北高尾山稜――1995.12.9(土)


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■朝日カルチャーセンター千葉
◆北高尾山稜縦走
1995.12.9(土)

●高尾山〜景信山〜堂所山〜陣馬山というポピュラーな縦走コースの北側に連なる渋いコースです。手持ちの5万図(1/50,000地形図)には載っていないので心配でしたが、買った2.5万図にはありました。スタート地点が八王子城跡、堂所山で高尾山からの道と合流するまで20あまりの小ピークを越えるのだそうですが、地形図にはひとつとして名前がありません。
●今回は歩きながら現在位置を確認するということをやってみたいと思います。地形図を買う人は東京15号-1(当然1/25,000地形図)です。もし図名を聞かれたら与瀬といってください。
●途中にエスケープルートはない、とガイドには書いてあります(強引に下りられないことはないと思いますが)。防水、防風、防寒、それからライト。軽い夕食までカバーできるお弁当。水は水筒の分と昼食用のほかに、自動販売機でホットの缶ドリンクを非常用に1本。いざというときには暖めて飲みます。

schedule and expenses
◆集合
12.9(土)
0700=JR新宿駅中央線快速ホーム中央部
0803=JR中央線高尾駅北口改札口

◆標準往路
0705=新宿発(中央線快速)
0710=中野
0722=三鷹
0729=国分寺
0743=立川
0755=八王子
0803=高尾下車
タクシーで八王子城跡へ

◆登山
0900頃=登山開始
1800頃=陣馬高原下バス停
バス発時間は1710, 1815, 1920, 2010, 2055
約1時間で(京王)八王子駅。解散

●道草
銭湯――玉の湯0246-42-7363(八王子)

◆費用
1)新宿〜高尾/八王子〜新宿(約1,400円)
2)高尾〜八王子城跡(タクシー1台約1,000円)
3)陣馬高原下〜八王子(バス約700円)

equipments
◆装備表
●足ごしらえ
スノトレ+ソックス
●行動着
登山用肌着+長ズボン+長袖シャツ
●防寒専用
セーター+手袋+帽子
●防寒・防雨
ウインドブレーカー兼用のレインウェア+折りたたみかさ
●食べ物・飲み物
水筒+昼食+昼食用飲み物+おやつ+軽夕食
●小物
地図+時計+ポケットライト+(高度計)+(カメラ)+(双眼鏡)
●その他
ザック

◆非常用装備
1)ホット用缶飲料(1本)
2)貼るタイプの使い捨てカイロ(ミニ3枚)
3)70リットルポリ袋(2枚)
4)ポケットライト+予備電池
*昼食時に暖かい紅茶を1杯ずつ出すつもりですが、計算には加えないでおいてください。

hints in this season
◆ホット用缶飲料
●これは冬のシーズンの非常用装備としてもっとも重要な一品だと考えます。とくにリーダーとなった場合を想定してみるとわかりやすいと思うのですが、寒さの中でチームが行動力を失ったとき、冷えた体を回復するには暖かい飲み物が一番です。そのうえで行動力を回復させるという順序にならざるをえないからです。そのときメンバーが缶飲料を持っていてくれれば、丸ごと暖めることを考えればいいからです。(缶にはダメと書いてありますが非常時ゆえ無視します)
●そのとき、もっとも合理的なのは伊藤式ホットドリンカー。小石を3つ地面に置いて缶を載せます。そのミニかまどにスイスメタ(高級固形アルコール)を1〜2本入れて暖めます。あるいはチューブ入りのペースト状アルコールを缶の底に塗り付けて暖めます。全員がそこまでの準備をしているとリーダーは非常事態に対して対策をひとつ用意したことにもなります。
●今回はリーダーがガスバーナーを持っていますが、もし自分でやってみたい人はスイスメタ(ICI石井スポーツで、エスビット450円、ロンザ600円)を1箱買ってみて下さい。

◆カイロ=貼るタイプ
●使い捨てカイロには似て非なる2種類があります。JIS規格の最高温度70℃まで発熱するようにして「暖かさ」を強調しているのが普通タイプ(ハンドウォーマー)、最高温度を50℃前後まで下げて、肌着の外側から貼り付けて使用するのが「貼るタイプ」です。
●発熱原理は鉄くずと水分と空気によって酸化熱を出させるのです。その化学反応の環境温度をJISでは40℃と定めています。ですから指先が凍えてくる5℃以下の環境で十分な暖かさを得るには過激な反応も必要になります。ハンドウォーマーが冷えたり熱くなったりして気まぐれな感じがするのはそのためです。靴用は酸素不足という悪条件も考えているようです。
●それに対して貼るタイプは体温による安定した環境で仕事ができますからむしろ穏やかな仕事ぶりの方がいいのです。経験的にいえば、肌を湿らせない登山用の肌着とこの貼るタイプのカイロなら冬の「ゴミ袋キャンプ」も可能。3枚は腰に1枚、足が冷えたときに足裏に各1枚という計算です。
●サイズはレギュラーが丸1日タイプ、ミニは半日タイプという違いだけなので、ミニ2枚にした方が合理的です。

◆ゴミ袋
●非常用に70リットルのゴミ袋を2枚持ってどうしようというのかというと、雨が降ったときにザック内にまずゴミ袋を入れて、そこに荷物を入れるザック内バッグ用です。いまの登山用ザックは防水のことをほとんど考えていないので雨はしみこんできます。ザック用レインカバーも中途半端な道具だから、だいじなものはポリ袋に入れておくのが常識なのですが、できれば全部濡らさないほうがいい、というわけで、ザックが入るぐらいのポリ袋をザックに入れるというのが合理的なのです。ただしこれは雨の場合。中で水筒から水が漏れたりすると相当困ったことになるので常用は危険です。
●軽い雨で雨具をつけるほどではないというときには頭の部分を25×25センチ残してデイパックごとかぶれる簡易カッパを作れます。(作り方はいずれ)
●雨のときにはまず傘をさしますが、傘の欠点は裾が濡れること、冬にはこれがけっこうなダメージになります。そこで筒状にして下半身に巻き付けます。南アジアのサローン風の着方です。
●もっと危機的な環境では、頭だけを出せる穴を開けて、かぶります。

◆ポケットライト
●登山での秋と春の決定的な違いは、昼の長さです。秋の山では下山途中に夕闇がせまってくることを計算に組み込んでおくことが必要です。
●そこで「明るいうちに下山する」という大原則を立てるのは、賢明に見えますが危険も内在しています。日没に追われて焦るかもしれないからです。ですから暗くなっても下山は可能という自信をつけておくことが重要です。自信はあっても暗くなると時間はかかりますから、予定通りには下山できない。だから明るいうちにせめて林道まで出られるように余裕を持った計画を立てておく、ということです。
●ですから私は、危機管理のために夜道を歩く体験を重視します。もちろんライトの明かりに頼って歩くという強引な方法ではなく、できるだけ肉眼の夜見の能力を磨く気持ちで歩くことを心がけることが必要です。視細胞の高感度の領域でものを見て、それに小さな明かりを加えてやると、周囲と足元とがバランスよく、かつ効率的に見えます。ライトは明るい方がいいというわけではないのです。必要なときに必要なだけの光を得られるような、スイッチの使いやすいものをすすめます。

◆ソックス
●秋から冬にかけては、歩きながら足先が冷えることがあります。もちろん気温が低いからなのですが、もう少しこまかく考えてみます。歩くと足は汗をかきます。その汗で足が蒸れるだけに終わらず、冷えにつながるのが秋から冬ということになります。登山用の肌着を着るのと同じように、肌を乾燥するタイプのソックスをはくことが重要になります。
●そこで私の場合には古くなったポリプロピレンのソックスをだいじに使い続けているわけです。最近はポリプロピレン100%という衣料素材は見つからず、混紡して肌触りのいいものや、染色性のいいものばかりになっています。
●化学繊維信奉者の私の考え方とは別に、天然繊維派も力を盛り返しています。肌に接触したとき、化学繊維と天然繊維とでは実際の保温力が違うというようなこともあるのだそうです。いま絹が見直されているともいわれます。
●気に入ったものがないときには、毛を混紡したソックスを肌着にして、その外側に中厚手の、純毛のソックスを重ね履きしてみてはいかがでしょうか。靴の中に空気をため込むと、カイロを貼ったときにも威力を発揮します。

◆ゴミ袋
●非常用に70リットルのゴミ袋を2枚持ってどうしようというのかというと、雨が降ったときにザック内にまずゴミ袋を入れて、そこに荷物を入れるザック内バッグ用です。いまの登山用ザックは防水のことをほとんど考えていないので雨はしみこんできます。ザック用レインカバーも中途半端な道具だから、だいじなものはポリ袋に入れておくのが常識なのですが、できれば全部濡らさないほうがいい、というわけで、ザックが入るぐらいのポリ袋をザックに入れるというのが合理的なのです。ただしこれは雨の場合。中で水筒から水が漏れたりすると相当困ったことになるので常用は危険です。
●軽い雨で雨具をつけるほどではないというときには頭の部分を25×25センチ残してデイパックごとかぶれる簡易カッパを作れます。(作り方はいずれ)
●雨のときにはまず傘をさしますが、傘の欠点は裾が濡れること、冬にはこれがけっこうなダメージになります。そこで筒状にして下半身に巻き付けます。南アジアのサローン風の着方です。
●もっと危機的な環境では、頭だけを出せる穴を開けて、かぶります。

◆ポケットライト
●登山での秋と春の決定的な違いは、昼の長さです。秋の山では下山途中に夕闇がせまってくることを計算に組み込んでおくことが必要です。
●そこで「明るいうちに下山する」という大原則を立てるのは、賢明に見えますが危険も内在しています。日没に追われて焦るかもしれないからです。ですから暗くなっても下山は可能という自信をつけておくことが重要です。自信はあっても暗くなると時間はかかりますから、予定通りには下山できない。だから明るいうちにせめて林道まで出られるように余裕を持った計画を立てておく、ということです。
●ですから私は、危機管理のために夜道を歩く体験を重視します。もちろんライトの明かりに頼って歩くという強引な方法ではなく、できるだけ肉眼の夜見の能力を磨く気持ちで歩くことを心がけることが必要です。視細胞の高感度の領域でものを見て、それに小さな明かりを加えてやると、周囲と足元とがバランスよく、かつ効率的に見えます。ライトは明るい方がいいというわけではないのです。必要なときに必要なだけの光を得られるような、スイッチの使いやすいものをすすめます。

◆ソックス
●秋から冬にかけては、歩きながら足先が冷えることがあります。もちろん気温が低いからなのですが、もう少しこまかく考えてみます。歩くと足は汗をかきます。その汗で足が蒸れるだけに終わらず、冷えにつながるのが秋から冬ということになります。登山用の肌着を着るのと同じように、肌を乾燥するタイプのソックスをはくことが重要になります。
●そこで私の場合には古くなったポリプロピレンのソックスをだいじに使い続けているわけです。最近はポリプロピレン100%という衣料素材は見つからず、混紡して肌触りのいいものや、染色性のいいものばかりになっています。
●化学繊維信奉者の私の考え方とは別に、天然繊維派も力を盛り返しています。肌に接触したとき、化学繊維と天然繊維とでは実際の保温力が違うというようなこともあるのだそうです。いま絹が見直されているともいわれます。
●気に入ったものがないときには、毛を混紡したソックスを肌着にして、その外側に中厚手の、純毛のソックスを重ね履きしてみてはいかがでしょうか。靴の中に空気をため込むと、カイロを貼ったときにも威力を発揮します。

route simulation
◆ルート概観
地図引用
国土地理院発行1/25,000地形図
東京15号-1(与瀬)
ほかに東京10号-4/11号-3/14号-2も使用
●黒々とした地図をなんとかできないかといろいろやってみて、図版部分だけカラーのインクジェットプリンターで出力することにしました。水に濡れるとにじみますからご注意下さい。
●今回のルートは、次ページの右端から左へ左へと進んでこのページへと入ってきます。縦走路を八王子城跡が終わったところ(2.1km地点。富士見台と呼ばれる展望地があるようです)から7.8kmの堂所山まで、5.7kmほどとすると、その間に20あまりの小ピークがあるというのですから、いやいや歩かされたらたまったものではありません。したがって今回は、歩くときには速めにして、ゆったりと休むという努力をしてみます。天候によりますが……。
●このような里山のミニ縦走コースは道がしっかりしていないと途中でルートをはずしてしまう危険が大きいのです。このコースでは南面に迷い込む要素がほとんどないので進行左手に注意を怠らなければ問題はありません。

◆八王子城跡
●JR高尾駅からタクシーで東京造形大学(跡?)まで行きます。
●道は最高点445.5mまで登り一辺倒。1kmで標高差200mほどですから体ほぐしにちょうどいい登りでしょう。道は回遊式になっているので、歩くのはどちらでもいいと思います。神社やら記念碑やらがある城跡まで30分を見ておきます。城は原則として展望地に建っていたので、ここで軽い休憩となるでしょう。
●城跡は1km弱の地点でしたが、2km地点あたりにも「八王子城跡」の文字があります。これは地図の図幅が変わったため示されたもので、550m等高線の小ピークが城の南端に当たるようです。
●ここまではおおよそ西南西に向かっていたルートが、ここから西北西に変わります。南から上がってきた尾根に出て、それをたどるということになります。547.4mの三角点のあるピークを踏んで、縦走の気分はいよいよ高まってきます。スタート地点からここまでを通して歩くと、距離2km強(15分×2)、登り300m(15分×3)ですから1時間15分。城跡での展望休憩と、このあたりでの本格的な休憩とで、風袋ともなら1時間半は必要でしょう。

◆547m峰〜562m峰
●2.2km地点の標高547.4mピークから3.3km地点の標高562mピークまでの区間です。縦走路の平均速度を概算で時速2kmとするとこの区間は1kmですから1時間ということになります。ここではもうすこしこまかく見てみます。
●547.4mピークから道は下りで、490m等高線まで50m強下った後、520m等高線の小ピークまで登り返します。こちらは30m強。次は470m等高線まで下って562mまでの登り。50m下って90mの登りです。もっとも実際には地形図の等高線に描かれないもっとこまかな凹凸があるかもしれません。
●この区間の登り下りを時間に換算すると登りが合計120m、下りが100m。登り下りを区別せずに100m=15分として約30分、下りを登りの7割としても25分前後。距離の1kmを加えて45分前後になりますから、さらにそれにたっぷり休憩を加えると風袋とも1時間のコースということになります。

◆562m峰〜612m峰
●3.3km地点の562mピークから4.5km地点の612mまでの1.2kmの区間です。これを詳しく見ると562mから500mまで下り、612mまで登ります。登りの途中に小ピークが2つ地図には描かれていますが、ここではそれを無視して下り60m、登り110mとすると休憩を含めて1時間というコースになります。
●このピークの南に、小下沢をはさんで727.1mの景信山が対峙しています。ガイドブックには「正面に景信山が見えるピーク」とあります。南側が一気に谷に落ちているので、展望があるようです。登り始めて3時間ですからここが昼食の候補地でしょう。
●地図を見ると3.5km地点からしばらく林道と併走します。ガイドブックによると一度林道に出てまた登山道に入るようです。狐塚峠というのだそうですが、そこから林道を下ることがエスケープルートになるかどうかを考えてみます。林道は勾配がせいぜい10度までですからゆるくて歩きやすいかわりに距離が長くなります。暗くなったら林道が圧倒的に楽ですが、歩くとかえってつらいということも多いのです。この場合も、もう前進する以外にないようです。

◆612m峰〜611m峰
●小ピークの連続にうんざりしてきます。しかし縦走というのはこういうものです。この区間は4.5km地点から6.3km地点の約2kmですから一気に決着をつけるという気分でかかるのがいいのではないでしょうか。
●地形図で山の構造をうまくとらえようとするときには、等高線の1本を赤ペンでたどってみることをすすめます。たとえばこの場合は550m等高線を赤でなぞると、4km地点から6.5km地点までがずっとこの550m等高線の上に乗っています。ですからそれをベースに見れば、高度62m以下のピークが地図上で5つ連なっているということです。
●そのアップダウンを計算したいのですが、10m間隔の等高線表示にかからない凹凸のことまで考えてもきりがありません。登山道の長さと同じで地図そのものに誤差が内在されているわけですから、あまり神経質にならない方がいいと思います。一番シンプルな方法として、登り下りに何本の等高線を越えるかを数えます。やってみると登りで17本、下りで16本。合わせて33本。登り下り区別せずに100mを15分で計算すると45分、距離の2km分を加え、休憩も含めると1時間半になります。

◆堂所山を越える
●前のコースの範囲のことですが、6.3km地点の611m峰は無名なのに、その手前の小ピークには三本松山という名前がついているようです。標識がなければどちらも気づかずに通り過ぎてしまいそうな小ピークです。地図上ではあきらかなのに実際に歩いてみると混乱するのはこの程度の小ピークです。高度計もあまりあてになりません。
●このコースのようにはっきりした稜線で進行左側がいつも単調で急な斜面になっていれば安全ですが、支稜(枝尾根)が左右に張り出しているコースでは簡単に道をはずします。はずしやすいところではすでにはずした人がいて引き返していますから、迷い道のほうが堂々としていることも多いのです。そこでこのコースでも里山での現在位置確認の決定打、高圧電線に注目します。すると、くぐったところの小ピークが三本松山となります。
●さてこの区間では6.3km地点の611m峰から6.5kmの関場峠まで60m下り、登りは7.9km地点の堂所山(731m)まで180m。休憩込みでゆったり1時間コースです。堂所山で高尾山〜景信山〜堂所山〜陣馬山と続く有名なコースと合流します。

◆下山
●堂所山からは明王峠を経て陣馬山まで歩いてもいいのですが、日が短いという今の時期に無理をすることはありません。明王峠の手前、8.6km地点から北に下ります。
●下り口が8.6km、標高721mで下りきったところにある陣馬高原下バス停は11.1km、330mですからこの下山路は2.5kmで標高差約400mということになります。足腰を痛めずに、逆に強化していくようないつもの歩き方で1時間半と見ておきます。
●この下りは地図上で性格をはっきりと見ることができます。標高550mをすぎたところから450mの上まで、ジグザグに表示された部分があります。道はその急坂を境にして尾根道から谷道へと切り替わります。谷道になってしまえば傾斜はゆるくなります。その標高450mあたりに9.5km地点がありますから、そこまでなら1kmで270mの下り。1時間モデルの傾斜がようやっと現れました。


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