130-2000_火曜定休_石畳大門通り
あらき……0284-71-3435……1130-1500_月曜火曜定休_足利市駅から徒歩5分_ニューミヤコホテル別館から渡良瀬川方向へ
手もみそば・いけもり……0284-43-0731……1100-2100_無休_宮北町1-2
九一そば・第一立花……0284-22-0505……1130-1500/1700-2000_水曜定休_通6丁目
明治庵……0284-72-6670……1200-1400品切れ次第終了_木曜定休_足利市駅の南_若鶏の唐揚げ
持ち物
★食べ物・飲み物――水筒+行動食+おやつ
冬季日帰り標準セット
●足まわり……運動靴(軽登山靴など)
●行動着……ドライタイプの登山用Tシャツ+長ズボン+長袖シャツ
●保温着……手袋+耳覆いのある帽子+フリースシャツ+貼るカイロ
●雨具……折りたたみ傘+ゴアテックスレインスーツ
●小物……地図+健康保険証コピー+時計+ポケットライト+ダブルストック

◆ルートシミュレーション
●地図は国土地理院1:25,000地形図、宇都宮10号-2(あしかがほくぶ)、宇都宮11号-1(あしかがなんぶ)、を原寸で使用しています。
●シミュレーションマップ上の○印は予定したルートが太い等高線(50m)を横切る地点を中心にした半径50mの円。数字は100m単位の標高です。◇印は山頂から山裾に向かって地図上で計った距離。ごくラフな計り方で500mごとに印をつけてあります。この地図情報の一番簡単な見方は、○印と◇印をどちらも1個(1ポイント)7.5分(2個で15分、8個で1時間)と概算して、山歩きの時間目盛りとする方法です。
●なお、下りは道の状況によって登りの70%と見積もるのが現実的です(高速下山路では50%、難易度の高い場合は100%とすべき例もあります)が、計画段階では登り時間にしておいて、余るようならリーダー権限の予備時間として自由に使うという考え方をしています。


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