コーチから「防水ウォーキングシューズを買いました」
………2006.10.3
■2006.10.3――コーチから「防水ウォーキングシューズを買いました」
●とうとう、ゴアテックス防水のウォーキングシューズを買いました。
●1足はきつぶし主義でやってきましたから、いまはいているランニングシューズで年内は十分いけるのですが、先日中野のブロードウェイを通り抜ける機会があって、店頭に並んだナイキのウォーキングシューズの28cmがあったので、買ってしまいました。
●何の話かわからない方もいらっしゃるかと思います。
●昨年の暮れから今年の初めにかけて、新しい靴を探してみたときに、ゴアテックス防水のウォーキングシューズ(ゴアテックスXCRライナーを使用した防水なので「XCRスニーカー」と呼びましょう)がおもしろいことになっていることを知りました。
●あったら買おうと思ったのはブルックスです。ちらりと幅広の「3Eタイプあり」というのを見たのです。その後確認できていませんが、ほんとうに3EのXCRスニーカーが登場したら、これは一度はいてみるに値すると思いました。ちなみにブルックスではアウトドア用のサハラというシリーズに「サハラXCR」(約10,000円)というのがあります。(3Eはないみたいですが)
●スニーカー売り場ではナイキが一番安いことを発見しました。「バンドリアMID GTX」というのが今回はずみで買ってしまった商品で、7,640円に消費税がついて8,022円。インターネットショップで見ると税込み10,290円が標準価格のようです。ナイキはほかにこれより約1,000円安い「バンドリアGTX」というのもあるようです。
●タイ製の安物ですからブランドもヘッタクリもないのですが、ついているタグではALL-TRAC TRAILという商標となっています。……と思って靴裏を見ると、ACGとあります。オールコンディショニング・ギアというブランド名で、5〜6年前に何年かはいたナイキのゴアテックス・ランニングシューズの、まさにそのブランドでした。
●ところがあのときのものはランニングシューズにゴアテックス防水、今回のものはウォーキングシューズにゴアテックス防水という感じで、じつはまったくの別物という印象です。
●登山用品店にもこの「XCRスニーカー」が並んでいます。半年前の調査でデザイン的に注目したのがメレル(MERRELL)でした。カメレオンシリーズが男女別にあって、「カメレオン2 ゴアテックスXCR」が約15,000円。アクティブなスピードハイカー用とうたっています。8.3の河田さんのメールにある靴がそれです。はいてみるとそうでもないのですが、店頭で見るとぶっ飛んだデザインという感じがします。さらにぶっ飛んでいるのが軽量モデルの「カメレオン2 ストームゴアテックスXCR」(約13,500円)で、「これで防水?」というデザインです。
●登山用品店にあるもので私が最初に注目したのはモントレイル(montrail)でした。5〜6年前、ナイキのゴアテックス・ランニングシューズから切り替えたいと探していたときにサカイヤスポーツで見つけたのが最初だったと思います。アメリカ西海岸生まれのモントレイルは、100マイルウルトラマラソンでテストしているというランニングシューズとか。私にはそれでもちょっと硬すぎるように想像されるのですが、ともかく全天候型ランニングシューズを目指しているようです。ホームページを見ると「ハリケーンリッジXCR」(17,640円)、「マウンテンミストXCR」(18,690円)、「サスティナ2 XCR」(19,740円)と3ランクあるようです。ランニングシューズなので、もちろん足首にかからないローカットです。
●L.L.Beanも「ゴアテックス・リッジ・ランナー・ハイカー、ローカット」(9,900円)、「同ミッドカット」(11,000円)、「ゴアテックス・デイ・ハイカー、レザー」(11,900円)というふうにシリーズ化しています。
●探すまでもなく、登山靴メーカーから運動靴メーカー、アウトドア用品メーカーまで、ありとあらゆるところからこの「XCRスニーカー」が出されています。
●……で、私の新しいナイキはどうかというと、家のまわりではいてみたところ、「やっぱりね」という感じです。足が束縛されるのです。みなさん、登山靴→軽登山靴→トレッキングブーツ→ハイキングシューズ→ウォーキングシューズというような順序でしょうが、いずれにしても「束縛される幸せ」を求めているのだなと思うのです。ここ数年ランニングシューズで過ごしてきた足には、保護されているという感覚より、束縛されていて窮屈という感じが圧倒的なのです。
●そして、重い感じがします。調べてみると私がここ半年(同タイプのものをその前1年半)はいているランニングシューズが片方364g、それと比べたら430gですから重さの違いよりなにより、足裏が硬くて地面との関係が遠くなって、しかも足が束縛されているという違いが決定的です。それはたぶん、軽登山靴を履いていた河田さんがメレルに履き替えた感動と似たような差だと思うのです。この10年間に、1度だけ革の登山靴を履いたことがありましたが、歩けないわけではないけれど、もはや歩く道具ではないですね。……でも、ちゃんとつくられた靴は、重くても硬くても、それなりに身体の一部に同化します。そういう意味ではナイキのXCRスニーカーときちんとつくられた軽登山靴とを比べたら、軽登山靴の方を選ぶ人がいてもおかしくありません。
●息子が大学陸上部のOBなので、彼の長距離用のレースシューズを計ってみたら202g。それと比べると私がはいている「ランニングシューズ」は驚くほど重いのです。足に合わないので山に使えなかったナイキのランニングシューズ(こちらは娘が高校の陸上部で練習に使っていたというタイプ)はなんと416gありました。正確にはランニングのトレーニングシューズなのです。
●こういうふうに見ていくと、歩く靴と走る靴とでは重さの差は少なくても、柔らかさがぜんぜんちがうのです。それは性能差というより性格差というべきものだと思います。やむなくそうなったというよりも、意図的にそういう味付けにしているわけです。
●いつもの悪い癖ですが、唐突に私の結論です。「XCRスニーカー」は「登山靴」という呪縛から逃れる非常にいいステップだと思います。周囲の人に後ろ指さされるほど異端でもないし。ただ、どうせ買うのであれば、「走れる靴」をおすすめします。それは柔らかい靴であり、浅めの靴ということになります。通常のジャストフィットに対して「1cmオーバー」(たぶん2ランクオーバー)を買って下さい。少なくとも、登山靴の購入時に最低条件となっているつま先に指1本分の余裕(つま先あわせでかかとに指が入る)は必要です。それを「親指」にして下さい。
●靴選びにあまり困っていない人はそれでいいのですが、足に癖のある人は左右の足のどちらかに支障が出たり、爪側はよくてもくるぶし周辺にトラブルが出るとか、すんなりと収まりません。
●登山靴で悩んでいる人のほとんどは、「足に合う靴」を探し求めているはずです。でもできあいの硬い靴で、最近では薄い靴下1枚ではいたりするとなると、「足に合う靴」など簡単に見つかるはずはないのです。けっこうみなさん、ラフにはいて、つじつまを合わせているのではありませんか?
●そこで、靴選びに苦労している方には、まず、だまされたと思って、アシックスかミズノの3Eのランニングシューズ(トレーニングシューズ)を「1cm」オーバーで買ってみていただきたいのです。価格は8,000円〜10,000円です。ダブダブな靴です。それを厚手の靴下をはいて、ひもを先端からめいっぱい力を入れて締め上げてみてください。
●歩いてみると、靴の緊張がゆるんできます。痛いほどの緊張が、心地よい緊張に変化したら、そのあたりがジャストフィットではないかと思います。柔らかな靴は締め上げてもそれがゆるやかに平均化されていきます。足の一番外側の皮膚のようになるのではないでしょうか。
●日本の足袋(地下足袋)のたぐいは親指をきっちり固定することで足裏全体のフィット感を確保していると思います。やわらかな靴はきつく締め上げていくぶんゆるみが戻ったあたりで、足全体にフィットするのではないかと思うのです。「足に合う靴」を見つけにくい人は、とりあえず「足を靴に合わせる術」を知って、そこから逆モーションでどこまで戻れるか、試みていただきたいと思います。
●最悪、冬の防水タウンシューズでもいい、というリッチな方は、ぜひモントレールのXCRランニングシューズをはいてみていただきたいと思います。
●感じでは、私は、いつまでこのナイキのXCRスニーカーをはき続けられるか、わかりません。がんばってみますけれど、足が自由を叫びそうで。
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