毎日カメラ読本(2000カメラ買い物情報)
カタログ探検紀行【3】
2000.1.10……写真用額縁(初稿原稿)
このシリーズでベースにしている「カタログ」とは全国のカメラ店で買うことのできる「写真・映像用品ショーカタログ」のこと。いわゆるアクセサリーメーカーの製品群からテーマをさがして、今回は3回目ということになる。
まず8月5日発売の「カメラ買い物情報」でカメラバッグを取り上げたのは、「用品ショーカタログ」中で最もファッション要素の強いアイテムであったからだ。
11月1日発売の「カメラこだわり読本」では雲台を取り上げた。三脚でなく雲台にしたのは、脚まで含めたら手に負えなくなりそうな予感があったからだった。案の定、雲台だけでかなりの原稿枚数になってしまった。
……と、そこまでは相手に不足はなかったのだが、ハタと困ってしまった。あんがい底が浅い――というより、こまごまとしたものの総体が写真アクセサリーなのであって、大きな山がいくつも連なっているというわけではないらしい……ということに気がついた。
もし「用品ショーカタログ」から3つめのテーマを選ぶとするとフィルターあたりになりそうだと思ったが、じゃあ、4つめに何がくるかと考えたらちょっと不安になった。機能別にとか、ユーザーとの肉体的関係で、などいろいろな切り方で分類してみようとしたが、あまりワクワクした感じがしてこなかった。
やはりカタログ上での見た目から選ぶのがいいかもしれないと思いながらめくっていくと「フレーム」とか「額縁」というタイトルが目立っていた。額縁だけでは山が小さすぎるかもしれないとは思ったが、写真の正統的プレゼンテーションにかかわるものとして、しだいに興味がわいてきた。
写真用の額縁って、どこがどう「写真用」なのだろうか?
*印画紙サイズに関しては表記がいろいろありますが、カビネをキャビネ、6切を六切、4切を四切で統一しました。
*額縁、額、○○縁、フレームは基本的に同じ意味。マット、マットボード、台紙も原則的に同じ意味。厳密に書き分けているわけではありません。
■売れ筋の3要素――キング(株式会社浅沼商会)
●アルミから木製へ
「わが社には『アルミ額』と『メタル額縁』というのがあるんですが、どちらも素材はアルミです。写真用の額縁はそのアルミ製からスタートしたのですが、ここ10年ほどは輸入の木製額縁がものすごく伸びて、完全に主流になってしまいましたね」
キング・ブランドの開発と販売促進を担当する課長の有慟寛さんによると、写真用額縁では国産のアルミ額と輸入の木製額が両輪となっているというのだ。
「当初、木製の額縁は絵の世界からきた高額な商品だったのです。うちでも朱利桜などの高級ユーザー向け木製額をやっていたのですが、輸入の安い木製額縁によって駆逐されたというのが正直な印象ですね」
いま木製は全体の「6割から7割」というけれど、アルミがその分減ったというのでもないらしい。写真用額縁の絶対量が増えているという。つまり輸入の木製額がそれ独自に「ものすごく伸びている」ということなのだ。
すなわち、海外の安い材料と工賃によって木製写真額の価格競争が展開されて、10年前にはかなり高価な商品だった木製が、アルミ製より安い普及価格になった。
木製写真額の価格競争は、海外の生産地を台湾→韓国→タイ→インドネシアと南下して、原材料の産地であるインドネシアに落ち着くかに見えたのか、最近ではインドネシアの材料を使って中国で生産するという流れも出てきているという。
もちろん、いまや、安ければいいという単純な競争ではなくなっている。
「南洋材のラミン材が多いのですが、寝かせ方が悪いとカビが出ます。そのへんが品質管理のノウハウかもしれません」
キングの写真用額縁のなかで現在注目すべき商品を3点、自薦してもらった。
ひとつはスズラン(写真1)。正式には「木製額縁・V・スズラン」となっていて、カタログではこう説明されている。
「一本、溝ラインの入った手の込んだ木製額縁です。一段と豪華な木ならではの味わいをVカット台紙と共に生かした額縁です」
その価格だが、「豪華」という割には安い。
キャビネ……………………750円
六切…………………………950円
ワイド六切………………1100円
四切………………………1200円
ワイド四切………………1500円
「これが一時期、市場で圧倒的に安かったヒット作なんです」
10年ほど前、インドネシアでの本格的な生産に成功した価格競争の覇者が、現在もキング・ブランドの定番として主力製品となっている。
それからアーバン(写真2)。「木製額縁・DX-Vアーバン」とカタログにはある。カタログ解説にはどう書いてあるか。
「高級Vカット台紙を使用したため、写真、スケッチ、色紙等々が高級感溢れる作品になります。暖かみのある木製額縁です。(高級Wマットタイプ)」
キャビネ・L判…………1600円
六切・キャビネ…………2000円
四切・六切………………2400円
ワイド四切・ワイド六切2700円
半切・四切………………3300円
このダブルマットというのは最近の流行で、ワンサイズ小さいものを入れたときにゆったり感が得られるということと、従来の標準サイズでの使用もできるという一石二鳥タイプのものをいう。
3つめはメタルのシルバー(写真3)と呼ばれるもので、カタログでは「メタル額縁シルバー」となっている。
キャビネ……………………950円
六切………………………1150円
四切………………………1500円
ワイド四切………………1980円
半切………………………2200円
全紙………………………3500円
これは「格安のアルミ」だそうで15年ほどのロングセラー商品となっている。
「一度定番商品になるとモデルチェンジしにくいんです」
そういうのは商品部課長の置鮎修治さんだ。
「前のと同じ額で飾りたいという指名買いのお客さんがいらっしゃる」
アルミ製ではシルバーが圧倒的に売れるのだそうだ。
●キャビネサイズが主戦場
置鮎さんは、木製額が伸びた理由を、日本の現実的な住宅事情と結びつけて考えている。
暖かみという点でアルミより木製の方が好まれるというのが基本にあることから、木の材質感をそこなわない白木が木製の主流になってきた。
ところが最近ではマンションの内壁が白っぽくなり、床がマホガニー調のフローリングで濃い色になってきた。それを受けて白色のシンフォニーやマホガニー調のアーバンがWマットタイプの高級化路線として登場してきた。「安い木製から、高級感溢れる木製へ」という流れが生まれてきたのである。
しかし色をつけるにしても、あくまでも木肌の印象を消さないようにしているのだそうだ。
「木製額の売れ筋というのは、安い、シンプル、ナチュラルカラーの3要素をかなえています」
そのなかでの高級化というのは何なんだろうか。
有働さんの推理はこうだ。
「リバーサルプリントのユーザーが急激に増えていることじゃないでしょうか。高額のものが求められるようになりました。フジのクリスタルプリントなんかだと、シンプルな額では写真に負けてしまうから、やや光っている額が求められる傾向ですかね……」
Wマットタイプの額にワンサイズ小さな写真を入れるというのは、マットの空間を大きくとることで写真と額との関係に余裕を与えようとしている。
「流れとしてはマットの色数が増えていく傾向ですかね。うちはまだ十分に対応できていませんが、マットを選ぶ時代になるかもしれません」
アルミ製額縁と木製額縁とが、ただ単に価格帯でバリエーションを展開しているというふうに、危うく思い込みそうになった。
じつは、安価な木製額縁の主力サイズはキングでは小型のキャビネであり、実際には機械焼きのキャビネ相当サイズの2Lであるという。そこのところを有働さんに確かめた。
「売れ行きサイズというのはキャビネと六切、四切の3種で大半を占めています。昔は四切が中心でしたが、ホームセンターなどに出すようになってから、キャビネが圧倒的になりました」
つまりここで木製写真額に分類されているものは、スーパーやホームセンターなどで主婦が手軽に買えるものとして、新しい市場を開拓したということになる。
定番商品が一方では息長く残りつつ、安価な小型木製額縁が家庭での写真の楽しみを広げはじめたというふうに理解できる。
「小さい額だと、壁に穴を開けずに掛けることも可能ですし、棚に立てることも可能です。手軽で合理的なんです」
トリミング指定をしてプリントする従来のキャビネではなく、機械とオペレーターにおまかせの2Lが「飾られる写真」として定着してきた影に、格安の木製写真額縁の登場があったということが見えてきた。
■市場を見ながら――ハクバ(ハクバ写真産業株式会社)
●2Lとワイド四切
ハクバのカタログには「木製額縁」と「アルミ額縁」のほかに「高級木製額縁」というのがある。
その「高級……」というのは、価格帯でいうと六切で4300円から1万1000円。四切で4800円から1万3000円、半切で8000円から1万6000円、全紙で9800円から2万円という広がりの中に18種のデザインが用意されている。写場をもつ老舗の写真館のウインドーに飾られている、あのデコラティブな写真額である。
ハクバで「プロ用」と位置づけているのがその高級木製額縁で、営業写真館向けの各種写真台紙につらなる商品群となっている。
それに対して「アマチュア向け」としている額は木製とアルミ製とがあり、サイズバリエーションではサービスサイズのELから全紙までという広域展開になっている。なかにはポストカードやパノラマサイズというのもある。
「家庭用としてはワイド四切から下のサイズ。それと2Lが大きく底辺を広げていますね」
営業推進部長の松沢真一さんはそういう。
小さいサイズの購買層は女性、若年層、ヤングファミリーだそうで、当然飾るのは人物やペットの写真。それに対して四切クラスになると展示会用の作品や風景写真がメーンになるという。
とくに四切クラスでは、中高年の写真愛好家がリバーサルカラーからダイレクトプリントしたものを入れるというケースが目立っている。
プロカメラマンが「プロラボにシロウトが群れている」とつぶやく時代になってきた結果がそこにある。いわゆるハイアマチュアが一眼レフカメラできちんと撮った作品というわけだ。
「市場として額縁はここ数年伸びています」
松沢さんのいう伸びは、2Lとワイド四切に代表される。キャビネ相当サイズの2Lと、ノートリミングのワイド四切はおませの「機械焼き」なので、注文も簡単なら、価格的にもお買い得。ユーザーにはそれぞれが大判のサービスサイズという印象になっている。
それを飾る額縁もあんがい安く手に入る。
「写真用の額縁はもともと安い商品なんです。たとえば四切の額も、定価で1300円のものが、量販店では3割引の910円あたりですから、写真を飾るということに対しては、驚くほど求めやすい価格帯になっているのではないでしょうか」
●写真額の最先端
写真用の額縁では、棹と呼ばれる縁のデザインは最初からシンプルな方向にあった。
木製の写真額は海外生産で驚くほど低価格になったけれど、価格だけではやはり売れない。日本人のし好が分かっていてつくらないと売れないという。
「しっとり感も重要なんです。アルミは洋室に、木製は和室にという傾向もあるようです」
その結果、ハクバでこの秋に新発売となった3モデルは次のような組み合わせになっている。
「アルミ額縁チェスター(Vカット)」(写真4)は新製品チラシに次のように解説されている。
「フレームに丸みをもたせた、やさしい印象のデザインに仕上げた厚手Vカットマット紙付きアルミ額縁。飾る場所を選ばないシルバーカラーです。ハクバアルミ額縁のなかでもっともお求めやすいシリーズです」
2L………………………1000円
六切………………………1200円
ワイド六切………………1300円
四切………………………1500円
ワイド四切………………1750円
半切………………………2800円
全紙………………………4000円
シンプルデザインをうたう木製の新製品「木製額縁エアーズ」(写真5)は流行のブラックを取り入れた普及版という位置づけのようである。これまではダブルマットなど、高級感をもったものにブラックはあったが、木製額縁の色としてはナチュラル(白木)、ホワイト、ブラウンといった展開だった。
松沢さんのところではこのシリーズで人気の黒に全面展開したことになる。解説は次のようになっている。
「厚さわずか1センチメートル、幅広のフラットな額に1本のラインがアクセント。写真をスマートに引き立たせる木製額縁です。現代的な印象がリビングにも書斎にもよく合うデザイン。定番のナチュラルに加えて、人気のブラックも取りそろえました。さらにお求めやすさも魅力の木製額縁です」
ポストカード………………700円
2L…………………………800円
六切………………………1000円
ワイド六切………………1200円
四切………………………1300円
ワイド四切………………1500円
半切………………………2400円
全紙………………………3200円
メーカー自薦の3番手は「木製額縁アルベロ」(写真6)で、これはLサイズ1400円、2Lサイズ1700円という小さなサイズの2種類のみ。幅広の木肌を生かしたデザインで、新製品を加えてデザインバリエーションは20種になったという。
写真紹介の3種には入らなかったが、秋の新製品にはアルミの高級ワイドマット額縁もある。四切の5300円から全紙の9800円までという本格派である。
●額を売るための写真
ハクバの新製品群は、市場ニーズに敏感に反応しているようである。じつにいいフットワークをしている。
しかし、写真額は額だけで選ばれているわけではないようなのだ。
「見本の写真を入れないと売れません」
松沢さんははっきりという。
「こちらでは額に合う写真をいろいろと選んで入れるんですが、中の写真がいいから買うとおっしゃる方がいるんです。絵だけほしいのに、額も買って下さるというわけですが、考えてみれば中味のない額だけ展示するわけにもいきません」
かくして写真用の額縁には、おおかた風景写真が入っている。
「人物写真は好みがあってむずかしいですね。外国の雰囲気で子どもの写真という場合もありますし、ペット写真もありますけれど……」
そういう写真サービスというのはいつからですか?
「うちでは最初からです。フジカラーさんあたりがはじめたのではありませんか?」
ひょっとすると、写真用額縁は、見本写真が入って売られてきたから、だれにもまちがいなく「写真用」という、固定したイメージがはぐくまれていったのだ。
そこで浮上してきた疑問は、日本の写真用額縁というジャンルがかくまで強固に確立されたのはどうしてかということである。どうも欧米からの直輸入ではなさそうだ。
日本の写真用額縁は、写真の引き伸ばしサイズに対して額の大きさがほぼ決まっているのだが、それがどのように決められているのかという疑問も深まってきた。
このあとの取材でだんだんはっきりしてくるのだが、写真用額縁はサイズ統一が先にあった。作る側のシステムがほぼ確立していることできわめて安価な商品となってきた。
いわゆる額縁がオーダーメイドやイージーオーダーであるのに対して、日本では写真専用のレディメード額縁が普及したといえるようだ。
レディーメイドだからといって、安かろう、悪かろうというのではない。土俵を決めて各社それぞれに激しく競合するなかで、定番商品が生まれ、新製品が登場してくる。なかなか活気に満ちたマーケットなのである。
そのなかでマーケットリサーチ力に一歩先んじてきたハクバの松沢さんがここ2年ぐらいで「全体の傾向が大きく動いている」という。
「写真額をあつかって25年になりますが、黒が売れるようになるなんて、考えてもいませんでした」
「たかが写真額」とはいっても、時代は確実に動いている。その中をのぞいてみると、それなりにいろいろあるということもわかってきた。
■「かわいい額」戦略――コニカカラー(コニカカラー機材株式会社)
●エンジョイフォトグッズ
コニカカラー機材が主力とするエンジョイフォトグッズは、これまではアルバムに収納されてきたサービスサイズ(E判、L判)や2L判を壁面や卓上に飾らせようという戦略商品となっている。
開発商品事業部で写真機材の用品販売グループリーダー(課長)の佐藤文雄さんによると、それは「カメラ店にギフトショップのようなかわいい額がない」ということから始まったという。
14年ほど前から、毎年20品目から30品目を入れ替えながら徐々に品数を増やして、いまや160種以上になっている。
いわゆるフォトスタンドである。まずはL判ヨコ位置のダブルスタンド(写真7)。机に立てる家族の写真にもヨコ位置がけっこうあるというニーズをつかんだヒット作だそうだ。これはアートフレームという白木シリーズの中にあって「L判W横スタンド型」(1700円)が正式名称。これは「L判W縦スタンド型」(1700円)というのと対になっている
2200円出すとワンサイズアップの2L用がやはりタテ・ヨコそれぞれのダブルタイプで用意されている。
1枚用スタンドとしては吊り下げ兼用(すなわち額縁兼用)としてL判、2L判もある。さらにパノラマサイズや、写真7に写っている「E・L判/2E判変形(六切兼用)スタンド型」(2500円)といった特殊サイズも用意されている。ちなみにその名称の意味は、六切用の額にE判・L判・2E判の3つの窓があいた台紙も入っているというふうに読む。
「5年前からインドネシアで生産していますが、当時日本では白木のニーズが圧倒的に大きかったんです。そこで塗りを入れてみようということで、茶色を作ったら、だんだん売れるようになってきました。以来色モノを積極的に加えてきました」
佐藤さんがいうように、コニカカラーのフォトスタンドには茶系も多いが、グリーン系やオレンジ系、ブルー系などもあって目を引く。
佐藤さんたちのイメージには、これらの額に写真が入れられて部屋に飾られている光景がある――というよりも、これらの小さくてかわいい額のいくつかが店頭に飾られているコニカ系列のカメラ店、DP店の情景がその手前にあるようだ。
「個人店への提案として、アルバムなどを相当やりました。いろいろやってきて、今は額ということです」
佐藤さんの仮想敵はどうもギフト業界であるらしい。ギフト業界ではワンロットずつ、その場限りの商品展開になるところを、写真業界ではカタログに載せて1年間単位で販売する。
そういう短期安定商品をかなりのバリエーション用意することで、系列ラボのプリント注文のボリューム・アップやサイズ・アップに貢献しようという販売促進ツールとしての位置づけが根底にある。
それぞれの店が「価格競争マーケットのなかで「戦力的柱」をもつための戦略的提案なのである。「もっと写真を飾る楽しさ」を訴求するために、素材も木製以外にアクリル、ガラス、スチール、大理石などと多様化させ、価格的にも下は600円程度のものから上は5000円と大きな幅をもたせてある。
家族向けのハニーハウスというシリーズには時計付きの「2L判W縦」(写真8。3500円)もある。
「時計付きの写真立てはギフトショップには古くからあったのですが、あちらでは恋人用なんです。うちではそれを子ども用として作りました」
ギフトショップの自由自在と、写真用品業界の四角四面とのあいだで、佐藤さんたちはL判、2L判を「飾ってもらう運動」を10数年にわたって積み重ねてきたという。おそらく写真専用額縁の底辺をこのあたりのフォトスタンドが直接支えていると考えておくべきなのだ。
佐藤さんの自慢は、充実してきたコニカカラーの写真額や写真立てがいま各地で人気の「子ども写真館」での展示やプレゼントに採用されているということだ。手ぶらで行けば衣装も揃い、気に入った絵柄をモニター上で自分で選んで注文できる新しい写真館システムにみごとにシンクロしたという誇りである。
●黒のダブル
自薦商品の3点目は一転して本格派。木製額縁の「ザ・ブラック」(写真9)である。
四切………………………5400円
半切………………………6900円
全紙………………………9800円
カタログではこう説明されている。
「幅広く贅沢に使った厚手Vカット台紙の『ザ・ブラック』は、素材、デザインともに満足できる、洗練された額縁です。台紙は3色を用意しています。写真の雰囲気に合わせてお選び下さい」
黒いのは棹と呼ばれる木枠の部分で、最初は黒のマット紙のいかにも「ザ・ブラック」としてデビューした。
「8、9年前ですかね。用品ショーですごい人気になりまして。その後、マットを白にしてくれ、グレーはできないかということで今は黒マット、白マット、グレーマットの3色なんです」
佐藤さんによると、じつはこれにはお手本があった。同じコニカブランドのコニカマーケティング(株)に「画廊」というアルミ額縁がある。色は黒、白、シルバーの3色だが、細い黒枠に黒マットという大胆な提案がそれによってなされた。
「『画廊』はアルミなので、木製で、もっと簡単に作品を出し入れしやすい構造にしたんです」
用品ショーカタログにはないが、コニカカラーの総合カタログには額縁の外寸・内寸・マット台紙内寸が全サイズ載っている。それによると「ザ・ブラック」は写真と額の間のマットの幅が四切で151ミリ、半切と全紙で187ミリ(四辺いずれも)となっている。
一般サイズの額縁では(種類によって数ミリの違いがあるので概数でいうと)キャビネ4センチ、六切5センチ、四切7センチ、半切8センチ、全紙9センチとなっている。
他社にあるWマットというのはワンサイズ小さな写真も入れられるという意味なので、コニカカラーの通常の額縁で半切の額に四切を入れるとすると約15センチのマット幅が出てくる。
写真用額縁のギャラリーサイズというのは、そういうかたちで登場してきた。
じつは今回額縁をやろうと考えはじめたきっかけは、雲台の取材でたずねたコニカマーケティング(株)にあった。広報の宮佳子さんが雑談中に「額縁はどうなんですか?」と聞いてきた。
そのときはほとんど興味がなかったけれど、頭のどこかに残っていて、浮上してきた。
ところがケシカランことに、今回取材の申し入れをすると、最初はスケジュール上の理由で、最後にはあまり話せることがないという理由でやんわりと逃げられてしまった。
ともかく、コニカマーケティングが「とっておきの1枚をアートする」としている「画廊」は4700円の六切から1万1400円の全紙までそろって、幅広の黒マットとアルミの黒縁で印象的な存在となっていた。
こちらのコニカカラーでは全体的に木製にこだわっているようで、一般サイズの額縁でもシンプルウッド(ナチュラル、ブラウン)、ワインゴールド、グリーンベール、ニューラミン(ラミン材)、ヒノキ、ブナ、ヨーロピアンゴールドなど、材質と色をていねいに展開している。「ザ・ブラック」はそういうラインナップの頂点という位置づけになっている。
■写真用額縁の誕生――フジカラー(フジカラー販売株式会社)
●1975年12月
「それ以前に写真用額縁というのはなかったんです。版画額やデッサン額を写真用に流用していたのですが、紙の基本サイズがちがうのでマットでいちいちサイズ調節していたのです」
そこでフジカラー販売では新しい商品として写真専用のアルミ製額縁を出すことにしたのだった。
語るのは商品部開発グループ課長の村井保さん。当時村井さんは入社4、5年目の若手社員だった。それは商品部の最初の商品開発であり、社長以下5人の開発部隊が編成されたのだった。
「アルミサッシが普及した時代なんです。万年筆のパイロットがオフィス用のアルミ額縁を出したのが最初だと思いますが、われわれが出したのは半額ぐらいでしたかね。とにかく安く作りました」
それまで絵画用の額縁を流用していたということは、額のサイズと写真サイズとの差が、すなわち、そのときどきのマット幅ということになったはずだ。
ところが写真用額縁では、額のサイズがきちんと統一されてはいないようなのに、なぜかどのメーカーのものもほとんど同じようなのだ。後で登場するマットメーカーのチクマが汎用のマットを供給できるのも、そういうサイズの「おおよそ統一」された状況があってのことだ。
村井さんに聞いてみた。マット幅は何を基準に決めたのですか?
「われわれが、目で決めたんです」
世界基準だとか業界基準などのデファクトスタンダードが写真用額縁にも成立する瞬間があった。
「社長が美術雑誌の元編集長だったので厳しかったですね。写真は絵画と比べると力が弱いので額に負けてしまうことが多いんです。そこのところを考えながらマット幅を1センチ刻みで変えたものを用意して、並べて、みんなで見て決めたんです」
かくして日本にアルミ製の写真専用額縁「A10」が誕生した。昭和50年、西暦でいえば1975年の12月のことであった。
「当時はアルミのステータスが想像以上に高かったんです。しかし、日本人はもともと木地に対する好みが強いんです。そこで昭和54年に木製額縁のM12を出しました」
24年前に出した最初のアルミ製額縁が現在も「A10N」として生きているし、最初の木製額縁も「M12N」として存続している。そういうロングセラー商品をもっている、あるいは売り続ける環境を整えてきたところに写真専用額の強みがあるといえそうだ。
ちなみにアルミ製と木製の現在のヒット商品は「アルミ額縁A27」(写真10)と「木製額縁M07」(写真11)となっていて、価格帯でいえばキャビネから四切まで、実売価格で1000円を割るという激戦区を生き抜いている。
●本格派の写真額縁
そして写真用額縁の第3の波はフジカラーでいう「ワイドマットフレーム」への動きということになる。
「リバーサルプリントでは縁が黒くなるんです。そこから、マットが黒の方が写真が引き立つといわれるようになり、かつマット幅の広いものが求められるようになってきました。リバーサルからのダイレクトプリントをするアドアマ(アドバンスト・アマチュア)向けの額縁ということで『フォトマスターシリーズ』を出しました」
「フォトマスターシリーズ」は木製とアルミ製のワイドマットフレームで色とサイズの選択幅が大きくなっている。
たとえば「ワイドマットフレームM1000」(写真12)は木製の黒枠に黒マットで無反射ガラスが標準仕様になっている。
さらにノートリミング用として、「四切ノートリ」サイズに135用、645用、67用、「半切ノートリ」に135用と645用をそろえている。他に従来型のワイド四切があるが、なぜか「四切ノートリ」の方が安い。
とにかく一覧してみよう。
四切………………………3000円
四切ノートリ135……3100円
四切ノートリ645……3100円
四切ノートリ67………3100円
ワイド四切………………3500円
大四切……………………3500円
半切………………………4500円
半切ノートリ135……4600円
半切ノートリ645……4600円
全紙………………………5700円
ここには一般的なワイド六切がないが、それについては四切ノートリ135か半切ノートリ67の額縁を流用するようにという注意書きがついている。
いずれにしても、これらはすべて無反射ガラスを使用しているが、透明感を求める風景写真などに向いているガラス板を特別仕様として注文することもできる。その場合の価格は同一だが、注文品として納期が決められるとのこと。
じつは木製額には「ワイドマットフレームM2000」もあってこちらはアクリル板を使用して全サイズ「M1000」より100円安というラインナップになっている。ただ、細部の仕様を見るとM1000では木枠(棹)が「黒塗り仕上げ」になっているのに対してM2000では「黒フィルム貼り仕上げ」となっているから、M2000のほうが普及版という設定のようである。
フジカラーでは基本的に、半切や全紙では軽量化と安全性を考えてアクリル板を使用している。そこで高級なM1000シリーズでも、半切以上ではアクリル板を特別仕様で用意している。
半切アクリル……………5400円
半切ノートリ135アクリル
……………………………5500円
半切ノートリ645アクリル
……………………………5500円
全紙アクリル……………6900円
アクリルを標準使用しているM2000に対して1000円以上価格アップすることになるが、ガラスよりアクリルのほうが一般に高価だということからすれば、この価格差はすなわちm2000との木枠の価格差と考えていい。
ほかにアルミ製のワイドマットフレームも3種類用意されているが、ブラックとホワイトは四切で3400円という単純な色違いだが、四切で5200円というシルバーも用意されている。
「ワイドマットの額縁をお使いになるような皆さまには、ドイツ製の長期保存用片面接着紙テープの使用をおすすめしています」
それは「フィルムプラストP90」といって2センチ幅で50メートル巻きが2300円のテープだが、村井さんによると30年以上劣化しないという。
かくしてフジカラーのワイドマット・シリーズは堂々たるラインナップを構築したが、「ワイド」や「黒」がここに至るまでにも、、すでに10年の積み重ねがあるという。
「四切用の額縁に六切写真を入れるダブルマットは以前からあったんです。コニカさんが『画廊』を出したころにうちでもワイドマットの『アルミ額縁A300』というのを黒枠に黒マットで出しまして、ヒット商品になりました。入れる写真に力があると、ワイドマットや黒マットが写真を生かしてくれるんですね。単なる流行というよりも、飾って楽しむ写真のレベルが向上してきたということにメーカー側が対応してきたということでしょうか」
●サム・モア・クエスチョン
最後にいくつかの小さな質問を重ねてみた。
まずは額に写真を入れて販売する習慣の最初は?
「最初から写真を入れて売りました。最初はイヌやネコの動物柄が当たりましたけれど、最近はいろんな柄を求められます。店に並べたときのバラエティがほしいんですね」
ガラスとアクリルと、無反射ガラスの長所・短所は?
「アクリルはガラスのように割れないということですが、キズはつきやすい。家庭で長く飾っておくと静電気で汚れもつきやすいですね。
無反射ガラスは、写真と接触しても貼り付かないということと、周囲の光景の映り込みが少ないという点でいいんですが、写真がマット調(絹目調などの無光沢)になってしまうので、ポートレートには好まれても、風景ではクリアさが失われた印象になることがあります。とくに黒が締まらないという印象になるなど、好まれない理由もあるということです。じつは、フジのクリスタルプリントはガラスなど入れずに、直接出していただくほうがいいんです。展示ではそういう見せ方が一般的になりました」
どのメーカーもカタログで「Vカット」と強調していますが、台紙のVカットはいつごろからですか?
「絵に影が出ないように、最初からVカットです」
日本に写真専用アルミ額縁が誕生して24年、いろいろ聞いてみるほどに、原型はそのときにほとんどかたまっていた、という印象だった。非常にささやかな歴史かも知れないが、若き日の村井さんはその新しいページをめくる作業に直接たずさわったのだ。
■これからはマットにもっとご注目!――チクマ(株式会社チクマ)
●ツートーンタイプも登場
取締役で営業統括の葛城五十松さんとはJR中央線の信濃町駅で待ち合わせた。近くにある結婚式場の写真館に仕事上の往復があるとのことだった。
チクマは春日部に本社・工場・営業部が全部ある。現在は写真館向けの写真台紙とポケットアルバムやネガファイルにジャンルを絞っているが、これからの主力としてラインナップを充実させてきたのが額装せずにそのまま飾ることのできるマットボードの「ニュー・チクママット45」(写真13)である。
それを写真用額縁に加えるかどうかでちょっと迷ったが、かなり重要なものという予感があった。
その「ニュー・チクママット45」は中性紙を使った額縁兼用マットで、ツートーンカラーになっている。ツートーンというと普通は大小2枚のマットを重ねたフランスマットをイメージすることになるというが、これはちがう。外側のマットにもうひとつ色違いのマットをはめているのだ。「逆Vカット」によってお互いに45度の切り口を重ねて、はめ込み細工の1枚のマットにしている。ツートーンの種類は8セットあって、それが全色用意されている。
ちなみに写真13は「35×1039」という色の組み合わせで、外側がホワイトクリーム、内側がアーバァーンと示されている。そして外枠にポイント模様がついている。
サイズと価格は次のようになっている。
Lサイズ……………………500円
ハガキ………………………650円
キャビネ……………………700円
六切…………………………750円
四切…………………………850円
四切ワイド………………1000円
半切………………………1100円
全紙………………………1300円
Lサイズ2面………………700円
ハガキ2面…………………750円
キャビネ2面………………800円
たぶんその前のシリーズだろうが、「チクマボード45」というのがあって、こちらは六切、四切、四切ワイドなど特定のサイズに対して、最大12セットのツートーンカラーを用意している。
マットボードというのは日本語でいう台紙やマットと同じ意味なのだが、新しいシリーズに「チクママット45新色(中性紙)」というのが24色あってLサイズから全紙まで中抜きしたものとしないものとが既製品として用意されている。「単色でも、ツートーンの組み合わせでも自由なイメージでご注文下さい」と書かれている。
たとえば中抜きありの四切が600円に対して中抜きなしは440円と安いが、マットのVカットは特殊なカッティングマシンを使っておこなわれる精密な作業になるので、中抜きなしは特注サイズの中抜きをするための材料費というふうに考えておくのがいい。
このマットにはさらに前史があって、中性紙でない「チクママット45」の17色が微妙に重ならないようにしてある。合計で41色。
「来年には色数をもっと増やします。もっといい色をあと20色ぐらい……」
葛城さんはなかなか強気の構えである。
じつは、チクマではかなり冒険的なことをはじめているようなのだ。
「注文サイズの中抜きを1枚から受けています。注文によってマットを切るというのは、画材屋では一般的ですが、写真業界ではうちが最初ですし、現実にはうちだけです」
●紙製品に特化
チクマは創業26年になる写真アクセサリーメーカーで、以前にはアルミのカメラケースでは上位3社に入っており、カメラバッグなどもやっていた。
それを17年前に全部やめて、写真を整理・展示するものに絞ったビジネスに大転換したのだという。
紙製品に特化して、自社工場でつくったものを売っていくという道を選んだのだった。写真館が求める紙製品といえば写真台紙だが、写真の窓になる中枠を多種類用意して、それに希望する表紙をつけるというイージーオーダー方式を展開してきた。Vカット台紙の「チクママット45」はそこで色数を整えられてきた。
写真館で求める写真台紙の多品種を比較的シンプルなシステムにまとめたとき、それが額装用の、色数豊富なマットとなり、額を必ずしも必要としない額縁兼用マットへと広がっていくベースができあがっていたのである。
「15年ほど前から、カナダから紙を輸入して写真台紙を本格的に作ってきましたが、ここ2年ぐらいでそれが報われてきたようです。私たちは軸足をアマチュアに置いて、画材屋より安い価格で数量の多い、回転の速いビジネスを確立したいのです」
「アマチュアに軸足を置いて成功すればプロがついてくる」と葛城さんはいったが、それは35ミリ判などの小型カメラが選んだ道でもあった。
画材屋では額縁のためにマットボードをかなり広範な見本から選んで、個々の注文でカットするが、チクマはレディーメイドの写真用額縁にイージーオーダー・マットを根づかせようとしている。
そのような流れのなかで、チクマはやはり額縁にも進出していく。「カワセミ+ツートンマット」(写真14)が黄色の木製額縁「かわせみ」にホワイトクリームとアーバァーンの「ニューチクママット45」を入れたものを3サイズ出している。
六切………………………2500円
四切………………………3500円
四切ワイド………………3500円
額の「かわせみ」は大キャビネから全紙まであって、六切1800円、四切2300円、四切ワイド2700円となっている。
もうひとつ、「コンツァー+ツートンマット」(写真15)もある。
ヨーロッパ規格には棹の内寸が30×40センチだとすると、次は40×50センチ、50×70センチとサイズアップしていくものがあるという。
そのコンツァーのアルミ製額縁にガンメタルとブラックというツートーンカラーのマットを入れてある。
六切………………………3500円
四切………………………4700円
四切ワイド………………4900円
ところがコンツァー単体では30×40が六切/キャビネのダブルマット(2700円)、40×50センチが四切/四切ワイド(3900円)、50×70センチが全紙/半切(5600円)の、それぞれダブルマット仕様になっている。ツートーンカラーにするか、ダブルマットにするかで悩むところだ。
この、チクマがとった欧州サイズの流用は、新しい試みのようにも見えるけれど、最後に取材した専門の額装から見ればごく普通のレディメイド化のようでもある。
●なぜかみんな同じサイズ
チクマの葛城さんにどうしても聞きたかったことがマットに関してあった。それは写真専用額縁にはどうも統一したサイズが決められていないようなのに、汎用のマットがありうるのかどうかというところだ。
「正確にいうとそれぞれちがうのですが、みんなほぼ同じサイズにまとまっているので、例えば四切用の額に合うマットは、スタンダードな額ならどれにでも合うんです」
……ということは、各社の額が、フジカラー販売の村井さんたちが試作して、自分たちで見て決めたマット幅に従っているということになる。
そこで聞きたかったのだ。最近ではワイドマットが流行ですが、レギュラーの写真額のマット幅は、マット専業メーカーとしてはかなり優れたバランスといえるのでしょうか?
しかし、そのときには、まだこちらの知識レベルが低くて、単刀直入には聞けなかった。
が、もちろん回答はあった。「コンツァー」額縁でヨーロッパ規格を扱うというところに、日本的な写真額サイズに対するチクマとしての一応の批判が表明されているわけだ。
それ以上のことは、写真専用額縁のサイズがチクマのメーン商品群である汎用マットのベースになっているところから、立場上答えられるはずはないではないか。
私が、いわゆる額縁専門店でも話を聞きたいと思うようになったのはこのときだった。もっと広い視野から見たら、写真専用額縁はどのような位置づけになるのだろうか。
最後に葛城さんが「脱額縁」の新しい動きを示唆してくれた。それは一人歩きしはじめた「ニュー・チクママット45」が結婚式の披露宴会場の入口に飾るウエルカム・ボードとして使われはじめているという。きちんとしたカリグラフィによるウエルカム・ペーパーを入れることによって、印象が素晴らしく変わるという。
私が高校・大学で写真部に所属していたのは東京オリンピックのころだが、当時は、写真展示といえばベニヤ板のパネルに水貼りというのが一般的だったから、写真を額に入れるということ自体に違和感があって、今回もその印象を引きずりながら取材していた。
水貼りは印画紙がバライタ紙からRCペーパーに変わるとできなくなって、接着剤つきのパネルに張り込むように変わった。そういう印画紙側の変化がパネル貼りから額装への「進化」を早めたのであろうし、パネル貼りに変わる、安価でシンプルな写真専用額縁が求められたということになるのだろう。
写真専用額縁が一般に軽い印象で作られているのには、写真に合うという以前に、パネル貼りの印象を引き継いでいるのではないかと思えてならない。それはたぶん、写真が絵画と一線を画すべく額を拒否したところから始まったのではないかと思えるが、そのようなリアリズム精神がだんだんと額やマットに包み込まれる過程が、写真専用額縁の「進化」に見えてくる。
チクマが進める「脱額縁」としてのマットはそういう意味で、写真をもう一度裸にしようとする新しい流れの一角に位置づけられるかもしれない――と思った。
■1枚でも100枚でも――ヨドバシカメラ新宿西口店
●売れ筋に、独自の見本写真
写真専用額縁がレディメードに特化した商品であるということがわかってきた。ということは売場を見ておかなくてはいけないだろうと考えて、ヨドバシカメラの新宿西口店3階にいってみた。広報に取材を申し入れておいたら、売場の鈴木雅之さんが話を聞かせてくれた。
売場でも、額縁は古いものがなかなか消えないという特性をもっているという。指名買いがあり、定番化しやすいというのがメーカー側の説明だが、新陳代謝ももちろんあるという。サイズが多いということと、デザインがシンプルということで、回転がゆっくりなのだ。
で、鈴木さんたちはお客さんにどのようにすすめるのか?
「額縁のような商品では、カタログから消えていくとしてもその告知がないので、売場としてはできるだけ新しい商品をすすめておいたほうがいいようです」
額縁の種類がこれだけあると、どれにしたらいいのか、迷ってしまいますよね。
「まずはお客様の好みを聞きます。風景や建物などキリッと締まった写真に見せたいときにはアルミ製をすすめます。子どもやペットの写真なら木製で、その場合には白木でいいかどうかです。
半切とか全紙を求めるお客様はだいたい写真コンテストに応募しているとか、カルチャースクールなどで先生についているので、目的がはっきりしています。大きな額はガラスだと重くなりますし家庭内では危険性もありますから軽くて割れないアクリル板のものをすすめます」
マットについては、どう考えているのだろうか。
「マットは50色ほどそろえていまして、色を合わせて注文でカットできます。これだけのものをそろえたのはうちが走りではないでしょうか」
ヨドバシカメラでは店員が客の写真を扱うことはしないという原則を立てているのだそうだが、額を選び、写真を入れる手伝いは積極的におこなっているという。規格外の写真のためのマットの選択なども、どんどん相談してほしいという」
現時点でのヨドバシカメラでの売れ筋商品はなんですか? と聞いてみた。
鈴木さんが選んだのは、まずフジカラーの「木調アルミ額縁AM200(ローズ)」。これは細身で木目調。木目印刷の塩化ビニールフィルムを貼ったアルミ額で、四切が2900円という品。各サイズ正寸のマットに加えて、中抜きしていない「ベタ台紙」が同梱されているので変形サイズの使用も可。基本はガラス板だが全紙のみアクリル板となっている。
これがヨドバシ店頭では2030円になる。以下同様に、驚くほど安く買える。
次はコニカマーケティングの「ギャラリー」。黒の細縁に黒マットのワイドマットで、四切が3500円。「画廊」が6500円するのと比べると普及版という位置づけになる。キャビネから全紙まで全サイズアクリル板にして軽くなった。
アルミのシルバーではハクバの「Vカットシルバー」が四切で2000円と格安感があるが、四切で2500円出すと無反射ガラス入りになる。
ハクバのVカットシルバーは以前あったゴールドを整理した結果のシルバーだが、フジカラーの「アルミ額縁A7N」はプラチナゴールド色のアルミ製。四切で1600円という価格設定になっている。
そして最後に選んだのがフジカラーの「木製額縁M13(子鹿)」。子鹿色というのだそうだが、茶系のこの額は四切が1350円と圧倒的に安い。それでいてキャビネから全紙まですべて無反射ガラスが入っている。
そういう額が、基本的には四切サイズを見本として積まれているのだが、その見本に入った写真は、メーカーが入れたものとはちがっている。買って帰ってふたを開けたら、ちがった写真が出てくるのである。
はじめ気づかずに、額の売れ行きと見本写真との関係を聞いたのだった。
「見本の写真は、季節感を考えて入れ替えているんです。うちではこちらで用意した写真を入れていますから、メーカーが入れた中の写真はどうでもいいんです」
飾りたい写真が入った額があったからといって、ヨドバシカメラで買うときにはよく確かめておくように――ということだが、レディメードの額縁を売る立場ゆえに、額に合った写真をみずから選んで見本にしているというていねいさがあったとは……考えてもいなかった。1枚でも多く売るには、よりよい見本が効果を発揮することはまちがいない。
「80枚、100枚とまとめて買って下さる方がいらっしゃいますから」
見本写真の向こうに、そういう客の顔が見えているのかもしれない。
■写真展示のプロフェッショナル――フレームマン(株式会社フレームマン)
●裏打ちがイノチです
額は悩むほどたくさんあるから選んで買える、マットも必要なら色とサイズを変更ことができる。
それではいよいよ写真を額に入れることが可能――かというと、なにかが足りない気分がした。
はっきりとはしなかったが、それですむというふうにはいえない何かが残っている。
それはたぶん、私が仕事で年間に20カ所以上の山小屋に泊まることからきているのだが、多くの山小屋に写真が額に入れられて飾られている。それがじつはあまり「美しくない」のである。額の前面のガラスやアクリル板の汚れは除外するとして、「美しくない」原因が写真のデコボコにある。たぶん湿気や温度差などによってだろうが、とにかくみんな、着古した服のようになっている。
そういうものかもしれないけれど、そういうふうになってもいいのかな? というあたりが、ひっかかったままだった。
編集会議のときに「今回は額縁です」といったら那和秀俊さんが、フレームマンという会社の電話番号(03・3452・1321)を教えてくれてあった。会社は南麻布にあるらしい。専務取締役の奈須田一志さんを訪ねることになった。
「パネル貼りから額装になったほんとうの理由は、写真の平面性を保つためだと思います」
奈須田さんの話は明快である。昔のパネル貼りがどれほどねじれるかくらいは、私は知っているつもりだったが、奈須田さんはパネル貼りの場合、同じパネルを背中合わせに貼って、さらにそれにも写真と同じ貼りをして、それでも桟木の本数やベニヤ板の厚さによっては変形してしまう、というレベルで話をしている。
裏打ちに関しては、「用品ショーカタログ」にチクマが「チクママウンティングボード」を載せている。中性紙を使用した厚さ1.4ミリのノリつきボードで、写真を手軽に貼ることができる。
しかしそこには注意書きが添えてある。
「写真を展示する場合は、直接ライトなどの光源を当てますと、熱により材質が反ったり、変形する場合がありますので、ご注意下さい」
本格的な写真展ではスポット照明をすることも多い。ビルの空調による昼夜の温度差にもさらされる。「マットは縮み、アクリルは伸び、プリントは材質によって伸びたり・縮んだり」するという。
そういう環境下で、見せる展示をするためには「写真展では裏打ちがイノチです」と奈須田さんは言い切る。
どうするのか?
まず写真の裏全面に両面テープをていねいに機械貼りする。それから厚さ1.8ミリのコッパク(骨白)というボードに、やはり機械で慎重に写真を貼り、その上に中抜きしたマットをマウンティングするという。半切以上になると裏打ち材料はポリエチレンをアルミ箔ではさんだ3ミリ厚のボードになるのだそうだが、ともかく、その裏打ち用ボードの開発にフレームマンの歴史は刻まれているという。
では、使用する額縁はどういうものなのだろうか?
「写真家の先生方を大きくふたつに分けて、写真にフレームはあまり重要ではないと考える方はできるだけ細いアルミフレームを希望されます。絵と同様に写真とフレームが一体になって作品となるとお考えの方は、木製のフレームに興味をお持ちで、棹の色やマットの種類にもこだわる、というふうな傾向になります」
その木製額縁派には、たとえば土門拳、前田真三、浅井慎平、竹内敏信、三好和義といった写真家の名が上がったが、創業者の社長が写真の額縁に本格的に手を染めるきっかけになったのが秋山庄太郎であったそうだから、なかなかむずかしい人たちの仕事をしてきたということになる。創業が昭和33年(1958)ということだから40年になる。
●プロの手順
では、展覧会用の額装を頼むとすると、どういう手順になるのだろうか?
まず、どこでやるかを知りたいそうだ。メーカーギャラリーならたいていは知り尽くした場所である。あるいはレンタルのギャラリーか。
次にはフレームの基本的な選択。パネルなのか、マットパネルか、額装か、あるいは特殊な額装にしたいのか?
フレームマンのフレームを使う額装なら、買い取りかレンタルか、色はシルバー? ブラウン? ステン?
そして一番だいじなのは、終わった後にその作品を額装のまま返却すればいいのかどうかということ。もし、作品そのものをいためてはいけないという場合には、裏打ちはせずに、中性のミュージアムボードに、コーナー止めにするとか、中性台紙に中性テープで止めるかという作品保存中心の額装にする。
そして飾り。まかされるのなら、展示から照明、仕込み。撤去から額抜きなどの最後の処理まで。
展示会場の壁面状況を見て、クギ打ち、フック、ピクチャーレールの使用など下見して準備する。
示されたレイアウトに従って、タテ位置、ヨコ位置、2段掛けなど、基準の高さにそろえつつ、両サイドは原則として均等な間隔を割り出していく。
額縁には前面にガラスかアクリル板が入るけれど、それはあくまで保存用という考え方で、展示中は印画紙面を直接出すのが原則となる。
マットは白、オフホワイト、グレー、シルバー、黒、小口も黒のFM(フレームマン)ブラックなどが標準的で、圧倒的に多いのはオフホワイト。もし色の指定があれば、台紙に色の紙を貼ることで注文に応じていく。
マットの厚さは通常2ミリで、厚いと小口が目立つので写真サイズに関係なく2ミリにしている。その代わり、マット部に溝を入れたりラインを引いたりすると装飾性が高くなり、絵画のフランスマットのようにマットを2段重ねにあしらうこともある。
もし木の額縁でやりたいという人には、ケヤキ、タモ、チーク、ナラあたりから、棹の幅15ミリ〜20ミリ〜25ミリというあたりを目安に選んで、白木か塗装かを考えることになる。
ちなみにフレームマンのアルミでは、シルバーが圧倒的で、作品を引き締めてドラマチックな演出をしたいときには黒枠に黒マットで、照明を工夫する。
またフレームマンのアルミフレームには棹幅が6ミリの通常タイプと、棹幅が3.5ミリで内側の1ミリに傾斜をつけてフレームの影がマットに落ちないようにしてある「FMオリジナルアルミフレーム1160」(写真16)もある。
アルミフレームの標準サイズは406×508ミリ、450×550ミリ、545×727ミリ、600×700ミリ、600×800ミリ、1030×728ミリなどがある。
――というような見通しになるという。
そしていま、新しい額装がフレームマンの手で開発されている。「FMオリジナルアルミヘアラインパネル額装」(写真17)というのだが、両面にアルミ箔を貼ったアルポリックという3ミリ厚のパネルに、写真を直接圧縮化粧貼りするというもの。
これはマットがそのまま額になるという脱額縁の試みのひとつで、写真の外側にアルミ地を出さないで断ち落としにすると、いわゆるパネル貼りに回帰することになる。
この新しいパネル額装は京セラとエプソンのフォトギャラリーで採用されているという。
フレームマンの仕事の値段は見積もりを取らないと確定はしないようだが、目安として半切の写真を持ち込んで、買い取りのアルミ額(7500円)に裏打ち(4800円)して額装してもらうと1万1500円になるという。最新のアルミヘアラインパネル額装だと、それよりもいくらか割高になるという。
日本での主要な写真展や二科展、国画会、流形展の写真部門の額装と展示をほとんど一手に引き受けてきたフレームマンの仕事の緻密さは、取材後、回答を補足する長文のレターが奈須田さんから送られてきたことでもよくわかる。
■額装の自由自在――草土舎(株式会社草土舎)
●額にはなんでも入ってしまう
フレームマンでプロ用の写真額装というものの一端を知ると、どうしても額全体のなかで写真額が占める位置がどのようなところなのか知りたくなった。
その方面にほとんど手がかりがなかったので、とっておきのリファレンスブックを開いた。東京23区内の職業別電話帳が3巻組になっていた古いもので、「額縁」をひいたのだ。
そこで目立ったのは「ガクブチの世界堂」。新宿3丁目のそのビルは記憶にある。「常時1万種大陳列特価特売」とあり、「洋額、写真額、賞状額、和額、宣伝用・記念用額装、金属額、パネル……」とあった。
さっそく取材を申し入れたが、店長に困惑の雰囲気があった。写真雑誌で写真専用額縁の延長で取材したいということが、どこかでひっかかるようなのだ。忙しい時期なので、ということで断られてしまった。
そのときはまだ分からなかったが、こちらには簡単なお願いでも、受ける方ではかなりのハズミが必要なことだったということが、すぐにわかった。
私は古い電話帳に戻って、額装の雰囲気をうまく表している「暮らしの中へ美をお届けする額縁専門」の草土舎(03・3294・6411)というところに電話してみた。
専務の河原英夫さんも電話のなかで「ちょっと見解のちがいがあるようですが……」と腰が引けた感じがあった。
しかし、それでも受けてくれたのには、それなりの理由があったようだ。「社長が全国額縁組合連合会の次期会長に決まっていますので、額縁業界への理解という点で、ご協力できるのなら……」
なぜ河原さんが身構えたのかというと、写真用の額縁というのは額全体の中でいえばごくごく小さな位置を占めるにすぎないということがあったからだ。
「額縁を大きく分けると3つになります。キャンバスの厚みを収納できるようにした油絵用と、薄い紙を収めるデッサン、版画、水彩画などの額縁があり、写真用額縁はそこに入ります。3つめは和額と呼ばれるもので、日本画や書道の額、あるいは色紙、短冊など紙のサイズが決まっているものを収めるそれぞれの専用額になります」
教科書を見るともうすこし細かく解説されているが、「額縁は用途によって細分化されるべきではない」という考え方を河原さんは強調したいようなのだ。「なんでも入れてみようというのがだいじです」ということなのだ。
その教科書というのは、1991年に全国額縁組合連合会によって発行された6冊組の「フレーマー通信教育講座」で、河原さんはその専門委員に名を連ねている。せめて県庁所在地に1、2軒、トータルインテリアという視野のなかで額装のできる「フレーマー」を育てたいということからまとめられた、なかなかの力作シリーズである。
教科書の「用途による分類名称」にはこう書かれている。なかなかしっかりした文章だと思うので、全文を引用させていただきたい。
「私たちが額縁を分類するとき油絵の額縁、書の額縁といったようにアートピースの表現技法による分類がもっとも一般的ではなかろうか。それは額縁が流通する上での区分や区別に欠かせないもののように思われるが、本来アートピースの表現に制限がないようにこれらを明確に区分することは困難である。また最近モールディングフレームの発展と共にその目的は用途仕様、例えば油絵仕様、版画仕様、日本画仕様というように、アートピースの仕様に基づく分類へと変化しつつある」
ここでは額縁を洋額と和額に大きく二分して、洋額には油縁、デッサン縁、水彩縁、版画縁、写真縁、賞状縁、写真立、鏡縁を列記している。ちなみに和額のほうは日本画縁、書道額、色紙額、短冊額、短冊掛、版画額(和風)、欄間額(横長額)、吊額、硯屏となっている。
ここでデッサン縁、水彩縁、版画縁と写真縁はきわめて近似の関係にあって、紙のサイズやガラスのサイズによって基本サイズが定められてきたという。「多くの場合、マットボードと共に額装される」というし、「単色や明るい色彩のものが額装されることが多く、また紙類のような軽い素材を入れるために比較的細い縁幅でシンプルなデザインであるが、色は多種である」という。
その中で写真縁がちょっと異質なのは印画紙のサイズがデッサン用の紙のサイズと同じ名称で寸法がちがうなど混乱しやすいこととしている。
「額はどこに飾るのかという環境との関係でバランスを合わせていきます」
インテリアコーディネーションとしての額縁は、まず場のなかにひとつの位置を占め、アートピースとしての写真と額縁との間を写真と合った色調のマットで埋める、というのが基本的な考え方のようである。
●マッティングが額装のカナメ
じつはその、マットボードを使った「マッティング」によって額装は大きく変わったのだが、それはごく最近、1960年代のアメリカでポップアートの流行によるという。
「紙に印刷インクという、弱々しい素材で作られていた。それが、マットボードと、この頃から安価で透明度の高いガラスの普及によって、新しい額装法の発展を促した」
そのマットの役割は6つあると教科書はいう。
1…ダストカバーとしてのガラスやアクリルにアートピースが接触して傷まないようにするための空間をつくる。
2…版画などでは、サインの入る余白部分をカットすることなくトリミングする。
3…アートピースと展示空間との間で調和する色彩効果を得る。
4…無酸マットの使用によって紙の中性保存を実現する。
5…アートピースの平面維持。
6…アートピースの保護カバーとしてのなにがしかの衝撃緩和機能。
そういう近代的機能を与えられたマットはハーブ・キャサリーズという人の考案になるマットカッターによって従来の保存用台紙から、デザイン的な意味で額装技術の中心となったのである。
「マッティングというのは好みの台紙を作るということなんです」
河原さんの店ではマットボードは150から200種類はあって、それでも合うものがないというときには上に貼る紙を探すという。あるいは色を塗る、あるいは布を貼る、あるいは壁紙を貼ることもあるという。そういう意味では、近代額装の骨格ともいうべきマットは無限のバリエーションをかなえてくれる。
写真業界の額ではマットの「Vカット」が強調されていたが、それはマッティングのいわば基本中の基本であって、フジカラーが最初に写真専用額縁を作ったときからVカットであった。
チクマがマットの色数を増やし、中抜きの特注を1枚から受ける態勢を整えているけれど、この部分こそが近代額装の核心といえるのだ。
マッティングに関しての私の最大の疑問であるマット幅について河原さんは、「3インチ(75ミリ)から14インチ(10ミリ)というのが一般的です」ということだ。
それについて「フレーマー通信教育講座」はこう解説している。
「作品にフェイスマットを施す際、まずマット幅をどれくらい取るかが思案される。実際何ミリにしなければならないということはなく、また既成の額縁を利用する場合、自ずと作品のサイズと額縁のサイズの関係でマット幅が定まってくることはいうまでもない」
そして――。
「一般にマット幅が大きければ大きいほど作品とのコントラストがはっきりするということはいえるが、これにアートピースの雰囲気や色調のバランスを見ながらマットの幅を考えなければならない」
かくしてマッティングはどんどんその奥深さを見せはじめるが、ここでは色の問題には踏み込まない。
フレームマンを取材したときに奈須田さんが強調していたことだが、マットに写真枠を開けるとき、上下のマット幅を上45%、下50%にずらすことによって印象として上下中心にあるように見せるということだった。「フレーマー通信教育講座」では下部のマット幅を10%広げることを提案している。
そういうこまかな視角調整が必要になると考えはじめたら、やはりオーダーメイドなりイージーオーダーの体験をしてみるのもいいのではないかと思う。
河原さんは「写真だから別、とは思っていません」という立場なのだ。
かつて岡田紅葉の富士山写真を額装したという草土舎の三代目は「お仕着せの額に入れられて、写真がかわいそうに思えます」と最後にいった。
そこで額装の一例を見せてもらった。6点の明細は以下のとおり。なお額縁は25・5×20・3センチ。価格は窓抜き加工を含んだもの。
1平型木製黒色(白色2ミリマット付。写真18)……………1350円
2外流れ型木製木地色(白色2ミリマット付。写真19)……2400円
3アルミ製チーク板貼り(白色2ミリマット付。写真20)……3700円
4手作り桜材山形(シルク貼りマット付。写真21)……………8000円
5手作り角花(ローズ)型付銀色箔(黒色マット付。写真22)8850円
6手作り金色箔こげ茶色仕上(スウェード風マット付。写真23)8900円
どうだろう。意外に安くできるともいえそうだし、かなり高価な額装になるともいえるが、それが写真的であると感じるかどうか? どうだろう。
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