両神山――2008.5.13-14(火水)


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◆糸の会山行[565]――5e
◆両神山
りょうかみさん……1,723m
1日目……登り26p……合計26ポイント
2日目……登り11p→稜線15p→下り9p……合計35ポイント
日の出0438、日の入1838……5.13さいたまで
◆西武秩父線・西武秩父駅から……2008.5.13-14(火水)実施


■2008.6.17――山咲 野乃香さんからレポート「ドングリ達の新記録――両神山」
 ガイドブックを読むほどに、これはちょっと危ないかもしれないと思った。
 八丁尾根には約20ヶ所、30本以上の鎖場という記述+脅し文句?イロイロ。体力度2、技術度、危険度、共にMaxの3。
 私はといえば、岩っぽい山、鎖場も少しは経験があり、その都度コーチからは三点確保その他の必要最低限の事は教わってきたものの、「初心者」には間違いなく、技術度は限りなく0に近いわけ。
 頼ったのは、コーチの「山の道 山の花」の記述。「『危険度は高くないが』スリル満点の登降」というくだりと、「『難易度は高くないが』歩く人の力量によって時間に長短の出る好例」という2ヶ所。
 それに計画書の「雨ならまた考えます」と、当然ながら「安全第一」という文言。
 加えて、どちらかと言えば「岩っぽいも好き」と思い込んでいる自分と、「わたしが50代なら絶対行く!」と言うMさんの激励で、参加を決心した。

「天気運」は先月2回の山行で使い果たしたかという感じの出だしだったが、新緑の時季の雨はさほど苦でもなく登山は静かに始まった。しばらくして、次から次へと二輪草の大群落。雨の中、皆花をすぼませうつむいており、何か全く別の花のよう。かわいらしさだけではない表情を感じる。

 清滝小屋ではじわじわと暖まる薪ストーブがありがたかった。電気を消し、赤いランプに灯をいれてもらうとあー、この明るさにはどんな打ち明け話が似合うのかしらとピントのずれた事を考えていると、薄明かりの先には
歯ブラシをくわえたコーチの顔があり、少々興ざめする。

 翌朝も出発時にはしのつく雨。コーチも管理人さんには「戻ってくるかもしれません」という挨拶で出立。
 両神山山頂でもUターンかなぁ、雨があがってもツルツルは必至だょ・・・と内心弱気の私。
 天気もこの気持ちを弄ぶかのようにドラマチックに変化する。そして、「晴天のへきれき」となる!

 いつかは、一生に一度は見てみたいと思っていた。しかし、まさか今回、この両神山でとは!
 晴天では見えぬ、「ブロッケン現象」を体験。
 東岳を過ぎてしばらくの所だったと思う。右手の崖があまりに深く落ち込んでいるようでふと覗き込むと非常にはっきりした美しい虹色の輪がまん丸く見えるではないか。しかも二重!
 中心の丸い影が自分の頭だということに気づくまでしばし時間がかかった。大声でコーチを呼び戻し撮影してもらう。
「まさにブロッッケン。ご来迎」とコーチに教えてもらうまでわからず。
 子供の頃、富山出身で立山をこよなく愛した亡父からブロッケン現象の体験を聞いていた。幼い私は「ブロッケン」と「フランケン」がいっしょくたになり、山に映る大きな影というイメージで恐ろしげなものを空想していた懐かしい思い出がある。高山特有のものと思い込み、虹色の光輪も知らなかった私には非常な驚きだった。
「尾根の日陰側かつ風上側の急勾配の谷で、山肌に沿って雲(霧)がゆっくりと這い上がり、稜線で日光にあたって消える場合によく観察される」というウィキペディアの記述そのものだった。
 光背を負った私・・・思わずはしゃいだものの、ちょっと待て、浄土はまだ早い!あわてて本物のお迎えにならぬよう念じた。

 その願いも通じ、無事の帰途。車中で「参加を後悔した人います?」という思いがけないコーチからの問い。
 私を含め4人のオバサンたちは口々に否定。ピンチで冷や汗をかいたり、少しばかりの擦りむき、あざ、痛み、必至の形相等々あったものの、大いなる達成感と共に「楽しかった」で落ち着いたと思う。
 岩登りを習っているS氏の模範演技も見られたし。ドングリの背比べだったオバサンたちはそのスパイダーマンぶりに痛く感動したのだった。参加を後悔したのはコーチだったのでは? 岩稜の標準コースタイム2〜2時間半の所、コーチの今までの経験では5時間(参加者20名程)と言う。そしてこの度、4人のドングリ共はその記録を前人未到の域にまで大幅更新し、なんと7時間!「非常にコストパフォーマンスがよかった」とほざいてしまったが、コーチ曰く「追加料金もの!」
 ごもっともです。目が離せぬドングリのおしりを見つめ続け、時には檄をとばすこと7時間。ウホッ。おまけに最後は借金までする輩のいる始末。(少しでも荷を軽くしようと財布まで軽くし、福沢さんを留守番させてしまった私)ドーモスミマセン。
 いつでも懲りないワタクシメ、次回はぜひ晴天のもと軽々と岩稜をこなし、「剣」解禁のお墨付きを頂戴するのが夢でございます。


●小鹿野役場→日向大谷タクシー1台4,760円。
●1300-05日向大谷登山口(両神山荘、標高約630m、10度C)を出発→1350-55標高約700m→1430-40標高約800m→1515-20標高約1,000m→1545-50弘法の井戸(標高約1,200m)→1605清滝小屋(標高約1,280m)
●登っていくとニリンソウの群落がでてきた。一輪目が終わって二輪目が咲いているものが多いようで、時期的には遅いのかなという印象。しかし大きなずれはないようだ。
●小屋は管理者がいないと聞いていたが、さすがにアカヤシオのシーズン、発電機がまわっていた。泊まったのは素泊まりの私たちだけだったが、ストーブをたいてくれたので夜は快適だった。
●夕食はスパゲティ。食後はストーブを囲んで長いミーティング。
●1日目は台風が接近して雨を覚悟してきたが、2日目は晴れる方向と期待していたにもかかわらず雨の夜明け。しかも5度Cという寒さだった。
●0705清滝小屋を出発。小屋の上には昨日の予想を超えるニリンソウの広がりがあった。
●0725-30産体尾根(標高約1,400m)で休憩→0850-0900両神山山頂(標高1,724m)
●頂上稜線に出ると風もあって、5度Cの気温は同じでも寒さが強い。クサリ場で手袋をすべきか、はずすべきか悩む状況だ。雨は激しくはないが降っていて、岩は濡れている。これは初心者も対象としている「e」クラスなので無理はしない。人数が多かったり、弱気の人がいたら中止にするところだったが、時間もたっぷりあるので慎重に前進することにした。
●稜線を進むとすぐに雪が出てきた。少し前にかなりの雪が降ったらしい。それが残っている。それとは別に夕べか一昨日にかなりの霧氷がついたようだ。落ちた霧氷の氷片が雪の上に落ちたところだけ残っているような感じがした。
●1000-10休憩(標高約1,650m)全員手袋をはめる→1015-25東岳(標高1,660m)→1230-40(標高約1,550m)→1400-10-15西岳(1,613m)→1610-20-45八丁峠(標高約1,530m)→1730上落合橋(標高約1,150m)
●稜線のアカヤシオは残念なことに傷んでいた。雪が降ったときだろうか、雪焼けしたとでもいうような枯れ方で、その後咲いたものはきれいだった。稜線が終盤にはいるあたりから、きれいな、ぽっちゃりとしたアカヤシオが登場したが、同時に、雲が薄くなって、とくに西岳では日差しが出たので雨具を脱いで乾かした。
●山頂から八丁峠までの八丁尾根縦走に今回は約7時間かかった。コースタイムで2時間前後のところ倍の4時間を用意し、いくらかはみだすつもりでいた。過去、このルートには5時間以上かかったいたからだ。今回は人数が少なかったが、岩が濡れていたので慎重には慎重を期して手抜きをしなかったことから驚くほど時間がかかった。しかしともかく、無事で良かった。
●八丁峠で休憩時間が長くなったのは携帯電話でタクシーを呼ぶために、やはり10分ほど戻らなければならなかったことによる。八丁峠でも携帯電話のアンテナマークは3本立っているのだが、通話には至らない。来た道を戻って小さなクサリ場を越えてしばらくいったあたりでかろうじて1か所、体の向きによって通話できる場所があった。以前にも同様のことがあったのだが、時間の予定がはっきりしない状態でタクシーを呼ぶ気になれず、八丁峠まで行って、戻った。
●なお当初小鹿野のタクシーを八丁トンネルまで呼ぶつもりでいたが、金山志賀林道が閉鎖されているとのこと。三峰口から上落合橋まで来てもらわなければならない。……というわけで、時間も遅くなって三峰口へ直行。タクシー代1台10,430円。人数が6人だったのでひとり3,000円強と、いたい出費になった。
●三峰口発1834の列車に飛び乗ることができた。時間に余裕がなくなったので銭湯+ソバという組み合わせで考えたが秩父駅のセットはむずかしく、御花畑駅で降りてクラブ湯に。出たところの「すしかつ」という寿司もかつもあるという和食の店で時間がないなら刺身御前ということであわただしく食事。地元で客の多い店のように思えた。
●2025西武秩父市発の特急には乗り遅れたが、2030の飯能行きに乗って、2225池袋着。


◆集合
●5.13(火)9:15……西武池袋駅_1階改札口外側

◆ポイント
●岩稜のアカヤシオを堪能したいというねらいです。
●「e」ですから登山口の両神山荘に泊まってボリュームいっぱいの夕食を楽しむという方向もあるのですが、今回は縦走が目的ですから2日目の登りの負担をできるだけ軽くします。
●清滝小屋泊まりで、豪華夕食+ぜいたく朝食といきましょう。小屋は素泊まり(4,000円)です。当日は管理人もいないそうです。食事はぜんぶ伊藤の方で用意しますから完全に準備不要です。お楽しみに。
●2日目は朝食をたっぷり食べて出ますから、昼食はとくに重くする必要はないと思います。
●小屋は週末には管理人が入って2食付きもあるというところですから、寝具はあります。夜、寒いかもしれないのでフリースを1枚プラスという程度でいいと思います。
●縦走路にはスケールの大きなクサリ場が連続しますが、危険度は高くありません。よほど、岩場が嫌いというひとでなければ大丈夫です。雨のときにはまた考えますが、時間をたっぷり使って、安全第一で行きます。

◆往路
0930池袋始発(西武池袋線特急ちちぶ9号西武秩父行き)……1048西武秩父
0930池袋→0956所沢→1017飯能→1053西武秩父
*秩父で昼食をとりましょう(小池のそばなど)
乗換
1144西武秩父駅始発(栗尾行きバス)……1221小鹿野役場(460円)
*タクシーで日向大谷の登山口へ(1台約3,000円)

◆現地行動
●第1日
1300ごろ_日向大谷口バス停を出発……登り26ポイントを3時間として
1600ごろ_清滝小屋
●第2日
0500ごろ_起床
*朝食(自炊)
0700ごろ_清滝小屋を出発……登り11ポイントを1時間半として
0830ごろ_山頂……岩稜15ポイントを2時間+2時間として
1230ごろ_八丁峠……下り9ポイントを1時間として
1330ごろ_八丁トンネル駐車場
*タクシーで薬師の湯へ
*秩父へ出て食事というつもりです

◆帰路参考
●バス(薬師堂→小鹿野町役場。200円)
1528→1540→(1610西武秩父駅)、1633→1705、1717→1729→(1759西武秩父駅)、1734→1746、1840→1901
●バス(薬師堂→三峰口駅。250円)
1548→1608、1651→1711、1800→1819、
●バス(小鹿野役場→西武秩父駅。460円)
1630→1713、1718→1758、1755→1835、1825→1905、1903→1943、2024→2101
●西武特急(西武秩父→池袋)
1725→1846、1825→1946、1925→2046、2025→2146、2125→2245

◆費用の目安
西武線_池袋→西武秩父……750円
特急券_池袋→西武秩父……620円
bus_西武秩父駅→小鹿野役場……460円
taxi_小鹿野町役場→日向大谷……1台約3,000円
宿泊_清滝小屋(素泊まり)……4,000円
自炊材料(夕食+朝食。1人分)……約1,500円
taxi_八丁トンネル→薬師の湯……1台約7,000円
bus_薬師の湯→西武秩父駅……710円
西武線_西武秩父→池袋……750円
特急券_西武秩父→池袋……620円

◆電話
●宿泊
清滝小屋……0494-79-1723(両神村森林組合)
●タクシー(秩父)
秩父丸通タクシー小鹿野営業所……0494-75-0206
秩父丸通タクシー秩父営業所……0494-22-3633
秩父丸通タクシー三峰口営業所……0494-54-1771
●入浴
両神温泉薬師の湯……0494-79-1533……1000-2000_火曜日定休_600円

◆春季日帰り標準セット
★夜は冷えるかもしれません。フリースを1枚。
★小屋の夜にライト(ポケットライト、キーライト)必携です
●足まわり……運動靴(軽登山靴)など
●行動着……ドライタイプの登山用Tシャツ+長ズボン+長袖シャツ
●雨具……折りたたみ傘+ゴアテックスレインスーツ
●小物……地図+健康保険証コピー+時計+ポケットライト

◆ルートシミュレーション
●地図は国土地理院1:25,000地形図、長野4号-2(ながまた)、長野4号-4(りょうかみさん)を縮尺不明で使用しています。
●シミュレーションマップ上の○印は予定したルートが太い等高線(50m)を横切る地点を中心にした半径50mの円。数字は100m単位の標高です。◇印は山頂から山裾に向かって地図上で計った距離。ごくラフな計り方で500mごとに印をつけてあります。この地図情報の一番簡単な見方は、○印と◇印をどちらも1個(1ポイント)7.5分(2個で15分、8個で1時間)と概算して、山歩きの時間目盛りとする方法です。
●なお、下りは道の状況によって登りの70%と見積もるのが現実的です(高速下山路では50%、難易度の高い場合は100%とすべき例もあります)が、計画段階では登り時間にしておいて、余るようならリーダー権限の予備時間として自由に使うという考え方をしています。


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