大小山――2008.1.23(水)
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◆朝日カルチャーセンター千葉……中高年のための山歩き・日帰り
◆大小山
だいしょうやま……314m
稜線35p→下り12p……47ポイント
日の出0649、日の入り1656……1.23宇都宮で
◆東武伊勢崎線・足利市駅から……2008.1.23(水)実施
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●天気予報によれば低気圧が太平洋岸を通過することにより、関東地方一円が雪→雨とのこと。北部山岳地帯は雪という可能性に期待して現地に向かった。
●当初、気軽に「大小山」をリストアップしたけれど、2007年5月に大小山+足利フラワーパークの大藤という計画の参加した人が何人か重複していたので「それではいけない」という圧力を感じていた。しかもこれは朝日カルチャーセンター千葉の健脚コース。歩き足りないといわれるとつらいので、前半に大坊山(285m)のハイキングルートを加えた。
●登山口は山川長林寺。タクシー料金は足利市駅から1,610円。曹洞宗のこの寺はうっすりと雪をかぶっていたが、境内地1万坪、山林10ヘクタール、住職32代目というただならぬ由緒を感じさせた。
1050_山川長林寺を出発
1110-15_浅間山にて衣服調節
1125_道路横断。林道が始まる
1134_林道終点
1145-55_展望台(標高約200m)約0度C
1240-50_大坊山分岐(標高約250m)
1320-25_越床峠(標高157m)
●前半部は予想以上にすばらしい道だった。2か所ほど「初心者用」とする巻き道があったけれど、それは岩稜をさけるためで、展望と爽快感を考えれば、岩稜の道こそここの魅力だ。子どもの岩遊びという程度のもので、難易度は高くない。つらいと思う人以外は、巻き道に逃げない方がいい。
●私たちは完全に視界のない中を進んだので、展望についてはまったく想像がつかない。しかしやわらかな雪が樹木にふんわりと綿帽子をかぶせつつある中を進んだので、この日、この時間しか味わえないという至福を感じながら歩くことができた。
●大坊山分岐まで2時間というのはなかなか楽しい尾根歩きだった。
1320-25_越床峠(標高157m)
1400-10_無名のピーク(標高約250m)
1445-55_大小山山頂(314m)
1545-50_ゴルフ場を下に見る尾根(標高約200m)
1610_下山、東大久保バス停(標高約30m)
1625_足利フラワーパーク
●越床峠からも同様の小さなアップダウンがくり返される岩稜が続いた。正直なところいくぶん飽き気味にはなったが、やはり来てよかったというのは、ひとつは天気。雪が雨に変わった後、すこしずつ空が明るくなって、ガスがとれた。標高わずか200mあまりのところにいるのに、雲海の上に出た感じ。周囲の山々が島のように頭を並べている。日光連山など、高い山は高い雲に隠れて見えないが、栃木県南部の低い山々がまるで2,000m上昇したような雰囲気で並んでいた。
●もうひとつの「よかった」は岩稜。大坊山コースの岩稜と比べると岩っぽさがすこし強調されて、メンバーも喜々としてきた。ガスで下界が見えないので、南アルプスの稜線を歩いているような気分にもなれた。
●じつは大小山という山名は、2万5000分の1地形図では314m三角点のある山頂に記されている。私は国土地理院の表記を(採用に関わる問題点があるとしても)尊重することにしているので、その上でこの山に関する異名について調べてみた。
●山頂には「妙義山」という表示が大きくつけられているので、インターネット上に並ぶ登山レポートには大小山と妙義山が併記される例が多い。
●じつは私は、大小山が佐野市側の呼称で、妙義山は足利山の呼称と思い込んでいた。越床峠からの道をたどるとき妙義山の岩場の雰囲気を彷彿とさせる(かもしれない)ということでそれを納得していた。ところが宇都宮ハイキングクラブ編の『栃木の山120』(随想舎・1997)には「山頂標識の『妙義山』は佐野市側からの呼称とのこと」という記述があるのできちんと確かめてみると、佐野市に属するのは越床峠から山頂までの稜線の北側。それを佐野市側から見れば「妙義山」かもしれないと思うことができる。
●私が勘違いした原因が明らかになった。大小山の名の由来となっている「大」と「小」の大きな文字が山腹の岩場に掲げられているのだが、それが佐野市側のものと勘違いしていたことによる。
●じつは足利市側が「大小山」で、佐野市側が「妙義山」となるのだが、そういうことなら山名がこちら側とあちら側で違うというありふれた例のひとつとも思えてくる。国土地理院(最初は陸軍参謀本部)がどの名前を採用したかに関わる場合が多い。もっといえば、地名調書をつくったときに、答えたのが誰か?(どういう職業の人間であったか)によって山の名が違ったケースも考えられる。現在でも、屋久島ではある小島の名前が、地元民が呼び慣れた名前ではなく、よそから来た知識系住民の情報によって別の島の名が地形図に採用されたという話を直接聞いた。いまは地元の役場の情報で地名調書がつくられるので、地元民の古い地名がときに無視されることもあるという例だ。
●だから、佐野側の人が「妙義山」という名を復活させたいと考えても非難するには当たらない。……が、妙義山という山名についての情報はインターネット上ではほとんど出て来なかったので、ここではそこでとどめておいて、大小山についての報告をしておきたい。
●栗田美術館の建物のひとつ(どれだか記憶にないけれど)にこの大小山の展望テラスがあって、そこに「『大小』文字掲揚の由来」という説明パネルが掲示されている。じつは「天狗岩の頭」というピークの東面の岩壁に「大」と「小」の大きな文字がかかげられていて、かなり広い範囲から望むことができる。両毛線の車窓からも見えるという。
●それによると「『大小』の文字は、山麓の阿夫利神社(西場町)に祭られる大天狗・小天狗にちなみ、無病息災を祈る周辺住民により、鷹の巣山(通称大小山)に江戸末期の安政2年(1855)に掲げられたと伝えられております」とある。
●続けて、その「大小」文字は第二次世界大戦中に米軍の空爆の目標になるとのことで撤去され、昭和32年(1957)に富田村(明治22年=1889年に西場村を含む7村合併)が足利市に合併されるのを機に木製の2字を再び掲げたという。
●その木製文字は昭和40年ごろには朽ちてしまったが、「富田のシンボル『大小』の文字を鷹の巣山に復活させようとの機運が高まり」平成7年(1995)にステンレス製の文字が掲揚されたという。
●つまり足利市側にとっては歴史的に「大小山」でなければならないのだが、妙義山という山名を必ずしも排除しない理由も見えてくる。
●というのは、「大小」文字を掲げたのは「鷹の巣山(通称大小山)」とされているけれど、これを鷹ノ巣山=大小山というふうに理解すると鷹ノ巣山は天狗岩の頭(かしら)と呼ばれるピークの山であって、標高282m。そこから稜線を北に上がったところに標高314mの本峰がある。だからそれを総称としての大小山と呼べば呼べる……ということになる。
●が、佐野側の人にとっては鷹ノ巣山は山頂から足利方面へと下る稜線上の一ピークに過ぎないので、山頂は314mピークでなければならない。いわば足利市側があまり重視していない山頂に、自分たちの山名をきちんと示したいという人が現れてもおかしくない。
●「山麓の阿夫利神社(西場町)」から見上げれば、山頂部の32mの高さの違いより、天狗岩のそそりたつ岩壁が圧倒的で、314m峰の山頂など天狗岩の背景とか感じられない。
●妙義山という命名の由来については佐野市側の史料などを探してみないとわからないが、歴史的に見て「大小山」が表側に当たるのは間違いのないところだろう。国土地理院の結論を間違いと考える必要はないと思われる。
●1455に大小山の山頂を出て、1545に休憩したが、それは地形図上に標高198mの水準点があるローカルなテレビ電波中継設備からすこし下がったところ。そこまでの約1時間は下るというより、長い岩稜がさらに続いたという感じ。休憩地点でガスが晴れてゴルフ場がすぐ足元に見えたけれど、下りの気分はそこから。約20分の下りで旧国道50号線に出た。
●東大久保バス停がタクシーを呼ぶ目印ではあったけれど、私たちは足利フラワーパークまで足を延ばした。花の咲き具合によって入場料金変動制を採用しているので、この時期は200円で入れ、暖かい休憩場で暖かい飲み物などを注文して雨具をしまおうと考えたのだ。後半は雨に濡れたし、汗もかいているので寒さの中でじっとタクシーを待つのはそれだけでつらい。
●というわけで閉門約30分前に着いたのだが、内部のレストランなどはすでにラストオーダーが終わっていて、チケット売り場の人も困り顔だった。
●しかたなく、入場無料の売店スペースで休憩となったのだが、そこには無料サービスの甘酒があり、暖房のきいたひろいスペースで濡れたものをしまううちにタクシーが到着。感謝の気持ちで風呂へと向かった。
●足利フラワーパーク→幸の湯はタクシー料金3,140円。幸の湯→足利市駅は1,430円。湯上がりの食事をどこにするかということでは、もう動くのが面倒くさいという気分が強くて、風呂の休憩所で適当に、ということになった。生ビール中ジョッキ380円に、やきそば300円、カレーライス400円などという格安系メニューだった。
●帰路は東武特急りょうもう42号で1905足利市→2012北千住→2025浅草としたが、多くの人が北千住で下車、地下鉄半蔵門線に乗り入れる東武伊勢崎線に乗り換え、錦糸町でJR総武線にというルートを探ったようだ(私は寝ていたが)。
◆集合
1.23(水)8:30……東武浅草駅_1階_特急券発売窓口前
*集まった人分の特急券をまとめて買いましょう
◆ポイント
●大小山は小さな山です。それだけでは軽すぎるので、手前に長い稜線を加えました。それなりの展望が得られるようです。
●下りたところに大藤で有名な足利フラワーパークがあって、伊万里・鍋島の磁器博物館である栗田美術館もあります。フラワーパークはいまはロウバイと寒椿、冬牡丹ぐらいで、入園料も200円まで下がっています。一息つける休憩所もありますから、時間的に間に合えば入ってみるのもいいかと思います。ふつうはこんな時期に来ることはないでしょうから。
●タクシーを呼んで足利で入浴、食事という予定です。
◆往路
0850浅草始発(東武特急_りょうもう号・5号_赤城行き)……1008足利市
0850浅草→0901北千住→1008足利市
*タクシーで山川長林寺へ(1台約2,000円)
◆現地行動
1030ごろ_山川長林寺を出発……ほとんど稜線24ポイントを3時間として
1330ごろ_越床峠……稜線11ポイントを1時間半として
1500ごろ_大小山……下り12ポイントを1時間半として
1630ごろ_足利フラワーパーク
*JR両毛線・富田駅から直帰可能です
*時間のある人は足利で入浴・食事
◆帰路参考
●JR両毛線(富田→小山)
1613→1645、1659→1732、1748→1821、1819→1852、1843→1923、1918→1953、1957→2033
*小山から東北本線(宇都宮線)多数
●東武特急(足利市→浅草)
1705→1826、1736→1855、1806→1925、1837→1955、1905→2025、1946→2105、2034→2155
◆往路参考
●都営地下鉄浅草線
0810新橋→0821浅草橋→0824浅草
●JR総武線各駅停車
0718千葉→0736津田沼→0742船橋→0753市川→0808錦糸町→0813浅草橋
●JR総武線快速(通勤快速)
0645成田→0715千葉→0728船橋→0746錦糸町→0754東京→0758新橋
●JR京葉線
0643君津→0720蘇我→0755東京(通勤快速)
0700蘇我→0716海浜幕張→0801東京
●JR山手線
0805新橋→0809東京→0813秋葉原→0816上野
●地下鉄銀座線
0807新橋→0816神田→0821上野→0826浅草
◆費用の目安
東武_浅草→足利市……940円
特急券_浅草→足利市……1,000円
taxi_足利市駅→登山口……1台約2,000円
taxi_足利フラワーパーク→足利市街……1台約2,000円
taxi_足利市街→足利市駅……1台約1,000円
東武_足利市→浅草……940円
特急券_足利市→浅草……1,000円
◆電話
●あしかがフラワーパーク(富田駅)
0900-1700(冬期)_無休_入園料は花の咲きぐあいによって無料〜1,300円とか、現在は200円。園内にレストランなどあり。
●栗田美術館(富田駅)
0930-1700_月曜定休_1,550円_レストラン、カフェなどあり。
●タクシー(足利市駅)
朝日タクシー_0284-71-1101_駅前
●入浴(足利)
幸の湯……0284-42-0030……450円(休日550円)_1000-2400_第一火曜定休_民間_総合運動場隣
●そばなど(足利)
肉汁うどん 小島屋……0284-71-3257……1130-1500/1700-2000_日曜定休_足利市駅裏徒歩3分
一茶庵本店……0284-40-3188……1130-1400/1630-1900_水曜/第3木定休
めん割烹なか川……0284-41-2322……1130-2000_火曜定休_石畳大門通り
あらき……0284-71-3435……1130-1500_月曜火曜定休_足利市駅から徒歩5分_ニューミヤコホテル別館から渡良瀬川方向へ
手もみそば・いけもり……0284-43-0731……1100-2100_無休_宮北町1-2
九一そば・第一立花……0284-22-0505……1130-1500/1700-2000_水曜定休_通6丁目
◆持ち物
★食べ物・飲み物――水筒+行動食+おやつ
★軽アイゼン必携です。
■冬季日帰り標準セット
●足まわり……運動靴、軽登山靴など+軽アイゼン
●行動着……ドライタイプの登山用Tシャツ+長ズボン+長袖シャ
●保温着……手袋+耳覆いのある帽子+フリースシャツ+貼るカイロ
●雨具……折りたたみ傘+ゴアテックススーツ
●小物……地図+健康保険証コピー+時計+ポケットライト
◆ルートシミュレーション
●地図は国土地理院1:25,000地形図、宇都宮6号-4(たぬま)、宇都宮7号-3(さの)、宇都宮10号-2(あしかがほくぶ)、宇都宮11号-1(あしかがなんぶ)、を原寸で使用しています。
●シミュレーションマップ上の○印は予定したルートが太い等高線(50m)を横切る地点を中心にした半径50mの円。数字は100m単位の標高です。◇印は山頂から山裾に向かって地図上で計った距離。ごくラフな計り方で500mごとに印をつけてあります。この地図情報の一番簡単な見方は、○印と◇印をどちらも1個(1ポイント)7.5分(2個で15分、8個で1時間)と概算して、山歩きの時間目盛りとする方法です。
●なお、下りは道の状況によって登りの70%と見積もるのが現実的です(高速下山路では50%、難易度の高い場合は100%とすべき例もあります)が、計画段階では登り時間にしておいて、余るようならリーダー権限の予備時間として自由に使うという考え方をしています。
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