曽根 一郎さんから奥日光・高山での「未知との遭遇」
………2006.6.18


■2006.6.18――曽根 一郎さんから奥日光・高山でのポイントゲットレポート「未知との遭遇」

●伊藤コーチ殿
●黒檜岳、社山(以上6e)、高山(朝日カルチャーセンター千葉)と日光の山行ではお世話になりました。
●コーチから要請がありました高山山行の感想文をお送りいたします。
●Eメール発信は小生まだ時間を要しますので、取敢えずファクス送信させていただきます。
●原稿用紙3枚以上に達しませんが(940文字ぐらい)ご勘弁下さい。
●今後ともご指導、よろしくお願い申し上げます。
■未知との遭遇
●見ました、見ました、出逢っちゃいました。
●そうなんです。熊に逢っちゃいました。
●時は平成18年6月17日、12時30分ごろ。
●日光中禅寺湖の北に位置する「高山」へ、
●朝日カルチャーセンター受講生9名が
●竜頭の滝から快晴の下、軽やかに登り始めて30分ほど、
●山道の上の方にいるのを伊藤コーチが発見。
●我々は静かに様子をうかがった。
●熊は笹でも食べていたようで、我々に気づくと上へと逃げていった。
●小生が見たときは後姿であったが、体格は中位で子供のようでも、大人のようでもあった。
●我々との距離は40〜50mで、誰も恐怖感は抱かなかった。
●伊藤コーチの話によれば、出逢った時、ある程度離れていれば熊は襲わないし逃げてゆく。しかし至近距離で出くわすと、熊も驚き、防衛上人を襲うとのこと。
●だから、人が野草やきのこ採りに夢中になっていたり、熊も食物を漁るのに気をとられていて、バッタリ出くわすようなときは危険のようだ。
●それにしても、知らなかった野生の熊を初めて見たのは貴重な経験というべきか、ラッキーというべきか。伊藤コーチは「いつ出逢えるか、いつ見られるかと思っていたが、やっと出逢えた」と言っておられた。
●小生はたった1回来て見られたのだから、幸運だったに違いない。
●山登りを始めてからもうすぐ2年になるが、いろいろな未知との遭遇があった。
●樹木のこと、花のこと、鳥のこと、野草のこと、天気のこと等、自然の営みや、山登りの衣服や道具や技術のこと等、人間の側のことなど、いっぱい知らなかったことを知ることができた。
●もっとも、知ったものを全部憶えているわけではないが、少しずつ反復記憶していっている。
●交友も広まった。これも未知との遭遇だ。
●「高山」へ行ったとき、メンバーの中に虫採りを趣味とされている耳鼻咽喉科のお医者さんがおられたが、趣味を通り越して研究の域に達しておられるのではないかと思われる方であるが、その方から虫の名前を教えてもらった。
●もっとも日光駅に着いた頃には忘れてしまったが……。
●憶えているのは、採取した虫を試験管のようなものに入れるのだが、その中には虫たちがすぐに死んでしまう酢酸エテルが入っているということくらいである。何でも青酸カリを使う人もいるそうである。
●これからも健康でいる限り、山登りを続けてゆくつもりだが、人や自然とのふれあいを通して、まだまだある未知なるものと出逢いたいと思っている。
●しかし、願わくばもう熊には出逢いたくない。1回で充分だ。
■コーチから
●曽根さん、レポートありがとうございます。次には70歳の手習い、ぜひパソコンからのメールでお送り下さい。
●……で、高山でのクマはほんとうにラッキーだった。
●いちおうねらいだったシロヤシオやアズマシャクナゲはすでにほとんど終わっていて、しかも昨年の終末的豊作の後だけに花も少なかった。
●だからクマとの遭遇はうれしかったが、欲をいえば、もっと上で、「ようやく」という感じで遭遇したかった。
●登りはじめの、ほんの入口であまりにもかんたんに目撃してしまったのは演出だったら減点もの。
●高山は、クマとの遭遇の可能性がもっとも高い登山道というふうに考えていたので、行くたびに目を凝らしていたというのに。
●出会えたときには、何の苦労もなく、前方で悠々となにかを食べていたというしだい。
●千手ヶ浜の伊藤誠さん(シカが食べないクリンソウの花畑をつくったが、シカは根をほじくって無毒の部分を食べるようになった……など、奥日光のシカとの共存関係を体験的に探っている)によると登山者と遭遇しても驚かないクマが1頭いるとか。
●そのクマかどうかわからないが、ともかくかなり近距離から軽やかに逃げていくクマの後ろ姿を、先頭の私がいちばん長時間、以後知らされた順にみなさんが目撃して、最後のひとりだけが、残念ながら話だけという結果に。
●中禅寺湖のキャンプ場にはクマがえさをあさりにくるそうだし、朝日カルチャーセンター千葉で受講していた酒井さんご夫妻はふたりで高山に登ったときに、登山道の前方にクマを見たという。
●奥日光に最初に定住して「日光の仙人」といわれた伊藤乙次郎さんの聞き書き『森と湖とケモノたち』(白日社・1986年)には中禅寺湖で近道するために泳ぐクマを目撃したという話がある。
●息子の誠さんのクリンソウを囲ったシカ避け網の入口のところには「ここには熊はいないので、熊よけの鈴ははずしましょう」というような小さな注意書きがある。
●範囲をもっとひろげて、クマを見るチャンスのある高山周辺でこそ「ここにはクマがいるのでクマよけの鈴は鳴らさないで」と私は提案したい。姿をゆっくり見せてくれるクマがいるというのだから。


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