北八ヶ岳メルヘン街道スキー大滑走・装備ガイド
………2000.1.22-23(糸の会1b_麦草峠)


計画のポイント
●例年、2月末にやってきたのを1カ月早めました。いい雪質の時期ということです。聞いてみましたら、雪はバッチリついているとのこと。2日目は午前中に軽く練習をして、メルヘン街道6kmのロングロング滑走(滑歩)を楽しみます。
●初心者の方の不安を耳にしますが、あまり親切に答えていません。「まったくの初心者でもできるようにします」という約束はできません。しかし、強烈に思い出に残る体験になることは約束できますし、ケガはほとんど起こりません。ザックは運んでもらいますし、時間切れになったら、人間もスノーモビルで運んでもらえますから、安心してチャレンジして下さい。大いに転んで、雪と戯れてほしいのです。そうするとそれが、じつはストックワークの効果的な練習になるのです。
●もうすこしくわしくいうと、使用するスキーは「テレマーク」。いわゆる歩くスキーの進化タイプで、かなりしっかりした専用靴をはきます。スキーと靴はつま先が固定されているだけなので、転んでも足周りのネンザ、骨折などはほとんどありません。ただ、転んだとき、スキー板の上にお尻が乗ると痛い思いをしますし、頭を打って目に火花が散ったという人は何人かいます。また、残念なことに、メルヘン街道の大滑走へのチャレンジを完全に棄権という人も1、2ありました。基本的に、歩いてもよく、待っていればスノーモビルで運んでもらえます。「安心してチャレンジ」というのはそういうことです。
●なお、今回は1日目はスキーでなしにスノートレッキング。1996年2月に糸の会の第5回目の山行としておこなった「北八ヶ岳スノーハイキング」(全員初体験!)と基本的に同じ計画です。メルヘン街道大滑走は5年目になります。


ルートシミュレーション
●1日目のスノートレッキングは標高2,233mのロープウェイ山頂駅から標高2,403mの縞枯山に登ると、あとは稜線歩きになります。天気が良ければ北アルプスから中央アルプス、南アルプス、あるいは八ヶ岳連峰のほぼ全部を眺めなららの爽快な山歩きになります。もし逆に悪天候なら、冬の山の厳しさと、樹林に守られた道の静けさとを体験できます。
●メルヘン街道の大滑走は約2時間の制限時間内にメルヘン広場まで到着できれば「糸の会的上級」となります。約2/3の地点にある日向木場展望台まで到達できれば「中級」、それに届かずにレスキューされたひとは「初級」というレッテルを貼るのが妥当かと思います。
●従来のケースでは、初体験で「初級」だったひとが2年目に「中級」、3年目に「上級」という例が標準的と考えられます。しかし「初級」で棄権というひとも多いので、一発勝負という観点からいうと、初歩のボーゲンができるひとは「糸の会的中級」から「上級」になります。麦草ヒュッテから緩やかに下って国道に出る道で大騒ぎしているひとが「初級」と「中級」に分かれます。バランス感覚があって、ドタバタしながら踏み換えターンをやってしまえるひとは、たぶん「上級」に分類されると思います。


持ち物(基本的な内容は昨年とほとんど同じです)
●足ごしらえ
スノトレ+ソックス+厚手のソックス+(中厚手のソックス)+貼るカイロ+スパッツ
*気温がマイナス10℃級ですから、貼るカイロ(ミニ)を4枚(2枚×2日)、行動用として持って下さい。
*麦草ヒュッテで借りるテレマークスキー用の靴というのは、革の本格的なスキー兼用登山靴と考えていただければまちがいありません。厚手のソックスのほか、中厚手のソックスも1枚用意しておくとサイズあわせに安心です。
*スパッツは通常使用のもので問題ありません。実用上は近くの文房具屋で売っているナイロン布の事務用腕カバーでも十分です。
*軽アイゼンは第1日目にあると便利かもしれません。必携ではありませんが、ある人はお持ち下さい。
●行動着
登山用肌着(上下)+長ズボン+長袖シャツ+セーター
*上はTシャツでいいですが、タイツが必要です。厚さはあまり関係ありませんが、夜もはいたまま寝るということを考えるとドライタイプのタイツが快適だと思います。しかしウールのタイツ(ももひき)があればそれでもけっこうです。女性用の保温性のあるタイツでもいいと思います。
*保温用にここでも貼るカイロをあてにできるので、モコモコにする必要はありません。行動用の下半身暖房用貼るカイロ(ミニ)は4枚(2枚×2日)、それから就寝用に3枚(腰と足裏)あれば万全のはずです。
*ズボンと長袖シャツはウールかウール混紡のものできつくないものを。フリース(ポーラテック使用のものなど)なら文句ありません。
●オーバーズボンとオーバージャケット
*標高2,400mの山に登りますから、行動中は基本的にゴアテックスのレインウエアの上下をアウターウエアとしてかためます。スキーウエアもこれにあたります。
●防寒用品
フリース(セーター)+手袋+帽子
*しっかりしたフリースのシャツが防寒着として必要です。これは行動中には着ませんが、休憩時に引っぱり出すことがあるかもしれませんから、これだけポリ袋にくるんで、できるだけコンパクトにしておきます。イメージとしては非常用防寒着という感じです。
*手袋は、はめたままザックの開け閉めができ、靴のひもを結べる薄手のものがかなり重要な道具となります。
*防寒用手袋はスキー用でも毛糸のあたたかそうなものでもけっこうです。この機会にというひとは登山用品店でフリースの厚手の手袋を買ってみて下さい。手も貼るカイロで暖められますからあまり心配する必要はありません。
*重要なのは手袋には内側の手首のところに10cmほどのゴムひもを輪にしてつけておくこと。手袋を外したときに手首のところにぶらさがるようにしておきたいのです。これはきわめて重要な安全対策になります。冬山では手を凍えさせないというのが全体の安全と快適につながるので現地でいろいろやってみましょう。
*帽子は耳までおおえるものでなくてはいけませんが、毛糸の普通の帽子でけっこうです。
●安眠確保のために――耳栓+(ゴアテックス・シュラフカバー)
●小物
地図+時計+ポケットライト+(カメラ)+(双眼鏡)+ポリ袋+貼るカイロ
*ポケットライトは道に迷ったときのためではありません。山小屋の夜に、トイレに行ったり、ザックの中を調べたりといった手元の仕事用という風に考えて、できるだけ小さくて軽いものを。 *ポリ袋は荷物の整理用として、手つきのもの何枚かと、30リットル級ゴミ袋を1〜2枚を濡れもの整理、濡らしたくないものの防水用として使います。2日目は自分の靴をザックに入れてスキー靴をはきます。
*貼るカイロはミニサイズだけにしてください。最低10枚、装備に不安のある人は20枚用意しておいて下さると、寒さに起因する苦痛はほとんど回避できます。
*なお、肌着の上から貼る50℃級の「貼るカイロ」でなしに、直接肌に貼れる40℃級の「直貼り」をテストしてみて下さい。
●食べ物・飲み物
1日目昼食と昼食用飲料+2日目昼食と昼食用飲料+おやつ
*1日目の昼食はピラタス・ロープウェイの山頂駅で食べるつもりです。休憩室を利用しますから持参した駅弁でも食べられますし、軽食レストランがありますから利用できます。
*2日目の昼食は麦草ヒュッテですから、ここでも小屋のメニューを利用できます。
●着替えとザック(サブザックとメインザック)
*防寒衣類が入って、しかも1泊分となるとザックはふだんより重くなりますが、1日目の行程は標高差200mほどの軽い山歩きに過ぎません。寒さはたぶんきついでしょうが、山歩きは超軽量級というわけです。
*昼食2食を持たずに参加できますから、食べ物系を思い切って減らせば、日帰りの小ぶりのザックでも参加できるのではないかと思います。それに衣類を冬山用として完ぺきに固めてしまうと列車内で暑くてかなわないというようなことになりかねません。温度調節の幅を大きくとれるよう、重ね着をいろいろ考えてみて下さい。
*また、メルヘン街道大滑走のときにはザックはスノーモビルで運んでもらえます。水筒とお菓子、それに防寒着程度を入れて背負えるサブザックを用意すると便利です。


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